JP2007131967A - ポリエステル系繊維の難燃加工剤とその加工方法 - Google Patents

ポリエステル系繊維の難燃加工剤とその加工方法 Download PDF

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俊夫 鍵政
Yasunari Hayashino
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成敏 加古
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Abstract

【課題】収着性が良好で、耐久難燃性に優れるポリエステル系繊維用の難燃加工剤及びこれを用いた加工方法を提供する。
【解決手段】一般式(I)で表されるナフチルホスフェート化合物の1種又は2種以上の混合物と、一般式(II)で表されるモノホスフェート化合物の1種又は2種以上の混合物とを含有する、水分散体もしくは水乳化体である難燃加工剤を用いる。
Figure 2007131967

(ただし、式中、X,Yは、1〜3の整数、R,R,R,Rは、水素原子又は低級アルキル基を示し、これらは同一でも異なっていてもよい。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル系繊維又はこれによりなる布帛等の繊維製品に対し難燃性を付与することができる難燃加工剤、及びそれを用いた難燃加工方法に関する。
従来、ポリエステル系繊維又はこれによりなる布帛等の繊維製品に対して後加工により難燃性を付与するための難燃加工剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)などのハロゲン系化合物を水に分散または乳化させたものが一般に使用されてきた。しかし、このようなハロゲン系難燃加工剤で処理されたポリエステル系繊維は、燃えるとブロムダイオキシンなどの有害なハロゲン化ガスが発生する危惧があり、脱ハロゲン化の要請が高まっている。
また吸尽加工に使用されてきたHBCDは難分解・高蓄積性を有することが判明し、脱HBCDの要求もある。
これに対し有機リン酸エステルのようなリン化合物を使用した難燃加工剤が使用されているが、縮合リン酸エステルでは、表面付着はあっても収着は少なく、表面付着物は、RC(還元洗浄)等アルカリソーピングや、水洗濯、ドライクリーニング等で脱落する。その為に耐久難燃性不足となりやすい。
他方、既知の低分子量リン酸エステルは、加工上がりの収着性は良好であるが、水洗濯やドライクリーニングの耐久難燃性が不足していた。
また、防炎性能を満足させようとすると難燃加工剤を大量に処理する必要があり、その処理量の多さから風合の低下や色相の低下が生じるという問題があった。
さらに、レギュラーポリエステル(Reg−PET)の耐久難燃性は得られたとしても、カチオン可染ポリエステル(CD−PET)が混ざっているものでは、耐久難燃性の発現は困難とされてきた。
上記問題を解決するために、例えば特定の2種以上のリン酸エステルを用いた難燃加工剤が提案されている(特許文献1,2)。しかしながら、上記諸問題を解決し、特にカチオン可染ポリエステルの混紡品のような難燃性発現がより難しい生地でも充分な耐久難燃性を付与しうるものは未だ得られていなかった。
特開2004−225175号公報 特開2004−225176号公報
本発明は、上記に鑑みて、リン系難燃加工剤特有の低収着由来による難燃性不足の問題を解消し、収着性が良好でかつ洗濯耐久性にも優れ、特にカチオン可染ポリエステルの混紡品のような難燃性発現がより難しい生地でも充分な耐久難燃性が得られる難燃加工剤、及びこれを用いた難燃加工方法を提供することを目的とする。
本発明のポリエステル系繊維用の難燃加工剤は、上記の課題を解決するために、一般式(I)で表されるナフチルホスフェート化合物の1種又は2種以上の混合物と、一般式(II)で表されるモノホスフェート化合物の1種又は2種以上の混合物とを含有する、水分散体もしくは水乳化体であるものとする。
Figure 2007131967
(ただし、式中、X,Yは、1〜3の整数、R,R,R,Rは、水素原子又は低級アルキル基を示し、これらは同一でも異なっていてもよい。)
上記本発明の難燃加工剤は、上記ナフチルホスフェート化合物(I)を難燃剤成分中40〜95重量%、モノホスフェート化合物(II)を難燃剤成分中5〜60重量%(但し、合計で100重量%)含有することが好ましい。
また、本発明のポリエステル系繊維の難燃加工方法は、上記難燃加工剤を、高温吸尽法による処理に用いるか、又は、浸漬もしくはコーティングによりポリエステル系繊維またはこれよりなる繊維製品に付与した後、80℃以上の熱処理を施すことを特徴とするものとする。
本発明の難燃加工剤によれば、一般式(I)と(II)で表される2種の化合物を併用することで、カチオン可染ポリエステルの混紡品のような、より難燃性発現が難しい生地でも耐久難燃性を発揮することが可能となる。
また、ノンハロゲンであるリン化合物を使用しているため、ポリエステル合成繊維の燃焼時にハロゲン化ガス(ブロムダイオキシン等)が発生する心配がなく、環境保護上にも有効である。
本発明で用いるナフチルホスフェート化合物は、上記の通り、式(I)で表され、Xが1〜3の整数である化合物であり、中でも2−ナフチルジフェニルホスフェートが好ましい。
また、本発明で用いるモノホスフェート化合物は、式(II)で表され、Yが1〜3の整数であり、R,R,R,Rが、水素原子又は低級アルキル基である化合物であり、中でもトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート及びクレジルジフェニルホスフェートが好ましい。
これら式(I)及び(II)で表されるリン化合物は、市販のものを利用することができ、周知の方法により製造することもできる。得られた化合物が混合物であり、単体が必要な場合は蒸留等の周知の分離手段によって分離すればよい。
式(II)の化合物は耐久難燃性はないが、染色加工上りで高収着であり、式(I)の化合物は低分子量リン酸エステルの中では比較的収着し難いものであるが、本発明では、これらを併用することで、より高収着で、RC、ソーピング、水洗濯、ドライクリーニング後も生地に多く残存し、耐久難燃性が発現する難燃加工剤が得られる。
上記リン化合物を水分散もしくは水乳化するときは、非イオン型活性剤及び/又はアニオン型活性剤を用いる。
非イオン型界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物、アルキルグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテルを用いる。
アニオン型界面活性剤の具体例としては、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル等のアルキルサルフェート塩や、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等のアルキルスルホネート塩、更には、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等のアルキルホスフェート塩が挙げられる。また、アルキルアリールスルホネート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエステルホスフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボキシレート塩、ポリカルボン酸塩、ロート油、石油スルホネート、アルキルジフェニルエーテルスルホネート塩等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩を用いる。
このような界面活性剤の使用量は特に限定されないが、通常、難燃剤成分であるリン化合物に対して5〜20重量%の範囲内で用いられる。
本発明の難燃加工剤において、難燃剤成分であるリン化合物の含有量は、通常、30〜50重量%の範囲内である。
本発明の難燃加工剤には、分散状態を安定させるため、メタノール、エタノール、トルエン、エチレングリコール、ブチルセロソルブ等の有機溶剤を含有させてもよい。さらに、増粘作用により安定化を行う保護コロイド剤を乳化・分散液に添加してもよい。添加する保護コロイド剤(水溶性高分子)としては、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム(ザンタンガム)、アラビアガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、カチオン化デンプン等を挙げることができる。この中でも、カルボキシメチルセルロース塩及びキサンタンガムが、得られる溶液の物性やその安定性の観点から好ましい。また、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の各種樹脂添加剤を配合することもできる。
本発明の難燃加工剤は、後述するように、染料と同時に繊維内に収着させる染色同浴、また水で希釈した液に繊維を浸漬して所定の付着量になるようにマングルで絞り、乾燥、熱セットを行うパッド・ドライ・サーモキュア法、樹脂バインダーと本品及び/或いは難燃助剤等を混合・増粘し繊維にコートするコーティング法等の方法で加工できる。
本発明の難燃加工方法は、ポリエステル系繊維に対し後加工処理により上記難燃加工剤を付与し、80℃以上の熱処理を施す行程よりなるものであり、このような後加工処理の例としては高温吸尽法やパッドサーモ法、コーティング法等が挙げられる。
高温吸尽法では、難燃加工剤を添加した処理浴中にポリエステル系繊維を浸漬し、高温(通常80℃以上、好ましくは110〜150℃)で所定時間(例えば2〜60分間)処理することにより、難燃剤を繊維に収着させる。好ましくは、難燃剤を染料と同時に繊維に収着させる染色同浴法を用いる。すなわち、難燃加工剤を染色浴に添加しておいて、この染色浴中にポリエステル系繊維を浸漬して、高温にて吸尽処理を行うことが効率的であり好ましい。
また、パッドサーモ法では、難燃加工剤を含む液にポリエステル系繊維を浸漬し、所定の付着量になるようにマングル等で絞り、乾熱処理や、加熱スチーム処理などの蒸熱処理によって熱処理を行うことにより、難燃剤を繊維に収着させる。熱処理温度は通常110〜210℃の範囲内である。好ましくは、浸漬後、マングルで絞り、乾燥、熱セットを行うパッド・ドライ・サーモキュア法により処理する。
コーティング法では、樹脂バインダーと本品及び/或いは難燃助剤等を混合・増粘し、繊維にコートする。
なお、処理対象のポリエステル系繊維には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリトリメチレンテレフタレート(PTT)の他、これらにイソフタル酸、イソフタル酸スルホネート、アジピン酸、ポリエチレングリコールなどの第3成分を共重合したもの、特に、カチオン可染ポリエステル等が含まれる。その他、糸を生成する際、顔料を練り込んで作る原着糸も使用できる。また、処理対象の繊維製品には、各種の糸、織編物、不織布、ロープなどが含まれ、上記繊維の異なった糸を使用した交織布、複合素材であってもよく、例えばポリエステル原着糸交織布等が含まれる。繊維製品は、他の合成繊維、天然繊維、又は半合成繊維が混紡等により組み合わされたものであってもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.難燃加工剤の調製
下記表1に示す配合(重量%)に従って、実施例及び比較例の各難燃加工剤を調製した。表1において、2−ナフチルジフェニルホスフェート、TPP(トリフェニルホスフェート)、TCP(トリクレジルホスフェート)、CDP(クレジルジフェニルホスフェート)はいずれも大八化学工業(株)製である。また、上記調製に際し、乳化分散させるために使用した界面活性剤は、非イオン型界面活性剤が第一工業製薬(株)製の「ノイゲンEA−87」、アニオン型界面活性剤が第一工業製薬(株)製の「ハイテノールNF−13」である。
Figure 2007131967
2.染色同浴法における評価
上記実施例及び比較例の難燃加工剤を用いて、ポリエステル系繊維織物(レギュラーポリエステル/カチオン可染ポリエステル=90/10織物)に対し染色同浴法により難燃加工を施した。
詳細には、染色機としてMini−Color(テクサム技研製)を用い、次に示す浴処方について、浴比1:10で、60℃から昇温して、135℃で30分間処理した。処理後、80℃まで降温してから織物を取り出し、湯水洗5分間の後、薬剤としてハイドロサルファイトナトリウム2.0g/L、ソーダ灰1.0g/L及びトライポールTK(第一工業製薬(株)製)1.0g/Lを用い、浴比1:30、80℃で10分間還元洗浄を行い、更に、湯水洗5分間の後、180℃で30秒間ヒートセットを行った。なお、難燃加工剤の処理量は、20%o.w.f(on the weight of fiber(繊維重量に対する比率))で行った。
[浴処方]
Dianix Red AC−E 0.20%owf
Dianix Yellow AC−E 0.12%owf
Dianix Blue AC−E 0.02%owf
酢 酸 1.0g/l
無水酢酸ナトリウム 3.0g/l
難燃剤 x%owf
上記において、難燃加工剤の収着量及び難燃性を調べた。難燃性の評価方法は以下の通りである。
[難燃性]
難燃加工した織物について、加工上りのものと、これを下記条件で水洗濯又はドライクリーニングしたものについて、JIS L 1091 A−1法(ミクロバーナー法)及びJIS L 1091 D法(コイル法)にて難燃性を測定した。ミクロバーナー法では、1分加熱後及び着炎3秒後ともに、残炎が3秒以下で、残塵が5秒以下であり、かつ炭化面積が30cm以下のものを「○」とし、それ以外を「×」とした。コイル法においては接炎回数が3回以上であるものを「○」とし、2回以下であるものを「×」とした。なお、比較のために、未処理の織物についても難燃性を測定した。
(水洗濯)JIS K 3371に従って、弱アルカリ性第1種洗剤を1g/Lの割合で用い、浴比1:40として、60℃±2℃で15分間水洗濯した後、40℃±2℃で5分間のすすぎを3回行い、遠心脱水を2分間行い、その後、60℃±5℃で熱風乾燥する処理を1回として、これを5回行った。
(ドライクリーニング)試料1gにつき、テトラクロロエチレン12.6mL、チャージソープ(ノニオン界面活性剤/アニオン界面活性剤/水=10/10/1(重量比))0.265gを用いて、30℃±2℃で15分間の処理を1回とし、これを5回行った。
Figure 2007131967
3.パッド・ドライ・サーモキュア法
上記実施例の難燃加工剤を用いて、ポリエステル系繊維織物(レギュラーポリエステル100%織物)に対しパッド・ドライ・サーモキュア法により難燃加工を施した。
詳細には、難燃加工剤を水で15%に希釈した液に、上記織物を浸漬した後、マングルで絞り率50%に絞り、110℃で2分間乾燥し、180℃で1分間キュアした。その後、薬剤としてソーダ灰1.0g/L及びトライポールTK(第一工業製薬(株)製)1.0g/Lを用い、浴比1:30、80℃で10分間ソーピングを行い、更に、湯水洗5分間の後、乾燥した。
これにより難燃加工されたポリエステル系繊維織物について、上記と同様にして収着量と難燃性を調べた。また、比較のために、未処理の織物についても難燃性を測定した。結果を下記表3に示す。
Figure 2007131967
本発明の難燃加工剤又は難燃加工方法により処理されたポリエステル系繊維の用途は特に限定なく、例えばカーテン、布製ブラインド、絨毯その他の敷物、壁張り材等の各種インテリア用途、ソファーその他の表皮材、暗幕、緞帳等に広く用いられる。

Claims (3)

  1. 一般式(I)で表されるナフチルホスフェート化合物の1種又はその2種以上の混合物と、一般式(II)で表されるモノホスフェート化合物の1種又はその2種以上の混合物とを含有する、水分散体もしくは水乳化体であるポリエステル系繊維用の難燃加工剤。
    Figure 2007131967
    (ただし、式中、X,Yは、1〜3の整数、R,R,R,Rは、水素原子又は低級アルキル基を示し、これらは同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記ナフチルホスフェート化合物(I)を難燃剤成分中40〜95重量%、前記モノホスフェート化合物(II)を難燃剤成分中5〜60重量%含有することを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル系繊維の難燃加工剤。
  3. 請求項1又は2に記載の難燃加工剤を、高温吸尽法による処理に用いるか、または、浸漬またはコーティングによりポリエステル系繊維またはこれよりなる繊維製品に付与した後、80℃以上の熱処理を施すことを特徴とする、ポリエステル系繊維の難燃加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007239108A (ja) * 2006-03-06 2007-09-20 Nicca Chemical Co Ltd ポリエステル系繊維用難燃加工剤、難燃加工方法、及び難燃性ポリエステル系繊維
WO2008013176A1 (fr) * 2006-07-25 2008-01-31 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Dispersion sans halogène pour ignifugation, procédé d'ignifugation l'utilisant et fibre ignifugée en l'utilisant

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