JP3583845B2 - 車両の施錠装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、バッテリー駆動の電動補助力付自転車に使用して好適な施錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
バッテリー駆動の電動補助力付自転車は公知であり、このバッテリーは車体フレームに対して着脱自在であり、車体フレームに設けられた施錠部材により施錠固定するようになっている。
【0003】
また、車体の一部と杭のような不動物等とをループ状に巻きつけ両端を結合して施錠する盗難防止用ワイヤーも公知である。このようなものの一例として実開昭61−187782号がある。これには、フロントフォークに設けた錠から出たロックバンドをループ状にして前輪のスポークを巻いた後、先端を錠に差し込んでキーでロックするようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、バッテリー駆動の電動補助力付自転車において、車体から離れるとき、バッテリーを施錠固定したまま車体側へ残しておく場合と、バッテリーを外して携帯する場合がある。
【0005】
したがって、バッテリーの施錠部材又はバッテリーを利用して盗難防止用ワイヤーなどの盗難防止用部材を取外し不能にできれば、この部材側に施錠部材を設けなくて済むので部品点数を少なくし、施錠装置の重量を軽減でき、コストダウンできる。
【0006】
さらに、比較的長尺で不使用時に邪魔になる盗難防止用ワイヤーを収納しておくための有利な構造も望まれる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1項に係る発明は、着脱自在の車体部品と、この車体部品を施錠固定するための施錠部材とを有する車両の施錠装置において、盗難防止用の施錠部材を、前記車体部品の施錠固定に用いる施錠部材を利用して車体へ施錠固定することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、車体部品の取外し状態では、前記盗難防止用の施錠部材が施錠されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1の発明において、施錠固定された車体部品を利用して前記盗難防止用の施錠部材を施錠することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1の発明において、前記車体部品が補助力付自転車のバッテリーであることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4の発明において、前記盗難防止用の施錠部材は盗難防止用ワイヤーで構成され、前記車体部品の施錠部材はバッテリーと係脱するロックピンを有し、ロックピンは解錠時に盗難防止用ワイヤーと係合状態で車体内部へ引き込まれ、盗難防止用ワイヤーを取り外し不能とすることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5の発明において、前記バッテリーを解錠して車体から持ち上げることにより前記盗難防止用ワイヤーを車体側へ係合し、その後バッテリーを再び施錠固定することにより盗難防止用ワイヤーの取外しを不能にしたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5の発明において、前記盗難防止用ワイヤーを車体フレームの中空部内へ収納可能としたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項7の発明において、前記盗難防止用ワイヤーの一端をシートポスト内へ通してシート下方に設けられたリールにて巻き取り可能としたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、バッテリー駆動の電動補助力付自転車の全体側面図であり、前輪1と後輪2を支持する車体フレームは、略V字状をなして互いに連通しているメインフレームパイプ3とシートポスト4を有し、シートポスト4にはシート5が支持されている。
【0016】
メインフレームパイプ3の前端に設けられたヘッドパイプ6にはフロントフォーク7が回動自在に支持され、フロントフォーク7の上端にハンドル8が取付けられている。
【0017】
フレームパイプ3とシートポスト4の連結部には、ペダルクランク9が設けられ、これと一体回転する主スプロケット10と後輪2側の従スプロケット11の間に巻きかけられたチエーン12で後輪2を駆動する。
【0018】
メインフレームパイプ3には主スプロケット10を補助駆動する電動モータ13が支持され、この電源となるバッテリー14がメインフレームパイプ3上へ着脱自在に取付けられ、施錠部材15で施錠固定される。
【0019】
施錠部材15には出入するロックピン16(図2)が設けられ、かつ施錠部材15の解錠時にバッテリー14を取り外し易くするために先端を押し上げてポップアップさせるリフトアーム17が設けられている。
【0020】
メインフレームパイプ3のヘッドパイプ6近傍には開口部18が設けられ、ここから盗難防止用ワイヤー20の一端部へ取り付けられた係止金具21が延出し、ロックピン16又はリフトアーム17によって係止可能になっている。
【0021】
盗難防止用ワイヤー20の他端側は、メインフレームパイプ3及びシートポスト4の内部空間へ入り、線状部材23を介して間接的に又は直接シート5の底部内に設けられたリール22へ取付けられ、盗難防止用ワイヤー20の不用部を常時リール22で巻き取り、係止金具21側の延出量を最小にしている。
【0022】
この例では線状部材23をリール22で巻き取るようになっており、線状部材23は、その一端に連結されたジョイントピース24を、ワイヤー20の一端部へボルト25及びナット26で取付けることにより、ワイヤー20と連結される。なお、この連結作業は、シートポスト4が、本体部分とその上部へ取付けられる伸縮部4aとからなる上下調節用に分割された部分を利用して行われる。
【0023】
図2は施錠部材15部分を拡大した図であり、施錠部材15はヘッドパイプ6とメインフレームパイプ3の間に設けられたロックブラケット30に取付けられており、キーをキー穴へ差し込んで、「入」、「切」、「着脱」の各位置へ回すことができる。
【0024】
キーの「入」、「切」位置では、ロックピン16が突出してバッテリー14前面の係止穴31へ嵌合したバッテリー14の施錠固定状態であり、「入」で電源をオンし、「切」でオフする。
【0025】
キーの「着脱」位置では、ロックピン16が係止穴31から出てさらにロックブラケット30内へ後退し、バッテリー14を着脱自在にする。
【0026】
ロックピン16の先端には、図4に示すように、L字断面の係止溝32が形成され、ここに係止金具21の先端に形成されたL字部33が係合可能になっている。
【0027】
係止溝32は、キーが「着脱」位置のとき、L字部33を係合したままの状態でロックブラケット30内へ後退可能であり、かつこの状態ではL字部33を係止溝32から取外し不能になる。
【0028】
リフトアーム17は図5に示すように略コ字状をなし、図2に明らかなように、基部34のピン35がロックブラケット30に形成された長穴36へ摺動自在に嵌合し、スプリング37により後方(本図において右方)へ引っ張られている。
【0029】
スプリング37は、基部34の端部に設けられた係合突起38と車体側との間に張られた引っ張りコイルスプリングであり、バッテリー14を外すときはリフトアーム17を後方へ引き出すとともにピン35を支点として先端側を起立回動(図の反時計回り方向)させる。
【0030】
このとき、リフトアーム17の先端部40はバッテリー14の前端底部に設けられた係合段部41に当接し、ここをスプリング37の弾力で押し上げるので、バッテリー14の先端を持ち上げるポップアップ動作をする。
【0031】
逆に、バッテリー14の装着時では、後端をメインパイプ3の後端部に設けられているソケット39へ嵌合し、この嵌合部を支点にして前端側を押し下げると、係合段部41がリフトアーム17の先端部40を時計回り方向へ回動させて押し下げながら、スプリング37に抗してピン35を長穴36内で前進させることにより前方へ押し込み、図3に示すようにリフトアーム17を略水平に寝た倒伏状態にする。
【0032】
図2に明らかなように、ロックブラケット30から後方へ延びる張り出し壁42を設け、ここに係止金具21を出入り自在な大きさの開口部43を設ける。
【0033】
この部分の横断面である図5に示すように、リフトアーム17のリフト時には、係止金具21が開口部43から内側へ出入自在である。
【0034】
一方、図6に示すリフトアーム17の倒伏状態では、開口部43からロックブラケット30内へ挿入された係止金具21のL字部33が倒伏したリフトアーム17の内側へ係合し、取外し不能になる。
【0035】
なお、図5中の符号44はフレームカバーであり、このフレームカバー44の開口部43(図2参照)と対応する位置にも開口部45が形成されている。
【0036】
次に、盗難防止用ワイヤー20を用いた施錠固定の方法を説明する。まず、バッテリー14を取外しした状態では、図2に示すように、施錠部材15をキー操作で「着脱」位置から「入」又は「切」位置へ回し、ロックピン16をロックブラケット30から突出させる。
【0037】
すると、図4に明らかなように、係止溝32がロックブラケット30の内部から現れるので、これに係止金具21のL字部33を係合し、再びキーで施錠部材15を「着脱」位置へ回せば、ロックピン16がL字部33を係止溝32へ係合したままロックブラケット30内へ後退し、係止部材21は施錠固定されて取外し不能になる。
【0038】
したがって、再び施錠部材15をキー操作しない限り盗難防止用ワイヤー20を解錠できず、その結果、施錠部材15を盗難防止用ワイヤー20の施錠部材として利用できる。
【0039】
このため、盗難防止用ワイヤー20側に施錠部材を設けることを省略できので、盗難防止用施錠装置の構造を簡単にし、かつ部品点数を少なくし、重量を軽減できるとともにコストダウンできる。
【0040】
次に、バッテリー14の装着状態では、バッテリー14の施錠固定に先立ち、バッテリー14が持ち上がった状態で、図5に示すように予め係止金具21を開口部45へ挿入し、さらに開口部43(図2参照)からリフトアーム17の内側ヘ挿入する。
【0041】
この状態でバッテリー14を施錠固定すると、図6に示すようにリフトアーム17が倒伏して係止金具21のL字部33と係合し、以後、施錠部材15をキー操作してバッテリー14を解錠してポップアップさせるまで係止金具21の抜き出しが不能になる。
【0042】
ゆえに、この場合もロックピン16を利用した時と同様の効果が得られるとともに、ロックピン16とリフトアーム17による施錠固定を併用すれば、バッテリー14の着脱いずれの状態でも盗難防止用ワイヤー20の施錠固定が可能になる。
【0043】
但し、ロックピン16又はリフトアーム17による施錠固定をいずれか単独で用いることは当然に可能である。
【0044】
さらに、盗難防止用ワイヤー20による施錠固定時には、係止金具21側を引っ張ることにより、メインパイプ3及びシートポスト4内からリール22に巻き取られている盗難防止用ワイヤー20を必要量引き出すことができる。
【0045】
解錠時には、自動的にリール22により不要部分を巻き取ってメインパイプ3及びシートポスト4内へ収納するので、外観を良好にし、不使用時の取り扱いに困ることが多い盗難防止用ワイヤー20の携帯を容易にする。
【0046】
しかも、盗難防止用ワイヤー20のうちリール22側に近い部分は外部へ出ることがなく、それ程強度を要求されないので、この部分に細くて軽量かつ安価な別の線状部材23を使用できる。
【0047】
なお、本願発明は、上記の形態に限定されず種々変形可能であり、対象となる車両は補助力付自転車に限定されず、一般的な自転車や自動2輪車等でも可能である。
【0048】
さらに、車体部品はバッテリーに限らず、施錠部材により着脱自在になる部品であればよい。
【0049】
また、車体部品の取付けを利用する盗難防止用ワイヤー20の施錠固定は、リフトアーム17によらず、車体部品自体と車体側との間で盗難防止用ワイヤー20を係合させることもできる。
【0050】
【発明の効果】
請求項1の発明は、盗難防止用の施錠部材を車体部品を施錠固定するための施錠部材を利用して車体へ施錠固定するので、施錠装置の構造を簡単にし、かつ部品点数を少なくし、重量を軽減できるとともにコストダウンできる。
【0051】
請求項2の発明は、請求項1において、車体部品の取外し状態では、盗難防止用の施錠部材が施錠固定するので、車体部品に対する不使用時の施錠を有効にできる。
【0052】
請求項3の発明は、請求項1において、施錠固定された車体部品を利用して盗難防止用の施錠部材を施錠するので、車体部品を有効に利用できる。
【0053】
請求項4の発明は、請求項1における車体部品を電動補助力付自転車のバッテリーとしたので、電動補助力付自転車における有利な施錠装置が得られる。
【0054】
請求項5の発明は、請求項4において、施錠部材がバッテリーと係脱するロックピンを有し、ロックピンは解錠時に盗難防止用ワイヤーと係合状態で車体内部へ引き込まれ、盗難防止用ワイヤーを取り外し不能とするので、バッテリーのロックピンを有効に活用できる。
【0055】
請求項6の発明は、請求項5において、車体部品が補助力付自転車のバッテリーであり、このバッテリーを解錠して車体から持ち上げることにより盗難防止用ワイヤーを車体側へ係合し、その後バッテリーを再び施錠固定することにより盗難防止用ワイヤーの取外しを不能にしたので、バッテリー自体を施錠のために有効利用できる。
【0056】
請求項7の発明は、請求項5において、盗難防止用ワイヤーを車体フレームの中空部内へ収納可能としたので、解錠時には外観を良好にし、不使用時の取り扱いを容易にする。
【0057】
請求項8の発明は、盗難防止用ワイヤーの一端をシートポスト内へ通してシート下方に設けられたリールにて巻き取り可能としたので、解錠時には盗難防止用ワイヤーの大部分を自動的に車体フレーム内へ収納でき極めて便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】補助力付自転車の全体側面図
【図2】施錠部材部分の拡大側面図(解錠時)
【図3】同上(施錠固定時)
【図4】施錠部材による盗難防止用ワイヤーの施錠固定を示す図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】図3の6−6線断面図
【符号の説明】
3:メインパイプ、4:シートポスト、5:シート、12:チエーン、13:電動モータ、14:バッテリー、15:施錠部材、16:ロックピン、17:リフトアーム、20:盗難防止用ワイヤー、21:係止金具
Claims (8)
- 着脱自在の車体部品と、この車体部品を施錠固定するための施錠部材とを有する車両の施錠装置において、盗難防止用の施錠部材を、前記車体部品の施錠固定に用いる施錠部材を利用して車体へ施錠固定することを特徴とする車両の施錠装置。
- 車体部品の取外し状態では、前記盗難防止用の施錠部材が施錠されることを特徴とする請求項1記載の車両の施錠装置。
- 施錠固定された車体部品を利用して前記盗難防止用の施錠部材を施錠することを特徴とする請求項1記載の車両の施錠装置。
- 前記車体部品が補助力付自転車のバッテリーであることを特徴とする請求項1記載の車両の施錠装置。
- 前記盗難防止用の施錠部材は盗難防止用ワイヤーで構成され、前記車体部品の施錠部材はバッテリーと係脱するロックピンを有し、ロックピンは解錠時に盗難防止用ワイヤーと係合状態で車体内部へ引き込まれ、盗難防止用ワイヤーを取り外し不能とすることを特徴とする請求項4記載の車両の施錠装置。
- 前記バッテリーを解錠して車体から持ち上げることにより前記盗難防止用ワイヤーを車体側へ係合し、その後バッテリーを再び施錠固定することにより盗難防止用ワイヤーの取外しを不能にしたことを特徴とする請求項5記載の車両の施錠装置。
- 前記盗難防止用ワイヤーを車体フレームの中空部内へ収納可能としたことを特徴とする請求項5記載の車両の施錠装置。
- 前記盗難防止用ワイヤーの一端をシートポスト内へ通してシート下方に設けられたリールにて巻き取り可能としたことを特徴とする請求項7記載の車両の施錠装置。
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