JP3583455B2 - 回路板の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は高密度なスルーホールメツキ回路板を再現性良く、高い生産性で製造し得るスルーホールメツキ回路板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高密度多層積層用配線板製造において要求される高いアライメント精度が容易に得られること、少量で多品種の高密度配線板を生産性良く製造できることなどの利点から、近年、CADデータで制御され且つ形成するパターン形状に応じて高速で点滅するラスターモードのアルゴンイオンレーザー等のレーザービームを銅張り積層板等の上に塗布されたレジストに照射したり(レーザー直描法)、また投影型液晶プロジエクターを介して活性光線を銅張り積層基板上に照射する等のフオトマスクを用いずに活性光線をパターン状に露光する方法によるプリント配線板の製造方法が注目されている。
【0003】
これらの製造方法に使用し得るレジストとして、特開昭61−233736号公報及び特開昭62−31848号公報には、アルゴンイオンレーザー等のレーザー光を使用し得るものが開示されており、また、特開平3−223759号公報には、感光性が高く特に上記製造方法に適したレジスト組成物が本発明者等によつて開示されている。
【0004】
しかし、これらのレジストは単に銅張り積層基板上に塗布するだけではスルーホールメツキを有する配線基板に導体回路を形成することはできない。本発明者等は既に特開平3−179064号公報、特開平3−223759号公報等において、電着塗装によりスルーホール内壁のメツキ部にも塗布可能なアルゴンイオンレーザー等で硬化し得る上記製造方法に適したレジストを提案している。しかし、レーザービームによる方法では、レーザービームでスルーホール内壁に塗布されたレジストを充分に照射し、硬化させることは極めて困難であり、信頼性の高いスルーホールの形成は実際上行なえない。
【0005】
一方、液晶プロジエクターを介して活性光線を照射する場合には、活性光線を散乱光として照射したり、光源をスキヤニングさせる等の方法でスルーホール内を露光することが可能であるが、これらの方法によつても、0.3mmΦ以下のような微細なスルーホール内部のレジストを完全に照射し、必要な程度まで硬化させることは困難である。また、そのような照射法では、照射光の平行性が損なわれ、スルーホール内部の露光のために銅箔上のレジストに対する露光が過剰になり、パターンの解像性が低下する。それ故に、これらの方法では一般に、信頼性の高い、スルーホールを有する高密度回路板を製造することはできない。
【0006】
このような問題を解決する方法として、特開平3−175691号公報には、スルーホールを予め穴埋めインクで保護した後にレジストを塗布し、直接描画法で配線パターンを形成する方法が提案されている。しかし、穴埋めインクを用いる方法は、特開昭63−25998号公報等で指摘されているように、問題点が多く高密度回路板の製造方法としては好ましくない。
【0007】
穴埋めインクを用いる方法の欠点を回避する方法として、特開昭63−25998号公報には、スルーホールメツキ基板の両面及びスルーホール内の全面に電着塗装によつて電着塗装樹脂層を形成したのち、上記基板の両面上の電着塗装樹脂層のみを除去し、次いで上記基板の両面上に、得ようとするパターンのレジスト被膜層を形成した後、該レジスト被膜層の形成されていない箇所の導電性金属層及びその上のメツキ層をエツチングにより除去し、次いで上記レジスト被膜層及びスルーホール内の電着樹脂層を除去するスルーホールメツキ配線板の製造方法が提案されている。
【0008】
しかし、この方法においてもスルーホール部以外に電着塗装された樹脂層を研磨などの方法で除去せねばならず、穴埋めインク法の欠点、すなわち、研磨時の樹脂粉末による作業環境の劣化等は依然として解決されていない。
【0009】
また、特開昭63−25998号公報には、スルーホール部以外の電着塗装膜を除去する方法として、バフ、ペーパー研磨などの方法が記載されているが、バフ、ペーパー研磨などで直径300μm以下のような微細なスルーホール周辺の樹脂被膜をスルーホールコーナーの樹脂被膜を傷つけずに完全に除去するには、細心の注意が必要であり除去に長時間を要する。しかも樹脂被膜を除去する際に発生する樹脂粉末が微量でも基板上に残ると、断線や短絡などの回路欠陥を生じるため特に高密度配線板製造時に歩留まりが低下するなどの問題がある。
【0010】
さらに、特開昭63−224393号公報には、スルーホールメツキ基板の両面に得ようとする回路パターンの逆パターンの被膜層を形成し、ついで、上記スルーホールの孔壁部及び上記基板の両面の上記レジスト被膜層の形成されていない部分に、電着塗装によつて電着塗装樹脂層を形成した後、該電着塗装樹脂層を加熱処理し、次いで上記レジスト被膜層のみを除去した後、このレジスト被膜層の除去によつて露出したメツキ層及び導電性金属層をエツチング除去し、そして電着塗装樹脂層を除去するスルーホールメツキ配線板の製造方法が提案されている。
【0011】
該提案の方法によれば、穴埋めインクの欠点は回避され、特開昭63−25998号公報に記載の方法のように電着塗装された樹脂層を除去する必要もなくなるが、しかし、電着塗装樹脂層を形成した後逆パターンを形成させたレジスト層を選択的に除去する必要がある。この選択的除去は回路パターンが高密度になり、パターン線幅が狭くまたパターン間の間隔が狭くなると、完全に行なうことは往々にして困難となり、不良の発生原因となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、直接描画法により高い生産性で信頼性の高い高密度のスルーホール配線板を製造することのできる方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、スルーホール配線板の製造における上記した如き問題点を解決するために鋭意検討した結果、スルーホールメツキ配線基板の両面に感光性レジスト被膜を形成し、レジスト被膜を直接描画法によりパターン露光した後、スルーホールの孔壁部に電着被膜を形成するようにすると、従来技術の欠点であるスルーホール内部以外の電着被膜を除去する工程や、逆パターンレジスト樹脂層を選択的に除去する工程が不要となり、従来技術の欠点が完全に解決され、直接描画法により高密度のスルーホール配線板を極めて高い生産性と信頼性をもつて製造することができることを見出し、本発明を完成するに至つた。
【0014】
すなわち、本発明は、
(1) 両面に導電層を有する基板に孔加工を施してスルーホールを形成し、少くとも該スルーホールの孔壁部にメツキを施す工程、
(2) 基板の両面にネガ型の感光性レジスト被膜を形成する工程、
(3) 該レジスト被膜上に活性光線を直接描画法により得ようとするパターン状に照射する工程、
(4) 現像液及びエツチング液には溶解せず、剥離液で除去可能な被膜を形成する電着塗料を電着法によりスルーホールの孔壁部に塗布する工程、
(5) 適当な現像液で現像し、ネガ型感光性レジスト被膜の未露光部分を除去する工程、
(6) 露出したメツキ層及び導電層をエツチングにより除去する工程、及び
(7) 適当な剥離液により残存する感光性レジスト被膜及びスルーホール内の電着被膜を同時に或いは別々に剥離する工程
よりなることを特徴とする回路板の製造方法(以下、本発明の第1の態様という)、並びに
(1) 両面に導入層を有する基板に孔加工を施してスルーホールを形成し、少くとも該スルーホールの孔壁部にメツキを施す工程、
(2) 基板の両面にポジ型の感光性レジスト被膜を形成する工程、
(3) 該レジスト被膜上に活性光線を直接描画法により得ようとするパターンの逆パターン状に照射する工程、
(4) 現像液及びエツチング液には溶解せず、剥離液で除去可能な被膜を形成する電着塗料を電着法によりスルーホールの孔壁部に塗布する工程、
(5) 適当な現像液で現像し、ポジ型感光性レジスト被膜の露光部分を除去する工程、
(6) 露出したメツキ層及び導電層をエツチングにより除去する工程、及び
(7) 適当な剥離液により残存する感光性レジスト被膜及びスルーホール内の電着被膜を同時に、或いは別々に剥離する工程
よりなることを特徴とする回路板の製造方法(以下、本発明の第2の態様という)を提供するものである。
【0015】
以下、本発明のスルーホールメツキ配線板の製造方法について詳述する。
【0016】
工程(1):
本発明において出発材料として使用される両面に導電層を有する基板には、例えば、ガラス−エポキシ複合材、セラミツクなどの有機又は無機の絶縁性材料の両面に、所定の厚さの導電性材料、例えば銅箔、アルミニウム箔などを貼りつけることによつて形成される、銅貼積層基板、アルミニウム箔積層基板などが挙げられる。
【0017】
本工程では、まず、設計された回路図に従つて、上記の如き基板に所定の大きさ及び数の孔を穿つ、すなわちスルーホールを形成する。この孔加工は通常行なわれているように、ドリル加工、レーザー加工、プレス加工などにより行なうことができる。
【0018】
このように孔加工された基板には次いでメツキ処理が施される。このメツキ処理は、通常の方法、例えば無電解メツキ法、電解メツキ法等の方法により、基板の少なくともスルーホールの孔壁部に銅、ニツケルなどの導電性材料のメツキが形成されるようにして実施する。
【0019】
工程(2):
本発明の第1の態様においては、工程(1)で得られる該基板上に、活性光線照射により硬化して不溶化するネガ型の感光性レジストを、例えば、スピンコーター、スプレー、ロールコーター、カーテンフローコーター等それ自体既知の方法で塗布した後、通常150℃以下、好ましくは120℃以下の温度で1〜30分程度加熱することにより、レジスト被膜を形成する。
【0020】
本発明の第1の態様においてレジスト被膜の形成に使用されるネガ型の感光性レジストとしては、例えば、重合性不飽和基を側鎖又は主鎖に含有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂等の光照射により架橋もしくは重合しうる不飽和樹脂に、一般に揮発性溶剤及び/又は分子中に1個以上の重合性不飽和基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸エステル類)を加え、さらに光重合開始剤(例えば、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等)、前記した不飽和樹脂以外の飽和樹脂、必要に応じて流動性調節剤、体質顔料、着色顔料、染料等の添加剤を加えた液状感光性組成物が挙げられる。活性光線として可視光レーザー等の可視光を用いる場合には、光重合開始剤として、チタノセン化合物等の可視光重合開始剤や、可視光重合開始剤とクマリン誘導体等の増感剤との組合せ等が用いられる(特開平3−223759号公報参照)。
【0021】
また、本発明の第2の態様においては、工程(1)で得られる該基板の導電層上に、活性光線照射により露光部が現像液で可溶化するポジ型の感光性レジストの被膜を上記本発明の第1の態様におけると同様の方法で形成する。
【0022】
本発明の第2の態様においてレジスト被膜の形成に使用されるポジ型の感光性レジストとしては、例えば、キノンジアジド系液状ポジ型感光性レジスト(例えば特開昭50−6401号公報、特開昭50−139692号公報等参照)、あるいはカルボキシル基含有重合体、多ビニルエーテル化合物及び活性光線照射で酸を発生する化合物からなるレジストで、そのレジスト塗膜を一旦加熱してカルボキシル基とビニルエーテル基を架橋して塗膜を不溶化し、次いで活性光線を照射して照射部分に酸を発生させ、架橋構造を切断して照射部分を現像液に可溶性にすることによりパターンを形成するポジ型感光性レジスト等が挙げられる(例えば特願平5−105905号明細書参照)。
【0023】
レジスト被膜の形成は、用いる塗布装置の特性に従い、両面同時に行なつてもよく、或いは片面ずつ塗布、加熱を繰り返して行なつてもよい。
【0024】
形成されるレジスト被膜の膜厚は厳密に制限されるものではなく、製造される回路板の用途等に応じて変えることができるが、膜厚があまり薄いとエツチング時に膜の損傷が生じて断線などの不良が生じやすく、また、厚すぎると解像力が低下するので、一般には約3〜約50μmの範囲内が適当である。
【0025】
さらに、本発明の第1の態様においては、レジスト被膜を空気中の酸素から遮断して感光性を高める等の目的で、形成されたレジスト被膜上に、水及び/又は現像液に可溶性で酸素遮断性に優れた樹脂被膜、例えばポリビニルアルコール、部分ケン化ポリ酢酸ビニル等の被膜を設けることができる。かかる樹脂被膜の膜厚は、特に制限されないが、あまり薄いと酸素遮断効果が充分に発揮されず、逆に厚すぎると現像速度が遅くなるので、通常1〜10μm程度が好ましい。
【0026】
工程(3):
本工程は、前工程(2)で形成した基板のレジスト被膜上にパターン露光を行なう工程である。このパターン露光は、直接描画法により、本発明の第1の態様では得ようとするパターン状に活性光線を照射することにより、また、本発明の第2の態様では得ようとするパターンの逆パターン状に活性光線を照射することにより行なう。
【0027】
しかして、該活性光線の照射は、例えば、CADデータで制御され且つ形成するパターン形状に応じて高速で点滅するラスターモードのアルゴンイオンレーザー等のレーザービームや投影型液晶プロジエクター等を用いる、所謂「フオトマスクレス法」(フオトマスクを用いずにパターン露光する方法)により行なうことができる。
【0028】
上記露光に使用する活性光線は、用いる感光性レジストの特性に応じて、可視光線、紫外光線等から選択され、レーザービームを用いる場合には、安定した高出力のビームが得られ易いアルゴンイオンレーザーが好適である。
【0029】
工程(4):
本工程では、工程(3)で得られる露光済の基板のスルーホールの孔壁部のレジストで被覆されていない部分に、現像液及びエツチング液に溶解せず、剥離液で除去可能な電着被膜を形成する。
【0030】
この電着被膜の形成は、かかる特性をもつ被膜を形成しうる電着塗料を電着法によつて塗布することにより行うことができる。例えば通常の方法に従い、露光済の基板を電着塗料浴に浸漬し、該基板を一方の電極とし対電極との間に直流電源をつなぎ、所定の条件下に通電した後、該基板を浴から取り出し水洗等の後処理を行ない、さらに必要に応じて、例えば約150℃以下、好ましくは約120℃以下の温度で約1〜約30分間加熱乾燥することにより、電着被膜を形成することができる。
【0031】
電着塗装は、スルーホール内の孔壁部が完全に被覆される条件であれば特に制限はないが、一般に該基板と対極の間に7〜300V、好ましくは15〜200Vの直流電圧を約5〜約300秒、好ましくは約10〜250秒印加することにより行なうのが適当である。
【0032】
電着塗料としては、現像液及びエツチング液に溶解せず、剥離液で除去可能な被膜を形成するものであれば特に制限はなく、熱硬化性のものでも熱可塑性のものでも使用することができる。
【0033】
熱硬化性の電着塗料としては、例えば、分子中に中和により水溶性乃至水分散性となる、イオン形成基及び硬化性基もしくは架橋性基又は架橋剤と反応し得る官能基を含有する樹脂を主体とする組成物を中和し水溶液乃至は水分散液としたもの;該樹脂と架橋剤の混合物を主体とする組成物を中和し水溶液乃至水分散液としたもの等が挙げられる。
【0034】
使用しうる樹脂の骨格には特に制限はなく、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、ポリブタジエン、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等を骨格とする樹脂を使用することができる。
【0035】
該樹脂骨格に導入しうるイオン形成基はアニオン性のもの及びカチオン性のもののいずれのタイプのものであつてもよく、アニオン性のものとしては、例えば、カルボキシル基、スルフオン酸基、燐酸基等が挙げられ、中でもカルボキシル基が最も好ましい。
【0036】
これらアニオン性基の樹脂骨格への導入方法としては、例えば、アルキド樹脂やポリエステル樹脂の場合には、ポリオールに対する多塩基酸のモル数を調整して生成する樹脂中に所望の量のカルボキシル残基を導入する方法や、アルキド樹脂やポリエステル樹脂を合成後残余の水酸基の一部又は全部を多塩基酸の無水物で半エステル化する方法など;アクリル樹脂の場合には、アクリル酸やメタクリル酸のような酸基を有する重合性モノマーを共重合する方法など;エポキシ樹脂の場合には、エポキシ基と酸等を反応させて生じた水酸基の一部又は全部を前述した方法で多塩基酸の無水物と反応させる方法など;ポリブタジエンの場合には、無水マレイン酸等を付加する方法など、それ自体既知の方法を適用することができる。樹脂中に存在する酸無水物はアルコールと半エステル化反応させるか又は水の存在下にアミンと反応させる等それ自体既知の方法で酸又はその塩に転化することができる。
【0037】
また、樹脂骨格に導入しうる硬化性基としては、それ自体既知のもの、例えば、熱重合性不飽和基、エポキシ基、熱解離性保護基で封鎖されたイソシアネート基等が挙げられる。
【0038】
これらの硬化性基の樹脂骨格への導入法には特に制限はなくそれ自体既知の方法を利用することができる。例えば、熱重合性不飽和基は、アルキド樹脂の場合には、その合成時に変成剤として乾性油、半乾性油またはそれらの脂肪酸を使用することにより;ポリエステル樹脂やアクリル樹脂等の如き酸又は酸無水物を有する樹脂の場合には、アリールグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等との反応により;ポリエステル樹脂や水酸基を有する重合性モノマーを共重合したアクリル樹脂など水酸基を有する樹脂の場合には、トリレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートのようなジイソシアネートとアリールアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する重合性化合物の等モル付加物との反応、または水酸基とクロルエチルビニルエーテルなどのアルキルハライドのビニルエーテル化物との反応により導入することができる。また、エポキシ基は、水酸基を有する前述の如き樹脂とエピクロルヒドリンとの反応などにより導入することができる。
【0039】
熱解離性保護基で封鎖されたイソシアネート基は、水酸基を含有する前述の樹脂などとアルコールやオキシム等熱解離性保護基で部分封鎖されたポリイソシアネートとの反応により;または下記式(I)のモノマーを共重合したアクリル樹脂をアルコールやオキシムと反応させてイソシアネート基を封鎖するかまたは下記式(I)のモノマーを同様にして封鎖してから共重合するなどの方法により導入することができる。
【0040】
【化1】
【0041】
一方、イオン形成基としてカチオン性のものとしてはアミノ基が挙げられる。
これらの基の導入方法としては、例えば、アルキド樹脂やポリエステル樹脂の場合には、アルコール成分としてジエタノールアミンやトリエタノールアミン等のアルカノールアミンを使用する方法など;アクリル樹脂の場合には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を含有する重合性モノマーを共重合する方法;グリシジル(メタ)アクリレート等の共重合により導入したエポキシ基の一部又は全部に第1又は第2アミンを反応させる方法;アミンの代わりに不飽和酸との反応により導入した不飽和基の一部又は全部に第1又は第2アミンを反応させる方法など;エポキシ樹脂の場合には、エポキシ基を有するアクリル樹脂の場合と同様にする方法など、それ自体既知の方法を使用することができる。
【0042】
かかるアミノ基が導入された樹脂への架橋性基の導入は、前述した如き重合性基を含有するエポキシ化合物を樹脂中のアミノ基と反応させる方法;アルキルハライドのビニルエーテル化物やエピクロルヒドリン等を樹脂中の水酸基やアミノ基と反応させる方法;熱解離性保護基で部分的に封鎖されたポリイソシアネートとアミノ基または水酸基と反応させる方法;熱解離性保護基で封鎖された前記式(I)の化合物を共重合する方法などそれ自体既知の方法で行なうことができる。
【0043】
さらに、使用しうる架橋剤としては、前述の如き樹脂と相互に反応して架橋を形成するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエポキシ化合物、熱解離性の保護基で封鎖されたポリイソシアネート、アミノ樹脂、ポリオール化合物、多官能性重合性不飽和化合物などそれ自体既知の架橋剤を架橋すべき樹脂中の官能基の種類に応じて適宜選択して用いることができる。
【0044】
上記樹脂の架橋反応を促進するために、熱ラジカル発生剤;金属塩;錫、亜鉛等を含む有機金属化合物;プロトン酸、ルイス酸などの酸;熱解離性保護基で保護されたそれらの酸等それ自体既知の触媒を組成物中に添加してもよい。
【0045】
熱可塑性の電着塗料としては、熱硬化性の電着塗料の場合について述べたと同様な樹脂骨格にイオン形成基が導入された自己架橋性の官能基を含有しない樹脂を主体とするものを使用することができる。
【0046】
以上に述べた熱硬化性または熱可塑性の電着塗料を用いて形成される被膜は、現像時及びエツチング時に被膜がそれらの液に溶解せず、剥離液で除去される必要があるが、使用されるレジストの種類により、現像液及びエツチング液、またそれらが使用される条件が異なるために、上記条件を満たす塗料組成物は個々の感光性レジストとの組み合わせにより適宜選択する必要がある。
【0047】
また、使用しうる電着塗料の別の好適な例として、ポジ型感光性電着レジストを挙げることができる(特開平3−43470号公報参照)。
【0048】
これらのレジスト樹脂は単独でまたは必要に応じて架橋剤と混合し、中和して水溶液または水分散液として本発明に用いる電着塗料とすることができる。ここで中和剤としては樹脂がアニオン性のイオン形成基を含有する場合には、有機アミン、無機アルカリ等を用いることができ、カチオン性の場合には、有機酸、無機酸等を使用することができる。中和の程度は組成物の特性により一概には言えないが、一般には、イオン形成基1モル当り0.1〜1.0当量好ましくは0.3〜1.0当量の範囲内とすることができる。
【0049】
本発明に用いる電着塗料組成物には、電着塗装性、被膜の流展性等を調節するための溶剤、添加剤、被膜の除去速度の調整、視認性のための染料、顔料などを添加してもよい。
【0050】
これらの電着塗料は、感光性レジストの現像にアルカリ性の液が使用される場合には、アニオン性のものを使用し、また現像液が酸性の場合には、カチオン性のものを使用し、そして非イオン性の有機溶剤が使用される場合には、何れかの型のものを適宜選択して使用する。
【0051】
工程(5):
電着塗装によりスルーホール内の孔壁部に被膜を形成した基板は、次いで現像を行ない、ネガ型感光性レジスト被膜の場合には未露光部分を除去し、そしてポジ型感光性レジスト被膜の場合には露光部分を除去することにより、配線パターンを形成する。現像液としては、感光性レジストの特性に応じてアルカリ性のもの、酸性のもの、有機溶剤を適宜選択使用することができる。
【0052】
工程(6):
上記現像処理により露出した基板上のメツキ層及び導電層をエツチングにより除去する。
【0053】
このエツチングには、メツキ層及び導電層の金属の種類に応じてそれ自体既知の方法で行なうことができる。例えば、金属が銅である場合には、塩化第二銅、塩化第二鉄を主成分とする酸性エツチング液;アンモニア等を主成分とするアルカリ性エツチング液等のエツチング液を用いて除去することができる。
【0054】
工程(7):
最後に、基板上に残存するレジスト被膜及びスルーホール内の電着被膜を剥離する。レジスト被膜及び電着被膜の剥離は同時に行なつてもよく或いは別々に行なつてもよい。
【0055】
この剥離は、一般に、アルカリ現像型のレジストを使用した場合は、アルカリ性剥離剤または剥離溶剤を用いて行ない、酸現像型レジストを使用した場合には、酸性剥離剤または剥離溶剤を用いて行ない、そして溶剤現像型レジストを使用した場合には、剥離溶剤を用いて行なうことができる。この場合、残存するレジスト被膜の剥離とスルーホール内の被膜の剥離は同じ剥離剤を用いて行なつてもよく、或いはそれぞれ異なる剥離剤を用いて個々に行なうこともできる。
【0056】
かくして、本発明の方法により、スルーホールメツキ基板上にプリント回路を形成せしめることができる。
【0057】
以上に詳述した本発明の方法は、スルーホールを有するプリント回路板の製造に最適であり、スルーホールメツキ配線基板の導電層上に感光性レジスト被膜を形成し、レジスト被膜を直接描画法によりパターン露光した後、スルーホール内に電着被膜を形成するため、従来のスルーホール内電着塗装法にくらべて、スルーホール内部以外の電着被膜を除去する工程や、逆パターンレジスト樹脂層を選択的に除去する工程が不要になるという利点がある。そのため、本発明の方法によれば、直径300μm以下のような微細なスルーホールを有する高密度のスルーホール配線板を直接描画法により極めて高い生産性と信頼性をもつて製造することができる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお「部」及び「%」は重量基準である。
【0059】
合成例1
無水フタル酸 1480部
トリメチロールプロパン 1608部
アマニ油脂肪酸 2300部
を撹はん器、脱水装置、温度計を備えたフラスコに仕込み窒素気流下で230℃、5時間脱水縮合を行なつた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリツト酸384部を加え、180℃で45分加熱後150℃まで冷却し、エチレングリコールモノブチルエーテルで固形分80%に希釈した。
【0060】
得られた樹脂の酸価は39、水酸基含量は1.0モル/kg樹脂であつた。
【0061】
合成例2
スチレン 364部
n−ブチルメタアクリレート 300部
メチルメタアクリレート 160部
アクリル酸 72部
2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 104部
アゾビスイソブチロニトリル 10部
の混合物を滴下ロートに入れ100℃に加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテル/イソプロパノール=50/50(重量比)混合溶剤450部を入れた撹はん器、還流コンデンサー、温度計を備えたフラスコ中に窒素ガスを吹き込みつつ3時間を要して滴下し、更に1時間100℃に保つた後、上記混合溶剤50部にアゾビスイソブチロニトリル1部を溶解した液を1時間を要して滴下し、さらに100℃で2時間保つた後冷却し、固形分66%の樹脂溶液を得た。
【0062】
樹脂の酸価は56、水酸基含量は0.8モル/kg樹脂、ガラス転移温度(Tg点)は68℃であつた。
【0063】
合成例3
スチレン 350部
n−ブチルメタアクリレート 290部
メチルメタアクリレート 150部
N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート 94部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 116部
ベンゾイルパーオキシド 20部
の組成物を合成例2と同様にして重合(追加の触媒はアゾビスイソブチロニトリルの代わりにベンゾイルパーオキシドを使用した)し固形分66%の樹脂溶液を得た。
【0064】
樹脂のアミン価は34、水酸基含量は1.0モル/kg樹脂、ガラス転移温度(Tg点)は40℃であつた。
【0065】
合成例4
4つ口フラスコにオルトナフトキノンジアジドスルホン酸クロライド269部、ジオキサン1345部を入れ、室温で撹拌しながら、N−メチルエタノールアミン150部を1時間で滴下した。滴下終了後、約3時間撹拌を継続し、IRスペクトルの3300cm−1付近のアミノ基の吸収が無くなるのを確認した後、反応を終了した。次にこの溶液を脱イオン水中に入れ、反応中発生した塩酸をトラツプした4級アミンを除去した。次いで酢酸イソブチルで生成物を抽出した後、溶媒を留去し、減圧乾燥器に入れ乾燥し、水酸基含有オルトキノンジアジド化合物を得た。
【0066】
次に、4つ口フラスコにジエチレングリコールジメチルエーテル290部を入れ、撹拌しながら、110℃に昇温した後、n−ブチルメタアクリレート202部、アクリル酸32部、m−イソプロペニル−α,αジメチルベンジルイソシアネート92部、アゾビスブチロバレロニトリル20部の混合溶液を3時間かけて滴下し、1時間保つた後、メチルイソブチルケトン14部、アゾビスブチロバレロニトリル3部の混合溶液を1時間かけて滴下し、さらに5時間保つた。その後、50℃に温度を下げ、上記水酸基含有オルトキノンジアジド化合物を142部、ジブチルチンジアセテート4.6部を添加し、3時間保つた後、赤外スペクトルの2250cm−1付近のイソシアネート基の吸収が無くなつたのを確認し、酸価40.7、分子量7,300、Tg点51℃のポジ型感光性樹脂を得た。
【0067】
合成例5
メチルメタクリレート40部、ブチルアクリレート40部、アクリル酸20部およびアゾビスイソブチロニトリル2部からなる混合液を、窒素ガス雰囲気下において110℃に保持したプロピレングリコールモノメチルエーテル(親水性溶剤)90部中に3時間を要して滴下した。滴下後、1時間熟成させ、アゾビスジメチルバレロニトリル1部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル10部からなる混合液を1時間要して滴下し、さらに5時間熟成させて高酸価アクリル樹脂(酸価155)溶液を得た。次に、この溶液にグリシジルメタクリレート24部、ハイドロキノン0.12部およびテトラエチルアンモニウムブロマイド0.6部を加えて、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させて光硬化性樹脂(酸価約50、不飽和度1.35モル/kg、Tg点20℃、数平均分子量約20,000)の溶液を得た。
【0068】
合成例6
アクリル酸 288部
スチレン 300部
n−ブチルアクリレート 255部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 157部
t−ブチルパーキシベンゾエート 100部
よりなる混合物を、110℃に加熱し撹拌されている2−ブトキシエタノール1000部中に2時間を要して滴下した後、その温度に更に2時間保つてカルボキシル基含有重合体を得た。固形分約50%、カルボキシル基4モル/kg、芳香族環含量20.7重量部/100重量部重合体、酸価約224、分子量7200、Tg点18℃。
【0069】
合成例7
o−クレゾール1490部、30%フオルマリン1145部、脱イオン水130部及び蓚酸6.5部をフラスコに入れ60分加熱還流させた。次いで15%塩酸を13.5部を加え40分加熱還流させた。次いで400部の約15℃の脱イオン水を加え、内容物を約75℃に保ち樹脂を沈殿させた。次いで35%水酸化ナトリウム溶液を加え中和後水層を除去し、更に、400部の脱イオン水を加え75℃で樹脂を洗浄した後水層を除去し、更に同様な洗浄操作を2度繰り返した後、減圧下に約120℃で乾燥してノボラツクフエノール樹脂を得た。分子量約600であつた。
【0070】
上記ノボラツクフエノール樹脂15g、2−クロロエチルビニルエーテル80ml及びトルエン100mlを250mlのフラスコに入れ、窒素置換後20gの水酸化ナトリウムを投入し、80℃30分加熱した。その後4.56gのテトラブチルアンモニウムブロマイドを20mlの2−クロロエチルビニルエーテルに溶解した溶液を投入し、95℃で5時間加熱反応させた。反応物を3回脱イオン水で洗浄した後、油層を分離した。油層を蒸留して未反応2−クロロエチルビニルエーテル及びトルエンを除去してビニルエーテル化合物を得た。この化合物は一分子中にビニルエーテル基を3.5個含んでいた。
【0071】
製造例1
合成例1の樹脂溶液100部、オクテン酸ジルコニウム0.8部、トリエチルアミン6.5部の混合物をデイスパーで撹はんしつつこれに脱イオン水693部を徐々に加えて固形分10%のアニオン性熱硬化型電着塗料を得た。
【0072】
製造例2
合成例2の樹脂溶液150部、トリエチルアミン8部を混合物をデイスパーでかき混ぜつつこれに脱イオン水842部を徐々に加えて固形分10%のアニオン性熱可塑型電着塗料を得た。
【0073】
製造例3
合成例3の樹脂溶液150部、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを1/3モルの割合で反応させたポリイソシアネートのメチルエチルケトオキシム封鎖物15部、ジブチルチンジラウレート0.5部、酢酸3部の混合物をデイスパーでかき混ぜつつ、これに脱イオン水598部を徐々に加えて固形分15%のカチオン性熱硬化型電着塗料を得た。
【0074】
製造例4
合成例4の樹脂溶液772部に、下記式(II)で示される化合物5部をブチルセロソルブ10部に溶解した溶液を加え、混合したのちトリエチルアミン28部を加えて中和する。ついで内容物を撹拌しながら脱イオン水を固形分が10%になるまで徐々に加えてpH7.8の電着塗装浴とした。
【0075】
【化2】
【0076】
製造例5
合成例5で得た光硬化性樹脂溶液180部、すなわち固形分100部を酢酸エチル290部に溶解させたのち、下記式(III)の増感剤1部をベンジルアルコール5部に溶解させた溶液を加えてよく混合した。さらに重合開始剤として下記式(IV)のチタノセン化合物1部をベンジルアルコール10部に溶解させた溶液と、下記式(V)のベンゾトリアゾール2部を酢酸エチル20部に溶解させた溶液を加え、よく撹拌して感光性レジスト液を得た。
【0077】
【化3】
【0078】
【化4】
【0079】
【化5】
【0080】
製造例6
重合開始剤チタノセン化合物1部に代えて、3,3′、4,4′−テトラ(ターシヤリーブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフエノン9部を用いる以外は、製造例5と全く同様にして感光性レジスト液を得た。
【0081】
製造例7
合成例6で得られたカルボキシル基含有重合体(固形分50%)200部、合成例7で得られたビニルエーテル化合物20部、下記式(VI)の光酸発生剤7.5部及び下記式(VII)の増感色素1部の混合物をジエチレングリコールジメチルエーテル20%の感光性レジスト液を得た。
【0082】
【化6】
【0083】
【化7】
【0084】
実施例1
0.15から5.0mmまで段階的に孔径を変えた孔内壁に銅メツキ層を有する厚さ1.6mmのガラスエポキシ系銅貼積層基板の両面に製造例5で得られた感光性レジストを静電スプレー法により乾燥膜厚が7μmになるように塗布した後、80℃で5分加熱し、室温まで冷却した後5%のポリビニルアルコール水溶液をデイツプ塗装法により乾燥膜厚2μmになるように塗布し、60℃で5分加熱し、室温まで冷却した後、ライン/スペースが30μm/30μmから100μm/100μmまでの線幅を有する所定の回路パターンをアルゴンイオンレーザー直描法でレジスト被膜上に照射量1.5mJ/cm2で照射した。
【0085】
次いで製造例1の電着塗料浴に浸漬し、該基板を陽極とし対極との間に70Vの直流を25秒間印加した。該基板を水洗、80℃で10分加熱後室温まで冷却し、25℃の1%炭酸ソーダ水溶液を用いて現像し、次いで塩化第2銅系のエツチング溶液を用い45℃でエツチングし、更に50℃の3%苛性ソーダ水溶液で基板上に残存するレジスト膜及びスルーホール内の電着塗膜を除去した。
【0086】
形成された回路板の回路パターン及びスルーホール内部を100倍の顕微鏡で観察した結果、全ての回路パターンは完全に解像され、線幅再現性は非常に良好であり、スルーホール内の銅メツキは完全に保護され、メツキ部の部分エツチング、変色などの欠陥は一切認められなかつた。
【0087】
実施例2
感光性レジストとして製造例6で得られた感光性レジストを使用し、レジスト膜厚5μmとし、電着塗料として製造例2の電着塗料を使用する以外は実施例1と全く同様にして回路板を形成した。
【0088】
形成された回路及びスルーホール内の銅メツキの状態は実施例1と全く同様非常に良好であつた。
【0089】
実施例3
電着塗料として製造例3の電着塗料を使用し、電着塗装を基板を陰極とし対極との間に50Vの直流を45秒間印加する以外は実施例1と全く同様にしてエツチングまでを行なつた後、50℃の3%苛性ソーダ水溶液で残存するレジスト膜を除去し、次いで50℃の5%乳酸水溶液でスルーホール内の電着塗膜を除去した。
【0090】
形成された回路及びスルーホール内の銅メツキの状態は実施例1と全く同様非常に良好であつた。
【0091】
実施例4
電着塗料として製造例4の電着塗料を使用し、レジスト膜及び電着塗膜の除去を50℃の1%苛性ソーダ水溶液で行なう以外は実施例1と全く同様にして回路板を形成した。
【0092】
形成された回路及びスルーホール内の銅メツキの状態は実施例1と全く同様非常に良好であつた。
【0093】
実施例5
製造例7で得られた感光性レジスト液を実施例1の基板上に乾燥膜厚5μmになるように静電スプレー法で塗装し、100℃で10分加熱後照射量を3mJ/cm2とする以外は実施例1と全く同様にして露光及び電着塗料例1を電着塗装し、次いで120℃で10分加熱後室温まで冷却し、実施例1と全く同様に現像、エツチング、レジスト膜及び電着塗膜除去を行い回路基板を形成した。
【0094】
形成された回路及びスルーホール内の銅メツキの状態は実施例1と全く同様非常に良好であつた。
【産業上の利用分野】
本発明は高密度なスルーホールメツキ回路板を再現性良く、高い生産性で製造し得るスルーホールメツキ回路板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高密度多層積層用配線板製造において要求される高いアライメント精度が容易に得られること、少量で多品種の高密度配線板を生産性良く製造できることなどの利点から、近年、CADデータで制御され且つ形成するパターン形状に応じて高速で点滅するラスターモードのアルゴンイオンレーザー等のレーザービームを銅張り積層板等の上に塗布されたレジストに照射したり(レーザー直描法)、また投影型液晶プロジエクターを介して活性光線を銅張り積層基板上に照射する等のフオトマスクを用いずに活性光線をパターン状に露光する方法によるプリント配線板の製造方法が注目されている。
【0003】
これらの製造方法に使用し得るレジストとして、特開昭61−233736号公報及び特開昭62−31848号公報には、アルゴンイオンレーザー等のレーザー光を使用し得るものが開示されており、また、特開平3−223759号公報には、感光性が高く特に上記製造方法に適したレジスト組成物が本発明者等によつて開示されている。
【0004】
しかし、これらのレジストは単に銅張り積層基板上に塗布するだけではスルーホールメツキを有する配線基板に導体回路を形成することはできない。本発明者等は既に特開平3−179064号公報、特開平3−223759号公報等において、電着塗装によりスルーホール内壁のメツキ部にも塗布可能なアルゴンイオンレーザー等で硬化し得る上記製造方法に適したレジストを提案している。しかし、レーザービームによる方法では、レーザービームでスルーホール内壁に塗布されたレジストを充分に照射し、硬化させることは極めて困難であり、信頼性の高いスルーホールの形成は実際上行なえない。
【0005】
一方、液晶プロジエクターを介して活性光線を照射する場合には、活性光線を散乱光として照射したり、光源をスキヤニングさせる等の方法でスルーホール内を露光することが可能であるが、これらの方法によつても、0.3mmΦ以下のような微細なスルーホール内部のレジストを完全に照射し、必要な程度まで硬化させることは困難である。また、そのような照射法では、照射光の平行性が損なわれ、スルーホール内部の露光のために銅箔上のレジストに対する露光が過剰になり、パターンの解像性が低下する。それ故に、これらの方法では一般に、信頼性の高い、スルーホールを有する高密度回路板を製造することはできない。
【0006】
このような問題を解決する方法として、特開平3−175691号公報には、スルーホールを予め穴埋めインクで保護した後にレジストを塗布し、直接描画法で配線パターンを形成する方法が提案されている。しかし、穴埋めインクを用いる方法は、特開昭63−25998号公報等で指摘されているように、問題点が多く高密度回路板の製造方法としては好ましくない。
【0007】
穴埋めインクを用いる方法の欠点を回避する方法として、特開昭63−25998号公報には、スルーホールメツキ基板の両面及びスルーホール内の全面に電着塗装によつて電着塗装樹脂層を形成したのち、上記基板の両面上の電着塗装樹脂層のみを除去し、次いで上記基板の両面上に、得ようとするパターンのレジスト被膜層を形成した後、該レジスト被膜層の形成されていない箇所の導電性金属層及びその上のメツキ層をエツチングにより除去し、次いで上記レジスト被膜層及びスルーホール内の電着樹脂層を除去するスルーホールメツキ配線板の製造方法が提案されている。
【0008】
しかし、この方法においてもスルーホール部以外に電着塗装された樹脂層を研磨などの方法で除去せねばならず、穴埋めインク法の欠点、すなわち、研磨時の樹脂粉末による作業環境の劣化等は依然として解決されていない。
【0009】
また、特開昭63−25998号公報には、スルーホール部以外の電着塗装膜を除去する方法として、バフ、ペーパー研磨などの方法が記載されているが、バフ、ペーパー研磨などで直径300μm以下のような微細なスルーホール周辺の樹脂被膜をスルーホールコーナーの樹脂被膜を傷つけずに完全に除去するには、細心の注意が必要であり除去に長時間を要する。しかも樹脂被膜を除去する際に発生する樹脂粉末が微量でも基板上に残ると、断線や短絡などの回路欠陥を生じるため特に高密度配線板製造時に歩留まりが低下するなどの問題がある。
【0010】
さらに、特開昭63−224393号公報には、スルーホールメツキ基板の両面に得ようとする回路パターンの逆パターンの被膜層を形成し、ついで、上記スルーホールの孔壁部及び上記基板の両面の上記レジスト被膜層の形成されていない部分に、電着塗装によつて電着塗装樹脂層を形成した後、該電着塗装樹脂層を加熱処理し、次いで上記レジスト被膜層のみを除去した後、このレジスト被膜層の除去によつて露出したメツキ層及び導電性金属層をエツチング除去し、そして電着塗装樹脂層を除去するスルーホールメツキ配線板の製造方法が提案されている。
【0011】
該提案の方法によれば、穴埋めインクの欠点は回避され、特開昭63−25998号公報に記載の方法のように電着塗装された樹脂層を除去する必要もなくなるが、しかし、電着塗装樹脂層を形成した後逆パターンを形成させたレジスト層を選択的に除去する必要がある。この選択的除去は回路パターンが高密度になり、パターン線幅が狭くまたパターン間の間隔が狭くなると、完全に行なうことは往々にして困難となり、不良の発生原因となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、直接描画法により高い生産性で信頼性の高い高密度のスルーホール配線板を製造することのできる方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、スルーホール配線板の製造における上記した如き問題点を解決するために鋭意検討した結果、スルーホールメツキ配線基板の両面に感光性レジスト被膜を形成し、レジスト被膜を直接描画法によりパターン露光した後、スルーホールの孔壁部に電着被膜を形成するようにすると、従来技術の欠点であるスルーホール内部以外の電着被膜を除去する工程や、逆パターンレジスト樹脂層を選択的に除去する工程が不要となり、従来技術の欠点が完全に解決され、直接描画法により高密度のスルーホール配線板を極めて高い生産性と信頼性をもつて製造することができることを見出し、本発明を完成するに至つた。
【0014】
すなわち、本発明は、
(1) 両面に導電層を有する基板に孔加工を施してスルーホールを形成し、少くとも該スルーホールの孔壁部にメツキを施す工程、
(2) 基板の両面にネガ型の感光性レジスト被膜を形成する工程、
(3) 該レジスト被膜上に活性光線を直接描画法により得ようとするパターン状に照射する工程、
(4) 現像液及びエツチング液には溶解せず、剥離液で除去可能な被膜を形成する電着塗料を電着法によりスルーホールの孔壁部に塗布する工程、
(5) 適当な現像液で現像し、ネガ型感光性レジスト被膜の未露光部分を除去する工程、
(6) 露出したメツキ層及び導電層をエツチングにより除去する工程、及び
(7) 適当な剥離液により残存する感光性レジスト被膜及びスルーホール内の電着被膜を同時に或いは別々に剥離する工程
よりなることを特徴とする回路板の製造方法(以下、本発明の第1の態様という)、並びに
(1) 両面に導入層を有する基板に孔加工を施してスルーホールを形成し、少くとも該スルーホールの孔壁部にメツキを施す工程、
(2) 基板の両面にポジ型の感光性レジスト被膜を形成する工程、
(3) 該レジスト被膜上に活性光線を直接描画法により得ようとするパターンの逆パターン状に照射する工程、
(4) 現像液及びエツチング液には溶解せず、剥離液で除去可能な被膜を形成する電着塗料を電着法によりスルーホールの孔壁部に塗布する工程、
(5) 適当な現像液で現像し、ポジ型感光性レジスト被膜の露光部分を除去する工程、
(6) 露出したメツキ層及び導電層をエツチングにより除去する工程、及び
(7) 適当な剥離液により残存する感光性レジスト被膜及びスルーホール内の電着被膜を同時に、或いは別々に剥離する工程
よりなることを特徴とする回路板の製造方法(以下、本発明の第2の態様という)を提供するものである。
【0015】
以下、本発明のスルーホールメツキ配線板の製造方法について詳述する。
【0016】
工程(1):
本発明において出発材料として使用される両面に導電層を有する基板には、例えば、ガラス−エポキシ複合材、セラミツクなどの有機又は無機の絶縁性材料の両面に、所定の厚さの導電性材料、例えば銅箔、アルミニウム箔などを貼りつけることによつて形成される、銅貼積層基板、アルミニウム箔積層基板などが挙げられる。
【0017】
本工程では、まず、設計された回路図に従つて、上記の如き基板に所定の大きさ及び数の孔を穿つ、すなわちスルーホールを形成する。この孔加工は通常行なわれているように、ドリル加工、レーザー加工、プレス加工などにより行なうことができる。
【0018】
このように孔加工された基板には次いでメツキ処理が施される。このメツキ処理は、通常の方法、例えば無電解メツキ法、電解メツキ法等の方法により、基板の少なくともスルーホールの孔壁部に銅、ニツケルなどの導電性材料のメツキが形成されるようにして実施する。
【0019】
工程(2):
本発明の第1の態様においては、工程(1)で得られる該基板上に、活性光線照射により硬化して不溶化するネガ型の感光性レジストを、例えば、スピンコーター、スプレー、ロールコーター、カーテンフローコーター等それ自体既知の方法で塗布した後、通常150℃以下、好ましくは120℃以下の温度で1〜30分程度加熱することにより、レジスト被膜を形成する。
【0020】
本発明の第1の態様においてレジスト被膜の形成に使用されるネガ型の感光性レジストとしては、例えば、重合性不飽和基を側鎖又は主鎖に含有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂等の光照射により架橋もしくは重合しうる不飽和樹脂に、一般に揮発性溶剤及び/又は分子中に1個以上の重合性不飽和基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸エステル類)を加え、さらに光重合開始剤(例えば、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等)、前記した不飽和樹脂以外の飽和樹脂、必要に応じて流動性調節剤、体質顔料、着色顔料、染料等の添加剤を加えた液状感光性組成物が挙げられる。活性光線として可視光レーザー等の可視光を用いる場合には、光重合開始剤として、チタノセン化合物等の可視光重合開始剤や、可視光重合開始剤とクマリン誘導体等の増感剤との組合せ等が用いられる(特開平3−223759号公報参照)。
【0021】
また、本発明の第2の態様においては、工程(1)で得られる該基板の導電層上に、活性光線照射により露光部が現像液で可溶化するポジ型の感光性レジストの被膜を上記本発明の第1の態様におけると同様の方法で形成する。
【0022】
本発明の第2の態様においてレジスト被膜の形成に使用されるポジ型の感光性レジストとしては、例えば、キノンジアジド系液状ポジ型感光性レジスト(例えば特開昭50−6401号公報、特開昭50−139692号公報等参照)、あるいはカルボキシル基含有重合体、多ビニルエーテル化合物及び活性光線照射で酸を発生する化合物からなるレジストで、そのレジスト塗膜を一旦加熱してカルボキシル基とビニルエーテル基を架橋して塗膜を不溶化し、次いで活性光線を照射して照射部分に酸を発生させ、架橋構造を切断して照射部分を現像液に可溶性にすることによりパターンを形成するポジ型感光性レジスト等が挙げられる(例えば特願平5−105905号明細書参照)。
【0023】
レジスト被膜の形成は、用いる塗布装置の特性に従い、両面同時に行なつてもよく、或いは片面ずつ塗布、加熱を繰り返して行なつてもよい。
【0024】
形成されるレジスト被膜の膜厚は厳密に制限されるものではなく、製造される回路板の用途等に応じて変えることができるが、膜厚があまり薄いとエツチング時に膜の損傷が生じて断線などの不良が生じやすく、また、厚すぎると解像力が低下するので、一般には約3〜約50μmの範囲内が適当である。
【0025】
さらに、本発明の第1の態様においては、レジスト被膜を空気中の酸素から遮断して感光性を高める等の目的で、形成されたレジスト被膜上に、水及び/又は現像液に可溶性で酸素遮断性に優れた樹脂被膜、例えばポリビニルアルコール、部分ケン化ポリ酢酸ビニル等の被膜を設けることができる。かかる樹脂被膜の膜厚は、特に制限されないが、あまり薄いと酸素遮断効果が充分に発揮されず、逆に厚すぎると現像速度が遅くなるので、通常1〜10μm程度が好ましい。
【0026】
工程(3):
本工程は、前工程(2)で形成した基板のレジスト被膜上にパターン露光を行なう工程である。このパターン露光は、直接描画法により、本発明の第1の態様では得ようとするパターン状に活性光線を照射することにより、また、本発明の第2の態様では得ようとするパターンの逆パターン状に活性光線を照射することにより行なう。
【0027】
しかして、該活性光線の照射は、例えば、CADデータで制御され且つ形成するパターン形状に応じて高速で点滅するラスターモードのアルゴンイオンレーザー等のレーザービームや投影型液晶プロジエクター等を用いる、所謂「フオトマスクレス法」(フオトマスクを用いずにパターン露光する方法)により行なうことができる。
【0028】
上記露光に使用する活性光線は、用いる感光性レジストの特性に応じて、可視光線、紫外光線等から選択され、レーザービームを用いる場合には、安定した高出力のビームが得られ易いアルゴンイオンレーザーが好適である。
【0029】
工程(4):
本工程では、工程(3)で得られる露光済の基板のスルーホールの孔壁部のレジストで被覆されていない部分に、現像液及びエツチング液に溶解せず、剥離液で除去可能な電着被膜を形成する。
【0030】
この電着被膜の形成は、かかる特性をもつ被膜を形成しうる電着塗料を電着法によつて塗布することにより行うことができる。例えば通常の方法に従い、露光済の基板を電着塗料浴に浸漬し、該基板を一方の電極とし対電極との間に直流電源をつなぎ、所定の条件下に通電した後、該基板を浴から取り出し水洗等の後処理を行ない、さらに必要に応じて、例えば約150℃以下、好ましくは約120℃以下の温度で約1〜約30分間加熱乾燥することにより、電着被膜を形成することができる。
【0031】
電着塗装は、スルーホール内の孔壁部が完全に被覆される条件であれば特に制限はないが、一般に該基板と対極の間に7〜300V、好ましくは15〜200Vの直流電圧を約5〜約300秒、好ましくは約10〜250秒印加することにより行なうのが適当である。
【0032】
電着塗料としては、現像液及びエツチング液に溶解せず、剥離液で除去可能な被膜を形成するものであれば特に制限はなく、熱硬化性のものでも熱可塑性のものでも使用することができる。
【0033】
熱硬化性の電着塗料としては、例えば、分子中に中和により水溶性乃至水分散性となる、イオン形成基及び硬化性基もしくは架橋性基又は架橋剤と反応し得る官能基を含有する樹脂を主体とする組成物を中和し水溶液乃至は水分散液としたもの;該樹脂と架橋剤の混合物を主体とする組成物を中和し水溶液乃至水分散液としたもの等が挙げられる。
【0034】
使用しうる樹脂の骨格には特に制限はなく、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、ポリブタジエン、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等を骨格とする樹脂を使用することができる。
【0035】
該樹脂骨格に導入しうるイオン形成基はアニオン性のもの及びカチオン性のもののいずれのタイプのものであつてもよく、アニオン性のものとしては、例えば、カルボキシル基、スルフオン酸基、燐酸基等が挙げられ、中でもカルボキシル基が最も好ましい。
【0036】
これらアニオン性基の樹脂骨格への導入方法としては、例えば、アルキド樹脂やポリエステル樹脂の場合には、ポリオールに対する多塩基酸のモル数を調整して生成する樹脂中に所望の量のカルボキシル残基を導入する方法や、アルキド樹脂やポリエステル樹脂を合成後残余の水酸基の一部又は全部を多塩基酸の無水物で半エステル化する方法など;アクリル樹脂の場合には、アクリル酸やメタクリル酸のような酸基を有する重合性モノマーを共重合する方法など;エポキシ樹脂の場合には、エポキシ基と酸等を反応させて生じた水酸基の一部又は全部を前述した方法で多塩基酸の無水物と反応させる方法など;ポリブタジエンの場合には、無水マレイン酸等を付加する方法など、それ自体既知の方法を適用することができる。樹脂中に存在する酸無水物はアルコールと半エステル化反応させるか又は水の存在下にアミンと反応させる等それ自体既知の方法で酸又はその塩に転化することができる。
【0037】
また、樹脂骨格に導入しうる硬化性基としては、それ自体既知のもの、例えば、熱重合性不飽和基、エポキシ基、熱解離性保護基で封鎖されたイソシアネート基等が挙げられる。
【0038】
これらの硬化性基の樹脂骨格への導入法には特に制限はなくそれ自体既知の方法を利用することができる。例えば、熱重合性不飽和基は、アルキド樹脂の場合には、その合成時に変成剤として乾性油、半乾性油またはそれらの脂肪酸を使用することにより;ポリエステル樹脂やアクリル樹脂等の如き酸又は酸無水物を有する樹脂の場合には、アリールグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等との反応により;ポリエステル樹脂や水酸基を有する重合性モノマーを共重合したアクリル樹脂など水酸基を有する樹脂の場合には、トリレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートのようなジイソシアネートとアリールアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する重合性化合物の等モル付加物との反応、または水酸基とクロルエチルビニルエーテルなどのアルキルハライドのビニルエーテル化物との反応により導入することができる。また、エポキシ基は、水酸基を有する前述の如き樹脂とエピクロルヒドリンとの反応などにより導入することができる。
【0039】
熱解離性保護基で封鎖されたイソシアネート基は、水酸基を含有する前述の樹脂などとアルコールやオキシム等熱解離性保護基で部分封鎖されたポリイソシアネートとの反応により;または下記式(I)のモノマーを共重合したアクリル樹脂をアルコールやオキシムと反応させてイソシアネート基を封鎖するかまたは下記式(I)のモノマーを同様にして封鎖してから共重合するなどの方法により導入することができる。
【0040】
【化1】
【0041】
一方、イオン形成基としてカチオン性のものとしてはアミノ基が挙げられる。
これらの基の導入方法としては、例えば、アルキド樹脂やポリエステル樹脂の場合には、アルコール成分としてジエタノールアミンやトリエタノールアミン等のアルカノールアミンを使用する方法など;アクリル樹脂の場合には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を含有する重合性モノマーを共重合する方法;グリシジル(メタ)アクリレート等の共重合により導入したエポキシ基の一部又は全部に第1又は第2アミンを反応させる方法;アミンの代わりに不飽和酸との反応により導入した不飽和基の一部又は全部に第1又は第2アミンを反応させる方法など;エポキシ樹脂の場合には、エポキシ基を有するアクリル樹脂の場合と同様にする方法など、それ自体既知の方法を使用することができる。
【0042】
かかるアミノ基が導入された樹脂への架橋性基の導入は、前述した如き重合性基を含有するエポキシ化合物を樹脂中のアミノ基と反応させる方法;アルキルハライドのビニルエーテル化物やエピクロルヒドリン等を樹脂中の水酸基やアミノ基と反応させる方法;熱解離性保護基で部分的に封鎖されたポリイソシアネートとアミノ基または水酸基と反応させる方法;熱解離性保護基で封鎖された前記式(I)の化合物を共重合する方法などそれ自体既知の方法で行なうことができる。
【0043】
さらに、使用しうる架橋剤としては、前述の如き樹脂と相互に反応して架橋を形成するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエポキシ化合物、熱解離性の保護基で封鎖されたポリイソシアネート、アミノ樹脂、ポリオール化合物、多官能性重合性不飽和化合物などそれ自体既知の架橋剤を架橋すべき樹脂中の官能基の種類に応じて適宜選択して用いることができる。
【0044】
上記樹脂の架橋反応を促進するために、熱ラジカル発生剤;金属塩;錫、亜鉛等を含む有機金属化合物;プロトン酸、ルイス酸などの酸;熱解離性保護基で保護されたそれらの酸等それ自体既知の触媒を組成物中に添加してもよい。
【0045】
熱可塑性の電着塗料としては、熱硬化性の電着塗料の場合について述べたと同様な樹脂骨格にイオン形成基が導入された自己架橋性の官能基を含有しない樹脂を主体とするものを使用することができる。
【0046】
以上に述べた熱硬化性または熱可塑性の電着塗料を用いて形成される被膜は、現像時及びエツチング時に被膜がそれらの液に溶解せず、剥離液で除去される必要があるが、使用されるレジストの種類により、現像液及びエツチング液、またそれらが使用される条件が異なるために、上記条件を満たす塗料組成物は個々の感光性レジストとの組み合わせにより適宜選択する必要がある。
【0047】
また、使用しうる電着塗料の別の好適な例として、ポジ型感光性電着レジストを挙げることができる(特開平3−43470号公報参照)。
【0048】
これらのレジスト樹脂は単独でまたは必要に応じて架橋剤と混合し、中和して水溶液または水分散液として本発明に用いる電着塗料とすることができる。ここで中和剤としては樹脂がアニオン性のイオン形成基を含有する場合には、有機アミン、無機アルカリ等を用いることができ、カチオン性の場合には、有機酸、無機酸等を使用することができる。中和の程度は組成物の特性により一概には言えないが、一般には、イオン形成基1モル当り0.1〜1.0当量好ましくは0.3〜1.0当量の範囲内とすることができる。
【0049】
本発明に用いる電着塗料組成物には、電着塗装性、被膜の流展性等を調節するための溶剤、添加剤、被膜の除去速度の調整、視認性のための染料、顔料などを添加してもよい。
【0050】
これらの電着塗料は、感光性レジストの現像にアルカリ性の液が使用される場合には、アニオン性のものを使用し、また現像液が酸性の場合には、カチオン性のものを使用し、そして非イオン性の有機溶剤が使用される場合には、何れかの型のものを適宜選択して使用する。
【0051】
工程(5):
電着塗装によりスルーホール内の孔壁部に被膜を形成した基板は、次いで現像を行ない、ネガ型感光性レジスト被膜の場合には未露光部分を除去し、そしてポジ型感光性レジスト被膜の場合には露光部分を除去することにより、配線パターンを形成する。現像液としては、感光性レジストの特性に応じてアルカリ性のもの、酸性のもの、有機溶剤を適宜選択使用することができる。
【0052】
工程(6):
上記現像処理により露出した基板上のメツキ層及び導電層をエツチングにより除去する。
【0053】
このエツチングには、メツキ層及び導電層の金属の種類に応じてそれ自体既知の方法で行なうことができる。例えば、金属が銅である場合には、塩化第二銅、塩化第二鉄を主成分とする酸性エツチング液;アンモニア等を主成分とするアルカリ性エツチング液等のエツチング液を用いて除去することができる。
【0054】
工程(7):
最後に、基板上に残存するレジスト被膜及びスルーホール内の電着被膜を剥離する。レジスト被膜及び電着被膜の剥離は同時に行なつてもよく或いは別々に行なつてもよい。
【0055】
この剥離は、一般に、アルカリ現像型のレジストを使用した場合は、アルカリ性剥離剤または剥離溶剤を用いて行ない、酸現像型レジストを使用した場合には、酸性剥離剤または剥離溶剤を用いて行ない、そして溶剤現像型レジストを使用した場合には、剥離溶剤を用いて行なうことができる。この場合、残存するレジスト被膜の剥離とスルーホール内の被膜の剥離は同じ剥離剤を用いて行なつてもよく、或いはそれぞれ異なる剥離剤を用いて個々に行なうこともできる。
【0056】
かくして、本発明の方法により、スルーホールメツキ基板上にプリント回路を形成せしめることができる。
【0057】
以上に詳述した本発明の方法は、スルーホールを有するプリント回路板の製造に最適であり、スルーホールメツキ配線基板の導電層上に感光性レジスト被膜を形成し、レジスト被膜を直接描画法によりパターン露光した後、スルーホール内に電着被膜を形成するため、従来のスルーホール内電着塗装法にくらべて、スルーホール内部以外の電着被膜を除去する工程や、逆パターンレジスト樹脂層を選択的に除去する工程が不要になるという利点がある。そのため、本発明の方法によれば、直径300μm以下のような微細なスルーホールを有する高密度のスルーホール配線板を直接描画法により極めて高い生産性と信頼性をもつて製造することができる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお「部」及び「%」は重量基準である。
【0059】
合成例1
無水フタル酸 1480部
トリメチロールプロパン 1608部
アマニ油脂肪酸 2300部
を撹はん器、脱水装置、温度計を備えたフラスコに仕込み窒素気流下で230℃、5時間脱水縮合を行なつた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリツト酸384部を加え、180℃で45分加熱後150℃まで冷却し、エチレングリコールモノブチルエーテルで固形分80%に希釈した。
【0060】
得られた樹脂の酸価は39、水酸基含量は1.0モル/kg樹脂であつた。
【0061】
合成例2
スチレン 364部
n−ブチルメタアクリレート 300部
メチルメタアクリレート 160部
アクリル酸 72部
2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 104部
アゾビスイソブチロニトリル 10部
の混合物を滴下ロートに入れ100℃に加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテル/イソプロパノール=50/50(重量比)混合溶剤450部を入れた撹はん器、還流コンデンサー、温度計を備えたフラスコ中に窒素ガスを吹き込みつつ3時間を要して滴下し、更に1時間100℃に保つた後、上記混合溶剤50部にアゾビスイソブチロニトリル1部を溶解した液を1時間を要して滴下し、さらに100℃で2時間保つた後冷却し、固形分66%の樹脂溶液を得た。
【0062】
樹脂の酸価は56、水酸基含量は0.8モル/kg樹脂、ガラス転移温度(Tg点)は68℃であつた。
【0063】
合成例3
スチレン 350部
n−ブチルメタアクリレート 290部
メチルメタアクリレート 150部
N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート 94部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 116部
ベンゾイルパーオキシド 20部
の組成物を合成例2と同様にして重合(追加の触媒はアゾビスイソブチロニトリルの代わりにベンゾイルパーオキシドを使用した)し固形分66%の樹脂溶液を得た。
【0064】
樹脂のアミン価は34、水酸基含量は1.0モル/kg樹脂、ガラス転移温度(Tg点)は40℃であつた。
【0065】
合成例4
4つ口フラスコにオルトナフトキノンジアジドスルホン酸クロライド269部、ジオキサン1345部を入れ、室温で撹拌しながら、N−メチルエタノールアミン150部を1時間で滴下した。滴下終了後、約3時間撹拌を継続し、IRスペクトルの3300cm−1付近のアミノ基の吸収が無くなるのを確認した後、反応を終了した。次にこの溶液を脱イオン水中に入れ、反応中発生した塩酸をトラツプした4級アミンを除去した。次いで酢酸イソブチルで生成物を抽出した後、溶媒を留去し、減圧乾燥器に入れ乾燥し、水酸基含有オルトキノンジアジド化合物を得た。
【0066】
次に、4つ口フラスコにジエチレングリコールジメチルエーテル290部を入れ、撹拌しながら、110℃に昇温した後、n−ブチルメタアクリレート202部、アクリル酸32部、m−イソプロペニル−α,αジメチルベンジルイソシアネート92部、アゾビスブチロバレロニトリル20部の混合溶液を3時間かけて滴下し、1時間保つた後、メチルイソブチルケトン14部、アゾビスブチロバレロニトリル3部の混合溶液を1時間かけて滴下し、さらに5時間保つた。その後、50℃に温度を下げ、上記水酸基含有オルトキノンジアジド化合物を142部、ジブチルチンジアセテート4.6部を添加し、3時間保つた後、赤外スペクトルの2250cm−1付近のイソシアネート基の吸収が無くなつたのを確認し、酸価40.7、分子量7,300、Tg点51℃のポジ型感光性樹脂を得た。
【0067】
合成例5
メチルメタクリレート40部、ブチルアクリレート40部、アクリル酸20部およびアゾビスイソブチロニトリル2部からなる混合液を、窒素ガス雰囲気下において110℃に保持したプロピレングリコールモノメチルエーテル(親水性溶剤)90部中に3時間を要して滴下した。滴下後、1時間熟成させ、アゾビスジメチルバレロニトリル1部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル10部からなる混合液を1時間要して滴下し、さらに5時間熟成させて高酸価アクリル樹脂(酸価155)溶液を得た。次に、この溶液にグリシジルメタクリレート24部、ハイドロキノン0.12部およびテトラエチルアンモニウムブロマイド0.6部を加えて、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させて光硬化性樹脂(酸価約50、不飽和度1.35モル/kg、Tg点20℃、数平均分子量約20,000)の溶液を得た。
【0068】
合成例6
アクリル酸 288部
スチレン 300部
n−ブチルアクリレート 255部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 157部
t−ブチルパーキシベンゾエート 100部
よりなる混合物を、110℃に加熱し撹拌されている2−ブトキシエタノール1000部中に2時間を要して滴下した後、その温度に更に2時間保つてカルボキシル基含有重合体を得た。固形分約50%、カルボキシル基4モル/kg、芳香族環含量20.7重量部/100重量部重合体、酸価約224、分子量7200、Tg点18℃。
【0069】
合成例7
o−クレゾール1490部、30%フオルマリン1145部、脱イオン水130部及び蓚酸6.5部をフラスコに入れ60分加熱還流させた。次いで15%塩酸を13.5部を加え40分加熱還流させた。次いで400部の約15℃の脱イオン水を加え、内容物を約75℃に保ち樹脂を沈殿させた。次いで35%水酸化ナトリウム溶液を加え中和後水層を除去し、更に、400部の脱イオン水を加え75℃で樹脂を洗浄した後水層を除去し、更に同様な洗浄操作を2度繰り返した後、減圧下に約120℃で乾燥してノボラツクフエノール樹脂を得た。分子量約600であつた。
【0070】
上記ノボラツクフエノール樹脂15g、2−クロロエチルビニルエーテル80ml及びトルエン100mlを250mlのフラスコに入れ、窒素置換後20gの水酸化ナトリウムを投入し、80℃30分加熱した。その後4.56gのテトラブチルアンモニウムブロマイドを20mlの2−クロロエチルビニルエーテルに溶解した溶液を投入し、95℃で5時間加熱反応させた。反応物を3回脱イオン水で洗浄した後、油層を分離した。油層を蒸留して未反応2−クロロエチルビニルエーテル及びトルエンを除去してビニルエーテル化合物を得た。この化合物は一分子中にビニルエーテル基を3.5個含んでいた。
【0071】
製造例1
合成例1の樹脂溶液100部、オクテン酸ジルコニウム0.8部、トリエチルアミン6.5部の混合物をデイスパーで撹はんしつつこれに脱イオン水693部を徐々に加えて固形分10%のアニオン性熱硬化型電着塗料を得た。
【0072】
製造例2
合成例2の樹脂溶液150部、トリエチルアミン8部を混合物をデイスパーでかき混ぜつつこれに脱イオン水842部を徐々に加えて固形分10%のアニオン性熱可塑型電着塗料を得た。
【0073】
製造例3
合成例3の樹脂溶液150部、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを1/3モルの割合で反応させたポリイソシアネートのメチルエチルケトオキシム封鎖物15部、ジブチルチンジラウレート0.5部、酢酸3部の混合物をデイスパーでかき混ぜつつ、これに脱イオン水598部を徐々に加えて固形分15%のカチオン性熱硬化型電着塗料を得た。
【0074】
製造例4
合成例4の樹脂溶液772部に、下記式(II)で示される化合物5部をブチルセロソルブ10部に溶解した溶液を加え、混合したのちトリエチルアミン28部を加えて中和する。ついで内容物を撹拌しながら脱イオン水を固形分が10%になるまで徐々に加えてpH7.8の電着塗装浴とした。
【0075】
【化2】
【0076】
製造例5
合成例5で得た光硬化性樹脂溶液180部、すなわち固形分100部を酢酸エチル290部に溶解させたのち、下記式(III)の増感剤1部をベンジルアルコール5部に溶解させた溶液を加えてよく混合した。さらに重合開始剤として下記式(IV)のチタノセン化合物1部をベンジルアルコール10部に溶解させた溶液と、下記式(V)のベンゾトリアゾール2部を酢酸エチル20部に溶解させた溶液を加え、よく撹拌して感光性レジスト液を得た。
【0077】
【化3】
【0078】
【化4】
【0079】
【化5】
【0080】
製造例6
重合開始剤チタノセン化合物1部に代えて、3,3′、4,4′−テトラ(ターシヤリーブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフエノン9部を用いる以外は、製造例5と全く同様にして感光性レジスト液を得た。
【0081】
製造例7
合成例6で得られたカルボキシル基含有重合体(固形分50%)200部、合成例7で得られたビニルエーテル化合物20部、下記式(VI)の光酸発生剤7.5部及び下記式(VII)の増感色素1部の混合物をジエチレングリコールジメチルエーテル20%の感光性レジスト液を得た。
【0082】
【化6】
【0083】
【化7】
【0084】
実施例1
0.15から5.0mmまで段階的に孔径を変えた孔内壁に銅メツキ層を有する厚さ1.6mmのガラスエポキシ系銅貼積層基板の両面に製造例5で得られた感光性レジストを静電スプレー法により乾燥膜厚が7μmになるように塗布した後、80℃で5分加熱し、室温まで冷却した後5%のポリビニルアルコール水溶液をデイツプ塗装法により乾燥膜厚2μmになるように塗布し、60℃で5分加熱し、室温まで冷却した後、ライン/スペースが30μm/30μmから100μm/100μmまでの線幅を有する所定の回路パターンをアルゴンイオンレーザー直描法でレジスト被膜上に照射量1.5mJ/cm2で照射した。
【0085】
次いで製造例1の電着塗料浴に浸漬し、該基板を陽極とし対極との間に70Vの直流を25秒間印加した。該基板を水洗、80℃で10分加熱後室温まで冷却し、25℃の1%炭酸ソーダ水溶液を用いて現像し、次いで塩化第2銅系のエツチング溶液を用い45℃でエツチングし、更に50℃の3%苛性ソーダ水溶液で基板上に残存するレジスト膜及びスルーホール内の電着塗膜を除去した。
【0086】
形成された回路板の回路パターン及びスルーホール内部を100倍の顕微鏡で観察した結果、全ての回路パターンは完全に解像され、線幅再現性は非常に良好であり、スルーホール内の銅メツキは完全に保護され、メツキ部の部分エツチング、変色などの欠陥は一切認められなかつた。
【0087】
実施例2
感光性レジストとして製造例6で得られた感光性レジストを使用し、レジスト膜厚5μmとし、電着塗料として製造例2の電着塗料を使用する以外は実施例1と全く同様にして回路板を形成した。
【0088】
形成された回路及びスルーホール内の銅メツキの状態は実施例1と全く同様非常に良好であつた。
【0089】
実施例3
電着塗料として製造例3の電着塗料を使用し、電着塗装を基板を陰極とし対極との間に50Vの直流を45秒間印加する以外は実施例1と全く同様にしてエツチングまでを行なつた後、50℃の3%苛性ソーダ水溶液で残存するレジスト膜を除去し、次いで50℃の5%乳酸水溶液でスルーホール内の電着塗膜を除去した。
【0090】
形成された回路及びスルーホール内の銅メツキの状態は実施例1と全く同様非常に良好であつた。
【0091】
実施例4
電着塗料として製造例4の電着塗料を使用し、レジスト膜及び電着塗膜の除去を50℃の1%苛性ソーダ水溶液で行なう以外は実施例1と全く同様にして回路板を形成した。
【0092】
形成された回路及びスルーホール内の銅メツキの状態は実施例1と全く同様非常に良好であつた。
【0093】
実施例5
製造例7で得られた感光性レジスト液を実施例1の基板上に乾燥膜厚5μmになるように静電スプレー法で塗装し、100℃で10分加熱後照射量を3mJ/cm2とする以外は実施例1と全く同様にして露光及び電着塗料例1を電着塗装し、次いで120℃で10分加熱後室温まで冷却し、実施例1と全く同様に現像、エツチング、レジスト膜及び電着塗膜除去を行い回路基板を形成した。
【0094】
形成された回路及びスルーホール内の銅メツキの状態は実施例1と全く同様非常に良好であつた。
Claims (2)
- (1) 両面に導電層を有する基板に孔加工を施してスルーホールを形成し、少くとも該スルーホールの孔壁部にメツキを施す工程、
(2) 基板の両面にネガ型の感光性レジスト被膜を形成する工程、
(3) 該レジスト被膜上に活性光線を直接描画法により得ようとするパターン状に照射する工程、
(4) 現像液及びエツチング液に溶解せず、剥離液で除去可能な被膜を形成する電着塗料を電着法によりスルーホールの孔壁部に塗布する工程、
(5) 適当な現像液で現像し、ネガ型感光性レジスト被膜の未露光部分を除去する工程、
(6) 露出したメツキ層及び導電層をエツチングにより除去する工程、及び
(7) 適当な剥離液により残存する感光性レジスト被膜及びスルーホール内の電着被膜を同時に或いは別々に剥離する工程
よりなることを特徴とする回路板の製造方法。 - (1) 両面に導電層を有する基板に孔加工を施してスルーホールを形成し、少くとも該スルーホールの孔壁部にメツキを施す工程、
(2) 基板の両面にポジ型の感光性レジスト被膜を形成する工程、
(3) 該レジスト被膜上に活性光線を直接描画法により得ようとするパターンの逆パターン状に照射する工程、
(4) 現像液及びエツチング液には溶解せず、剥離液で除去可能な被膜を形成する電着塗料を電着法によりスルーホールの孔壁部に塗布する工程、
(5) 適当な現像液で現像し、ポジ型感光性レジスト被膜の露光部分を除去する工程、
(6) 露出したメツキ層及び導電層をエツチングにより除去する工程、及び
(7) 適当な剥離液により残存する感光性レジスト被膜及びスルーホール内の電着被膜を同時に或いは別々に剥離する工程
よりなることを特徴とする回路板の製造方法。
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