JP2006322102A - 難燃性メタ系アラミド繊維構造物とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メタ系アラミド繊維構造物への後加工によって耐久性にすぐれた難燃性能を付与した難燃性メタ系アラミド繊維構造物、特に、難燃性メタ系アラミド繊維布帛とその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、メタ系アラミド繊維構造物を構成する繊維に(a)1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、(b)ジアリールアミノホスフェート及び(c)アリールジアミノホスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドを含有させてなる難燃性メタ系アラミド繊維構造物が提供される。
【選択図】なし
【解決手段】本発明によれば、メタ系アラミド繊維構造物を構成する繊維に(a)1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、(b)ジアリールアミノホスフェート及び(c)アリールジアミノホスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドを含有させてなる難燃性メタ系アラミド繊維構造物が提供される。
【選択図】なし
Description
本発明は、難燃性メタ系アラミド繊維構造物とその製造方法に関し、詳しくは、メタ系アラミド繊維構造物、特に、メタ系アラミド繊維布帛への後加工によってすぐれた難燃性能を付与した難燃性メタ系アラミド繊維構造物とその製造方法、特に、難燃性メタ系アラミド繊維布帛とその製造方法に関する。
従来、メタ系アラミド繊維構造物、特に、布帛に後加工によって難燃性能を付与するための方法が種々知られている。例えば、難燃剤として、ハロゲン系化合物、代表的には、例えば、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカンのような臭素化シクロアルカンを難燃剤として分散剤にて水に分散させてなる難燃加工剤をメタ系アラミド繊維布帛に付着させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このように、メタ系アラミド繊維構造物にハロゲン化合物を含有させて難燃性能を付与する方法によれば、そのメタ系アラミド繊維構造物が燃焼したとき、有害なハロゲン化ガスが発生し、これが環境に有害な影響を及ぼす等の問題がある。
そこで、これまでも、このようなハロゲン系化合物に代えて、ハロゲンを含まないリン酸エステルを難燃剤として用いて、メタ系アラミド繊維構造物に難燃性能を付与することが行われている。例えば、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)のような液状のリン酸エステルをメタ系アラミド繊維に含有させてなる難燃性メタ系アラミド繊維構造物が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、従来、難燃剤として知られているこのようなリン酸エステルは、メタ系アラミド繊維構造物に耐洗濯性にすぐれる難燃性能を付与することができるが、後加工によって含有させた場合、所期の難燃性能を得るには、多量の難燃剤をメタ系アラミド繊維構造物に含有させることが必要である。そして、このように多量の難燃剤をメタ系アラミド繊維構造物に含有させれば、時間の経過と共にこれらの難燃剤がメタ系アラミド繊維構造物の表面に移行して、所謂ブリードアウトを生じる。
このように、メタ系アラミド繊維構造物の表面に移行したリン酸エステルは、他の製品を汚染したり、風合にべたつきを生じさせるなどの問題がある。
特開平8−325934
特開2003−201643
本発明者らは、従来のメタ系アラミド繊維構造物の難燃加工における上述した問題を解決するために鋭意研究した結果、ハロゲン系難燃剤によることなく、ある種のリン酸アミドをメタ系アラミド繊維構造物に含有させることによって、染色堅牢度と風合にすぐれた難燃性能を付与することができることを見出して、本発明に至ったものである。
従って、本発明は、メタ系アラミド繊維構造物への後加工によってすぐれた難燃性能を付与した難燃性メタ系アラミド繊維構造物とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、メタ系アラミド繊維構造物を構成する繊維に
(a)一般式(I)
(a)一般式(I)
(式中、Ar1、Ar2、Ar3 及びAr4 はそれぞれ独立にアリール基を示す。)
で表される1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、
(b)一般式(II)
で表される1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、
(b)一般式(II)
(式中、Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立にアリール基を示し、R1 及びR2 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 とR2 は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表されるジアリールアミノホスフェート及び
(c)一般式(III)
で表されるジアリールアミノホスフェート及び
(c)一般式(III)
(式中、Arは、アリール基を示し、R1、R2、R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 とR2 は相互に結合して環を形成していてもよく、また、R3 とR4 は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表されるアリールジアミノホスフェート
から選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドを含有させてなることを特徴とする難燃性メタ系アラミド繊維構造物が提供される。
で表されるアリールジアミノホスフェート
から選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドを含有させてなることを特徴とする難燃性メタ系アラミド繊維構造物が提供される。
また、本発明によれば、メタ系アラミド繊維構造物を構成する繊維に上記少なくとも1種のリン酸アミドを含有させることを特徴とする難燃性メタ系アラミド繊維構造物の製造方法が提供される。
特に、本発明によれば、上記難燃性メタ系アラミド繊維構造物の製造方法において、リン酸アミドを含む処理液にメタ系アラミド繊維構造物を浸漬して、処理する方法のほか、リン酸アミドを含む処理液にメタ系アラミド繊維構造物を浸漬し、絞液した後、乾燥し、熱処理する方法が提供される。
更に、好ましい態様として、本発明によれば、リン酸アミドを含む処理液にてメタ系アラミド繊維構造物を処理するに際して、リン酸アミドをメタ系アラミド繊維構造物に含有させると同時にメタ系アラミド繊維構造物を染色する方法が提供される。
本発明によれば、ある種のリン酸アミドをメタ系アラミド繊維構造物に含有させることによって、染色堅牢度と風合にすぐれた難燃性能を付与することができる。特に、本発明によれば、JIS L 1091に記載されている難燃性試験E法において、限界酸素指数が28.0以上である難燃性メタ系アラミド繊維構造物を得ることができる。
本発明において、メタ系アラミド繊維構造物とは、少なくともメタ型アラミド繊維を60重量%以上含む繊維と、そのような繊維を含む糸、綿、編織物や不織布等の布帛をいい、好ましくは、メタ型アラミド繊維、これよりなる糸、綿、編織物や不織布等の布帛をいう。
本発明において、上記メタ型アラミド繊維は、代表的には、m−フェニレンジアミン単位とイソフタル酸単位からなるm−フェニレンイソフタラミド単位を主成分とするポリマーからなる繊維であるが、本発明において、メタ型アラミド繊維は、上記に限定されるものではなく、例えば、ジアミン単位やジカルボン酸単位の一部は上記以外のものでもよく、また、一部のジアミン単位やジカルボン酸単位はパラ型に結合されていてもよい。また、メタ型アラミド繊維は、難燃性化合物を重合時又は製糸時にブレンドした難燃原糸であってもよい。
本発明による難燃性メタ系アラミド繊維構造物は、例えば、消防士、飛行士、レースドライバー、電力会社、化学会社の作業服に好適に用いられる。
本発明による難燃性メタ系アラミド繊維構造物は、メタ系アラミド繊維構造物を構成する繊維に難燃剤として、
(a)一般式(I)
(a)一般式(I)
(式中、Ar1、Ar2、Ar3 及びAr4 はそれぞれ独立にアリール基を示す。)
で表される1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、
(b)一般式(II)
で表される1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、
(b)一般式(II)
(式中、Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立にアリール基を示し、R1 及びR2 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 とR2 は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表されるジアリールアミノホスフェート及び
(c)一般式(III)
で表されるジアリールアミノホスフェート及び
(c)一般式(III)
(式中、Arは、アリール基を示し、R1、R2、R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 とR2 は相互に結合して環を形成していてもよく、また、R3 とR4 は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表されるアリールジアミノホスフェート
から選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドを含有させてなるものである。
で表されるアリールジアミノホスフェート
から選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドを含有させてなるものである。
本発明において、メタ系アラミド繊維構造物にリン酸アミドを含有させるとは、メタ系アラミド繊維構造物の表面及び繊維内部にリン酸アミドを付与することをいい、詳しくは、メタ系アラミド繊維構造物を形成する繊維の表面にリン酸アミドを付着させ、また、メタ系アラミド繊維構造物を形成する繊維の内部にリン酸アミドを拡散させることをいう。同様に、メタ系アラミド繊維構造物がリン酸アミドを含有するとは、メタ系アラミド繊維構造物の表面及び繊維内部にリン酸アミドが付与されていることをいい、詳しくは、メタ系アラミド繊維構造物を形成する繊維の表面にリン酸アミドが付着しており、また、メタ系アラミド繊維構造物を形成する繊維の内部にリン酸アミドが拡散せしめられていることをいう。
上記一般式(I)で表される第一のリン酸アミド、1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)において、Ar1、Ar2、Ar3 及びAr4 はそれぞれ独立にアリール基であり、好ましくは、炭素原子数6から18のアリール基である。このようなアリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等を挙げることができ、なかでも、フェニル基が好ましい。これらのアリール基は、炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。このような低級アルキル基を有するアリール基として、例えば、トリル、キシリル、メチルナフチル基等を挙げることができる。
本発明によれば、上述したような第一のリン酸アミドの好ましい具体例として1,4−ピペラジンジイルビス(ジフェニルホスフェート)を挙げることができる。例えば、この1,4−ピペラジンジイルビス(ジフェニルホスフェート)は、特開平10−175985号公報に記載されているように、溶剤中、アミン触媒存在下にピペラジンにジフェニルホスホロクロリデートを反応させることによって得ることができる。
上記一般式(II)で表される第二のリン酸アミド、ジアリールアミノホスフェートにおいて、Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立にアリール基であり、好ましくは、炭素原子数6〜18のアリール基である。このようなアリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等を挙げることができ、なかでも、フェニル基が好ましい。これらのアリール基は、炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。そのような低級アルキル基を有するアリール基として、例えば、トリル、キシリル、メチルナフチル基等を挙げることができる。
上記一般式(II)で表されるジアリールアミノホスフェートにおいて、R1 及びR2 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 とR2 は相互に結合してリン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。
上記一般式(II)において、上記低級アルキル基は、好ましくは、炭素原子数1から4のアルキル基であり、メチル、エチル、プロピル又はブチル基である。炭素原子数3以上のアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル基等を例示することができるが、好ましくは、シクロヘキシル基である。アリール基は、好ましくは、炭素原子数6〜18のアリール基であり、このようなアリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等を挙げることができ、なかでも、フェニル基が好ましい。これらのアリール基は、炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。
そのような低級アルキル基を有するアリール基として、例えば、トリル、キシリル、メチルナフチル基等を挙げることができる。また、アラルキル基は、好ましくは、ベンジル又はフェネチル基であり、これらはフェニル基上に炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。
更に、上記一般式(II)において、R1 とR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。この場合、環は、通常、6員環であることが好ましく、従って、そのような6員環として、例えば、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ基等を挙げることができる。
従って、第二のリン酸アミドの好ましい具体例として、例えば、アミノジフェニルホスフェート、メチルアミノジフェニルホスフェート、ジメチルアミノジフェニルホスフェート、エチルアミノジフェニルホスフェート、ジエチルアミノジフェニルホスフェート、プロピルアミノジフェニルホスフェート、ジプロピルアミノジフェニルホスフェート、オクチルアミノジフェニルホスフェート、ジフェニルウンデシルアミンのホスフェート、シクロヘキシルアミノジフェニルホスフェート、ジシクロヘキシルアミノジフェニルホスフェート、アリルアミノジフェニルホスフェート、アニリノジフェニルホスフェート、ジ−o−クレジルフェニルアミノホスフェート、ジフェニル(メチルフェニルアミノ)ホスフェート、ジフェニル(エチルフェニルアミノ)ホスフェート、ベンジルアミノジフェニルホスフェート、モルホリノジフェニルホスフェート等を挙げることができる。
このようなジアリールアミノホスフェートは、特開2000−154277号公報に記載されているように、有機溶剤中、アミン触媒の存在下にジアリールホスホロクロリデートに有機アミン化合物を反応させることによって得ることができる。
特に、本発明によれば、一般式(II)で表されるリン酸アミドにおいて、Ar1 及びAr2 は好ましくはフェニル又はトリル基であり、R1 及びR2 は一方が水素原子であり、他方がフェニル又はシクロヘキシルであるものである。このようなリン酸アミドとして、例えば、アニリノジフェニルホスフェート、ジ−o−クレジルフェニルアミノホスフェート又はシクロヘキシルアミノジフェニルホスフェートを挙げることができる。
上記一般式(III) で表される第三のリン酸アミド、アリールジアミノホスフェートにおいて、Ar1 はアリール基であり、好ましくは、炭素原子数6〜18のアリール基である。このようなアリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等を挙げることができ、なかでも、フェニル基が好ましい。これらのアリール基は、炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。そのような低級アルキル基を有するアリール基として、例えば、トリル、キシリル、メチルナフチル基等を挙げることができる。
上記一般式(III) で表されるアリールジアミノホスフェートにおいて、R1、R2、R3 及びR4 は、それぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 とR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R3 とR4 も同様に、相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。
上記一般式(III) において、上記低級アルキル基は、好ましくは、炭素原子数1から4のアルキル基であり、メチル、エチル、プロピル又はブチル基である。炭素原子数3以上のアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル基等を例示することができるが、好ましくは、シクロヘキシル基である。アリール基は、好ましくは、炭素原子数6〜18のアリール基であり、このようなアリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等を挙げることができ、好ましくは、フェニル基である。これらのアリール基は、炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。そのような低級アルキル基を有するアリール基として、例えば、トリル、キシリル、メチルナフチル基等を挙げることができる。また、アラルキル基は、好ましくは、ベンジル又はフェネチル基であり、これらはフェニル基上に炭素原子数1から4の低級アルキル基を有していてもよい。
更に、上記一般式(III) において、R1 とR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。この場合、環は、通常、6員環であることが好ましく、従って、そのような6員環として、例えば、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ基等を挙げることができる。同様に、R3 とR4 も、相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。この場合、環は、通常、6員環であることが好ましく、従って、そのような6員環として、例えば、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ基等を挙げることができる。R1 とR2 の組み合わせとR3 とR4 の組み合わせのうち、一方のみが環を形成していてもよく、両方共が環を形成していてもよい。
従って、第三のリン酸アミドの好ましい具体例として、例えば、ジアミノフェニルホスフェート、アミノメチルアミノフェニルホスフェート、ビス(メチルアミノ)フェニルホスフェート、アミノエチルアミノフェニルホスフェート、ビス(エチルアミノ)フェニルホスフェート、アミノプロピルアミノフェニルホスフェート、ビス(プロピルアミノ)フェニルホスフェート、アミノオクチルアミノフェニルホスフェート、アミノウンデシルアミノフェニルホスフェート、アミノシクロヘキシルアミノフェニルホスフェート、ビスシクロヘキシルアミノフェニルホスフェート、ビスアリルアミノフェニルホスフェート、アミノアニリノフェニルホスフェート、ジアニリノフェニルホスフェート、アニリノメチルアミノフェニルホスフェート、エチルアミノフェニルアミノフェニルホスフェート、ビスベンジルアミノフェニルホスフェート、ジモルホリノフェニルホスフェート等を挙げることができる。
このようなアリールジアミノホスフェートは、特開2000−154277号公報に記載されているように、有機溶剤中、アミン触媒の存在下にアリールホスホロジクロリデートに有機アミン化合物を反応させることによって得ることができる。
特に、本発明によれば、一般式(III) で表されるリン酸アミドのうち、Ar1 がフェニル基であり、R1 とR2 のうち、一方が水素原子であり、他方がフェニル又はシクロヘキシル基であるものが好ましく用いられる。そのようなリン酸アミドの具体例として、ビスシクロヘキシルアミノフェニルホスフェートやジアニリノフェニルホスフェートを挙げることができる。
本発明によれば、メタ系アラミド繊維構造物への前記リン酸アミドの含有量は、メタ系アラミド繊維構造物に対して、通常、0.3〜10重量%の範囲であり、好ましくは、1〜7重量%の範囲である。リン酸アミドの含有量がメタ系アラミド繊維構造物に対して、0.3重量%よりも少ないときは、メタ系アラミド繊維構造物に十分な難燃性能を付与することができず、他方、リン酸アミドの含有量が10重量%よりも多いときは、得られる難燃性メタ系アラミド繊維構造物の風合が粗硬となったり、チョークマークを生じる恐れがある。
本発明において、前記リン酸アミドをメタ系アラミド繊維構造物に含有させるには、例えば、パディング法によることができる。即ち、リン酸アミドを水中に均一に分散させた分散液や溶剤に溶解させた溶液にメタ系アラミド繊維構造物を浸漬して、メタ系アラミド繊維構造物のリン酸アミドの含有量が所定の範囲となるようにマングル等で絞った後、例えば、110〜130℃の範囲の温度で乾燥し、次いで、必要に応じて、例えば、160〜210℃、好ましくは、180〜200℃の範囲の温度で数秒から数分間、乾熱処理を行う。
また、別の方法として、浴中処理法によることもできる。即ち、前記リン酸アミドを水中に均一に分散させた分散液や溶剤に溶解させた溶液にメタ系アラミド繊維構造物を浸漬し、110〜150℃、好ましくは、120〜140℃の範囲の温度で10〜60分間程度、吸尽処理を行う。このような前記リン酸アミドの吸尽処理は、メタ系アラミド繊維構造物の染色と同時に行うことができる。
本発明による難燃性メタ系アラミド繊維構造物は、前記リン酸アミドを少なくとも1種以上をメタ系アラミド繊維構造物に含有させることによって得ることができる。
好ましい態様によれば、前記リン酸アミドは、界面活性剤の存在下に溶剤中に分散させてなる難燃加工剤として用いられる。上記溶剤としては、通常、水が用いられるが、しかし、必要に応じて、有機溶剤も用いられる。上記界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤が用いられ、また、ノニオン系界面活性剤とアニオン系界面活性剤とが併用されてもよい。特に好ましくは、前記リン酸アミドは、これを上記界面活性剤と共に水に混合し、湿式粉砕機を用いて粉砕して、微粒子化させて水分散液として用いられる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪族エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪族アミドアルキレンオキサイド付加物等のポリオキシアルキレン型非イオン系界面活性剤や、アルキルグリコキシド、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコール型非イオン系界面活性剤を挙げることができる。
他方、上記アニオン系界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル塩等の硫酸エステル塩や、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸縁、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等を挙げることができる。
また、上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、エチルセロソルブ等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチレンクロライド、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。
上記界面活性剤や有機溶剤は、それぞれ単独で用いてもよく、また、必要に応じて、2種以上組み合わせて用いてもよい。
一般に、繊維構造物を後加工によって難燃加工する場合、用いる難燃剤の粒子径は、その加工によって繊維構造物に付与される難燃性能に重要な影響を及ぼすので、難燃剤は、その粒子径が小さいほど、繊維構造物に高い難燃性能を付与することができる。
そこで、本発明によれば、後加工によって、リン酸アミドが難燃剤としてメタ系アラミド繊維構造物の繊維の内部に十分に拡散して、難燃剤による難燃性能が耐久性を有するようにリン酸アミドの粒子径は、通常、0.3〜20μmの範囲であり、好ましくは、0.3〜3μmの範囲である。
本発明に従って、メタ系アラミド繊維構造物をリン酸アミドを含む処理液で処理するに際して、その処理液は、処理による難燃化が阻害されない範囲内において、必要に応じて、前述した以外の界面活性剤を分散剤として含んでいてもよい。更に、本発明によれば、処理液は、必要に応じて、その貯蔵安定性を高めるために、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン糊等の保護コロイド剤、処理液の難燃性を高めるための難燃助剤、洗濯耐久性を高めるためのバインダー樹脂、耐光堅牢度を高めるための紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。更に、必要に応じて、従来より知られている他の難燃剤を含んでいてもよい。
本発明によれば、リン酸アミドを含む処理液は、従来より知られている他の繊維加工剤と併用することもできる。このような繊維加工剤としては、例えば、柔軟剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、硬仕上げ剤、風合調整剤等を挙げることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。用いた試料メタ系アラミド繊維布帛は下記のとおりであり、それらの難燃性能及び耐久性の評価は、以下のようにして行った。また、実施例及び比較例において、「部」は固形分換算した重量部である。
(1)難燃性能
難燃加工した布帛について、JIS L 1091 E法(酸素指数法試験)LOI値が28以上の場合を難燃性能がすぐれていると判断し、合格とした。
難燃加工した布帛について、JIS L 1091 E法(酸素指数法試験)LOI値が28以上の場合を難燃性能がすぐれていると判断し、合格とした。
(2)染色堅牢度
JIS L 0846に準拠して、難燃加工した布帛を染色堅牢度試験法B法によって試験を行い、汚染用グレースケールで測定した。摩擦試験機は学振型を用いた。
JIS L 0846に準拠して、難燃加工した布帛を染色堅牢度試験法B法によって試験を行い、汚染用グレースケールで測定した。摩擦試験機は学振型を用いた。
(3)風合
難燃加工した布帛について、べたつきがないときを「良好」とし、べたつきがあるときを「不良」とした。
難燃加工した布帛について、べたつきがないときを「良好」とし、べたつきがあるときを「不良」とした。
(試料メタ系アラミド繊維布帛A)
メタ型アラミド繊維(デュポン社製「ノーメックス」)1.7dtx×51mm(原着)、捲縮数9山/インチの原綿80重量%と、ポリエステル繊維1.7dtx×51mm、捲縮数12山/インチの原綿20重量%からなる紡績糸36番手(綿番手)を得た。該紡績糸を双糸撚りした後、タテ、ヨコ糸共に用いて平織り(タテ65本/インチ、ヨコ57本/インチ)とした織物を毛焼きし、通常の方法によって精練、プレセットを施したものを試料メタ系アラミド繊維布帛Aとした。
メタ型アラミド繊維(デュポン社製「ノーメックス」)1.7dtx×51mm(原着)、捲縮数9山/インチの原綿80重量%と、ポリエステル繊維1.7dtx×51mm、捲縮数12山/インチの原綿20重量%からなる紡績糸36番手(綿番手)を得た。該紡績糸を双糸撚りした後、タテ、ヨコ糸共に用いて平織り(タテ65本/インチ、ヨコ57本/インチ)とした織物を毛焼きし、通常の方法によって精練、プレセットを施したものを試料メタ系アラミド繊維布帛Aとした。
(試料メタ系アラミド繊維布帛B)
メタ型アラミド繊維(デュポン社製「ノーメックス」)1.7dtx×51mm(原着)、捲縮数9山/インチの原綿100重量%からなる紡績糸36番手(綿番手)を得た。この紡績糸を双糸撚りした後、タテ、ヨコ糸共に用いて平織り(タテ65本/インチ、ヨコ57本/インチ)とした織物を毛焼きし、通常の方法によって精練、プレセットを施したものを試料メタ系アラミド繊維布帛Bとした。
メタ型アラミド繊維(デュポン社製「ノーメックス」)1.7dtx×51mm(原着)、捲縮数9山/インチの原綿100重量%からなる紡績糸36番手(綿番手)を得た。この紡績糸を双糸撚りした後、タテ、ヨコ糸共に用いて平織り(タテ65本/インチ、ヨコ57本/インチ)とした織物を毛焼きし、通常の方法によって精練、プレセットを施したものを試料メタ系アラミド繊維布帛Bとした。
(難燃加工剤Aの調製)
2L容量のセパラブルフラスコにジクロルエタン600mL、トリエチルアミン212.3g及びアニリン139.7gを仕込み、水冷下、攪拌しつつ、これにジフェニルホスホクロリド403.0gを20分かけて滴下した。滴下終了後、液温60℃で6時間攪拌を続けて、得られた析出物を濾過及び水洗後、乾燥して、アニリノジフェニルホスフェート383gを得た。
2L容量のセパラブルフラスコにジクロルエタン600mL、トリエチルアミン212.3g及びアニリン139.7gを仕込み、水冷下、攪拌しつつ、これにジフェニルホスホクロリド403.0gを20分かけて滴下した。滴下終了後、液温60℃で6時間攪拌を続けて、得られた析出物を濾過及び水洗後、乾燥して、アニリノジフェニルホスフェート383gを得た。
このアニリノジフェニルホスフェート40重量部、ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム3.5重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水25重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、上記リン酸アミドの平均粒子径が0.426μmとなるまで粉砕処理した後、105℃の温度で30分間乾燥したときの不揮発分濃度が40重量%になるように調整して、上記リン酸アミドを含む難燃加工剤Aを得た。
(難燃加工剤Bの調製)
2L容量のセパラブルフラスコに1,4−ジオキサン1000mL、トリエチルアミン80.8g及びピペラジン34.4gを仕込み、水冷下、攪拌しつつ、ジフェニルホスホロクロリド214.8gを徐々に滴下した。滴下終了後、液温60℃で4時間攪拌を続けた。得られた反応混合物を冷却した後、5Lビーカーに移し、これに水3Lを加えた。得られた析出物を濾過し、水洗した後、乾燥して、1,4−ピペラジンジイルビス(ジフェニルホスフェート)212gを得た。
2L容量のセパラブルフラスコに1,4−ジオキサン1000mL、トリエチルアミン80.8g及びピペラジン34.4gを仕込み、水冷下、攪拌しつつ、ジフェニルホスホロクロリド214.8gを徐々に滴下した。滴下終了後、液温60℃で4時間攪拌を続けた。得られた反応混合物を冷却した後、5Lビーカーに移し、これに水3Lを加えた。得られた析出物を濾過し、水洗した後、乾燥して、1,4−ピペラジンジイルビス(ジフェニルホスフェート)212gを得た。
この1,4−ピペラジンジイルビス(ジフェニルホスフェート)40重量部、ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物3.5重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水25重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、上記リン酸アミドの平均粒子径が0.531μmとなるまで粉砕処理した後、105℃の温度で30分乾燥したときの不揮発分濃度が40重量%になるように調整して、上記リン酸アミドを含む難燃加工剤Bを得た。
(難燃加工剤Cの調製)
オキシ塩化リンとフェノールとを常法に従って等モル比にて反応させてフェニルホスホロジクロリドを調製し、別に、アニリン232.5gとトリエチルアミン252.5gとをジクロロエタン2Lに溶解させて溶液を調製した。上記アニリンとトリエチルアミンのジクロロエタン溶液を攪拌しつつ、これに水冷下、上記フェニルホスホロジクロリド210gを3時間かけて滴下した。滴下終了後、得られた析出物を濾過し、水洗した後、乾燥して、ジアニリノフェニルホスフェート237g(収率73%)を融点176〜178℃の白色粉末状結晶として得た。
オキシ塩化リンとフェノールとを常法に従って等モル比にて反応させてフェニルホスホロジクロリドを調製し、別に、アニリン232.5gとトリエチルアミン252.5gとをジクロロエタン2Lに溶解させて溶液を調製した。上記アニリンとトリエチルアミンのジクロロエタン溶液を攪拌しつつ、これに水冷下、上記フェニルホスホロジクロリド210gを3時間かけて滴下した。滴下終了後、得られた析出物を濾過し、水洗した後、乾燥して、ジアニリノフェニルホスフェート237g(収率73%)を融点176〜178℃の白色粉末状結晶として得た。
このジアニリノフェニルホスフェート40重量部、ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物3.5重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水25重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、上記リン酸アミドの平均粒子径が0.434μmとなるまで粉砕処理した後、105℃の温度で30分乾燥したときの不揮発分濃度が40重量%になるように調整して、上記リン酸アミドを含む難燃加工剤Cを得た。
(難燃加工剤Dの調製)
トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物3.5重量部を乳化剤として用いて、テトラフェニル−m−フェニレンホスフェート40重量部をシリコーン系消泡剤0.1重量部と共に水50重量部に乳化分散させて、不揮発分濃度が40重量%になるように調整して、難燃加工剤Dを得た。この難燃加工剤における難燃剤の平均粒子径は、1.233μmであった。
トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物3.5重量部を乳化剤として用いて、テトラフェニル−m−フェニレンホスフェート40重量部をシリコーン系消泡剤0.1重量部と共に水50重量部に乳化分散させて、不揮発分濃度が40重量%になるように調整して、難燃加工剤Dを得た。この難燃加工剤における難燃剤の平均粒子径は、1.233μmであった。
実施例1
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf(on the weight of fiber)、難燃加工剤A20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf(on the weight of fiber)、難燃加工剤A20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
実施例2
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、難燃加工剤B20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、難燃加工剤B20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
実施例3
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、難燃加工剤C20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、難燃加工剤C20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
実施例4
試料メタ系アラミド繊維布帛Bを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、難燃加工剤A20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
試料メタ系アラミド繊維布帛Bを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、難燃加工剤A20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
実施例5
試料メタ系アラミド繊維布帛Bを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、難燃加工剤C20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
試料メタ系アラミド繊維布帛Bを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、難燃加工剤C20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
実施例6
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い水洗後、乾燥し、毛焼を行い、175℃で1分間熱処理を行った。この後、難燃加工剤Aを15%owsおよび固形分40%のアクリルバインダーを2%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行い、60℃の温水で15分間洗浄し、水洗、乾燥した後、170℃で1分間熱処理を行った。
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い水洗後、乾燥し、毛焼を行い、175℃で1分間熱処理を行った。この後、難燃加工剤Aを15%owsおよび固形分40%のアクリルバインダーを2%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行い、60℃の温水で15分間洗浄し、水洗、乾燥した後、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例1
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
比較例2
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、難燃加工剤D20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
試料メタ系アラミド繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、難燃加工剤D20%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
比較例3
試料メタ系アラミド繊維布帛Bを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
試料メタ系アラミド繊維布帛Bを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗、乾燥、毛焼した後、175℃で1分間熱処理を行った。
比較例4
試料メタ系アラミド繊維布帛Bを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理した後、通常の還元洗浄を行った。次いで、水洗、乾燥、毛焼し、175℃で1分間熱処理を行った後、難燃加工剤D15%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した。この後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行い、60℃温水で15分間洗浄し、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
試料メタ系アラミド繊維布帛Bを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.9%owf、浴比1:10となるように配合した処理液中に浸漬し、135℃で60分間処理した後、通常の還元洗浄を行った。次いで、水洗、乾燥、毛焼し、175℃で1分間熱処理を行った後、難燃加工剤D15%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した。この後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行い、60℃温水で15分間洗浄し、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
上記実施例及び比較例による難燃性メタ系アラミド繊維布帛の難燃性能と摩擦堅牢度と風合を表1に示す。
実施例1から5は、メタ系アラミド繊維布帛にリン酸アミドを浴中処理法にて含有させたものであり、実施例6はリン酸アミドを含む処理液を用いて、メタ系アラミド繊維布帛にパディング処理にてリン酸アミドを含有させたものである。これらの実施例によれば、メタ系アラミド繊維布帛は所期の難燃性(合格)を有すると共に、摩擦堅牢度、風合も共にすぐれている。
これに対して、比較例1は、実施例1から3において、リン酸アミドを用いずに、染色処理のみを行ったものであり、比較例3は、実施例4から5において、リン酸アミドを用いずに、染色処理のみを行ったものであり、いずれも、染色堅牢度と風合にはすぐれているものの、所期の難燃性を付与することができず、難燃性は不合格であった。
比較例2は、実施例1から3において、本発明で規定するリン酸アミドに代えて、従来より知られているリン酸エステルを難燃剤として用いたものである。比較例4は、実施例6において、本発明で規定するリン酸アミドに代えて、従来より知られているリン酸エステルを難燃剤として用いたものである。このように、従来より知られているリン酸エステルをメタ系アラミド繊維布帛に付着させ、難燃性能を付与しても、その性能は不安定であり、染色堅牢度も大きく低下するうえに、風合にべたつきを生じた。
Claims (8)
- メタ系アラミド繊維構造物を構成する繊維に
(a)一般式(I)
で表される1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、
(b)一般式(II)
で表されるジアリールアミノホスフェート及び
(c)一般式(III)
で表されるアリールジアミノホスフェート
から選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドを含有させてなることを特徴とする難燃性メタ系アラミド繊維構造物。 - リン酸アミド化合物の含有量がメタ系アラミド繊維構造物に対して、0.3〜10重量%の範囲である請求項1記載の難燃性メタ系アラミド繊維構造物。
- JIS L 1091に記載されているE法による試験において、難燃性メタ系アラミド繊維構造物が28.0以上の限界酸素指数を有するものである請求項1記載の難燃性メタ系アラミド繊維構造物。
- メタ系アラミド繊維構造物を構成する繊維に
(a)一般式(I)
で表される1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、
(b)一般式(II)
で表されるジアリールアミノホスフェート及び
(c)一般式(III)
で表されるアリールジアミノホスフェート
から選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドを含有させることを特徴とする難燃性メタ系アラミド繊維構造物の製造方法。 - リン酸アミドを含む処理液にてメタ系アラミド繊維構造物を処理するに際して、メタ系アラミド繊維構造物をリン酸アミドを含む処理液に浸漬し、110〜150℃の温度範囲で処理する請求項4に記載の難燃性メタ系アラミド繊維構造物の製造方法。
- リン酸アミドを含む処理液にてメタ系アラミド繊維構造物を処理するに際して、メタ系アラミド繊維構造物をリン酸アミドを含む処理液に浸漬し、絞液した後、乾燥し、160〜210℃の温度範囲で処理する請求項4に記載の難燃性メタ系アラミド繊維構造物の製造方法。
- リン酸アミドを含む処理液にてメタ系アラミド繊維構造物を処理するに際して、リン酸アミドを染色浴に加えて、リン酸アミドをメタ系アラミド繊維構造物に付着させると同時にメタ系アラミド繊維構造物を染色する請求項5に記載の難燃性メタ系アラミド繊維構造物の製造方法。
- 請求項4〜7のいずれかに記載の方法によって得られるメタ系アラミド繊維構造物。
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