JP2008063708A - 有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法 - Google Patents

有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機繊維構造物への多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させる事によって新しく形態安定化の機能を付与し更に水系防汚性を付与し衣料分野での着用快適性を実現でき、更に生活.産業.資材分野への活用など広い用途.展開を可能にする有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法の提供。
【解決手段】一般式で表される親水性の置換基を有する2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体が付与されている繊維構造物と該繊維構造物の製造方法。
Figure 2008063708

上記式[化1]中、Xは塩素、フッ素及び臭素からなる群より選ばれるハロゲン基、Yはスルホン基等である。
【選択図】なし

Description

本発明は、親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物と多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させ有機繊維構造物の着用快適性および疎水性を向上させるものであり、さらに詳しくは一般衣料における風合いの維持、防縮性、柔剛性向上などの形態安定、疎水化における撥水性.撥油性.速乾性、水系防汚性などの機能を有する有機繊維構造物に関するものである。
天然繊維、再生繊維並びにナイロンなどの有機繊維構造物は、風合いや吸湿率の点で、合成繊維に比べて非常に優れた素材である。それは合成繊維と比較して、内部に親水性のNH基,OH基を多く有し、公定水分率が高いためである。しかし、洗濯等により水を含むと膨張し布地等の摩擦によってフィルビル、ピリング等の発生となり粗硬化の原因のフェルト化を引き起こす。又乾燥によって収縮すること剛柔性.防縮性を含めて形態安定性が合成繊維と比較して低いという特徴がある。
従来から有機繊維構造物はコート、オーバー、スポーツウェアー更にはテーブルクロス、シート類などの産業資材分野に至るまで広い用途に使用されている。その一方で疎水化における撥水性.撥油性において例えば衣料用途では、水や雨などが衣服内には染み込まないという特性が強く要請されてきた、更にたとえ濡れても早く乾くという速乾性などの様々な機能性をも要請されている。
したがって、該要求に対応して開発された、シリコーン系やフッ素系の撥水剤で加工した製品が提案されている(特許文献1)。
しかし、これらのいずれについても、使用者からは十分に満足したとの評価は得られていないのが現状で改善点はある。最も指摘される項目は、水系洗濯における風合い維持などの形態安定.防縮性.フィルビル.ピリング等の発生にともなう粗硬化、疎水性を追求する撥水処理.撥油処理については有機繊維構造物の粗硬化と強伸度の低下、着用耐久性の低さであり、特に生地表面の汚れに対して撥水度の低下が著しく、かつ摩耗においても撥水度の低下が避けられないという品質の点であった。
特に、有機繊維構造物の撥水性向上の要求に対し、加工剤の構成や塗布量のアップがなされてきたが、樹脂による繊維表面への加工のため耐久性は低く、期待値まで向上し得ない技術レベルであった。また、樹脂による繊維表面への加工のため、風合いの硬化、コストアップ、チョークマークの発生等という品位を損なうという問題に加えて、撥水効果をアップすればするほど静電気の発生度合いが強くなり、ゴミ、浮遊物の付着、汚れ、着用不快感が発生するという問題や、更には有害な薬剤や樹脂の使用に起因する安全性の問題や、製造過程で発生する排水負荷(生物化学的酸素要求量)が高くなるという問題があった。
また、本発明において後で説明するように親水性置換基をする、ジハロゲノトリアジン化合物を用いて天然繊維や再生繊維を処理することについて、有機天然繊維製品の改質加工技術として、羊毛、絹、皮革、木綿、麻、再生繊維等の有機天然繊維材料にジハロゲノトリアジン化合物を用いて2段階の熱処理加工を施して、それにより形態安定加工を行うという加工手法が提案されている(特許文献2)。
しかし、この特許文献2に記載の従来技術では、本発明とは、目的、構成、効果のいずれにおいても相違するものである。
特開平6−57641号公報 特許第3415576号公報(特許請求の範囲)
すなわち、本発明の目的は有機繊維構造物への風合いの維持などの形態安定性.防縮性.剛柔性、疎水性における撥水性.撥油性などの水系防汚性、速乾性などの各種の機能性の向上を付与し生活資材、産業資材への活用など広い用途開拓をすることであり、その目的に沿った有機繊維構造物を提供せんとするものである。
課題を解決するための手段
上記課題を解決するために、本発明に係る有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法は親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物と多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させ製造.加工する製造方法として「乾熱連続法」と「浴中吸尽法」の2つの方法がある。
乾熱連続法においては、本発明方法は親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物と多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させ有機繊維構造物に含浸させた後、該繊維構造物を30℃〜90℃で熱処理する第1段階とその後120℃〜180℃の乾熱の中で実質的に乾燥するまで熱処理する第2段階とを含む処理工程を有することを特徴とするものである。
浴中吸尽法において本発明方法は親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物を純度100%換算で該繊維構造物の重量比0.1%以上、5.0%以下、多価アルコール類および多価アミノ化合物においては該繊維構造物の重量比0.1%以上5.0%以下、浴比1:30以下になるように調整した浴液にて浴液温度30℃〜90℃、15分間以上の処理を実施する、第1段階の熱処理と120℃〜180℃の乾熱の中で熱処理する第2段階とを含む処理工程を有する事を特徴とするものである。
浴中吸尽法においては、浴液温度30℃〜60℃、15分間以上で処理し次に浴液温度を徐々に昇温させていき、さらに60℃〜90℃の範囲で15分間以上処理する、徐々にとは浴液温度30℃〜60℃、15分間以上の処理をした後60℃〜90℃の範囲で15分間以上処理する際の処理温度に至らせるまでを徐々に昇温させるという意味である、徐々にとは急激かつ不均一な反応を防止することにより有機繊維構造物に対して親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物を2次元的な立体的架橋構造で被膜化できる昇温速度であることを意味し具体的には昇温速度が2℃/分以下であることが好ましい。
また、かかる本発明において撥水性向上剤として水溶性ジハロゲノトリアジン化合物の水溶液に水溶性または水分散性(以下、水系と記す)パーフルオロアルキルアクリレートを併用する事が好ましく、助剤として水系シリコーンソフナー、水系メラミン尿素誘導体および水系ウレタンから選ばれた少なくとも1種を併用する事が好ましい。
かかる本発明方法において第1段階においては有機繊維構造物への改質.機能性付与を目的として親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物の溶液に多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させる。また反応をより均一かつ時間を短縮する目的でシルク、ウール、ナイロンの各繊維は酢酸、リンゴ酸、およびクエン酸から選ばれた少なくとも1種を添加してPhを4〜6の範囲にする事が好ましい。又綿、麻などのセルロース系繊維、更生繊維においては炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムから選ばれた少なくとも1種を添加してPhを8〜11の範囲にすることが好ましい。
本発明において親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物としては、下記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体が好ましく使用される。
Figure 2008063708
上記式(1)中、Xは塩素、フッ素及び臭素からなる群より選ばれるハロゲン基、Yはスルホン基、カルボキシル基、水酸基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基により置換されたアリールアミノ基、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルチオ基、またはトリアジニルアミノスチルベンアミノ基であり、前記スルホン基、カルボキシル基、水酸基及びチオール基はその水素原子がアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子で置換されてもよい。
前記一般式(1)で表される親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物を用いて有機繊維構造物を反応させる条件は、シルク.ウール並びナイロンにおいては酸性染料とよく似た条件で加工できる。綿.麻などのセルロース系繊維.再生繊維においてはジクロトリアジン系反応性染料の場合と良く似た条件で加工することができる。それによって薬剤使用量の削減と省エネルギー並びに排水の削減を達成し、経済性並びに環境適応性を著しく改善することができる。
疎水性向上剤として、水溶性または水分散性(以下、水系と記す)パ−フルオロアルキルアクリレートに、助剤として、水系メラミン尿素誘導体や水系ウレタン、およびブロック型イソシアネートの中から選ばれる1種または複数種を併用することが好ましい。
前述した水系フルオロアルキルアクリレート、水系シリコーンソフナー、水系メラミン尿素誘導体、水系ウレタンの分子中に、水酸基と、カルボキシル基、スルホン基などの水溶性置換基を有していることが好ましい。これらの化合物は、繊維と結合したクロルトリアジン環と反応してトリアジン環を介して有機繊維からなる繊維構造物と共有結合によって結びつくか、あるいは更に繊維と結合したもう1つのクロルトリアジン環とも反応することによって、長さの異なる立体・架橋・結合を形成し、疎水性、水系防汚性等の機能性を付与することができると考えられる。もちろん、反応機構論からジハロゲノ−S−トリアジン系化合物と助剤類が事前に反応する場合や、等モル反応に限らず、例えば、1:2、1:3あるいは2:1モル比反応等、多数の組み合わせからなる反応中間体を形成した上で繊維と反応する場合も考えられる。
発明の効果
本発明の製造方法によって得られる有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法は、本発明の処理を実施していない加工品と比較して防縮性.剛柔度などの形態安定、疎水性の追求として撥水性.撥油性.速乾性が向上して着衣快適性並び疎水性を講向上させた素材を提供できる。更に上記の特性の耐久性においても非常に優れている。
さらに、本発明方法の特徴は、ホルマリン等の有害な薬剤を使用することなく安全で環境適合性に優れた安価な加工薬剤であること、樹脂加工による莫大なエネルギーを使用することなく二酸化炭素や窒素酸化物の削減にも寄与し、熱による作業環境の悪化を防ぐことができる点であり、これらのことから、新規の設備を設置することなく、遊休設備を活用できるなど優れた経済性のもとで、従来は制約が多かった衣料分野のみならず産業資材の各種分野で、有機繊維からなる繊維構造物の用途を、広く拡大できるものである。
具体的には一般的な衣類、帽子、防寒衣類、スキー衣類、カジュアル衣類、トレッキング衣類、ユニホーム類、介護用シーツ類、ドクター.ナース衣類、調理師衣類、カバン、靴、手袋、テント、各種シート等の水・雨・水系液体から防御する用途、テーブルクロス等の水系汚れ防止用途、フィールドウェア、アスレチックウェア等の軽さが求められる用途、靴下、ショーツ、ガードル、スリップ、ブラジャー、パンティーストッキング、ボディースーツ、その他のランジェリー・ファンディーション等の下着用途などに使用することができるものとなる。
このように、本発明の有機繊維からなる繊維構造物の改質.疎水化製造方法は、技術的価値・実用的価値が高く、なおかつ近年の健康問題や地球規模クラスの環境問題にも対応できるものであり、産業界に大いに貢献することができるものである。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明の親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物と多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させ含浸させて、第1段階30℃〜90℃の熱処理工程とその後120〜180℃の乾熱の中で第2段階の熱処理を実施するものである。
本発明は、有機繊維構造物へ剛柔度向上、防縮効果などの形態安定改質加工を実施後、耐久性に優れた疎水化追求にともない、撥水性.撥油性などの水系防汚性.速乾性などの機能性付与を実現するに当たり、親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物並び多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させ熱処理を行うものである。
ここで、有機繊維構造物とは、ウール.シルクなどの動物系繊維、綿.麻などのセルロース系繊維、レーヨン.テンセル.キュプラなどの更生繊維、ナイロン繊維の繊維構造物のことをいい、「乾熱連続法」並び「浴中吸尽法」とは、有機繊維構造物を親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物と多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させ浸漬し処理温度、浴比、時間を規制し熱処理の反応工程を有することをいう。
親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物水溶液は多価アルコール類および多価アミノ酸並び有機繊維構造物と共有結合.架橋結合.造塩結合を実施する機能を有しているのみならず、第1段階の反応時の電子置換性において撥水剤やブロックイソミアネートの第2段階の架橋結合.イオン結合にも寄与する。
有機繊維構造物の加工方法には第1段階の熱処理として「乾熱連続法」「浴中吸尽法」が主な加工方法で親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物と多価アルコール類および多価アミノ酸を共存させ加工助剤の下で30〜90℃にて水溶液の中に含浸させ有機繊維構造物のアミノ末端基.水酸基.スルホン酸基.カルボキシル基.多価アルコール類および多価アミノ化合物に対して親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物の一方のハロゲン部位を反応させ、その後の昇温によってジハロゲノトリアジンの反応性の温度の違いによって有機繊維構造物と共有反応してトリアジン環を構成させる事が出来る。
含浸させる手段は浸漬、スプレー、シャワーなどの各種方法を探用することができるが「含浸」とは繊維構造物に親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物と多価アルコール類および多価アミノ酸を含ませることを言う。
本発明の方法において第2段階の熱処理として疎水性向上における撥水性.撥油性.水系防汚性.速乾性を付与させるため「乾熱連続法」として「パッド.ドライ.キュア法」を用いる。第1段階にて繊維に構成されているトリアジン環を介して水溶性パーフルオロアクリレート、水溶性シリコーンソフナー、水溶性メラミン尿素誘導体、水溶性ウレタンを併用して、逐次にあるいは同時に120℃〜180℃の乾熱処理工程において疎水性向上の追及において撥水性や撥油性の機能を有した速乾性を初めとする機能性を改善向上、水系防汚性付与による着用快適性と生活資材、産業資材に優れた有機繊維構造物を提供せんもんとする。
本発明で用いることができる親水性置換基を有するのジハロゲノトリアジン化合物は、下記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体が付与されていることをを特徴とする。
Figure 2008063708
上記式(1)中、Xは塩素、フッ素及び臭素からなる群より選ばれるハロゲン基、Yはスルホン基、カルボキシル基、水酸基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基により置換されたアリールアミノ基、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルチオ基、またはトリアジニルアミノスチルベンアミノ基であり、前記スルホン基、カルボキシル基、水酸基及びチオール基はその水素原子がアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子で置換されてもよい。
前記一般式(1)で表される繊維材料の改質薬剤をより具体的に説明すると、トリハロゲノ−S−トリアジン、好ましくは塩化シアヌルを主原料として用い、カルボキシル基、水酸基、チオール基、アミノ基、スルホン基、スルホン酸基等水溶性あるいは親水性置換基を有するアニリン類、フェノール類、チオフェノール類、ナフチルアミン類、ナフトール類、アミノ酸類、トリアジン類等の単体あるいは混合物を塩化シアヌル1モルに対して1モルを酸結合剤を共存させた中性ないし弱アルカリ性で縮合させるか、あるいは塩化シアヌルを重炭酸ソーダ、炭酸ソーダ、苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化マグネシウム等を用いてアルカリ性で加水分解させることによって得られる。これらの化合物は純粋である必要はなく、前記2種以上の混合物と塩化シアヌルを反応させたものであってもよいし、純粋に作られたものをあとから混合して多成分系として使用することが好ましい場合もある。
これらの化合物が具備すべき条件は、ハロゲノトリアジンと反応する置換基を有することと、同時に親水性の置換基を有する親水性化合物である。つまりは本発明で用いられる前記一般式(1)で表される加工薬剤が、全体として親水牲となればよい。ハロゲノトリアジンとこれら親水性化合物とを反応させた生成物とは、具体的には次のような化合物の単体あるいは混合物を例として挙げることができる。
2,6−ジクロル−4−(3−スルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−スルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−スルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2,5−ジスルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3,5−ジスルホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(β−カルボキシエチルアミノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−ウレイド−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−チオウレイド−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェニルチオ)−S−トリアジ
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンLi塩
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンMg塩
2,6−ジクロル−4−チオ−S−トリアジンNa塩
親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン類は、この他にも数多くの有効な化合物が考えられるのであって、本発明はこれらの具体例に制約されるものではなく、親水性置換基を有する化合物であることと、活性ハロゲン原子またはそれに類する反応性基を2個以上有することがポイントである。
本発明において、有機繊維構造物は、綿や糸の段階、織編にした後、不織布あるいは工程途中の半製品、完成された製品の段階などで加工することも可能である。更に本発明の効果が阻害されない範囲であれば他の繊維との混用品であってもよい。
加工対象は、ポリアミド、ポリビニル、アルコール、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン等石油系合成素材との複合系繊維構造物であってもよい。
本発明の加工薬剤ジハロゲノトリアジン類は、ドイツ公開特許第2357252号公報、あるいはアメリカ特許第5601971号明細書等に記載があるように公知の合成法に準じて合成することができるが、その概要は次の通りである。
すなわち、例えば、塩化シアヌル1.00モルを5℃以下の氷水の中へ仕込み、次いで例えばm−スルファニル酸1.02モルと炭酸ソーダ約1モルをよく撹拌しながら徐々に仕込む。m−スルファニル酸と炭酸ソーダの仕込みはPH=7±1で約3時間を要して5〜10℃で仕込み、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、塩化シアヌルがほぼ消滅すれば、更に1時間保湿撹拌して反応を完結させる。この間PHは6〜8に維持し、HPLCによって組成を分析し、モノスルファニル体が90%以上となれば反応を終了する。反応後微量の不溶物を濾過して除き、最終的にはPHは7に調整する。このようにして2.6−ジクロル−4−(3−スルフォアニリノ)−S−トリアジンNa塩水溶液が高収率で得られる。この化合物は冷蔵庫内で5℃以下保管すれば約1ヶ月間は安定である。
本発明において共存させる親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物と多価アルコール類および多価アミノ化合物は分子内に活性水素原子を2個以上有している事が望ましく、多価アルコール類としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール類、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、キシリレングリコール等、またはこれらアルコール類の変性体等が挙げられる。多価アミノ化合物として加水分解シルク、ヘキサメチレンジアミン、3,3’−イミノビスプロピルアミン[HNCHCHCHNHCHCHCHNH]等が挙げられる。
多価アルコール類及び多価アミノ化合物は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、多価アルコール類は、ポリエステルポリオールであってもよい。該ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多価カルボン酸または多価カルボン酸の誘導体との反応により得られ、エステル結合を有する。エステル結合を形成するための多価カルボン酸またはその誘導体としては、フタル酸、アジピン酸、フマル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、脂肪族ジカルボン酸、またはそれぞれの酸の誘導体等が好ましい。
本発明でいうフルオロアルキルアクリレートとしては、ポリフルオロアルキル基(以下、R基と記す)を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を含むものである。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1種をいう。「(メタ)アクリルアミド」等の表記についても同様である。R基を有する(メタ)アクリル酸エステルとは、R基が(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基部分に存在する化合物をいう。
基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基である。R基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。またR基は直鎖構造または分岐構造であり、直鎖構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分がR基の末端部分に存在し、かつ炭素数が1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。R基は、フッ素原子以外のハロゲン原子を含んでいてもよい。フッ素原子以外のハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。
基の末端部分の構造としては、−CFCF、−CF(CF、−CFH、−CFH、−CFCl等が挙げられ、−CFCFが好ましい。また、R基中の炭素−炭素結合間には、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が挿入されていてもよい。
基中のフッ素原子数は、[(R基中のフッ素原子数)/(R基と同一炭素数の対応するアルキル基中に含まれる水素原子数)]×100(%)で表現した場合、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。さらにR基は、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基、すなわち、パーフルオロアルキル基(以下、R基と記す。)、またはR基を末端部分に有する基が好ましい。
基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。炭素数が2未満の場合には撥水性が低下する傾向にある。炭素数が20超の場合には共重合体が常温で固体となり、昇華性も大きくなり、取扱いが困難になる傾向がある。
基の具体例を以下に挙げる。なお、以下の例においては、同一分子式を有する構造の異なる基である構造異性の基を含む。
−(F(CF−、(CFCFCF−、(CFC−等)、C11−(F(CF−、(CFCCF−等)、C13−(F(CF−等)、C15−、C17−、C19−、C1021−、Cl(CF−(sは2〜16の整数)、H(CF−(tは1〜16の整数)、(CFCF(CF−(yは1〜14の整数)等。
基が、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子、またはチオエーテル性硫黄原子が挿入された基である場合の具体例を、以下に挙げる。
F(CFOCF(CF)−、F(CF(CF)CFO)CF(CF)CFCF−、F(CF(CF)CFO)CF(CF)−、F(CF(CF)CFO)CFCF−、F(CFCFCFO)CFCF−、F(CFCFO)CFCF−(rは1〜6の整数、zは1〜5の整数、uは2〜6の整数、vは1〜6の整数、wは1〜9の整数)等。
基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、下記式(2)で表される化合物が好ましい。ただし、式1においてRはR基、Qは2価の有機基、Rは水素原子またはメチル基を示す。
−Q−OCOCR=CH・・・式(2)
式(2)におけるR基としては、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子を含まないR基が好ましく、特にR基が好ましい。とりわけ−(CF)F(ただし、nは2〜20の整数。)で表される基が好ましく、nが5〜17の整数である基が好ましく、特にnが7〜13の整数である基が好ましい。
式(2)におけるQとしては、−(CHp+q−、−(CHCONH(CH−、−(CHOCONH(CH−、−(CHSONR(CH−、−(CHNHCONH(CH−、−(CHCH(OH)−(CH−等が好ましい。ただし、Rは水素原子またはアルキル基を示す。また、pおよびqは0以上の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。これらのうち、−(CHp+q−、−(CHCONH(CH−、−(CHSONR(CH−であり、かつ、qが2以上の整数であってかつp+qが2〜6である場合が好ましい。特に、p+qが2〜6である場合の−(CHp+q−、すなわち、ジメチレン基〜ヘキサメチレン基が好ましい。Qと結合するRの炭素原子には、フッ素原子が結合しているのが好ましい。
基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、Rは水素原子またはメチル基を示す。
F(CFCHOCOCR=CH、F(CFCHCHOCOCR=CH、H(CFCHOCOCR=CH、H(CFCHOCOCR=CH、H(CF10CHOCOCR=CH、H(CFCHCHOCOCR=CH、F(CFCHCHCHOCOCR=CH、F(CF10CHCHOCOCR=CH、F(CF12CHCHOCOCR=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCR=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCR=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCR=CH、F(CFSON(C)CHCHOCOCR=CH、F(CF(CHOCOCR=CH、F(CFSON(CH)CHCHOCOCR=CH、F(CFSON(C)CHCHOCOCR=CH、F(CFCONHCHCHOCOCR=CH、(CFCF(CF(CHOCOCR=CH、(CFCF(CFCHCH(OCOCH)−−OCOCR=CH、(CFCF(CFCHCH(OH)CH−−OCOCR=CH、(CFCF(CFCHCH(OH)CH−−OCOCR=CH、F(CFCHCHOCOCR=CH、F(CFCONHCHCHOCOCR=CH
本発明でいうフルオロアルキルアクリレートは、R基を有する(メタ)アクリル酸エステルを2種以上含んでもよい。R基を有する(メタ)アクリル酸エステルを2種以上含む場合には、炭素数の異なるR基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。また、本発明でいうフルオロアルキルアクリレートは、R基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位以外の重合単位を含んでもよい。他の重合単位としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、クロロプレン等のオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン等のスチレン類、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アリルグリシジルエーテル等のアリルエーテル類、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニル類、酢酸アリル等のカルボン酸アリル類、エチルビニルケトン等のビニルアルキルケトン類。
メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜26の直鎖または分岐のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサン基を有する(メタ)アクリレート、ブロックされたイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート、第4アンモニウム塩の基を有する(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類。
トリアリルシアヌレート、N−ビニルカルバゾール、マレイミド、N−アルキルマレイミド、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等。
本発明において、フルオロアルキルアクリレートを使用する場合は、下記の化合物すなわち、ブロックされたイソシアネート基を1個以上有し、かつ重合性炭素−炭素不飽和結合を有しない化合物であり、イソシアネート基をブロック化剤でブロックした構造の化合物、を併用することが好ましい。そして、ポリイソシアネートと分子内に活性水素原子を2個以上有する化合物とを反応させた化合物のイソシアネート基をブロック化剤でブロックした構造が好ましい。
ポリイソシアネートとしては、以下のポリイソシアネートが好ましく挙げられる。
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロパンジイソシアネ−ト、1,2−ブタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート類または脂環族イソシアネート類、およびそれらのイソシアヌレート変性体、プレポリマー変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体等。
イソシアネート基のブロック化剤としては、アルキルケトオキシム類、フェノール類、アルコール類、β−ジケトン類、ラクタム類が好ましい。特にメチルエチルケトオキシム、ε−カプロラクタム、フェノール、クレゾール、アセチルアセトン、マロン酸ジエチル、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、マレイン酸イミド等が好ましい。とりわけ、メチルエチルケトオキシム等のジアルキルケトオキシム類、ε−カプロラクタム等のラクタム類の解離温度120〜180℃の化合物が好ましい。
上記ブロックされたイソシアネートとしては、メイカネートMF、BP−11、NBP−75、NBP−231(以上、明成化学工業社製)、WB−730、WB−920、XWB−72−Z56(以上、武田薬品工業社製)、BI−8(日本ポリウレタン社製)等の市販の化合物を用いてもよい。
これらの化合物は、有機繊維構造物と結合したクロルトリアジン環と反応してトリアジン環を介して有機繊維からなる繊維構造物と立体.架橋結合することによって、或いは更にもう1つの繊維と結合したモノクロルトリアジン環とも反応することによって、立体・架橋・網目結合並びイオン結合の形成を促進し、耐久性のある防水性、疎水性、速乾性並びに水系防汚性等を付与することができる。
本発明において、上記薬剤を用いて有機繊維構造物を加工する方法は、第1段階の熱処理は「乾熱連続法」「浴中吸尽法」とを用いて実施することができる加工条件の概要を説明すると、加工薬剤を目的に応じて、薬剤の純度100%換算で0.1〜10%(o.w.f)使用する。天然繊維構造物がセルロース系、再生繊維構造物を20%以上混交している場合は、無水炭酸ソーダ、重炭酸ソーダあるいは苛性ソーダを0.1〜10%(o.w.s)用いてアルカリ浴に調合する。天然繊維構造物がウール、シルク繊維構造物を70%以上混交している場合は、酢酸、氷酢酸、リンゴ酸、クエン酸を0.1〜10%(o.w.s)にて酸性浴に調合する。薬剤を混合するときは、薬液の温度を30℃未満で行うように注意する。30℃以上になると水溶性ジハロゲノトリアジン化合物の凝集が著しく、生地に均一付着をさせることが困難になるためである。
「乾熱連続法」は調液温度に注意しながら混合した浴液に有機繊維構造物を含浸しパディングによって絞り率20%〜300%で薬剤水溶液を付与した繊維構造物を第1段階30℃〜90℃で加熱処理時間、数分間から60分間程度の処理に供しさらに第2次段階の120℃〜180℃の乾熱の加熱処理時間、30秒間〜30分間の処理条件を採用して実質的に該素材が乾燥するまでの熱処理に供して加工処理すればよい。また加工薬剤あるいは助剤のパディング回数は混合液をあるいはそれぞれ単独に、1回に留まらず数回パッドドライを繰り返すと良い結果を生む場合がある。
「浴中吸尽法」は調液温度に注意しながら混合した浴液に処理加工する有機繊維構造物の総重量に対し浴比を1:30以下になるよう染色機内の水量を調整し、該繊維構造物を所定加工処理条件に従い加工する。処理温度30℃以上とし15分間以上処理し、徐徐に昇温しながら浴温度を60℃〜90℃で15分間以上処理した後、染色機内において湯洗を実施し排液し水洗する。該繊維構造物を乾燥させた後第2次段階の120℃〜180℃の乾熱の加熱処理、時間30秒間〜30分間の処理条件を採用して実質的に該素材が乾燥するまでの熱処理に供して加工処理すれば良い。また加工薬剤あるいは助剤のパディング回数は混合液をあるいはそれぞれ単独に、1回に留まらず数回パッドドライを繰り返すと良い結果を生む場合がある。
また本発明においては第1段階と第2段階の順序で製造工程、処理工程が含まれていれば良い。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない、
実施例1
酸性染料を用いて染色されたシルク100%、番手EC/72スムース編地を「浴中吸尽法」を用いて、染色機内において水360リッター 2.6−ジクロルー4−(3−スルホアリニノ)−S−トリアジン10%水溶液3.6kg酢酸(48%濃度)170g ソルビトール360gで調液を実施した。その後2℃/分で50℃まで昇温しこの温度を20分間継続運転維持した。その後2℃/分で85℃まで昇温しこの温度を30分間継続維持して排水した。その後85℃にて10分間ソーピングを実施、排水。その後水洗を実施した。脱水した後120℃の乾熱で乾燥を実施して第1段階の熱処理を付与した。その後パッディング浴液を、水溶性パーフルオロアルキレート7kg、ブロックイソシアネート500gを混合して水を加えて合計100リットルのパッディング浴液を調合した。マングルにて絞り率70%で均一に含浸させて130℃にて乾燥した。引き続きテンターで170℃で30秒間乾熱処理して第2段階の熱処理加工を終了した。このようにして得られたシルク100%スムース編地についてJIS L1092雨試験による評価を行った結果を表1に示す。
比較例1
実施例1で使用したものと同じ編地を、加工助剤と撥水剤で実施例1と同様の加工処理をした。このようにして得られた編地を実施例1と同様に測定した結果を表1に示す。
実施例2
モノクロルトリアジンの反応染料を用いて、ネービーに染色された綿100%の60/22/2の綾地 総重量24kgを同染色機内において水360リッター Na塩10%水溶液を生地重量に対し(o.w.f.20%)4.8kgと重炭酸ソーダ 9kg、ソーダ灰1.8kg、ぼう硝10.8kg加水分解シルク 480g(o.w.f.2%)を水温30℃以下に保ちながら溶解撹拌した。その後、2℃/分で50℃まで昇温しこの温度を20分間継続運転維持した。その後、2℃/分で85℃まで昇温し、この温度を30分間継続維持して排水した。その後、85℃にて10分間ソーピングを実施、排水。その後、水洗を実施した。その後、脱水して120℃乾熱で乾燥を実施した。その後、パッド、ドライ、キュア法において実施例1と同様の加工を実施した。
このようにして得られた綿100% 2/2の綾地の測定結果を表2に示す。
比較例2
実施例2で使用したものと同じ布帛を、加工助剤と撥水剤で実施例2と同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を実施例2と同様に測定した結果を表2に示す。
実施例3
クロム染色にて後染めされたウール100% 2/1のギャバ地 重量25kgを第1段階の処理として、水144kg 2.6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩10%水溶液(o.w.s.20%)36kg加水分解シルク1.8kg(o.w.s.1%)酢酸(48%濃度)900gを第1段階の処理として室温にてよく混合してo.w.s20%の水溶液を得た加工液を浴槽内に仕込みピックアップ60%で絞りマングルにてオープンソーパー型装置で加工した、このオープンソーパー型装置にて90℃の第1段階の乾燥処理を3分間実施、その後80℃の水温の下で煮絨工程を10分間実施後脱水して乾燥した。次いで第2段階処理のパディング溶液(水系パーフルオロアルキレート7kg、水系メラミン尿素誘導体樹脂300g、有機アミン系触媒300g、ブロックイソシアネート500gおよび浸透剤イソプロピルアルコール500gを混合して水を加え、合計100リットルのパディング溶液)に浸漬、マングルにて絞り率58%で含浸させた後、テンターにて130℃乾燥を実施した。続いてテンターで170℃、30秒間乾熱処理して一連の加工を完了した。このようにして得られた測定結果を表3に示す。
実施例3で使用したものと同じ布帛を助剤と撥水剤で同様の加工処理をした。このようにして得られた布帛を実施例3と同様に測定した結果を表3に示す。
実施例4
所定の糊抜き工程を実施した後、綿100% 4/1のサテン地 重量9kgを第1段階の処理として、水72kg 2.6−ジクロルー4−(3−スルホアリニノ)−S−トリアジン10%水溶液26kg(o.w.f.26%)加水分解シルク1.8kg(o.w.f.1.8%)重炭酸ソーダー2.2kg ソーダ灰440g ぼう硝2.64kgを室内でよく混合してo.w.f26%の水溶液を得たマングルにてピックアップ50%で絞り、シリンダー乾燥機のシリンダー温度を90℃に設定した後20m/分の速度でもって80秒間、第1段階の処理を実施した、続いて実施例3と同様の第2段階の処理を実施した。このようにして得られた測定結果を表4、表5に示す。
実施例4で使用したものと同じ布帛を助剤のみで同様の加工処理をした、このようにして得られた布帛を実施例4と同様に測定した結果を表4、表5に示す。
Figure 2008063708
Figure 2008063708
Figure 2008063708
Figure 2008063708
Figure 2008063708
(測定方法)
試験布を40cm×40cm(約40g)にカットし精秤する。次に全自動洗濯機にて洗濯、脱水(JISL0217−103法準拠)その後1枚の布に広げた状態で平干しし一定時間ごとに重量を測定し、残留水分率を算出したものです。
(測定条件、20℃掛ける68%RH)
表1に示した実施例1と比較例1からわかるように、本発明では、疎水性が向上している良好な結果が得られた。特に商業ドライの石油系では、これまで石油系ドライ溶液中にチャ−ジソ−プが混合されており、このチャ−ジソ−プの吸着残留により見掛け撥水性能は常に不良となって消費者からの苦情は絶えない現状となっていたが、当発明によりチャ−ジソ−プの吸着度合いが減少していることが確認された。撥水効果では一番の問題点であった摩擦による撥水の耐久性が飛躍的に向上している結果となった。撥油性についても同一の加工において付与されている良好な結果が得られた。
実施例2と比較例2からわかるように、本発明では、綿100%の織布においても、疎水化のバロメータである雨試験の吸水率は比較例に対し7.45分の1まで低下して疎水化か完全に形成している結果を得た。更に形態安定化における寸法変化率も向上してフェルト収縮しないという防縮性をともなう良好な結果が得られた。
また、実施例3と比較例3からわかるように、ウールにて縫製、製造、商品化される紳士服地の検査項目を同等か、全ての面で優位性を発揮できる事が確認された。更に特筆する点は商業用クリーニングにおけるタンブル乾燥における撥水性.耐久性が実証された。
実施例4と比較例4からわかるように撥水処理を実施すると旧来の加工技術では粗硬となってしまう事が問題としてあったが、逆にこの加工を実施すると柔らかくなっている事が実証された。更に表5からわかるように疎水化された織物は残留水分率も低く、同条件にて試験測定、約60分余り早く乾燥する結果となり、速乾性を保持している事が実証された。

Claims (11)

  1. 親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物と多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させ有機繊維構造物を改質.疎水化の機能性を付与させる有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法。
  2. 親水性の置換基を有する前記ジハロゲノトリアジン化合物が、下記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体が付与されていることを特徴とする請求項1記載の 有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法。
    Figure 2008063708
    上記式[化1]中、Xは塩素、フッ素及び臭素からなる群より選ばれるハロゲン基、Yはスルホン基、カルボキシル基、水酸基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基により置換されたアリールアミノ基、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリアジニルアミノ基、トリアジニルオキシ基、トリアジニルチオ基、またはトリアジニルアミノスチルベンアミノ基であり、前記スルホン基、カルボキシル基、水酸基、及びチオール基はその水素原子がアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子で置換されてもよい。)
  3. 前記、親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物の水溶液の中に多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させ含浸させたのち「乾熱連続法」を用いて、該繊維構造物を30℃〜90℃で熱処理する第1段階とその後120℃〜180℃の乾熱の中で実質的に乾燥するまで熱処理する第2段階とを含む処理工程を有することを特徴とする有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法。
  4. 前記、親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物の水溶液の中に多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させ含浸させたのち「浴中吸尽法」を用いて、請求項3記載の有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法。
  5. 該水溶液中に多価アルコール類および多価アミノ化合物を共存させることを特徴とする請求項1〜4記載の有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法。
  6. 該水溶液中に水系フルオロアルキリアクリレートを含有させることを特徴とする、有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法。
  7. 該水溶液中に水系シリコーンソフナー、水系メラミン尿素誘導体および水系ウレタンから選ばれた少なくとも1種を含有させることを特徴とする、有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法。
  8. 請求項1〜7記載のいずれかの有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法により得られた繊維構造物を用いてなることを特徴とする、スーツ地、シャツ地、ボトム、セーター、コート等の防寒衣、スキーウエア、ライフジャケット等のアウター類。
  9. 請求項1〜7記載のいずれかの有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法により得られた繊維構造物を用いてなることを特徴とする、傘、鞄、靴等の雑貨類。
  10. 請求項1〜7記載のいずれかの有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法により得られた繊維構造物を用いてなることを特徴とする、シーツ、テーブルクロス、各種カーシート等のシート類。
  11. 請求項1〜7記載のいずれかの有機繊維構造物の改質.疎水化製造方法により得られた繊維構造物を用いてなることを特徴とする、靴下、ショーツ、ブラジャー等の下着類。
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