JP3583023B2 - コンバインのアンローダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインのアンローダに係り、詳しくは、穀粒タンクの底部から搬出される穀粒を揚送する縦オーガと、この縦オーガの上端部に上下揺動可能に連結された横オーガとで構成され、この横オーガを縦オーガの縦軸心を旋回軸心として旋回可能に構成するとともに、その旋回範囲を接当規制するよう構成したコンバインのアンローダに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成のアンローダにおいては、横オーガを起伏揺動させる電気式あるいは油圧式のアクチュエータを、旋回する横オーガ側に装備する関係から、これらアクチュエータへの配線や油圧ホースを保護するために、横オーガを無制限に旋回させないようにする必要があり、そのために旋回範囲を接当規制するようにしており、従来の旋回範囲規制手段としては、図6に示すように、旋回部位側に設けた接当部31を固定ストッパ32に周方向の正逆方向から接当させる構造が採用されており、これによって横オーガの旋回範囲は360度より小さい範囲に制限されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来のストッパ構造によると、横オーガの旋回に死角できることになり、希望する穀粒搬出方向がこの死角領域に入っていると、機体向きを変更せざるを得ず、穀粒搬出作業におけるアンローダの向き設定に手間取るものとなる。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、横オーガを無制限に旋回させないようにして、横オーガ側に備えられたアクチュエータへの配線や油圧ホースを保護できるものでありながら、横オーガを全方向に移動させて所望の方向への穀粒搬出を行うことができるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0006】
(構成)
請求項1に係る発明は、穀粒タンクの底部から搬出される穀粒を揚送する縦オーガと、この縦オーガの上端部に起伏揺動可能に連結された横オーガとで構成され、この横オーガを縦オーガの縦向き軸心を中心として旋回可能に構成するとともに、その旋回範囲を接当規制するよう構成してあるコンバインのアンローダにおいて、前記縦向き軸心周りに所定の小角度範囲で正逆に回動変位可能な可動ストッパを備えるとともに、この可動ストッパに周方向の正逆方向から接当する接当部を旋回部位側に設け、前記可動ストッパを、前記縦向き軸心を中心として回動可能なリング状に構成し、リング状の前記可動ストッパを固定部位と旋回部位との間に配備するとともに、この可動ストッパに、固定部位と旋回部位とで上下から挟持される鋼球群を保持させてあることを特徴とする。
【0007】
(作用)
上記構成によると、可動ストッパと接当部とにより規制される旋回可能角度と、可動ストッパ自体が許容される回動角度との和が横オーガの旋回可能角度となり、可動ストッパ自体が許容される回動角度を、可動ストッパと接当部とによる旋回の死角より大きく設定することで、横オーガの旋回可能角度を360度より大きくすることができ、横オーガを縦向き軸心周りの全方向へ移動させることができる。
上記構成によると、可動ストッパを縦オーガに外嵌装着するだけで回動可能に支持することができ、また、リング状の可動ストッパを鋼球群のリテナーとしたスラストベアリング構造を構成することができる。
【0008】
(効果)
従って、請求項1の発明によると、機体をどのような向きに停止しても、横オーガを所望の向きに旋回移動させることができ、横オーガの向き設定に手間取るようなことなく穀粒搬出作業を能率よく行える。
上記構成によると、可動ストッパを縦オーガに外嵌装着するだけで回動可能に支持することができて、可動ストッパの装着構造が簡単容易となり、また、リング状の可動ストッパを鋼球群のリテナーとしたスラストベアリング構造を構成することができるので、高価なベアリングを組み込むことなく、抵抗の少ない円滑な横オーガ旋回作動を行わせることが可能となる。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【発明の実施の形態】
図1および図2に、収穫した穀粒をタンク回収できるよう構成されたコンバインが例示されている。このコンバインは、クローラ走行装置1で走行する機体2の前部に刈取り前処理部3が昇降可能に連結されるとともに、機体上の左側には、刈取り前処理部3から搬送されてきた刈取り穀稈を脱穀処理して穀粒を選別回収する脱穀装置4が搭載され、また、エンジン5を収容した搭乗操縦部6が機体の右側前部に配備されるとともに、その後方には、脱穀装置4で選別回収されてスクリュウコンベア7で揚送された穀粒を収集する穀粒タンク8が配備された構造となっている。
【0016】
前記穀粒タンク8の下部には、貯留した穀粒を後方に搬出する底スクリュウ9が内装されるとともに、穀粒タンク8の後方には、底スクリュウ9で搬出されてきた穀粒を揚送した後、任意の方向に横送りして排出するスクリュウ式のアンローダ10が配備されている。
【0017】
このアンローダ10は、穀粒タンク8の下部後端に連結された接続ケース11上に立設された縦オーガ12と、その上端に上部接続ケース13を介して連通接続された屈伸可能な横オーガ14とから構成されており、縦オーガ12に内装された縦スクリュウ12aと前記底スクリュウ9とが接続ケース11内でギヤ連動されるとともに、縦スクリュウ12aと横オーガ14に内装された横スクリュウ14aとが上部接続ケース13内でギヤ連動され、底スクリュウ9の前端に入力された動力によって縦スクリュウ12aおよび横スクリュウ14aが一連に駆動され、もって、穀粒タンク8の下部から底スクリュウ9で搬出された穀粒が、一旦、縦オーガ12によって揚送された後、横オーガ14で横送りされて、その先端の吐出口14bから排出されるようになっている。
【0018】
前記横オーガ14は、その基端において横向き軸心Pを中心にして起伏揺動可能に支持されるとともに、前記縦オーガ12は、そのスクリュウ軸心である縦向き軸心Xを中心にして旋回可能に支持されており、横オーガ14の前記縦向き軸心Xを中心にしての旋回と、前記横向き軸心Pを中心にしての起伏によって、吐出口14bを所望の位置に移動させて穀粒排出を行わせることができるよう構成されている。
【0019】
縦オーガ12と横オーガ14とに亘って電動モータ15aとネジ送り機構15bとを組合わせてなる伸縮装置15が架設されており、スイッチ操作によって電動モータ15aを正逆回転駆動することで横オーガ14を起伏揺動することができるようになっている。
【0020】
そして、移動走行中は、図示のように、横オーガ14を斜め左前方に向かう所定の旋回位置に移動させて、機体上に立設された支持部16の上に下降載置することで、アンローダ10を安定的に格納保持できるようになっている。
【0021】
また、図3,図4に示すように、縦オーガ12の下部外周にはリングギヤ17が固設されるとともに、このリングギヤ17が咬合するウオームギヤ18が接続ケース11に支持され、ウオームギヤ18を電動モータ19で正逆回転駆動することで縦オーガ12を正逆に旋回させることができるよう構成されている。
【0022】
起伏用の前記電動モータ15aと旋回用の電動モータ19とは、搭乗操縦部6の後部に配備された十字操作式のスイッチレバー20の操作、あるいは、横オーガ先端の吐出口14bの上部に脱着自在に装着されたリモコン操作器21での操作によって作動されるようになっている。
【0023】
横オーガ起伏用の電動モータ15a、旋回用の電動モータ19、および、リモコン操作器21への配線を縦オーガ12に巻き付けて損傷しないために、前記横オーガ14の旋回範囲を規制するためのストッパ構造が備えられており、以下その構成について説明する。
【0024】
図4に示すように、横オーガ14と一体に旋回する縦オーガ12の下端は接続ケース11に旋回可能に内嵌され、この縦オーガ12外周に設けたフランジ部22が受け金具23で上方から受け止め支持されることで、縦オーガ12の浮き上がりが阻止されている。そして、前記受け金具23は接続ケース11に連結された固定ストッパ24の上端に設けられている。
【0025】
接続ケース11の上端面と前記フランジ部22との間にはリング状の可動ストッパ25が前記縦向き軸心Xを中心に回動可能に装着されるとともに、周方向の複数箇所において、可動ストッパ25の厚さより若干大きい径の鋼球26群が遊転可能に保持されている。このように、可動ストッパ25を鋼球26群のリテナーに利用したスラストベアリング構造が構成され、縦オーガ12および横オーガ14の旋回抵抗が軽減されている。
【0026】
前記フランジ部22の外周部一か所には接当部27が突設されるとともに、前記可動ストッパ25の外周部には、前記固定ストッパ24に周方向に正逆両方向から接当可能に第1接当部28aと第2接当部28bが突設されている。ここで、固定ストッパ24はフランジ部22の接当部27には干渉しない半径位置に設けられるとともに、第1接当部28aが第2接当部28bより高く構成され、フランジ部22の接当部27は、第1接当部28aとは干渉するが第2接当部28bとは干渉しないようになっている。
【0027】
図5(a)は、横オーガ14が反時計方向に旋回されて限界位置に到達した状態を示し、この時、旋回部位側であるフランジ部22の接当部26が可動ストッパ25の第2接当部28bに反時計方向から干渉接当するとともに、可動ストッパ25の第2接当部28bが固定ストッパ24に反時計方向から接当することで、可動ストッパ25がそれ以上の反時計方向へ旋回するのが阻止された状態となっている。
【0028】
この状態から横オーガ14を時計方向に旋回開始すると、図5(b)に示すように、可動ストッパ25を残したままでフランジ部22の接当部27のみがが時計方向に移動し、接当部27は固定ストッパ24を時計方向に通過してゆく。なお、図中のR位置は、横オーガ14がが支持部16に受け止め支持される格納位置を示している。
【0029】
横オーガ14の時計方向への旋回が進行すると、フランジ部22の接当部27が可動ストッパ25の第1接当部28aに時計方向から接当して、横オーガ14と共に可動ストッパ25も時計方向に回動されてゆく。そして、図5(c)に示すように、横オーガ14と共に回動する可動ストッパ25の第1接当部28aが固定ストッパ24に時計方向から接当してそれ以上の時計方向への旋回が阻止される。
【0030】
ここで、フランジ部22の接当部27が可動ストッパ25の第1接当部28aに周方向の正逆方向から接当する回動角度をα、可動ストッパ25が固定ストッパ24に対して回動許容される回動角度をβとすると、横オーガ14が許容される旋回角度θは(α+β)となる。図示の場合、αが約315°、βが約65°であるので、横オーガ14が許容される旋回角度θは約380°となる。
【0031】
〔別実施形態〕
[1] 上記実施例では、旋回駆動部が縦オーガ12の下部に配備されている関係で、横オーガ14と一体に縦オーガ12も旋回する構造となっているが、旋回駆動部が縦オーガ12の上端近くに配備される仕様のアンローダでは、横オーガ14と上部接続ケース13が旋回しない固定の縦オーガ部分に対して旋回作動する構造となる。
【0032】
[2] 可動ストッパ25を所望の小角度範囲でのみ回動可能とする手段は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、リング状の可動ストッパ25に円弧状長孔を形成し、この円弧状長孔に接続ケース11の上端面に植設したピン状の固定ストッパ24を係入することで、円弧状長孔の範囲で可動ストッパ25を回動可能に支持することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンローダを格納した状態のコンバインの全体側面図
【図2】アンローダを格納した状態のコンバインの全体平面図
【図3】旋回駆動部を示す平面図
【図4】旋回規制部を示す縦断正面図
【図5】旋回規制部の作動状態を示す平面図
【図6】従来の旋回規制部を示す平面図
【符号の説明】
8 穀粒タンク
12 縦オーガ
14 横オーガ
25 可動ストッパ
26 鋼球
27 接当部
Claims (1)
- 穀粒タンクの底部から搬出される穀粒を揚送する縦オーガと、この縦オーガの上端部に起伏揺動可能に連結された横オーガとで構成され、この横オーガを縦オーガの縦向き軸心を中心として旋回可能に構成するとともに、その旋回範囲を接当規制するよう構成してあるコンバインのアンローダにおいて、
前記縦向き軸心周りに所定の小角度範囲で正逆に回動変位可能な可動ストッパを備えるとともに、この可動ストッパに周方向の正逆方向から接当する接当部を旋回部位側に設け、
前記可動ストッパを、前記縦向き軸心を中心として回動可能なリング状に構成し、リング状の前記可動ストッパを固定部位と旋回部位との間に配備するとともに、この可動ストッパに、固定部位と旋回部位とで上下から挟持される鋼球群を保持させてあることを特徴とするコンバインのアンローダ。
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