JP2007084987A - 天然繊維、再生繊維の少なくとも1種の繊維からなる繊維構造物の疎水化製造方法 - Google Patents

天然繊維、再生繊維の少なくとも1種の繊維からなる繊維構造物の疎水化製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】天然繊維、再生繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維構造物の疎水性をはじめとする各種の機能性の向上・付与することに加えて、新しく形態安定化の機能性をも付与し、着用快適性、並びに生活資材、産業資材への活用など広い用途開拓をすることであり、その目的に合致した天然繊維、再生繊維からなる繊維構造物をすること。
【解決手段】
ジハロゲノトリアジン化合物水溶液をコーン状態及びカセ状に仕立て上げられた天然繊維、再生繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維構造物に30℃〜95℃にて浴中吸尽させた後乾燥を施し製織、製編を実施、次いで該繊維構造物を水溶性パーフルオロアクリレートを主とした薬剤をパディングにて含浸/ドライ/キュア140〜190℃で熱処理する処理工程を有することを特徴とするコーン状態及びカセ状に仕立て上げられた天然繊維、再生繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維構造物の疎水化製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物を天然繊維、再生繊維の少なくとも1種の繊維に付与することによって、天然繊維、再生繊維素材の疎水性を向上させるものであり、さらに詳しくは、一般衣料における水系防汚性などの着用快適性向上や、生活資材や産業資材における疎水性向上により、天然繊維、再生繊維素材の用途拡大を図ることを目的とした天然繊維、再生繊維の少なくとも1種の繊維からなる繊維構造物の疎水化製造方法に関するものである。
天然繊維や再生繊維は、風合いや吸湿率の点で、合成繊維に比べて非常に優れた素材である。それは、天然繊維、再生繊維が合成繊維と比較して、内部に親水性のNH基,OH基を多く有し、公定水分率が高いためである。しかし、逆に、水を含むと膨潤し、乾燥すると収縮することから形態安定性が他の合成繊維と比較して低いという特徴がある。
従来から天然繊維や再生繊維はコート、オーバー、スポーツウェアー更にはテーブルクロス、シート類などの産業資材分野に至るまで、天然繊維、再生繊維素材は広い用途に使用されている。その一方で、上記の天然繊維、再生繊維特有の特徴によって、例えば、衣料用途では、水や雨などが衣服内には染み込まないという特性が強く要請されてきた。
したがって、該要求に対応して開発された、シリコーン系やフッ素系の撥水剤で加工した製品が提案されている(特許文献1)。
しかし、これらのいずれについても、使用者からは十分に満足したとの評価は得られていないのが現状で改善点はある。最も指摘される項目は、着用耐久性の低さであり、特に生地表面の汚れに対して撥水度の低下が著しく、かつ摩耗においても撥水度の低下が避けられないという品質の点であった。
特に、天然繊維、再生繊維構造物の撥水性向上の要求に対し、加工剤の構成や塗布量のアップがなされてきたが、樹脂による繊維表面への加工のため耐久性は低く、期待値まで向上し得ない技術レベルであった。また、樹脂による繊維表面への加工のため、風合いの硬化、コストアップ、チョークマークの発生等という品位を損なうという問題に加えて、撥水効果をアップすればするほど静電気の発生度合いが強くなり、ゴミ、浮遊物の付着、汚れ、着用不快感が発生するという問題や、更には有害な薬剤や樹脂の使用に起因する安全性の問題や、製造過程で発生する排水(生物化学的酸素要求量。以下「BOD」という)負荷が高くなるという問題があった。
また、本発明において後で説明するように、ジハロゲノトリアジン化合物を用いて天然繊維や再生繊維を処理することについて、ジハロゲノトリアジン化合物を用いた有機天然繊維製品の改質加工技術として、羊毛、絹、皮革、木綿、麻、再生繊維等の有機天然繊維材料にジハロゲノトリアジン化合物を用いて2段階の熱処理加工を施して、それにより形態安定加工を行うという加工手法が提案されている(特許文献2)。
しかし、この特許文献2に記載の従来技術では、本発明とは、目的、構成、効果のいずれにおいても相違するものである。
特開平6−57641号公報 特許第3415576号公報(特許請求の範囲)
本発明は、撥水性向上、品位向上、省エネルギー化による製造コスト低減ならびに排水(BOD)負荷低減による環境負荷軽減を図るものである。
すなわち、本発明の目的は、天然繊維、再生繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維からなる繊維構造物の疎水性をはじめとする各種の機能性の向上・付与をせしめることに加えて、新しく水系防汚性の機能性を付与し、着用快適性、並びに生活資材、産業資材への活用など広い用途開拓をすることであり、その目的に沿った天然繊維、再生繊維からなる繊維構造物を提供せんとするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る天然繊維,再生繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維構造物の疎水化製造方法は、水溶性ジハロゲノトリアジン化合物をコーン状及びカセ状態に仕立てあげられた天然繊維、再生繊維構造物へ浴中吸尽させて疎水化に改質する。天然繊維、再生繊維構造物を一般的な染色条件おいて染色し廃液後、同染色機にて水溶性ハロゲノトリアジン化合物を純度100%換算して天然繊維,再生繊維構造物の重量比0.1%以上10%以下の浴液を仕立てて、浴比1:30以下になるように液量を調整した後、浴液を30℃以上にて15分間以上処理し、徐々に浴液温度を昇温させながら60℃〜95℃で15分間以上処理することで置換反応を完了させる。湯水洗を実施して乾燥する。この処理されたコーン状及びカセ状態に仕立てあげられた天然繊維、再生繊維を製織、製編を実施した後水溶性パーフルオロアクリレートの調合液をマングルにて均等にパディングさせた後130℃以下で乾燥させ140℃〜190℃以内で熱処理工程を有することを特徴とするものである
本発明において、水溶性ジハロゲノトリアジン化合物としては、下記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体が好ましく使用される。
Figure 2007084987
上記式(1)中、Xは塩素、フッ素及び臭素からなる群より選ばれるハロゲン基、Yはスルホン基、カルボキシル基、水酸基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基により置換されたアリールアミノ基、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルチオ基、またはトリアジニルアミノスチルベンアミノ基であり、前記スルホン基、カルボキシル基、水酸基及びチオール基はその水素原子がアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子で置換されてもよい。
前記一般式(1)で表される水溶性ジハロゲノトリアジン化合物を用いて天然繊維、再生繊維からなる繊維構造物を反応させる条件は、ジクロルトリアジン系反応性染料の場合と良く似た条件で加工することができる。それによって薬剤使用量の削減と省エネルギー並びに排水の削減を達成し、経済性並びに環境適応性を著しく改善することができる。
また、疎水性向上剤として、水溶性または水分散性(以下、水系と記す)パーフルオロアルキルアクリレートに、助剤として、水系メラミン尿素誘導体や水系ウレタン、およびブロック型イソシアネートの中から選ばれる1種または複数種を併用することが好ましい。
前述した水系フルオロアルキルアクリレート、水系シリコーンソフナー、水系メラミン尿素誘導体、水系ウレタンの分子中に、水酸基と、カルボキシル基、スルホン基などの水溶性置換基を有していることが好ましい。これらの化合物は、繊維と結合したクロルトリアジン環と反応してトリアジン環を介して天然繊維、再生繊維からなる繊維構造物と共有結合によって結びつくか、あるいは更に繊維と結合したもう1つのクロルトリアジン環とも反応することによって、長さの異なる立体・架橋・編目構造を形成し、疎水性、水系防汚性等の機能性を付与することができると考えられる。もちろん、反応機構論からジハロゲノ−S−トリアジン系化合物と助剤類が事前に反応する場合や、等モル反応に限らず、例えば、1:2、1:3あるいは2:1モル比反応等、多数の組み合わせからなる反応中間体を形成した上で繊維と反応する場合も考えられる。
本発明の製造方法によって得られる天然繊維、再生繊維からなる疎水化繊維構造物は、本発明方法の処理を施していない加工品と比べて、疎水性、水系防汚性が向上し、さらに濡れない布帛を達成し、乾燥プロセスを設けなくても着用可能な素材を提供できる。
かつ、上記の諸特性が耐久性においても非常に優れているものである。
さらに、本発明方法の特徴は、ホルマリン等の有害な薬剤を使用することなく安全で環境適合性に優れた安価な加工薬剤であること、樹脂加工による莫大なエネルギーを使用することなく二酸化炭素や窒素酸化物の削減にも寄与し、熱による作業環境の悪化を防ぐことができる点であり、これらのことから、新規の設備を設置することなく、遊体設備を活用できるなど優れた経済性のもとで、従来は制約が多かった衣料分野のみならず産業資材の各種分野で、天然繊維、再生繊維からなる繊維構造物の用途を、広く拡大できるものである。
具体的には、帽子、防寒衣類、スキー衣類、カジュアル衣類、トレッキング衣類、ユニホーム類、介護用シーツ類、生理用品、調理師衣類、カバン、靴、手袋、テント、各種シート等の水・雨・水系液体から防御する用途、テーブルクロス等の水系汚れ防止用途、フィールドウェア、アスレチックウェア等の軽さが求められる用途、靴下、ショーツ、ガードル、スリップ、ブラジャー、パンティーストッキング、ボディースーツ、その他のランジェリー・ファンディーション等の下着用途などに使用することができるものとなる。
このように、本発明の天然繊維、再生繊維からなる繊維構造物の疎水化製造方法は、技術的価値・実用的価値が高く、なおかつ、近年の健康問題や地球規模クラスの環境問題にも対応できるものであり、産業界に大いに貢献することができるものである。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明の天然繊維、再生繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維構造物の疎水化製造方法は、コーン状態及びカセ状に仕立てあげられた天然繊維、再生繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維構造物をジハロゲノトリアジン化合物水溶液の浴中で吸尽させる方法にある。該繊維構造物を30〜95℃で浴中処理する、熱処理工程と、その後130〜190℃の乾熱の中で実質的に乾燥するまで熱処理する処理工程を有するものである。
本発明は、天然繊維、再生繊維からなる繊維構造物に対する、耐久性に優れた、疎水性や水系防汚性をはじめとする機能性付与を実現するに当たり、ジハロゲノトリアジン化合物に対する熱処理を行うものである。
ここで、天然繊維、再生繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維からなる繊維構造物とは、天然繊維、再生繊維を構成要素として含む繊維構造物のことをいい、「浴中吸尽」とは、繊維構造物をジハロゲノトリアジン化合物水溶液に浸漬し処理温度、浴比、時間を規制し熱処理の反応工程を有することをいう
ジハロゲノトリアジン化合物水溶液は、天然繊維、再生繊維に対する疎水化剤として機能するだけでなく架橋剤としても機能するため、他の機能加工剤として、ジハロゲノトリアジン化合物と反応する官能基をそなえた帯電防止剤や抗菌剤などを併用することも好ましい。
吸尽法を用いて浴中の反応において、30〜95℃下で、天然繊維、再生繊維のアミノ末端基、水酸基に対して、ジハロゲノトリアジン化合物の一方のハロゲン部位を反応させることにより、天然繊維、再生繊維にトリアジン環を結合させることができる。その後パッド、ドライ法を用いての反応として、130〜190℃の乾熱条件下で熱処理を行うことにより、天然繊維、再生繊維のアミノ末端基、水酸基や、併用する他の機能加工剤の反応性官能基に対して、ジハロゲノトリアジン化合物の残されたハロゲン部位を反応させることにより、立体的な網目構造反応に架橋させることができ、この架橋構造により、各種機能性に対する耐久性付与を実現することができる。
また、特に、親水性の置換基を有するジハロゲノ−S−トリアジン系化合物を反応させる際に、水溶性パーフルオロアクリレート、水溶性シリコーンソフナー、水溶性メラミン尿素誘導体、水溶性ウレタンを併用して、逐次にあるいは同時にトリアジン環を介して結合させる加工法によって、立体・架橋・編目結合の形成を促進させるとともに、疎水性を初めとする機能性を改善向上、水系防汚性付与による着用快適性と生活資材、産業資材に優れた天然繊維、再生繊維からなる繊維構造物を提供せんとするものである。
本発明で用いることができる水溶性のジハロゲノトリアジン化合物は、下記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体であることを特徴とする。
Figure 2007084987
上記式(1)中、Xは塩素、フッ素及び臭素からなる群より選ばれるハロゲン基、Yはスルホン基、カルボキシル基、水酸基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基により置換されたアリールアミノ基、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルチオ基、またはトリアジニルアミノスチルベンアミノ基であり、前記スルホン基、カルボキシル基、水酸基及びチオール基はその水素原子がアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子で置換されてもよい。
前記一般式(1)で表される繊維材料の改質薬剤をより具体的に説明すると、トリハロゲノ−S−トリアジン、好ましくは塩化シアヌルを主原料として用い、カルボキシル基、水酸基、チオール基、アミノ基、スルホン基、スルホン酸基等水溶性あるいは親水性置換基を有するアニリン類、フェノール類、チオフェノール類、ナフチルアミン類、ナフトール類、アミノ酸類、トリアジン類等の単体あるいは混合物を塩化シアヌル1モルに対して1モルを酸結合剤を共存させた中性ないし弱アルカリ性で縮合させるか、あるいは塩化シアヌルを重炭酸ソーダ、炭酸ソーダ、苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化マグネシウム等を用いてアルカリ性で加水分解させることによって得られる。これらの化合物は純粋である必要はなく、前記2種以上の混合物と塩化シアヌルを反応させたものであってもよいし、純枠に作られたものをあとから混合して多成分系として使用することが好ましい場合もある。
これらの化合物が具備すべき条件は、ハロゲノトリアジンと反応する置換基を有することと、同時に親水性の置換基を有する親水性化合物である。つまりは本発明で用いられる前記一般式(1)で表される加工薬剤が、全体として親水牲となればよい。ハロゲノトリアジンとこれら親水性化合物とを反応させた生成物とは、具体的には次のような化合物の単体あるいは混合物を例として挙げることができる。
2,6−ジクロル−4−(3−スルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−スルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−スルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2,5−ジスルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3,5−ジスルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(β−カルボキシエチルアミノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−ウレイド−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−チオウレイド−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェニルチオ)−S−トリアジ
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンLi塩
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンMg塩
2,6−ジクロル−4−チオ−S−トリアジンNa塩
親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン類は、この他にも数多くの有効な化合物が考えられるのであって、本発明はこれらの具体例に制約されるものではなく、親水性置換基を有する化合物であることと、活性ハロゲン原子またはそれに類する反応性基を2個以上有することがポイントである。
本発明において、天然繊維、再生繊維からなる繊維構造物は、天然繊維、再生繊維100%のパラ毛及び単品でもよく、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、他の繊維との混用品であってもよい。
加工対象は、ナイロンなどのコポリアミド繊維ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン等石油系合成素材との複合系繊維構造物であってもよい。
本発明の加工薬剤ジハロゲノトリアジン類は、ドイツ公開特許第2357252号公報、あるいはアメリカ特許第5601971号明細書等に記載があるように公知の合成法に準じて合成することができるが、その概要は次の通りである。
すなわち、例えば、塩化シアヌル1.00モルを5℃以下の氷水の中へ仕込み、次いで例えばm−スルファニル酸1.02モルと炭酸ソーダ約1モルをよく撹拌しながら徐々に仕込む。m−スルファニル酸と炭酸ソーダの仕込みはPH=7±1で約3時間を要して5〜10℃で仕込み、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、塩化シアヌルがほぼ消滅すれば、更に1時間保湿撹拌して反応を完結させる。この間PHは6〜8に維持し、HPLCによって組成を分析し、モノスルフアニル体が90%以上となれば反応を終了する。反応後微量の不溶物を濾過して除き、最終的にはPHは7に調整する。このようにして2.6−ジクロル−4−(3−スルフォアニリノ)−S−トリアジンNa塩水溶液が高収率で得られる。この化合物は冷蔵庫内で5℃以下保管すれば約1ヶ月間は安定である。
本発明でいうフルオロアルキルアクリレートとしては、ポリフルオロアルキル基(以下、R基と記す)を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を含むものである。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1種をいう。「(メタ)アクリルアミド」等の表記についても同様である。R基を有する(メタ)アクリル酸エステルとは、R基が(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基部分に存在する化合物をいう。
基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基である。R基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。またR基は直鎖構造または分岐構造であり、直鎖構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分がR基の末端部分に存在し、かつ炭素数が1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。R基は、フッ素原子以外のハロゲン原子を含んでいてもよい。フッ素原子以外のハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。
基の末端部分の構造としては、−CFCF、−CF(CF、−CFH、−CFH、−CFCl等が挙げられ、−CFCFが好ましい。また、R基中の炭素−炭素結合間には、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が挿入されていてもよい。
基中のフッ素原子数は、[(R基中のフッ素原子数)/(R基と同一炭素数の対応するアルキル基中に含まれる水素原子数)]×100(%)で表現した場合、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。さらにR基は、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基、すなわち、パーフルオロアルキル基(以下、R基と記す。)、またはR基を末端部分に有する基が好ましい。
基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。炭素数が2未満の場合には撥水性が低下する傾向にある。炭素数が20超の場合には共重合体が常温で固体となり、昇華性も大きくなり、取扱いが困難になる傾向がある。
基の具体例を以下に挙げる。なお、以下の例においては、同一分子式を有する構造の異なる基である構造異性の基を含む。
−(F(CF−、(CFCFCF−、(CFC−等)、C11−(F(CF−(CFCCF−等)、C13−(F(CF−等)、C15−、C17−、C19−C1021−Cl(CF−(sは2〜16の整数)、H(CF−(tは1〜16の整数)、(CFCF(CF−(yは1〜14の整数)等。
基が、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子、またはチオエーテル性硫黄原子が挿入された基である場合の具体例を、以下に挙げる。
F(CFOCF(CF)−、F(CF(CF)CFO)CF(CF)CFCF−、F(CF(CF)CFO)CF(CF)−、F(CF(CF)CFO)CFCF−、F(CFCFCFO)CFCF−、F(CFCFO)CFCF−(rは1〜6の整数、zは1〜5の整数、uは2〜6の整数、vは1〜6の整数、wは1〜9の整数)等。
基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、下記式(2)で表される化合物が好ましい。ただし、式1においてRはR基、Qは2価の有機基、Rは水素原子またはメチル基を示す。
−Q−OCOCR=CH・・・式(2)
式(2)におけるR基としては、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子を含まないR基が好ましく、特にR基が好ましい。とりわけ−(CF)F(ただし、nは2〜20の整数。)で表される基が好ましく、nが5〜17の整数である基が好ましく、特にnが7〜13の整数である基が好ましい。
式(2)におけるQとしては、−(CHp+q−、−(CHCONH(CH−、−(CHOCONH(CH−、−(CHSONR(CH−、−(CHNHCONH(CH−、−(CHCH(OH)−(CH−等が好ましい。ただし、Rは水素原子またはアルキル基を示す。また、pおよびqは0以上の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。これらのうち、−(CHp+q−、−(CHCONH(CH−、−(CHSONR(CH−であり、かつ、qが2以上の整数であってかつp+qが2〜6である場合が好ましい。特に、p+qが2〜6である場合の−(CHp+q−、すなわち、ジメチレン基〜ヘキサメチレン基が好ましい。Qと結合するRの炭素原子には、フッ素原子が結合しているのが好ましい。
基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、Rは水素原子またはメチル基を示す。
F(CFCHOCOCR=CH、F(CFCHCHOCOCR=CH、H(CFCHOCOCR=CH、H(CFCHOCOCR=CH、H(CF10CHOCOCR=CH、H(CFCHCHOCOCR=CH、F(CFCHCHCHOCOCR=CH、F(CF10CHCHOCOCR=CH、F(CF12CHCHOCOCR=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCR=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCR=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCR=CH、F(CFSON(C)CHCHOCOCR=CH、F(CF(CHOCOCR=CH、F(CFSON(CH)CHCHOCOCR=CH、F(CFSON(C)CHCHOCOCR=CH、F(CFCONHCHCHOCOCR=CH、(CFCF(CF(CHOCOCR=CH、(CFCF(CFCHCH(OCOCH)− −OCOCR=CH、(CF3)CF(CFCHCH(OH)CH− −OCOCR=CH、(CFCF(CFCHCH(OH)CH− −OCOCR=CH、F(CFCHCHOCOCR=CH、F(CFCONHCHCHOCOCR=CH
本発明でいうフルオロアルキルアクリレートは、R基を有する(メタ)アクリル酸エステルを2種以上含んでもよい。R基を有する(メタ)アクリル酸エステルを2種以上含む場合には、炭素数の異なるR基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。また、本発明でいうフルオロアルキルアクリレートは、R基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位以外の重合単位を含んでもよい。他の重合単位としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、クロロプレン等のオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン等のスチレン類、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アリルグリシジルエーテル等のアリルエーテル類、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニル類、酢酸アリル等のカルボン酸アリル類、エチルビニルケトン等のビニルアルキルケトン類。
メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜26の直鎖または分岐のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサン基を有する(メタ)アクリレート、ブロックされたイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート、第4アンモニウム塩の基を有する(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類。
トリアリルシアヌレート、N−ビニルカルバゾール、マレイミド、N−アルキルマレイミド、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等。
本発明において、フルオロアルキルアクリレートを使用する場合は、下記の化合物すなわち、ブロックされたイソシアネート基を1個以上有し、かつ重合性炭素−炭素不飽和結合を有しない化合物であり、イソシアネート基をブロック化剤でブロックした構造の化合物、を併用することが好ましい。そして、ポリイソシアネートと分子内に活性水素原子を2個以上有する化合物とを反応させた化合物のイソシアネート基をブロック化剤でブロックした構造が好ましい。
ポリイソシアネートとしては、以下のポリイソシアネートが好ましく挙げられる。
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロパンジイソシアネート、1,2−ブタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート類または脂環族イソシアネート類、およびそれらのイソシアヌレート変性体、プレポリマー変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体等。
分子内に活性水素原子を2個以上有する化合物としては、多価アルコールまたは多価アミンが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール類、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、キシリレングリコール等、またはこれらアルコール類の変性体等が挙げられる。多価アミンとしては、ヘキサメチレンジアミン、3,3’−イミノビスプロピルアミン[HNCHCHCHNHCHCHCHNH]等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、多価アルコールは、ポリエステルポリオールであってもよい。該ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多価カルボン酸または多価カルボン酸の誘導体との反応により得られ、エステル結合を有する。エステル結合を形成するための多価カルボン酸またはその誘導体としては、フタル酸、アジピン酸、フマル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、脂肪族ジカルボン酸、またはそれぞれの酸の誘導体等が好ましい。
イソシアネート基のブロック化剤としては、アルキルケトオキシム類、フェノール類、アルコール類、β−ジケトン類、ラクタム類が好ましい。特にメチルエチルケトオキシム、ε−カプロラクタム、フェノール、クレゾール、アセチルアセトン、マロン酸ジエチル、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、マレイン酸イミド等が好ましい。とりわけ、メチルエチルケトオキシム等のジアルキルケトオキシム類、ε−カプロラクタム等のラクタム類等の解離温度120〜180℃の化合物が好ましい。
上記ブロックされたイソシアネートとしては、メイカネートMF、BP−11、NBP−75、NBP−231(以上、明成化学工業社製)、WB−730、WB−920、XWB−72−Z56(以上、武田薬品工業社製)、BI−8(日本ポリウレタン社製)等の市販の化合物を用いてもよい。
これらの化合物は、繊維と結合したクロルトリアジン環と反応してトリアジン環を介して天然繊維、再生繊維からなる繊維構造物と共有結合することによって、或いは更にもう1つの繊維と結合したモノクロルトリアジン環とも反応することによって、立体・架橋・網目結合の形成を促進し、耐久性のある防水性、疎水性、並びに水系防汚性等を付与することができる。
本発明において、上記薬剤を用いて繊維を加工する方法は、浴中吸尽法とパッド・ドライキュア法を併用する。加工条件の概要を説明すると、加工薬剤を目的に応じて、薬剤の純度100%換算で0.1〜10%(o.m.f)使用する。天然繊維構造物がセルロース系、再生繊維構造物を20%以上混交している場合は、無水炭酸ソーダ、重炭酸ソーダあるいは苛性ソーダを0.1〜3.0%(o.m.s)用いてアルカリ浴に調合する。天然繊維構造物がウール、シルク繊維構造物を70%以上混交している場合は、酢酸、氷酢酸、リンゴ酸、クエン酸を0.1〜5.0%(o.m.s)にて酸性浴に調合する。薬剤を混合するときは、薬液の温度を30℃未満で行うように注意する。30℃以上になると水溶性ジハロゲノトリアジン化合物の凝集が著しく、生地に均一付着をさせることが困難になるためである。
天然繊維、再生繊維構造物を一般的な染色条件にて染色し廃液する。その後調液温度に注意しながら混合した浴液を染色機内に注入する。処理加工する天然繊維、再生繊維構造物の総重量に対し浴比を1:30以下になるよう染色機内の水量を調整し、該繊維構造物を所定加工処理条件に従い加工する。処理温度30℃以上とし15分間以上処理し、徐徐に昇温しながら浴温度を60℃〜95℃で15分間以上処理した後、染色機内において湯洗を実施し排液し水洗する。繊維構造物を染色機から取り出して脱水120℃以下で乾燥する該繊維構造物を一般的な製織、製編を実施する。次いで二次処理加工をパッド/ドライ/キュア法にて実施する。パッディング浴を準備するに当たり、水溶性パーフルオロアクリレートを主として、水溶性シリコーンソフナー、水溶性メラミン尿素誘導体、または水溶性ウレタンおよびブロック型イソシアネートから2種以上の処理剤を選択してパッディング浴液を調整する。当浴液をマングルにて均一に絞り130℃以下にて乾燥して、キュア温度を140〜190℃内で20秒以上の熱処理をして一連の疎水化加工を完了する。二次処理にて、架橋・網目構造の形成を促進すると同時に機能性が付与される。また加工薬剤あるいは助剤のパディング回数は混合液をあるいはそれぞれ単独に、1回に留まらず数回パッドドライを繰り返すと良い結果を生む場合がある。
また、本発明においては、第1次と第2次との順序で製造工程・処理工程が含まれていればよい、
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない、
実施例1
カセ状に仕立て上げられた絹紡糸 番手EC72/2 18kgを酸性染料を用いて黒に染色した後同染色機内において水360リッター 2.6−ジクロル−4−(3−スルホアリニノ)−S−トリアジン10%水溶液3.6kg酢酸(48%濃度)170gで調液を実施した。その後2℃/分で50℃まで昇温しこの温度を20分間継続運転維持した。その後2℃/分で85℃まで昇温しこの温度を30分間継続維持して排水した。その後85℃にて10分間ソーピングを実施、排水。その後水洗を実施した。脱水した後120℃の乾熱で乾燥を実施、カセ状の絹紡糸を糸繰機においてコーン状態に仕立て製編機においてスムース地を製編した。その後パッディング浴液を、水溶性パーフルオロアルキレート7kg、ブロックイソシアネート500gを混合して水を加えて合計100リットルのパッディング浴液を調合した。マングルにて絞り率70%で均一に含浸させて130℃にて乾燥した。引き続きテンターで170℃で30秒間乾熱処理して加工を終了した。このようにして得られたシルク100%スムース編地についてJIS L1092雨試験による評価を行った結果を表1に示す。
比較例1
実施例1で使用したものと同じ編地を、水溶性ジハロゲノトリアジン化合物を除いた助剤のみで実施例1と同様の加工処理をした。このようにして得られた編地を実施例1と同様に測定した結果を表1に示す。
実施例2
コーン状態に仕立て上げられた、綿100%の60/2 24kgをモノクロルトリアジンの反応染料を用いて、ネービーに染色した後同染色機内において水360リッター2.6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩10%水溶液を生地重量に対し20%(o.m.f)4.8kgと重炭酸ソーダ 9kg、ソーダ灰1.8kg、ぼう硝10.8kgを水温30℃以下に保ちながら溶解撹拌した。その後、2℃/分で50℃まで昇温しこの温度を20分間継続運転維持した。その後、2℃/分で85℃まで昇温し、この温度を30分間継続維持して排水した。その後、85℃にて10分間ソーピングを実施、排水。その後、水洗を実施した。その後、脱水して120℃乾熱で乾燥を実施した。コーン状態の綿100% 60/2 24kgを200本に分割し2/2の綾地を80M製織した。その後、パッド、ドライ、キュア法において実施例1と同様の加工を実施した。このようにして得られた綿100% 2/2の綾地の測定結果を表2に示す。
比較例2
実施例2で使用したものと同じ布帛を、水溶性ジハロゲノトリアジン化合物を除いた助剤のみで実施例2と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を実施例2と同様に測定した結果を表2に示す。
実施例3
コーン状に仕立て上げられたスパン、レーヨン100%(リヨセル)30/1、60kgをモノクロルトリアジン反応染料を用いて、黒に染色した後同染色機内において水720リッター 2.6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩10%水溶液を生地重量に対し20%(o.w.f)12kg、重炭酸ソーダー1.5kg、ソーダ灰300g、ぼう硝1.8kgに調液した。その後、2℃/分で50℃まで昇温しこの温度を20分間継続運転維持した。その後、20℃/分で85℃まで昇温し、この温度を30分間継続維持して排水した。その後、85℃にて10分間ソーピングを実施、排水。その後、水洗を実施した。その後、脱水して120℃乾熱で乾燥を実施した。コーン状態のスパン、レーヨン(リヨセル)を600本に分割しポリビニールアルコール10%の水溶液の中に浸漬し120℃の乾熱の中で5400本の経糸としてサイジング整経を仕立てた。残糸を緯糸としてスパンレーヨン100% 2/1のギャバ地を製織した。このようにして得られた織布の測定結果を表3に示す。
比較例3
実施例3で使用したものと同じコーン状のレーヨン、スパン(リヨセル)を使用し、浴中吸尽処理を省き、織布の状態でパディング/ドライ/キュアを実施例3と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を実施例3と同様に評価した結果を表3に示す。
Figure 2007084987
Figure 2007084987
Figure 2007084987
表1に示した実施例1と比較例1からわかるように、本発明では、疎水性が向上している良好な結果が得られた。特に商業ドライの石油系では、これまで石油系ドライ溶液中にチャージソープが混合されており、このチャージソープの吸着残留により見掛け撥水性能は常に不良となって消費者からの苦情は絶えない現状となっていたが、当発明によりチャージソープの吸着度合いが減少していることが確認された。また疎水化度のバロメータとなる雨試験の吸水率は、比較1例対比1/2〜1/3まで減少され、疎水化が完全に形成されている結果が得られた。
実施例2と比較例2からわかるように、本発明では、綿100%の織布においても、疎水化のバロメータである雨試験の吸水率は比較例に対し7.45分の1まで低下して疎水化か完全に形成している結果を得た。更に綿に対するジクロロトリアジンの浴中吸尽条件で、アルカリ側で疎水化が出来ることを確認した。綿に対する黄ばみも1/3に減少し綿の末端基封鎖が出来ていることを検証された。また、形態安定化について洗濯寸法変化率で確認すると従来技術対比、1/4〜1/3まで改善出来ている良好な結果が得られた。
また、実施例3と比較例3からわかるように、本発明では、スパン、レーヨン(リヨセル)においても同様に良好な結果が得られた。

Claims (7)

  1. 水溶性ジハロゲノトリアジン化合物を反応させることによってコーン状態及びカセ状に仕立てあげられた天然繊維、再生繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維構造物を、吸尽法を用いて疎水性機能に改質するにあたり、天然繊維、再生繊維構造物を一般的な天然繊維、再生繊維の染色条件にて染色し廃液後、同染色機にて水溶性ジハロゲノトリアジン化合物を純度100%換算して天然繊維、再生繊維構造物の重量比0.1%以上10%以下の浴液を仕立てて浴比1:30以下になるように液量を調整した後浴液を30℃以上にて15分間以上処理し徐々に浴液温度を昇温させながら60℃〜95℃で15分間以上処理する事で置換反応を完了させる。湯水洗を実施して乾燥する。この処理されたコーン状態及びカセ状に仕立てあげられた天然繊維、再生繊維を製織、製編を実施した後水溶性パーフルオロアクリレートの調合液をマングルにて均等にパディングさせた後、130℃以下で乾燥させ140℃〜190℃以内で熱処理工程を有することを特徴とする天然繊維、再生繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維構造物の疎水化製造方法。
  2. 前記ジハロゲノトリアジン化合物が、下記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体であることを特徴とする請求項1記載の天然繊維、再生繊維から選ばれる、少なくとも1種の繊維構造物の疎水化製造方法。
    Figure 2007084987
    (式中、Xは塩素、フッ素及び臭素からなる群より選ばれるハロゲン基、Yはスルホン基、カルボキシル基、水酸基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基により置換されたアリールアミノ基、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルチオ基、またはトリアジニルアミノスチルベンアミノ基であり、前記スルホン基、カルボキシル基、水酸基、及びチオール基はその水素原子がアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子で置換されてもよい。)
  3. ジハロゲノトリアジン化合物を浴中にて吸尽させた天然繊維、再生繊維の少なくとも1種の繊維構造物を次なる反応浴液すなわちパディング液中に、水溶性パーフルオロアルキルアクリレートと水系シリコーンソフナー、水系メラミン尿素誘導体水系ウレタン、およびブロック型イソシアネートから選ばれた少なくとも1種を含有させることを特徴とする請求項1,2に記載の天然繊維、再生繊維の少なくとも1種の繊維からなる繊維構造物の疎水化製造方法。
  4. 請求項1〜3に記載のいずれかの天然繊維、再生繊維の少なくとも1種の繊維からなる繊維構造物の製造方法により得られた繊維構造物を用いてなることを特徴とするスーツ地、シャツ地、ボトム、セーター,コート等の防寒衣、スキーウェア、ライフジャケット等のアウター類。
  5. 請求項1〜3に記載のいずれかの天然繊維、再生繊維の少なくとも1種の繊維からなる繊維構造物の製造方法により得られた繊維構造物を用いてなることを特徴とする傘、鞄、靴等の雑貨類。
  6. 請求項1〜4に記載のいずれかの天然繊維、再生繊維の少なくとも1種の繊維からなる繊維構造物の製造方法により得られた繊維構造物を用いてなることを特徴とするテント、シーツ、テーブルクロス、各種カーシート等のシート類。
  7. 請求項1〜4に記載のいずれかの天然繊維、再生繊維の少なくとも1種の繊維からなる繊維構造物の疎水化製造方法により得られた繊維構造物を用いてなることを特徴とする靴下、ショーツ、ブラジャー等の下着類。
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