JP3371308B2 - 難燃性ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

難燃性ポリエステル繊維およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難燃性ポリエステル繊
維に関する。さらに詳しくは、ホスファゼン化合物を含
有する難燃性ポリエステル繊維およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に合成繊維およびその編織物は自己
消火性に乏しく燃えてしまうという性質があり、そのた
め繊維を不燃性、難燃性にする研究が数多く行なわれて
いる。合成繊維の難燃化には、リン、ハロゲン、アンチ
モンなどの元素を含有する化合物が好ましく利用されて
いる。ポリエステル繊維の難燃化については、例えば、
原糸の製造段階で難燃性を有するリン系化合物をポリエ
ステルと共重合する方法も提案されているが、専用の紡
糸設備が必要となるなどの制約がある。一方、織編物の
形態で後加工により難燃性を付与する方法は、必要に応
じて自由に加工できる利点があり、現在ハロゲン系化合
物を用いて後加工で難燃性を付与する方法が最も主体的
に用いられている。しかし、ハロゲン系化合物は燃焼し
た場合に有害ガスが発生しやすく、近年世界的な環境問
題が重視されている中で、技術改良の機運が高まりつつ
ある。
【0003】また、良好な難燃性能を有し、かつ有害ガ
ス発生のないリン系化合物も種々検討されているが、実
質的に後加工用としては使用されていないのが現状であ
る。その理由としては、難燃剤としてのリン系化合物は
一般に水溶性のものが多く、ポリエステル繊維との親和
性に乏しい。そして、可塑剤的性質を有し、染料のブリ
ードアウトを誘発する傾向がある。
【0004】また従来のリン系難燃性化合物は、化合物
中のリン含有量が少ないため多量に付与する必要がある
などの問題点を有していたためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、後加工
用としてのリン系難燃性加工剤の前記欠点を解決するた
めにリン含有量の多いホスファゼン化合物に着眼し、さ
らにポリエステル繊維との親和性を高めることを目的に
鋭意検討した結果、アミノ基およびフェノキシ基を有す
るホスファゼン化合物がポリエステル繊維との親和性を
高め、染色同時の浴中処理やパッド・ドライ/キュアー
処理においても吸尽できることを究明し、本発明に到達
した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の難燃性ポリエス
テル繊維およびその製造方法は、前記課題を解決するた
め、以下の構成を有する。
【0007】すなわち、下記(I) 式または下記(II)式で
表される線状または環状のホスファゼン化合物が吸尽
れてなることを特徴とする難燃性ポリエステル繊維であ
る。
【化7】 (式(I) 中のX1 〜X3 はアミノ基、フェノキシ基のい
ずれかである。Y1 〜Y3 はアミノ基、フェノキシ基の
いずれかである。さらに、X1 〜X3 、Y1 〜Y3 のう
ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。
【化8】 (式(II)中のX1 〜X4 はアミノ基、フェノキシ基のい
ずれかである。Y1 〜Y4 はアミノ基、フェノキシ基の
いずれかである。さらに、X1 〜X4 、Y1 〜Y4 のう
ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。) また、本発明の難燃性ポリエステル繊維の製造方法は以
下の構成を有する。
【0008】すなわち、下記(I) 式または下記(II)式で
表される線状または環状のホスファゼン化合物が含有さ
れてなる分散液中にポリエステル繊維を浸漬し、該液中
で100℃以上の温度で該ホスファゼン化合物の吸尽処
理をすることを特徴とする難燃性ポリエステル繊維の製
造方法である。
【0009】
【化9】 (式(I) 中のX1 〜X3 はアミノ基、フェノキシ基のい
ずれかである。Y1 〜Y3 はアミノ基、フェノキシ基の
いずれかである。さらに、X1 〜X3 、Y1 〜Y3 のう
ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。
【化10】 (式(II)中のX1 〜X4 はアミノ基、フェノキシ基のい
ずれかである。Y1 〜Y4 はアミノ基、フェノキシ基の
いずれかである。さらに、X1 〜X4 、Y1 〜Y4 のう
ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。) さらに、本発明の難燃性ポリエステル繊維の製造方法は
以下の構成を有する。すなわち、下記(I) 式または下記
(II)式で表される線状または環状のホスファゼン化合物
が含有されてなる分散液中にポリエステル繊維を浸漬
し、脱液し、乾燥後、150℃以上の雰囲気下で該ホス
ファゼン化合物の吸尽処理をすることを特徴とする難燃
性ポリエステル繊維の製造方法である。
【0010】
【化11】 (式(I) 中のX1 〜X3 はアミノ基、フェノキシ基のい
ずれかである。Y1 〜Y3 はアミノ基、フェノキシ基の
いずれかである。さらに、X1 〜X3 、Y1 〜Y3 のう
ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。
【化12】 (式(II)中のX1 〜X4 はアミノ基、フェノキシ基のい
ずれかである。Y1 〜Y4 はアミノ基、フェノキシ基の
いずれかである。さらに、X1 〜X4 、Y1 〜Y4 のう
ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。
【0011】
【作用】以下、さらにくわしく本発明について説明す
る。
【0012】本発明の難燃性ポリエステル繊維は、下記
(I) 式または下記(II) 式で表される線状または環状の
ホスファゼン化合物を含有するものである。
【0013】
【化13】 (式(I) 中のX1 〜X3 はアミノ基、フェノキシ基のい
ずれかである。Y1 〜Y3 はアミノ基、フェノキシ基の
いずれかである。さらに、X1 〜X3 、Y1 〜Y3 のう
ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。
【化14】 (式(II)中のX1 〜X4 はアミノ基、フェノキシ基のい
ずれかである。Y1 〜Y4 はアミノ基、フェノキシ基の
いずれかである。さらに、X1 〜X4 、Y1 〜Y4 のう
ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。) 前記のホスファゼン化合物を含有しないとポリエステル
繊維に実用的な難燃性を付与せしめることができない問
題がある。
【0014】ホスファゼン化合物のポリエステル繊維に
対する吸尽効率の観点から、ホスファゼン化合物中の総
フェノキシ基数が2個以上となるのが好ましい。
【0015】特に、式(I) においては総フェノキシ基数
は2個以上6個以下となるのが好ましい。
【0016】また、式(II)においては総フェノキシ基数
は2個以上8個以下となるのが好ましい。
【0017】本発明の難燃性ポリエステル繊維において
は、従来、水溶性化合物として用いられていたホスファ
ゼン化合物の水に対する溶解性を置換基によって制御す
ることによって、ポリエステル繊維との親和性を高め、
かつ、常温では固体状で吸尽処理可能な化合物に改質し
たものを用いる点に大きな特徴を有する。従来、セルロ
ース系繊維の難燃剤としては完全水溶性の化合物を用い
るが、これらの化合物を、疎水性のポリエステル繊維に
対して用いると、液中処理の場合は全く吸尽されない。
しかし、本発明のホスファゼン化合物は分散染料と同様
の扱い方で染色同時処理が可能となった。
【0018】本発明のポリエステル繊維とは、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ま
たはエチレンテレフタレートを主たる繰り返し成分とす
るもの(具体的には繰り返し単位の90モル%以上)、
ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し成分とするも
の(具体的には繰り返し単位の90モル%以上)などか
らなる繊維をいうが、特に限定されるものではない。
【0019】なかでも、エチレンテレフタレートが90
モル%以上繰り返し成分とするポリエステルからなるポ
リエステル繊維が好ましく、エチレンテレフタレートが
95モル%以上繰り返し成分とするポリエステルからな
るポリエステル繊維であることがより好ましい。エチレ
ンテレフタレートが100モル%繰り返し成分とするポ
リエステル(すなわち、ポリエチレンテレフタレート)
からなるポリエステル繊維であることはさらに好まし
い。
【0020】なお、ポリエステルに10モル%以下の範
囲で共重合されてもよい成分として、イソフタル酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸などの脂肪族ジカルボン酸、テトラメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、
1,4シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA
などの脂環族または芳香族ジオールなどを用いることが
できる。
【0021】また、本発明の難燃性ポリエステル繊維で
用いるホスファゼン化合物はパッド・ドライ/キュアー
方式で処理しても染色同時処理と同様の難燃性効果をポ
リエステル繊維に付与することができる。本発明のホス
ファゼン化合物はポリエステル吸尽タイプであるため洗
濯耐久性を付与でき、また可塑剤的性質も有さないた
め、染料ブリードがなく処理布帛の堅牢性の低下も発生
しない。
【0022】本発明で用いるホスファゼン化合物で難燃
性を得るための付与量としては、例えば、JIS L
1091D法(接炎試験)に合格するためには、化合物
中のリン元素含有量により異なるが、ポリエステル繊維
に対して0.2重量%以上のリン元素が含まれるように
本発明の化合物を付与するのが好ましい。
【0023】また、ホスファゼン化合物には難燃補助作
用のある窒素が含まれるためより効果的である。
【0024】本発明によるホスファゼン化合物の実際の
使用に際しては水に微分散させて用いることが好まし
い。本発明のホスファゼン化合物を水に微分散させる方
法は特に限定されるものではないが、分散効率の観点か
ら、次の方法が好ましく用いられる。
【0025】本発明のホスファゼン化合物、分散剤、お
よび水を混合、攪拌し分散する。この分散物をガラスビ
ーズ粉砕機で粉砕、分散操作を行なうのが一般的であ
る。
【0026】また、水に微分散させるための他の方法と
して、本発明のホスファゼン化合物を溶解し得る溶媒を
用いて溶解した後、攪拌しながら水と混合してエマルジ
ョン化して用いても差しつかえない。
【0027】本発明におけるホスファゼン化合物をポリ
エステル繊維に吸尽させる方法としては浴中処理法、パ
ッド・ドライ/キュアー法等を用いることができる。浴
中処理法とは、微分散させたホスファゼン化合物の分散
液中で、100℃以上の温度でポリエステル繊維を吸尽
処理する方法である。
【0028】また、染色浴中にホスファゼン化合物を投
入し、染色と難燃加工を同時に行なうこともできる。そ
の場合、ポリエステル繊維への吸尽効率を考慮し、本発
明のホスファゼン化合物中のリン元素がポリエステル繊
維に対して0.2重量%以上吸尽されるように投入量を
調整する。その他、通常の染色に使用される染料、pH
調整剤、均染剤などを適宜添加する。ホスファゼン化合
物の吸尽効率の観点から、浴比は1:5〜1:100が
好ましく、1:5〜1:50がより好ましい。浴中処理
における処理温度は100℃以上とするものである。処
理温度が100℃に満たないとポリエステル繊維に難燃
性を十分付与せしめることができない問題がある。
【0029】吸尽効率の観点から、120〜135℃の
温度で30〜60分間浴中処理し、その後、処理布帛は
通常の洗浄、乾燥するのが好ましい。
【0030】さらに、浴中処理後、還元洗浄を施した
り、乾燥後に熱処理することも好ましく行なわれる。
【0031】一方、パッド・ドライ/キュアー法とはホ
スファゼン化合物の分散浴中にポリエステル繊維を浸漬
し、脱液し、乾燥後、150℃以上の雰囲気下で吸尽処
理を行なう方法である。
【0032】具体的な一例としては、例えばホスファゼ
ン化合物の分散液にポリエステル繊維を浸漬/マングル
で脱液した後、100℃以上で乾燥し、その後、150
℃以上で吸尽処理する方法を用いることができる。ホス
ファゼン化合物の均一付与の観点から、浸漬/マングル
で脱液後、100〜120℃で乾燥するのが好ましく、
その後、170〜200℃以上で吸尽処理を行なうのが
好ましい。
【0033】また、熱処理時間は10〜180秒が好ま
しい。
【0034】ポリエステル繊維への均一吸尽および分散
液の安定性の観点から、本発明の難燃性ポリエステル繊
維に用いるホスファゼン化合物の粒径は10ミクロン以
下が好ましく、5ミクロン以下がより好ましく、1ミク
ロン以下がさらに好ましい。
【0035】
【実施例】本発明の難燃性ポリエステル繊維を実施例お
よび比較例を用いて、さらに詳細に説明する。
【0036】本発明の難燃性ポリエステル繊維の評価方
法を以下に示す。
【0037】[難燃性]加工後、洗濯後、ドライ後にお
ける試料をJIS L 1091Dに準じて評価した。
【0038】[洗濯堅牢度]JIS L 0844に準
じて評価した。
【0039】[摩擦堅牢度]JIS L 0849に準
じて評価した。
【0040】[実施例1〜3]難燃剤として、テトラフ
ェノキシジアミノシクロトリホスファゼン100重量部
に対し、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの
縮合生成物からなる分散剤20重量部と水60重量部を
混合、攪拌し分散液を作製した。分散液をガラスビーズ
粉砕機を用いて18時間粉砕処理した。粉砕終了後、1
0%カルボキシメチルセルロース溶液(エーテル化度、
0.85%)20重量部を分散液に加え、完全に混合
し、50重量%のテトラフェノキシジアミノシクロトリ
ホスファゼンの分散液を得た。
【0041】この様にして得られた難燃性加工剤を用い
て、通常のポリエステル織物を染色する際に、難燃加工
剤投入量が10%owf(実施例1)、20%owf
(実施例2)、30%owf(実施例3)である下記処
理液を作製し、浴比1:30、室温から80℃までを2
℃/分、更に130℃までを1℃/分の速度で昇温し、
130℃の温度で45分間染色した。次に40℃まで3
℃/分で降温する条件で染色同時浴中処理を行なった
後、通常の方法で還元洗浄を行ない乾燥し、140℃の
温度で仕上げセットを行った。得られた難燃性ポリエス
テル織物の難燃剤吸尽量と計算値から求めたリン元素含
有量およびJIS L 1091D(接炎試験、接炎回
数3回以上が合格)により難燃性を、またJIS L
0844により洗濯堅牢度、JIS L 0849によ
り摩擦堅牢度を評価した。
【0042】いずれの実施例においても難燃性能が得ら
れ、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度評価においても規格値を十
分満足する結果が得られた。
【0043】さらに、洗濯、ドライクリーニングを行っ
た後も加工直後の難燃性能とほとんど差がなく優れた難
燃性の耐久性が得られた。
【0044】結果をそれぞれ表1に示す。
【0045】 処理液 ダイアニックス ブルー FBL−E(Dianix Blue F BL−E、分散染料) 1.0%owf イオネットTD−208(均染剤) 0.2g/l フィクサーPH500(pH調整剤) 0.5g/l 難燃加工剤(50%分散液) 10%owf(実施例1) 20%owf(実施例2) 30%owf(実施例3)
【表1】 [実施例4〜6]難燃剤として、フェノキシホスファゼ
ンを用い、難燃剤投入量が10%owf(実施例4)、
20%owf(実施例5)、30%owf(実施例6)
である以外は実施例1と同じ方法で分散液の作製、難燃
処理、評価を行なった。
【0046】いずれの実施例においても難燃性能が得ら
れ、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度評価においても規格値を十
分満足する結果が得られた。
【0047】さらに、洗濯、ドライクリーニングを行っ
た後も加工直後の難燃性能とほとんど差がなく優れた難
燃性の耐久性が得られた。
【0048】結果を併せて表1に示す。
【0049】[比較例1]実施例1で用いる処理液中で
難燃加工剤が含有されていないこと以外は実施例1と同
じ染色処理条件で染色し、実施例1と同じ試験条件で難
燃性、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度を評価した。結果を併せ
て表1に示す。
【0050】ホスファゼン化合物を用いていないため、
全く難燃性能を示さなかった。
【0051】[比較例2、3]難燃剤としてファイロー
ル51(水溶性リン系難燃剤、アクゾ・カシマ株式会社
製)を用い、難燃剤投入量が20%owf(比較例
2)、30%owf(比較例3)である以外は実施例1
と同じ染色条件で処理し、実施例1と同じ評価を行っ
た。
【0052】結果を併せて表1に示す。
【0053】各比較例はホスファゼン化合物を用いてい
ないため、処理後の重量増加がなく、難燃剤の吸尽が見
られず、難燃性能に劣ったものとなった。
【0054】[実施例7〜10]ポリエステル繊維から
なるレースカーテンを、下記条件にて染色した。
【0055】 ダイアニックス ブルー BG−FS(Dianix Blue BG−F S、分散染料) 0.5%owf イオネットTD−208(均染剤) 0.2g/l フィクサーPH500(pH調整剤) 0.5g/l 浴比 1:30 染色温度 130℃ 染色時間 45分 その後、通常の還元洗浄を行い、140℃の温度で仕上
げセットしてレースカーテンの染色布帛を得た。次に、
難燃剤として、ジフェノキシテトラアミノシクロトリホ
スファゼンを用い、難燃剤濃度が10%owf(実施例
7)、20%owf(実施例8)である難燃剤分散液を
実施例1と同じ方法で得た。またはアミノホスファゼン
(AP−100、 大塚化学株式会社製)を用い、難燃
剤濃度が10%owf(実施例9)、20%owf(実
施例10)である水溶液を実施例1と同じ方法で得た。
先に得られたレースカーテンを浸漬し、マングルで脱液
して120℃×1分の条件で乾燥した後、180℃×1
分の条件で熱処理して仕上げた。実施例1と同じ方法で
難燃性、堅牢度評価を行った。
【0056】いずれの実施例においても難燃性能が得ら
れ、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度評価においても規格値を十
分満足する結果が得られた。
【0057】さらに、洗濯、ドライクリーニングを行っ
た後も加工直後の難燃性能とほとんど差がなく優れた耐
久性が得られた。
【0058】結果を表2に示す。
【0059】
【表2】 [比較例4]難燃剤にファイロール51を用い、難燃剤
濃度が30%owfである以外は実施例7と同じ条件で
処理および評価を行なった。
【0060】ホスファゼン化合物を用いていないため、
洗濯やドライクリーニング後では難燃性が認められず難
燃性の耐久性を欠くものであった。また摩擦堅牢度がや
や低下したものになった。
【0061】結果を併せて表2に示す。
【0062】
【発明の効果】本発明の難燃性ポリエステル繊維は、水
不溶性のホスファゼン化合物がポリエステル繊維内部に
吸尽されているため、難燃性の耐久性に優れている。
【0063】また、ホスファゼン化合物は従来のリン系
難燃剤に比べ、リン含有量が多く、難燃補助作用を有す
る窒素も同時に含まれるため比較的少ない付与量で難燃
性能を繊維に付与することができる。さらに水不溶性で
かつ常温で固体であり、可塑剤的性質がないことから染
料のブリードアウトを防止でき高い堅牢性を有する。ま
た染色と難燃化の同時加工やパッド・ドライ/キュアー
方式の両方の加工手段が利用できる利点を有し、得られ
る製品は良好な染色堅牢性と共に、燃焼時に有害ガスの
発生のない優れた特性を有する。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(I) 式または下記(II)式で表される線
    状または環状のホスファゼン化合物が吸尽されてなるこ
    とを特徴とする難燃性ポリエステル繊維。 【化1】 (式(I) 中のX1 〜X3 はアミノ基、フェノキシ基のい
    ずれかである。Y1 〜Y3 はアミノ基、フェノキシ基の
    いずれかである。さらに、X1 〜X3 、Y1 〜Y3 のう
    ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。) 【化2】 (式(II)中のX1 〜X4 はアミノ基、フェノキシ基のい
    ずれかである。Y1 〜Y4 はアミノ基、フェノキシ基の
    いずれかである。さらに、X1 〜X4 、Y1 〜Y4 のう
    ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。
  2. 【請求項2】ホスファゼン化合物中の総フェノキシ基数
    が2個以上であることを特徴とする請求項1記載の難燃
    性ポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】下記(I) 式または下記(II)式で表される線
    状または環状のホスファゼン化合物が含有されてなる分
    散液中にポリエステル繊維を浸漬し、該液中で100℃
    以上の温度で該ホスファゼン化合物の吸尽処理をするこ
    とを特徴とする難燃性ポリエステル繊維の製造方法。 【化3】 (式(I) 中のX1 〜X3 はアミノ基、フェノキシ基のい
    ずれかである。Y1 〜Y3 はアミノ基、フェノキシ基の
    いずれかである。さらに、X1 〜X3 、Y1 〜Y3 のう
    ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。) 【化4】 (式(II)中のX1 〜X4 はアミノ基、フェノキシ基のい
    ずれかである。Y1 〜Y4 はアミノ基、フェノキシ基の
    いずれかである。さらに、X1 〜X4 、Y1 〜Y4 のう
    ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。
  4. 【請求項4】ホスファゼン化合物中の総フェノキシ基数
    が2個以上であることを特徴とする請求項3記載の難燃
    性ポリエステル繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】下記(I) 式または下記(II)式で表される線
    状または環状のホスファゼン化合物が含有されてなる分
    散液中にポリエステル繊維を浸漬し、脱液し、乾燥後、
    150℃以上の雰囲気下で該ホスファゼン化合物の吸尽
    処理をすることを特徴とする難燃性ポリエステル繊維の
    製造方法。 【化5】 (式(I) 中のX1 〜X3 はアミノ基、フェノキシ基のい
    ずれかである。Y1 〜Y3 はアミノ基、フェノキシ基の
    いずれかである。さらに、X1 〜X3 、Y1 〜Y 3 のう
    ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。) 【化6】 (式(II)中のX1 〜X4 はアミノ基、フェノキシ基のい
    ずれかである。Y1 〜Y4 はアミノ基、フェノキシ基の
    いずれかである。さらに、X1 〜X4 、Y1 〜Y4 のう
    ち、少なくとも1つは、フェノキシ基である。
  6. 【請求項6】ホスファゼン化合物中の総フェノキシ基数
    が2個以上であることを特徴とする請求項5記載の難燃
    性ポリエステル繊維の製造方法。
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