JP3584852B2 - 高炉炉壁の熱間補修方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉の炉内壁を被覆する耐火煉瓦が損傷若しくは脱落し、炉体鉄皮に過度の熱負荷が発生したり、或いは、炉内壁に生成した凹凸がコークスや焼結鉱などの原料の円滑な荷下がりを阻害し、高炉炉況が悪化すると予想される場合に、一時的に高炉の送風を停止して該損傷部位の補修を行い、高炉繰業寿命の延長化と高炉の安定操業を図ることができる高炉炉壁の熱間補修方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉の炉内壁は一般的に冷却盤又はステーブクーラと耐火煉瓦の組み合わせからなっている。しかし、シャフト上部の炉内壁は比較的温度が低いので、約600〜800mm程度の厚みのシャモット質或いは高アルミナ煉瓦で内張りされているだけである。
【0003】
解体調査或いは炉内原料を減尺した場合の観察結果によると、シャフト上部のシャモット質或いは高アルミナ煉瓦で内張りされた部分は、損耗或いは脱落等、劣化が進行し易い部分であることが判っている。この原因は炉内のコークス、鉱石等の原料の降下時の摩擦が大であることと、炉内ガス流が壁面効果によって壁面に集中するためであると考えられる。
【0004】
このような原因で生じた炉壁の損耗部では、炉体鉄皮にホットスポットを生じ、変形、亀裂等の発生原因となって、炉体寿命を短縮させる要因となる。また、この炉壁の損耗は、均一に進行するものではなく、円周方向や高さ方向の位置によって異なるので、炉内プロフィールが円周方向や高さ方向で不均一となったり、壁面に凹凸が生じたりする。
【0005】
これを放置したまま操業を継続すると、炉内原料及び還元ガスの円滑な物流を阻害することになる。炉内壁面の劣化による炉況への影響としては、一時的に原料の荷降下が停止する「棚つり」や、原料が一気に数十cmから数mも降下する「スリップ」、また、還元ガスが一時的に偏流する「ガス振り」等が発生することがある。これらの現象が発生すると、高炉は適正な還元作用を果たせなくなり、操業上の大きな問題となる。
【0006】
以上の問題に鑑み、従来より高炉を一時的に休風し、その間に、前述したシャフト上部の耐火煉瓦の損傷部分に耐火物を吹付け補修することが行われており、該補修を安全かつ効率的に行うための方法が過去に多数報告されている。
【0007】
この耐火物の吹き付け施工方法は、乾式工法と湿式工法に大別される。
このうち乾式工法は、配合耐火物粉体を高圧エアーに随伴させてホース内を搬送し、施工場所において、吹付けノズルを介して加水し、吹付けるものであるが、この乾式工法では、粉体耐火物と水との混合が吹付けノズル部のため十分に行えないので、多量の粉塵の発生を伴うと共に、吹付けた耐火物は吹付け面に付着することなく落下する、いわゆるリバウンドロスが多量に発生することを余儀なくされるという問題が有る。
【0008】
一方、湿式工法は、圧縮ポンプに予め水と耐火組成物とを混練したスラリー状耐火材料を投入し、ホース又は配管内を圧送して、ノズル部分で硬化促進剤を添加して吹付けるものであるが、この湿式工法では、混練した後に圧送するため、圧送している途中のホース又は配管内で耐火物が硬化する可能性がある。また、ノズル部分での硬化促進剤との混合が不十分で、吹付けられた耐火材料が吹付け補修部から流れ落ちて、所定の補修厚さや平滑性が確保できない可能性が有るという問題もある。
【0009】
つまり、高炉の炉内壁を補修する場合には、吹付け時の雰囲気温度が高温であることに加えて、設備が非常に大きく、高温雰囲気下で長い距離の圧送が必要となるので、圧送している途中で不定形耐火物の硬化が進行するという湿式工法の問題が顕著化する。従って、従来から乾式工法が多く採用されていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高炉の炉内壁を補修するに際しては、乾式工法の場合にも上述した問題点は顕在化し、以下に列挙するような問題が存在することになる。
a.水と混合するタイミングが吹付けの直前であるため、均一に混合することが難しく、混合をよくするために水分の添加量を増加させる。従って、吹付けた耐火物の気密性にむらが生じ、吹付けによる補修効果を維持できる期間が短くなる。
【0011】
b.水と混合するタイミングが吹付けの直前であるため、耐火物粒子の一部は吸湿しないまま炉内壁に吹付けられ、耐火物の一部が壁に付着せずに炉内に落下する。これら付着せずに落下した耐火物は炉内で熱硬化し、炉内の還元ガス流を阻害するだけでなく、原料を巻き込んで炉壁に付着物のように固着し、棚吊りを引き起こして、炉況悪化の原因となる場合がある。
【0012】
c.吸湿しないままの耐火物は炉内で粉塵として舞い上がり、視野が悪化して吹付けたい場所に精度よく吹付けることができなくなる上に作業環境を著しく悪化させ、作業員の健康をも害する。
【0013】
このような問題点を改善すべく、例えば特開平6−341766号では、リバウンドロス量を減少させるため、吹付けに先立って、吹付けノズルから圧縮空気を噴出させることにより炉内表面のクリーニングを行う技術が提案されている。この技術によれば、ある程度は炉内表面の付着物等を除去することが可能であることから、吹付け効率が上昇してリバウンドロス量が減少するという効果が得られるものと考えられる。
【0014】
また、特開平5−256584号では、高炉炉壁の損傷部分及び損傷量を距離測定装置によって計測し、この計測値に基づいて耐火物の吹付け位置と吹付け量を決定し、吹付け機を制御操作する技術が提案されている。この技術によれば、炉内の粉塵等による炉内作業性の問題、安全性の問題を解決することができる。
【0015】
しかしながら、特開平6−341766号及び特開平5−256584号は、両者共に水と混合するタイミングが吹付けの直前であるという根本的な欠点があるため、耐火物粒子の一部が吸湿しないまま炉内に吹付けられること、および水分添加量が多いという乾式工法最大の問題は解決されず、大量のリバウンドロスが発生することになる。
【0016】
加えて、特開平6−341766号では、空気を噴出させてクリーニングを行う際に、炉壁部の付着物と共に炉内の粉塵が大量に舞い上がって炉内の視界が悪化し、作業能率が低下すると共に、作業員の健康を害するという問題点も依然として存在する。
【0017】
以上のように、高炉熱間補修を乾式工法で行う場合には、前述した問題を全て解決することは難しい。
【0018】
一方、湿式工法に関しては、例えば特開平10−232092号で、吹付けを行う前に予め不定形耐火物と水分を混練しておく技術が提案されている。この技術によれば、吹付け前に十分に水との混練が可能であるため、良好な吹付け成績を得ることができる。
【0019】
しかしながら、例えば高炉の炉内壁面を補修する場合では、雰囲気温度が470Kと高く、また、この高温雰囲気下で圧送ポンプよりホース内を圧送する距離が10m以上と長くなるので、ホース内の耐火物は、圧送途中に高温下による硬化が進行して詰まりを起こし、吹付けが不可能になると考えられる。従って、この問題を解決しない限りは高炉炉壁を熱間補修する場合に湿式工法を採用することができない。
【0020】
また、特開平5−4873号公報では、混練時には破壊されずに、吹付け時の雰囲気温度により破壊されるマイクロカプセルを用い、これに硬化剤や硬化促進剤を封入することで、耐火物の熱硬化の進行を制御し、ホース内での詰まりを防止する技術が提案されている。
【0021】
しかしながら、この技術においても、高炉炉壁を補修する場合には、高温雰囲気下でホース内を圧送する距離が10m以上と長いので、やはり圧送途中でマイクロカプセルが溶融し、ホース内の耐火物の硬化が進行して詰まりを起こしてしまう。また、硬化剤、硬化促進剤等をマイクロカプセル化する費用も嵩むため、大量に吹付けを行う高炉炉壁吹付けの場合にはコスト的にも実用的ではない。
【0022】
本発明は、上記した乾式吹付け方法や湿式吹付け方法にあった問題点を解決できる高炉炉壁の熱間補修方法を提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る高炉炉壁の熱間補修方法は、最大粒径が5.0mm以下で、0.075mm以下の粒子が25%以上である粒度構成の耐火組成物に、所定量の水と分散剤を加えて均一に混練し、このスラリー状の不定形耐火物をノズルまで圧送した後、ノズル部において硬化促進剤を添加し、高圧の気体と共に高炉炉壁の損傷部分に吹付けることとしている。そして、このようにすることで、耐火組成物と水、分散剤を均一に混合でき、しかも、吹付けノズルに至るまでに固まることもない。
【0024】
【発明の実施の形態】
発明者らは、高炉において湿式吹付け技術を確立すべく研究を行った結果、以下に述べる条件によれば、上記した問題点を解決することができることを知見した。
まず、耐火組成物の粒度を均一に揃えることで粒子同士の凝集にむらがなくなり、硬化時間を制御するための分散剤の効果が高いことを見出した。
【0025】
すなわち、水と混練した後の耐火組成物の硬化の進行は、その構成粒子の大きさと密接に関係する。発明者らは、種々実験を重ね、耐火組成物の粒度分布と分散剤の量が耐火組成物の硬化進行に及ぼす効果を調査した。その結果、耐火組成物の最大粒径を5.0mm以下とし、かつ、0.075mm以下の粒子を25%以上含有する粒度構成のものを使用することで、硬化進行を制御する分散剤の効果が高いことを見出した。耐火組成物の最大粒径を5.0mm以下とし、かつ、0.075mm以下の粒子を25%以上含有するものを使用することで、高温の炉内を圧送する途中で、不定形耐火物が熱硬化することがなくなる。
【0026】
本発明に係る高炉炉壁の熱間補修方法に適用する耐火組成物の構成としては、耐火性骨材として、アルミナ、シリカ、ジルコニア、カルシア、マグネシア等の酸化物や、炭化珪素等が用いられ、耐火性粉末としては、アルミナセメント等が用いられる。特に、アルミナセメントは不定形耐火物の結合剤として機能し、吹付け補修の効果維持に寄与する。
【0027】
次に、不定形耐火物に対する水分の配合割合について説明する。
発明者らの実験によれば、耐火組成物に対する添加水分の質量比が2%未満では不定形耐火物の流動性が低下し、ホース又は配管内を圧送する場合の圧力損失が増大して圧送性が低下し、ホース又は配管内で詰まらせてしまうことが判明した。一方、水分の添加量が15%を超えると、ノズル内にて硬化促進剤を添加してもその効果が発現せずに、吹付け時、たれ落ちが発生することが判明した。従って、本発明では、不定形耐火物に対する水分の配合割合を、2〜15%とした。
【0028】
次に、硬化時間を延ばすための分散剤の耐火組成物に対する配合割合について説明する。分散剤の具体例としては、ヘキサメタ燐酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、リグニンスルホン酸ソーダ、トリポリ燐酸ソーダ等が挙げられ、これらを1種類又は2種類以上併用することが可能である。
【0029】
発明者らの実験によれば、これらの分散剤の量は、水分の量とも関係するが、0.01%未満では分散剤を添加した効果が低く、圧送中に硬化してしまうことが多いことが判明した。一方、2.0%を超えると耐火物中の不純物となって吹付け後、耐火物の剥離性を高めてしまうという問題が発生する場合があった。以上のことから、分散剤の耐火組成物に対する配合割合は、0.01〜2.0%とすることが望ましいことが判明した。
【0030】
また、本発明に係る高炉炉壁の熱間補修方法に適用する硬化促進剤とは、前記耐火混練物の硬化時間を調整するために使用する補助剤であって、アルミン酸カリウム、珪酸ソーダ、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、硫酸、硫酸塩、硝酸塩、炭酸ソーダ、炭酸カリウム、リチウム塩等が採用される。
【0031】
これらの硬化促進剤はノズル部で添加するが、ノズル部には専用の別ラインを設けても良いが、ノズル部に送り込む高圧の気体に硬化促進剤を混合して送り込めば、ラインは併せて1本で済むため、より好ましい。この硬化促進剤の添加量は、特に限定されるものではないが、不定形耐火物に対し、質量比で0.1〜3.0%が望ましく、硬化促進剤の種類にあわせて決定する。
【0032】
次に、スラリー状の耐火物を吹付ける際の気体圧力について説明する。
発明者らの実験によれば、スラリー状の耐火物を吹付ける際の気体の圧力が600kPa未満では耐火物の接着性が低下して吹付け補修効果の維持期間が短くなるのと共に、炉壁まで届かずにまたは届いたとしても炉内に落下するリバウンドロスが多く発生した。一方、1200kPaを超える圧力では炉内壁に吹付けた時に耐火物が空気を閉じ込めて気孔を発生するようになり、気密性が低下した。以上のことから、スラリー状の耐火物を吹付ける際の気体圧力は、600〜1200kPaとすることが望ましいことが判明した。
【0033】
高炉内壁の補修にあっては、高炉を一時的に休風し、その間に補修を行う。耐火組成物の吹付け速度は、高炉の炉容積と補修範囲にもよるが、1時間あたり2.5〜10トンが必要である。ところで、耐火組成物を水及び分散剤と混練するタイミングについては、吹付ける全量を予め混練しておいても良いが、混練した後、炉壁に吹付けるまでの時間を短縮させるという観点からは、2.5トン以上の処理能力を有する混練装置を用いて耐火組成物と水及び分散剤を混練しながら順次圧送して吹付ける方法が望ましい。
【0034】
次に、炉内での吹付け時、ノズルの先端から炉壁の吹付け位置までの距離を500mm以上とすることが望ましい理由について説明する。すなわち、前記距離が500mm未満であると、耐火物が十分に拡散せずに吹付けられることになって、場所によっては吹付け量が異なり、炉壁に凹凸が生じる可能性が高くなるからである。炉壁に凹凸が生じると、前述したように炉内原料及び還元ガスの円滑な物流を阻害し、操業上の大きな問題となる。また、吹付け時の空気を巻き込んで耐火物内に気孔が発生する可能性もある。なお、ノズルの先端から炉壁の吹付け位置までの距離の上限は、スラリー状の耐火物を吹付ける際の気体圧力が600kPa未満にならない範囲で適宜決定する。
【0035】
また、発明者らは、スラリー状耐火物の圧送用配管又はホース、並びに、吹付けに用いるノズルについても実験を繰り返し、吹付けノズル、及び、圧送に使用する配管又はホースの条件について以下のような知見を得た。
【0036】
まず、吹付けノズルについては、内径を10mm以上とすることで良好な吹付け成績が得られた。なお、内径の上限は、スラリー状の耐火物を吹付ける際の気体圧力が600kPa未満にならない範囲で適宜決定する。一方、配管又はホースについては、その内径が40mm以上、曲率半径を500mm以上とすると、スラリー状耐火物を非常に円滑に圧送することができた。なお、配管又はホースの内径や曲率半径が上記した値未満の場合には、圧力損失が増加して詰まりが発生する場合がある。
【0037】
また、高炉を休風した後、耐火物を吹付ける前に、炉壁の補修対象位置の付着物や異物を除去することは、吹付け補修効果を向上させるのに有効な手段である。そこで、発明者らは炉壁に水を噴射することで良好なクリーニングが可能であることを知見した。特に水を噴射する場合、気体を噴射する場合のような粉塵は発生しないし、炉壁に吹付けられた水はすぐに蒸発して水蒸気となるので、送風後の操業に支障はない。また、この水の吹付け時に気化熱を奪うため、吹付け補修付近の雰囲気温度が低下し、配管又はホース内で耐火物の硬化が進行することを抑制する効果もある。なお、水を噴射するノズルは、耐火物を吹付けるノズルを流用しても、また、別のノズルを使用しても良い。
【0038】
本発明に係る高炉炉壁の熱間補修方法は、上記した発明者らの知見に基づいてなされたものであり、高炉を休風して炉内側の炉壁耐火物の損傷部分に耐火物を吹付け補修する方法において、最大粒径が5.0mm以下で、かつ、0.075mm以下の粒子を25%以上含有する粒度構成の耐火組成物に、耐火組成物に対して質量比で2〜15%の水と、耐火組成物に対して所定割合の分散剤を加えて予め均一に混練しておき、このスラリー状の不定形耐火物をノズルまで圧送した後、ノズル部において硬化促進剤を添加し、高圧の気体と共に吹付けることを要旨とするものであり、必要に応じて、耐火組成物と水、分散剤の混練を、予め混練しておくのに代えて、補修作業時に順次混練するようにしたり、また、スラリー状の不定形耐火物に硬化促進剤を添加するのに代えて、高圧気体に硬化促進剤を添加したり、また、耐火組成物に対する分散剤の添加量を0.01〜2.0%としたり、また、高圧気体の圧力を600〜1200kPaとしたり、ノズル先端から炉壁の吹付け位置までの距離を500mm以上としたり、内径が10mm以上のノズルを使用したり、不定形耐火物をノズルまで圧送する配管又はホースとして、内径が40mm以上のものを使用したり、曲率半径が500mm以上のものを使用したり、不定形耐火物の吹付け前に炉壁に水を噴射したりする。
【0039】
本発明に係る高炉炉壁の熱間補修方法は、上記したように構成したので、耐火組成物と水、分散剤、硬化促進剤を均一に混合できて耐火物吹付け時にむらが生じない。しかも、吹付けノズルに至るまでに配管やホース内で固まることもない。加えて、高炉内での発塵やリバウンドロスが少ないので、安全性に優れ、効率的でもある。
【0040】
また、本発明に係る高炉炉壁の熱間補修方法を、冷却用の気体又は液体を通すことが可能なパイプを、鉄皮に対する埋め込み深さを変化可能なように炉壁に埋め込んだ高炉に適用した場合には、パイプに耐火物をかぶせて吹付けることで、パイプがガイドの役目を果たすので、リバウンドロスを抑制することができる。損耗が激しく、埋め込んだパイプと炉壁の間に隙間ができ、耐火物吹付け時のリバウンドロス抑制効果が悪化する可能性がある場合には、パイプを手前に引くことで、炉壁とパイプとの隙間をなくし、リバウンドロス抑制効果の高い位置にパイプをセットすることが可能になる。このようにすれば、より効果的な補修が可能になる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明に係る高炉炉壁の熱間補修方法の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
【0042】
不定形耐火物として下記表1の粒度構成のアルミナ骨材、炭化珪素系骨材及びアルミナセメントを使用した。この耐火組成物に、下記表1に示した割合で水と、分散剤としてヘキサメタ燐酸ナトリウムを、予め地上にて1時間あたり5トンの処理能力を有する混練装置を用いて混練した後、高さ45mの高炉炉頂部まで搬送し、その後耐火ホースにより高炉炉頂マンホールから炉壁付近の吹付けノズルまで約15m搬送し、ノズル部分で、硬化促進剤としてアルミン酸ナトリウムを添加し、下記表1で示した圧力で気体と共に、高炉炉壁の損耗部分に40トン吹付けた。
【0043】
なお、本実験では、耐火組成物の粒度構成、添加水分量が本発明の範囲を外れた比較例や、配合分散剤量、吹付け気体圧力、ノズル先端から炉壁までの距離、水噴射によるクリーニングの有無、ノズルの内径、ホースの内径及び曲率半径、ガイド用パイプの有無についても表記した。また、耐火組成物等の粉体と水分を別々に搬送し、吹付け直前のノズル内で混合する乾式工法(下記表1、表2における従来)によっても、同様の実験を行って、本発明と比較した。
【0044】
その結果を下記表2に示すが、従来の乾式工法では、ホーストラブルはなかったものの、リバウンドロスが25%もあり、また、付着状態にもむらがあって、補修効果を維持できたのは5日間と短いものであった。また、耐火組成物の粒度構成、添加水分量が本発明の範囲を外れた比較例では、ホーストラブルがあって吹付けが行えなかったり、また、吹付けが行えたものも、補修効果は従来の乾式工法よりも若干長く15日間維持できたものの、リバウンドロスが26%もあり、また、付着状態にもむらがあった。
【0045】
これに対して、本発明方法によれば、いずれの請求項に対応するものも、リバウンドロスやホーストラブルは皆無であり、また、付着状態も良好で、30日間以上も補修効果を維持することができた。なお、本実施例では、請求項2及び請求項3に対応するものや、請求項4〜11の他の実施態様については示していないが、本発明者らの実験によれば同様の効果が得られたことは言うまでもない。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る高炉炉壁の熱間補修方法によれば、高炉の炉壁部分が損傷し、それにより「装入物棚つり」や「スリップ」、「ガス振り」等の影響が現れた場合に、高炉を一時的に休止し、炉壁耐火煉瓦の損傷部分に耐火物を熱間吹付け補修する場合に、
a.水と混合するタイミングが吹付けの直前であるため、均一に混合することが難しい。従って、吹付けた耐火物の気密性にむらが生じ、吹付けによる補修効果を維持できる期間が短くなる。
【0049】
b.水と混合するタイミングが吹付けの直前であるため、耐火物粒子の一部は吸湿しないまま炉内に散布され、それらの耐火物は壁に付着することなく炉内原料上に落下する。これらの耐火物は炉内で熱硬化し、炉内の還元ガス流を阻害するだけでなく、原料を巻き込んで炉壁に付着物のように固着し、「棚吊り」を起こして炉況悪化の原因となる場合がある。
【0050】
c.吸湿しないままの耐火物は炉内で粉塵となって舞い上がり、視野が悪化して吹付けたい場所に精度良く吹付けることができない上に、作業環境を著しく悪化させ、作業員の健康をも害する。
という、従来の乾式吹付け方法にあった問題点を改善することができる。
【0051】
また、本発明に係る高炉炉壁の熱間補修方法によれば、補修を行う場合の雰囲気温度が450K程度と高く、圧送ポンプより吹付けノズルまでのホース長さが10m以上と長いことに起因して、高炉炉壁に吹付ける前に耐火混練物が固着し、ホースの中あるいはノズル部分で固まって吹付けできなくなってしまうという、一般の湿式吹付け方法にあった問題点を解決することもできる。
Claims (11)
- 高炉を休風して炉内側の炉壁耐火物の損傷部分に耐火物を吹付け補修する方法において、最大粒径が5.0mm以下で、かつ、0.075mm以下の粒子を25%以上含有する粒度構成の耐火組成物に、耐火組成物に対して質量比で2〜15%の水と、耐火組成物に対して所定割合の分散剤を加えて予め均一に混練しておき、このスラリー状の不定形耐火物をノズルまで圧送した後、ノズル部において硬化促進剤を添加し、高圧の気体と共に吹付けることを特徴とする高炉炉壁の熱間補修方法。
- 耐火組成物と水、分散剤の混練を、予め混練しておくのに代えて、補修作業時に順次混練することを特徴とする請求項1記載の高炉炉壁の熱間補修方法。
- スラリー状の不定形耐火物に硬化促進剤を添加するのに代えて、高圧気体に硬化促進剤を添加することを特徴とする請求項1又は2記載の高炉炉壁の熱間補修方法。
- 耐火組成物に対する分散剤の添加量を、0.01〜2.0%としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の高炉炉壁の熱間補修方法。
- 高圧気体の圧力が600〜1200kPaであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の高炉炉壁の熱間補修方法。
- ノズル先端から炉壁の吹付け位置までの距離を500mm以上となすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の高炉炉壁の熱間補修方法。
- 内径が10mm以上のノズルを使用することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の高炉炉壁の熱間補修方法。
- 不定形耐火物をノズルまで圧送する配管又はホースとして、内径が40mm以上のものを使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の高炉炉壁の熱間補修方法。
- 不定形耐火物をノズルまで圧送する配管又はホースは、曲率半径が500mm以上のものを使用することを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の高炉炉壁の熱間補修方法。
- 不定形耐火物の吹付け前に、炉壁に水を噴射することを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の高炉炉壁の熱間補修方法。
- 冷却用の気体又は液体を通すことが可能で、かつ、鉄皮に対する埋め込み深さを変化可能なパイプを予め炉壁に埋設した高炉に適用することを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の高炉炉壁の熱間補修方法。
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