JP2006207060A - 撥水撥油性布帛およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 繊維布帛に、フッ素系撥水剤と非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤を付与してなる撥水撥油性布帛。繊維布帛に、フッ素系撥水剤と非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤を含む処理液を付与した後、60〜200℃の温度で熱処理を行うことにより製造される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、また、繊維布帛に、フッ素系撥水剤と非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤を含む処理液を付与した後、60〜200℃の温度で熱処理を行うことを特徴とする撥水撥油性布帛の製造方法を提供する。
1. 繊維布帛に、フッ素系撥水剤と非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤を付与してなる撥水撥油性布帛。
2. フッ素系撥水剤がN−メチロール基を含有しないモノマーのみからなる、上記1に記載の撥水撥油性布帛。
3. 非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤が脂肪族系イソシアネート化合物からなる、上記1または2に記載の撥水撥油性布帛。
4. 脂肪族系イソシアネート化合物が親水性成分を含有する化合物である、上記3に記載の撥水撥油性布帛。
6. ポリエーテル系化合物の単位がポリエチレングリコール基および/またはポリプロピレングリコール基である、上記5に記載の撥水撥油性布帛。
7. JIS L1041遊離ホルムアルデヒド試験アセチルアセトン法A法に準じて測定した遊離ホルマリン量が、吸光度の差(A−A0)として0.05以下である、上記1〜6のいずれかに記載の撥水撥油性布帛。
9. JIS L0855(強試験)に従う窒素酸化物に対する染色堅牢度が、4級以上である、上記1〜8のいずれかに記載の撥水撥油性布帛。
11. 繊維布帛に、フッ素系撥水剤と非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤を含む処理液を付与した後、60〜200℃の温度で熱処理を行うことを特徴とする撥水撥油性布帛の製造方法。
本発明では、このような公知のフッ素系撥水剤と非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤とを併用するため、公知の撥水剤を用いた場合においても、洗濯耐久性の優れた撥水撥油性を有するとともに、NOxガス黄変を防ぎ、かつ、得られた撥水撥油性布帛からのホルマリンの発生を抑制することができる。
具体的な商品名としては、アサヒガードAG970、AG6030(旭硝子(株)製)、ディクガードFS−1(大日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。
非ブロックタイプとは、イソシアネート基をオキシム類、フェノール類、エノール類等の活性水素化合物と反応させて常温では不活性にしたブロックイソシアネートではないものをいう。すなわち、非ブロックタイプとは、末端のイソシアネート基がブロックされていないタイプのものである。
本発明に用いる非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤は、NOx黄変を防止する観点から脂肪族系化合物であるのが好ましい。
しかしながら、本発明においては、非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート架橋剤を撥水加工に用いることにより、撥水撥油性布帛からのホルマリンの発生を抑え、NOxガスによる黄変を防止し、洗濯に対する耐久性にすぐれた撥水撥油性布帛を提供することが可能になったのである。
また、非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤の繊維布帛への付着量は、繊維布帛の質量に対し0.05〜1.0質量%が好ましく、0.15〜0.45質量%が特に好ましい。付着量が0.05%未満では、耐久性が得られにくくなることがあり、付着量が1.0%を超えると風合いが粗硬となることがある。
JIS L1041遊離ホルムアルデヒド試験アセチルアセトン法A法にて測定した吸光度の差(A−A0)が0.05以下であれば、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(法律第112号)の生後24ヶ月以下の乳幼児用の繊維製品の規制をクリアすることができる。
この方法は、試験布の量をJIS L1041遊離ホルムアルデヒド試験アセチルアセトン法A法に規定されている質量の10倍の25gの布帛を用い、その他はB法に準じた方法にて遊離ホルマリン濃度の測定を行うものである。このJIS L1042A法は、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」のなかで、24ヶ月以下の乳幼児以外の肌着等の繊維製品からのホルムアルデヒドの遊離量を測定する際に用いられる方法であり、B法に比べて試験布の質量を2.5倍にして吸光度の差を求めるものがA法であるが、さらに、本発明では、A法の試験布の10倍の質量の布帛を用いて遊離ホルマリン量の測定を行っている。したがって、この方法により行った試験では、ホルマリン濃度の検出限界値である吸光度差0.05に対応するホルマリン濃度は1.6ppm(試験布1g当り)となる。
また、JIS L0217 103法に従う洗濯20回後のJIS L1092(スプレー試験)での撥水度が3級以上であり、かつ、AATCC Test Method 118−1997での撥油性が2級以上であるのがよい。
上記の繊維布帛に対し、フッ素系撥水剤と非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤を含む処理液を付与した後、60〜200℃の温度で熱処理を行うことにより本発明の撥水撥油性布帛を得ることができる。
ここで、繊維布帛は、精練、染色、捺染等の加工が施されたものであってもよく、また、帯電防止加工や柔軟加工、抗菌加工、消臭加工を施したもの、ウレタン樹脂やアクリル樹脂から得られる多孔質膜、無孔質膜やポリテトラフルオロエチレン膜またはこれらを組み合わせた透湿性防水膜を付与した防水加工布帛などであってもよい。
これらの処理液においては、フッ素系撥水剤および非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤以外に、ホルマリンが発生しにくく、NOxガス黄変がしにくい薬剤を任意に併用してもよいことは勿論である。例えば、そのようなフッ素系撥油SR剤を併用することにより、洗濯耐久性のある撥水撥油SR加工が可能である。一般には、フッ素系撥油SR剤は親水性成分量が多いため、撥水性能をほとんど有さないが、本発明に用いることにより優れた撥水撥油性能を有し、ホルマリンの発生を抑え、NOx黄変を抑えた撥水撥油SR布帛が得られる。
また、制電性を付与するための帯電防止剤、風合い調整のための柔軟剤、紫外線遮蔽加工のための紫外線吸収剤、処理液安定性の向上のための界面活性剤、抗菌性付与のための抗菌剤、架橋用の触媒等の併用可能である。
また、処理液を付与した後、60〜200℃の温度で熱処理を行うのであるが、熱処理はホットシリンダーを用いるか、またはスチーマー、ノンタッチ型乾燥機、ネットドライヤー、ピンテンターなどの公知の熱処理装置を用いて行うことができる。また、熱処理は複数回行ってもよい。
(1)撥水性評価方法:JIS L1092(スプレー試験)に準じて行った。
(2)撥油性評価方法:AATCC Test Method 118−1997に準じて行った。
(3)洗濯:JIS L0217 103法に準じて行い、乾燥にはつり干しを行い、その後のドライアイロン仕上げは行っていない。
(5)ホルマリン濃度測定方法2:JIS L1041遊離ホルムアルデヒド試験アセチルアセトン法に規定の試験布をA法に規定されている質量の10倍の25gの量で用い、他はB法に準じて、遊離ホルマリン濃度の測定を行った。
この測定方法において、吸光度差の検出限界は0.05であり、0.05に対応するホルマリン濃度は1.6ppmとなる。したがって、1.6ppm(試験布1g当り)が検出限界となる。
(6)NOxガス黄変試験:JIS L0855(強試験)に準じて行った。
(7)透湿度測定:JIS L1099(A−1)法に準じて行った。ただし、単位は24時間あたりに換算した。
(8)耐水度測定:JIS L1092 静水圧法 A法に準じて行った。
ポリエステルツイル(タテ密度78本/2.54cm、ヨコ密度72本/2.54cm、目付け104g/m2)を精練加工した後の白生地を繊維布帛として用い、繊維布帛を下記処理液に浸漬した後、マングルにて絞り、熱風オーブンにて120℃で熱処理後、さらに170℃で1分間熱処理を行い、撥水撥油性布帛を得た。
処理液
アサヒガードAG970(フッ素系撥水剤:旭硝子(株)製 固形分18%) 6%
(N−メチロール基を含有しないモノマーのみから構成)
NKアシストIS−80D(日華化学(株)製 固形分80%) 0.4%
(非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤、ポリエチレングリコール基含有)
水 93.7%
得られた撥水撥油性布帛へのフッ素系撥水剤の付着量は、繊維布帛質量に対し0.96%、非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤の付着量は0.24%であった。
得られた撥水撥油性布帛の性能を表1に示す。
処理液として下記を用いた以外は実施例1と同様にし、撥水撥油性布帛を得た。得られた撥水撥油性布帛の性能を表1に示す。
処理液
アサヒガードAG7000(フッ素系撥水剤:旭硝子(株)製 固形分20%) 6%
(N−メチロール基を含有するモノマーを含むモノマーから構成)
スミテックスレジンM3(メラミン架橋剤:住友化学工業(株)製 固形分80%)
0.3%
スミテックスアクセローターACX(反応触媒:住友化学工業(株)製) 0.1%
水 93.6%
ナイロンツイル(タテ密度210本/2.54cm、ヨコ密度154本/2.54cm、目付け86g/m2)を精練加工した後の白生地を繊維布帛として用い、繊維布帛を下記処理液に浸漬した後、マングルにて絞り、熱風オーブンにて120℃で熱処理後、さらに160℃で1分間熱処理を行い、撥水撥油性布帛を得た。
処理液
ディックガードFS−1(フッ素系撥水剤:大日本インキ化学工業(株)製 固形分20%) 8%
(N−メチロール基を含有しないモノマーのみから構成)
タケネートWD720(武田薬品工業(株)製) 0.4%
(非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤、ポリエチレングリコール基含有)
水 93.7%
得られた撥水撥油性布帛へのフッ素系撥水剤の付着量は、繊維布帛質量に対し、1.3%、非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤の付着量は0.32%であった。
得られた撥水撥油性布帛の性能を表2に示す。
ウレタン樹脂溶液
クリスボン8006(ウレタン樹脂:大日本インキ化学工業(株)製) 100質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 40質量部
バーノックBL50(脂肪族ブロックイソシアネート架橋剤:大日本インキ化学工業(株)製) 5質量部
処理液として下記を用いた以外は実施例2と同様にし、撥水撥油性布帛を得た。得られた透湿防水性を有する撥水撥油性布帛の性能を表2に示す。
処理液
ディックガードF90NX(フッ素系撥水剤:大日本インキ化学工業(株)製 固形分20%) 6%
(N−メチロール基を含有するモノマーを含むモノマーから構成)
エラストロンBN69(芳香族ブロックイソシアネート架橋剤:第一工業製薬(株)製 固形分40%) 0.6%
水 93.4%
綿ツイル(タテ密度100本/2.54cm、ヨコ密度94本/2.54cm、目付け160g/m2)を精練加工した後の白生地を繊維布帛として用い、繊維布帛を下記処理液に浸漬した後、マングルにて絞り、熱風オーブンにて120℃で熱処理後、さらに170℃で1分間熱処理を行い、撥水撥油性布帛を得た。
処理液
アサヒガードAG6030(フッ素系撥水剤:旭硝子(株)製 固形分15%)10%
(N−メチロール基を含有しないモノマーのみから構成)
NKアシストIS−80D(日華化学(株)製 固形分80%) 0.5%
(非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤、ポリエチレングリコール基含有)
水 89.5%
得られた撥水撥油性布帛へのフッ素系撥水剤の付着量は、繊維布帛質量に対し、1.1%、非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤の付着量は0.28%であった。
得られた撥水撥油性布帛の性能を表3に示す。
処理液として下記を用いた以外は実施例3と同様にし、撥水撥油性布帛を得た。得られた撥水撥油性布帛の性能を表3に示す。
処理液
アサヒガードAG6030(フッ素系撥水剤:大日本インキ化学工業(株)製)10%
(N−メチロール基を含有しないモノマーのみから構成)
エラストロンBN11 0.6%
(脂肪族ブロックイソシアネート架橋剤:第一工業製薬(株)製 固形分34%)
水 89.4%
なお、上記実施例では、NOxガス黄変に対する染料の影響を受けないように白生地にてNOxガス性を評価したが、染料がNOxガス黄変するためNOxガス黄変が発生する撥水撥油性布帛が本発明に含まれることはいうまでもないことであり、染料が原因であるNOx黄変であってもNOxガス黄変性は3級以上であるのが好ましく、より好ましくは4級以上である。
Claims (11)
- 繊維布帛に、フッ素系撥水剤と非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤を付与してなる撥水撥油性布帛。
- フッ素系撥水剤がN−メチロール基を含有しないモノマーのみからなる、請求項1に記載の撥水撥油性布帛。
- 非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤が脂肪族系イソシアネート化合物からなる、請求項1または2に記載の撥水撥油性布帛。
- 脂肪族系イソシアネート化合物が親水性成分を含有する化合物である、請求項3に記載の撥水撥油性布帛。
- 非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤に含有される親水性成分が、ポリエーテル系化合物の単位を含む、請求項4に記載の撥水撥油性布帛。
- ポリエーテル系化合物の単位がポリエチレングリコール基および/またはポリプロピレングリコール基である、請求項5に記載の撥水撥油性布帛。
- JIS L1041遊離ホルムアルデヒド試験アセチルアセトン法A法に準じて測定した遊離ホルマリン量が、吸光度の差(A−A0)として0.05以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の撥水撥油性布帛。
- JIS L1041遊離ホルムアルデヒド試験アセチルアセトン法A法における布帛質量の10倍の質量の試験布を用い、JIS L1041B法に準じて測定した遊離ホルマリン量が、1.6ppm以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の撥水撥油性布帛。
- JIS L0855(強試験)に従う窒素酸化物に対する染色堅牢度が、4級以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の撥水撥油性布帛。
- JIS L0217 103法に従う洗濯20回後のJIS L1092(スプレー試験)による撥水度が3級以上であり、かつ、AATCC Test Method 118−1997による撥油性が2級以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の撥水撥油性布帛。
- 繊維布帛に、フッ素系撥水剤と非ブロックタイプの水分散型ポリイソシアネート系架橋剤を含む処理液を付与した後、60〜200℃の温度で熱処理を行うことを特徴とする撥水撥油性布帛の製造方法。
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