JP3580110B2 - ポリエステル繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル繊維構造物およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、難燃性、防かび性、撥水性を有するポリエステル繊維構造物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル系繊維製品は衣料用、インテリア用に広く利用されているが、これら繊維製品においては繊維表面に付着した人体からの汗や、大気中の汚れを栄養源として繁殖した細菌やかびなどの微生物により悪臭を発生したり、皮膚障害や疾病を起こしたり、衛生上好ましくない影響を受けている。
【0003】
一方、マッチ、煙草などを出火源とする火災の被害を最小限に抑えるため、ホテル、病院、映画館などで使用されるインテリア材料は消防法により規制がされている。
【0004】
このような状況の中で、安全性が高く快適な生活環境をつくるうえで、防かび性、撥水性、防汚性、難燃性を同時に兼ね備えた繊維製品の開発が望まれている。 しかし、繊維に対して防かび性を有する化合物を溶液あるいはエマルジョンにてスプレーする方法が特開昭57−171771号公報に開示されているが、これだけでは効果に持続性がなく、洗濯などにより防かび剤が脱落してしまう。また特開平3−27183号公報にはアクリル樹脂と併用する方法が提案されているが繊維布帛の風合いが損なわれてしまう。さらに難燃性ポリエステルに繊維に処理した場合、溶融時の粘度が高くなりドリップ性が悪くなるため必要な難燃性が得られない。
【0005】
また、繊維製品の織編物の形態で後加工により難燃性を付与する方法は、必要に応じて自由に加工できる利点があるが、現在ハロゲン系化合物を用いた後加工難燃法が最も主流として利用されている。しかし、ハロゲン系化合物は燃焼した場合に有害ガスが発生しやすく、近年世界的な環境問題が重視されている中で、技術改良の機運が高まりつつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、燃焼時に有害ガスの発生のない難燃性ポリエステル繊維構造物で、かつ、洗濯耐久性、ドライクリーニング耐久性のある防かび性・撥水性能を付与したポリエステル繊維構造物およびその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために、本発明のポリエステル繊維構造物は次の構成を有する。
【0008】
すなわち、ポリエステル繊維構造物であって、下記(I)式または下記(II)式で表される線状または環状のホスファゼン化合物が1.5〜10%owfとベンズイミダゾール系化合物を0.1〜5%owf、ポリフルオロアルキル基を含むウレタン系化合物を0.1〜5%owf含有するポリエステル繊維構造物である。
【0009】
【化7】
(式(I)中のX1〜X3はアミノ基、フェノキシ基のいずれかである。Y1〜Y3はアミノ基、フェノキシ基のいずれかである。)
【化8】
(式(II)中のX1〜X4はアミノ基、フェノキシ基のいずれかである。Y1〜Y4はアミノ基、フェノキシ基のいずれかである。)
また、本発明のポリエステル繊維構造物の製造方法は次の構成を有する。
【0010】
すなわち、固形分が5.0〜20%owfの前記ホスファゼン化合物を含む染色浴中で、浴比を1:50〜1:10とし、100℃以上でポリエステル繊維構造物を処理した後、ベンズイミダゾール系化合物を0.1〜10%owf、ポリフルオロアルキル基を含むウレタン系化合物を0.1〜10%owf含む混合水溶液を付与し、熱処理するポリエステル繊維構造物の製造方法である。
【0011】
さらにまた、前記ホスファゼン化合物が含有されてなる分散液中にポリエステル繊維構造物を浸漬し、脱液・乾燥後、150℃以上の雰囲気下で該ホスファゼン化合物を吸尽処理させた後に、ベンズイミダゾール系化合物を0.1〜10%owf、ポリフルオロアルキル基を含むウレタン系化合物を0.1〜10%owf含む混合水溶液を付与し、熱処理するポリエステル繊維構造物の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明においてポリエステル繊維は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはエチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し成分とするもの(具体的には繰り返し単位の90モル%以上)、ブチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し成分とするもの(具体的には繰り返し単位の90モル%以上)などからなる繊維を好ましく用いることができる。なかでも、エチレンテレフタレート単位が90モル%以上繰り返し成分とするポリエステルからなるポリエステル繊維が好ましく、エチレンテレフタレート単位が95モル%以上繰り返し成分とするポリエステルからなるポリエステル繊維であることがより好ましい。エチレンテレフタレート単位が100モル%繰り返し成分とするポリエステル(すなわち、ポリエチレンテレフタレート)からなるポリエステル繊維であることは更に好ましい。
【0014】
なお、ポリエステルに共重合されてもよい成分としては、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなどの脂肪族または芳香族ジオールなどを用いることができる。
【0015】
これら、ポリエステル系繊維の断面形態は丸形、異形を問わない。また繊維構造物の形態は不織布、織物、編物であってもよい。
【0016】
本発明に用いるホスファゼン化合物は主にポリエステル繊維に難燃性を付与することが目的であり、1.5〜10%owfの割合でポリエステル繊維構造物に付与せしめることが重要である。1.5%owf未満では難燃性が不十分となり、10%owfを越える場合には繊維構造物の風合いが損なわれる。また、ポリエステルに対する吸尽性を高めるために前記式(I)または(II)におけるホスファゼン化合物中の総フェノキシ基数は2個以上となるのが好ましい。特に式(I)では2個以上6個以下となるのが好ましく、式(II)では2個以上6個以下となるのが好ましい。前記ホスファゼン中の置換基X、Yがすべてアミノ基の場合は洗濯耐久性が低く、また、すべてフェノキシ基の場合はドライクリーニング性が不十分である。
【0017】
本発明で用いるホスファゼン化合物は、難燃性を得るため、例えば、JIS−L1091D法(接炎回数)に合格するためには、化合物中のリン元素含有量により異なるが、ポリエステル繊維に対して0.2%owf以上のリン元素が含まれるように本発明の化合物を付与するのが好ましい。一方10%owf以上付与すると難燃性を得るリン元素量としては十分付与できるが風合いが硬くなり好ましくない。
【0018】
本発明のホスファゼン化合物の実際の使用に際しては水に微分散させて用いることが好ましい。水に微分散させる方法としては特に限定されるものではないが、分散効率の観点から、次の方法が好ましく用いられる。すなわち、本発明のホスファゼン化合物、分散剤、および水を混合し、攪拌し分散する。この分散物をガラスビーズ粉砕機で粉砕、分散操作を行うのが一般的である。また、他の方法として本発明のホスファゼン化合物を溶解し得る溶媒で溶解した後、攪拌しながら水と混合してエマルジョン化して用いても差しつかえない。
【0019】
本発明におけるホスファゼン化合物をポリエステル繊維に吸尽させる方法としては浴中処理法、パッド・ドライ/キュアー法等を用いることができる。浴中処理法とは、微分散させたホスファゼン化合物の分散液中で、100℃以上の温度でポリエステルに吸尽処理する方法である。また、染色浴中にホスファゼン化合物を投入し、染色と難燃加工を同時に行うこともできる。その場合、ポリエステル繊維への吸尽効率を考慮し、本発明のホスファゼン化合物中のリン元素がポリエステル繊維に対して0.2%owf以上吸尽されるように投入量を調整する。その他、通常の染色に使用される染料、pH調整剤、均染剤などを適宜添加する。本発明のホスファゼン化合物の吸尽効率の観点から、浴比は1:5〜1:100が好ましく、吸尽性を高めるために1:5〜1:30がより好ましい。浴中処理における処理温度は100℃以上とするものである。処理温度が100℃に満たないとポリエステル繊維に難燃剤を十分に付与しにくい。吸尽効率の観点から、120℃〜135℃の温度で30〜60分間浴中処理し、その後、処理布帛は通常の洗浄、乾燥を行うことが好ましい。さらに、浴中処理後に還元洗浄を施したり、乾燥後に熱処理することもできる。
【0020】
一方、パッド・ドライ/キュアー法とは本発明のホスファゼン化合物の分散液にポリエステル繊維を浸漬/マングルで脱液した後、100℃以上で乾燥し、その後、150℃以上で吸尽処理する方法を用いることができる。本発明のホスファゼン化合物の均一付与観点から、浸漬/マングルで脱液した後、100〜120℃の温度で乾燥し、その後、170〜200℃の温度で10〜180秒間の熱処理を行うのが好ましい。
【0021】
ポリエステル繊維への均一吸尽および分散液の安定性から本発明のホスファゼン化合物の粒径は10ミクロン以下が好ましく、5ミクロン以下がより好ましく、1ミクロン以下であればさらに好ましい。
【0022】
次に、本発明に用いるベンズイミダゾール系化合物の具体例としては、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−メトキシカルボニルアミノ−ベンズイミダゾールなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。ベンズイミダゾール系化合物の付着量は繊維に対して、0.1〜5%owf、好ましくは0.1〜3%owf付着せしめるものである。0.1%owf以下では十分な抗菌防かび性能が得られない問題があり、一方、5%owf以上の場合撥水性が低下するため好ましくない。
【0023】
本発明で用いるポリフルオロアルキル基を含むウレタン系化合物は下記式(III)で表される化合物を好適なものとして例示できる
【化9】
上記式(III)において、Rfは炭素数4〜16個の直鎖または分岐状のポリフルオロアルキル基であり、通常は末端部がパーフルオロアルキル基であるものが使用されるが、末端部に水素原子あるいは塩素原子を含むもの、あるいはオキシパーフルオロアルキレン含有基なども使用可能である。Rf基の好ましい態様はパーフルオロアルキル基であり、炭素数4〜12のものが特に好ましい。Xは−R−、−CON(Rf)−Q−、または−SO2N(R1)−Q−(但し、Rはアルキレン基、R1は水素原子または低級アルキル基、Qは二価の有機基を示す)の一つであり、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましい。AおよびA1は各−O−、−N(R2)−(但し、R2は水素原子または低級アルキル基を示す)が好適である。Zは非親水性の一価有機基であり、アルキル基、アリール基、ヘテロ原子を含むもの、さらには−X−Rfなどが例示可能であるが、撥水、撥油の面からは低級アルキル基が好ましい。Yは二価の有機基であり、通常では炭素数24個以下、特に6〜15個のものが選定され、ウレタン分子を硬直化し耐久性を向上させるという面から芳香族または脂肪族環を少なくとも1個含むものが好ましく採用される。また、nは1個以上の正数であり、とくに1〜3の正数が選定される。
【0024】
ポリフルオロアルキル基含有化合物の付着量は繊維に対して、0.1〜5%owfとするものである。0.1%owfに満たない場合には十分な撥水性が得られず、また防かび性が不十分になる。一方、5%owfを越える場合には、コスト面で実用上好ましくない。
【0025】
ベンズイミダゾール系化合物およびポリフルオロアルキル基含有化合物の付与方法としては、前記難燃処理後に、ベンズイミダゾール系化合物の0.1〜10%owfとポリフルオロアルキル基含有化合物の0.1〜10owf%の混合水溶液を浸漬処理、スプレー処理、泡処理、グラビア処理などの任意の方法により繊維表面に付与し、100〜200℃の乾燥、熱処理を行うものである。ベンズイミダゾール系化合物の濃度が0.1%owfに満たない水溶液の場合は、十分な防かび性能が得られない。一方、10%owfを越える水溶液の場合は、撥水性能が低下し、コスト面でも実用上好ましくない。
【0026】
また、上記混合液にブロックイソシアネート化合物が適量含まれていてもさしつかえない。
【0027】
熱処理としては、乾燥とセットを同時に行うテンター1段仕上げを採用することも可能である。150℃未満の熱処理では耐久性の面で十分でなく、一方、210℃を越えると繊維の黄化、脆化の危険性があり、実用的に好ましくない。
【0028】
ここで、本発明品が従来のスプレー法付与にくらべ、防かび性能に耐久性がある理由としては、本発明に用いるベンズイミダゾール系化合物が熱処理をうけることにより繊維内部に吸尽されるためと考えられる。
【0029】
以下、実施例によりさらに詳細に説明する。なお、実施例中の性能評価は次の方法によった。
【0030】
〈洗濯方法〉
家庭用洗濯機VH−3410(東芝(株)製)を用いて、弱アルカリ洗剤“ザブ”(登録商標、花王(株)製)0.2重量%、温度40℃±2℃浴比、1:30で5分間処理した後、排液脱水し、オーバーフローさせながら2分間すすぎ洗いを2回繰り返し行う。これを洗濯1回とする。
【0031】
〈難燃性評価〉
JIS L−1091D法(接炎回数)により測定した。
【0032】
〈防かび性評価〉
JIS Z−2911 6.2.2(繊維製品試験;湿式法)により測定した。
【0033】
〈撥水性評価〉
JIS L−1092 スプレー法で測定した。
【0034】
【実施例】
(実施例1、比較例1)
経糸、緯糸とも150デニール−48フィラメントの加工糸のポリエステル系繊維100%使いの平織物をサンデットG−29(三洋化成(株)製)1g/l、水酸化ナトリウム(30%)2g/lを含む処理液中で80℃×15分間の条件で精錬を行った後、乾燥し150℃×30秒間の条件で中間セットを行い、次の配合の染色、難燃剤(前記式(I))処理液を使用して液流染色機により、浴比1:20として130℃×60分間処理した。
【0035】
次に、サンデットG−29(三洋化成(株)製)1g/l、水酸化ナトリウム(30重量%)2g/l、ハイドロサルファイト1g/lからなる処理液中で80℃×20分間の条件で還元洗浄し、60℃×10分間湯洗後、さらに水洗を行った。その後、前記一般式において、RfをC9F19CH2CH2O、XをCONH(CH2)6、AをNH、A1をO、Yを(CH2)6、ZをC9F19CH2CH2、n=2としたポリフルオロアルキル基含有ウレタン系化合物を0.1%ows、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾールを0.05%ows、0.1%ows、1.0%ows、5.0%ows、8.0%owsを含む処理液をそれぞれ調製し、該染色布帛を浸漬した後、ピックアップ率100%で絞り、ピンテンターで120℃×2分間乾燥後、170℃×30秒間熱処理してポリエステル系繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の難燃性、防かび性、撥水性を評価し結果を表1に示した。
【0036】
表1のとおり、難燃性についてはいずれも接炎回数3回以上で合格であった。防かび剤の含有量が0.1%owf未満(比較例1−1)では防かび性が不十分であった。また、5%owf以上(比較例1−2)では撥水性が低下した。
【0037】
(実施例2、比較例2)
難燃剤として、前記式(II)に示すホスファゼン化合物(フェノキシ基:アミノ基の全体の割合が50:50)を用いる以外は、実施例1と同様の処理と評価を行い、結果を表1に併せて示した。難燃性についてはいずれも接炎回数3回以上で合格であった。防かび剤の含有量が0.1%owf未満(比較例2−1)では防かび性が不十分であった。5%owf以上(比較例2−2)では撥水性が低下した。
【0038】
(実施例3、比較例3)
実施例1と同様の条件で染色と難燃処理を行った布帛を、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾールを2.0%ows、前記一般式において、RfをC9F19CH2CH2O、XをCONH(CH2)6、AをNH、A1をO、Yを(CH2)6、ZをC9F19CH2CH2、n=2としたポリフルオロアルキル基含有ウレタン系化合物を0.05%ows、0.1%ows、1.0%ows、5.0%ows含む処理液をそれぞれ調整し、染色布帛を浸漬した後、ピックアップ率100%で絞り、ピンテンターで120℃×2分間乾燥後、170℃×30秒間熱処理してポリエステル系繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の防かび性、撥水性、難燃性を評価し結果を表2に示した。比較のため実施例3の染色、難燃処理布を、ポリフルオロアルキル基含有アクリル系化合物を10.0%ows、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾールを2.0%owsとした処理液に浸漬し、以下実施例3と同一条件で処理した(比較例3−2)。その結果を表2に併せて示した。防かび性、撥水性は十分であったが、難燃性が低下した。
【0039】
(実施例4、比較例4)
実施例1で用いた同じ布帛を用いて、テトラフェノキシジアミノシクロトリホスファゼン(50重量%分散液)を3%ows、5%ows、10%ows、20%ows、に調製した処理浴に布帛をし浸漬した後、ピックアップ率100%で絞り、ピンテンターで120℃×1分間乾燥後、180℃×1分間熱処理した。その後、前記一般式において、RfをC9F19CH2CH2O、XをCONH(CH2)6、AをNH、A1をO、Yを(CH2)6、ZをC9F19CH2CH2、n=2としたポリフルオロアルキル基含有ウレタン系化合物を0.1%ows、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾールを1.0%owsを含む処理液を調製し、先に難燃処理を施した染色布帛を浸漬した後、ピックアップ率100%で絞り、ピンテンターで120℃×2分間乾燥後、170℃×30秒間熱処理してポリエステル系繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の防かび性、撥水性、難燃性を評価し結果を表3に示した。表3に示すように十分な難燃性、防かび性、撥水性を得ることができた。しかし、難燃剤として1.0%owf付与した水準(比較例4−1)では防かび性、撥水性を得られるが十分な難燃性能が得られなかった。
【0040】
【表1】
【表2】
【表3】
【0041】
【発明の効果】
本発明により得られたポリエステル系繊維構造物は、燃焼時において有害ガスを発生することなく、地球環境に優しく、かつ防炎基準に合格する難燃性能を維持し、しかも洗濯耐久性に優れた防かび性、撥水性を有している。また、これまで困難とされていたポリエステル系繊維の難燃、撥水性能の複合化が可能になり、カーテン分野への商品展開を幅広いものとすることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル繊維構造物およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、難燃性、防かび性、撥水性を有するポリエステル繊維構造物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル系繊維製品は衣料用、インテリア用に広く利用されているが、これら繊維製品においては繊維表面に付着した人体からの汗や、大気中の汚れを栄養源として繁殖した細菌やかびなどの微生物により悪臭を発生したり、皮膚障害や疾病を起こしたり、衛生上好ましくない影響を受けている。
【0003】
一方、マッチ、煙草などを出火源とする火災の被害を最小限に抑えるため、ホテル、病院、映画館などで使用されるインテリア材料は消防法により規制がされている。
【0004】
このような状況の中で、安全性が高く快適な生活環境をつくるうえで、防かび性、撥水性、防汚性、難燃性を同時に兼ね備えた繊維製品の開発が望まれている。 しかし、繊維に対して防かび性を有する化合物を溶液あるいはエマルジョンにてスプレーする方法が特開昭57−171771号公報に開示されているが、これだけでは効果に持続性がなく、洗濯などにより防かび剤が脱落してしまう。また特開平3−27183号公報にはアクリル樹脂と併用する方法が提案されているが繊維布帛の風合いが損なわれてしまう。さらに難燃性ポリエステルに繊維に処理した場合、溶融時の粘度が高くなりドリップ性が悪くなるため必要な難燃性が得られない。
【0005】
また、繊維製品の織編物の形態で後加工により難燃性を付与する方法は、必要に応じて自由に加工できる利点があるが、現在ハロゲン系化合物を用いた後加工難燃法が最も主流として利用されている。しかし、ハロゲン系化合物は燃焼した場合に有害ガスが発生しやすく、近年世界的な環境問題が重視されている中で、技術改良の機運が高まりつつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、燃焼時に有害ガスの発生のない難燃性ポリエステル繊維構造物で、かつ、洗濯耐久性、ドライクリーニング耐久性のある防かび性・撥水性能を付与したポリエステル繊維構造物およびその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために、本発明のポリエステル繊維構造物は次の構成を有する。
【0008】
すなわち、ポリエステル繊維構造物であって、下記(I)式または下記(II)式で表される線状または環状のホスファゼン化合物が1.5〜10%owfとベンズイミダゾール系化合物を0.1〜5%owf、ポリフルオロアルキル基を含むウレタン系化合物を0.1〜5%owf含有するポリエステル繊維構造物である。
【0009】
【化7】
(式(I)中のX1〜X3はアミノ基、フェノキシ基のいずれかである。Y1〜Y3はアミノ基、フェノキシ基のいずれかである。)
【化8】
(式(II)中のX1〜X4はアミノ基、フェノキシ基のいずれかである。Y1〜Y4はアミノ基、フェノキシ基のいずれかである。)
また、本発明のポリエステル繊維構造物の製造方法は次の構成を有する。
【0010】
すなわち、固形分が5.0〜20%owfの前記ホスファゼン化合物を含む染色浴中で、浴比を1:50〜1:10とし、100℃以上でポリエステル繊維構造物を処理した後、ベンズイミダゾール系化合物を0.1〜10%owf、ポリフルオロアルキル基を含むウレタン系化合物を0.1〜10%owf含む混合水溶液を付与し、熱処理するポリエステル繊維構造物の製造方法である。
【0011】
さらにまた、前記ホスファゼン化合物が含有されてなる分散液中にポリエステル繊維構造物を浸漬し、脱液・乾燥後、150℃以上の雰囲気下で該ホスファゼン化合物を吸尽処理させた後に、ベンズイミダゾール系化合物を0.1〜10%owf、ポリフルオロアルキル基を含むウレタン系化合物を0.1〜10%owf含む混合水溶液を付与し、熱処理するポリエステル繊維構造物の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明においてポリエステル繊維は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはエチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し成分とするもの(具体的には繰り返し単位の90モル%以上)、ブチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し成分とするもの(具体的には繰り返し単位の90モル%以上)などからなる繊維を好ましく用いることができる。なかでも、エチレンテレフタレート単位が90モル%以上繰り返し成分とするポリエステルからなるポリエステル繊維が好ましく、エチレンテレフタレート単位が95モル%以上繰り返し成分とするポリエステルからなるポリエステル繊維であることがより好ましい。エチレンテレフタレート単位が100モル%繰り返し成分とするポリエステル(すなわち、ポリエチレンテレフタレート)からなるポリエステル繊維であることは更に好ましい。
【0014】
なお、ポリエステルに共重合されてもよい成分としては、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなどの脂肪族または芳香族ジオールなどを用いることができる。
【0015】
これら、ポリエステル系繊維の断面形態は丸形、異形を問わない。また繊維構造物の形態は不織布、織物、編物であってもよい。
【0016】
本発明に用いるホスファゼン化合物は主にポリエステル繊維に難燃性を付与することが目的であり、1.5〜10%owfの割合でポリエステル繊維構造物に付与せしめることが重要である。1.5%owf未満では難燃性が不十分となり、10%owfを越える場合には繊維構造物の風合いが損なわれる。また、ポリエステルに対する吸尽性を高めるために前記式(I)または(II)におけるホスファゼン化合物中の総フェノキシ基数は2個以上となるのが好ましい。特に式(I)では2個以上6個以下となるのが好ましく、式(II)では2個以上6個以下となるのが好ましい。前記ホスファゼン中の置換基X、Yがすべてアミノ基の場合は洗濯耐久性が低く、また、すべてフェノキシ基の場合はドライクリーニング性が不十分である。
【0017】
本発明で用いるホスファゼン化合物は、難燃性を得るため、例えば、JIS−L1091D法(接炎回数)に合格するためには、化合物中のリン元素含有量により異なるが、ポリエステル繊維に対して0.2%owf以上のリン元素が含まれるように本発明の化合物を付与するのが好ましい。一方10%owf以上付与すると難燃性を得るリン元素量としては十分付与できるが風合いが硬くなり好ましくない。
【0018】
本発明のホスファゼン化合物の実際の使用に際しては水に微分散させて用いることが好ましい。水に微分散させる方法としては特に限定されるものではないが、分散効率の観点から、次の方法が好ましく用いられる。すなわち、本発明のホスファゼン化合物、分散剤、および水を混合し、攪拌し分散する。この分散物をガラスビーズ粉砕機で粉砕、分散操作を行うのが一般的である。また、他の方法として本発明のホスファゼン化合物を溶解し得る溶媒で溶解した後、攪拌しながら水と混合してエマルジョン化して用いても差しつかえない。
【0019】
本発明におけるホスファゼン化合物をポリエステル繊維に吸尽させる方法としては浴中処理法、パッド・ドライ/キュアー法等を用いることができる。浴中処理法とは、微分散させたホスファゼン化合物の分散液中で、100℃以上の温度でポリエステルに吸尽処理する方法である。また、染色浴中にホスファゼン化合物を投入し、染色と難燃加工を同時に行うこともできる。その場合、ポリエステル繊維への吸尽効率を考慮し、本発明のホスファゼン化合物中のリン元素がポリエステル繊維に対して0.2%owf以上吸尽されるように投入量を調整する。その他、通常の染色に使用される染料、pH調整剤、均染剤などを適宜添加する。本発明のホスファゼン化合物の吸尽効率の観点から、浴比は1:5〜1:100が好ましく、吸尽性を高めるために1:5〜1:30がより好ましい。浴中処理における処理温度は100℃以上とするものである。処理温度が100℃に満たないとポリエステル繊維に難燃剤を十分に付与しにくい。吸尽効率の観点から、120℃〜135℃の温度で30〜60分間浴中処理し、その後、処理布帛は通常の洗浄、乾燥を行うことが好ましい。さらに、浴中処理後に還元洗浄を施したり、乾燥後に熱処理することもできる。
【0020】
一方、パッド・ドライ/キュアー法とは本発明のホスファゼン化合物の分散液にポリエステル繊維を浸漬/マングルで脱液した後、100℃以上で乾燥し、その後、150℃以上で吸尽処理する方法を用いることができる。本発明のホスファゼン化合物の均一付与観点から、浸漬/マングルで脱液した後、100〜120℃の温度で乾燥し、その後、170〜200℃の温度で10〜180秒間の熱処理を行うのが好ましい。
【0021】
ポリエステル繊維への均一吸尽および分散液の安定性から本発明のホスファゼン化合物の粒径は10ミクロン以下が好ましく、5ミクロン以下がより好ましく、1ミクロン以下であればさらに好ましい。
【0022】
次に、本発明に用いるベンズイミダゾール系化合物の具体例としては、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−メトキシカルボニルアミノ−ベンズイミダゾールなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。ベンズイミダゾール系化合物の付着量は繊維に対して、0.1〜5%owf、好ましくは0.1〜3%owf付着せしめるものである。0.1%owf以下では十分な抗菌防かび性能が得られない問題があり、一方、5%owf以上の場合撥水性が低下するため好ましくない。
【0023】
本発明で用いるポリフルオロアルキル基を含むウレタン系化合物は下記式(III)で表される化合物を好適なものとして例示できる
【化9】
上記式(III)において、Rfは炭素数4〜16個の直鎖または分岐状のポリフルオロアルキル基であり、通常は末端部がパーフルオロアルキル基であるものが使用されるが、末端部に水素原子あるいは塩素原子を含むもの、あるいはオキシパーフルオロアルキレン含有基なども使用可能である。Rf基の好ましい態様はパーフルオロアルキル基であり、炭素数4〜12のものが特に好ましい。Xは−R−、−CON(Rf)−Q−、または−SO2N(R1)−Q−(但し、Rはアルキレン基、R1は水素原子または低級アルキル基、Qは二価の有機基を示す)の一つであり、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましい。AおよびA1は各−O−、−N(R2)−(但し、R2は水素原子または低級アルキル基を示す)が好適である。Zは非親水性の一価有機基であり、アルキル基、アリール基、ヘテロ原子を含むもの、さらには−X−Rfなどが例示可能であるが、撥水、撥油の面からは低級アルキル基が好ましい。Yは二価の有機基であり、通常では炭素数24個以下、特に6〜15個のものが選定され、ウレタン分子を硬直化し耐久性を向上させるという面から芳香族または脂肪族環を少なくとも1個含むものが好ましく採用される。また、nは1個以上の正数であり、とくに1〜3の正数が選定される。
【0024】
ポリフルオロアルキル基含有化合物の付着量は繊維に対して、0.1〜5%owfとするものである。0.1%owfに満たない場合には十分な撥水性が得られず、また防かび性が不十分になる。一方、5%owfを越える場合には、コスト面で実用上好ましくない。
【0025】
ベンズイミダゾール系化合物およびポリフルオロアルキル基含有化合物の付与方法としては、前記難燃処理後に、ベンズイミダゾール系化合物の0.1〜10%owfとポリフルオロアルキル基含有化合物の0.1〜10owf%の混合水溶液を浸漬処理、スプレー処理、泡処理、グラビア処理などの任意の方法により繊維表面に付与し、100〜200℃の乾燥、熱処理を行うものである。ベンズイミダゾール系化合物の濃度が0.1%owfに満たない水溶液の場合は、十分な防かび性能が得られない。一方、10%owfを越える水溶液の場合は、撥水性能が低下し、コスト面でも実用上好ましくない。
【0026】
また、上記混合液にブロックイソシアネート化合物が適量含まれていてもさしつかえない。
【0027】
熱処理としては、乾燥とセットを同時に行うテンター1段仕上げを採用することも可能である。150℃未満の熱処理では耐久性の面で十分でなく、一方、210℃を越えると繊維の黄化、脆化の危険性があり、実用的に好ましくない。
【0028】
ここで、本発明品が従来のスプレー法付与にくらべ、防かび性能に耐久性がある理由としては、本発明に用いるベンズイミダゾール系化合物が熱処理をうけることにより繊維内部に吸尽されるためと考えられる。
【0029】
以下、実施例によりさらに詳細に説明する。なお、実施例中の性能評価は次の方法によった。
【0030】
〈洗濯方法〉
家庭用洗濯機VH−3410(東芝(株)製)を用いて、弱アルカリ洗剤“ザブ”(登録商標、花王(株)製)0.2重量%、温度40℃±2℃浴比、1:30で5分間処理した後、排液脱水し、オーバーフローさせながら2分間すすぎ洗いを2回繰り返し行う。これを洗濯1回とする。
【0031】
〈難燃性評価〉
JIS L−1091D法(接炎回数)により測定した。
【0032】
〈防かび性評価〉
JIS Z−2911 6.2.2(繊維製品試験;湿式法)により測定した。
【0033】
〈撥水性評価〉
JIS L−1092 スプレー法で測定した。
【0034】
【実施例】
(実施例1、比較例1)
経糸、緯糸とも150デニール−48フィラメントの加工糸のポリエステル系繊維100%使いの平織物をサンデットG−29(三洋化成(株)製)1g/l、水酸化ナトリウム(30%)2g/lを含む処理液中で80℃×15分間の条件で精錬を行った後、乾燥し150℃×30秒間の条件で中間セットを行い、次の配合の染色、難燃剤(前記式(I))処理液を使用して液流染色機により、浴比1:20として130℃×60分間処理した。
【0035】
次に、サンデットG−29(三洋化成(株)製)1g/l、水酸化ナトリウム(30重量%)2g/l、ハイドロサルファイト1g/lからなる処理液中で80℃×20分間の条件で還元洗浄し、60℃×10分間湯洗後、さらに水洗を行った。その後、前記一般式において、RfをC9F19CH2CH2O、XをCONH(CH2)6、AをNH、A1をO、Yを(CH2)6、ZをC9F19CH2CH2、n=2としたポリフルオロアルキル基含有ウレタン系化合物を0.1%ows、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾールを0.05%ows、0.1%ows、1.0%ows、5.0%ows、8.0%owsを含む処理液をそれぞれ調製し、該染色布帛を浸漬した後、ピックアップ率100%で絞り、ピンテンターで120℃×2分間乾燥後、170℃×30秒間熱処理してポリエステル系繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の難燃性、防かび性、撥水性を評価し結果を表1に示した。
【0036】
表1のとおり、難燃性についてはいずれも接炎回数3回以上で合格であった。防かび剤の含有量が0.1%owf未満(比較例1−1)では防かび性が不十分であった。また、5%owf以上(比較例1−2)では撥水性が低下した。
【0037】
(実施例2、比較例2)
難燃剤として、前記式(II)に示すホスファゼン化合物(フェノキシ基:アミノ基の全体の割合が50:50)を用いる以外は、実施例1と同様の処理と評価を行い、結果を表1に併せて示した。難燃性についてはいずれも接炎回数3回以上で合格であった。防かび剤の含有量が0.1%owf未満(比較例2−1)では防かび性が不十分であった。5%owf以上(比較例2−2)では撥水性が低下した。
【0038】
(実施例3、比較例3)
実施例1と同様の条件で染色と難燃処理を行った布帛を、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾールを2.0%ows、前記一般式において、RfをC9F19CH2CH2O、XをCONH(CH2)6、AをNH、A1をO、Yを(CH2)6、ZをC9F19CH2CH2、n=2としたポリフルオロアルキル基含有ウレタン系化合物を0.05%ows、0.1%ows、1.0%ows、5.0%ows含む処理液をそれぞれ調整し、染色布帛を浸漬した後、ピックアップ率100%で絞り、ピンテンターで120℃×2分間乾燥後、170℃×30秒間熱処理してポリエステル系繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の防かび性、撥水性、難燃性を評価し結果を表2に示した。比較のため実施例3の染色、難燃処理布を、ポリフルオロアルキル基含有アクリル系化合物を10.0%ows、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾールを2.0%owsとした処理液に浸漬し、以下実施例3と同一条件で処理した(比較例3−2)。その結果を表2に併せて示した。防かび性、撥水性は十分であったが、難燃性が低下した。
【0039】
(実施例4、比較例4)
実施例1で用いた同じ布帛を用いて、テトラフェノキシジアミノシクロトリホスファゼン(50重量%分散液)を3%ows、5%ows、10%ows、20%ows、に調製した処理浴に布帛をし浸漬した後、ピックアップ率100%で絞り、ピンテンターで120℃×1分間乾燥後、180℃×1分間熱処理した。その後、前記一般式において、RfをC9F19CH2CH2O、XをCONH(CH2)6、AをNH、A1をO、Yを(CH2)6、ZをC9F19CH2CH2、n=2としたポリフルオロアルキル基含有ウレタン系化合物を0.1%ows、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾールを1.0%owsを含む処理液を調製し、先に難燃処理を施した染色布帛を浸漬した後、ピックアップ率100%で絞り、ピンテンターで120℃×2分間乾燥後、170℃×30秒間熱処理してポリエステル系繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の防かび性、撥水性、難燃性を評価し結果を表3に示した。表3に示すように十分な難燃性、防かび性、撥水性を得ることができた。しかし、難燃剤として1.0%owf付与した水準(比較例4−1)では防かび性、撥水性を得られるが十分な難燃性能が得られなかった。
【0040】
【表1】
【表2】
【表3】
【0041】
【発明の効果】
本発明により得られたポリエステル系繊維構造物は、燃焼時において有害ガスを発生することなく、地球環境に優しく、かつ防炎基準に合格する難燃性能を維持し、しかも洗濯耐久性に優れた防かび性、撥水性を有している。また、これまで困難とされていたポリエステル系繊維の難燃、撥水性能の複合化が可能になり、カーテン分野への商品展開を幅広いものとすることができる。
Claims (4)
- ホスファゼン化合物中の総フェノキシ基数が2個以上であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維構造物。
- 固形分が5.0〜20%owfの下記(I)式または下記(II)式で表される線状または環状のホスファゼン化合物を含む染色浴中で、浴比を1:5〜1:100とし、100℃以上でポリエステル繊維構造物を処理した後、ベンズイミダゾール系化合物を0.1〜10%owf、ポリフルオロアルキル基を含むウレタン系化合物を0.1〜10%owf含む混合水溶液を付与し、熱処理することを特徴とするポリエステル繊維構造物の製造方法。
- 下記(I)式または下記(II)式で表される線状または環状のホスファゼン化合物が含有されてなる分散液中にポリエステル繊維構造物を浸漬し、脱液・乾燥後、150℃以上の雰囲気下で該ホスファゼン化合物を吸尽処理させた後に、ベンズイミダゾール系化合物を0.1〜10%owf、ポリフルオロアルキル基を含むウレタン系化合物を0.1〜10owf%含む混合水溶液を付与し、熱処理することを特徴とするポリエステル繊維構造物の製造方法。
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