JP2002201568A - 繊維構造物 - Google Patents

繊維構造物

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JP2002201568A
JP2002201568A JP2001306424A JP2001306424A JP2002201568A JP 2002201568 A JP2002201568 A JP 2002201568A JP 2001306424 A JP2001306424 A JP 2001306424A JP 2001306424 A JP2001306424 A JP 2001306424A JP 2002201568 A JP2002201568 A JP 2002201568A
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fiber
polymerized unit
structure according
meth
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JP2001306424A
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English (en)
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Aya Haseyama
彩 長谷山
Hirotoshi Goto
裕利 後藤
Rumi Karasawa
留美 柄澤
Koichi Saito
公一 齋藤
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、付着後放置された汚れに対して、水
洗濯により汚れが落ちやすいという防汚性と洗濯中に他
の汚れを吸着しにくいという洗濯再汚染性を両立する繊
維構造物を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の繊維構造物は、下記重合単位
(a)、重合単位(b)、重合単位(c)、および重合
単位(d)を含む共重合体ならびにメラミン樹脂が繊維
表面に付着していることを特徴とするものである。 重合単位(a):Rf基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステルの重合単位。 重合単位(b):ポリオキシエチレン基を有する(メ
タ)アクリル酸エステルの重合単位。 重合単位(c):ポリオキシプロピレン基を有する(メ
タ)アクリル酸エステルの重合単位。 重合単位(d):ブロックされたイソシアネート基を有
する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた防汚性(汚
れ除去性)、特に付着後放置された汚れに対しての優れ
た汚れ除去性および洗濯時の再汚染防止性を有する繊維
構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、防汚性を有する繊維構造物は数多
く提案されている。(なお、本明細書において「R
f基」とはポリフルオロアルキル基をいう。また、
「(メタ)アクリル酸エステル」とはアクリル酸エステ
ルおよびメタクリル酸エステルから選ばれた少なくとも
1種をいう。「(メタ)アクリルアミド」等の表記につ
いても同様である。)一般には、例えばポリエチレング
リコールなどの親水基を有する親水性樹脂が付与された
り、Rf基を側鎖に有するいわゆるフッ素系撥水剤が付
与されたもの、またRf基と親水基を有するフッ素系防
汚加工剤が付与されたもの、またこれらの樹脂の両方が
付与されたものが知られている。
【0003】親水性樹脂が付与されたものは、洗濯中に
他の汚れを吸着しにくいという再汚染防止効果はあるも
のの、機械油などは逆に付きやすく、一旦汚れが付着し
て乾いてしまうと、洗濯しても除去することが非常に困
難になる。また、Rf基を有するフッ素系撥水剤が付与
されたものは、液体汚れをはじき付きにくくするという
効果はあるものの、押し込まれた汚れについては、洗濯
での汚れ除去性が逆に悪くなる。
【0004】また繊維布帛の表面に親水化処理をした後
にSR性を阻害しない撥水剤で処理する手法が特開昭6
4−6178号公報などに見られるが、液体汚れをはじ
き付きにくくするという効果はあるものの、押し込まれ
た汚れについては繊維表面の親水部によっての洗浄効果
は十分なものではない。
【0005】また繊維表面にメラミン系樹脂を被膜させ
た後、パーフルオロ基含有ビニルモノマーとポリオキシ
レンアルキレン含有ビニルモノマーとを繊維表面で共重
合した防汚性布帛が特開平2ー277887号公報で提
案されているが、油性汚れをはじく効果が十分でなく、
押し込まれた汚れについては洗濯での汚れ除去性が悪い
ものであった。
【0006】一方、Rf基と親水基を有するフッ素系防
汚加工剤が付与されたものは、Rf基により水性、油性
共に汚れをはじく効果はあり、洗濯時には親水基の効果
でRf基単独のフッ素系撥水剤と比較すると汚れ除去性
に優れるため、ワーキングウェア等のひどい汚れが付着
しやすい衣類に対して利用されてきた。しかし、付着後
放置された汚れに対する汚れ除去性は殆どないという問
題があり、付着後放置された汚れ除去性と、洗濯中に他
の汚れを吸着しにくいという洗濯再汚染防止性を両立す
るものは、いまだないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、付着後放置された汚れに対して、水
洗濯により汚れが落ちやすいという防汚性と洗濯中に他
の汚れを吸着しにくいという洗濯再汚染性を両立する繊
維構造物を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の繊維構造物は、下記重合単位
(a)、重合単位(b)、重合単位(c)、および重合
単位(d)を含む共重合体ならびにメラミン樹脂が繊維
表面に付着していることを特徴とするものである。 重合単位(a):Rf基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステルの重合単位。 重合単位(b):ポリオキシエチレン基を有する(メ
タ)アクリル酸エステルの重合単位。 重合単位(c):ポリオキシプロピレン基を有する(メ
タ)アクリル酸エステルの重合単位。 重合単位(d):ブロックされたイソシアネート基を有
する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり付着
後放置された汚れに対して、水洗濯により汚れが落ちや
すく、洗濯中に他の汚れを吸着しにくいという洗濯再汚
染防止性もある特定の防汚性に優れた繊維構造物につい
て、鋭意検討し、下記重合単位(a)、重合単位
(b)、重合単位(c)、および重合単位(d)を含む
共重合体ならびにメラミン樹脂という特定な物質を組合
せて構成される樹脂組成物を繊維表面に付着させてみた
ところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したも
のである。 重合単位(a):Rf基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステルの重合単位。 重合単位(b):ポリオキシエチレン基を有する(メ
タ)アクリル酸エステルの重合単位。 重合単位(c):ポリオキシプロピレン基を有する(メ
タ)アクリル酸エステルの重合単位。 重合単位(d):ブロックされたイソシアネート基を有
する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位。
【0010】本発明でいう重合単位(a)は、Rf基を
有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位である。
f基を有する(メタ)アクリル酸エステルとは、Rf
が(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基部分に
存在する化合物をいう。
【0011】Rf基とは、アルキル基の水素原子の2個
以上がフッ素原子に置換された基をいう。Rf基の炭素
数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。ま
た、Rf基は、直鎖状または分岐状の基が好ましい。分
岐状の基である場合には、分岐部分がRf基の末端部分
に存在し、かつ、炭素数1〜4程度の短鎖であるのが好
ましい。Rf基は、フッ素原子以外の他のハロゲン原子
を含んでいてもよい。他のハロゲン原子としては塩素原
子が好ましい。また、Rf基中の炭素原子は、エーテル
性の酸素原子に置換されていてもよい。
【0012】Rf基中のフッ素原子の数は、[(Rf基中
のフッ素原子数)/(Rf基と同一炭素数の対応するア
ルキル基中に含まれる水素原子数)]×100(%)で
表現した場合に、60%以上が好ましく、特に80%以
上が好ましい。さらにRf基は、アルキル基の水素原子
の全てがフッ素原子に置換された基(すなわちパーフル
オロアルキル基)、またはパーフルオロアルキル基を末
端部分に有する基が好ましい。
【0013】パーフルオロアルキル基の炭素数は、2〜
20が好ましく、6〜16が特に好ましい。炭素数が6
未満の場合には、防汚加工剤組成物の撥水性能および撥
油性能が低下する傾向にあり、16より多い場合には、
共重合体が常温で固体となり、昇華性も大きく、取扱い
が困難になる恐れがある。
【0014】Rf基を有する(メタ)アクリル酸エステ
ルは、下記一般式[I]で表される化合物が好ましい。
式[I]において、RfはRf基を示し、Qは2価の有機
基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示す。Rf
としては、以下の具体例および実施例中に記載される基
が好ましい。
【0015】
【化1】
【0016】Qとしては、−(CH2p+q−、分岐を有
するアルキレン基、−(CH2pCONH(CH2
q−、−(CH2pNHCO(CH2q−、−(CH2
pOCONH(CH2q−、−(CH2pNHOCO
(CH2q−、−(CH2pSO2NR’(CH2
q−、−(CH2pNR’SO2(CH2q−、−(CH
2pNHCONH(CH2q−、−(CH2pCH(O
H)(CH2q−等が好ましい。ただし、R’は水素原
子またはアルキル基を示す。また、pおよびqは0以上
の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。
【0017】これらのうち、Qが−(CH2p+q−、−
(CH2pCONH(CH2q−、もしくは、−(CH
2pSO2NR’(CH2q−、であり、かつqが2以
上の整数であり、かつp+qが2〜6である場合が好ま
しく、特に、p+qが2〜6である場合の、−(C
2p+q−、すなわちエチレン基〜ヘキサメチレン基が
好ましい。Qと結合するRfの炭素原子には、フッ素原
子が結合しているものが好ましい。
【0018】分岐を有するアルキレン基としては、−C
2CH(CH3)−、−CH(CH 3)CH2−、−CH
2CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH(CH3
−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH2CH
(CH3)CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH
2−、等が好ましく、−CH2CH2CH(CH3)−、が
特に好ましい。
【0019】Rf基を有する(メタ)アクリル酸エステ
ルの具体例を以下に挙げる。ただし、Rは水素原子また
はメチル基を示す。
【0020】
【化2】
【0021】本発明の共重合体は、重合単位(a)を1
種または2種以上含んでいてもよい。重合単位(a)を
2種以上含む場合には、炭素数の異なるRf基を有する
(メタ)アクリル酸エステルの混合物であるのが好まし
い。
【0022】重合単位(b)は、ポリオキシエチレン基
を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位であ
る。この(メタ)アクリル酸エステルは、ポリオキシエ
チレン基が(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残
基部分に存在する化合物であり、ポリオキシエチレン基
は親水性を維持する限り少量の他のオキシアルキレン基
を含んでいてもよい。
【0023】この(メタ)アクリル酸エステルとして
は、下記一般式[II]で表される化合物が好ましい。式
[II]において、R1は、水素原子または炭素数1〜3
0の炭化水素基を示す。Q1は、単結合または2価の有
機基を示す。Rは水素原子またはメチル基を示す。mは
1〜100の整数であり、好ましくは3〜30の整数で
ある。
【0024】
【化3】
【0025】R1が炭化水素基である場合、アルキル
基、アラルキル基、アリール基が好ましい。アルキル基
は、直鎖、分岐、または環のいずれの構造であってもよ
い。アラルキル基、アリール基の環構造部分には、置換
基を有していてもよい。具体例として、ベンジル基、フ
ェニル基等が好ましい。R1は、アルキル基または水素
原子が好ましい。Q1が2価の有機基である場合、−
(CH2p−、−CO(CH2p−、または、−(CH
2pCO−、が好ましい。pは1以上の整数を示す。Q
1は単結合が好ましい。
【0026】ポリオキシエチレン基を有する(メタ)ア
クリル酸エステルの具体例を以下に挙げる。ただし、R
は水素原子またはメチル基を示す。
【0027】
【化4】
【0028】本発明の共重合体は、重合単位(b)を1
種または2種以上含んでいてもよい。重合単位(b)を
2種以上含む場合には、ポリオキシエチレン基の総数が
異なるポリオキシエチレン基を有する(メタ)アクリル
酸エステルであるのが好ましい。
【0029】重合単位(c)は、ポリオキシプロピレン
基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位であ
る。この(メタ)アクリル酸エステルは、ポリオキシプ
ロピレン基が(メタ)アクリル酸エステルのアルコール
残基部分に存在する化合物であり、ポリオキシプロピレ
ン基は疎水性を維持する限り他のオキシアルキレン基を
含んでいてもよい。
【0030】ポリオキシプロピレン基を有する(メタ)
アクリル酸エステルとしては、下記一般式[III]で表
される化合物が好ましい。式[III]において、R3は水
素原子または炭素数1〜30の炭化水素基を示す。Q3
は単結合または2価の有機基を示す。Rは水素原子また
はメチル基を示す。nは1〜100の整数であり、好ま
しくは3〜30の整数である。
【0031】
【化5】
【0032】R3が炭化水素基の場合は、アルキル基、
アラルキル基、アリール基が好ましい。アルキル基は、
直鎖、分岐、または環のいずれの構造であってもよい。
アラルキル基、アリール基の環構造部分には、置換基を
有していてもよい。具体例として、ベンジル基、フェニ
ル基等が好ましい。R3はアルキル基または水素原子が
好ましい。Q3が2価の有機基である場合は、−(C
2p−または−CO(CH2p−が好ましい。ここ
で、pは1以上の整数を示す。Q3は単結合が好まし
い。
【0033】ポリオキシプロピレン基を有する(メタ)
アクリル酸エステルの具体例を以下に挙げる。ただし、
Rは水素原子またはメチル基を示す。
【0034】
【化6】
【0035】本発明の共重合体は、重合単位(c)を1
種または2種以上含んでいてもよい。重合単位(c)を
2種以上含む場合には、ポリオキシプロピレン基の総数
が異なるポリオキシプロピレン基を有する(メタ)アク
リル酸エステルであるのが好ましい。この疎水性のポリ
オキシプロピレン基を含むことにより、この重合単位
(c)を含む共重合体は、重合単位(c)を含まない共
重合体に比較して、防汚加工剤として、防汚性、特に防
汚性の耐久性を高くできる。
【0036】重合単位(d)は、ブロックされたイソシ
アネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合
単位である。この(メタ)アクリル酸エステルは、ブロ
ックされたイソシアネート基を1個以上有する(メタ)
アクリル酸エステルであり、イソシアネート基を有する
(メタ)アクリル酸エステルのイソシアネート基をブロ
ック化剤でブロックして得られる化合物が好ましい。
【0037】イソシアネート基を有する(メタ)アクリ
ル酸エステルとしては、2−イソシアネートエチル(メ
タ)アクリレート、または、イソシアネート基と結合し
得る官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルとポリ
イソシアネートとを1個以上のイソシアネート基が残る
割合で反応させて得られる反応生成物が好ましい。
【0038】イソシアネート基と結合し得る官能基を有
する(メタ)アクリル酸エステルとしては、水酸基を有
する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特に(メ
タ)アクリル酸と多価アルコールとのモノエステルが好
ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコー
ル、ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、
トリメチロールプロパン−アルキレンオキシド付加物、
ペンタエリスリトールなどがある。
【0039】ポリイソシアネートとしては、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシ
アネートなどの芳香族イソシアネート類、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
シクロヘキシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイ
ソシアネートなどの脂肪族または脂環族イソシアネート
類、およびそれらのヌレート変性体、プレポリマー変性
体、ビュレット変性体などの変性体が好ましく、特に、
脂肪族、脂環族イソシアネート類、およびそれらのヌレ
ート変性体、プレポリマー変性体、ビュレット変性体が
好ましい。
【0040】イソシアネート基含有(メタ)アクリル酸
エステルのイソシアネート基のブロック化剤としては、
アルキルケトオキシム類、フェノール類、アルコール
類、β−ジケトン類、ラクタム類が好ましく、メチルエ
チルケトオキシム、ε−カプロラクタム、フェノール、
クレゾール、アセチルアセトン、マロン酸ジエチル、イ
ソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、マレイ
ン酸イミド等が特に好ましく、とりわけ、メチルエチル
ケトオキシム等のジアルキルケトオキシム類、ε−カプ
ロラクタム等のラクタム類などの解離温度が120〜1
80℃の化合物からなるブロック化剤が好ましい。
【0041】ブロックされたイソシアネート基を有する
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、2−イ
ソシアネートエチル(メタ)アクリレートのイソシアネ
ート基をメチルエチルケトオキシムでブロックした化合
物、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの
イソシアネート基をε−カプロラクタムでブロックした
化合物、イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシ
ルエチル(メタ)アクリレートとの1:1(モル比)反
応物のイソシアネート基をメチルエチルケトオキシムで
ブロックした化合物、イソホロンジイソシアネートと2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとの1:1
(モル比)反応物のイソシアネート基をメチルエチルケ
トオキシムでブロックした化合物、ノルボルネンジイソ
シアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
トとの1:1(モル比)反応物のイソシアネート基をメ
チルエチルケトオキシムでブロックした化合物等が挙げ
られる。
【0042】本発明において、重合単位(a)とは、R
f基を有する重合単位であり、他の基を有していても重
合単位(a)である。また、重合単位(b)は、ポリオ
キシエチレン基を有する重合単位であり、Rf基および
ブロックされたイソシアネート基を除く他の基を有して
いても重合単位(b)である。また、重合単位(d)と
は、ブロックされたイソシアネート基を有する重合単位
であり、Rf基を除く他の基を有していても重合単位
(d)である。
【0043】さらに、本発明の共重合体は、上記の重合
単位(a)、重合単位(b)、重合単位(c)、および
重合単位(d)以外に、他の重合性単量体の重合単位を
含んでいてもよい。他の重合性単量体の重合単位を含ま
せることによって、撥水撥油性能の耐久性、共重合体の
基材への接着性、架橋性や造膜性、柔軟性、防汚性等を
改良できる。他の重合性単量体としては、特に、N−メ
チロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート等の架橋性を有するモノ
マーが好ましい。
【0044】共重合体中の重合単位の割合は、共重合体
の100重量部中に重合単位(a)を20〜80重量
部、重合単位(b)を10〜50重量部、重合単位
(c)を10〜50重量部、および重合単位(d)を
0.1〜30重量部含ませるのが好ましい。また、他の
重合性単量体を含ませる場合には、0.1〜30重量部
の範囲が好ましい。
【0045】重合単位(a)が20〜80重量部の場合
には、衣類着用時の撥水撥油性が充分であり、高い防汚
性が得られる。重合単位(b)が10〜50重量部の場
合には、洗濯時の親水性が充分であり、高い防汚性が得
られ、また洗濯における耐久性も得られる。重合単位
(c)が10〜50重量部の場合には、着用時および洗
濯時の防汚性の耐久性が高くなる。重合単位(d)が
0.1〜30重量部の場合には、基材への接着性が良
く、高い洗濯耐久性が得られ、また被膜の形成に好影響
を与える。
【0046】本発明における共重合体の合成方法として
は、Rf基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ポリ
オキシエチレン基を有する(メタ)アクリル酸エステ
ル、ポリオキシプロピレン基を有する(メタ)アクリル
酸エステル、ブロックされたイソシアネート基を有する
(メタ)アクリル酸エステルを含む重合性単量体を、媒
体の存在下にて共重合させる方法が採用できる。
【0047】共重合の方法としては、公知の重合方法、
すなわち塊状重合、懸濁重合、乳化重合等が採用でき
る。例えば、乳化重合の場合は、水または水と溶剤との
混合溶媒からなる媒体に、重合性単量体および乳化剤を
投入し重合性単量体を乳化した後重合させる方法等が採
用できる。
【0048】重合時に用いる溶剤としては、アルコール
類、グリコール類、グリコールエーテル類、ケトン類、
エステル類、炭化水素系溶剤、ハロゲン系溶剤等が採用
できる。重合開始源としては、過酸化物、アゾ化合物、
過硫酸塩のような重合開始剤やγ線のような電離性放射
線等が採用できる。また、分子量を調整するために連鎖
移動剤を用いてもよい。
【0049】本発明でいうメラミン樹脂は、ヘキサメチ
ロール系メラミンおよびトリメチロール系メラミンから
選ばれた少なくとも1種をいう。これらのメチロール系
メラミンには、メチロール基の水素がアルキル基に置換
された、アルコキシメチロール基を含んでいてもよい。
これら2種類のメラミンの挙動は、併用加工剤の添加に
より変化する加工時のpHに大きく依存するため、良好
な防汚性ならびに洗濯耐久性を付与するためには、加工
処理液のpHに適したメチロール系メラミンを選択する
必要がある。なお、併用加工剤とは、他の撥水剤や撥油
剤、難燃剤、抗菌剤、消臭剤、帯電防止剤、風合い調整
剤、液安定剤等が挙げられる。
【0050】加工処理液が塩基性から中性付近の条件の
下では、重合体(a)〜(d)からなる共重合体のブロ
ックイソシアネート基にプロトンが付加して活性化し、
メチロール系メラミンのメチロール基と架橋する。ヘキ
サメチロール系メラミンは6つのメチロール基が、トリ
メチロール系メラミンは3つのメチロール基が、架橋に
関与する。このため、メチロール基の数が多いヘキサメ
チロール系メラミンが、特に好ましい。
【0051】一方、中性付近から酸性条件の下では、ト
リメチロール系メラミンの第2級アミンの窒素にプロト
ンが付加して活性化し、重合体(a)〜(d)からなる
共重合体のブロックイソシアネート基と効果的に架橋す
る。ヘキサメチロール系メラミンの場合、第3級アミン
の窒素はメチロール基の嵩高さによる立体障害のため、
メチロール基にプロトンが付加して活性化する。しか
し、重合体(a)〜(d)からなる共重合体のブロック
イソシアネート基の方が、より塩基性度が高いためにプ
ロトンが優先的に付加して活性化し、自己架橋を生じや
すくなる。このため、より効果的に架橋するトリメチロ
ール系メラミンが、特に好ましい。
【0052】上記、ヘキサメチロール系メラミンおよび
トリメチロール系メラミンから選ばれた少なくとも1種
は、繊維重量に対し、0.05〜1.0重量%付着して
いることが好ましい。0.05重量%未満では耐久性が
向上せず、また1.0重量%以上になると風合いが硬く
なるだけでなく、防汚性能の低下を引き起こすため、好
ましくない。
【0053】本発明の繊維構造物を構成する繊維とし
て、合成繊維および天然繊維から選ばれた少なくとも1
種を使用することができる。かかる合成繊維としては、
ポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66などの
ポリアミド系繊維、アラミド繊維、ポリエチレンやポリ
プロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニ
ル系繊維、ビニロン繊維、アクリル系繊維、ポリウレタ
ン系繊維等が用いられるが、中でもポリエステル系繊維
が好ましく使用される。かかるポリエステル系繊維に
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらを
主成分とした共重合ポリエステル系繊維が含まれ、さら
にポリエステル系繊維以外の合成繊維や再生繊維が混紡
もしくは混繊されていてもよい。
【0054】また、天然繊維としては、セルロース系繊
維、羊毛、絹や、ポリ乳酸繊維といったタンパク質繊維
等を使用することができ、該セルロース系繊維として
は、綿、麻、パルプ等の天然セルロース系繊維、ビスコ
ースレーヨン等の再生セルロース繊維等を使用すること
ができる。
【0055】本発明の繊維構造物は、これら合成繊維や
天然繊維の単独使用でもよく、各々が混紡もしくは混繊
されて構成されていてもよい。
【0056】本発明でいう繊維構造物は、織物、編物ま
たは不織布などの布帛はもちろん、帯状物、紐状物、糸
状物などの繊維を含む製品であれば、その構造、形状を
問わず使用することができる。
【0057】本発明の繊維構造物の加工方法について
は、特に限定されるものではなく、パディング法、スプ
レー法、コーティング法などを採用することができる
が、好ましくは、重合単位(a)〜(d)を含む共重合
体とメラミン樹脂の分散液に繊維構造物を含浸させた
後、一定の絞り率によってマングルで絞り、熱処理する
ことが好ましい。
【0058】熱処理については、乾熱処理または湿熱処
理のことをいう。湿熱処理にはスチーム処理が含まれ
る。スチーム処理には、常圧飽和スチーム処理、加熱ス
チーム処理、高圧スチーム処理などを採用することがで
きる。
【0059】乾熱処理または湿熱処理の温度は、100
〜200℃が好ましい。熱処理温度が100℃未満であ
ると、洗濯耐久性の面で不十分であり、また200℃を
超えると繊維の黄変、脆化が生じる傾向にある。
【0060】本発明でいう親水基を有することを特徴と
する繊維は、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ス
ルホニル基、アミノ基、アミド基、エーテル基、エステ
ル基から選ばれた少なくとも1種を有することが好まし
い。繊維構造物を構成する繊維が、本来の性質として親
水基をもっていてもよく、また、親水化前処理によって
親水基をもっていてもよい。
【0061】かかる親水化前処理には、繊維表面改質や
繊維内部改質による親水基の形成と、繊維への親水性有
機化合物の付着とがある。
【0062】繊維表面改質処理法としては好ましくはプ
ラズマ処理がある。
【0063】本発明でいうプラズマ処理とは、高電圧を
印加することによって発生するプラズマ放電に布帛をさ
らすことを意味するものである。かかる放電には火花放
電、コロナ放電、グロー放電など種々の形態のものがあ
り、布帛に損傷を与えないものであれば放電形態は問わ
ないが、放電が均一で活性化作用に優れたグロー放電が
特に好ましい。
【0064】グロー放電は7000Pa以下、更には3
000Pa以下、特に好ましくは1〜1500Pa減圧
下のガス雰囲気中で高電圧を印加して発生するもので、
処理時間は繊維の種類や処理装置によって選択される
が、通常数秒間から数分間であり、好ましくは1秒から
5分間程度である。活性化作用を与えるガスとしては、
例えばAr,N2,He,CO2,CO,O2,CF4,H
2O,空気などが挙げられるが、特にはAr,Heなら
びに酸素原子を含むガス、例えば,CO2,H2O,空気
などからなるガスが親水性を向上させる上で好ましい。
このプラズマ処理によって、水酸基、カルボキシル基、
アミノ基などが繊維上に形成される。
【0065】繊維内部改質処理としては親水性ビニルモ
ノマーのグラフト重合が好ましく用いられる。
【0066】本発明でいう親水性ビニルモノマーとは、
少なくとも1コの重合性不飽和基を含有する化合物であ
って、その重合体が被処理繊維を構成する重合体よりも
親水性であるものをいい、このような化合物であれば分
子量の大小に関わらず用い得る。一般には親水性基をも
つビニルモノマーが用いられる。かかるモノマーとして
は、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸な
どの不飽和カルボン酸類、アクリルアミド、N−ビニル
ピロリドンなどの不飽和アミド類、ビニルスルホン酸、
スチレンスルホン酸などの不飽和スルホン酸化合物など
各種不飽和化合物が挙げられる。またこれらモノマーの
誘導体も用い得る。例えば上記モノマーにエチレンオキ
サイイドを付加した、ポリエチレングリコールモノアク
リレート、アクリルアミドエチレンオキサイド付加物な
ど各種のものが挙げられる。特に好ましい化合物はアク
リル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体である。これ
らは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0067】グラフト重合開始剤としては、ベンゾイル
パーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどのラ
ジカル重合開始剤あるいはこれらの誘導体などがある
が、これらに限定するものではない。
【0068】これらの親水性ポリマーとグラフト重合開
始剤を含む水溶液を繊維に付与した後、乾熱処理、スチ
ーム処理、コールドバッチ法、マイクロ波処理、紫外線
処理、赤外線処理などにより重合を行う。この際、被処
理物をシール材で覆ってからスチーム処理やマイクロ波
処理を行うのが、より好ましい。
【0069】かかる親水性有機化合物を付与された繊維
としては、ポリオキシアルキレン単位を分子内に含む親
水性有機化合物や、ビニル基を持つ親水性モノマーの
(共)重合物が付与された繊維が好ましく用いられる。
付着形態としては、親水性有機化合物が繊維を被覆する
形態が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0070】本発明でいうポリオキシアルキレン単位を
分子内に有する親水性有機化合物としては、例えばポリ
アルキレングリコール−ポリエステルブロック共重合体
が挙げられる。ポリアルキレングリコール−ポリエスエ
ルブロック共重合体とは、芳香族ジカルボン酸およびア
ルキレングリコールからなるポリエステルにポリアルキ
レングリコールをブロック共重合したものである。ここ
でいうポリアルキレングリコールとは分子中に−Cn
2nO−(n=2〜4)なる主鎖を有するもののことをい
い、分子量が300〜40000の範囲にあるのが好ま
しく、より好ましくは1000〜10000の範囲のも
のである。かかるポリアルキレングリコールとしては、
例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ールまたはこれらのブロックポリマ等を使用することが
できる。分子量が300に満たないと耐久性が不十分に
なる傾向があり、また分子量が4000を越えると分散
性が低下する傾向にある。
【0071】かかるポリアルキレングリコールをブロッ
ク共重合する芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テ
レフタル酸またはテレフタル酸の低級アルキルエステル
およびイソフタル酸ののうち少なくともいずれか、また
は、イソフタル酸の低級アルキルエステルを好ましく用
いることができる。また、アレキレングリコールとして
は、例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコールなどを好ましく用いることがで
きる。かかるポリアルキレングリコールをブロック共重
合において、ポリアルキレングリコール:芳香族ジカル
ボン酸: アレキレングリコールのモル比は1〜31:
1:2〜3の範囲のものが汚れ除去性の観点から好まし
い。
【0072】この親水性有機化合物を水溶液にして生地
を漬けたまま加熱する、浴中浸漬ー加熱処理や、生地を
漬けて絞った後乾熱処理を行う、パッドーキュア処理
が、好ましく行われ、特に浴中浸漬−加熱処理は、洗濯
によって親水性有機化合物が落ちにくいため、好ましく
行われる。
【0073】本発明でいうビニル基を持つ親水性モノマ
ーの(共)重合物は、繊維上で親水性ビニルモノマーが
重合して(共)重合物となり付与されることが好まし
い。
【0074】本発明でいう少なくともビニル基を持つ親
水性モノマーとしては、下記一般式[IV]や[V]で示
されるジ(メタ)アクリル酸エーテルの他、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテント
リカルボン酸、フマール酸、アクリルアミド、メタクリ
ルアミドなどのビニルカルボン酸も好ましく用いられ
る。
【0075】また、アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸ナトリウム、2−アリルオキシ−2−ヒド
ロキシプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリ
ウムなどのビニルスルホン酸も好ましく用いられる。
【0076】
【化7】
【0077】X: H又はアルキル、アルコキシ基 n: 1〜25の整数
【0078】
【化8】
【0079】Ph: パラ位で結合しているベンゼン X : H又はアルキル、アルコキシ基 Y : −CH2−、−C(CH32−、−SO2− n : 5〜30の整数 前記一般式[IV]又は[V]で示される化合物(以下、
前者を化合物[IV]、後者を化合物[V]という)は、
いずれも重合可能なビニル基を2個有するものであり、
かつ水溶性を有するものが選択される。かかる化合物
[IV]としては、例えばポリエチレングリコールジアク
リレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートな
どが挙げられる。ポリオキシエチレンセグメントがn=
25以上になると該化合物の合成、生成が難しく実用的
でない。さらにXは、H、アルキル、アルコキシ基のい
ずれであってもほぼ同等の効果を得ることができる。
【0080】一方、化合物[V]の例としては、ビスフ
ェノールAポリエチレングリコールジアクリレート、ビ
スフェノールAポリエチレングリコールジメタクリレー
ト、ビスフェノールFポリエチレングリコールメタクリ
レート、ビスフェノールSポリエチレングリコールジメ
タクリレートなどが挙げられる。一般式中でn=5以下
の場合には、モノマーの水に対する溶解性が不十分であ
り、また一方30を上回るとモノマーの製造上の困難と
なる場合があるので、5〜30の範囲が好ましい。さら
にXはH、アルキル、アルコキシ基を表すものである
が、好ましくはH、CH3である。
【0081】Yは、−CH2−、−C(CH32−、−
SO2−を表すが、好ましくは−CH2−、−C(C
32−である。
【0082】触媒としては、重合開始剤が好ましく用い
られ、ラジカル開始剤がより好ましく用いられる。たと
えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水
素など無機系重合開始剤や、2,2’−アゾビス(2−
アミディノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’
−アゾビス(N、N−ジメチレンイソブチラミディン)
ジハイドロクロライド、2−(カルバモイラゾ)イソブ
チロニトリルなどの有機系重合開始剤が挙げられる。ま
た、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルな
どの水不溶性重合開始剤をアニオン、ノニオン等の界面
活性剤で乳化させて用いてもよい。コスト、取り扱いに
容易さの点からは、過硫酸アンモニウムが好ましく用い
られる。さらに、重合効率を高めるために、重合開始剤
としての過酸化物と還元性物質を併用するいわゆるレド
ックス開始剤を用いてもよい。この過酸化物としては、
例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム、還元性
物質としては、例えば、スルホキシル酸ナトリウムとホ
ルマリンとの反応物やハイドロサルファイトなどが挙げ
られる。重合開始剤の使用濃度は、使用するモノマー濃
度や処理条件にもよるが、0.1〜3%が好ましい。
【0083】親水性モノマーと重合触媒の水溶液を布帛
に付与する方法としては、パディング法、スプレー法、
キスロールコータ法、スリットコータ法などが挙げられ
る。これらの方法で混合液を付与後、例えば真空脱水機
で処理するなどして付与量を調整することも好ましく行
われる。
【0084】付与後重合する手段としては、乾熱処理、
スチーム処理、浸漬法、コールドバッチ法、マイクロ波
処理、紫外線処理などが挙げられる。ここでマイクロ波
処理とは、2450MHzまたは920MHzの波長の
高周波を被加熱物に当てることで発熱させるものであ
る。これらの処理手段は、単独で適用してもよいし、加
熱効率を高めるために、例えば、スチーム処理または乾
熱処理時にマイクロ波処理または紫外線処理を併用する
などしてもよい。なお、空気中の酸素が存在すると重合
が進みにくくなるので、乾熱処理、マイクロ波処理、紫
外線処理の場合には、不活性ガス雰囲気下で処理するの
が好ましく、コールドバッチ法の場合にも、シール材で
密封することが好ましい。
【0085】これらの重合法の中では、スチーム処理が
重合効率および処理の安定性の観点から好適である。ス
チーム処理は、常圧スチーム、加熱スチーム、高圧スチ
ームのいずれでもよいが、コスト面からは、常圧スチー
ムまたは加熱スチームが好ましい。スチーム処理温度
は、80〜180℃さらには100〜160℃が好まし
い。スチーム処理時間は、1〜10分程度でよい。ま
た、繊維に混合液を付与した後、熱処理による重合を行
う前に、風乾あるいは乾燥機などで予備乾燥することも
好ましく行なわれる。
【0086】本発明でいう樹脂被膜で被覆されている繊
維とは、繊維を構成する繊維束の少なくとも一部の単繊
維が樹脂被膜で覆われているものをいう。ここで覆われ
ているとは個々の単繊維が樹脂で筒状に完全に覆われて
いることをいうが、本発明においては、部分的に繊維が
覆われているだけでもよい。
【0087】本発明でいう樹脂被膜は、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂
による被膜が用いられるが、繊維表面を均一な膜の形で
被覆しやすいことから、メラミン樹脂が好ましく用いら
れる。かかる樹脂被膜は、メラミン樹脂単独で形成され
ていてもよいが、メラミン系樹脂に尿素、チオ尿素など
のジシアン誘導体化合物、ホルムアルデヒド、フェノー
ル化合物、トリアジン化合物、エチレン尿素、グリオキ
ザール化合物、ウロン化合物などを共重合したものを用
いたり、これら化合物とメラミン系樹脂とを併用したり
して形成されていてもよい。
【0088】メラミン樹脂としては、好ましくは、トリ
アジン環を含有し、かつ、少なくとも2個の重合性官能
基を有する化合物、すなわち、下記一般式[VI]で示さ
れる化合物を重合して得られるものが挙げられる。
【0089】
【化9】
【0090】式中、R1、R2およびR3は、それぞれ水
素、水酸基、フェニル基、炭素数1〜10のアルキル
基、アルキルエステル基(アルキル基の炭素数1〜2
0)、アミド基およびアミノ基[アミド基およびアミノ
基の各Nに結合している水素が、水酸基、アルキルオキ
サイド(アルコキシ)基(アルキル基の炭素数1〜2
0)、アルコキシメチル基(アルキル基の炭素数1〜2
0)、メチルアルキルエステル基(アルキル基の炭素数
1〜20)、メチロール基、エチロール基、N−メチロ
ールアミド基、重合度が1〜1500のアルキレングリ
コール基(アルキレン基の炭素数2〜4であり、末端の
水素がメチル、エチル、プロピルであってもよい)で置
換されたものであってもよい]からなる群の中から選ば
れた1価の基である。R1、R2、R3は、すべて同じで
あってもよく、1つまたは2つが異なっていてもよい。
【0091】上式[VI]表される化合物の中でも、R1
およびR2がアミノ基である化合物が好ましく、さらに
は、R3がアミド基である化合物が好ましい。同化合物
の中でも、アミノ基およびアミド基の各Nに結合してい
る水素がメチロール基、エチロール基およびN−メチロ
ールアミド基のいずれかで置換されたものが好ましい。
【0092】さらに、上式[VI]で表される化合物の中
でも、R1、R2、R3がアミノ基であり、かつ、同アミ
ノ基のNに結合している水素が、アルキルオキサイド
基、アルコキシメチル基(アルキル基の炭素数1〜2
0)、メチロール基、エチロール基およびN−メチロー
ルアミド基のいずれかで置換されたものは、室温で湿潤
状態で放置することによって、十分に被膜形成が可能で
あり、省エネルギー対策に適している上に、柔軟性に優
れた被膜を形成するという特徴を有する。
【0093】かかる樹脂被膜で繊維を被覆する方法につ
いては、特に限定されるものではないが、たとえば、メ
ラミン系樹脂および重合触媒を含む水性媒体からなる溶
液または分散液の形で処理液を含浸法、スプレー法、泡
加工法、グラビアロールなどによるコーティング法など
の方法で繊維構造物に付与した後、乾熱処理、スチーム
処理、浸漬法、コールドバッチ法、マイクロ波処理、紫
外線処理などによって重合を行うことが好ましい。
【0094】本発明の繊維構造物は、機械油等の油汚れ
をはじきやすく、また汚れが付着した状態で放置された
としても、洗濯により容易に汚れが除去でき、しかも洗
濯中に他の汚れを吸着しにくいという洗濯再汚染性を有
する。一般にフッ素系防汚加工剤を使用すると洗濯再汚
染が起こりやすい傾向にあるが、本発明では重合単位
(a)、(b)、(c)、(d)を特定の配合比で共重
合させ、撥水・撥油基と親水基のバランスをとること
で、防汚性と洗濯再汚染防止性との両立を初めて成し得
たものである。
【0095】このことから、本発明の繊維構造物は、ユ
ニフォーム、白衣、厨房衣、エプロンなどの用途に好適
に使用されるものである。
【0096】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例中での品質評価は次の方法に従っ
た。 (洗濯耐久性評価用洗濯/商業洗濯20回)ドラム染色
機に水を張り、下記洗剤と45cm×45cmの試験片
および追加布を入れ、60℃±2℃、浴比1:20で3
00分間洗濯する。
【0097】排液、脱水後、新たに水を張り溜め濯ぎを
60分間行う。この脱水、濯ぎの操作を計3回繰り返
す。
【0098】試験片を脱水して風乾し、試験に供する。
【0099】 (洗剤) ネオサットA(ライオン(株)製) 0.5g/l 無リンダブルコーソ(ライオン(株)製) 1.0g/l ニューブリーチ(ライオン(株)製) 0.7g/l (防汚性評価/重油除去性評価)試験片を10cm×1
0cmに切り、表面を上にしてガラス板上に置き、B重
油を試験片の中央部分に0.1ml滴下する。その上
に、更に5cm×5cmのガラス板を置き、更に200
gの荷重を乗せて1分間放置する。
【0100】荷重、5cm×5cmのガラス板を順次取
り除き、試験片を濾紙の上に移す。試験片のB重油付着
部分にティッシュぺーパーを被せ、その上から宛名印刷
用ローラーでローラーがけをし、濾紙やティッシュペー
パーを汚れの付着していない場所に変えながら、濾紙や
ティッシュペーパーに汚れが付かなくなるまで繰り返
す。
【0101】この試験片を恒温乾燥機に入れ、70℃×
1時間放置する。
【0102】試験片同士をオーバーロックミシンで縫い
合わせる。
【0103】その後、自動反転渦巻き式電気洗濯機(東
芝VH−1150型と同性能のもの)の洗濯槽に、60
℃±2℃のお湯を25l入れ、下記洗剤と共に汚染した
試験片と追加布を合わせた1.25kgを入れ、強条件
で15分間洗濯する。
【0104】 (洗剤) ネオサットA(ライオン(株)製) 0.5g/l 無リンダブルコーソ(ライオン(株)製) 1.0g/l ニューブリーチ(ライオン(株)製) 0.7g/l 次いで、試験片と追加布を洗濯機付属の遠心脱水機に移
し、約30秒間脱水後、再び常温水を25l入れた洗濯
槽に移し、溜め濯ぎを3分間行う。この脱水、濯ぎの操
作を計3回繰り返す。
【0105】試験片を脱水し、風乾する。
【0106】洗濯後の試験片について、汚染剤付着部分
の明度(L値)をミノルタ(株)製多光源分光測色計
(cm−3700d)を用いて測定した。
【0107】L値が大きい程、洗浄性が高く、防汚性が
良好であることを示す。 (洗濯再汚染性)下記成分の汚染液150mlと直径
6.4mmのステンレス鋼球10個をラウンダーメータ
型洗濯試験機付属の450ml試験瓶に入れ、40±2
℃に予熱する。試験片を5cm×10cmに切ったもの
を3枚、試験瓶に入れて蓋をし、40±2℃に調整した
試験機に取り付けて20分間回転する。終了後試験片を
取り出し、流水で洗った後風乾する。
【0108】汚染前後の試験片の色差を、汚染用グレー
スケールで判定を行った。 (汚染液の作成)弱アルカリ性合成洗剤(花王(株)製
アタックコンパクト)0.88g、油性汚染剤0.56
g、乾性汚染剤0.19gを秤量し、洗剤を乳鉢ですり
つぶして汚染剤を練り合わせた後、水を少量ずつ加えて
練り合わせて全体を1lにする。
【0109】油性汚染剤、乾性汚染剤の成分を表1に示
す。
【0110】
【表1】
【0111】(撥油性)AATCC法で測定した。数値
が大きい程、撥油性が高い。 (供試布)下記布帛を通常条件で精練、漂白、マーセラ
イズ、蛍光染色したものを供試布とする。
【0112】タテ糸:ポリエステル 167dtex/2−45fおよび56dtex−24
f ヨコ糸:綿 20番手 密 度:102×64本/inch (重合性単量体の準備)ブロックされたイソシアネート
基を有する(メタ)アクリル酸エステルの合成方法を下
記する。なお、実施例で用いる化合物を一部略称で示す
(表2)。
【0113】
【表2】
【0114】MIEの合成:ガラス製の四つ口フラスコ
に還流器、熱電対式温度計、撹拌機を装着し、IEMA
を155g(1モル)、溶媒としてMIBKを仕込み、
乾燥窒素雰囲気下で80℃に昇温して、MEKX87g
(1モル)を滴下し、2時間反応を行った。その後、赤
外スペクトル(IR)分析によりイソシアネート基の吸
収が完全に消失したことを確認した。上記反応により、
242gのMIEを得た。
【0115】CIEの合成:ガラス製の四つ口フラスコ
に還流器、熱電対式温度計、撹拌機を装着し、IEMA
を155g(1モル)、溶媒としてMIBKを仕込み、
乾燥窒素雰囲気下で80℃に昇温して、ε−カプロラク
タム113g(1モル)を滴下し、2時間反応を行っ
た。その後、IR分析によりイソシアネート基の吸収が
完全に消失したことを確認した。上記反応により、26
8gのCIEを得た。
【0116】(実施例1)100mlのガラス製重合ア
ンプルに、重合性単量体として、FA8.00g(40
重量部)、EOM6.00g(30重量部)、POM
5.60g(28重量部)、MIE0.40g(2重量
部)、ABIP0.20g、チオグリコール酸メトキシ
ブチル0.20g、ジプロピレングリコールモノメチル
エーテル40.0gを加えて、乾燥窒素雰囲気下で振と
うしつつ、75℃で18時間重合させ、共重合体を含む
組成物を得た。18時間後、反応粗液をガスクロマトグ
ラフィー(GC)分析して、重合性単量体が残っていな
いことを確認した。 得られた共重合体およびヘキサメ
チロールメラミン、触媒として過硫酸アンモニウムから
なる水分散液を調整し、試供布を浸漬させた後ピックア
ップ80%で絞り、繊維重量に対し固形分を共重合体
0.64重量%、ヘキサメチロールメラミン0.42重
量%付着させた後、ピンテンターにおいて130℃で9
0秒間乾燥し、さらに180℃で40秒間熱処理を行っ
た。得られた試験布の加工上がりと商業洗濯20回後に
ついて、防汚性評価、洗濯再汚染性評価、撥油性評価を
行った。結果を表3に示す。
【0117】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた汚
れ除去性、洗濯再汚染防止性、撥油性を示した。
【0118】(実施例2)100mlのガラス製重合ア
ンプルに、重合性単量体として、FA8.00g(40
重量部)、EOM7.00g(35重量部)、POM
4.60g(23重量部)、CIE0.40g(2重量
部)、ABIP0.20g、チオグリコール酸メトキシ
ブチル0.20g、ジプロピレングリコールモノメチル
エーテル40.0gを加えて、実施例1と同様にして、
共重合体を含む組成物を得た。得られた共重合体および
トリメチロールメラミン、触媒として過硫酸アンモニウ
ムからなる水分散液を調整し、試供布を浸漬させた後ピ
ックアップ80%で絞り、繊維重量に対し固形分を共重
合体0.72重量%、トリメチロールメラミン0.16
重量%付着させた後、ピンテンターにおいて130℃で
90秒間乾燥し、さらに180℃で40秒間熱処理を行
った。得られた試験布の加工上がりと商業洗濯20回後
について、防汚性評価、洗濯再汚染性評価、撥油性評価
を行った。結果を表3に示す。
【0119】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた汚
れ除去性、洗濯再汚染防止性、撥油性を示した。
【0120】(実施例3)100mlのガラス製重合ア
ンプルに、重合性単量体として、FA8.00g(40
重量部)、EOM23を6.00g(30重量部)、P
OM5.60g(28重量部)、HEMA0.40g
(2重量部)、ABIP0.20g、チオグリコール酸
n−ブチル0.20g、エチレングリコールメチルイソ
ブチルエーテル40.0gを加えて、実施例1と同様に
して、共重合体を含む組成物を得た。得られた共重合体
およびヘキサメチロールメラミン、トリメチロールメラ
ミン、触媒として過硫酸アンモニウムからなる水分散液
を調整し、試供布を浸漬させた後ピックアップ80%で
絞り、繊維重量に対し固形分を共重合体0.64重量
%、ヘキサメチロールメラミン0.21重量%、トリメ
チロールメラミン0.21重量%付着させた後、ピンテ
ンターにおいて130℃で90秒間乾燥し、さらに18
0℃で40秒間熱処理を行った。得られた試験布の加工
上がりと商業洗濯20回後について、防汚性評価、洗濯
再汚染性評価、撥油性評価を行った。結果を表3に示
す。
【0121】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた汚
れ除去性、洗濯再汚染防止性、撥油性を示した。
【0122】(実施例4)試供布に次のプラズマ条件で
繊維表面にカルボキシル基、水酸基、アミノ基を導入
し、親水基が形成された繊維布帛を得た。
【0123】 ガス : Ar 30ml/分 減圧度 : 80Pa 印加電圧 : 3kV 処理速度 : 20cm/分 処理温度 : 25℃ この親水基が形成された試供布を実施例1と同様に、作
成した共重合体の水溶液に浸漬して絞った後、熱処理を
行った。
【0124】得られた試験布の加工上がりと商業洗濯2
0回後について、防汚性評価、洗濯再汚染性評価、撥油
性評価を行った。結果を表2に示す。
【0125】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた汚
れ除去性、洗濯再汚染防止性、撥油性を示した。
【0126】(実施例5)メタクリル酸30g、第4級
アンモニウム塩型界面活性剤(第一工業(株)製カチオ
ーゲンANスーパー)5g、有機過酸化物(日本油脂製
ナイパ−MT−80)1gを水で希釈し100mlの水
溶液を調整した。試供布をこの水分散液に浸漬し絞った
後、ロールに巻き取り塩化ビニリデンフィルムでシール
した。このシールされた試供布をマイクロ波処理装置
(市金製アポロペット)に入れ、100℃スチームとマ
イクロ波で10分間加熱照射後、湯水洗、乾燥後、初期
の乾燥布重量に対する重量増加率を求めたところ、1
5.5%であった。ついで、乾熱処理機にて180℃で
30秒乾熱処理をし、カルボキシル基が形成された繊維
布帛を得た。
【0127】この親水基が形成された試供布を実施例1
と同様に、作成した共重合体の水溶液に浸漬して絞った
後、熱処理を行った。
【0128】得られた試験布の加工上がりと商業洗濯2
0回後について、防汚性評価、洗濯再汚染性評価、撥油
性評価を行った。結果を表3に示す。
【0129】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた汚
れ除去性、洗濯再汚染防止性、撥油性を示した。
【0130】(実施例6)試供布を染色するに際し、テ
レフタル酸ーイソフタル酸ーエチレングリコールーポリ
エチレングリコールのブロック共重合体(テレフタレー
ト単位:イソフタレート単位:ポリエチレングリコール
単位=2.1:0.9:7.0(重量比)ポリエチレン
グリコール分子量1400)の10%水性分散液を被処
理物に対し、10重量%染浴中に添加し、130℃で2
0分間染色同時処理をして、エーテル基含有有機化合物
が付与された繊維布帛を得た。
【0131】この親水性有機化合物が付与された試供布
を実施例2と同様に、作成した共重合体の水溶液に浸漬
して絞った後、熱処理を行った。
【0132】得られた試験布の加工上がりと商業洗濯2
0回後について、防汚性評価、洗濯再汚染性評価、撥油
性評価を行った。結果を表3に示す。
【0133】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた汚
れ除去性、洗濯再汚染防止性、撥油性を示した。
【0134】(実施例7)化合物[VII]を2.0g、
過硫酸アンモニウム0.2gを含む水溶液を100ml
調整した。化合物[VII]を下に示す。
【0135】
【化10】
【0136】試供布をこの水溶液に浸漬し絞った後、湿
潤状態のまま飽和蒸気で満たされた100℃のスチーマ
ーに入れ5分間処理した。熱処理後、湯水洗し未反応モ
ノマーを除去し乾燥して、エーテル基含有重合物が付与
された繊維布帛を得た。
【0137】この親水性有機化合物が付与された試供布
を実施例2と同様に、作成した共重合体の水溶液に浸漬
して絞った後、熱処理を行った。
【0138】得られた試験布の加工上がりと商業洗濯2
0回後について、防汚性評価、洗濯再汚染性評価、撥油
性評価を行った。結果を表3に示す。
【0139】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた汚
れ除去性、洗濯再汚染防止性、撥油性を示した。
【0140】(実施例8)2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸を3g、[VII]を6g、過硫
酸アンモニウム0.3gを含む水溶液を100ml調整
した。試供布をこの水溶液に浸漬し絞った後、乾燥機で
120℃、2分間予備乾燥を行った。乾燥後直ちに、1
05℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥
した。熱処理後、湯水洗し未反応モノマーを除去し乾燥
して、アミド基、スルホン基、エーテル基含有共重合物
が付与された繊維布帛を得た。
【0141】この親水性有機化合物が付与された試供布
を実施例3と同様に、作成した共重合体の水溶液に浸漬
して絞った後、熱処理を行った。
【0142】得られた試験布の加工上がりと商業洗濯2
0回後について、防汚性評価、洗濯再汚染性評価、撥油
性評価を行った。結果を表3に示す。
【0143】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた汚
れ除去性、洗濯再汚染防止性、撥油性を示した。
【0144】(実施例9)トリメチロールメラミン(住
友化学工業(株)製スミテックスレジンM−3)7g、
過硫酸アンモニウム0.3g、浸透剤(コスモ化学(株
製)CB−01)0.2gを含む水溶液を100ml調
整した。試供布をこの水溶液に浸漬し絞った後、105
℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥し
た。熱処理後、湯水洗し未反応モノマーを除去し乾燥し
て、樹脂被膜で被覆された繊維布帛を得た。
【0145】この樹脂被膜で被覆された試供布を実施例
3と同様に、作成した共重合体の水溶液に浸漬して絞っ
た後、熱処理を行った。
【0146】得られた試験布の加工上がりと商業洗濯2
0回後について、防汚性評価、洗濯再汚染性評価、撥油
性評価を行った。結果を表3に示す。
【0147】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた汚
れ除去性、洗濯再汚染防止性、撥油性を示した。
【0148】(比較例1)100mlのガラス製重合ア
ンプルに、重合性単量体として、FA8.00g(40
重量部)、EOM6.00g(30重量部)、POM
6.00g(30重量部)、ABIP0.20g、チオ
グリコール酸メトキシブチル0.20g、ジプロピレン
グリコールモノメチルエーテル40.0gを加えて、実
施例1と同様にして、共重合体を含む組成物を得た。得
られた共重合体およびヘキサメチロールメラミン、触媒
として過硫酸アンモニウムからなる水分散液を調整し、
ピックアップ80%で絞り、繊維重量に対し固形分を共
重合体0.64重量%、ヘキサメチロールメラミン0.
42重量%付着させた後、ピンテンターにおいて130
℃で90秒間乾燥し、さらに180℃で40秒間熱処理
を行った。得られた試験布の加工上がりと商業洗濯20
回後について、防汚性評価、洗濯再汚染製評価、撥油性
評価を行った。結果を表3に示す。
【0149】この比較例のものは、加工上がりでは撥油
性は高く汚れにくいものの、付着汚れの除去性は悪く、
また洗濯耐久性に劣るものであった。
【0150】(比較例2)100mlのガラス製重合ア
ンプルに、重合性単量体として、FA8.00g(40
重量部)、EOM6.00g(30重量部)、POM
5.60g(28重量部)、MIE0.40g(2重量
部)、ABIP0.20g、チオグリコール酸メトキシ
ブチル0.20g、ジプロピレングリコールモノメチル
エーテル40.0gを加えて、実施例1と同様にして、
共重合体を含む組成物を得た。得られた共重合体からな
る水分散液を調整し、ピックアップ80%で絞り、繊維
重量に対し固形分を共重合体0.64重量%付着させた
後、ピンテンターにおいて130℃で90秒間乾燥し、
さらに180℃で40秒間熱処理を行った。得られた試
験布の加工上がりと商業洗濯20回後について、防汚性
評価、洗濯再汚染製評価、撥油性評価を行った。結果を
表3に示す。
【0151】この比較例のものは、加工上がりでは撥油
性は高く汚れにくいものの、付着汚れの除去性と洗濯再
汚染防止性が悪く、また洗濯耐久性に劣るものであっ
た。
【0152】
【表3】
【0153】
【発明の効果】本発明は、従来になかった防汚性を有す
る繊維構造物を提供することができ、特にユニフォー
ム、白衣、厨房衣、エプロンなど幅広い用途に好適な素
材を提供することができるものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // D06M 101:32 D06M 101:32 (72)発明者 齋藤 公一 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 4J027 AC03 AC04 AC06 AG08 AG12 AG22 AG23 AG24 AJ08 AJ09 BA07 CB09 CD00 4J034 BA08 CA03 CA14 CB05 CB08 CC10 DA01 DA03 DB04 DB05 DB08 DC17 DC23 DC35 DC37 DC42 DC43 DG03 DG04 DJ09 DR04 HA02 HA09 HA18 HB07 HC03 HC12 HC17 HC18 HC22 HC46 HC52 HC54 HC61 HC64 HC71 HC73 HD04 HD12 JA02 KA01 KB04 KD12 KD21 KE01 QA03 RA09 4L033 AB09 AC04 CA18 CA20 CA36

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記重合単位(a)、重合単位(b)、重
    合単位(c)、および重合単位(d)を含む共重合体な
    らびにメラミン樹脂が繊維表面に付着していることを特
    徴とする繊維構造物。 重合単位(a):ポリフルオロアルキル基を有する(メ
    タ)アクリル酸エステルの重合単位。 重合単位(b):ポリオキシエチレン基を有する(メ
    タ)アクリル酸エステルの重合単位。 重合単位(c):ポリオキシプロピレン基を有する(メ
    タ)アクリル酸エステルの重合単位。 重合単位(d):ブロックされたイソシアネート基を有
    する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位。
  2. 【請求項2】該重合単位(d)が、メチルエチルケトオ
    キシムまたはε−カプロラクタムでブロックされたイソ
    シアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重
    合単位であることを特徴とする請求項1記載の繊維構造
    物。
  3. 【請求項3】該重合単位(d)が、ブロックされたイソ
    シアネート基を有する2−イソシアネートエチル(メ
    タ)アクリレートの重合単位であることを特徴とする請
    求項1または2記載の繊維構造物。
  4. 【請求項4】該重合単位(d)が、水酸基を有する(メ
    タ)アクリル酸エステルとポリイソシアネートとを1個
    以上のイソシアネート基が残る割合で反応させて得られ
    る反応生成物のブロック化物の重合単位であることを特
    徴とする請求項1または2記載の繊維構造物。
  5. 【請求項5】該メラミン樹脂が、ヘキサメチロール系メ
    ラミンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の繊維構造物。
  6. 【請求項6】該メラミン樹脂が、トリメチロール系メラ
    ミンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の繊維構造物。
  7. 【請求項7】該繊維構造物が、合繊繊維および天然繊維
    から選ばれた少なくとも1種により構成されていること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維構造
    物。
  8. 【請求項8】該合成繊維が、ポリエステル系繊維である
    ことを特徴とする請求項7記載の繊維構造物。
  9. 【請求項9】該繊維が、親水基を有することを特徴とす
    る、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維構造物。
  10. 【請求項10】該親水基が、水酸基、カルボキシル基、
    スルホン基、スルホニル基、アミノ基、アミド基、エー
    テル基およびエステル基から選ばれた少なくとも1種で
    あることを特徴とする請求項9記載の繊維構造物。
  11. 【請求項11】該親水基が、繊維構造物をプラズマ中で
    処理することにより形成されたものであることを特徴と
    する請求項9または10記載の繊維構造物。
  12. 【請求項12】該親水基が、繊維構造物に親水性ビニル
    モノマーをグラフト重合することにより形成されたもの
    であることを特徴とする請求項9または10記載の繊維
    構造物。
  13. 【請求項13】該親水基が、親水性有機化合物の付着に
    よって付与されたものであることを特徴とする請求項9
    または10記載の繊維構造物。
  14. 【請求項14】該親水性有機化合物が、該繊維を被覆す
    る形態で付着していることを特徴とする、請求項13に
    記載の繊維構造物。
  15. 【請求項15】該親水性有機化合物が、分子内にポリオ
    キシアルキレン単位を含有するものであることを特徴と
    する、請求項13または14に記載の繊維構造物。
  16. 【請求項16】該親水性有機化合物が、ビニル基を持つ
    親水性モノマーの(共)重合物であることを特徴とする
    請求項13〜15のいずれかに記載の繊維構造物。
  17. 【請求項17】該繊維が、樹脂被膜で被覆されているこ
    とを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の繊
    維構造物。
  18. 【請求項18】該樹脂被膜が、該繊維を構成する繊維束
    の少なくとも一部の単繊維を覆っていることを特徴とす
    る請求項17記載の繊維構造物。
  19. 【請求項19】該樹脂被膜がメラミン樹脂であることを
    特徴とする請求項18に記載の繊維構造物。
  20. 【請求項20】該繊維構造物が、ユニフォーム、白衣、
    厨房衣またはエプロン用である請求項1〜19のいずれ
    かに記載の繊維構造物。
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