JP2004332187A - 難燃性ポリエステル系合成繊維構造物とその製造方法 - Google Patents

難燃性ポリエステル系合成繊維構造物とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエステル系合成繊維構造物への後加工によって耐久性にすぐれた難燃性能を付与した難燃性ポリエステル系合成繊維構造物、特に、難燃性ポリエステル繊維布帛とその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、ポリエステル系合成繊維構造物を構成する繊維に(A)1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、ジアリールアミノホスフェート、アリールジアミノホスフェート及びトリアミノホスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドと、(B)環式ホスホン酸エステルを付着させてなる難燃性ポリエステル系合成繊維構造物が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性ポリエステル系合成繊維構造物とその製造方法に関し、詳しくは、ポリエステル系合成繊維構造物、特に、ポリエステル系合成繊維布帛への後加工によって耐久性にすぐれた難燃性能を付与した難燃性ポリエステル系合成繊維構造物とその製造方法、特に、難燃性ポリエステル系合成繊維布帛とその製造方法に関する。
従来、ポリエステル系合成繊維構造物、特に、布帛に後加工によって難燃性能を付与するための方法が種々知られている。例えば、難燃剤として、ハロゲン系化合物、代表的には、例えば、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカンのような臭素化シクロアルカンを難燃剤として分散剤にて水に分散させてなる難燃加工剤をポリエステル系合成繊維布帛に付着させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このように、ポリエステル系合成繊維構造物にハロゲン化合物を付着させて難燃性能を付与する方法によれば、そのポリエステル系合成繊維構造物が燃焼したとき、有害なハロゲン化ガスが発生し、これが環境に有害な影響を及ぼす等の間題がある。
そこで、これまでも、このようなハロゲン系化合物に代えて、ハロゲンを含まないリン酸エステルを難燃剤として用いて、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃性能を付与することが行われている。例えば、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)のような液状のリン酸エステルを界面活性剤にて水に乳化分散させてなる難燃加工剤をポリエステル系合成繊維布帛に付着させる方法が知られている(例えぱ、特許文献2参照)。
しかし、従来、難燃剤として知られているこのようなリン酸エステルは、ポリエステル系合成繊維構造物に耐洗濯性にすぐれる難燃性能を付与することができるが、しかし、その難燃性は耐ドライクリーニング性が十分でない。
また、ある種の環式ホスホン酸エステルからなる難燃剤も、ハロゲンを含まない難燃剤として、既に、知られている(例えば、特許文献3参照)。しかし、従来、難燃剤として知られているこのような環式ホスホン酸エステルは、耐ドライクリーニング性にすぐれる難燃性を付与することができるが、反面、その難燃性は耐洗濯性が十分でない。
更に、このようなリン酸エステルや環式ホスホン酸エステルを難燃剤として用いて、これをポリエステル系合成繊維構造物に付着させて、所期の難燃性能を得るには、多量の難燃剤をポリエステル系合成繊維構造物に付着させることが必要である。そして、このように多量の難燃剤をポリエステル系合成繊維構造物に付着させれば、時間の経過と共にこれらの難燃剤がポリエステル系合成繊維構造物の表面に次第に移行し、その際に、ポリエステル系合成繊維構造物の染色に用いた分散染料等も、難燃剤であるリン酸エステルや環式ホスホン酸エステルに溶解した状態で一緒に表面に移行して、所謂ブリードアウトを生じる。
このように、ポリエステル系合成繊維構造物の表面に移行した染料は、他の製品を汚染したり、また、ポリエステル系合成繊維構造物自体の染色堅牢度を著しく低下させる等の問題がある。
特公昭53−8840号公報 特開2000−328445号公報 特公昭58−53659号公報
本発明者らは、従来のポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工における上述した問題を解決するために鋭意研究した結果、ハロゲン系難燃剤によることなく、ある種のリン酸アミドと環式ホスホン酸エステルを併用する方法によって、それぞれを単独で用いた場合よりも、ポリエステル系合成繊維構造物に染色堅牢度と風合と耐久性にすぐれた難燃性能を付与することができることを見出して、本発明に至ったものである。
従って、本発明は、ポリエステル系合成繊維構造物への後加工によって耐久性にすぐれた難燃性能を付与した難燃性ポリエステル系合成繊維構造物とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、ある種のリン酸アミドと環式ホスホン酸エステルを併用する方法によって、それぞれを単独で用いた場合よりも、ポリエステル系合成繊維構造物に染色堅牢度と風合と耐久性にすぐれた難燃性能を付与することができる。特に、本発明によれば、JIS L 1091に記載されている難燃性試験A−1法又はA−2法において、区分3に合格であると共に、D法において、区分2に合格である難燃性ポリエステル系合成繊維構造物を得ることができる。
本発明によれば、ポリエステル系合成繊維構造物を構成する繊維に
(A)一般式(I)
Figure 2004332187
(式中、Ar1、Ar2、Ar3 及びAr4 はそれぞれ独立にアリール基を示す。)
で表される1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、一般式(II)
Figure 2004332187
(式中、Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立にアリール基を示し、R1 及びR2 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
で表されるジアリールアミノホスフェート、一般式(III)
Figure 2004332187
(式中、Arはアリール基を示し、R1、R2、R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R3 とR4 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
で表されるアリールジアミノホスフェート及び一般式(IV)
Figure 2004332187
(式中、R1、R2、R3、R4、R5 及びR6 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R3 とR4 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R5 とR6 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
で表されるトリアミノホスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドと、
(B)一般式(V)
Figure 2004332187
(式中、R1、R2 及びR3 はそれぞれ独立にアルキル基を示し、R4 は炭索原子数1〜4の低級アルキル基を示し、xは0又は1を示す。)
で表される環式ホスホン酸エステルとを付着させてなることを特徴とする難燃性ポリエステル系合成繊維構造物が提供される。
また、本発明によれば、ポリエステル系合成繊維構造物を構成する繊維に、上記少なくとも1種のリン酸アミドと上記環式ホスホン酸エステルを付着させることを特徴とする難燃性ポリエステル系合成繊維構造物の製造方法が提供される。
特に、本発明によれば、上記難燃性ポリエステル系合成繊維構造物の製造方法において、環式ホスホン酸エステルとリン酸アミドとを含む混合処理液にてポリエステル系合成繊維構造物を処理する方法のほか、環式ホスホン酸エステル又はリン酸アミドを含む処理液にてポリエステル系合成繊維構造物を処理した後、リン酸アミド若しくは環式ホスホン酸エステルを含む処理液か、又はリン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとを含む混合処理液にてポリエステル系合成繊維構造物を処理する方法が提供される。
更に、好ましい態様として、本発明によれば、環式ホスホン酸エステルを含む処理液にてポリエステル系合成繊維構造物を処理するに際して、上記環式ホスホン酸エステルを含む処理液をポリエステル合成繊維構造物に付与した後、乾燥し、熱処理する方法と、リン酸アミドを含む処理液か、又はリン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとを含む混合処理液にてポリエステル系合成繊維構造物を処理するに際して、リン酸アミドか、又はリン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとを染色浴に加えて、上記リン酸アミドか、又はリン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとをポリエステル系合成繊維構造物に付与すると同時にポリエステル系合成繊維構造物を染色する方法が提供される。
本発明において、ポリエステル系合成繊維構造物とは、少なくともポリエステル繊維を含む繊維と、そのような繊維を含む糸、綿、編織物や不織布等の布帛をいい、好ましくは、ポリエステル繊維、これよりなる糸、綿、編織物や不織布等の布帛をいう。
本発明において、上記ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレナフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/5−ソジオスルホイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリオキシベンゾイル、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート等を挙げることができるが、これら例示に限定されるものではなく、更に、難燃性化合物をポリエステルの製造時にポリエステル中に共重合させたもの、また、重合時又は製糸時に難燃性化合物をブレンドした難燃原糸であってもよい。
本発明による難燃性ポリエステル系合成繊維構造物は、例えば、座席シート、シートカバー、カーテン、壁紙、天井クロス、カーペット、緞帳、建築養生シート、テント、帆布等に好適に用いられる。
本発明による難燃性ポリエステル系合成繊維構造物は、ポリエステル系合成繊維構造物を構成する繊維に難燃剤として、
(A)一般式(I)
Figure 2004332187
(式中、Ar1、Ar2、Ar3 及びAr4 はそれぞれ独立にアリール基を示す。)
で表される1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、一般式(II)
Figure 2004332187
(式中、Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立にアリール基を示し、R1 及びR2 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
で表されるジアリールアミノホスフェート、一般式(III)
Figure 2004332187
(式中、Arはアリール基を示し、R1、R2、R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R3 とR4 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
で表されるアリールジアミノホスフェート及び一般式(IV)
Figure 2004332187
(式中、R1、R2、R3、R4、R5 及びR6 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R3 とR4 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R5 とR6 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
で表されるトリアミノホスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドと、
(B)一般式(V)
Figure 2004332187
(式中、R1、R2 及びR3 はそれぞれ独立にアルキル基を示し、R4 は炭素原子数1〜4の低級アルキル基を示し、xは0又は1を示す。)
で表される環式ホスホン酸エステルとを付着させてなるものである。
上記一般式(I)で表される第一のリン酸アミド、1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)において、Ar1、Ar2、Ar3 及びAr4 はそれぞれ独立にアリール基であり、好ましくは、炭素原子数6〜18のアリール基である。このようなアリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等を挙げることができ、なかでも、フェニル基が好ましい。これらのアリール基は、炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。このような低級アルキル基を有するアリール基として、例えば、トリル、キシリル、メチルナフチル基等を挙げることができる。
本発明によれば、上述したような第一のリン酸アミドの好ましい具体例として、1,4−ピペラジンジイルビス(ジフェニルホスフェート)を挙げることができる。
例えば、この1,4−ピペラジンジイルビス(ジフェニルホスフェート)は、特開平10−175985号公報に記載されているように、溶剤中、アミン触媒の存在下にピペラジンにジフェニルホスホロクロリデートを反応させることによって得ることができる。
上記一般式(II)で表わされる第二のリン酸アミド、ジアリールアミノホスフェートにおいて、Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立にアリール基であり、好ましくは、炭素原子数6〜18のアリール基である。このようなアリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等を挙げることができ、なかでも、フェニル基が好ましい。これらのアリール基は、炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。そのような低級アルキル基を有するアリール基として、例えば、トリル、キシリル、メチルナフチル基等を挙げることができる。
上記一般式(II)で表わされるジアリールアミノホスフェートにおいて、R1 及びR2 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。
上記一般式(II)において、上記低級アルキル基は、好ましくは、炭素原子数1から4のアルキル基であり、メチル、エチル、プロピル又はブチル基である。炭素原子数3以上のアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル基等を例示することができるが、好ましくは、シクロヘキシル基である。アリール基は、好ましくは、炭素原子数6〜18のアリール基であり、このようなアリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等を挙げることができ、なかでも、フェニル基が好ましい。これらのアリール基は、炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。そのような低級アルキル基を有するアリール基として、例えば、トリル、キシリル、メチルナフチル基等を挙げることができる。また、アラルキル基は、好ましくは、ベンジル又はフェネチル基であり、これらはそのフェニル基上に炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。
更に、上記一般式(II)において、R1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。この場合、環は、通常、6員環であることが好ましく、従って、そのような6員環として、例えば、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ基等を挙げることができる。
従って、第二のリン酸アミドの好ましい具体例として、例えば、アミノジフェニルホスフェート、メチルアミノジフェニルホスフェート、ジメチルアミノジフェニルホスフェート、エチルアミノジフェニルホスフェート、ジエチルアミノジフェニルホスフェート、プロピルアミノジフェニルホスフェート、ジプロピルアミノジフェニルホスフェート、オクチルアミノジフェニルホスフェート、ジフェニルウンデシルアミノホスフェート、シクロヘキシルアミノジフェニルホスフェート、ジシクロヘキシルアミノジフェニルホスフェート、アリルアミノジフェニルホスフェート、アニリノジフェニルホスフェート、ジ−o−クレジルフェニルアミノホスフェート、ジフェニル(メチルフェニルアミノ)ホスフェート、ジフェニル(エチルフェニルアミノ)ホスフェート、ベンジルアミノジフェニルホスフェート、モルホリノジフェニルホスフェート等を挙げることができる。
このようなジアリ−ルアミノホスフェ−トは、特開2000−154277号公報に記載されているように、有機溶剤中、アミン触媒の存在下にジアリールホスホロクロリデートに有機アミン化合物を反応させることによって得ることができる。
特に、本発明によれば、一般式(II)で表されるリン酸アミドにおいて、Ar1 及びAr2 は好ましくはフェニル又はトリル基であり、R1 及びR2 は一方が水素原子であり、他方がフェニル又はシクロヘキシル基であるものである。このようなリン酸アミドとして、例えば、アニリノジフェニルホスフェート、ジ−o−クレジルフェニルアミノホスフェート又はシクロヘキシルアミノジフェニルホスフェートを挙げることができる。
上記一般式(III) で表される第三のリン酸アミド、アリールジアミノホスフェートにおいて、Ar1 はアリール基であり、好ましくは、炭素原子数6〜18のアリール基である。このようなアリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等を挙げることができ、なかでも、フェニル基が好ましい。これらのアリール基は、炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。そのような低級アルキル基を有するアリール基として、例えば、トリル、キシリル、メチルナフチル基等を挙げることができる。
上記一般式(III) で表されるアリールジアミノホスフェートにおいて、R1、R2、R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 とR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成してもよく、また、R3 とR4 も同様に、相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成してもよい。
上記一般式(III) において、上記低級アルキル基は、好ましくは、炭素原子数1から4のアルキル基であり、メチル、エチル、プロピル又はブチル基である。炭素原子数3以上のアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル基等を例示することができるが、好ましくは、シクロヘキシル基である。アリール基は、好ましくは、炭素原子数6〜18のアリール基であり、このようなアリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等を挙げることができ、好ましくは、フェニル基である。これらのアリール基は、炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。そのような低級アルキル基を有するアリール基として、例えば、トリル、キシリル、メチルナフチル基等を挙げることができる。また、アラルキル基は、好ましくは、ベンジル又はフェネチル基であり、これらはそのフェニル基上に炭素原子数1から4の低級アルキル基を有していてもよい。
更に、上記一般式(III) において、R1 とR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。この場合、環は、通常、6員環であることが好ましく、従って、そのような6員環として、例えば、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ基等を挙げることができる。同様に、R3 とR4 も、相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。この場合、環は、通常、6員環であることが好ましく、従って、そのような6員環として、例えば、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ基等を挙げることができる。R1 とR2 の組合わせとR3 とR4 の組合わせのうち、一方のみが環を形成していてもよく、両方共が環を形成していてもよい。
従って、第三のリン酸アミドの好ましい具体例として、例えば、ジアミノフェニルホスフェート、アミノメチルアミノフェニルホスフェート、ビス(メチルアミノ)フェニルホスフェート、アミノエチルアミノフェニルホスフェート、ビス(エチルアミノ)フエニルホスフェート、アミノプロピルアミノフェニルホスフェート、ビス(プロピルアミノ)フェニルホスフェート、アミノオクチルアミノフェニルホスフェート、アミノウンデシルアミノフェニルホスフェート、アミノシクロヘキシルアミノフェニルホスフェート、ビスシクロヘキシルアミノフェニルホスフェート、ビスアリルアミノフェニルホスフェート、アミノアニリノフェニルホスフェート、ジアニリノフェニルホスフェート、アニリノメチルアミノフェニルホスフェート、エチルアミノフェニルアミノフェニルホスフェート、ビスベンジルアミノフェニルホスフェート、ジモルホリノフェニルホスフェート等を挙げることができる。
このようなアリールジアミノホスフェ−トは、特開2000−154277号公報に記載されているように、有機溶剤中、アミン触媒の存在下にアリールホスホロジクロリデートに有機アミン化合物を反応させることによって得ることができる。
特に、本発明によれば、一般式(III) で表されるリン酸アミドのうち、Ar1 がフェニル基であり、R1 とR2 のうち、一方が水素原子であり、他方がフェニル又はシクロヘキシル基であるものが好ましく用いられる。そのようなリン酸アミドの具体例として、ビスシクロヘキシルアミノフェニルホスフェートやジアニリノフェニルホスフェートを挙げることができる。
上記一般式(IV)で表される第四のリン酸アミドであるトリアミノホスフェートにおいて、R1、R2、R3、R4、R5 及びR6 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R3 とR4 も、同様に、相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、更に、R5 とR6 も、同様に、相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。
上記一般式(IV)において、上記低級アルキル基は、好ましくは、炭素原子数1から4のアルキル基であり、メチル、エチル、プロピル又はブチル基である。炭素原子数3以上のアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル基等を例示することができるが、好ましくは、シクロヘキシル基である。アリール基は、好ましくは、炭素原子数6〜18のアリール基であり、このようなアリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等を挙げることができ、好ましくは、フェニル基である。これらのアリール基は、炭素原子数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1〜3個の範囲で有していてもよい。そのような低級アルキル基を有するアリール基として、例えば、トリル、キシリル、メチルナフチル基等を挙げることができる。また、アラルキル基は、好ましくは、ベンジル又はフェネチル基であり、これらはそのフェニル基上に炭素原子数1から4の低級アルキル基を有していてもよい。
更に、上記一般式(IV)において、R1 とR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。この場合、環は、通常、6員環であることが好ましく、従って、そのような6員環として、例えば、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ基等を挙げることができる。同様に、R3 とR4 も、相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。更に、同様に、R5 とR6 も、同様に、相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。R1 とR2 の組合わせとR3 とR4 の組合わせとR5 とR6 の組合わせのうち、いずれかの組合わせのみが環を形成していてもよく、いずれかの二つの組合わせが環を形成していてもよく、すべての組合わせが環を形成していてもよい。
従って、第四のリン酸アミドの好ましい具体例として、例えば、トリアミノホスフェート、ジアミノメチルアミノホスフェート、ビス(メチルアミノ)アミノホスフェート、ジアミノエチルアミノホスフェート、ビス(エチルアミノ)アミノホスフェート、ジアミノプロピルアミノホスフェート、ビス(プロピルアミノ)アミノホスフェート、ジアミノオクチルアミノホスフェート、ジアミノウンデシルアミノホスフェート、ジアミノシクロヘキシルアミノホスフェート、トリシクロヘキシルアミノホスフェート、アミノビスアリルアミノホスフェート、ジアミノアニリノホスフェート、トリアニリノホスフェート、ビスアニリノメチルアミノホスフェート、ビスアニリノエチルアミノホスフェート、トリベンジルアミノホスフェート、トリピペリジノホスフェート等を挙げることができる。
このようなトリアミノホスフェートは、特開昭49−53241号公報に記載されているように、有機溶剤中、オキシ塩化リンに有機アミン化合物を反応させることによって得ることができる。
特に、本発明によれぱ、一般式(IV)で表されるリン酸アミドのうち、R1 とR2 のうち、一方が水素原子であり、他方がフェニル又はシクロヘキシル基であるものが好ましく用いられる。そのようなリン酸アミドの具体例として、トリシクロヘキシルアミノホスフェートやトリアニリノホスフェートを挙げることができる。
一方、前記一般式(V)で表される環式ホスホン酸エステルにおいて、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ独立にアルキル基、好ましくは、炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基を示し、具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル基等を挙げることができる。R4 は、炭素原子数1〜4の低級アルキル基であり、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はt−ブチル基を挙げることができる。特に、本発明によれば、R1 、R2 及びR4 はメチル基であり、R3 はエチル基であることが好ましい。
従って、本発明によれば、前記一般式(V)で表される環式ホスホン酸エステルの具体例として、例えば、(5−エチル−2−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチルジメチルホスホネート−P−オキサイド、ビス〔(5−エチル−2−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチル〕メチルホスホネート−P,P'−ジオキサイド等を挙げることができる。このような環式ホスホン酸エステルは水溶性の液体であって、市販品として入手することができる。
本発明によれば、ポリエステル系合成繊維構造物への前記リン酸アミドの付着量は、ポリエステル系合成繊維構造物に対して、通常、0.3〜10重量%の範囲であり、好ましくは、1〜7重量%の範囲である。リン酸アミドの付着量がポリエステル系合成繊維構造物に対して、0.3重量%よりも少ないときは、ポリエステル系合成繊維構造物に十分な難燃性能を付与することができず、他方、リン酸アミドの付着量が10重量%よりも多いときは、得られる難燃性ポリエステル系合成繊維構造物の風合が粗硬となったり、チョークマークを生じるおそれがある。
他方、ポリエステル系合成繊維構造物への前記環式ホスホン酸エステルの付着量は、ポリエステル系合成繊維構造物に対して、通常、0.03〜5重量%の範囲であり、好ましくは、0.3〜3重量%の範囲である。環式ホスホン酸エステルの付着量がポリエステル系合成繊維構造物に対して、0.03重量%よりも少ないときには、ポリエステル系合成繊維構造物に十分な難燃性能を付与することができず、他方、環式ホスホン酸エステルの付着量がポリエステル系合成繊維構造物に対して5重量%よりも多いときは、得られる難燃性ポリエステル系合成繊維構造物の風合にべたつき感が生じたり、染色堅牢度が低下するおそれがある。
本発明において、前記リン酸アミドをポリエステル系合成繊維構造物に付着させるには、例えば、パディング法によることができる。即ち、リン酸アミドを水中に均一に分散させた分散液や溶剤に溶解させた溶液にポリエステル系合成繊維構造物を浸漬して、所定の付着量になるようにマングル等で絞った後、例えば、110〜130℃の範囲の温度で乾燥し、次いで、必要に応じて、例えば、170〜210℃、好ましくは、180〜200℃の範囲の温度で数秒から数分間、乾熱処理を行う。
また、別の方法として、浴中処理法によることもできる。即ち、前記リン酸アミドを水中に均一に分散させた分散液や溶剤に溶解させた溶液にポリエステル系合成繊維構造物を浸漬し、110〜150℃、好ましくは、120〜140℃の範囲の温度で10〜60分間程度、吸尽処理を行う。このような前記リン酸アミドの吸尽処理は、ポリエステル系合成繊維構造物の染色と同時に行うことができる。
前記環式ホスホン酸エステルをポリエステル繊維構造物に付着させるには、例えば、パディング法によることができる。即ち、環式ホスホン酸エステルを水中に均一に分散させた分散液や溶剤に溶解させた溶液にポリエステル系合成繊維構造物を浸漬して、所定の付着量になるようにマングル等で絞った後、例えば、110〜130℃の範囲の温度で乾燥し、次いで、必要に応じて、例えば、170〜210℃、好ましくは、180〜200℃の範囲の温度で数秒から数分間、乾熱処理を行う。
同様に、別の方法として、浴中処理法によることもできる。即ち、前記環式ホスホン酸エステルを水中に均一に分散させた分散液や溶剤に溶解させた溶液にポリエステル系合成繊維構造物を浸漬し、110〜150℃、好ましくは、120〜140℃の範囲の温度で10〜60分間程度、吸尽処理を行なう。このような前記環式ホスホン酸エステルの吸尽処理は、ポリエステル系合成繊維構造物の染色と同時に行うことができる。
本発明による難燃性ポリエステル系合成繊維構造物は、前記リン酸アミドを少なくとも1種以上と前記環式ホスホン酸エステルとをポリエステル系合成繊維構造物に付着させることによって得ることができる。
本発明によれば、前記リン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとをポリエステル系合成繊維構造物に付着させるに際しては、リン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとを共に含む混合処理液でポリエステル系合成繊維構造物を処理し、このように、一段の処理によって同時に付着させてもよく、また、リン酸アミドと環式ホスホン酸エステルのいずれかの難燃剤を含む処理液にてポリエステル系合成繊維構造物を処理した後、他の難燃剤を含む処理液か、又はリン酸アミドと環式ホスホン酸エステルの双方を含む混合処理液でポリエステル系合成繊維構造物を処理して、難燃剤を二段にてポリエステル系合成繊維構造物に付着させてもよい。
従って、より詳細には、例えば、前記リン酸アミド又は環式ホスホン酸エステルを浴中処理法にてポリエステル系合成繊維構造物に付着させた後、前記リン酸アミド又は環式ホスホン酸エステルをパディング法にてポリエステル系合成繊維構造物に付着させてもよく、また、前記リン酸アミド又は環式ホスホン酸エステルをパディング法にてポリエステル系合成繊維構造物に付着させた後、前記リン酸アミド又は環式ホスホン酸エステルを浴中処理法にてポリエステル系合成繊維構造物に付着させてもよい。
更に、別の方法として、前記リン酸アミドと環式ホスホン酸エステルを共に含む混合処理液を用いて、浴中処理法にてそれぞれを同時に付着させてもよく、また、前記リン酸アミドと環式ホスホン酸エステルを共に含む混合処理液を用いて、パディング法にてそれぞれを同時に付着させてもよい。
好ましい態様によれば、前記リン酸アミドは、界面活性剤の存在下に溶剤中に分散させてなる難燃加工剤として用いられる。上記溶剤としては、通常、水が用いられるが、しかし、必要に応じて、有機溶剤も用いられる。上記界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤が用いられ、また、ノニオン系界面活性剤とアニオン系界面活性剤とが併用されてもよい。特に好ましくは、前記リン酸アミドは、これを上記界面活性剤と共に水に混合し、湿式粉砕機を用いて粉砕して、微粒子化させて水分散液として用いられる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪族エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物等のポリオキシアルキレン型非イオン系界面活性剤や、アルキルグリコキシド、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコール型非イオン系界面活性剤を挙げることができる。
他方、上記アニオン系界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル塩等の硫酸エステル塩や、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等を挙げることができる。
また、上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、エチルセロソルブ等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチレンクロライド、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。
上記界面活性剤や有機溶剤は、それぞれ単独で用いてもよく、また、必要に応じて、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般に、繊維構造物を後加工によって難燃加工する場合、用いる難燃剤の粒子径は、その加工によって繊維構造物に付与される難燃性能に重要な影響を及ぼすので、難燃剤は、その粒子径が小さいほど、繊維構造物に高い難燃性能を付与することができる。
そこで、本発明によれば、後加工によって、リン酸アミドが難燃剤としてポリエステル系合成繊維構造物の繊維の内部に十分に拡散して、難燃剤による難燃性能が耐久性を有するように、リン酸アミドの粒子径は、通常、0.3〜20μmの範囲であり、好ましくは0.3〜3μmの範囲である。
前述したように、前記環式ホスホン酸エステルは、通常、水溶性である。従って、前記環式ホスホン酸エステルは、通常、水に溶解させてなる難燃加工剤として用いられる。しかし、必要に応じて、適宜の溶媒に分散させて用いることもできる。
本発明に従って、ポリエステル系合成繊維構造物をリン酸アミド及び/又は環式ホスホン酸エステルを含む処理液で処理するに際して、その処理液は、処理による難燃化が阻害されない範囲内において、必要に応じて、前述した以外の界面活性剤を分散剤として含んでいてもよい。更に、本発明によれば、処理液は、必要に応じて、その貯蔵安定性を高めるために、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン糊等の保護コロイド剤、処理液の難燃性を高めるための難燃助剤、耐光堅牢度を高めるための紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。更に、必要に応じて、従来より知られている他の難燃剤を含んでいてもよい。
本発明によれば、リン酸アミド及び/又は環式ホスホン酸エステルを含む処理液は、従来より知られている他の繊維加工剤と併用することもできる。このような繊維加工剤としては、例えば、柔軟剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、硬仕上げ剤、風合調整剤等を挙げることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。用いた試料ポリエステル繊維布帛は下記のとおりであり、それらの難燃性能及びその耐久性の評価は、以下のようにして行った。また、実施例及び比較例において、「部」は固形分換算した重量部である。
(1)難燃性能
難燃加工した布帛とこれを下記の条件で5回水洗濯又は5回ドライクリーニング(DC)したものについて、JIS L 1091 A−1法(ミクロバーナー法)及びJIS L 1091 D法(コイル法)にて難燃性能を評価した。ミクロバーナー法においては、1分間加熱、着炎後3秒加熱共に、残炎が3秒以内、残塵が5秒以内、炭化面積が30cm2 以内のとき、区分3に合格であり、コイル法においては、接炎回数が3回以上であるとき、区分2に合格である。
(水洗濯)
JIS K 3371に従って、弱アルカリ性第1種洗剤を1g/Lの割合で用い、浴比1:40として、60℃±2℃で15分間水洗濯した後、40℃±2℃で5分間のすすぎを3回行ない、遠心脱水を2分間行ない、その後、60℃±5℃で熱風乾燥する1サイクルを5サイクル行った。
(DC)
試料1gにつき、テトラクロロエチレン12.6mL、チャージソープ0.265g(チャージソープの重量組成はノニオン系界面活性剤(ノニルフェニルエーテルのエチレンオキシド10モル付加物)/アニオン系界面活性剤(ジオクチル琥珀酸ナトリウム塩)/水=10/10/1)を用いて、30℃±2℃で15分間の処理を1サイクルとし、これを5サイクル行った。
(2)染色堅牢度
JIS L 0846に準拠して、難燃加工した布帛を染色堅牢度試験法B法によって試験を行い、汚染用グレースケールで測定した。摩擦試験機は学振形を用いた。
(試料ポリエステル繊維布帛)
経糸として90デシテックス48フィラメントのスルホン化芳香族ジカルボン酸変性ポリエチレンテレフタレートからなる変性ポリエステル繊維を用い、緯糸として150デシテックス48フィラメントのポリエステル繊維を用い、平織とした織物に通常の方法によって精練、プレセットを施したものを試料ポリエステル繊維布帛とした。
(難燃加工剤Aの調製)
2L容量のセパラブルフラスコにジクロルエタン600mL、トリエチルアミン212.3g及びアニリン139.7gを仕込み、水冷下、攪拌しつつ、これにジフェニルホスホクロリド403.0gを20分かけて滴下した。滴下終了後、液温60℃で6時間攪拌を続けて、得られた析出物を濾過及び水洗した後、乾燥して、アニリノジフェニルホスフェート383gを得た。
このアニリノジフェニルホスフェート40重量部、ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム3.5重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水25重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、上記リン酸アミドの平均粒子径が0.426μmとなるまで粉砕処理した後、105℃の温度で30分間乾燥したときの不揮発分濃度が40重量%になるように調整して、上記リン酸アミドを含む難燃加工剤Aを得た。
(難燃加工剤Bの調製)
トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物3.5重量部を乳化剤として用いて、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)液状物40重量部をシリコーン系消泡剤0.1重量部と共に水50重量部に乳化分散させて、不揮発分濃度が40重量%になるように調整して、難燃加工剤Bを得た。この難燃加工剤における難燃剤の平均粒子径は1.233μmであった。
(難燃加工剤Cの調製)
(5−エチル−2−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチルジメチルホスホネート−P−オキサイドとビス〔(5−エチル−2−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチル〕メチルホスホネート−P,P'−ジオキサイドとの混合物(リン含有量20.5重量%〉を水に溶解させ、濃度80重量%に調整して、難燃加工剤Cを得た。
(難燃加工剤Dの調製)
2L容量のセパラブルフラスコに1,4−ジオキサン1000mL、トリエチルアミン80.8g及びピペラジン34.4gを仕込み、水冷下、攪拌しつつ、ジフェニルホスホロクロリド214.8gを徐々に滴下した。滴下終了後、液温60℃で4時間攪拌を続けた。得られた反応混合物を冷却した後、5Lビーカーに移し、これに水3Lを加えた。得られた析出物を濾過し、水洗した後、乾燥して、1,4−ピペラジンジイルビス(ジフェニルホスフェート)212gを得た。
この1,4−ピペラジンジイルビス(ジフェニルホスフェート)40重量部、ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物3.5重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水25重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、上記リン酸アミドの平均粒子径が0.531μmとなるまで粉砕処理した後、105℃の温度で30分乾燥したときの不揮発分濃度が40重量%になるように調整して、上記リン酸アミドを含む難燃加工剤Dを得た。
(難燃加工剤Eの調製)
オキシ塩化リンとフェノールとを常法に従って等モル比にて反応させてフェニルホスホロジクロリドを調製し、別に、アニリン232.5gとトリエチルアミン252.5gとをジクロロエタン2Lに溶解させて溶液を調製した。上記アニリンとトリエチルアミンのジクロロエタン溶液を攪拌しつつ、これに水冷下、上記フェニルホスホロジクロリド210gを3時間かけて滴下した。滴下終了後、得られた析出物を濾過し、水洗した後、乾燥して、ジアニリノフェニルホスフェート237g(収率73%)を融点176〜178℃の白色粉末状結晶として得た。
このジアニリノフェニルホスフェート40重量部、ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物3.5重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水25重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、上記リン酸アミドの平均粒子径が0.434μmとなるまで粉砕処理した後、105℃の温度で30分乾燥したときの不揮発分濃産が40重量%になるように調整して、上記リン酸アミドを含む難燃加工剤Eを得た。
実施例1
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf(on the weight of fiber)、難燃加工剤A17%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。この後、難燃加工剤Cを3%ows(on the weight of solution)となるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行い、60℃の温水で15分間洗浄し、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
実施例2
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤A17%owf、難燃加工剤C7%owf、浴比1:30となるように配合した混合処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
実施例3
試料ポリエステル繊維布帛を難燃加工剤C5%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行った。この後、分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤A17%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
実施例4
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。この後、難燃加工剤A10%ows、難燃加工剤C7%owsとなるように配合した混合処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行い、60℃の温水で15分間洗浄し、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
実施例5
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤D17%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処埋を行った。この後、難燃加工剤Dを3%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行い、60℃の温水で15分間洗浄し、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熟処理を行った。
実施例6
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤E17%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。この後、難燃加工剤Eを3%owsとなるように希釈した処埋液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行い、60℃の温水で15分間洗浄し、水洗した後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例1
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤A17%owf、浴比1:30となるように配合した混合処理液中に浸漬し、130℃で45分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例2
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤A17%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例3
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。この後、難燃加工剤A10%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行い、60℃の温水で15分間洗浄し、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例4
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。この後、難燃加工剤C3%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行い、60℃の温水で15分間洗浄し、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例5
試料ポリエステル繊維布帛を難燃加工剤C5%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分問、乾熱処理を行った。この後、分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例6
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤B17%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。この後、難燃加工剤Cを3%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行い、60℃の温水で15分間洗浄し、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例7
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤B17%owf、難燃加工剤C7%owf、浴比1:30となるように配合した混合処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例8
試料ポリエステル繊維布帛を難燃加工剤C5%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分間、乾熱処理を行った。この後、分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤B17%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例9
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。この後、難燃加工剤B10%ows、難燃加工剤C7%owsとなるように配合した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分聞、乾熱処理を行い、60℃の温水で15分間洗浄し、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例10
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤A35%owf、浴比1:30となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例11
試料ポリエステル繊維布帛を分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、浴比1:30となるように配含した処理液中に浸漬し、130℃で45分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。この後、難燃加工剤C18%owsとなるように希釈した処理液に浸漬し、パディング処理(絞り率70%)した後、130℃で3分間乾燥し、190℃で1分聞、乾熱処理を行い、60℃の温水で15分間洗浄し、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
上記実施例及び比較例による難燃性ポリエステル繊維布帛の難燃性能と摩擦堅牢度と風合を表1から表3に示す。
Figure 2004332187
Figure 2004332187
Figure 2004332187
実施例1、5及び6は、ポリエステル繊維布帛にリン酸アミドを浴中処理法にて付着させた後、環式ホスホン酸エステルをパディング法にて付着させたものであり、実施例2は、リン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとを含む混合処理液を用いて、ポリエステル繊維布帛を浴中処理したものであり、実施例3は、ポリエステル繊維布帛に環式ホスホン酸エステルをパディング法にて付着させた後、リン酸アミドを浴中処理法にて付着させたものであり、実施例4は、リン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとを含む混合処理液を用いて、ポリエステル繊維布帛をパディング処理したものである。これらの実施例によれば、ポリエステル繊維布帛は、所期の難燃性(合格)を有すると共に、摩擦堅牢度、風合も共にすぐれている。
これに対して、比較例1は、実施例1において、リン酸アミドのみを浴中処理法にてポリエステル繊維布帛に付着させたものであり、比較例2は、実施例2において、環式ホスホン酸エステルのみを浴中処理法にてポリエステル繊維布帛に付着させたものであり、いずれも、摩擦堅牢度と風合にはすぐれているものの、所期の難燃性を付与することができず、難燃性は不合格であった。
比較例3は、実施例4において、リン酸アミドのみをパデイング法にてポリエステル繊維布帛に付着させたものであり、比較例4は、実施例1において、環式ホスホン酸エステルのみをパディング法にてポリエステル繊維布帛に付着させたものであり、比較例5は、実施例3において、ポリエステル繊維布帛に環式ホスホン酸エステルをパディング法にて付着させた後、浴中処理において、リン酸アミドを用いなかったものであり、いずれも、摩擦堅牢度と風合にはすぐれているものの、難燃性は不合格であった。
比較例6は、実施例1において、本発明で規定するリン酸アミドに代えて、従来より知られているリン酸エステルを難燃剤として用いたものであり、比較例7は、実施例2において、本発明で規定するリン酸アミドに代えて、従来より知られているリン酸エステルを難燃剤として用いたものであり、比較例8は、実施例3において、本発明で規定するリン酸アミドに代えて、従来より知られているリン酸エステルを難燃剤として用いたものであり、比較例9は、実施例4において、本発明で規定するリン酸アミドに代えて、従来より知られているリン酸エステルを難燃剤として用いたものである。このように、従来より知られているリン酸エステルをポリエステル繊維布帛に付着させて、難燃性能を付与しても、その難燃性能はドライクリーニングに対する耐久性が悪く、従って、いずれも難燃性能は不合格であった。そのうえ、風合にべたつきを生じた。
比較例10は、比較例1において、約2倍量のリン酸アミドを浴中処理法にて付着させたものであり、難燃性能は合格であったが、風合が粗硬となった。比較例11は、比較例4において、約6倍量の環式ホスホン酸エステルを用いて、パデイング法にて付着させたものであり、難燃性能は合格であったが、摩擦堅牢度が着しく低下した。

Claims (10)

  1. ポリエステル系合成繊維構造物を構成する繊維に
    (A)一般式(I)
    Figure 2004332187
    (式中、Ar1、Ar2、Ar3 及びAr4 はそれぞれ独立にアリール基を示す。)
    で表される1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、一般式(II)
    Figure 2004332187
    (式中、Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立にアリール基を示し、R1 及びR2 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
    で表されるジアリールアミノホスフェート、一般式(III)
    Figure 2004332187
    (式中、Arはアリール基を示し、R1、R2、R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R3 とR4 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
    で表されるアリールジアミノホスフェート及び一般式(IV)
    Figure 2004332187
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5 及びR6 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R3 とR4 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R5 とR6 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
    で表されるトリアミノホスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドと、
    (B)一般式(V)
    Figure 2004332187
    (式中、R1、R2 及びR3 はそれぞれ独立にアルキル基を示し、R4 は炭素原子数1〜4の低級アルキル基を示し、xは0又は1を示す。)
    で表される環式ホスホン酸エステルとを付着させてなることを特徴とする難燃性ポリエステル系合成繊維構造物。
  2. リン酸アミドの付着量がポリエステル系合成繊維構造物に対して、0.3〜10重量%の範囲である請求項1に記載の難燃性ポリエステル系合成繊維構造物。
  3. 環式ホスホン酸エステルの付着量がポリエステル系合成繊維構造物に対して、0.03〜5重量%の範囲である請求項1に記載の難燃性ポリエステル系合成繊維構造物。
  4. 難燃性ポリエステル系繊維構造物がJIS L 1091に記載されている難燃性試験A−1法又はA−2法において、区分3に合格であると共に、D法において、区分2に合格である請求項1に記載の難燃性ポリエステル系合成繊維構造物。
  5. ポリエステル系合成繊維構造物を構成する繊維に
    (A)一般式(I)
    Figure 2004332187
    (式中、Ar1、Ar2、Ar3 及びAr4 はそれぞれ独立にアリール基を示す。)
    で表される1,4−ピペラジンジイルビス(ジアリールホスフェート)、一般式(II)
    Figure 2004332187
    (式中、Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立にアリール基を示し、R1 及びR2 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
    で表されるジアリールアミノホスフェート、一般式(III)
    Figure 2004332187
    (式中、Arはアリール基を示し、R1、R2、R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R3 とR4 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
    で表されるアリールジアミノホスフェート及び一般式(IV)
    Figure 2004332187
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5 及びR6 はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基又はアラルキル基を示し、又はR1 及びR2 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R3 とR4 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよく、また、R5 とR6 は相互に結合して、リン原子に結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
    で表されるトリアミノホスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン酸アミドと、
    (B)一般式(V)
    Figure 2004332187
    (式中、R1、R2 及びR3 はそれぞれ独立にアルキル基を示し、R4 は炭素原子数1〜4の低級アルキル基を示し、xは0又は1を示す。)
    で表される環式ホスホン酸エステルを付着させることを特徴とする難燃性ポリエステル系合成繊維構造物の製造方法。
  6. 環式ホスホン酸エステルとリン酸アミドとを含む混合処理液にてポリエステル系合成繊維構造物を処理する請求項5に記載の難燃性ポリエステル系合成繊維構造物の製造方法。
  7. 環式ホスホン酸エステル又はリン酸アミドを含む処理液にてポリエステル系合成繊維構造物を処理した後、リン酸アミド若しくは環式ホスホン酸エステルを含む処理液か、又はリン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとを含む混合処理液にてポリエステル系合成繊維構造物を処理する請求項5に記載の難燃性ポリエステル系合成繊維構造物の製造方法。
  8. 環式ホスホン酸エステルを含む処理液にてポリエステル系合成繊維構造物を処理するに際して、上記環式ホスホン酸エステルを含む処理液をポリエステル系合成繊維構造物に付与した後、乾燥し、熱処理する請求項7に記載の難燃性ポリエステル系合成繊維構造物の製造方法。
  9. リン酸アミドを含む処理液か、又はリン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとを含む混合処理液にてポリエステル系合成繊維構造物を処理するに際して、リン酸アミドか、又はリン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとを染色浴に加えて、上記リン酸アミドか、又はリン酸アミドと環式ホスホン酸エステルとをポリエステル系合成繊維構造物に付与すると同時にポリエステル系合成繊維構造物を染色する請求項7に記載の難燃性ポリエステル系合成繊維構造物の製造方法。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載の方法によって得られる難燃性ポリエステル系合成繊維構造物。

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