明 細 書
繊維構造物の疎水化方法 技術分野
本発明は、 天然繊維、 再生繊維、 ナイロン繊維などから選ばれる少なくとも 1 ,種の繊維から構成される繊維構造物に疎水性を付与する、 繊維構造物の疎水化方 法に関する。 背景技術 ·
一般に、 天然繊維、 再生繊維およびナイロン繊維は、 親水基である O H基や N H2基を内部に有し、 公定水分率が高い。 そのため、 天然繊維、 再生繊維および ナイロン繊維は、 吸湿性、 保湿性、 保温性等の着用快適性という点で優れている 力 水、 雨、 汗が、 繊維の内部にすぐに吸水されてしまうという欠点があり、 素 材の吸水性は衣服系の熱伝導率に大きく関与し、 私達の身体からの熱放散を左右 してしまう。 すなわち、 水の熱伝導率は、 空気の熱伝導率の約 2 5倍であること が報告されているので、 天然繊維、 再生繊維およびナイロン繊維からなる衣服が びっしょりと濡れてしまい、 皮膚と衣服が接触している場合、 衣服内の熱伝導率 は、 単純に考えれば 2 5倍になり、 皮膚から外界への熱移動量は急増することに なる。 しかも、 天然繊維、 再生繊維およびナイロン繊維は吸水量が多く、 蒸発に 時間がかかれば、 熱伝導率が高いまま外界への熱移動が行われ続ける。 そのため 、 吸水性の高い素材と低い素材を比較した場合、 外界からの水、 雨、 発汗などに よって素材が濡れる可能性がある用途においては、 吸水性の高い素材を着用する ことは体温調節上好ましくない。 さらに、 天然繊維、 再生繊維およびナイロン繊 維における素材そのものの力学的性質の変化は、 液相水分の方が気相水分より影 響力が大きく、 含水によって素材は弾力を失い、 振動が早く止まることから、 素 材の表面摩擦係数や表面粗さが增すとされている。
これらの事情から、 天然繊維、 再生繊維、 ナイロン繊維などを含む繊維構造物
に対しては、 着用快適性を維持しながら、 スポーツウエア、 アウトドア衣料、 ュ 二フォーム等の用途にも適用しうるように、 水、 雨、 汗が衣服内には浸み込まな い特性を付与することが強く要請されてきた。
ところで、 熱可塑性を有するポリエステル繊維は、 単に高熱を加えるだけで耐 久性のある撥水加工ができるので、 多くの撥水加工製品として販売されているが 、 天然繊維、 再生繊維およびナイロン繊維は、 単に熱を加えるだけでは耐久性の ある撥水性能が付き難いので、 架橋薬剤や加工樹脂等を用いる撥水加工方法を採 用する必要があり、 その方法につき種々の研究がなされている。
しかし、 これまでの撥水加工方法は、 それぞれ多くの問題点を抱えていた。 例 えば、 撥水性を高めるため高価で有毒な薬剤や樹脂を使用することは、 経済性、 安全性の面で問題があった。 さらに、 複雑な加工工程を必要としたり、 加工によ つて素材の風合いが粗硬となったり、 榭脂による繊維表面への加工は耐久性が不 充分となったりするなど、 多くの解決を要する問題があった。 さらに、 撥水効果 をアップすればするほど静電気の発生度合いが強くなり、 ゴミ、 浮遊物の付着、 汚れ、 着用不快感が発生するという問題もあった。 また、 撥水加工は高温で熱処 理する場合が多いが、 熱処理中に架橋薬剤が気化して職場環境や設備を汚染した り、 悪臭に悩まされるという問題も抱えていた。 特に、 織物、 編物の場合、 繊維 と繊維の交差点や結点、 接点が、 強い力で圧着しているため、 有効に撥水剤を付 着させることが難しく、 さらに、 糸が太くなれば、 繊維の中まで撥水剤が充分か ' つ均等に含浸せず、 期待する撥水効果が得られなかった。 特に、 一般的なシリコ ーン系、 ピリジン系、 フッソ系の撥水加工剤を用いた場合、 いずれも充分に満足 しうる品質は得られないのが現状であった。 具体的には、 とりわけ撥水耐久性が 不充分であり、 また、 生地表面の汚れによる撥水度の低下が著しく、 しかも、 磨 耗により撥水度が低下することが避けられない品質であつた。
なお、 天然繊維、 再生繊維およびナイロン繊維に撥水性を効率よく付与するべ く、 加工剤の構成を工夫したり、 塗布量を増量する手法をとることも考えられる 力 これらの手法では、 風合いの粗硬化、 コストアップ、 ホルマリン問題等品位
を損なう問題の発生などが起きることがある。
天然繊維、 再生繊維およびナイロン繊維に対し充分な撥水性能を付与する方法 は、 これまで、 知られていなかった。
ところで、 日本特許第 3 4 1 5 5 7 6号公報では、 繊維の形態安定加工技術と して、 ジクロルトリアジン化合物を用いることが提案されている。 し力、し、 該特 許文献には、 繊維の疎水化に関しては何ら開示されておらず、 また、 該特許文献 に開示されている技術では、 天然繊維、 再生繊維およびナイロン繊維に充分に満 足しうるだけの撥水性 (疎水性) を付与することができなかった。 詳しく述べる と、 天然繊維、 再生繊維およびナイロン繊維に撥水性を付与する加工方法では、 一般に酸性で加工剤を反応させるが、 ジクロルトリアジン化合物は、 反応性が弱 いため、 有効に繊維に反応しにくく、 撥水の耐久性が不充分となるのである。 ' 発明の開示 · 発明が解決しようとする課題
本発明が解決しょうとする課題は、 天然繊維、 再生繊維、 ナイロン繊維を必須 とする繊維構造物に対して優れた疎水性を付与することができる、 繊維構造物の 疎水化方法を提供することにある。 課題を解決するための手段
本発明者は、 上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。 その結果、 親水性の 置換基を有するジハロゲノ トリアジン化合物に特定の補助剤を併用して、 含浸加 熱処理すれば、 天然繊維、 再生繊維またはナイロン繊維を必須とする繊維構造物 の疎水性を格段に向上させうることを見出し、 本発明を完成した。
すなわち、 本発明にかかる繊維構造物の疎水化方法は、 ジハロゲノ トリアジン 化合物とともに、 パーフノレオロアクリレート、 シリコーンソフナ一、 メラミン尿 素誘導体およびウレタンのうちから選ばれる少なくとも 1種を繊維構造物に含浸 させ、 該繊維構造物を熱処理するものである。 具体的には、 例えば、 以下の 2つ
の方法のいずれかによることが好ましい。
第 1に、 ジハロゲノ トリアジン化合物と 'ともに、 パーフルォロアクリレート、 シリコーンソフナ一、 メラミン尿素誘導体およびゥレタンのうちから選ばれる少 なくとも 1種を繊維構造物に含浸させ、 該含浸処理後の繊維構造物を、 スチーミ ング処理する第 1段階の熱処理と 6 0 °C以上の温度で実質的に乾燥するまで乾熱 処理する第 2段階の熱処理とに付する方法である。
第 2 ·に、 ジハロゲノ トリアジン化合物とともに、 パーフルォロアタリレート、 シリコーンソフナ一、 メラミン尿素誘導体およびゥレタンのうちから選ばれる少 なくとも 1種を繊維構造物に含浸させ、 該含浸処理後の繊維構造物を、 3 0〜 6 0 °Cで乾熱処理する第 1段階の熱処理と 6 0 °C以上の温度で実質的に乾燥するま で乾熱処理する第 2段階の熱処理とに付する方法である。
前記繊維構造物としては、 天然繊維、 再生繊維およびナイ口ン繊維の中から選 ばれる少なくとも 1種の繊維を必須とするものであることが好ましい。 上記第 2 の方法では、 繊維構造物はナイ口ン繊維を含まないものとすることができる。 本発明によれば、 天然繊維、 再生繊維、 ナイロン繊維などからなる繊維構造物 の疎水性を初めとする機能性向上に加えて、 新しく水系防汚性の機能性を付与し 、 着用快適性、 ならびに、 生活資材、 産業資材への活用など広い用途開拓をする ことができる。 また、 本発明の疎水化方法は、 加工に複雑な工程を必要とせず、 省エネルギー化が達成でき、 さらに、 排水(B O D)負担を軽減することもできる 。 発明の実施形態
以下、 本発明にかかる繊維構造物の疎水化方法について詳しく説明するが、 本 発明の範囲はこれらの説明に拘束.されることはなく、 以下の例示以外についても 、 本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明は、 ジハロゲノ トリアジン化合物と特定の補助剤を反応させることによ つて天然繊維、 再生繊維およびナイ口ン繊維から選ばれる少なくとも 1種の繊維
W
を必須とする繊維構造物を疎水化処理するものである。
ここに、 繊維構造物とは、 繊維を綿や糸にレたものやそれ以降のものを指し、 例えば、 綿や糸、 編織物、 不織布、 縫製品などである。 したがって、 本発明の疎 水化方法で得られた繊維構造物は、 ジハロゲノ トリァジン化合物とともにパーフ ルォロアク リ レート、 シリコーンソフナ一、 メラミン尿素誘導体およびウレタン のうちから選ばれる少なくとも 1種が含浸され熱処理されてなる、 疎水化された 繊維構造物である。
本発明の疎水化方法において、 疎水化の対象としうる繊維は、 天然繊維、 再生 繊維およびナイ口ン繊維のうちの少なくとも 1種であり、 分子構造中にカルボキ シル基、 アミノ基、 アルコール性水酸基を有するものであればよく、 具体的には 、 例えば、 絹、 羊毛、 獣毛、 皮革等の蛋白質系天然繊維;綿、 麻、 ビスコースレ 一ヨン、 キュプラレーヨン、 酢酸セルロース等のセルロース系天然繊維; リヨセ ル、 テンセル、 および、 キュプラ等の再生繊維;ナイロン 6、 ナイロン 6 · 6、 ナイロン 4、 ナイロン 4、 ナイロン 7、 ナイロン 1 1、 ナイロン 1 2、 ナイ口ン 6 · 1 0、 ならびに、 これらを成分とするコポリアミ ドなどのナイロン繊維;等 が挙げられる。 これらの—繊維は、 1種のみの単品であってもよいし、 2種以上の . 混合品であってもよい。
本発明の疎水化方法において、 疎水化の対象としうる繊維は、 必要に応じて、 ' 酢酸セルロース等の半合成繊維、 ポリエチレンテレフタレート、 ポリ トリメチレ ンテレフタレート、 ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、 アタリ ル繊維等の合成繊維などの非ナイロン系合成繊維を含むことができる。
繊維構造物は、 例えば、 ポリエステル繊維、 ナイロン、 ポリアミ ド繊維、 ポリ ビニルアルコール繊維、 ポリアタリ ロニ トリル繊維、 ポリプロピレン繊維、 ァク リル繊維等の石油系合成繊維との複合系繊維構造物であってもよい。 ただし、 複 合する石油系合成繊維は、 その分子構造中に、 カルボキシル基ゃァミノ基、 アル .コール性水酸基を有する繊維であることが、 疎水性を阻害しない点で好ましい。
本発明の疎水化方法において、 前記繊維構造物に対し疎水化処理を施す段階は
-
、 例えば、 綿やパラ毛の段階、 糸の段階であってもよいし、 織編物にした段階、 不織布或CNIい - は工程途中の半製品の段階、 染色やプリントが施された完成品の段階 、 縫製された商品の段階などであってもよい。
本発明においC Nて H用いることのできるジハロゲノ トリアジン化合物とは、 好まし くは、 下記一般式 (1 ) で表される 2 , 6—ジハロゲノー 4一 Y— 1, 3 , 5— トリアジン誘導体であるが、 この 2 , 6 _ジハロゲノ一 4—Y— 1 , 3 , 5—ト リアジン誘導体のほかにも数多くの有効な化合物があるから、 本発明で用いるジ ハロゲノ トリアジン化合物は、 下記一般式 (1 ) で表される 2, 6—ジハロゲノ — 4一 Y— 1, 3' , 5—トリアジン誘導体に限定されるものではない。 本発明に おいて用いることのできるジハロゲノ トリアジン化合物としては、 好ましくは親 水性置換基を有する化合物であり、 そして、 活性ハロゲン原子またはそれに類す る反応性基を 2個以上有することがボイントとなる。
【化 1】 '
Y
—X
^ /
N
(式 (1 ) 中、 Xは、 塩素、 フッ素および臭素からなる群より選ばれるハロゲン 基、 Yはスルホン基、 カルボキシル基、 水酸基およびチオール基からなる群より 選ばれる少なくとも 1つの基により置換されたァリールアミノ基、 ァリールォキ シ基、 ァリールメルカプト基、 アルキルアミノ基、 アルコキシ基、 アルキルチオ 基、 トリアジニルァミノ基、 トリアジニルォキシ基、 トリアジ二ルチオ基、 また はトリアジニルアミノスチルベンアミノ基であり、 前記スルホン基、 カルボキシ ル基、 水酸基おょぴチオール基はその水素原子がアルカリ金属原子またはアル力 リ土類金属原子で置換されてもよい。 )
繊維構造物にジハロゲノ トリアジン化合物を含浸させるときは、 通常、 ジハロ ゲノ トリアジン化合物を水に溶解させるか分散させて、 該水溶液または分散液 ( 以下、 これらを併せて 「水性液」 という) に繊維構造物を浸漬するか、 該水性液 を繊維構造物にスプレーするかシャワーするようにする。 したがって、 ジハロゲ ノ トリアジン化合物は、 水溶性または水分散性であることが好ましい。 本明細書 では、 この 「水溶性または水分散性であること」 を指して 「水系」 と称すること がある。
前記一般式 (1 ) で表される 2 , 6—ジハロゲノ一 4— Y— 1 , 3 , 5 _トリ ァジン誘導体としては、 限定する訳ではないが、 以下に例示するクロル系のもの が好ましく用いられる。
2 , 6ージク πノレ一 4 - ( 3—スルホアリニノ) 一 S— トリァジン
2 , 6ージクロノレー 4 - ( 4 ースルホアリニノ) 一 S—トリア •Γ/
2, 6ージクロノレー 4 - ( 3—スルホアリニノ) 一 S—トリアジン
2, 6ージクロノレー 4一 (2, 5—ジスルホアリニノ) 一 S一 トリアジン
2, 6ージクロノレー 4 - ( 3, 5—ジスルホアリニノ) 一 S一 トリアジン
2, 6ージクロノレー 4 ( 3—カルボキシァリニノ) 一 S一 卜リアジン
2, 6ージクロノレー 4 - ( 4一カルボキシァリニノ) 一 S一 卜リァジン
2 , 6ージクロノレー 4一 (2—カルボキシァリニノ) 一 S一 卜リアジン
2, 6ージクロノレー 4一 ( ]3—カルボキシェチルァミノ) 一 S一ト リアジン
2, 6ージクロノレー 4一ウレイ ド一 S— トリァジン
2 , 6ージクロノレー 4 —チォゥレイ ド一 S—トリァジン
2, 6ージクロノレー 4一 (4一カルボキシフエノキシ) ― S一 ト リアジン
2, 6ージクロノレー 4一 (4一カルボキシフエ二ルチオ) 一 Sー トリアジン
2 , 6ージク口/レー 4一 ( 3 —スノレホフェニノレチォ) 一 S一 卜リァジン
2 , 6ージクロノレー 4一ォキシ一 S—トリァジン N a塩
2, 6ージクロノレー 4一ォキシ一 S—トリアジン L i塩
2 , 6ージクロノレー 4一ォキシ—S— ト リ ァジン M g塩
2 , 6—ジクロル— 4一チォー S—トリアジン N a塩
2 , 6—ジクロル一 4一 (3—ォキシフエ-ルォキシ) 一S—トリアジン
4, 4 _ビス (4 , 6—ジクロ口一 S—トリアジン一 2—ィルァミノ) スチルベ ン一 2 , 2 ' —ジスルフォニックアシッド N a塩
これらは、 適宜、 N a塩、 L i塩、 M g塩等の塩になっていてもよい。 なお、 ジハロゲノ トリアジン化合物は、 1種のみ (単独) であってもよいし、 2種以上 (混合物) であってもよい。
前記一般式 (1 ) で表される 2 , 6—ジハロゲノー 4一 Y— 1, 3 , 5—トリ ァジン誘導体は、 具体的には、 例えば、 トリハロゲノー S—トリアジン、 好まし くは塩化シァヌルを主原料として用い、 カルボキシル基、 水酸基、 チオール基、 アミノ基、 スルホン基、 スルホン酸基等の水溶性あるいは親水性置換基を有する ァニリン類、 フエノール類、 チォフエノール類、 ナフチルァミン類、 ナフトール 類、 アミノ酸類、 トリアジン類等の単体あるいは混合物を、 塩化シァヌル 1モル に対して 1モルの割合で、 酸結合剤を共存させた中性ないし弱アルカリ性条件下 で縮合させるカ あるいは、 塩化シァヌルを重炭酸ソーダ、 炭酸ソーダ、 苛性ソ ーダ、 苛性力リ、 水酸化マグネシウム等を用いてアルカリ性で加水分解させるこ とによって得られる。 これらの化合物は純粋である必要はなく、 前記 2種以上の 混合物と塩化シァヌルを反応させたものであってもよいし、 純粋に作られたもの をあとから混合して多成分系として使用することが好ましい場合もある。
これらの化合物は、 繊維構造物の繊維と反応する置換基を有し、 かつ、 親水性 の置換基を有する親水性化合物である必要がある。 つまりは、 本発明で用いられ る前記一般式 (1 ) で表される加工薬剤が、 全体として親水牲となればよい。 さらに詳しくは、 前記一般式 (1 ) で表される 2, 6—ジハロゲノー 4—Y— 1, 3 , 5—トリアジン誘導体は、 ドイツ公開公報 2 3 5 7 2 5 2号、 あるいは 、 ァメリカ特許公報 5 6 0 1 9 7 1号等に記載があるような公知の合成法に準じ て合成することができる。 例えば、 塩化シァヌル 1 . 0 0モルを 5 °C以下の氷水 の中へ仕込み、 次いで、 m-スルファニル酸 1 . 0 2モルと炭酸ソーダ約 1モル
をよく撹拌しながら徐々に仕込む。 m -スルファニル酸と炭酸ソーダの仕込みは p H = 7 ± 1で約 3時間を要して 5〜 1 0 °Cで仕込み、 高速液体クロマトグラフ ィー (H P L C ) によって分析し、 塩化シァヌルがほぼ消滅すれば、 さらに 1時 間保湿撹拌して反応を完結させる。 この間、 P Hは 6〜8に維持し、 H P L Cに よって組成を分析し、 モノスルファニル体が 9 0 %以上となれば反応を終了する 。 反応後、 微量の不溶物を濾過して除き、 最終的には P Hは 7に調整する。 この よう.にして、 2 . 6—ジクロル一 4一(3—スルフォア二リノ)一 S— トリアジン N a塩水溶液が高収率で得られる。 この化合物は冷蔵庫内で 5 °C以下保管すれば 約 1ヶ月間は安定である,。
本発明において用いることのできる補助剤は、 パーフルォロアタリ レート、 シ リコーンソフナ一、 メラミン尿素誘導体、 ウレタンからなる群より選ばれる 1種 以上である。 これらの補助剤も、 限定する訳ではないが、 ジハロゲノ トリアジン 化合物と同様、 水系であることが好ましい。 このような意味で、 この補助剤は、 分子中に、 水酸基と、 カルボキシル基、 スルホン基など水溶性置換基を有してい ることが好ましい。 これらの補助剤のうち、 最も好適なのはパーフルォロアクリ レートであるので、 まず、 これをジハロゲノ トリアジン化合物と併用することが 好ましく、 これに加えてシリコーンソフナ一、 メラミン尿素誘導体、 ウレタンか らなる群より選ばれる 1種以上をさらに併用することがより好ましい。 これらの 補助剤は、 繊維と結合したトリアジン環と反応し、 トリアジン環を介して繊維と 結合することによって、 あるいは、 繊維と結合したもう 1つのトリアジン環とも さらに反応することによって、 長さの異なる架橋 '編目構造を形成するので、 耐 久性のある疎水性や水系防汚性等の機能を付与することができると考えられる。 もちろん、 反応機構論から、 前記ジハロゲノ トリアジン化合物と補助剤が事前に 反応したり、 等モル反応に限らず、 例えば、 1 : 2、 1 : 3或いは 2 : 1モル比 反応等、 多数の組み合わせからなる反応中間体を形成した上で繊維と反応する場 合も考えられる。 なお、 補助剤は、 '1種のみ (単独) であってもよいし、 2種以 上 (混合物) であってもよい。
前記パーフルォロアタリレートとしては、 ポリフルォロアルキル基 (以下、 R f基と記す) を有する (メタ) アクリル酸エステルの重合単位を含むものである ここで、 (メタ) ァクリル酸エステルとは、 ァクリル酸エステルおよびメタク リル酸エステルから選ばれた少なくとも 1種をいう。 Γ (メタ) アクリルアミ ド 」 等の表記についても同様である。 Rf基を有する (メタ) アクリル酸エステル とは、 Rf基が (メタ) アクリル酸エステルのアルコール残基部分に存在する化 合物をいう。 '
前記 Rf基は、 アルキル基の水素原子の 2個以上がフッ素原子に置換された基 である。 Rf基の炭素数は 2〜20が好ましく、 特に 6〜 1 6が好ましい。 また 、 Rf基は直鎖構造または分岐構造であり、 直鎖構造が好ましい。 分岐構造であ る場合には、 分岐部分が Rf基の末端部分に存在し、 かつ炭素数が 1〜4程度の 短鎖であるのが好ましい。 Rf基は、 フッ素原子以外のハロゲン原子を含んでい てもよい。 フッ素原子以外のハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。 Rf基 の末端部分の構造としては、 一 CF2CF3、 -CF (CF3) 2、 _CF2H、 _CFH2、 一 C F2C 1等が挙げられ、 一 CF2CF3が好ましい。 また、 Rf 基中の炭素一炭素結合間には、 エーテル性酸素原子またはチォエーテル性硫黄原 子が挿入^れていてもよい。 '
前記 Rf基中のフッ素原子数は、 [ (Rf基中のフッ素原子数) / (Rf基と同 一炭素数の対応するアルキル基中に含まれる水素原子数) ] X 100 (%) で表 現した場合、 60%以上が好ましく、 特に 80%以上が好ましい。 さらに Rf基 は、 アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基、 すなわちパーフ ルォロアルキル基 (以下、 RF基と記す。 ) 、 または RF基を末端部分に有する 基が好ましい。 RF基の炭素数は 2〜20が好ましく、 特に 6〜 1 6が好ましい 。 炭素数が 2未満の場合には、 撥水性が低下する傾向にある。 炭素数が 20超の 場合には、 共重合体が常温で固体となり、 昇華性も大きくなり、 取扱いが困難に なる傾向がある。
前記 R f基の具体例を以下に挙げる。 なお以下の ί列においては、 同一分子式を
有する構造の異なる基である [構造異性の基] を含む。
C4F9 - [F (CF2) 4一、 (CF3) 2CFCF2 -、 (CF3) 3C—] 、 C 5F„― [F (CF2) 5 -、 (CF3) 3CCF2 -等] 、 C6F13 - [F (CF 2) 6—等] 、 C7F15 -、 C8H17 -、 C9F19 -、 C10F21 -、 C I (CF2 ) s_ (sは 2〜1 6の ¾数) 、 H (CF2) t— は1〜1 6の整数) 、 (C F3) 2CF (CF2) y— (yは 1〜14の整数) 等。
前記 Rf基が、 炭素—炭素結合間にエーテル性酸素原子、 またはチォエーテル 性硫黄原子が挿入された基である場合の具体例を以下に挙げる。
F (C F 2) 5OCF (CF 3) 一、 F [C F (C F 3) C F 20] r C F (CF 3) CF2CF2 -、 F [CF (CF3) C F 20] 2 C F (C F 3) 一、 F [CF (CF3) CF20] UCF2CF2 -、 F (C F 2C F 2C F 2θ) VCF2CF2 - 、 F (CF2CF20) WCF2CF2— ( rは 1〜 6の整数、 zは 1〜 5の整数 、 uは 2〜6の整数、 Vは 1〜6の整数、 wは 1〜9の整数) 等。
前記 Rf基を有する (メタ) アクリル酸エステルとしては、 下記式 (2) で表 される化合物が好ましい。 ただし、 式 (2) において、 Rf は Rf基、 Qは 2価 の有機基、 R1は水素原子またはメチル基を示す。
R^Q-OCOCR^CHa - · · (2)
式 (2) における Rf基としては、 エーテル性酸素原子またはチォエーテル性 硫黄原子を含まない Rf基が好ましく、 特に RF基が好ましい。 とりわけ、 一 ( CF2) nF (ただし、 nは 2〜20の整数) で表される基が好ましく、 nが 5〜 1 7の整数である基がより好ましく、 nが 7〜1 3の整数である基が特に好まし い。 '
式 (2) における Qとしては、 一 (CH2) p + q—、 一 (CH2) pCONH ( CH2) 。一、 一 (CH2) pOCONH (CH2) q -、 - (CH2) p S OaNR 2 (CH2) q -、 - (CH2) pNHCONH (CH2) 3―、 一 (CH2) PCH (OH) 一 (CH2) q—等が好ましい。 ただし、 R 2は水素原子またはアルキル 基を示す。 また、 pおよび qは 0以上の整数を示し、 + (¾は1〜22の整数で
1
ある。 これらのうち、 一 (CH2) p + q—、 一 (CH2) pCONH (CH2) q— 、 ― (CH2) P S〇2NR2 (CH2) q—であり、 かつ、 qが 2以上の整数であ つてかつ p + qが 2〜6である場合が好ましい。 特に、 p + qが 2 6である場 合の一 (CH2) p + q—、 すなわち、 ジメチレン基〜へキサメチレン基が好まし い。 Qと結合する R fの炭素原子には、 フッ素原子が結合しているのが好ましい 前記 R£基を有する (メタ) アクリル酸エステルの具体例としては、 以下の化 合物が挙げられる。 ただし、 以下において、 R1は水素原子またはメチル基を示 す。
F (C F
2)
F (C F
2)
6CH
2CH
2〇C〇C R
X-CH
2, H (CF
2)
H (CF
2)
8CH
20 COCR^CHa, H (C F
2)
x 0 C H
2 O C O C R
1 = C H
2 , H (C F
2)
8 CHsCH^COCR^CH^ F (C F
2)
8 C H
2 C H
2 C H
2〇 C〇 C R
1 = CH
2、 F (CF
2) !oCH^HaOCOCR^CH^ F (C F
2)
12C H
2CH
2OCOCR
x = CH
2, (C F
3)
2CF (C F
2)
4CH
2CH
2〇CO CR^CH^ (C F
3)
2 C F (C F
2)
6 C H
2 C H
2 O C〇 C R
1 = C H
2、 (CF
3)
2 C F (CF
2)
F (CF
2)
8 S 〇
2N (C
3H
7) CHsCHaOCOCR^CH^ F (CF
2)
8 (CH
2)
4 OCOCR^CHa, F (C F
2)
8 S 0
2N (CH
3) C H
2 C.H
2 O C〇 C R
1 =CH
2、 F (C F
2)
8 S〇
2N (C
2H
5) C H
2 C H
2 O C〇 C R
1 = C H
2、
F 2) 5 (CH2) sOCOCR^CH^ (C F 3) 2CF (C F 2) 5CH2C
H (OC〇CH3) OCOCRx = CH2, (C F 3) 2CF (CF 2) 5 C
H2CH (OH) CH2 OCOCRx = CH2, (C F 3) 2CF (C F2) 7 CH2 CH (OH) CH2 OC〇CR1 = CH2、 F (C F 2) 9CH2CH2
OCOCR^CH^ F (C F 2) 9 C O N H C H 2 C H 2〇 C O C R 1 = C H 2
W
前記パーフルォロアタリレートは、 R f基を有する (メタ) アクリル酸エステ ルを 2種以上含んでもよい。 R f基を有する (メタ) アクリル酸エステルを 2種 以上含む場合には、 炭素数の異なる R f基を有する (メタ) アクリル酸エステル であることが好ましい。
前記パーフルォロアタリレートは、 R f基を有する (メタ) アクリル酸エステ ルの重合単位以外の重合単位を含んでもよい。 他の重合単位としては、 エチレン 、 プロピレン、 ブタジエン、 イソプレン、 塩化ビニル、 フッ化ビニル、 塩化ビニ リデン、 フッ化ビニリデン、 クロ口プレン等のォレフィン類; スチレン、 ひ一メ チルスチレン、 4ーメチルスチレン等のスチレン類; ジァセトン (メタ) アタリ ルアミ ド、 Ν , Ν—ジメチル (メタ) アクリルアミ ド、 Ν—メチロール (メタ) アクリルアミ ド等の (メタ) アクリルアミ ド類、 ェチルビニルエーテル、 シクロ へキシルビニルエーテル、 ノ、ロゲン化アルキルビエルエーテル等のビュルエーテ ル類; ァリルグリシジルエーテル等のァリルエーテル類;酢酸ビニル等のカルボ ン酸ビュル類;酢酸ァリル等のカルボン酸ァリル類;ェチルビ二ルケトン等のビ ニルアルキルケトン類; メチル (メタ) ァクリ レート、 プチル (メタ) アタリ レ ート、 シクロへキシル (メタ) アタリ レート、 2—ェチルへキシル (メタ) ァク リ レート、 セチル (メタ) アタリ レート、 ォクタデシル (メタ) ァクリ レート等 の炭素数 1〜2 6の直鎖または分岐のアルキル基を有するアルキル (メタ) ァク リレート、 グリシジル (メタ) アタリ レート、 ベンジル (メタ) アタリ レート、 2 —ヒ ドロキシェチノレ (メタ) アタリ レート、 2 —ヒ ドロキシー 3 —クロ口プロ ピル (メタ) アタリレート、 ポリオキシアルキレンモノ (メタ) ァクリレートモ ノメチルエーテル、 ポリオキシアルキレンジ (メタ) アタリレート、 2— (ジメ チルァミノ) ェチル (メタ) アタリ レート、 ポリジメチルシロキサン基を有する (メタ) アタリ レート、 ブロックされたイソシァネート基を有する (メタ) ァク リ レート、 第 4アンモニゥム塩の基を有する (メタ) ァクリレート等の (メタ) アタリレート類; トリァリルシアヌレート、 Ν—ビュルカルバゾール、 マレイミ ド、 Ν—ァノレキノレマレイミ ド、 無水マレイン酸、 マレイン酸モノアノレキノレエステ
ル、 マレイン酸ジアルキルエステル;等に由来する重合単位が挙げられる。
前記ウレタンは、 ポリイソシァネートと分子内に活性水素原子を 2個以上有す る化合物とを反応させた化合物のイソシァネート基をプロック化剤でプロックし た構造であることが好ましい。
前記ポリイソシァネートとしては、 例えば、 以下のポリイソシァネートが好ま しく挙げられる。 4, 4 ' ージフエニルメタンジイソシァネート、 2, 4, 一ジ フエニルメタンジィソシァネート、 トリレンジィソシァネート等の芳香族ィソシ ァネート類、 トリメチレンジイソシァネート、 テトラメチレンジイソシァネート 、 ペンタメチレンジイソシァネート、 へキサメチレンジィソシァネート、 1 , 2 一プロパンジィソシァネ一ト、 1, 2ーブタンジィソシァネート、 1、リメチノレへ キサメチレンジイソシァネート、 イソホロンジイソシァネート、 4, 4 ' ージシ ク口へキシルメタンジィソシァネート、 シク口へキシレンジィソシァネート等の 脂肪族イソシァネート類または脂環族イソシァネート類、 およびそれらのイソシ ァヌレート変性体、 プレポリマー変性体、 ビュレット変性体、 ァロファネート変 性体等。 .
前記分子内に活性水素原子を 2個以上有する化合物としては、 多価アルコール または多価ァミンが好ましい。 多価アルコールとしては、 エチレングリコール、 プロピレングリコーノレ、 ブタンジォーノレ類、 ペンタンジォーノレ類、 へキサンジォ 一ノレ類、 グリセリン、 トリメチローノレプロパン、 ペンタエリスリ トーノレ、 ソノレビ トーノレ、 ネオペンチノレグリ コーノレ、 ビスフエノーノレ A、 キシリ レングリ コーノレ等 またはこれらアルコール類の変性体等が挙げられる。 多価ァミンとしては、 へキ サメチレンジァミン、 3, 3 ' —ィミノビスプロピルアミン [H2NCH2CH2 CH2NHCH2CH2CH2'NH2] 等が挙げられる。 多価アルコールは、 1種 単独で使用しても 2種以上を併用してもよい。 また、 多価アルコールは、 ポリエ ステルポリオールであってもよい。 該ポリエステルポリオールは、 多価アルコー ルと多価カルボン酸または多価カルボン酸の誘導体との反応により得られ、 エス テル結合を有する。 エステル結合を形成するための多価カルボン酸またはその誘
導体としては、 .フタル酸、 アジピン酸、 フマル酸、 ピロメリット酸、 トリメリッ ト酸、 脂肪族ジカルボン酸、 またはそれぞれの酸の誘導体等が好ましい。
前記イソシァネート基のブロック化剤としては、 アルキルケトォキシム類、 フ ェノール類、 アルコール類、 3—ジケトン類、 ラクタム類が好ましい。 特にメチ ノレエチノレケトォキシム、 £ 一力プロラタタム、 フエノーノレ、 クレゾ一ノレ、 ァセチ ノレアセ トン、 マロン酸ジェチノレ、 イソプロピノレアノレコーノレ、 t—ブチノレアノレコー ル、 マレイン酸イミ ド等が好ましい。 とりわけ、 メチルェチルケトォキシム等の ジアルキルケトォキシム類、 ε—力プロラクタム等のラタタム類等の解離温度 1 20〜: 180°Cの化合物が好ましい。
前記ウレタンとしては、 メイ力ネート MF、 B P— 1 1、 NBP_ 75、 NB P- 231 (以上、 明成化学工業社製) 、 WB— 730、 WB— 920、 XWB, - 72-Z 56 (以上に武田薬品工業社製) 、 B I— 8 (日本ポリウレタン社製 ) 等の市販の化合物を用いてもよい。
本発明の疎水化方法は、 前記ジハロゲノ トリアジン化合物を、 好ましくは水性 液にして、 繊維構造物に含浸させたのち、.第 1段階の熱処理に付し、 次いで、 6 0°C以上 (好ましくは 180°C以下) の乾熱の中で実質的に乾燥するまで、 好ま しくは、 ほぼ絶乾状態まで、 第 2段階の熱処理に付するものであり、 このとき、 前記ジハロゲノ トリアジン化合物とともに、 前記補助'剤をも併用して反応させる ことが重要である。 これにより、 架橋 '網目構造の形成が促進され、 優れた疎水 性と水系防汚性の機能を付与できるからである。 第 1段階の熱処理は、 スチーミ ング処理か、 もしくは、 30〜 60°Cでの乾熱処理によることが好ましい。
前記繊維に、 ジハロゲノ トリアジン化合物を反応させることと、 補助剤を反応 させることとは、 同時に行ってもよいし別々に行ってもよいが、 別々に行う場合 には、 先にジハロゲノ トリアジン化合物を反応させることが重要である。 詳しく は、 ジハロゲノ トリアジン化合物と補助剤を同時に反応させる場合には、 両者を 、 好ましくは水性液として、 前記繊維に含浸させたのち、 第 1段階の熱処理に付 することで両者を反応させるようにすればよい。 ジハロゲン トリアジン化合物と
捕助剤を別々に反応させる場合には、 まず、 ジハロゲノ トリアジン化合物を前記 繊維に含浸させたのち、 第 1段階の熱処理に付することでジハロゲノ トリァジン 化合物を反応させ、 該第 1段階の熱処理を終了した時点で補助剤を含浸させて、 第 2段階の熱処理で補助剤を反応させるようにすればよ 1、。
ジハロゲノ トリアジン化合物および補助剤を繊維と反応させる条件は、 特に制 限されないが、 例えば、 反応染料や酸性染料 (例えばジクロルトリアジン系反応 性染料) の場合とよく似た条件で加工できる。 それによつて、 薬剤使用量の削減 と省エネルギーならびに排水の削減を達成し、 経済性ならびに環境適応性を著し く改善することができる。 詳しくは、 例えば、 ジハロゲノ トリアジン化合物や補 助剤の水溶液 (以下、 「薬剤」 と称することもある) に繊維を含浸させ、 ドライ キュアする方法を用いればよい。 概要を説明すると、 薬剤を目的に応じて、 それ ぞれ 0 . 5〜1 0 % (純分 o . w . s ) 使用し、 無水炭酸ソーダ、 重炭酸ソーダ 、 苛性ソーダ等を 1〜3 0 % ( 0 . w . s ) 用いてアルカリ浴に調合するか、 あ るいは、 酢酸、 氷酢酸、 リンゴ酸、 クェン酸等を 0 . l〜5 % ( o . w . s )用い て酸性浴に調合する。 薬剤を混合する時は、 薬剤の温度を 3 0 °C以下で行うよう に注意する。 3 0 °C以上になるとジハロゲノ トリアジン化合物の凝集が著しく、 繊維素材に均一に含浸をさせることが困難になるためである。 次いで、 調液温度 に注意しながら混合した浴液に前記繊維を含浸し、 パディングによって絞り率 2 0〜3 0 0 %で薬剤を付与した繊維をパデイングした後、 あるいは湿状のまま、 第 1段階の熱処理に付し、 次いで、 実質的に乾燥するまで第 2段階の熱処理に付 するようにすればよい。 第 1段階の熱処理の温度 (一次処理温度) は、 3 0〜 6 0 °Cとすることが好ましい。 特に、 天然繊維を対象とする場合には、 この条件が 最適である。 第 1段階の熱処理の加熱処理時間は数分から 6 0分間とすることが 好ましい。 他方、 第 2段階の熱処理は、 6 0 °C以上 (好ましくは 1 8 0 °C以下) の乾熱の中で実質的に乾燥するまで行うようにし、 具体的には、 例えば、 乾熱処 理時間は 2 0秒から 2 0分間とすることが好ましい。 なお、 薬剤のパディング回 数は、 ジハログノ トリアジン化合物と補助剤の混合水溶液の場合、 それぞれの単
6
独水溶液の場合ともに、 1回に留まらず数回パッドドライを繰り返すと良い結果 を生む場合がある。
本発明においては、 前記含浸後、 第 1段階の熱処理をスチーミング処理で行う 場合、 減圧およぴ加圧を実施することにより、 前記繊維内部にまで前記水性液を 含浸させることが好ましい。 これにより、 薬剤を半ば強制的に繊維素材内部にま で含浸させることができ、 安価なジクロルトリアジン化合物を用い、 補助剤の使 用量を増加することなく、 効率よく繊維の疎水化と、 水系防汚性の機能を賦与で きる。 減圧および加圧を行う場合、 詳しくは、 前述したように薬剤に繊維を含浸 させ、 スチーミングした後に、 減圧および加圧を実施すればよい。
なお、 ジハロゲノ トリアジン化合物および補助剤を、 水溶液などの形で、 繊維 と反応させる際の加工条件は、 繊維の種類ならびに加工目的等に応じて、 前述の 条件に制約されることなく、 例えば、 加工効果をより強くするために薬剤の便甩 量を増加させたり、 加工条件を強化する (過酷にす-る) など、 自由に変化させる ことができる。
本発明の疎水化方法においては、 さらに、 撥水剤を付与する撥水処理をも施す ことが好ましい。 撥水剤を付与することにより、 繊維構造体は、 防縮性に優れ、 撥水剤の洗濯耐久性に優れ、 また、 水に濡れた後、 乾燥させてもごわつきによる 風合いの悪化を発生し難い、 特に、 撥水剤が低下した後であってもごわつきによ る風合いの悪化が発生し難い布帛を提供することができる。
撥水剤としては、 フッ素系、 シリコン系、 パラフィン系などの公知の撥水剤を 用いることができるが、 好ましくはフッ素系の撥水剤がよい。 また、 これらの撥 水剤は水系、 溶剤系いずれであっても用いることができるが、 環境面からは水系 撥水剤がよい。 フッ素系の水系撥水剤としては、 具体的には、 大曰本インキ化学 工業株式会社の商標 「デックガード F _ 7 0」 、 旭硝子株式会社の商標 「アサヒ ガード A G 7 1 0」 、 「アサヒガード A G 7 1 0 5」 、 「アサヒガード A G 7 6 0 0」 、 「G S 1 0」 、 「G S 7 0」 、 日華化学株式会社の商標 「N Kガード N D N— 7」 で販売されている水系の撥水剤などが挙げられる。 これら市販されて
いる水系撥水剤の商品中の撥水剤成分の量は 1 0 %〜3 0 %程度のものが多い。 撥水剤の付与量は、 特に限定されないが、 繊維構造体に対し 0 . 1 %〜 1 0 % 程度とするとよい。 撥水処理の処理方法については、 特に制限はなく、 従来公知 の方法を採用すればよい。
本発明の疎水化方法においては、 さらに、 必要に応じて、 例えば、 染料、 架橋 剤、 架橋促進剤、 柔軟剤、,紫外線吸収剤、 消臭剤、 S R剤、 抗菌剤、 帯電防止剤 等各種繊維用薬剤 ·仕上げ剤等を付与してもよい。 実施例
以下に、 実施例によって本発 ¾をより具体的に説明するが、'本発明はこれちに 限定されるものではない。
〔実施例 1一 1〕
水 7 2 k g、 2 , 6—ジクロル一 4—ォキシ一 S—トリアジン Na塩 1 0 %水 溶液 2 6 k g , 無水炭酸ソーダ 2 7 0 0 gに補助剤としてパーフルォロアルキレ ート 6 0 0 gを室温でよく混合し共存させた加工液に、 リヨセル 1 0ひ%スムー ス地を含浸させた。 その後、 ドラムに巻き取りスチーミング機内において湿熱で 加圧を実施して、 第 1次の熱処理 5 0 °Cで 2 0分間加熱を実施、 その後、 乾熱の 乾燥機内で 2気圧に加圧して、 1 2 0 °Cに温度を保ちながら 6 0分間乾熱処理し · て乾燥させた。 J I S L 1 9 0 7繊維製品の吸水性試験(吸水速度 ·滴下法)を 実施した。 その測定した結果を表 1に示す。
〔比較例 1— 1〕
実施例 1— 1で使用したものと同じリヨセル 1 0 0 %スムース地を、 水溶性ジ ハロゲノ トリアジン化合物のみで実施例 1一 1と同様の加工処理をした。 このよ うにして得られた布帛を実施例 1一 1と同様に測定した結果を表 1に示す。
表 1】
〔実施例 1一 2〕
水 1 6 2 k g、 2 , 6—ジクロノレー 4— ( 4一力ノレボキシフエノキシ)一 S—ト リアジン 1 0 %水溶液 1 8 k g、 補助剤パーフルォロアルキレート 1 5 0 0 g、 重炭酸ソーダ 1 8 0 0 gを室温でよく混合し、 共存させた水溶液に綿 1 0 0 %ポ プリンを含浸させた。 その布をドラムに巻き取り、 スチーミング機内において湿 熱で減圧処理、 加圧処理を 2度繰り返し第一次の熱処理に付した。 その後ノンタ ツチ乾燥機のドライ温度を 1 2 0 °Cに設定して 1 O m/分の速度で 3分間加熱し た。 この様にして得られた綿 1 0 0 %天竺を測定した。 その結果を表 2に示す。
〔比較例 1一 2〕
実施例 1一 2で使用したものと同じ布帛を、 水溶性ジハロゲノ トリアジン化合 物のみで実施例 1 _ 2と同様の加工処理をした。 このようにして得られた布帛を 実施例 1一 2と同様に測定した結果を表 2に示す。
表 2
0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165 180 195 210 225
" 経過時間 (分) 試験測定条件
試験布を 40 c mX 40 c m (約 40 g ) カットし、 精秤する。 次に全自動洗濯機に て洗濯 (J I S L 0 2 1 7 1 03法準拠) 。 その後、 一枚の布に拡げた状態で平干 しし、 一定時間ごとに重量を測定し、 残留水分率を算出した。 (測定条件:.20°CX 6 8%RH)
〔実施例 1一 3〕
水 252 k g、 2, 6—ジクロル一 4一 ( 4—カルボキシフエノキシ) 一 S— トリアジン 10 %水溶液 18 k g、 重炭酸ソーダ 2500 g、 シリコーンソフナ -2 k gを室温でよく混合し共存させた水溶液に、 綿 100 %ポプリンを含浸さ
せた。 その布をドラムに巻き取り、 スチ一ミング機内において湿熱で減圧処理、 加圧処理を 2回繰り返し第一次の熱処理に付した。 その後、 1 0 0。 Cに設定さ れたオープンソーパにて毎分 7 mの速度にて乾燥を 6分間実施。 さらに 1 6' 0。C のテンターで 3 0秒間熱処理を行い、 その後柔軟加工を実施した。 この様にして 得られた綿 1 0 0 %ポプリンの評価を行った結果を表 3に示す。
〔比較例 1一 3〕
実施例 1一 3で使用したものと同じ布帛を水溶性ジハロゲノ トリアジン化合物 のみを使用し、 実施例 1一 3と同様の加工処理をした。 このようにして得られた 布帛を実施例 1一 3と同様に測定した結果を表 3に示す。
【表 3】
実施例 1一 1と比較例 1一 1からわかるように、 本発明では、 疎水性が向上し ている良好な結果が得られた。 また、 実施例 1—2と比較例 1—2からわかるよ うに、 本発明では速乾性が向上している良好な結果が得られた。 また、 実施例 1 一 3と比較例 1一 3からわかるように、 本発明では、 防汚性能が向上し良好な結 果が得られた。
〔実施例 2— 1〕
水 7 2 k g、 2, 6—ジクロル一 4一ォキシ一 S—トリアジン Na塩 1 0 %水 溶液 2 6 k g、 酢酸(4 8 %濃度) 2 0 0 gに補助剤としてパーフルォロアルキレ
ート 6 0 0 gを室温でよ.く混合し共存させた加工液に、 反応染色を実施したコー ン状に巻き取ったシルク 2 1 / 6本の双糸を含浸させた。 その後、 真空セット機 内に蒸気を入れて減圧処理を実施、 その後、 加圧を実施して 4 0 °Cの湿熱にて 2 0分間加熱を実施、 その後、 乾熱の乾燥機内で 2気圧に加圧して、 1 2 0 °Cに温 度を保ちながら 6 0分間乾熱処理して乾燥させた。 この糸を天笠に製編して、 京 都府織物機械金属振興センターにて J I S L 1 9 0 7繊維製品の吸水性試験( 吸水速度 ·滴下法)を実施した。 その測定した結果を表 4に示す。
〔比較例 2— 1〕
実施例 2— 1で使用したものと同じ天笠を、 水溶性ジハロゲノ トリアジン化合 物のみで実施例 2— 1と同様の加工処理をした。 このようにして得られた布帛を 実施例 2— 1と同様に測定した結果を表 4に示す。
【表 4】
水 1 6 2 k g、 2 , 6—ジクロノレー 4— ( 4一カルボキシフエノキシ)一 S—ト リァジン 1 0 %水溶液 1 8 k g、 補助剤としてパーフルォロアルキレート 1 5 0 0 g、 酢酸 2 0 0 gを室温でよく混合し、 共存させた水溶液にナイロンタフタ布 を含浸させた。 その布をドラムに卷き取り、 スチーミング機内において湿熱で減 圧処理、 加圧処理を 2度繰り返し第一次の熱処理に付した。 その後ノンタツチ乾 燥機のドライ温度を 1 2 0 °Cに設定して 1 O mZ分の速度で 3分間加熱した。 こ
の様にして得られたナイロンタフタ布を、 J I S L 1 0 9 2雨試験(シャワー 試験) A法で撥水度を測定した。 その結果を表 5に示す。
〔比較例 2— 2〕
実施例 2— 2で使用したものと同じ布帛を、 水溶性ジハロゲノ トリアジン化合 物のみで実施例 2— 2と同様の加工処理をした。 このようにして得られた布帛を 実施例 2— 2と同様に測定した結果を表 5に示す。
【表 5】
水 2 5 2 k g、 2, 6—ジクロル一 4一 ( 4一カルボキシフエノキシ) 一 S— トリアジン 1 0 %水溶液 1 8 k g、 リンゴ酸 4 0 0 g、 シリコーンソフナ一 2 k gを室温でよく混合した加工液を共存させ、 ウーノレ 1 0 0 %ポプ,リンを含浸させ た。 その布をドラムに卷き取り、 スチーミング機内において湿熱で減圧処理、 加 圧処理を 2回繰り返し第一次の熱処理に付した。 その後、 1 0 0 ° Cに設定され たオープンソーパにて毎分 7 mの速度にて乾燥を 6分間実施。 さらに 1 2 0。Cの テンターで 3 0秒間熱処理を行い、 その後柔軟加工を実施した。 この様にして得 られたウール 1 0 0 %ポプリンの評価を行った結果を表 6に示す。
〔比較例 2— 3〕
実施例 2— 3で使用したものと同じ布帛を水溶性ジハロゲノ トリアジン化合物
W
のみを使用し、 実施例 2— 3と同様の加工処理をした。 このようにして得られた 布帛を実施例 2— 3と同様に測定した結果を表 6に示す。
【表 6】
' 実施例 2— 1と比較例 2— 1からわかるように、 本発明では、 疎水性が向上し ている良好な結果が得られた。 また、 実施例 2— 2と比較例 2— 2からわかるよ うに、 本発明では撥水性が向上している良好な結果が得られた。 また、 実施例 2 一 3と比較例 2— 3からわかるように、 本発明では、 防汚性能が向上し良好な結 果が得られた。
〔実施例 3— 1〕
水 7 2 k g、 2 , 6—ジクロル一 4一 (3—カルボキシァリニノ) 一S—トリ ァジン 1 0 %水溶液 2 6 k g , 酢酸(4 8 %濃度) 2 0 0 gに補助剤としてパーフ ルォロアルキレート 6 0 0 gを室温でよく混合した加工液にシルク、 デシンを浸 漬し、 マンダルで均一に絞った後、 6 0 °Cに保持されている乾燥機内で 2 0分間 加熱する。 その後 1 3 0 Cまで昇温されたテンター機械で 5分間乾燥し、 その後 8 5 °Cの湯温の中でソービング乾燥仕上げした。 このようにして得られたシルク 、 デシンを京都府織物機械金属振興センターにて J I S L 1 9 0 7繊維製品の 吸水性試験(吸水速度 ·滴下法)を実施した結果を表 7に示す。
〔比較例 3— 1〕
実施例 3— 1で使用したものと同じ布帛を、 水溶性ジハロゲノ トリアジン化合 物のみで実施例 3— 1と同様の加工処理をした。 このようにして得られた布帛を 実施例 3— 1と同様に測定した結果を表 7に示す。
【表 7】
〔実施例 3— 2〕
水 1 6 2 k g、 2, 6—ジクロル一 4— ( 4—カルボキシフエノキシ)一 S— ト リアジン 1 0 %水溶液 1 8 k g、 重炭酸ソーダ 4 5 0 0 gを室温でよく混合し、 マングルで均一に絞った綿、 ニット、 スムース地をノンタツチ乾燥機のドライ温 度を 6 0 ° Cに設定し 1 0 m/分の速度で 3分間加熱した。 その後、 水 1 3 . 8 k g、 パーフルォロアルキレート 6 k g、 酢酸 2 0 0 gを室温でよく混合しマン ダルで均一に絞った後、' 1 2 0 ° Cの温度に設定された温風乾燥機内において 5 分間乾燥するまで処理をした。 次に 1 8 0 °Cに設定されたテンターで 3 0秒間セ ットした。 このようにして得られた綿、 ニット、 スムース地の速乾性を測定した その結果を表 8に示す。
〔比較例 3— 2〕
実施例 3— 2で使用したものと同じ布帛を、 水溶性ジハロゲノ トリアジン化合 物のみで実施例 3— 2と同様の加工処理をした。 このようにして得られた布帛を
— 2と同様に測定した結果を表 8に示す。
】
90 105 120 135 150 165 180 195 210 225
経過時問 (分) · .
試験測定条件
試験布を 4 0 c mX 40 c m (約 40 g ) カットし、 精秤する。 次に全自動洗濯機に て洗濯 ( J I S L 0 2 1 7 1 0 3法準拠) 。 その後、 一枚の布に拡げた状態で平干 しし、 一定時間ごとに重量を測定し、 残留水分率を算出した。 (測定条件: 2 0°CX 6 8 %RH)
〔実施例 3 _ 3〕
水 2 5 2 k g、 2 , 6—ジクロル一 4一 ( 4一カルボキシフエノキシ) 一 S— トリアジン 1 0 %水溶液 1 8 k g、 リンゴ酸 4 0 0 g、 シリコーンソフナ一 2 k gを室温でよく混合した加工液を第一次浴槽内に仕込み、 マングルで均一に絞つ たウール 1 0 0 %ポプリンをオープンソーパ機械で加工した。 このオープンソー パ機械にて 6 0 °Cの第一次の乾燥処理を 3分間実施。 その後、 1 3 0 ° Cに設定 されたシュリンク乾燥機にて毎分 7 mの速度にて乾燥を 6分間実施。 さらに 1 6 0 °Cのテンターで 3 0秒間熱処理を行い、 その後柔軟加工を実施した。 この様に して得られたウール 1 0 0 %ポプリンの評価を行った結果を表 9に示す。
〔比較例 3— 3〕
実施例 3— 3で使用したものと同じ布帛を水溶性ジハロゲノ トリアジン化合物 のみを使用し、 実施例 3— 3と同様の加工処理をした。 このようにして得られた 布帛を実施例 3— 3と同様に測定した結果を表 9に示す。
【表 9】
実施例 3— 1と比較例 3— 1からわかるように、 本発明では、 疎水性が向上し ている良好な結果が得られた。 また、 実施例 3— 2と比較例 3— 2からわかるよ うに、 本発明では速乾性が向上している良好な結果が得られた。 また、 実施例 3 一 3と比較例 3— 3からわかるように、 本発明では、 水系防汚性能が向上し良好 な結果が得られた。 さらに、 実施例 3— 1、 3— 2、 3— 3、 および比較例 3— 1、 3 _ 2、 3 - 3で得られた繊維構造物を海水の上に浮かせてみたところ、 実 施例では 3週間浮いたままであつたのに対して、 比較例では数秒間から数分間で
含水をして沈んでしまったことから、 実施例の繊維構造物は濡れ難い疎水性の布 帛であり、 含浸し難レ、速乾性の素材であると言える。
以上の実施例、 比較例から、 本発明にかかる疎水化を行うことにより、 疎水性 、 水系防汚性を向上させることができ、 しかも非常に耐久性にも優れることが明 らかである。 産業上の利用可能性
本発明にかかる繊維構造物の疎水化方法は、 天然繊維、 再生繊維およびナイ口 ン繊維から選ばれる少なくとも 1種の繊維を疎水化するに際し、 ホルマリン等の 有害な薬剤を使用することなく安全で環境適合性に優れた安価な薬剤を用いるも のであること、 樹脂加工による莫大なエネルギーを使用することなく二酸化炭素 や窒素酸化物の削減にも'寄与し、 熱による作業環境の悪化も防ぎ、 新規の設備を 設置することなく遊休設備を活用できる等優れた経済性を実現しうるものである こと、 から、 得られた繊維構造物は、 従来制約が多かった衣料分野のみならず産 業資材等の分野にも用途を一層拡大できる。 すなわち、 雨衣、 帽子、 下着、 傘、 エプロンなどの作業着、 魚網、 スポーツ被服類などに使用することができるもの となる。 さらに、 水系防汚性の向上は、 洗濯を容易にすることに繋がり、 洗剤の 排水による環境汚染も軽減することができ、 速乾性は、 乾燥時間の短縮における ; ネルギー削減に大いに寄与できる。 特に、 限りある化石原料を元に生産される 合成繊維は生分解が難しいが、 天然素材は生分解が可能であり実質的に価値が高 レ、。 よって、 本発明の繊維構造物の疎水化方法は、 我々の健康問題や地球規模の 環境問題、 エネルギー削減に大いに貢献するものである。