JP4502372B2 - ホスフェート−ホスホネート結合を有する有機リン化合物、およびそれを用いた難燃性ポリエステル繊維 - Google Patents

ホスフェート−ホスホネート結合を有する有機リン化合物、およびそれを用いた難燃性ポリエステル繊維 Download PDF

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Description

本発明は、1分子中にホスフェート−ホスホネート結合を有する新規なリン化合物に関する。本明細書中において、ホスフェート−ホスホネート結合とは、リン原子とリン原子との間をアルキレンおよび酸素原子からなる連結基で連結する結合をいう。本明細書中においては、1分子中にホスフェート−ホスホネート結合を有する化合物を便宜上「ホスフェート−ホスホネート化合物」という。
この化合物は、難燃剤として有用である。特に、樹脂材料の難燃剤として有用である。
別の局面において本発明はまた、1分子中にホスフェート−ホスホネート結合を有する有機リン化合物を難燃剤として含有する、難燃性、耐熱性、耐加水分解性に優れた難燃性ポリエステル繊維組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、該リン化合物を用いて難燃性を施したポリエステル繊維は、繊維としての諸物性に与える悪影響が少なく、且つ、洗濯耐久性を維持したハロゲンを含有しない難燃性ポリエステル繊維組成物に関する。
リン化合物は、一般に多機能な化合物として様々な分野で使用されており、多数の品種が開発されている。なかでも、リン化合物は難燃剤として有用であることが従来より知られている。その難燃化の対象となる樹脂は多岐にわたっており、例えば、ポリカーボネート、ABS樹脂、PPEなどの熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂またはポリエステル繊維などが例示される。
その難燃性はリン化合物中のリン含有率に依存しているのが一般的であるが、目的とする難燃性を付与させる量まで添加するとその物性が著しく低下することがある。故に、より少ない添加量で十分な難燃性を得るために、リン含有率の高いリン化合物が望まれている。
他方、樹脂の難燃剤は、樹脂の混練および成形加工の際に非常に高い温度に曝される。従って、高温において安定性の高いリン化合物が望まれている。
上述した各種樹脂および繊維材料の中でも、ポリエステル繊維はその優れた力学特性、昜加工性から衣類、インテリア、詰め綿、不織布、産業用資材等、様々な分野で使用されている。これらのポリエステル繊維製品においては、マッチやタバコなどを出火源とする火災の被害を最小限に抑えるため、ホテル、病院、あるいは映画館などで使用されるインテリア材料については消防法により厳しい規制がある。近年の防災意識の高まりの中で、安全性が高く快適な生活環境をつくる上で、難燃性を備えたポリエステル繊維製品の開発が望まれている。
その難燃性はリン化合物中のリン含有率に依存している、すなわち、リン含有率が高いほど難燃性能も高くなるのが一般的であるが、ポリエステル繊維を難燃化する際には、この一般論は必ずしも当てはまらない。
例えば、リン含有率の高いリン化合物を使用しても、難燃処理時にそのリン化合物がポリエステル繊維の奥深くまで入らずに繊維の表面に付着しているだけのような状態となっていれば、処理済みの繊維を用いた衣類等を洗濯した際に、洗濯により容易にリン化合物が繊維から脱着してしまって、その結果、目的とする難燃性を継続的に付与することができない場合がある。
逆に、リン含有率の低いリン化合物を使用しても、そのリン化合物のポリエステル繊維への浸透性およびポリエステル繊維との物理的密着力が大きい場合は、目的とする難燃性を付与することができるということは十分に起こり得る。
従って、ポリエステル繊維の技術分野においては、十分な難燃性を得るために、その使用量が少なくなるという点で、リン含有率の高いリン化合物が、かつ、ポリエステル繊維から容易に脱着しないリン化合物が望まれている。
リン化合物の構造は主に、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスフィンオキサイド、ホスフィンなどに大別される。また、これらの異なる複数種類の結合を1分子中に有するリン化合物も存在する。例えば、ホスフェート−ホスホネート化合物がその一例である。さらに具体的には、例えば、分子中に塩素や臭素などのハロゲン原子を含有するホスフェート−ホスホネート化合物、分子中にアルコール性水酸基を含有するホスフェート−ホスホネート化合物、エチル基のような短いアルキル基を有するホスフェート−ホスホネート化合物などが知られている。
これらのホスフェート−ホスホネート化合物を記載する先行技術文献としては、例えば以下に示す先行文献がある。
特開2000−328450号公報(第2−6頁) 特開昭57−137377号公報(第1−10頁) 米国特許第4697030号公報(第2−9頁) Zhurnal Obshchej Khimii (1987), 57(12), 2793−4 米国特許第3060008号公報(第1−3頁)
例えば、特開2000−328450号公報にはハロゲン原子を含有するホスフェート−ホスホネート化合物を使用してメタ型芳香族ポリアミド繊維を難燃化する技術が開示されている。さらに特開昭57−137377号公報にはヘキサブロモシクロドデカンなどのハロゲン原子を含有する化合物を使用して繊維を難燃化する技術が開示されている。
しかしながら、これらハロゲンを含有する化合物を用いる場合には、その繊維を例えば焼却する際、難燃剤として用いたリン化合物の分解などによって人体に有害なハロゲン化水素などの有害ガスが発生したり、焼却炉を腐食させたり、あるいはハロゲン化水素よりもさらに有害なダイオキシンが発生するという問題がある。
米国特許第4697030号公報には、アルコール性水酸基を含有するホスフェート−ホスホネート化合物、および、ポリエステル繊維やポリウレタンフォームにおけるその使用例が開示されている。
しかしながら、アルコール性水酸基を有する化合物は耐水性が優れているとはいえない。例えば、ポリエステル繊維に添加した場合、水との親和性を有するため度重なる洗濯を行っていくうちにホスフェート−ホスホネート化合物が洗濯水の方へ徐々に溶出していき、その結果、繊維の難燃性が低下してしまいやすい。
ポリエステルの合成時にこのリン化合物を反応させて、ポリエステルの骨格に組み込ませる方法を採用すれば、上記の問題は解決されるが、単にポリエステル繊維を購入して難燃剤を吸尽させるという加工方法(後加工)を採用する加工メーカーでは、このような反応を行うことができない。つまり、このリン化合物を使用するには制約があるという問題が生じる。
さらに、この公報に記載の化合物は、耐加水分解性が悪く、保存安定性に問題があり、例えばポリエステル繊維を染色加工または難燃加工する際、その化合物を乳化させて用いるのであるが、その乳化安定性が悪いため、そのまま熱を加えて加工を施すと染色ムラやオイルスポットを生じる恐れがある。
非特許文献Zhurnal Obshchej Khimii (1987), 57(12), 2793−4は、分子内に4個のエトキシ基(CO−)を有するホスフェート−ホスホネート化合物が開示されている。
しかしながら、この化合物は、水溶性であるため同浴処理ができない、つまり、繊維に吸着せず難燃処理ができないという問題がある。また、耐加水分解性が悪いため、加水分解により酸が発生し油剤の安定性を保持できず、油剤が相分離を起こすなどの問題もある。
さらに、この文献に記載のリン化合物をポリエステル繊維の難燃剤として利用することに関しては、具体的な記載もなく示唆もされてない。
米国特許第3060008号公報には、難燃剤以外の用途として、下記式で示される化合物をエンジンの燃料へ添加する技術が開示されている。
Figure 0004502372
(式中、Rは、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチルのいずれかである。)
しかしながら、この公報に記載のリン化合物をポリエステル繊維の難燃剤として利用することに関しては、具体的な記載もなく示唆もされてない。
第1の局面において本発明は、上記問題点を解決する新規化合物を提供することを目的とする。具体的には、水、熱に対する安定性を有し、かつ揮発性が低く、原料として用いた際にその製品の諸物性に与える影響が少なく、リサイクル性を考慮し環境負荷の少ない、塩素や臭素などのハロゲン原子を含有しないホスフェート−ホスホネート化合物を提供することを課題とする。
別の局面において本発明は、上記問題点を解決する難燃性ポリエステル繊維を提供することを目的とする。具体的には、ホスフェート−ホスホネート結合を1分子内に有する、特定の有機リン化合物を使用することにより、水、熱に対する安定性を有し、かつ、洗濯耐久性を維持した難燃性ポリエステル繊維を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、以下の化学式(I)で表されるホスフェート−ホスホネート化合物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
より具体的には、本発明によれば、以下の化合物、難燃剤、繊維、組成物などが提供され、そのことにより本発明の目的が達成される。
(1) 下記式(I)で表される化合物であって:
Figure 0004502372
式(I)において、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、
直鎖または枝分かれを有するC2〜8アルキル基であるか、
置換基を有していてもよいC5〜10シクロアルキル基であるか、
置換基を有していてもよいC6〜15アリール基であり、ここで、
が直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基である場合には、Rは直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、かつRおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基であり、
が置換基を有していてもよいアリール基である場合には、Rは置換基を有していてもよいアリール基であり、かつRおよびRはそれぞれ直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、
20は、式67の連結基であり、
(式67)
Figure 0004502372
ここで、RおよびRは、同一であっても異なってもよく、水素、C1〜6アルキル基、または、C6〜11アリールのいずれかであるか、あるいはRとRとが結合して置換基を有していてもよいC4〜10アルキレンとなって炭素原子とともに以下の式の環状構造を形成し、
Figure 0004502372
の炭素数とRの炭素数との和は0〜12である、化合物。
(2) RおよびRが直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、RおよびRが置換基を有していてもよいアリール基である、上記項1に記載の化合物。
(3) RおよびRが置換基を有していてもよいアリール基であり、RおよびRが直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基である、上記項1に記載の化合物。
(4) R20が、メチレン基または−CH(CH)−基または−C(CH−基のいずれかである、上記項1に記載の化合物。
(5) 下記式(I)で表される化合物からなる樹脂用難燃剤であって:
Figure 0004502372
式(I)において、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、
直鎖または枝分かれを有するC2〜8アルキル基であるか、
置換基を有していてもよいC5〜10シクロアルキル基であるか、
置換基を有していてもよいC6〜15アリール基であり、ここで、
が直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基である場合には、Rは直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、かつRおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基であり、
が置換基を有していてもよいアリール基である場合には、Rは置換基を有していてもよいアリール基であり、かつRおよびRはそれぞれ直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、
20は、式67の連結基であり、
(式67)
Figure 0004502372
ここで、RおよびRは、同一であっても異なってもよく、水素、C1〜6アルキル基、または、C6〜11アリールのいずれかであるか、あるいはRとRとが結合して置換基を有していてもよいC4〜10アルキレンとなって炭素原子とともに以下の式の環状構造を形成し、
Figure 0004502372
の炭素数とRの炭素数との和は0〜12である、難燃剤。
(6) 上記項5に記載の難燃剤であって、ポリエステル繊維の難燃化のために使用される、難燃剤。
(7) 難燃剤で処理されたポリエステル繊維であって、該難燃剤が、下記式(I)で表される化合物である、ポリエステル繊維:
Figure 0004502372
式(I)において、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、
直鎖または枝分かれを有するC2〜8アルキル基であるか、
置換基を有していてもよいC5〜10シクロアルキル基であるか、
置換基を有していてもよいC6〜15アリール基であり、ここで、
が直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基である場合には、Rは直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、かつRおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基であり、
が置換基を有していてもよいアリール基である場合には、Rは置換基を有していてもよいアリール基であり、かつRおよびRはそれぞれ直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、
20は、式67の連結基であり、
(式67)
Figure 0004502372
ここで、RおよびRは、同一であっても異なってもよく、水素、C1〜6アルキル基、または、C6〜11アリールのいずれかであるか、あるいはRとRとが結合して置換基を有していてもよいC4〜10アルキレンとなって炭素原子とともに以下の式の環状構造を形成し、
Figure 0004502372
の炭素数とRの炭素数との和は0〜12である。
(8) 前記難燃剤のR20が、メチレン基または−CH(CH)−基または−C(CH−基のいずれかである、上記項7に記載のポリエステル繊維。
(9) 上記項7に記載のポリエステル繊維であって、難燃剤の含有量が、難燃剤を含むポリエステル繊維の全重量のうちの、0.1〜30重量%である、ポリエステル繊維。
(10) ポリエステル繊維を難燃化する方法であって、ポリエステル繊維を、上記項5に記載の難燃剤で処理する工程を包含する、方法。
さらに、本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、ある特定のリン化合物を難燃剤としてポリエステル繊維に使用した際、難燃剤自体の耐熱性、耐加水分解性に優れ、また、繊維としての諸物性(難燃性、洗濯耐久性など)を維持した良好な物性を有する難燃性ポリエステル繊維が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によるホスフェート−ホスホネート化合物はリン含有率が高く、原料として用いた際にその製品の諸物性に影響を与えず、かつ、塩素や臭素などのハロゲン原子を含有しないため、燃焼時や廃棄時の環境汚染がなく、リサイクル性にも優れていることがわかる。
本発明のホスフェート−ホスホネート化合物は、ポリカーボネート、ABS樹脂、PPEなどの熱可塑性樹脂用の難燃剤、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂用の難燃剤、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂またはポリエステル繊維用の難燃剤として極めて有用である。
本発明のポリエステル用難燃剤によれば、難燃性に優れ、また、繊維としての諸物性を維持し、且つ、洗濯耐久性を維持したハロゲンを含有しない難燃性ポリエステル繊維を得ることができる。また、本発明による難燃性ポリエステル繊維はハロゲン原子を含まないために、燃焼時に有害なハロゲン化ガス等を発生することがなく、環境保護においても有効である。
本発明者は、ここに一連の新規な該リン化合物を合成し、分析により特徴付けることができた。従って、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物に関する。以下にその詳細を説明する。
(本発明の化合物(I))
本発明の化合物および本発明の難燃剤に使用される化合物は、上記一般式(I)で表される。
(R〜R
式(I)において、R〜Rはそれぞれ同一または異なって、C2〜8の直鎖または枝分かれを有するアルキル基、置換基を有していてもよいC5〜10シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6〜15アリール基である。ここで、Rが直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基である場合には、Rは直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、かつRおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基である。Rが置換基を有していてもよいアリール基である場合には、Rは置換基を有していてもよいアリール基であり、かつRおよびRはそれぞれ直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基である。
およびRが直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、かつRおよびRが置換基を有していてもよいアリール基である化合物が好ましい。
1つの好ましい実施態様においては、RおよびRが直鎖または枝分かれを有するアルキル基であり、RおよびRがアリール基である。ここで、より好ましい実施態様としては、RおよびRが直鎖または枝分かれを有するアルキル基であり、RおよびRがフェニル基である。
別の好ましい実施態様においては、RおよびRがアリール基であり、RおよびRが直鎖または枝分かれを有するアルキル基である。ここで、より好ましい実施態様としては、RおよびRがフェニル基であり、RおよびRが直鎖または枝分かれを有するアルキル基である。
〜Rのいずれかが、直鎖または枝分かれを有するアルキル基である場合、当該アルキル基は、炭素数2〜5であることが好ましく、炭素数3〜5であることがより好ましく、炭素数4〜5であることがさらに好ましい。炭素数4が最も好ましい。小さすぎる場合には、合成が困難となる場合があり、かつ化合物の耐熱性、耐水性などが低下することがある。また、大きすぎる場合には、化合物が配合された材料(例えば、リン化合物で処理されたポリエステル繊維)の難燃性が低下することがある。
〜Rのいずれかが、置換基を有していてもよいC5〜10シクロアルキル基である場合、このシクロアルキル基が有し得る置換基とは、例えば、C1〜7の直鎖または枝分かれ状のアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなど)である。R〜Rの炭素数が小さすぎる場合には、化合物の耐熱性、耐水性などが低下することがある。R〜Rの炭素数が大きすぎる場合には、化合物が配合された材料(例えば、リン化合物で処理されたポリエステル繊維)の難燃性が低下することがある。
シクロアルキル基中の環は、3〜10員環であり得る。原料の入手のしやすさという点で、5員環〜7員環が好ましく、6員環がより好ましい。
〜Rのいずれかが、C6〜15アリール基である場合、アリール基としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどが挙げられる。化合物中のリン含有率を低下させないという点で、フェニルが好ましい。
〜Rのいずれかが、置換基を有していてもよいC6〜15アリール基である場合、このアリール基が有し得る置換基とは、例えば、C1〜9の直鎖または枝分かれ状のアルキルである。当該置換基を有していてもよい置換アリールとしては、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニルなどが挙げられる。R〜Rの炭素数が小さすぎる場合には、化合物の耐熱性、耐水性などが低下することがある。R〜Rの炭素数が大きすぎる場合には、化合物が配合された材料(例えば、リン化合物で処理されたポリエステル繊維)の難燃性が低下することがある。
(好ましいRとRとの組み合わせ、およびRとRとの組み合わせ)
原料として入手しやすくまた合成(合成方法については後述する)も容易となる点を考慮すると、RとRとが同一であることが好ましく、また、RとRとが同一であることが好ましい。
一般式(I)のR〜RのすべてがC以下のアルキル基の場合、または、R〜Rのいずれかがメチル基の場合は、その部分の結合力が弱まるため、水に対する分解性が高まり、加水分解が生じやすくなる。従って耐水性および耐熱性が低下しやすくなる。さらに加水分解により酸成分が生成すると、難燃剤として樹脂に添加された際に樹脂に悪影響を与える可能性がある。しかしながら、理由は定かではないが、本発明の化合物は、2つのアリール基を有するので、それ以外の置換基がエチル基であっても加水分解は比較的生じにくくなる。
本発明の化合物は、R〜Rのうちに2つの置換されていてもよいアリール基を有することにより、樹脂との馴染みが良い。このため、繊維に含浸しやすく、繊維の難燃化に極めて有利である。本発明の化合物部は特にポリエステル繊維の難燃化に有利である。R〜Rのすべてがアルキル基であるような従来公知の化合物では、本発明の化合物ほどの樹脂との馴染み、繊維への含浸性を得ることが困難である。
また、本発明の化合物は、R〜Rのうちに直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換されていてもよいシクロアルキル基を2つ有することにより、染料との相性が良い。このため、繊維の染色状態に悪影響を与えることが少なく、繊維の難燃化に極めて有利である。R〜Rのすべてがアリール基である化合物では、本発明の化合物ほどの染料との相性の良さが得られず、繊維の染色状態への悪影響を防ぐことが困難である。
(連結基R20
20は、式67の連結基である。
(式67)
Figure 0004502372
ここで、RおよびRは、同一であってもよく、異なってもよく、水素、C1〜6アルキル基、C6〜11アリールのいずれかであるか、あるいはRとRとが結合して置換基を有していてもよいC4〜10アルキレンとなって炭素原子とともに以下の式の環状構造を形成し、
Figure 0004502372
の炭素数とRの炭素数との和は0〜12である。RまたはRがC6〜11アリールである場合、好ましくは、C6〜11アリールは、C1〜5アルキルで置換されてもよいフェニルであり、より好ましくはフェニルである。すなわち、R20は、メチレン基またはC2〜13の枝分かれ状のアルキレン基あるいはC5〜11の環構造を有するアルキレン基、もしくは、C7〜12アリール置換アルキレン基のいずれかである。これらの中では、メチレン基またはC2〜13の枝分かれ状のアルキレン基が好ましく、メチレン基またはC2〜7の枝分かれ状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基または−CH(CH)−基または−C(CH−基がさらに好ましい。
20は、2つのリン原子の間を、炭素1原子と酸素1原子とで連結する。すなわち、P−C−O−Pの形式の骨格となるように選択される。従って、R20は、−CH−またはその置換体である。例えば、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−CH(C)−、−C(CH)(C)−、−C(CH)(CHCH(CH)−などが例示される。R20が環状構造となる場合の具体例としては、例えば、環状の−C10−、すなわちシクロヘキシレンが例示される。
7〜12アリール置換アルキレン基とは、アルキレン基の水素をアリールで置換した基であって、アリール置換アルキレン基の全体として炭素数がC7〜12であるものをいう。C7〜12アリール置換アルキレン基中のアルキレン部分の炭素数は、C1〜4であることが好ましく、より好ましくはC(メチレン)である。C7〜12アリール置換アルキレン基中のアリール部分は任意のアリールであり、好ましくは、C7〜12アリール置換アルキレン基中のアリール部分はフェニルである。具体的には例えば、このような好ましいR20の例としては、−CH(C)−が挙げられる。
20の具体例としては、原料として入手しやすい点から、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CH)(C)−、−C(CH)(CHCH(CH)−、−CH(C)−、−C10−(すなわち、シクロヘキシレン)が好ましく、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH(CH)−がより好ましく、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−がさらに好ましい。
(化合物の合成方法)
式(I)で表される化合物は、リン化合物、特にホスフェートの合成方法およびホスファイトの合成方法として従来公知のプロセスを適宜組み合わせることにより製造できる。
(1.ホスファイトの合成方法)
ホスファイトは、例えば、三ハロゲン化リンと、アルコール類またはフェノール類とを原料として用いて合成することができる。
三ハロゲン化リンとアルコール類との反応の場合、1モルの三ハロゲン化リン(PX)に対して、約3モルのアルコール類(ROH)と反応させることにより、以下の反応式に従ってホスファイトが得られる。
3ROH + PX → O=PH(−OR + RX +2HX
また、三ハロゲン化リンとフェノール類(ROH)との反応の場合、1モルの三ハロゲン化リンに対して、約3モルのフェノール類(ROH)と反応させ、その後、1モルの水と反応させることにより、以下の反応式に従ってホスファイトが得られる。
3ROH + PX → P(−OR
P(−OR + HO → O=PH(−OR + ROH
上記の反応で使用される三ハロゲン化リンとしては、三塩化リン、三臭化リンなどが挙げられる。入手のしやすさやコストの点で三塩化リンが好ましい。
上記の反応で使用されるアルコール類としては、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。耐加水分解性が高い、つまり安定性があり、かつ最終的に得られるリン化合物中のリン含有率が比較的高くなるという点で、n−ブタノールまたはsec−ブタノールが好ましい。また、リン含有率が高く、比較的耐加水分解性が高いという点で、エタノール、n−プロパノールが好ましい。また、リン含有率は低下するが、安定性があり、揮発性が低いという点で、2−エチルヘキサノールが好ましい。
上記の反応で使用されるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトールなどが挙げられる。最終的に得られるリン化合物中のリン含有率が高くなるという点で、フェノールが好ましい。
上記の反応においては、必要に応じて、反応に関与しない溶媒を使用してもよい。反応に関与しない溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタンなどが例示される。
上記の反応では、アルコール類またはフェノール類、さらに必要であれば溶媒を仕込んでおき、そこへ三ハロゲン化リンを追加し、発生するハロゲン化水素を系外に出すという反応を行うことが一般的である。
(2.ホスホネートの合成方法)
上記の反応によって得られたホスファイトを、たとえば、塩基性触媒の存在下で、アルデヒド類またはケトン類と反応させることによって、アルコール性水酸基を含有するホスホネートが得られる。
上記の反応で使用される塩基性触媒としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ルチジン、ピコリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン類、または、金属ナトリウム、金属カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムアルコキシドなどのアルカリ金属類または金属含有塩基類が挙げられる。反応終了後に容易に除去ができるという点で、トリエチルアミンが好ましい。
上記の反応で使用されるアルデヒド類としては、パラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどが挙げられる。原料が安価であり、かつ最終的に得られるリン化合物中のリン含有率が高くなるという点で、パラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドが好ましい。ただし、得られるホスホネートの構造によっては水に対して加水分解を受けやすいものもあるため、ホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン)を使用する場合には、得られるホスホネートが加水分解しないように留意するべきである。
他方、純度が高く、原料が工業的に入手しやすいという点では、アセトアルデヒドが好ましい。
上記の反応で使用されるケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。最終的に得られるリン化合物中のリン含有率が高くなるという点で、アセトンが好ましい。
上記の反応においては、反応に関与しない溶媒を使用してもよい。反応に関与しない溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタンなどが例示される。
(3.ホスフェート−ホスホネート化合物の合成方法)
上記の反応によって得られたホスホネートを、たとえば、ハロゲン化水素捕捉剤および必要であれば触媒の存在下で、ジ置換ホスホロハリデートと反応させることにより、化合物(I)が得られる。
上記の反応で使用されるハロゲン化水素捕捉剤の例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジンなどが挙げられる。また、触媒の例としては塩化マグネシウム、塩化アルミニウムなどのルイス酸系触媒、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどのアミン系触媒が挙げられる。
上記の反応で使用されるジ置換ホスホロハリデートの例としては、ジフェニルホスホロハリデート、ジクレジルホスホロハリデートなどのジアリールホスホロハリデート、ジプロピルホスホロハリデート、ジブチルホスホロハリデート、ビス(2−エチルヘキシル)ホスホロハリデートなどのジアルキルホスホロハリデートが挙げられる。これらのジ置換ホスホロハリデートの製造方法は、たとえば、特開2000−239286号公報に記載されており、その方法に基づき、合成することができる。
上記の反応で使用されるオキシハロゲン化リンとしては、オキシ塩化リン、オキシ臭化リンなどが挙げられる。安価であるという点で、オキシ塩化リンが好ましい。
さらなる具体例として、式(II)で表されるホスフェート−ホスホネート化合物の製造方法の例を示す。
Figure 0004502372
反応は、主として次式による。
工程(1)
Figure 0004502372
工程(2)
Figure 0004502372
工程(3)
Figure 0004502372
一般式(I)で表される化合物としては、式(II)以外には、具体的には、たとえば以下の化合物が挙げられる。以下に例示する化合物は、上述した製造方法と同様の製造方法により得ることができる。
ただし、本発明の化合物は以下の例示により何ら制限されるものではない。
Figure 0004502372
Figure 0004502372
Figure 0004502372
Figure 0004502372
Figure 0004502372
Figure 0004502372
Figure 0004502372
Figure 0004502372
本発明のホスフェート−ホスホネート化合物は、各種難燃剤として有用である。例えば、各種樹脂の難燃剤として有用である。樹脂は合成樹脂であってもよく、天然樹脂であってもよい。特に合成樹脂において有用である。樹脂は熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。より具体的には、例えば、ポリカーボネート、ABS樹脂、PPEなどの熱可塑性樹脂用の難燃剤、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂用の難燃剤、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂またはポリエステル繊維用の難燃剤として極めて有用である。
(ポリエステル用難燃剤)
本発明のポリエステル用難燃剤としては、一般式(I)で表される化合物が使用され得る。その詳細な説明(例えば、その化合物の具体例および製造方法など)については、本願明細書中にその化合物の説明として説明されているとおりである。
これらのポリエステル用難燃剤は、特に、ポリエステル繊維に対して有効である。例えば、難燃剤をポリエステル繊維の表面に固着させることにより、良好な難燃性を有するポリエステル繊維とすることができる。
本発明のポリエステル用難燃剤を用いる場合、ポリエステル繊維に固着させるリン化合物の量は、リン化合物とポリエステル繊維との合計重量のうち、0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がさらに好ましく、0.5重量%以上が特に好ましい。また、30重量%以下が好ましく、10重量%以下がさらに好ましく、5重量%以下が特に好ましい。リン化合物の含有量が少なすぎる場合には、ポリエステル繊維に十分な難燃性を付与することが困難となる。一方、その含有量が多すぎる場合には、リン化合物の増加分に応じた難燃性の増大効果が得られ難くなるばかりでなく、繊維表面にブリードアウトを生じやすくなり、逆に、繊維表面に生じた難燃剤成分が繊維を容易に燃焼させる要因を引き起こすおそれがあって好ましくない。
(ポリエステル繊維)
本発明に用いられるポリエステル繊維については、特に制限はなく、従来公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、その材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、イソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートなどが使用可能である。ポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエステル繊維の断面形態は、任意の形状を採用することができ、丸形であってもよく、異形であってもよい。丸形が好ましい。
ポリエステル繊維の太さに特に限定はなく、任意の太さのポリエステル繊維に本発明の難燃剤を使用することができる。例えば、0.001〜3000D(デニール:長さ9000mあたりのグラム数)のポリエステル繊維に好ましく使用することができ、より好ましくは、0.01〜200Dである。
ポリエステル繊維は、任意の形態で使用可能であり、使用可能な形態の例としては例えば、織物、編物、不織布、紐、ロープ、糸、トウ、トップ、カセ、編織物などが挙げられる。
さらに、ポリエステル繊維とそれ以外の繊維との混合物に本発明の難燃剤を用いてもよい。例えば、上記ポリエステル繊維と他の繊維(例えば、天然、再生、半合成、合成繊維との混紡、交織織物)などに本発明の難燃剤を使用することが可能である。
繊維の用途にも特に限定はなく、例えば、被服用、工業用、漁網等の各種用途の繊維製品等に本発明の難燃剤が使用可能である。
(ポリエステル繊維用難燃処理剤の作製方法)
本発明のポリエステル繊維用難燃剤は、公知の各種の方法でポリエステル繊維に固着させられる。例えば、本発明のポリエステル繊維用難燃剤に必要に応じて溶媒などを加えて液状の材料とし、この液状材料をポリエステル繊維に接触させ、その後必要に応じて乾燥工程などにより溶媒等を除去することにより、ポリエステル繊維にポリエステル繊維用難燃剤を固着させることができる。
本発明において、ポリエステル繊維に難燃性を付与させるために作製される難燃処理剤は、通常、リン化合物を水に溶解、乳化もしくは分散させたもの、または有機溶剤中に分散または溶解させたものが好ましく使用される。リン化合物を水に分散させる方法としては、従来公知の各種の方法が可能であり、たとえばリン化合物とアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤などの界面活性剤と有機溶剤とを配合して攪拌し、徐々に湯を加えて乳化分散させる方法がある。この際に使用される界面活性剤は、従来公知のものを制限なく使用することができる。
アニオン界面活性剤としては、具体的には、例えば、脂肪酸セッケン等のカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルポリアルキレングリコールエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸、硫酸化オレフィン等の硫酸エステル塩;
アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸等のホルマリン縮合物、α−オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、イゲポンT型(オレイン酸クロリドとN−メチルタウリンとの反応によって得られる化合物)、スルホコハク酸ジエステル塩等のスルホン酸塩;
高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩;
等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、具体的には、例えば、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、スチレン化アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、スチレン化フェノールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物、油脂のアルキレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリアルキレングリコール型;
グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型;
等が挙げられる。
さらに、分散液の場合には、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ザンタンガム、デンプン糊等の分散安定化剤を使用することができる。
分散安定化剤の使用量は、難燃処理剤100重量部に対して0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がさらに好ましい。5重量部以下が好ましく、3重量部以下がさらに好ましい。使用量が少なすぎる場合には、リン化合物の凝集や沈降が生じるおそれがあって好ましくない。一方、使用量が多すぎる場合には、分散液の粘性が増大し、その結果、難燃処理剤が繊維の奥深くまで入り込むことが困難となって、処理後のポリエステル繊維の難燃性が低下することがある。
有機溶剤としては、具体的には、例えば、トルエン、キシレン、アルキルナフタレンなどの芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジオキサン、エチルセロソルブなどのエーテル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;メチレンクロライド、クロロホルムなどのハロゲン系炭化水素類などが挙げられる。これらを単独で、または二種以上混合して用いることができる。
難燃処理剤が乳化又は分散した水性液の場合には、従来より乳化又は分散型の難燃処理剤の製造に用いられているホモジナイザー、コロイドミル、ボールミル、サンドグラインダー等の乳化機や分散機を用いて得ることができる。
さらにまた、難燃性の他に耐光堅牢度等が要求される場合には、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤や従来から用いられている他の繊維用処理剤を、難燃性を損なわない程度に難燃処理剤と併用することもできる。このような繊維用処理剤としては、帯電防止剤、撥水撥油剤、防汚剤、硬仕上剤、風合調整剤、柔軟剤、抗菌剤、吸水剤、スリップ防止剤等が挙げられる。これらは、かかるポリエステル繊維に、予め付着あるいは吸着されていてもよい。また、繊維に難燃化処理を施す際に吸着させてもよい。
(ポリエステル繊維の難燃処理方法)
本発明においては、任意の方法でポリエステル繊維に難燃剤を付与することができる。好ましくは、ポリエステル繊維が形成された後に、難燃剤を付与する。具体的には例えば、繊維に難燃処理剤を付与し(難燃処理剤付与工程)、この繊維に熱を印加して難燃処理する(熱処理工程)などの方法であり、より具体的には、例えば以下の三種の方法(方法1、方法2および方法3)のいずれかの方法を用いることが特に好ましい。
(方法1)
方法1は、難燃処理剤付与工程でポリエステル繊維に難燃処理剤を付与した後、熱処理工程で難燃処理剤が付与されたポリエステル繊維を100〜220℃で熱処理する方法であり、スプレー処理−ドライ−キュア方式、パッド−ドライ−スチーム方式、パッド−スチーム方式、パッド−ドライ−キュア方式等の乾熱又は湿熱法が適用される方法である。
具体的には、まず、難燃処理剤を含む処理液又はその希釈液でポリエステル繊維をスプレー処理又はパッド処理し、乾燥させた後、常圧にて好ましくは100〜220℃、より好ましくは160〜190℃の温度の熱処理を、例えば、数十秒から数分程度行う。
このときの温度が低すぎる場合には、ポリエステル繊維の分子中の非結晶領域が、難燃処理剤中に存在するリン化合物の分子を受け入れうる程に弛緩又は膨張し難い傾向にあり、その結果、処理後のポリエステル繊維の難燃性が低下することがある。一方、熱処理の温度が高すぎる場合には、難燃処理剤のポリエステル繊維への固着をより強固にすることができるが、方法1では、熱処理温度が高すぎる場合には、加熱時間によって差異があるものの、ポリエステル繊維自体の繊維強度が低下したり熱変性が生じるおそれがある。
上記のような好適な温度範囲で熱処理工程を行うことにより、難燃処理剤中に存在するリン化合物が、常圧においてもポリエステル繊維分子中の非結晶領域に安定に且つより多く固着される。したがって、ポリエステル繊維に対して十分な難燃性及び洗濯耐久性を与えることが可能となる。
(方法2)
方法2は、難燃処理剤付与工程において、難燃処理剤を含む処理液又はその希釈液にポリエステル繊維を浸漬することによってポリエステル繊維に難燃処理剤を付与しつつ、熱処理工程において、ポリエステル繊維を浸漬させながら、この処理液を高温常圧下もしくは高温加圧下(例えば、90〜150℃、常圧〜0.4MPa)にて熱処理する方法である。すなわち、難燃処理剤付与工程と熱処理工程とを同時に実施する方法である。
具体的には、液流染色機、ビーム染色機、チーズ染色機等のパッケージ染色機を用い、難燃処理剤にポリエステル繊維織物を浸漬した状態で、好ましくは90〜150℃、常圧〜0.4MPaの高温常圧下もしくは高温加圧下、より好ましくは110〜140℃、0.05〜0.3MPaの高温加圧下で、例えば、数分〜数十分間浸漬熱処理することにより、難燃処理剤をポリエステル繊維に固着することができる。
このときの温度が低すぎる場合には、ポリエステル繊維の分子における非結晶領域が、リン系化合物の分子又は粒子を受け入れうる程に弛緩又は膨張し難い傾向にあり、その結果、処理後のポリエステル繊維の難燃性が低下することがある。一方、この温度が高すぎる場合には、加熱時間によって差異があるものの、ポリエステル繊維自体の繊維強度が低下したり、熱変性が生じるおそれがある。
上記のような好適な条件下で熱処理工程を行うことにより、方法1と同様、難燃処理剤中に存在するリン化合物が、ポリエステル繊維分子中の非結晶領域に安定に且つより多く固着される。したがって、ポリエステル繊維に対して十分な難燃性及び洗濯耐久性を付与することが可能となる。なお、ポリエステル繊維を浸漬する前に、難燃処理剤を上記の好適範囲内の温度に予め加熱しておき、その中にポリエステル繊維を浸漬しても、優れた難燃処理剤の固着効果が同様に奏される。
(方法3)
方法3は、難燃処理剤付与工程において、難燃処理剤とキャリヤーとを含む処理液又はその希釈液にポリエステル繊維を浸漬することによってポリエステル繊維に難燃処理剤を付与しつつ、熱処理工程において難燃処理液を加熱し、ポリエステル繊維を例えば、80〜130℃、常圧〜0.2MPaの高温常圧下もしくは高温加圧下にて熱処理する方法である。ここで、キャリヤーとは、ポリエステル繊維を膨潤させることにより、難燃処理剤がポリエステル繊維の分子配列中に良好に固着することを促進する物質である。
ここで、キャリヤーとしては、従来のキャリヤー染色で使用されているキャリヤーが使用可能である。具体例としては例えば、クロルベンゼン系、芳香族エステル系、メチルナフタレン系、ジフェニル系、安息香酸系、オルソフェニルフェノール系等の化合物が挙げられる。これらの化合物は単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。
この方法においては、難燃処理剤中に乳化又は分散されたキャリヤーがポリエステル繊維に吸着することにより、難燃処理剤がポリエステル繊維の分子配列中に良好に固着することが促進される。その結果、より穏やかな条件、例えば、80〜130℃、常圧〜0.2MPaなどの条件で熱処理を行っても、難燃処理剤中に存在する難燃化が発揮されうる十分な量のリン化合物をポリエステル繊維の内部に安定に固着させることができる。
また、熱処理時の条件がこのように穏やかであるため、熱処理工程におけるポリエステル繊維に対する熱的な影響(熱負荷、熱履歴等)が軽減される。よって、熱処理工程におけるポリエステル繊維の強度低下や熱変性を十分に防止することができる。さらに、この方法では、上述した方法2と同様に、難燃処理剤付与工程と熱処理工程とを同時に実施し、或いは、ポリエステル繊維を浸漬する前に処理液を上記の好適な温度に加熱しておいてもよい。
ここで、キャリヤーの含有量としては、加工されるポリエステル繊維の重量に対して、0.1〜10% o.w.f.(「on the weight of fiber」の略;以下同様)が好ましく、1.0〜5.0% o.w.f.がさらに好ましい。キャリヤーの含有量が少なすぎる場合には、ポリエステル繊維への難燃処理剤の固着が十分に促進されない傾向にあり、その結果、処理後のポリエステル繊維の難燃性が低下することがある。一方、キャリアーの含有量が多すぎる場合には、キャリヤーが処理液中に乳化又は分散され難くなる傾向にある。
さらに、キャリヤーを処理液中に良好に乳化又は分散させるために、界面活性剤として、ヒマシ油硫酸化油、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレン(POE)ヒマシ油エーテル、POEアルキルフェニルエーテル等を処理液に適宜添加してもよい。
なお、浸漬熱処理(難燃処理剤付与工程及び熱処理工程)によって難燃処理剤中に存在するリン化合物をポリエステル繊維に固着させるにあたっては、ポリエステル繊維を染色する前、染色と同時、染色した後のいずれの時期に行ってもよく、工程数及び作業工数を低減して作業効率を高める観点からは、染色と同時に行うことが好ましい。
また、上記に記載の各方法において、熱処理工程を実施した後に、通常の方法によってポリエステル繊維のソーピング処理を行い、ポリエステル繊維に強固に固着せず、表面に緩やかに(ルースに)付着しているリン化合物を除去することが好ましい。
このソーピング処理に用いられる洗浄剤としては、通常の陰イオン系、非イオン系、両性系の界面活性剤及びこれらが配合された洗剤を用いることができる。
なお、ポリエステル繊維に高度の洗濯耐久性が必要とされない場合には、難燃処理剤中に存在するリン化合物がポリエステル繊維の表面に強固に固着される必要はなく、リン化合物が繊維の表面に緩く付着するだけでもよい。この場合には、熱処理工程を実質的に省略できる。また、ポリエステル繊維の表面にリン化合物が緩く付着しているだけの状態でもポリエステル繊維に難燃性を付与することができる。
(その他の樹脂製品用途)
本明細書においては、特に、ポリエステル繊維について詳細に本発明の難燃剤の使用方法を説明している。これらの用途において、本発明の難燃剤の効果が極めて有利であるからである。しかしながら、本発明の難燃剤の用途はこれらに限定される訳ではない。従って、繊維の形態以外の形態のポリエステルに用いることも可能である。さらに、ポリエステル以外の熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィンなど)に用いることも可能であり、その他の熱硬化性樹脂に用いることも可能である。
本発明を以下の実施例、試験例および比較試験例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の範囲が限定されるものではない。
(合成実施例1 リン化合物(1)の合成)
(中間体1の合成)
攪拌器、温度計、滴下装置、塩酸回収装置および還流管を備えた2リットルの四つ口フラスコに、三塩化リン275.0g(2モル)、およびn−ブチルクロライド400gを充填した。この混合溶液を攪拌しながらn−ブタノール444.0g(6モル)を室温から30分間かけて追加し、最終的に70℃まで昇温した。その後、60℃で約33kPaに達するまで徐々に減圧し、残存する副生塩化水素ガス、副生n−ブチルクロライドを取り除いた。さらに90℃で0.67kPaにて減圧蒸留を行いジブチルホスファイト(中間体1)343.8gを得た。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による純度は100面積%、収率は88.6%であり、常温で無色透明液体の性状を有した。
(中間体2の合成)
次に、攪拌器、温度計、滴下装置および還流管を備えた2リットルの新たな四つ口フラスコに、アセトン63.8g(1.1モル)、およびナトリウムメトキシド5.4g(0.10モル)を充填した。この混合溶液を攪拌しながら中間体1の194.0g(1モル)を50℃で2時間かけて追加した。その後1時間、同温度(50℃)で反応させて、ジブチル(ジメチルヒドロキシメチル)ホスホネート(中間体2)を主成分とする溶液を得た。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による純度は94.0面積%、溶液中の純収率は85.0%であった。なお、触媒として用いたナトリウムメトキシドは次の工程における中和処理にて除去できるため、ここでは回収は行わなかった。
上記反応終了後の中間体2を含む溶液に、トリエチルアミン90.1g(0.89モル、中間体2に対して5モル%過剰)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン5.2g(0.043モル)、および溶媒としてトルエン200gを充填し、攪拌しながらジフェニルホスホロクロリデート(DPC:大八化学工業社製)228.2g(0.85モル)を60℃で2時間かけて追加し、その後2時間同温度(60℃)にて反応させた。この反応終了溶液を過剰分のトリエチルアミンおよび中間体2の合成時に使用されたナトリウムメトキシドの分に相当する塩酸水溶液にて室温で中和処理を行い、静置分離し、続けて炭酸水素ナトリウム水溶液にて有機層の中和処理を行った後、有機層はさらに2回水洗を行った。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥を行った後、溶剤および水を留去してリン化合物(1)390.8gを得た。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による純度は90.0面積%、収率は95.0%であった。
三塩化リンを基準とした全体的な収率は、
(中間体1)88.6%×(中間体2)85.0%×(リン化合物1)95.0%=71.5%であった。
得られた生成物は、常温で無色透明液体の性状を有した。また、元素分析結果およびUV分光器を用いたリンの定量値は表1に示したとおりで、理論値とほぼ一致した。なお、FT−IRに関しては、その赤外吸収領域を数値化し下記した。また、H−NMRの測定結果を図1〜図6に示し、13C−NMRの測定結果を図7〜図12に示す。以上の結果から、生成物の構造は以下の化学式で表される化合物であることを確認した。
Figure 0004502372
IR(KBr):3088,2976,2880,1594,1494,1469,1389,1370,1299,1267,1219,1194,1168,1142,1069,1024,960,912,835,781,694,および618cm−1
Figure 0004502372
(試験例および比較試験例)
試験例および比較試験例に用いたリン化合物および試験方法を以下に示す。
(ポリエステル繊維に対する難燃性試験)
リン化合物を溶解または分散させた7.5wt%メタノール溶液中に、ポリエチレンテレフタレート100%のポリエステル繊維織物(目付250g/m)を約10分浸漬し、マングルでピックアップが70〜80%になるように絞った後、110℃にて乾燥、180℃にて数分キュアーを行った。その後、洗浄を行い、乾燥した。これを難燃性試験および洗濯耐久性試験に用いた。リン化合物として、合成実施例1で得られたものを使用した。これらの結果を表2に示す。
(難燃性)
難燃性は、JIS L 1091 A−1(ミクロバーナー法)にて評価した。また、洗濯耐久性は、JIS L 1091(繊維製品の難燃性試験方法)に記載されている洗濯方法により評価した。
Figure 0004502372
当該有機リン化合物をポリエステル繊維用の難燃剤として使用した場合に、十分な難燃性を付与することができた。
本発明のポリエステル難燃剤を以下の合成例、ポリエステル実施例およびポリエステル比較例によりさらに具体的に説明する。
合成例で得られたリン化合物、ならびに実施例および比較例において用いた配合成分を下記する。
(a)リン化合物(難燃剤)成分
ポリエステル難燃剤1:合成実施例1で得られた下記式の化合物
Figure 0004502372
ポリエステル難燃剤2:米国特許第4697030号公報に記載のEXAMPLE 10に準拠して得られた合成品
ポリエステル難燃剤3:1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)
(b)ポリエステル繊維
ポリエチレンテレフタレート100%のポリエステル繊維織物(目付250g/m)を使用した。
(ポリエステル難燃剤1の合成)
上記「(リン化合物(1)の合成)」の欄に記載の方法と同一の方法によって得られた化合物をポリエステル難燃剤1とした。
(ポリエステル難燃剤2の合成)
米国特許第4697030号公報に記載のEXAMPLE 10に準拠して、ポリエステル難燃剤2を得た。
(ポリエステル難燃処理剤の作製)
(ポリエステル難燃処理剤1の作製)
ポリエステル難燃剤1を40gと、界面活性剤としてトリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド15モル付加物を5g配合し、湯55gを攪拌しながら加えた。その後、分散安定化剤としてカルボキシメチルセルロースを0.2g添加し、白色分散液状のポリエステル難燃処理剤1を得た。
(ポリエステル難燃処理剤2の作製)
ポリエステル難燃剤1の代わりに、ポリエステル難燃剤2を用いたこと以外は(ポリエステル難燃処理剤1の作製)に記載の方法と同様にして、白色分散液状のポリエステル難燃処理剤2を得た。
(ポリエステル難燃処理剤3の作製)
ポリエステル難燃剤1の代わりに、ポリエステル難燃剤3を用いたこと以外は(難燃処理剤1の作製)に記載の方法と同様にして、白色分散液状のポリエステル難燃処理剤3を得た。
(難燃処理剤適合性試験)
ポリエステル繊維に対する難燃処理剤としての適合性を以下に示す耐加水分解性試験および乳化安定性試験で判断した。
(1)耐加水分解性試験
蓋のないガラス円筒容器(直径30mm×高さ80mm)に難燃剤1(ポリエステル実施例1)および難燃剤2(ポリエステル比較例1)を各容器に秤量して加え、飽和水蒸気圧雰囲気(130℃×1時間)下における、各難燃剤の酸性成分(酸価として)の耐加水分解性試験前後の酸価増加率を計算し、耐加水分解性試験とした。
(2)乳化安定性試験
作製した難燃処理剤1(ポリエステル実施例1)および難燃処理剤2(ポリエステル比較例1)を、60℃で2週間保持したときの難燃処理剤の乳化安定性を目視にて評価した。その乳化安定性は、乳化性に応じて○、△、×にて判定した。これら耐加水分解性試験および乳化安定性試験の結果を表3に示す。なお、表3において、「実施例」とは上記ポリエステル実施例を示し、「比較例」とは、上記ポリエステル比較例を示す。以下の表4A〜Cおよび表5A〜Cにおいても同様である。
Figure 0004502372
表3において増加率が大きいということは、飽和水蒸気によりリン化合物が加水分解を受けやすいことを意味する。
本発明の難燃性ポリエステル繊維に使用されるポリエステル実施例1のリン化合物(ポリエステル難燃剤1)とポリエステル比較例1のリン化合物(ポリエステル難燃剤2)とを比較すると、ポリエステル比較例1で使用したリン化合物は加水分解を受けやすいことがわかる。
また、乳化安定性試験結果から、ポリエステル比較例1のリン化合物(ポリエステル難燃剤2)は、ポリエステル実施例1(ポリエステル難燃剤1)と比較すると、乳化安定性が良好とは言い難い。
これらの結果から、ポリエステル難燃剤2のようなタイプの従来のリン化合物を、例えば、水系の乳化分散液状態の難燃処理剤として使用すると、加水分解によって生じた酸性成分が難燃処理剤の乳化安定性を悪化させ、繊維の難燃処理時に熱を加えて加工を施した場合に染色ムラやオイルスポット等の不良を生じることが当然に予想される。
(ポリエステル繊維の難燃処理方法)
(処理方法1)
分散染料(カヤロン・ポリエスター・ブルー;日本化薬株式会社製)2%owfの染浴中に、難燃処理剤を7.5%濃度になるように添加し、その浴中にポリエチレンテレフタレート100%のポリエステル繊維織物(目付250g/m)を、浴比1:20により、ミニカラー試験機(テクサム技研社製)を使用し130℃×60分間処理し、還元洗浄、水洗、乾燥(100℃×5分間)した。その後、熱処理(170℃×1分間)した。
(処理方法2)
難燃処理剤を7.5%濃度に調整した水分散液に、濃色顔料で染色されたポリエチレンテレフタレート100%のポリエステル繊維織物(目付250g/m)を浸漬し、マングルでピックアップが70%〜80%になるように絞った後、乾燥(110℃×3分間)し、180℃×1分間処理した。その後、水洗・乾燥した。
以下のポリエステル実施例およびポリエステル比較例で得られた繊維織物の物性を、下記の試験方法に基づいて測定した。
(1)難燃性試験
難燃性試験として、上記の処理方法1,2によって難燃処理されたポリエステル繊維織物について、JIS L 1091に規定されるD法に準拠して防炎性能試験を行った。なお、防炎性能試験は、難燃処理されたポリエステル繊維織物、JIS L 1042に規定される洗濯を5回行ったもの、JIS L 1018に規定されるドライクリーニングを5回行ったものについて評価した。
(2)染色性
各難燃処理法で得られた試験片、及び洗濯耐久性試験を経た後の試験片を目視にて評価した。不良の有無を評価した。
(3)風合い
各難燃処理法で得られた試験片、及び洗濯耐久性試験を経た後の試験片を手触りにて評価した。良好、やや良好、不良の判定を行った。
(ポリエステル実施例2およびポリエステル比較例2)
ポリエステル難燃処理剤1(ポリエステル実施例2)およびポリエステル難燃処理剤3(ポリエステル比較例2)を用いて、処理方法1による難燃処理方法で得られたポリエステル繊維織物の物性を表4A〜4Cに示す。
Figure 0004502372
Figure 0004502372
Figure 0004502372
(ポリエステル実施例3およびポリエステル比較例3)
ポリエステル難燃処理剤1(ポリエステル実施例3)およびポリエステル難燃処理剤3(ポリエステル比較例3)を用いて、処理方法2による難燃処理方法で得られたポリエステル繊維織物の物性を表5A〜5Cに示す。
Figure 0004502372
Figure 0004502372
Figure 0004502372
表4A〜Cおよび表5A〜Cに示す結果から明らかなように、ポリエステル実施例2〜3に示す本発明によるホスフェート−ホスホネート化合物よりなる難燃性ポリエステル繊維は、非ハロゲン系化合物であるにもかかわらず、洗濯前、洗濯後およびドライクリーニング後のいずれの状態においても、ハロゲン系化合物であるヘキサブロモシクロドデカンからなる難燃性ポリエステル繊維(ポリエステル比較例2、3)以上の優れた難燃性を示し、さらに、該リン化合物からなる難燃性ポリエステル繊維は、難燃剤による染色性の実質的な低下がなく、風合いが良好であり、繊維としての諸物性が良好であることがわかる。
表4A〜Cに示す結果より、つまり、処理方法1において、本発明による該リン化合物を染色浴に添加することにより、染色と同時に難燃性を付与した難燃性ポリエステル繊維が得られることがわかる。
また、表5A〜Cに示す結果より、つまり、処理方法2において、予め染色された繊維織物を用いても、得られた難燃性ポリエステル繊維は、染色性、風合いなどの繊維としての諸物性を維持できることがわかる。
本発明は、上述したとおりの構成および効果を有するので、難燃剤として優れた化合物が提供される。この難燃剤は、特にポリエステル繊維の難燃化において有用である。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
リン化合物(1)のH−NMR測定データを示す。 リン化合物(1)のH−NMRチャートを示す。 リン化合物(1)のH−NMRチャートの部分拡大図を示す。 リン化合物(1)のH−NMRチャートの部分拡大図を示す。 リン化合物(1)のH−NMRチャートの部分拡大図を示す。 リン化合物(1)のH−NMRチャートの部分拡大図を示す。 リン化合物(1)の13C−NMR測定データを示す。 リン化合物(1)の13C−NMRチャートを示す。 リン化合物(1)の13C−NMRチャートの部分拡大図を示す。 リン化合物(1)の13C−NMRチャートの部分拡大図を示す。 リン化合物(1)の13C−NMRチャートの部分拡大図を示す。 リン化合物(1)の13C−NMRチャートの部分拡大図を示す。

Claims (9)

  1. 下記式(I)で表される化合物であって:
    Figure 0004502372

    式(I)において、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、
    直鎖または枝分かれを有するC2〜8アルキル基であるか、
    1〜7 の直鎖または枝分かれ状のアルキルから選択される置換基を有していてもよいC5〜10シクロアルキル基であるか、
    1〜9 の直鎖または枝分かれ状のアルキルから選択される置換基を有していてもよいC6〜15アリール基であり、ここで、
    が直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基である場合には、Rは直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、かつRおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基であり、
    が置換基を有していてもよいアリール基である場合には、Rは置換基を有していてもよいアリール基であり、かつRおよびRはそれぞれ直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、
    20は、メチレン基または−CH(CH )−基または−C(CH −基のいずれかである
    化合物。
  2. およびRが直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、RおよびRが置換基を有していてもよいアリール基である、請求項1に記載の化合物。
  3. およびRが置換基を有していてもよいアリール基であり、RおよびRが直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
  4. 下記式(I)で表される化合物からなる樹脂用難燃剤であって:
    Figure 0004502372

    式(I)において、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、
    直鎖または枝分かれを有するC2〜8アルキル基であるか、
    1〜7 の直鎖または枝分かれ状のアルキルから選択される置換基を有していてもよいC5〜10シクロアルキル基であるか、
    1〜9 の直鎖または枝分かれ状のアルキルから選択される置換基を有していてもよいC6〜15アリール基であり、ここで、
    が直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基である場合には、Rは直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、かつRおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基であり、
    が置換基を有していてもよいアリール基である場合には、Rは置換基を有していてもよいアリール基であり、かつRおよびRはそれぞれ直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、
    20は、式67の連結基であり、
    (式67)
    Figure 0004502372

    ここで、RおよびRは、同一であっても異なってもよく、水素、C1〜6アルキル基、または、C6〜11アリールのいずれかであるか、あるいはRとRとが結合し4〜10アルキレンとなって炭素原子とともに以下の式の環状構造を形成し、
    Figure 0004502372

    の炭素数とRの炭素数との和は0〜12である、難燃剤。
  5. 請求項に記載の難燃剤であって、ポリエステル繊維の難燃化のために使用される、難燃剤。
  6. 難燃剤で処理されたポリエステル繊維であって、該難燃剤が、下記式(I)で表される化合物である、ポリエステル繊維:
    Figure 0004502372

    式(I)において、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、
    直鎖または枝分かれを有するC2〜8アルキル基であるか、
    1〜7 の直鎖または枝分かれ状のアルキルから選択される置換基を有していてもよいC5〜10シクロアルキル基であるか、
    1〜9 の直鎖または枝分かれ状のアルキルから選択される置換基を有していてもよいC6〜15アリール基であり、ここで、
    が直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基である場合には、Rは直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、かつRおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基であり、
    が置換基を有していてもよいアリール基である場合には、Rは置換基を有していてもよいアリール基であり、かつRおよびRはそれぞれ直鎖または枝分かれを有するアルキル基または置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、
    20は、式67の連結基であり、
    (式67)
    Figure 0004502372

    ここで、RおよびRは、同一であっても異なってもよく、水素、C1〜6アルキル基、または、C6〜11アリールのいずれかであるか、あるいはRとRとが結合し4〜10アルキレンとなって炭素原子とともに以下の式の環状構造を形成し、
    Figure 0004502372

    の炭素数とRの炭素数との和は0〜12である。
  7. 前記難燃剤のR20が、メチレン基または−CH(CH)−基または−C(CH−基のいずれかである、請求項に記載のポリエステル繊維。
  8. 請求項に記載のポリエステル繊維であって、難燃剤の含有量が、難燃剤を含むポリエステル繊維の全重量のうちの、0.1〜30重量%である、ポリエステル繊維。
  9. ポリエステル繊維を難燃化する方法であって、ポリエステル繊維を、請求項に記載の難燃剤で処理する工程を包含する、方法。
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