JP2005307416A - シルク繊維材料の風合耐久性の優れたウォッシャブル加工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のシルク繊維材料の改質加工法は絹の風合の損傷、光沢の劣化、高温熱処理での黄変、効果の耐久性が乏しい、ホルマリンの検出、刺激臭や毒性の強い薬剤の使用等、品質面、安全性、経済性等の面で多くの課題を抱えていた。
【解決手段】本発明者等はかかる品質、安全性、経済性或いは環境上の諸問題を解決し、環境に優しいシルク繊維材料の風合改質加工法について研究を重ねた結果、水溶性の置換基を有するジハロゲノ−モノ置換−トリアジン系の化合物を用いて、適切な温度で加工してやれば、これらの諸問題が解決され、特に風合耐久性の優れたウォッシャブルなシルク繊維材料が得られることを見出した。
【選択図】なし
【解決手段】本発明者等はかかる品質、安全性、経済性或いは環境上の諸問題を解決し、環境に優しいシルク繊維材料の風合改質加工法について研究を重ねた結果、水溶性の置換基を有するジハロゲノ−モノ置換−トリアジン系の化合物を用いて、適切な温度で加工してやれば、これらの諸問題が解決され、特に風合耐久性の優れたウォッシャブルなシルク繊維材料が得られることを見出した。
【選択図】なし
Description
本発明は水溶性のジクロルトリアジン系化合物によってシルク繊維材料を加工し、風合の点で耐久性のある改質加工を施す事を特徴とするシルク繊維材料の風合耐久性の優れたウォッシャブル加工法である。
より具体的には、本発明は一般式(1)で表される2,4−ジクロル−6−Y−S−トリアジン誘導体によってシルク繊維の素材からなる糸、絹紡、編み物、織物、不織布、わたなどを加工して改質する事によって、主として風合の面で耐久性を与え、シルク繊維材料の付加価値を高め、機能性並びに用途を拡大することを目的としたウォッシャブル加工法に関するものである。
(式中、Xは塩素原子、Yはスルフォン基、カルボキシル基、水酸基、チオール基等の水溶性置換基を有するアリ−ルアミノ基、アリ−ルオキシ基、アリ−ルメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルチオ基、トリアジニルアミノスチルベンアミノ基、或いはヒドロキシ基、チオール基等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など、中性乃至弱アルカリ性で化合物(1)を水溶性とならしめる置換基を意味する)
より具体的には、本発明は一般式(1)で表される2,4−ジクロル−6−Y−S−トリアジン誘導体によってシルク繊維の素材からなる糸、絹紡、編み物、織物、不織布、わたなどを加工して改質する事によって、主として風合の面で耐久性を与え、シルク繊維材料の付加価値を高め、機能性並びに用途を拡大することを目的としたウォッシャブル加工法に関するものである。
(式中、Xは塩素原子、Yはスルフォン基、カルボキシル基、水酸基、チオール基等の水溶性置換基を有するアリ−ルアミノ基、アリ−ルオキシ基、アリ−ルメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルチオ基、トリアジニルアミノスチルベンアミノ基、或いはヒドロキシ基、チオール基等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など、中性乃至弱アルカリ性で化合物(1)を水溶性とならしめる置換基を意味する)
従来、シルク繊維材料の改質加工法としては、染色研究Vol.43、No.2、(1999)第12頁〜17頁「化学加工による絹繊維の改質」、或いは特開平10−310977号公報「防縮性絹製品およびその製造方法」と題して記載がある通り、エポキシド加工、カルボン酸加工、グラフト加工、スチレン加工、ヒドロキシエチルメタクリレート加工、メタクリルアミド加工、メチロ−ル系樹脂加工、スズ加工、タンニン加工、塩縮加工などが知られているが、それらの文献にも記載されている通り、それぞれ多くの間題点を抱えており、品質・効果・耐久性、安全性、作業性等に課題を有している。
例えば、▲1▼絹の風合を損なう事が多く、加工効果が不充分、▲2▼光沢が劣化する、▲3▼高温熱処理で黄変する場合がある、▲4▼効果の耐久性が乏しい、▲5▼ホルマリンが検出されたり、▲6▼刺激臭や毒性の強い薬剤を使用するという安全性や作業性の問題等、多くの課題が残されていると文献中に指摘されている。
また特許第2559302号公報には、2,4,6−トリハロゲノ−1,3,5−トリアジンをエチレングリコール誘導体の特殊な有機溶剤に溶解した薬剤を用いる加工法の記載があるが、よく知られている様に、2,4,6−トリハロゲノ−1,3,5−トリアジンは水に溶けない非常に刺激臭の強い化合物であって、作業性に問題がある事と、水不溶性で反応性が高過ぎるため加工斑を生じやすい事、及び特定の有機溶剤を使用する事などからコストアップとなるだけでなく、廃水負荷も必然的に高くなるという環境上の問題もある。
例えば、▲1▼絹の風合を損なう事が多く、加工効果が不充分、▲2▼光沢が劣化する、▲3▼高温熱処理で黄変する場合がある、▲4▼効果の耐久性が乏しい、▲5▼ホルマリンが検出されたり、▲6▼刺激臭や毒性の強い薬剤を使用するという安全性や作業性の問題等、多くの課題が残されていると文献中に指摘されている。
また特許第2559302号公報には、2,4,6−トリハロゲノ−1,3,5−トリアジンをエチレングリコール誘導体の特殊な有機溶剤に溶解した薬剤を用いる加工法の記載があるが、よく知られている様に、2,4,6−トリハロゲノ−1,3,5−トリアジンは水に溶けない非常に刺激臭の強い化合物であって、作業性に問題がある事と、水不溶性で反応性が高過ぎるため加工斑を生じやすい事、及び特定の有機溶剤を使用する事などからコストアップとなるだけでなく、廃水負荷も必然的に高くなるという環境上の問題もある。
前記した通り、従来技術は多かれ少なかれ製品の品質に問題を抱えているか、或いは加工工程上並びに消費者サイドに於ける種々の問題を抱えており、更に経済性の問題も加わって改良が望まれていた。
シルクは天然繊維の中で唯一の細くて長い長繊維(フィラメント)で、柔らかくて暖かい肌触りと高い保湿性を有し、輝かしい光沢と風合を兼ね備えており、『繊維の女王』と呼ばれるにふさわしい天然繊維である。
シルクは古くから主として和服に用いられてきたが、近年、シルクの持つ着用快適性(風合の良さ)と優雅な感性を活かして、インナーウエア、寝装・寝具、タオル、ブラウス、スーツといった洋装カジュアル分野の用途が拡大している。
洋装カジュアル分野、特にインナーウエア、寝装・寝具、タオル等に用いられる場合は、和服の場合に比べて洗濯する機会が大幅に増加するが、シルクの唯一の欠点であるスレによる風合と光沢の劣化、特に水にぬれた時に生じやすいスレが原因で繊維が硬くなり、風合や光沢が失われていくという大きな問題がある。
シルクの最高の長所である風合や光沢が洗濯を繰返す事によって失われていく事は、洋装カジュアル分野に於けるシルク製品の需要拡大にとって致命的な欠陥であり、改善が強く求められていた。
シルクは天然繊維の中で唯一の細くて長い長繊維(フィラメント)で、柔らかくて暖かい肌触りと高い保湿性を有し、輝かしい光沢と風合を兼ね備えており、『繊維の女王』と呼ばれるにふさわしい天然繊維である。
シルクは古くから主として和服に用いられてきたが、近年、シルクの持つ着用快適性(風合の良さ)と優雅な感性を活かして、インナーウエア、寝装・寝具、タオル、ブラウス、スーツといった洋装カジュアル分野の用途が拡大している。
洋装カジュアル分野、特にインナーウエア、寝装・寝具、タオル等に用いられる場合は、和服の場合に比べて洗濯する機会が大幅に増加するが、シルクの唯一の欠点であるスレによる風合と光沢の劣化、特に水にぬれた時に生じやすいスレが原因で繊維が硬くなり、風合や光沢が失われていくという大きな問題がある。
シルクの最高の長所である風合や光沢が洗濯を繰返す事によって失われていく事は、洋装カジュアル分野に於けるシルク製品の需要拡大にとって致命的な欠陥であり、改善が強く求められていた。
本発明者はかかる品質上、経済上或いは安全上の諸問題を解決し、環境に優しいシルク繊維材料の風合の維持・改善を主たる目的とする改質加工法の改善について鋭意研究を重ねた結果、前記一般式(1)で表される水溶性の置換基を有するジクロル−モノ置換−S−トリアジン系化合物を用いて加工するに当たって、ジクロルトリアジン系化合物水溶液を0.5〜5.0%の濃度範囲とし、PHを7.0〜10の範囲内となる様に酸結合剤を使用し、60〜120℃の温度で熱処理すれば、デリケートなシルク繊維材料に風合耐久性の優れたウォッシャブル加工を施す事ができる事を見出した。
本発明は、シルク繊維素材を成分とする繊維材料の風合の耐久性を向上させるに当たって、水溶性の置換基を有する無色のジクロル−モノ置換−S−トリアジン系化合物を用いて架橋反応による加工を行う際、ジクロルトリアジン系化合物水溶液を0.5〜5.0%の濃度範囲、PHを7.0〜10の範囲内となる様に酸結合剤を使用し、60〜120℃の温度で数十分熱処理を行う事によって、優れた風合耐久性を有するシルク繊維材料を提供する事を目的とするものである。
本発明で用いる事が出来る水溶性の置換基を有するジクロル−モノ置換−S−トリアジン系の化合物とは、一般式(1)で表される水に可溶性の化合物である。
(式中、Xは塩素原子、Yはスルフォン基、カルボキシル基、水酸基、チオール基等の水溶性置換基を有するアリ−ルアミノ基、アリ−ルオキシ基、アリ−ルメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルチオ基、トリアジニルアミノスチルベンアミノ基、或いはヒドロキシ基、チオール基等めアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など、中性乃至弱アルカリ性で化合物(1)を水溶性とならしめる置換基を意味する)
(式中、Xは塩素原子、Yはスルフォン基、カルボキシル基、水酸基、チオール基等の水溶性置換基を有するアリ−ルアミノ基、アリ−ルオキシ基、アリ−ルメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルチオ基、トリアジニルアミノスチルベンアミノ基、或いはヒドロキシ基、チオール基等めアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など、中性乃至弱アルカリ性で化合物(1)を水溶性とならしめる置換基を意味する)
本発明において用いられる、一般式(1)で表されるシルク素材の改質架橋薬剤をより具体的に説明すると、トリハロゲノ−S−トリアジン、好ましくは塩化シアヌルを原料として用い、スルフォン酸基、カルボキシル基、水酸基、チオ−ル基等水溶性置換基を有するアニリン類、フェノ−ル類、チオフェノ−ル類、ナフチルアミン類、ナフトール類、ジオキシクロルトリアジン、シアヌル酸、ジチオクロルトリアジン、アミノオキシクロルトリアジン、アミノジオキシトリアジン、アミノ酸類等を塩化シアヌルに対して1モル比、酸結合剤を共存させ中性乃至弱アルカリ性で縮合させるか、或いは塩化シアヌルを重炭酸ソ−ダ、炭酸ソ−ダ、カセイソ−ダ、カセイカリ、珪酸ソ−ダ、第2燐酸ソ−ダ等を用いてアルカリ性で加水分解させる公知の方法によって得られる。或いはオキシジハロゲノトリアジン類、チオジハロゲノトリアジン類を2分子以上縮合させる事によっても得られる。
これらの化合物は純粋である必要はなく、前記の2種類以上の混合物の合計1モルに対して塩化シアヌル1モルを反応させたものであっても良いし、純粋に作られた物をあとから混合して多成分系として使用する事が好ましい場合もある。具体的には次のような化合物の単体或いは混合物を例として挙げることが出来る。
2,6−ジクロル−4−(3−スルフォアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−スルフォアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2−スルフォアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2,5−ジスルフォアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3,5−ジスルフォアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−スルフォ−4−オキシ−5−カルボキシアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−カルボキシアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2−カルボキシアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−スルフォフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−スルフォフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2−スルフォフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−スルフォフェニルチオ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3,6−スルフォ−8−オキシナフタレン−1−イルアミノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4,8−スルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジンLi塩
2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジンMg塩
2,6−ジクロル−4−チオ−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4(4−オキシ−6−クロル−S−トリアジン−2−イルオキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(4−チオ−6−クロル−S−トリアジン−2−イルチオ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(4,6−ジオキシ−S−トリアジン−2−イルオキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(3,5−ジオキシフェニルオキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(3−オキシフェニルオキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(4−オキシフェニルオキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(4−カルボメトキシ)−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4(4−スルフォエチルアミノ)−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4(4−カルボメチルチオ)−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4(4−スルフォニルオキシエチルアミノ)−S−トリアジンNa塩
4,4−ビス(4,6−ジクロロ−S−トリアジン−2−イルアミノ)−スチルベン−2,2−ジスルフォニックアシッドNa塩
水溶性の置換基を有するジクロルトリアジン類は、この他にも数多くの有効な化合物が考えられるのであって、本発明はこれらの具体例に制約されるものではなく、化合物(1)が全体として水溶性となる親水性置換基を有することと、臭素、フッ素を含む活性ハロゲン原子(反応性基)を2個以上有する事がポイントである。尚、上記の全ての化合物は水溶性置換基が各種の金属塩となっている場合も含まれる。
これらの化合物は純粋である必要はなく、前記の2種類以上の混合物の合計1モルに対して塩化シアヌル1モルを反応させたものであっても良いし、純粋に作られた物をあとから混合して多成分系として使用する事が好ましい場合もある。具体的には次のような化合物の単体或いは混合物を例として挙げることが出来る。
2,6−ジクロル−4−(3−スルフォアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−スルフォアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2−スルフォアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2,5−ジスルフォアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3,5−ジスルフォアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−スルフォ−4−オキシ−5−カルボキシアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−カルボキシアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2−カルボキシアニリノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−スルフォフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−スルフォフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2−スルフォフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−スルフォフェニルチオ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3,6−スルフォ−8−オキシナフタレン−1−イルアミノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4,8−スルフォナフタレン−2−イルアミノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジンLi塩
2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジンMg塩
2,6−ジクロル−4−チオ−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4(4−オキシ−6−クロル−S−トリアジン−2−イルオキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(4−チオ−6−クロル−S−トリアジン−2−イルチオ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(4,6−ジオキシ−S−トリアジン−2−イルオキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(3,5−ジオキシフェニルオキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(3−オキシフェニルオキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(4−オキシフェニルオキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4(4−カルボメトキシ)−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4(4−スルフォエチルアミノ)−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4(4−カルボメチルチオ)−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4(4−スルフォニルオキシエチルアミノ)−S−トリアジンNa塩
4,4−ビス(4,6−ジクロロ−S−トリアジン−2−イルアミノ)−スチルベン−2,2−ジスルフォニックアシッドNa塩
水溶性の置換基を有するジクロルトリアジン類は、この他にも数多くの有効な化合物が考えられるのであって、本発明はこれらの具体例に制約されるものではなく、化合物(1)が全体として水溶性となる親水性置換基を有することと、臭素、フッ素を含む活性ハロゲン原子(反応性基)を2個以上有する事がポイントである。尚、上記の全ての化合物は水溶性置換基が各種の金属塩となっている場合も含まれる。
本発明で改質加工されるシルク繊維素材は単品でも混合品でもよく、いわゆる合成繊維を含めた複合系繊維であってもよい。具体的には絹繊維素材を成分として含有する糸、織物、編み物、わた、不織布などである。
これらの素材はわたや糸の段階、織編み物生地や製品、或いは工程途中の半製品の段階で加工することも可能である。
これらのシルク素材は羊毛、綿、レーヨンなど、その他の天然繊維或いはポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン等石油系合成繊維素材との交織、混紡等の複合系であってもよい。
これらの素材はわたや糸の段階、織編み物生地や製品、或いは工程途中の半製品の段階で加工することも可能である。
これらのシルク素材は羊毛、綿、レーヨンなど、その他の天然繊維或いはポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン等石油系合成繊維素材との交織、混紡等の複合系であってもよい。
本発明の加工薬剤は、ドイツ公開公報2357252号、或いはアメリカ特許公報5601971号等の記載に準じて、公知の合成法で合成することが出来るが、その概要は次の通りである。例えば塩化シアヌル1.00モルを5℃以下の氷水の中へ仕込み、次いで例えばm−スルファニル酸1.02モルと炭酸ソーダ約1モルを、よく攪拌しながら徐々に仕込む。m−スルファニル酸と炭酸ソーダの仕込みはPH=7±1で1〜3時間を要して0〜10℃で仕込み、HPLCによって分析し、塩化シアヌルがほぼ消滅すれば、更に1時間保温攪拌して反応を完結させる。この間PHは7±1に維持し、HPLCによって組成を分析し、モノスルファニル体が90%以上となれば反応を終了する。
反応後微量の不溶物を濾過して除き、最終的にPHは8.0〜8.3に調整する。
この様にして2,6−ジクロル−4−(3−スルフォアニリノ)−S−トリアジンNa塩水溶液がほぼ定量的収率で得られる。この化合物は冷蔵庫内で2℃以下で保管すれば約1ヶ月は安定である。
反応後微量の不溶物を濾過して除き、最終的にPHは8.0〜8.3に調整する。
この様にして2,6−ジクロル−4−(3−スルフォアニリノ)−S−トリアジンNa塩水溶液がほぼ定量的収率で得られる。この化合物は冷蔵庫内で2℃以下で保管すれば約1ヶ月は安定である。
本発明のシルク繊維材料の加工条件は、ジクロルトリアジン系反応性染料、或いはビニルスルフォン系2官能型反応性染料等とは違って、薬剤の分子量が小さく、直線性・平面性に欠け、繊維に対する直接性が乏しいので、それら染料の加工条件を単純に適用しても充分満足のいく結果が得られない。
加工条件の一例をあげると、加工薬剤を目的に応じてジクロルトリアジン系化合物水溶液を純度換算0.5〜5.0%の濃度範囲、好ましくは1.0〜3.0%、PHを7.0〜10の範囲内、好ましくはPH8〜9となる様に酸結合剤、例えば重炭酸ソーダを加えてパッデング浴を作り、生地或いは糸をパッドして軽く絞ったあと、60〜120℃、好ましくは80〜100℃の温度で10〜120分間熱処理を行う事によって、優れた風合耐久性を有するシルク繊維材料を提供する事ができる。
この場合、液流染色機やチーズ染色機を用いる浸漬法でも良いし、パッド・ドライ・スチーミング法も適用可能であるが、最も経済性の点で優れた加工法はパッド・スチーミング法である。
本発明の特徴は、▲1▼無害化した水溶性の架橋薬剤を用いる為、作業性がよく、ノンホルマリンで安全性が優れている、▲2▼薬剤が安価であるだけでなく加工法も簡単な為コスト競争力が優れている、▲3▼樹脂加工のように樹脂化が起こらないのでシルクの大切な風合が損なわれず、風合耐久性や寸法安定性並びに保湿性等が向上する優れたウォッシャブル加工法である。
加工条件の一例をあげると、加工薬剤を目的に応じてジクロルトリアジン系化合物水溶液を純度換算0.5〜5.0%の濃度範囲、好ましくは1.0〜3.0%、PHを7.0〜10の範囲内、好ましくはPH8〜9となる様に酸結合剤、例えば重炭酸ソーダを加えてパッデング浴を作り、生地或いは糸をパッドして軽く絞ったあと、60〜120℃、好ましくは80〜100℃の温度で10〜120分間熱処理を行う事によって、優れた風合耐久性を有するシルク繊維材料を提供する事ができる。
この場合、液流染色機やチーズ染色機を用いる浸漬法でも良いし、パッド・ドライ・スチーミング法も適用可能であるが、最も経済性の点で優れた加工法はパッド・スチーミング法である。
本発明の特徴は、▲1▼無害化した水溶性の架橋薬剤を用いる為、作業性がよく、ノンホルマリンで安全性が優れている、▲2▼薬剤が安価であるだけでなく加工法も簡単な為コスト競争力が優れている、▲3▼樹脂加工のように樹脂化が起こらないのでシルクの大切な風合が損なわれず、風合耐久性や寸法安定性並びに保湿性等が向上する優れたウォッシャブル加工法である。
以下実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。なお、例中、%は重量%を意味する。
実施例1
実施例1
2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジンNa塩の10%水溶液600gを水1.4kgに溶解し、更に重炭酸ソーダ93.8gを加えて溶解する。この様にして作製したパッヂング浴にシルク100%で編んだタオルを浸漬した。次いで軽く絞って過剰の液を取り除き、蒸し器の中で90℃で2時間保温して熱処理を終了した。次いで温水で水洗した後、酢酸を少量加えてPHを4〜5とした水にモノゲン(P&G製洗剤)を所定量加えて85〜95℃で10分間ソ−ピングして湯洗し、脱水して乾燥して仕上げた。この様にして加工したシルクタオルを、JIS−L−1018G法(家庭電気洗濯機法)105法で未処理品と共に10回の洗濯によって比較したところ、下記の結果を得た。
上記結果によって示す通り、本発明方法で加工されたシルクタオルの風合は洗濯後も新品に近い柔らかい風合と光沢を維持しており、未処理品の風合は著しく劣化して硬くなっていた。寸法変化率については実施例のタオルはタテ−2.5%、ヨコ−2.8%でいずれも3%以内であったが、未処理品はタテ−10.1%、ヨコ−10.4%と大きく収縮した。
なお、この実施例1において、熱処理温度を50℃で2時間湿熱処理を行った場合、成いは150℃で5分間乾熱処理を行った場合の風合は、いずれも2〜3級で加工効果は充分でなかった。
実施例2
上記結果によって示す通り、本発明方法で加工されたシルクタオルの風合は洗濯後も新品に近い柔らかい風合と光沢を維持しており、未処理品の風合は著しく劣化して硬くなっていた。寸法変化率については実施例のタオルはタテ−2.5%、ヨコ−2.8%でいずれも3%以内であったが、未処理品はタテ−10.1%、ヨコ−10.4%と大きく収縮した。
なお、この実施例1において、熱処理温度を50℃で2時間湿熱処理を行った場合、成いは150℃で5分間乾熱処理を行った場合の風合は、いずれも2〜3級で加工効果は充分でなかった。
実施例2
実施例1における薬剤2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジンNa塩の代わりに、2,6−ジクロル−4−(4−スルフォアニリノ)−S−トリアジンNa塩を用いる以外は同じ条件で加工処理して未処理品と比較したところ、加工処理品の風合は未処理品に比べて実施例1とほぼ同様に優れていた。
実施例3
実施例3
2,6−ジクロル−4−ヒドロキシ−S−トリアジンNa塩の10%水溶液400gを水1.6kgに溶解し、更に重炭酸ンーダ93.8gを加えて溶解する。この様にして作製したパッヂング浴にシルク100%で編んだタオルを浸漬した。次いで軽く絞って過剰の液を取り除き、蒸し器の中で90℃で1時間保温して熱処理を終了した。次いで温水で水洗した後、酢酸を少量加えてPHを4〜5とした水にモノゲン(P&G製洗剤)を所定量加えて85〜95℃で10分間ソーピングして湯洗し、脱水して乾燥して仕上げた。この様にして加工したシルクタオルを、JIS−L−1018G法(家庭電気洗濯機法)105法で未処理品と共に10回の洗濯によって比較したところ、ほぼ実施例1と同様な風合耐久性の優れた結果を得た。
本発明方法によって加工されたシルク繊維材料は、未加工のシルク繊維材料に比べて、著しく風合と光沢の耐久性が改善され、繰り返し洗濯によっても風合と光沢が維持されるので、洗濯を繰り返し使用される用途、例えば、インナーウエア、寝装・寝具、タオル等に適用すると効果的で、洋装カジュアル分野での実用的付加価値が高まり、需要拡大に寄与する。
特に本発明方法は、安全で環境適合性の優れた安価な架橋薬剤を用いてシルク繊維材料の家庭洗濯不適合性と言う致命的な欠点を改善ずる事が出来る点に特徴がある。その効果は歴然たるもので、経済性と品質効果が共に優れており、シルク素材の機能性と用途拡大に大きく寄与し、環境・安全問題にも貢献する。
特に本発明方法は、安全で環境適合性の優れた安価な架橋薬剤を用いてシルク繊維材料の家庭洗濯不適合性と言う致命的な欠点を改善ずる事が出来る点に特徴がある。その効果は歴然たるもので、経済性と品質効果が共に優れており、シルク素材の機能性と用途拡大に大きく寄与し、環境・安全問題にも貢献する。
Claims (3)
- シルク繊維材料の風合を維持・改善する為に水溶性のジクロル−S−トリアジン系化合物を用いて風合の優れたウォッシャブル加工を施すに当たって、弱アルカリ性の酸結合剤を使用し、60〜120℃の温度範囲で熱処理する事を特徴とするシルク繊維材料の風合耐久性の優れたウォッシャブル加工法。
- シルク繊維材料の風合を維持・改善する為に水溶性のジクロル−S−トリアジン系化合物を用いて風合耐久性のあるウォッシャブル加工を施すに当たって、ジクロル−S−トリアジン系化合物として一般式(1)で表される2,4−ジクロル−6−Y−S−トリアジン誘導体を使用し、請求項1なる方法で加工し、風合面で耐久性の優れた加工を施す事を特徴とするシルク繊維材料のウォッシャブル加工法。
(式中、Xは塩素原子、Yはスルフォン基、カルボキシル基、水酸基、チオール基等の水溶性置換基を有するアリ−ルアミノ基、アリ−ルオキシ基、アリ−ルメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルチオ基、トリアジニルアミノスチルベンアミノ基、或いはヒドロキシ基、チオール基等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など、中性乃至弱アルカリ性で化合物(1)を水溶性とならしめる置換基を意味する) - 加工対象繊維素材として、シルク繊維素材を一般式(1)で表される2,4−ジクロル−6−Y−S−トリアジン誘導体を用いて、請求項1なる方法によって加工され、風合面で耐久性の優れたウォッシャブル加工を施されたシルク繊維材料。
(式中、Xは塩素原子、Yはスルフォン基、カルボキシル基、水酸基、チオール基等の水溶性置換基を有するアリ−ルアミノ基、アリ−ルオキシ基、アリ−ルメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルチオ基、トリアジニルアミノスチルベンアミノ基、或いはヒドロキシ基、チオール基等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など、中性乃至弱アルカリ性で化合物(1)を水溶性とならしめる置換基を意味する)
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WO2012160711A1 (ja) * | 2011-05-26 | 2012-11-29 | 株式会社 きものブレイン | シルク繊維の加工方法 |
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2004
- 2004-04-21 JP JP2004153985A patent/JP2005307416A/ja active Pending
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