JP4622530B2 - 花粉付着防止繊維構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、従来から両立が困難であった耐久性のある制電性と撥水性を両立し、且つ防汚性、花粉付着防止性という機能をも有する、優れた繊維構造物に関するものである。
繊維布帛に、縫製時はもとより衣服として着用した場合に求められる必須機能として制電性がある。かかる衣服がコート、ブルゾンなどの外衣であった場合には、雨や雪等により衣服が濡れる可能性があり、更に撥水性や防汚性という機能が要求される。また、これらの外衣は春先に着用されることが多く、ここ数年の花粉症患者の増加により花粉付着性能までもが要求されている。
しかしながら、繊維を親水化することによって得られる制電性や洗濯により汚れが落ちやすいといった性能と、繊維を疎水化することによって得られる撥水性や汚れが付きにくいという性能の両者を同時に満足することは非常に難しく、またかかる性能の他にさらに耐久性をもたせることは非常に困難である。その上に、さらに花粉付着防止性能をも併せ持つ繊維構造物を得ることはより一層困難であった。
繊維構造物の制電、撥水加工法としては、繊維布帛表面にポリエーテルエステル樹脂層を形成した後、カチオン系あるいはアニオン系制電防止剤を含むフッ素系撥水剤皮膜層を形成する方法(特許文献1参照)、染色した繊維布帛に第1工程で親水性樹脂を付与、第2工程で親水基を有する撥水撥油樹脂を付与する製造方法(特許文献2参照)や繊維布帛表面がポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の末端あるいは主鎖の側鎖に2個以上のアクリルやメタクリル基を有する皮膜で覆われ、かつフルオロアルキル基含有アクリル共重合体を有し、さらにアミノプラスト樹脂および多官能ブロックイソシアネート含有ウレタン樹脂の反応物のうち少なくともいずれかを有する撥水制電布帛(特許文献3参照)等が知られている。
また、花粉付着防止については、繊維布帛の表面摩擦係数や表面粗さを規定し、花粉が付きにくく、かつ、落ちやすい繊維構造物(特許文献4参照)や 繊維構造物に花粉付着防止機能を賦与するために、繊維構造物生地をコロイダルシリカ類の微粒子を含有する加工剤で処理し、該生地の表面にコロイダルシリカ類の微粒子を均一に付着させる加工方法(特許文献5参照)などが提案されている。
しかしながら、制電防止剤を含むフッ素系撥水剤皮膜層を形成する方法においては撥水撥油樹脂層に制電防止剤が含まれているため、十分な撥水性能を得にくいという問題があった。また、第1工程で親水性樹脂を付与、第2工程で親水基を有する撥水撥油樹脂を付与する方法やポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の末端あるいは主鎖の側鎖に2個以上のアクリルやメタクリル基を有する皮膜で覆われ、かつフルオロアルキル基含有アクリル共重合体が固着されたものについては、親水性被膜の耐久性が十分でない上に、親水性被膜と撥水性樹脂被膜との接着性が悪く、耐久性を得ることは難しいものであった。
また、花粉付着防止として提案されている高密度の長繊維織物を弗素系撥水剤で処理し、繊維布帛の表面摩擦係数や表面粗さを規定したものについては、布帛表面を平滑にして花粉をつきにくく、落ちやすくするには効果的なものであるが、短繊維を用いた布帛や編物では効果が不十分であり、また撥水性は得られるものの、制電性能については不十分であり、静電気により花粉の吸着を起こしやすいものであった。
また、生地の表面にコロイダルシリカ類の微粒子を均一に付着させたものについては、花粉が付きにくく落ちやすいという性能は有するものの、洗濯耐久性に欠けるとともに、制電性能はなく、静電気により花粉の吸着を起こしやすいものであった。
特開平6−316872号公報 特開平9−3771号公報 特開平9−132872号公報 特開2003−227070号公報 特開2004−3046号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、制電性、撥水性、防汚性を有し、且つ花粉付着防止性という機能をも有する、優れた多機能型の繊維構造物を提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の繊維構造物は、単繊維表面に、無機微粒子を含有するポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として少なくとも2個以上のアクリルおよび/またはメタクリル基を有する重合性単量体を重合せしめてなる凹凸表面を有する被膜が形成されており、さらに該被膜の少なくとも1部を、撥水剤が被覆し層状に固着され、層状に固着された撥水剤の被膜上にも前記凹凸が顕在化していることを特徴とするものである。
本発明によれば、繊維構造物としての必須機能である洗濯耐久性のある制電性と撥水性、防汚性を有するとともに、さらに花粉付着防止性能をも有する繊維構造物を提供することができる。
本発明は、前記課題、つまり洗濯耐久性のある制電性、撥水性、防汚性および花粉付着防止性を有する繊維構造物について鋭意検討した結果、単繊維表面に均一に微細な凹凸を有する親水性被膜を形成し、且つかかる被膜表面の少なくとも1部に撥水剤、特にフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を必須とする共重合体からなる撥水剤をさらに被覆した状態で、層状に固着させることによりかかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
以下、本発明について詳述する。
本発明に用いる繊維には、ポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として少なくとも2個以上のアクリルおよび/またはメタクリル基を有する重合性単量体に一定量の無機微粒子を含有させた後、繊維表面上で重合せしめて、単繊維表面上に均一な親水性被膜を形成し、且つかかる被膜上にフッ素系撥水剤を層状に固着するものである。
一般に重合性単量体を重合する際、単量体のみを重合させると重合時にマイグレーションを起こしやすく、繊維束や繊維束の交錯点に重合体の塊ができたりして均一な被膜が形成されにくいものであるが、本発明においては重合性単量体/無機微粒子の重量混合比を1/0.04〜1.0の範囲で混合することが好ましい。かかる範囲で混合するにより、重合性単量体が重合する際のマイグレーションを抑制し、単繊維上に均一な被膜が形成されるものであり、この均一な被膜形成により洗濯耐久性が向上するものである。なお、この被膜は均一に形成されているが、ここでいう「均一」とは表面が完全な平滑という意味ではなくまんべんなく被覆しているという意味であり、後述するように無機微粒子に起因する凹凸が表面に生じていることが好ましい。
本発明におけるポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として少なくとも2個以上のアクリルおよび/またはメタクリル基を有する単量体としては、例えばポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート等を、単独あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
かかる単量体を重合するための重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリ、アゾビスイソブチロニトリル、硫酸アンモニウム等、一般的なビニル重合開始剤を使用することができる。
本発明における無機微粒子としては、具体的には酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、カオリン、ベントナイト、タルク、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム等であり、これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。該粒子の平均粒子径としては好ましくは5〜500nmであり、より好ましくは10〜300nmのものを使用する。5nmより小さいと微細な凹凸が被膜上に顕在化することなく樹脂内に埋もれてしまう上に、マイグレーション防止効果が小さく、500nmを越えると重合体の連続した被膜形成が不十分となる傾向にあるため、無機微粒子としては粒径が5〜500nmの範囲内とするのが好ましいが、該粒径範囲外の粒径のものが被膜形成に影響のない程度で含まれることはさしつかえない。
本発明において重合性単量体は繊維重量に対し0.5〜3重量%付与することが好ましくかかる重合性単量体と無機微粒子の重量混合比は、単量体1に対して0.04〜1.0の範囲内にあることが重要である。重合性単量体は0.5重量%より少ないと皮膜形成が不十分であり、制電性が得られずまた3重量%を越えると均一皮膜が得られにくくブロック状に重合体が固着するため風合いは硬くなり、また耐久性も悪くなるものである。また無機微粒子は、0.04より少ないとマイグレーション防止効果が小さくかつ表面凹凸が少なく、また1.0より多いと被膜形成性が悪くなり、洗濯耐久性が得られにくいものとなるものである。
重合性単量体、無機微粒子、重合触媒の混合液に繊維構造物を浸漬させマングルにおいて一定の絞り率で絞り、80〜160℃の飽和水蒸気または過飽和水蒸気雰囲気中で0.5〜10分間処理することにより繊維表面に連続または非連続的被膜を形成させることができる。
かかる被膜の厚みは樹脂付着量によってコントロールすることができる。すなわち、重合性単量体と無機微粒子および重合触媒の混合液を作成する際の樹脂有効成分濃度と、混合液に含浸させてマングルで絞る際の絞り率つまりマングルの加圧圧力を適宜調整することにより樹脂付着量つまり被膜の膜厚をコントロールすることができる。
かかる被膜を単繊維表面に被覆させることにより、耐久性のある制電性、防汚性が得られるものである。なお、上述したように、かかる被膜には無機微粒子に起因する凹凸を有することが好ましいため、かかる被膜の厚みは、使用する無機微粒子の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。
本発明において用いる繊維には、かかる無機微粒子を含有する重合被膜の少なくとも1部に、さらに撥水剤が層状に固着されているものである。
かかる無機微粒子を含有する重合被膜は単繊維を被覆し、その被膜上に微細な凹凸を有すると、この微細凹凸が、かかる被膜上に層状に固着されている撥水剤との接着性を向上させ、洗濯耐久性を向上させる役割をはたすものである。
また、無機微粒子によって形成された凹凸は、撥水剤の固着に対してもマイグレーション防止効果を発揮し、かかる共重合体のみを繊維表面に固着させたものよりも、単繊維に均一に重合体が固着し、このことも洗濯耐久性を向上させる要因となる。無機微粒子によって単繊維表面上に形成された凹凸は、かかる共重合体が固着したあとも繊維表面に顕在化することが好ましく、これによってさらに花粉などの浮遊粒子との接着性を低下させ花粉付着防止性能という機能をも賦与することができる。
本発明において撥水剤とは、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤、パラフィン系撥水剤等の公知の撥水剤のいずれであっても良いが、高い撥水性を維持するため好ましくはフッ素系撥水剤が好ましい。特に好ましくはフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を必須とする共重合体が好ましい。フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとは、フルオロアルキル基が(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基部分に存在する化合物が好ましい。
かかるフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。フルオロアルキル基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。また、フルオロアルキル基は、直鎖状または分岐状の基が好ましい。分岐状の基である場合には、分岐部分がフルオロアルキル基の末端部分に存在し、かつ、炭素数1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。さらにフルオロアルキル基は、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基(すなわちパーフルオロアルキル基)、またはパーフルオロアルキル基を末端部分に有する基が好ましい。
パーフルオロアルキル基の場合、炭素数は、1〜20が好ましく、4〜16が特に好ましい。炭素数が4未満の場合には、加工剤組成物の撥水性能が低下する傾向にあり、16より多い場合には、共重合体が常温で固体となり、昇華性も大きく、取扱いが困難になる恐れがある。
かかるフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を必須とする共重合体は、かかる重合単位を1種または2種以上含んでいてもよい。かかる重合単位を2種以上含む場合には、炭素数の異なるフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。
また、かかるフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を必須とする共重合体は、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを側鎖に重合単位として含むことが好ましい。かかるポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールであることが好ましい。
かかる共重合体は、アミノプラスト樹脂、多官能性イソシアネート基含有ウレタン樹脂のうちの少なくとも1種と同時に固着し樹脂組成物を構成することが好ましい。
アミノプラスト樹脂としては、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどのメラミン樹脂、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールヒドロキシ尿素などの尿素系樹脂、ジメチロールウロンなどのウロン樹脂などを用いることができる。中でもヘキサメチロールメラミン、トリメチロールメラミンが好適である。
多官能性イソシアネート基含有ウレタン樹脂としては、分子中に2個以上のイソシアネート官能基を含む有機化合物であれば特に限定されるものではない。具体例としてはトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニールメタンジイソシアネート、水素添加ジフェニールメタンジイソシアネート、トリフェニールトリイソシアネート、キシレジンイソシアネート、ジクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、フリセリントリレンジイソシアネートアダクトなどに70〜200℃の加熱時に解離して活性なイソシアネート基が再生できるようなブロッキング化化合物として、フェノール、マロン酸ジエチルエステル、メチルエチルケトオキシム、重亜硫酸ソーダ、ε−カプロラクタムなどを反応させた多官能ブロックイソシアネートウレタン樹脂を挙げることができる。ブロックイソシアネートの熱分離速度の向上と熱解離温度の低下とを促進するために用いる解離触媒としてはジブチルスズジオレート、ジブチルスズステアレート、ステアリル亜鉛、有機アミン化合物が好ましい。
なお、上述したように、かかるフッ素系撥水剤被膜は繊維表面に固着したあとも無機微粒子に起因する凹凸が表面に顕在化していることが好ましいことから、かかる共重合体被膜と無機微粒子を含有する重合被膜との合計の厚みが無機微粒子の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。また、かかる共重合体被膜は無機微粒子を含有する重合被膜上の少なくとも1部に層状に固着されていればよいが、全体を被っていることがより好ましい。
かかるフッ素系撥水剤は繊維重量に対し、0.04〜3重量%固着していることが好ましい。0.04重量%より少ないと撥水性を得ることができず、また3重量%を越えると被膜の膜厚が無機微粒子の粒径よりも厚くなり、またブロック状に付着し耐久性および花粉付着防止性を得ることが困難となる。
樹脂組成物の付与方法としては、フッ素系撥水剤に、アミノプラスト樹脂および/または、多官能性イソシアネート基含有ウレタン樹脂を加えた処理液を繊維構造物に付着した後熱処理されることが好ましい。処理液を付与する方法は、かかる処理液に繊維構造物を浸漬後パッディング法で付与する方法、またはスプレー法で付与することが好ましい。熱処理は、乾熱処理または湿熱処理のいずれかであり、好ましくは100〜200℃の乾熱処理が好ましい。100℃未満であると洗濯耐久性が不十分であり、200℃を越えると繊維の黄変、脆化が生じる傾向にある。
かかる樹脂付着量をコントロールするためには、フッ素系撥水剤、アミノプラスト樹脂および/または、多官能性イソシアネート基含有ウレタン樹脂の混合液を作成する際の樹脂有効成分濃度と、混合液に含浸させてマングルで絞る際の絞り率つまりマングルの加圧圧力を調整することにより樹脂付着量つまり被膜の膜厚をコントロールすることができる。
本発明の繊維構造物は、制電性、防汚性、撥水性に加え花粉付着防止性能をも有する。
本発明の繊維構造物においては、花粉付着防止性能を擬似花粉を用いて評価するものであるが、本発明でいう擬似花粉とは、石松子((有)津田商店 製)という花粉の粒径に近い天然物を指す。石松子は30〜40μmのシダ科のヒカゲノカズラの胞子で花粉に近い粒径、形状を有するものであり、この石松子を擬似花粉として花粉の付着防止性を確認することが可能である。
かかる花粉付着防止性能を測定する方法は、以下の方法により実施される。すなわち、7×7cmの繊維布帛30枚を20℃×65%RHで24時間調湿後、1gの擬似花粉とともにポリエチレンの袋の中に入れ、20℃×65%RHの空気で、約20リットルに膨らませて口を縛る。かかるポリエチレン袋を1回/1秒の速度で縛り口を基準に上 下に100回振ったのち、繊維布帛を取り出し、繊維布帛表面を50倍に拡大した写真を任意に3カ所撮り、写真の7.5×10cmの範囲内の擬似花粉の個数を数え、3カ所の平均を計算する。
本発明の繊維構造物は、かかる測定方法による花粉付着防止性能が、3カ所の平均値の個数が250個以下であるものであるのが好ましい。付着個数が250個を越えると、布帛表面を肉眼で見たときに明らかに花粉の付着が確認され、花粉が付着しにくいとは言い難いものである。
本発明で用いられるポリエステル系繊維としては、芳香族成分を含むポリエステル繊維や脂肪族系ポリエステル繊維が挙げられる。芳香族成分を含むポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートあるいはこれらと第三成分、例えば、イソフタル酸、イソフタル酸スルホネート、アジピン酸およびポリエチレングリコールなどが共重合またはブレンドしたものを例示することができる。また、脂肪族系ポリエステル繊維としては、ポリL乳酸、ポリD乳酸およびポリD、L乳酸からなるホモポリマー、またはポリ乳酸−グリコール酸共重合体などを例示することができる。
本発明で用いられるポリエステル系繊維は、原糸糸条の製造工程や加工工程での生産性や特性改善のために、通常使用されている各種添加剤を含んでいても良い。例えば、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、平滑剤、可塑剤、抗菌剤、防かび剤および消臭剤などの添加剤をポリエステル系繊維に含有させることができる。
本発明では、これらのポリエステル系繊維を単独あるいは2種以上を混合して使用することができるもので、短繊維、長繊維またはこれらを混合してもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の繊維、例えば、木綿、羊毛および絹などの天然繊維、レーヨンやアセテートなどの半合成繊維を混合して使用することができる。
本発明のポリエステル系繊維構造物としては、前記のポリエステル系繊維からなる織物、編物および不織布などの布帛状物の形態のものを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の繊維構造物は、制電性、撥水性、防汚性、花粉付着防止性を有することから、特にアウターと呼ばれる衣服や寝装具、具体的には、コート、ブルゾン、ウインドブレーカー、ブラウス、ドレスシャツ、スカート、スラックス、手袋、帽子、布団側地、布団干しカバーまたはカーテンなどの用途に好適に使用されるものである。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例中の品質評価は次の方法で実施した。
(制電性)
JIS L 1094B法(摩擦耐電圧測定法)に規定される方法で、20℃×40%RHの雰囲気中で、対象布を木綿として摩擦耐電圧を測定し、(kV)で表示した。数値が小さいほど、制電性が良いことを示す。
(防汚性)
10×10cmの試験布をガラス板上に置き、汚染剤を試験布の中央部に0.1ml滴下し、その上にガラス板を置き、1.92Nの荷重を乗せて1分間放置する。荷重とガラス板を取り除き、水平状態で24時間放置する。2槽式洗濯機の洗濯槽に40±2℃の0.1%弱アルカリ性合成洗剤液25Lを入れ、汚染後の試験布と負荷布をあわせて500gを入れ、洗濯機の強条件で5分間洗濯する。30秒間脱水し2分間すすぐ操作を2回繰り返す。試験布を取り出し、濾紙の上で風乾する。乾燥後の染部分の色の変化を汚染用グレースケールで級判定する(5級から1級)。数値が高い程、防汚性が良いことを示す。
※ 汚染剤:ごま油(かどや製油株式会社 製)
※ ラー油(エスビー食品株式会社 製)
(撥水性)
JIS L 1092「繊維製品の防水性試験方法」(1998年)に規定される方法でスプレー法により評価を行い級判定を行った。
5級:表面に湿潤や水滴の付着がないもの
4級:表面に湿潤しないが、小さな水滴の付着をしめすもの
3級:表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの
2級:表面の半分に湿潤を示し、小さな個々の湿潤が布を浸透する状態を示すもの
1級:表面全体に湿潤を示すもの、または表面および裏面が全体に湿潤をしめすもの
(花粉付着防止性)
7×7cmの繊維布帛30枚を20℃×65%RHで24時間調湿後、1gの擬似花粉 とともにポリエチレンの袋の中に入れ、20℃×65%RHの空気で、約20リットル に膨らませて口を縛る。かかるポリエチレン袋を1回/1秒の速度で縛り口を基準に上 下に100回振ったのち、繊維布帛を取り出し、繊維布帛表面を50倍に拡大した写真を任意に3カ所撮り、写真の7.5×10cmの範囲内の擬似花粉の個数を数え、3カ所の平均を計算する。
(洗濯耐久性)
自動反転渦巻き電気洗濯機に、JIS K 337に規定される弱アルカリ性合成洗剤を0.2%の濃度になるように溶解し、浴比1:50で、40±2℃の温度で、強条件で25分洗濯し、次いで排水しオーバーフロー水洗10分×2回をする工程を2回繰り返した後、風乾した。
実施例1〜8
ポリエチレンテレフタレートからなる84dtex、72フィラメントの仮撚り加工糸をタテ糸、ヨコ糸に使用して平織物を製織したのち、該織物を95℃の温度で連続式精練機で常法に従い精練、湯水洗し、次いで130℃で乾燥、180℃でピンテンターセットした。引き続き、液流染色機で染色し、130℃で乾燥、170℃でピンテンターセットして、タテ/ヨコ密度140/88本/2.54cmの紺色織物とした。
該染色布を次に示す方法で2段処理し、性能を評価した結果を表1に示した。いずれも、耐久性のある制電性、防汚性、撥水性、花粉付着防止性を有するものであった。
1段目処理
<重合性単量体>
ポリアルキレンオキサイドセグメントが分子量1000であるポリエチレングリコールジメタクリレート(有効成分100%)を使用した。
<無機微粒子>
次に示す粒径の酸化ケイ素を有効成分20%の水分散液として使用した。
a.粒径6〜8nm
b.粒径10〜20nm
c.粒径40〜50nm
d.粒径80〜100nm
e.粒径180〜200nm
f.粒径280〜300nm
g.粒径400〜450nm
上記単量体を20g/Lの濃度で水に溶解し、該液に酸化ケイ素の有効成分が単量体1に対して0.05、0.1、0.2、0.4の重量比になるように添加し更に、重合触媒として過酸硫酸アンモニウム2g/lLを添加し各々の処理液を作成した。
次いで染色布を処理液に浸積して、マングルで絞り、処理液の付着量が100重量%になるように調整した後、106℃の飽和水蒸気雰囲気中にて3分間の処理を行った。
次いで、非イオン界面活性剤1g/L、炭酸ナトリウム1g/Lとした60℃の水溶液中で1分洗浄し、水洗し、130℃で乾燥した。
2段目処理
次に、下記を混合した処理液に浸漬して、マングルで絞り、処理液の付着量が100重量%になるように調整した。
<フッ素系撥水剤>
TKガード208(高松油脂(株)製、有効成分20%) 60g/l
<アミノプラスト樹脂>
スミテッススレジンM−3(有効成分80%) 3g/l
カタリストRC−W(有効成分16%) 1g/l
<多官能ブロックイソシアネート含有ウレタン樹脂>
スーパーフレッシュJB−7200(有効成分40%) 5g/l
その後、130℃の乾燥機で乾燥し、170℃で1分間乾熱処理を行った。
比較例1
2段目のフッ素系撥水剤含有処理液で処理しない以外は実施例3と同様の処理を行った。性能を評価した結果を表1に示した。
制電性、防汚性、花粉付着防止性は得られるものの、撥水性が得られず、コートなどに適用した場合、基本的に要求される機能が備わっていないというものであった。
比較例2
無機微粒子を含有しない以外は実施例3と同様の処理を行った。性能を評価した結果を表1に示した。加工上がりでは制電性、防汚性、花粉付着防止性、撥水性が得られるものの、洗濯耐久性に欠けるものであった。
比較例3
1段目の重合性単量体、無機微粒子による処理液で処理しない以外は実施例3と同様の処理を行った。性能を評価した結果を表1に示した。撥水性はあるものの、制電性はなく静電気による花粉付着が多く衣料としては好ましくないものであった。
Figure 0004622530

Claims (8)

  1. 単繊維表面に、無機微粒子を含有し、かつポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として少なくとも2個以上のアクリルおよび/またはメタクリル基を有する重合性単量体を重合せしめてなる凹凸表面を有する被膜が形成されており、さらに、該被膜の少なくとも1部を撥水剤が被覆し、層状に固着され、層状に固着された撥水剤の被膜上にも前記凹凸が顕在化していることを特徴とする繊維構造物。
  2. 前記撥水剤がフッ素系撥水剤であることを特徴とする請求項1に記載の繊維構造物。
  3. 前記フッ素系撥水剤がフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を必須とする共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維構造物。
  4. 前記フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を必須とする共重合体が、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールを側鎖に有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造物。
  5. 前記無機微粒子が、酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1〜いずれかに記載の繊維構造物。
  6. 前記撥水剤が、アミノプラスト樹脂または/および多官能ブロックイソシアネート含有ウレタン樹脂と同時に樹脂組成物を形成したものであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の繊維構造物。
  7. 下記測定法により測定したときの繊維構造物表面への擬似花粉の付着数が250個以下の布帛であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の繊維構造物。
    (測定方法)
    7×7cmの繊維布帛30枚を20℃×65%RHで24時間調湿後、1gの擬似花粉とともにポリエチレンの袋の中に入れ、20℃×65%RHの空気で、約20リットルに膨らませて口を縛る。かかるポリエチレン袋を1回/1秒の速度で縛り口を基準に上下に100回振ったのち、繊維布帛を取り出し、繊維布帛表面を50倍に拡大した写真を3カ所撮り、写真の7.5×10cmの擬似花粉の個数を数え、3カ所の平均を計算する。
  8. コート、ブルゾン、ウインドブレーカー、ブラウス、ドレスシャツ、スカート、スラックス、手袋、帽子、布団側地、布団干しカバーまたはカーテンのいずれかに用いられることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の繊維構造物。
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