JP4213182B2 - 繊維構造物の疎水化方法 - Google Patents
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Description
ところで、熱可塑性を有するポリエステル繊維は、単に高熱を加えるだけで耐久性のある撥水加工ができるので、多くの撥水加工製品として販売されているが、天然繊維、再生繊維およびナイロン繊維は、単に熱を加えるだけでは耐久性のある撥水性能が付き難いので、架橋薬剤や加工樹脂等を用いる撥水加工方法を採用する必要があり、その方法につき種々の研究がなされている。
天然繊維、再生繊維およびナイロン繊維に対し充分な撥水性能を付与する方法は、これまで、知られていなかった。
ところで、日本特許第3415576号公報では、繊維の形態安定加工技術として、ジクロルトリアジン化合物を用いることが提案されている。しかし、該特許文献には、繊維の疎水化に関しては何ら開示されておらず、また、該特許文献に開示されている技術では、天然繊維、再生繊維およびナイロン繊維に充分に満足しうるだけの撥水性(疎水性)を付与することができなかった。詳しく述べると、天然繊維、再生繊維およびナイロン繊維に撥水性を付与する加工方法では、一般に酸性で加工剤を反応させるが、ジクロルトリアジン化合物は、反応性が弱いため、有効に繊維に反応しにくく、撥水の耐久性が不充分となるのである。
すなわち、本発明にかかる繊維構造物の疎水化方法は、ジハロゲノトリアジン化合物とともに、パーフルオロアクリレート、メラミン尿素誘導体およびウレタンのうちから選ばれる少なくとも1種を繊維構造物に含浸させ、該繊維構造物を熱処理する、繊維構造物の疎水化方法であって、前記熱処理が、含浸処理後の繊維構造物を、スチーミング処理する第1段階の熱処理と、第1段階の熱処理を終えた繊維構造物を60℃以上の温度で実質的に乾燥するまで乾熱処理する第2段階の熱処理とを含む、ことを特徴とする。
本発明によれば、天然繊維、再生繊維、ナイロン繊維などからなる繊維構造物の疎水性を初めとする機能性向上に加えて、新しく水系防汚性の機能性を付与し、着用快適性、ならびに、生活資材、産業資材への活用など広い用途開拓をすることができる。また、本発明の疎水化方法は、加工に複雑な工程を必要とせず、省エネルギー化が達成でき、さらに、排水(BOD)負担を軽減することもできる。
本発明は、ジハロゲノトリアジン化合物と特定の補助剤を反応させることによって天然繊維、再生繊維およびナイロン繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維を必須とする繊維構造物を疎水化処理するものである。
ここに、繊維構造物とは、繊維を綿や糸にしたものやそれ以降のものを指し、例えば、綿や糸、編織物、不織布、縫製品などである。したがって、本発明の疎水化方法で得られた繊維構造物は、ジハロゲノトリアジン化合物とともにパーフルオロアクリレート、シリコーンソフナー、メラミン尿素誘導体およびウレタンのうちから選ばれる少なくとも1種が含浸され熱処理されてなる、疎水化された繊維構造物である。
繊維構造物は、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等の石油系合成繊維との複合系繊維構造物であってもよい。ただし、複合する石油系合成繊維は、その分子構造中に、カルボキシル基やアミノ基、アルコール性水酸基を有する繊維であることが、疎水性を阻害しない点で好ましい。
本発明において用いることのできるジハロゲノトリアジン化合物とは、好ましくは、下記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体であるが、この2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体のほかにも数多くの有効な化合物があるから、本発明で用いるジハロゲノトリアジン化合物は、下記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体に限定されるものではない。本発明において用いることのできるジハロゲノトリアジン化合物としては、好ましくは親水性置換基を有する化合物であり、そして、活性ハロゲン原子またはそれに類する反応性基を2個以上有することがポイントとなる。
繊維構造物にジハロゲノトリアジン化合物を含浸させるときは、通常、ジハロゲノトリアジン化合物を水に溶解させるか分散させて、該水溶液または分散液(以下、これらを併せて「水性液」という)に繊維構造物を浸漬するか、該水性液を繊維構造物にスプレーするかシャワーするようにする。したがって、ジハロゲノトリアジン化合物は、水溶性または水分散性であることが好ましい。本明細書では、この「水溶性または水分散性であること」を指して「水系」と称することがある。
2,6−ジクロル−4−(3−スルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−スルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−スルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2,5−ジスルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3,5−ジスルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(β−カルボキシエチルアミノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−ウレイド−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−チオウレイド−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェニルチオ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−スルホフェニルチオ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンLi塩
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンMg塩
2,6−ジクロル−4−チオ−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4−(3−オキシフェニルオキシ)−S−トリアジン
4,4−ビス(4,6−ジクロロ−S−トリアジン−2−イルアミノ)スチルベン−2,2’−ジスルフォニックアシッドNa塩
これらは、適宜、Na塩、Li塩、Mg塩等の塩になっていてもよい。なお、ジハロゲノトリアジン化合物は、1種のみ(単独)であってもよいし、2種以上(混合物)であってもよい。
さらに詳しくは、前記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体は、ドイツ公開公報2357252号、あるいは、アメリカ特許公報5601971号等に記載があるような公知の合成法に準じて合成することができる。例えば、塩化シアヌル1.00モルを5℃以下の氷水の中へ仕込み、次いで、m-スルファニル酸1.02モルと炭酸ソーダ約1モルをよく撹拌しながら徐々に仕込む。m-スルファニル酸と炭酸ソーダの仕込みはpH=7±1で約3時間を要して5〜10℃で仕込み、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、塩化シアヌルがほぼ消滅すれば、さらに1時間保湿撹拌して反応を完結させる。この間、PHは6〜8に維持し、HPLCによって組成を分析し、モノスルファニル体が90%以上となれば反応を終了する。反応後、微量の不溶物を濾過して除き、最終的にはPHは7に調整する。このようにして、2.6−ジクロル−4−(3−スルフォアニリノ)−S−トリアジンNa塩水溶液が高収率で得られる。この化合物は冷蔵庫内で5℃以下保管すれば約1ヶ月間は安定である。
前記Rf基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基である。Rf基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。また、Rf基は直鎖構造または分岐構造であり、直鎖構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分がRf基の末端部分に存在し、かつ炭素数が1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。Rf基は、フッ素原子以外のハロゲン原子を含んでいてもよい。フッ素原子以外のハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。Rf基の末端部分の構造としては、−CF2CF3、−CF(CF3)2、−CF2H、−CFH2、−CF2Cl等が挙げられ、−CF2CF3が好ましい。また、Rf基中の炭素−炭素結合間には、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が挿入されていてもよい。
C4F9−[F(CF2)4−、(CF3)2CFCF2−、(CF3)3C−]、C5F11−[F(CF2)5−、(CF3)3CCF2−等]、C6F13−[F(CF2)6−等]、C7F15−、C8H17−、C9F19−、C10F21−、Cl(CF2)s−(sは2〜16の整数)、H(CF2)t−(tは1〜16の整数)、(CF3)2CF(CF2)y−(yは1〜14の整数)等。
前記Rf基が、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子、またはチオエーテル性硫黄原子が挿入された基である場合の具体例を以下に挙げる。
前記Rf基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、下記式(2)で表される化合物が好ましい。ただし、式(2)において、RfはRf基、Qは2価の有機基、R1は水素原子またはメチル基を示す。
式(2)におけるRf基としては、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子を含まないRf基が好ましく、特にRF基が好ましい。とりわけ、−(CF2)nF(ただし、nは2〜20の整数)で表される基が好ましく、nが5〜17の整数である基がより好ましく、nが7〜13の整数である基が特に好ましい。
式(2)におけるQとしては、−(CH2)p+q−、−(CH2)pCONH(CH2)q−、−(CH2)pOCONH(CH2)q−、−(CH2)pSO2NR2(CH2)q−、−(CH2)pNHCONH(CH2)q−、−(CH2)pCH(OH)−(CH2)q−等が好ましい。ただし、R2は水素原子またはアルキル基を示す。また、pおよびqは0以上の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。これらのうち、−(CH2)p+q−、−(CH2)pCONH(CH2)q−、−(CH2)pSO2NR2(CH2)q−であり、かつ、qが2以上の整数であってかつp+qが2〜6である場合が好ましい。特に、p+qが2〜6である場合の−(CH2)p+q−、すなわち、ジメチレン基〜ヘキサメチレン基が好ましい。Qと結合するRfの炭素原子には、フッ素原子が結合しているのが好ましい。
F(CF2)5CH2OCOCR1=CH2、 F(CF2)6CH2CH2OCOCR1=CH2、 H(CF2)6CH2OCOCR1=CH2、 H(CF2)8CH2OCOCR1=CH2、 H(CF2)10CH2OCOCR1=CH2、 H(CF2)8CH2CH2OCOCR1=CH2、 F(CF2)8CH2CH2CH2OCOCR1=CH2、 F(CF2)10CH2CH2OCOCR1=CH2、 F(CF2)12CH2CH2OCOCR1=CH2、 (CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOCR1=CH2、 (CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOCR1=CH2、 (CF3)2CF(CF2)8CH2CH2OCOCR1=CH2、 F(CF2)8SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCR1=CH2、 F(CF2)8(CH2)4OCOCR1=CH2、 F(CF2)8SO2N(CH3)CH2CH2OCOCR1=CH2、 F(CF2)8SO2N(C2H5)CH2CH2OCOCR1=CH2、 F(CF2)8CONHCH2CH2OCOCR1=CH2、 (CF3)2CF(CF2)5(CH2)3OCOCR1=CH2、 (CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OCOCH3)− −OCOCR1=CH2、 (CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OH)CH2− −OCOCR1=CH2、 (CF3)2CF(CF2)7CH2CH(OH)CH2− −OCOCR1=CH2、 F(CF2)9CH2CH2OCOCR1=CH2、 F(CF2)9CONHCH2CH2OCOCR1=CH2。
前記パーフルオロアクリレートは、Rf基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位以外の重合単位を含んでもよい。他の重合単位としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、クロロプレン等のオレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン等のスチレン類;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アリルグリシジルエーテル等のアリルエーテル類;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;酢酸アリル等のカルボン酸アリル類;エチルビニルケトン等のビニルアルキルケトン類;メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜26の直鎖または分岐のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサン基を有する(メタ)アクリレート、ブロックされたイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート、第4アンモニウム塩の基を有する(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;トリアリルシアヌレート、N−ビニルカルバゾール、マレイミド、N−アルキルマレイミド、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル;等に由来する重合単位が挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、以下のポリイソシアネートが好ましく挙げられる。4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロパンジイソシアネ−ト、1,2−ブタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート類または脂環族イソシアネート類、およびそれらのイソシアヌレート変性体、プレポリマー変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体等。
前記ウレタンとしては、メイカネートMF、BP−11、NBP−75、NBP−231(以上、明成化学工業社製)、WB−730、WB−920、XWB−72−Z56(以上、武田薬品工業社製)、BI−8(日本ポリウレタン社製)等の市販の化合物を用いてもよい。
なお、ジハロゲノトリアジン化合物および補助剤を、水溶液などの形で、繊維と反応させる際の加工条件は、繊維の種類ならびに加工目的等に応じて、前述の条件に制約されることなく、例えば、加工効果をより強くするために薬剤の便用量を増加させたり、加工条件を強化する(過酷にする)など、自由に変化させることができる。
撥水剤としては、フッ素系、シリコン系、パラフィン系などの公知の撥水剤を用いることができるが、好ましくはフッ素系の撥水剤がよい。また、これらの撥水剤は水系、溶剤系いずれであっても用いることができるが、環境面からは水系撥水剤がよい。フッ素系の水系撥水剤としては、具体的には、大日本インキ化学工業株式会社の商標「デックガードF−70」、旭硝子株式会社の商標「アサヒガードAG710」、「アサヒガードAG7105」、「アサヒガードAG7600」、「GS10」、「GS70」、日華化学株式会社の商標「NKガードNDN−7」で販売されている水系の撥水剤などが挙げられる。これら市販されている水系撥水剤の商品中の撥水剤成分の量は10%〜30%程度のものが多い。
本発明の疎水化方法においては、さらに、必要に応じて、例えば、染料、架橋剤、架橋促進剤、柔軟剤、紫外線吸収剤、消臭剤、SR剤、抗菌剤、帯電防止剤等各種繊維用薬剤・仕上げ剤等を付与してもよい。
〔実施例1−1〕
水72kg、2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩10%水溶液26kg、無水炭酸ソーダ2700gに補助剤としてパーフルオロアルキレート600gを室温でよく混合し共存させた加工液に、リヨセル100%スムース地を含浸させた。その後、ドラムに巻き取りスチーミング機内において湿熱で加圧を実施して、第1次の熱処理50℃で20分間加熱を実施、その後、乾熱の乾燥機内で2気圧に加圧して、120℃に温度を保ちながら60分間乾熱処理して乾燥させた。JIS L1907繊維製品の吸水性試験(吸水速度・滴下法)を実施した。その測定した結果を表1に示す。
実施例1−1で使用したものと同じリヨセル100%スムース地を、水溶性ジハロゲノトリアジン化合物のみで実施例1−1と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を実施例1−1と同様に測定した結果を表1に示す。
水162kg、2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン10%水溶液18kg、補助剤パーフルオロアルキレート1500g、重炭酸ソーダ1800gを室温でよく混合し、共存させた水溶液に綿100%ポプリンを含浸させた。その布をドラムに巻き取り、スチーミング機内において湿熱で減圧処理、加圧処理を2度繰り返し第一次の熱処理に付した。その後ノンタッチ乾燥機のドライ温度を120℃に設定して10m/分の速度で3分間加熱した。この様にして得られた綿100%天竺を測定した。その結果を表2に示す。
実施例1−2で使用したものと同じ布帛を、水溶性ジハロゲノトリアジン化合物のみで実施例1−2と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を実施例1−2と同様に測定した結果を表2に示す。
試験布を40cm×40cm(約40g)カットし、精秤する。次に全自動洗濯機にて洗濯(JIS L0217 103法準拠)。その後、一枚の布に拡げた状態で平干しし、一定時間ごとに重量を測定し、残留水分率を算出した。(測定条件:20℃×68%RH)
〔参考例1−3〕
水252kg、2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン10%水溶液18kg、重炭酸ソーダ2500g、シリコーンソフナー2kgを室温でよく混合し共存させた水溶液に、綿100%ポプリンを含浸させた。その布をドラムに巻き取り、スチーミング機内において湿熱で減圧処理、加圧処理を2回繰り返し第一次の熱処理に付した。その後、100°Cに設定されたオープンソーパにて毎分7mの速度にて乾燥を6分間実施。さらに160℃のテンターで30秒間熱処理を行い、その後柔軟加工を実施した。この様にして得られた綿100%ポプリンの評価を行った結果を表3に示す。
参考例1−3で使用したものと同じ布帛を水溶性ジハロゲノトリアジン化合物のみを使用し、参考例1−3と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を参考例1−3と同様に測定した結果を表3に示す。
〔実施例2−1〕
水72kg、2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩10%水溶液26kg、酢酸(48%濃度)200gに補助剤としてパーフルオロアルキレート600gを室温でよく混合し共存させた加工液に、反応染色を実施したコーン状に巻き取ったシルク21/6本の双糸を含浸させた。その後、真空セット機内に蒸気を入れて減圧処理を実施、その後、加圧を実施して40℃の湿熱にて20分間加熱を実施、その後、乾熱の乾燥機内で2気圧に加圧して、120℃に温度を保ちながら60分間乾熱処理して乾燥させた。この糸を天笠に製編して、京都府織物機械金属振興センターにてJIS L1907繊維製品の吸水性試験(吸水速度・滴下法)を実施した。その測定した結果を表4に示す。
実施例2−1で使用したものと同じ天笠を、水溶性ジハロゲノトリアジン化合物のみで実施例2−1と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を実施例2−1と同様に測定した結果を表4に示す。
水162kg、2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン10%水溶液18kg、補助剤としてパーフルオロアルキレート1500g、酢酸200gを室温でよく混合し、共存させた水溶液にナイロンタフタ布を含浸させた。その布をドラムに巻き取り、スチーミング機内において湿熱で減圧処理、加圧処理を2度繰り返し第一次の熱処理に付した。その後ノンタッチ乾燥機のドライ温度を120℃に設定して10m/分の速度で3分間加熱した。この様にして得られたナイロンタフタ布を、JIS L1092雨試験(シャワー試験)A法で撥水度を測定した。その結果を表5に示す。
実施例2−2で使用したものと同じ布帛を、水溶性ジハロゲノトリアジン化合物のみで実施例2−2と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を実施例2−2と同様に測定した結果を表5に示す。
水252kg、2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン10%水溶液18kg、リンゴ酸400g、シリコーンソフナー2kgを室温でよく混合した加工液を共存させ、ウール100%ポプリンを含浸させた。その布をドラムに巻き取り、スチーミング機内において湿熱で減圧処理、加圧処理を2回繰り返し第一次の熱処理に付した。その後、100°Cに設定されたオープンソーパにて毎分7mの速度にて乾燥を6分間実施。さらに120℃のテンターで30秒間熱処理を行い、その後柔軟加工を実施した。この様にして得られたウール100%ポプリンの評価を行った結果を表6に示す。
参考例2−3で使用したものと同じ布帛を水溶性ジハロゲノトリアジン化合物のみを使用し、参考例2−3と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を参考例2−3と同様に測定した結果を表6に示す。
〔参考例3−1〕
水72kg、2,6−ジクロル−4−(3−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン10%水溶液26kg、酢酸(48%濃度)200gに補助剤としてパーフルオロアルキレート600gを室温でよく混合した加工液にシルク、デシンを浸漬し、マングルで均一に絞った後、60℃に保持されている乾燥機内で20分間加熱する。その後130℃まで昇温されたテンター機械で5分間乾燥し、その後85℃の湯温の中でソーピング乾燥仕上げした。このようにして得られたシルク、デシンを京都府織物機械金属振興センターにてJIS L1907繊維製品の吸水性試験(吸水速度・滴下法)を実施した結果を表7に示す。
参考例3−1で使用したものと同じ布帛を、水溶性ジハロゲノトリアジン化合物のみで参考例3−1と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を参考例3−1と同様に測定した結果を表7に示す。
水162kg、2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン10%水溶液18kg、重炭酸ソーダ4500gを室温でよく混合し、マングルで均一に絞った綿、ニット、スムース地をノンタッチ乾燥機のドライ温度を60°Cに設定し10m/分の速度で3分間加熱した。その後、水13.8kg、パーフルオロアルキレート6kg、酢酸200gを室温でよく混合しマングルで均一に絞った後、120°Cの温度に設定された温風乾燥機内において5分間乾燥するまで処理をした。次に180℃に設定されたテンターで30秒間セットした。このようにして得られた綿、ニット、スムース地の速乾性を測定したその結果を表8に示す。
参考例3−2で使用したものと同じ布帛を、水溶性ジハロゲノトリアジン化合物のみで参考例3−2と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を参考例3−2と同様に測定した結果を表8に示す。
試験布を40cm×40cm(約40g)カットし、精秤する。次に全自動洗濯機にて洗濯(JIS L0217 103法準拠)。その後、一枚の布に拡げた状態で平干しし、一定時間ごとに重量を測定し、残留水分率を算出した。(測定条件:20℃×68%RH)
〔参考例3−3〕
水252kg、2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン10%水溶液18kg、リンゴ酸400g、シリコーンソフナー2kgを室温でよく混合した加工液を第一次浴槽内に仕込み、マングルで均一に絞ったウール100%ポプリンをオープンソーパ機械で加工した。このオープンソーパ機械にて60℃の第一次の乾燥処理を3分間実施。その後、130°Cに設定されたシュリンク乾燥機にて毎分7mの速度にて乾燥を6分間実施。さらに160℃のテンターで30秒間熱処理を行い、その後柔軟加工を実施した。この様にして得られたウール100%ポプリンの評価を行った結果を表9に示す。
参考例3−3で使用したものと同じ布帛を水溶性ジハロゲノトリアジン化合物のみを使用し、参考例3−3と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を参考例3−3と同様に測定した結果を表9に示す。
Claims (4)
- ジハロゲノトリアジン化合物とともに、パーフルオロアクリレート、メラミン尿素誘導体およびウレタンのうちから選ばれる少なくとも1種を繊維構造物に含浸させ、該繊維構造物を熱処理する、繊維構造物の疎水化方法であって、
前記熱処理が、含浸処理後の繊維構造物をスチーミング処理する第1段階の熱処理と、第1段階の熱処理を終えた繊維構造物を60℃以上の温度で実質的に乾燥するまで乾熱処理する第2段階の熱処理とを含む、
ことを特徴とする、繊維構造物の疎水化方法。 - 第1段階の熱処理を、減圧および加圧の実施下で行う、請求項1に記載の繊維構造物の疎水化方法。
- 前記繊維構造物が天然繊維、再生繊維およびナイロン繊維の中から選ばれる少なくとも1種の繊維を必須とするものである、請求項1または2に記載の繊維構造物の疎水化方法。
- 前記繊維構造物が天然繊維および再生繊維の中から選ばれる少なくとも1種の繊維を必須としナイロン繊維を含まない繊維構造物である、請求項3に記載の繊維構造物の疎水化方法。
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