JP2006104616A - ポリエステル系繊維用の難燃加工剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 リン系化合物を用いたポリエステル系繊維の難燃加工剤、及びこれを用いた難燃加工方法において、縮合リン酸エステルの有する耐久性の問題を解消できるとともに、低分子量リン酸エステルの場合の揮発性に起因する問題をも同時に解消することのできるものを提供する。
【解決手段】難燃加工剤として、下記一般式[1]のナフチルホスフェート化合物を、カルボキシメチルセルロースナトリウムやキサンタンガムといった水溶性高分子を用いて水中に乳化分散したものを用いる。乳化分散の際、好ましくは湿式粉砕処理を用い、分散粒子の平均粒子径が5μm以下となるようにした。これにより、長期保存後にも分散状態が安定に保たれる。
Figure 2006104616

【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル系繊維またはこれよりなる布帛等の繊維製品に、後加工により難燃性を付与するための非ハロゲン系の難燃加工剤に関する。
従前、ポリエステル系繊維からなる布帛等の繊維製品に後加工によって難燃性を付与するためには、ハロゲン系難燃剤を用いていた。例えば、分散剤を用いて、1,2,5,6,9,10-へキサブロモシクロドデカン(HBCD)のような臭素化シクロアルカンを水に分散させてポリエステル繊維の布帛に付着させる方法が知られている(特公昭53−8840号公報)。この際の付着は、染色機などを用いた吸尽法など公知の方法により行われていた。しかし、ハロゲン系難燃剤は、繊維製品の焼却時や火災発生時に、ブロム系ダイオキシンを発生させる危惧がある。特に、へキサブロモシクロドデカン(HBCD)は、難分解・高蓄積性を有することが判明し、毒性が持続することからも環境や人体に対する安全性の上で問題となっている。
そこで、リン系の難燃剤が種々検討されている。
しかしながら、縮合リン酸エステルを用いた場合、還元洗浄(RC)等アルカリソーピングや、ドライクリーニング等の溶剤処理により、難燃剤の付着層が比較的容易に脱落してしまい難燃処理の耐久性が得られないという問題があった(例えば特開2000−328445)。
一方、低分子量リン酸エステルであると、ポリエステル繊維に対する収着性は良好であり、種々の検討が行われている。しかし、既知の低分子量リン酸エステルであると、揮発性が高く、下記の問題があった。
(1) 難燃加工の熱処理時に「発煙」が生じる。
(2) 自動車内装材料に使用した場合、夏場の高温環境で放置されたときなどに、フロントガラスに曇りが生じる。(曇り具合の評価値である「曇価」(haze)が大きくなる。)
(3) ポリエステル系合成繊維の引火点以下で分解、揮散するために十分な防炎性能を付与することが困難である。
(4) 防炎性能を満足させようとすると難燃剤を大量に用いる必要がある。そのため、布帛の風合低下を招いたり、経時的に繊維表面に染料共々ブリードを生じることから、摩擦堅牢度の低下を招いていた。
特開2000−328445 特開2003−20399
本件発明者らは、上記問題点に鑑み鋭意検討する中で、特殊樹脂への使用について提案のあった固体状のナフチルホスフェート化合物(特開2003−20399)を、ポリエステル系繊維の難燃加工に用いるとの着想を得るに至った。そして、さらに検討した結果、適量の水溶性高分子を使用して固体状のナフチルホスフェート化合物を水系の媒体に分散させた処理液を用いるならば、適当な熱処理により容易にポリエステル繊維に収着させることができることを見出した。
以上のように、本発明は、リン系化合物を用いるポリエステル系繊維用の難燃加工剤において、縮合リン酸エステルの有する耐久性の問題を解消できるとともに、低分子量リン酸エステルにおける揮発性に起因する問題をも同時に解消することのできるものを提供しようとする。
本発明のポリエステル系繊維の難燃加工剤は、下記一般式[1]で表されるナフチルホスフェート化合物の1種またはそれらの混合物が、水溶性高分子を用いて水中に乳化もしくは分散されてなることを特徴とする。ただし、式中、nは1〜3の整数である。
Figure 2006104616
水溶性高分子として、好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはキサンタンガム、またはこれらの組み合わせが用いられる。また、本発明の難燃加工剤は、好ましくは、湿式粉砕処理を施すことにより、分散粒子の粒子径が5μm以下、好ましくは3μm以下となるように微分散させたものである。このような微分散状態が、上記水溶性高分子の作用によって良好に保持されることとなり、スラリーの沈降や濃度勾配の発生をより確実かつ長期にわたって防止することができる。
ポリエステル系繊維の難燃加工は、上記難燃加工剤を、浸漬またはコーティングによりポリエステル系繊維またはこれよりなる繊維製品に付与した後、上記ナフチルホスフェート化合物が繊維に収着されるように、80℃以上の熱処理を施して行うことができる。
ここで、難燃剤化合物の付与及び熱処理による定着は、高温吸尽等の方法で行うことができる。例えば、(1)染料と同時に繊維内に収着させる方法(染浴同浴)、(2)浸漬後に所定の付着量になるように絞り、乾燥・熱セットを行う方法(パッド・ドライ・サーモキュア法)、または、(3)樹脂バインダー及び/または難燃助剤と混合してコーティングを行った上で乾燥・熱セットを行う方法(コーティング法)等の方法により行うことができる。
揮発性に起因する熱処理時の「発煙」の問題やガラス面が曇る(曇価増大)問題を解消することができるとともに、インテリア用途に必要な洗濯、ドライクリーニング等に対する優れた耐久難燃性能が得られる。また、本発明で用いるリン系化合物は常温で固体のためブリードアウトしにくく、摩擦堅牢度を低下させるおそれが少ない。
なお、ノンハロゲンであるリン系化合物を使用しているため、ポリエステル系繊維の燃焼時に、ブロム系ダイオキシンその他のハロゲン化ガスが発生する心配がないことから、環境保護に貢献できる。
また、水分散時に均一で安定な水分散体を製造することができ、しかも長期製品安定性に優れる。
本発明で使用するナフチルホスフェート化合物(上記式[1])としては、具体的には、1−ナフチルジフェニルホスフェート、2−ナフチルジフェニルホスフェート、ジ(1−ナフチル)フェニルホスフェート、ジ(2−ナフチル)フェニルホスフェート、1−ナフチル−2−ナフチルフェニルホスフェート、トリ−1−ナフチルホスフェート、1−ナフチル−2−ナフチルホスフェート、ジ(1−ナフチル)−2−ナフチルホスフェート、及びトリ−2−ナフチルホスフェートが挙げられる。これらの任意の組み合わせであっても良い。
本発明で使用するナフチルホスフェート化合物(上記式[1])を合成する方法としては、(1)ジフェニルホスホクロリデートまたはモノフェニルホスホクロリデートに、ナフトールを反応させる方法、または、(2)ナフトールまたはフェノールに対し小過剰のオキシ塩化リンを反応させた上で、それぞれ、フェノールまたはナフトールを反応させる方法を挙げることができる。
乳化・分散液としての難燃加工剤中における、該リン系化合物の含量は、通常、30〜50重量%の範囲内である。
ナフチルホスフェート化合物を水中に分散もしくは乳化するためには、水溶性高分子を用いる。水溶性高分子を使用することで粘度が高くなりスラリーの沈降を抑制し均一に微分散することができる。また、製品化後も製品分離を生じない。使用可能な水溶性高分子としては、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム(ザンタンガム)、アラビアガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、可溶性でんぷん、カルボキシメチルでんぷん、カチオン化でんぷん等などを挙げることができる。この中でも、カルボキシメチルセルロース塩及びキサンタンガムが、得られる溶液の物性やその安定性などの観点から好ましい。
水溶性高分子の配合量は、好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0.03〜0.5重量%である。但し、水溶性高分子の分子量や水溶性高分子の有するイオン基の作用等により適当な配合量の範囲はずれる。
リン系化合物を水中に分散もしくは乳化するにあたり、界面活性剤を併用するのが好ましい。特に好ましくは、非イオン活性剤とアニオン活性剤を用いる。しかし、場合によっては、これらのうちの一方であっても良い。使用する界面活性剤は、リン系化合物であるナフチルホスフェート化合物100重量部に対して、好ましくは、5〜20重量部が添加される。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物、アルキルグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテルが挙げられる。
アニオン界面活性剤の具体例としては、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル等のアルキルサルフェート塩や、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等のアルキルスルホネート塩、更には、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等のアルキルホスフェート塩が挙げられる。また、アルキルアリールスルホネート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエステルホスフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボキシレート塩、ポリカルボン酸塩、ロート油、石油スルホネート、アルキルジフェニルエーテルスルホネート塩等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、もしくはポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩である。
本発明の難燃加工剤は、分散状態を安定させるため、メタノール、エタノール、トルエン、エチレングリコール、ブチルセロソルブ等の有機溶剤を含有してもよい。また、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の樹脂添加剤を配合することができる。
また、後述するコーティング法により処理を行う場合、難燃加工剤の液には、自己乳化型のアクリル樹脂等の水系バインダー樹脂を、上記ナフチルホスフェート化合物100重量部に対して、固形分重量比で、例えば30〜150重量部添加することができる。また、難燃助剤として、ポリリン酸アンモニウムその他のリン酸アンモニウム化合物などを添加することができる。このよう難燃助剤の添加量は、上記ナフチルホスフェート化合物100重量部に対して、固形分重量比で、例えば10〜100重量部である。
処理対象のポリエステル系繊維には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリトリメチレンテレフタレート(PTT)の他、これらにイソフタル酸、イソフタル酸スルホネート、アジピン酸、ポリエチレングリコールなどの第3成分を共重合したもの、例えば、カチオン可染ポリエステルなどが含まれる。その他、糸を生成する際、顔料を練り込んで作る原着糸も使用できる。また、処理対象の繊維製品には、各種の糸、織編物、不織布、ロープなどが含まれ、上記繊維の異なった糸を使用した交織布、複合素材であってもよく、例えばポリエステル原着糸交織布などが含まれる。繊維製品は、他の合成繊維、天然繊維、または半合成繊維が混紡等により組み合わされたものであっても良い。
本発明の難燃加工剤は、このようなポリエステル系繊維ないしは繊維製品に対し、後加工処理により難燃性を付与するのに用いられる。本発明の難燃加工剤を用いた後加工処理は、高温吸尽法、パッドサーモ法、またはコーティング法などにより行うことができる。
高温吸尽法では、難燃加工剤を添加した処理浴中にポリエステル系繊維または繊維製品を浸漬し、高温(通常80℃以上、好ましくは110〜150℃)で所定時間(例えば2〜60分間)処理することにより、難燃剤を繊維に収着させる。染色浴中に難燃加工剤を添加しておき、難燃剤化合物を染料と同時に繊維に収着させるならば(染色同浴法)、効率的であり好ましい。
パッドサーモ法では、難燃加工剤を水等で希釈した液中にポリエステル系繊維または繊維製品を浸漬し、所定の付着量になるようにマングル等で絞り、乾熱処理や、加熱スチーム処理などの蒸熱処理により、難燃剤化合物を繊維に収着させる。この際の熱処理温度は通常110〜210℃の範囲内である。好ましくは、浸漬後、マングルで絞り、乾燥、熱セットを行う(パッド・ドライ・サーモキュア法)。
また、コーティング法では、難燃加工剤に、樹脂バインダー及び/或いは難燃助剤等を混合・増粘した上で、布帛等に塗布し、この後、上記パッドサーモ法と同様の熱処理を行う。
本発明による難燃加工剤及び難燃加工方法は、例えば、自動車内装用その他の車両の内装用の他、住宅、オフィス、公共スペース等の内装用または家具等に用いるポリエステル繊維布帛の難燃加工に適用することができる。例えば、カーテン、布製ブラインド、絨毯(じゅうたん)その他の敷物、壁張り材といった各種インテリア材料、カーシート用表皮材、ソファーその他シートの表皮材、暗幕、緞帳(どんちょう)等として用いるポリエステル繊維布帛の難燃加工に好適である。
以下、実施例及び比較例について説明する。
<難燃加工剤の調製>
用いたNDPP(ナフチルジフェニルホスフェート)は、1モルのモノフェニルホスホクロリデートに2モルの2−ナフトールを、無水塩化マグネシウムの存在下に反応させた後、洗浄してから水蒸気蒸留することで得たものであり、純度98%以上である。NDPP(ナフチルジフェニルホスフェート)の配合量は、難燃加工剤製品の40重量%である。また、実施例で用いた水溶性高分子は、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩であり、詳しくは「セロゲンBS(第一工業製薬(株)の商品名)」を0.1〜0.15重量%配合して用いた。
さらに、実施例3を除く全ての実施例及び比較例では、非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレン・ジスチレン化フェニルエーテル(ノイゲンEA-87;第一工業製薬(株)の商品名)を6重量%配合するとともに、アニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩(ハイテノール NF-13;第一工業製薬(株)の商品名)を4重量%配合した。
下記表1に示す配合処方にて混合撹拌しスラリーを得た後、このスラリーと同じ容積の直径2.0mmのガラスビーズを混合攪拌し、これにアイメックス(株)製サンドグラインダーに充填し2時間粉砕処理した。粉砕処理後100メッシュのろ布によりガラスビース゛と分散体を分離した。但し、実施例2では、一旦スラリーを得た後、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩(「セロゲンBS」)を2%水溶液の形で追加して、最終的にNDPPの濃度が40%、「セロゲンBS」の濃度が0.15%になるようにした。
比較例1では、水溶性高分子を用いなかった他は、実施例1と全く同様とした。また、比較例2では、比較例1と同一の配合処方にて、湿式粉砕処理を行わずに加熱混合し70℃を保持した後、70℃以上の温水を徐々に添加することで、分散処理を行った。一方、比較例3では、比較例1と同様の条件で、NDPP(ナフチルジフェニルホスフェート)に代えて、TPP(トリフェニルホスフェート)(大八化学工業(株)の市販品「TPP」)を用い、比較例4では、レゾルシン・ビス(ジ-2,6-キシリルホスフェート)を用いた。
Figure 2006104616
<分散安定性の評価方法>
上記のように得られた各難燃加工剤について、次のようにして、分散安定性を評価した。
1.スラリー安定性(分散処理直後)
分散処方液を攪拌均一化させた後、攪拌を停止した際に、沈降が認められる場合を「○」、沈降が認められない場合を「×」とした。
2.保存安定性
上記処方により作製した難燃加工剤を30日間常温放置し、放置後の状態を評価した。評価は離水や分離が発生せず作製直後の状態を保持している場合を「○」、離水や分離が発生し振盪しても元の分散もしくは乳化状態に復元不可能な場合を「×」、軽度な離水や分離で振盪すれば元の分散もしくは乳化状態に復元する場合を「△」とした。
3.平均粒子径
加工剤の粒度分布を(株)島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置SA-CP2-20で測定した。
<分散安定性の評価結果>
実施例1〜3の難燃加工剤は、いずれも、分散化処理直後の乳化状態及びその長期保存性が良好であり、湿式粉砕の結果、微細な粒子に分散していた。特には、界面活性剤を用いなかった実施例3の難燃加工剤においても、0.1重量%のカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩の使用により、良好な分散及びその長期安定性が得られた。これに対して、比較例1〜4の難燃加工剤であると、比較的多量の界面活性剤を使用しているにも関わらず、分散化処理直後の乳化状態及びその長期保存性において、劣悪であった。比較例1及び3においては、湿式粉砕の結果、分散粒子の平均粒子径は実施例の場合と同様に小さい値であったが、分散化処理の直後にも沈降が認められた他、30日保存後には、軽度の離水や分離が観察された。
<難燃加工の評価方法>
1.供試試験片
レギュラーポリエステル100%の織物(トロピカル)からなる布帛に対して、上記表1の各難燃加工剤により処理を行い、難燃性を評価した。
2.難燃性の評価方法(1)
難燃性は、下記の「1.染色同浴法」において、JIS L 1091 A−1法(ミクロバーナー法)とJIS L 1091 D法(コイル法)にて評価した。ミクロバーナー法においては、1分加熱後、及び着火後3秒加熱後ともに残炎が3秒以下で、残塵が5秒以下であり、かつ炭化面積が30cm2以下のものを「○」とし、それ以外を「×」とした。コイル法においては接炎回数が3回以上であるものを「○」とし、2回以下であるものを「×」とした。
このような難燃性の評価は、上記の難燃・染色処理を施したままの状態(「加工上がり」)の布帛試験片、及び、この布帛を5回水洗濯又は5回ドライクリーニング(DC)した布帛試験片について行った。水洗濯及びドライクリーニングの具体的な条件は、下記の通りである。
水洗濯:JIS K 3371に従って、次のように洗濯を行った。弱アルカリ性第1種洗剤を1g/Lの割合で用い、浴比1:40として、60±2℃で15分間水洗した。この後、40±2℃で5分間のすすぎを3回行ってから、遠心脱水を2分間行い、60±5℃で熱風乾燥した。この一連の処理を5回繰り返した。
ドライクリーニング:布帛試験片1gにつき、テトラクロロエチレン12.6mL、チャージソープ(ノニオン界面活性剤/アニオン界面活性剤/水=10/10/1(重量比))0.265gを用いて、30±2℃で15分間の洗浄を行った後、乾燥させた。この処理を5回繰り返した。
3.難燃性の評価方法(2)
下記の「2.バックコート法」により難燃処理した場合の難燃性の評価は、自動車の難燃性基準として用いられているJIS D-1201 FMVSS燃焼性試験機(水平法)にしたがって行った。また、この際、耐洗濯試験は行わず、「加工上がり」のものについてのみ難燃性の評価を行った。評価の基準は、下記の通りであり、2個のサンプルについて評価した後、悪い方を記録した。
◎:自消性であって火源消化後すぐに炎が消える
○:自消性であって、火源消化後も残炎あるが、測定開始点以内で消火する
××:可燃性であって、全焼した。
4.曇価の評価方法
ヘーズメーター(スガ試験機(株):直読ヘーズコンピューター)によりBLANK値との差を比較した。詳しくは、次のように行った。100cm2の試験片を直径4cmのガラスビンに入れ、4.7cm角のガラス板をビンの上に隙間なく載せた。そして、この状態のガラスビンを110℃のオイルバスに漬け、3時間の静置後にガラス板を取り外し、ヘーズメータにより測定した。また、ブランク(BLANK)として、未使用の同一のガラス板についての測定値を得ておいた。
<難燃処理方法、及び評価結果>
以下に、繊維表面に難燃化合物(ナフチルホスフェート)を収着させるために行った各難燃処理方法の詳細、及び得られた評価結果について説明する。
1.染色同浴法
ミニカラー染色機(Mini-Color;テクサム技研社)を使用し、下記表2の染料浴処方にて浴比1:10で、60℃から昇温して135℃×30分間処理した。処理後、80℃まで降温してから布帛試験片を取り出し、湯水洗×5分の後、下記表3の条件にて還元洗浄(RC)を行った。そして、最後に、180℃×30secの熱処理によりヒートセットを行った。
Figure 2006104616
Figure 2006104616
Figure 2006104616
表4に示すように、実施例1の難燃加工剤を用いた場合ヒートセット(180℃)時に、揮発による「発煙」が観察されなかった(試験例1−1)。また、難燃性は、いずれの条件の試験においても良好な結果となった。さらに、曇価は、0.1と低く、縮合リン酸エステルのレベルにあり、自動車内装材料として好適なものであった。
これに対して、トリフェニルホスフェート(TPP)からなる難燃加工剤(上記比較例3)を用いた場合(比較試験例1―1)、ヒートセット時に、リン系化合物が白煙状に揮散する様子が観察された。難燃性は、他のいずれの条件でも良好であったものの、ドライクリーニング後のコイル法の評価で不良となった。また、曇価は、非常に大きく、自動車等の内装材として使用できないレベルであった。
一方、レゾルシン・ビス(ジ-2,6-キシリルホスフェート)からなる難燃加工剤(上記比較例4)を用いた場合(比較試験例1―2)、ヒートセット時に「発煙」は観察されなかったものの、難燃性の評価は、ミクロバーナー法による「加工上がり」のものを除き、全ての試験条件で不良と判断された。また、曇価も、試験例1−1の場合と比べ大きかった。
2.バックコート法
下記表5中に示すコーティング剤の処方にて、固形物換算の塗布量が70g/m2(Dry)となるように、布帛試験片の裏面に塗布した。この後、150℃×2分の加熱により、乾燥と、難燃剤化合物の収着とを行わせた。
Figure 2006104616
表5の結果から知られるように、実施例及び比較例のいずれの難燃加工剤を用いた場合も、難燃性の評価結果は良好であった。しかし、曇価は、実施例1の難燃加工剤を用いた場合(試験例2−1)にのみ充分に低く、比較例3の難燃加工剤を用いた場合(比較試験例2−1)にはかなり大きい値となった。また、比較例4の難燃加工剤を用いた場合(比較試験例2−2)には、曇価が、少し大きい値となった。すなわち、実施例の難燃加工剤を用いた場合にのみ、自動車内装材としての使用に適した良好な難燃加工を実現できた。

Claims (4)

  1. 下記一般式[1]で表されるナフチルホスフェート化合物の1種またはそれらの混合物が、水溶性高分子を用いて水中に乳化もしくは分散されてなることを特徴とするポリエステル系繊維用の難燃加工剤。ただし、式中、nは1〜3の整数である。
    Figure 2006104616
  2. 前記水溶性高分子として、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/またはキサンタンガムが用いられていることを特徴とする請求項1記載のポリエステル系繊維用の難燃加工剤。
  3. 前記水溶性高分子とともに、界面活性剤を用いて水中に乳化もしくは分散されてなることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル系繊維用の難燃加工剤。
  4. 湿式粉砕処理により分散粒子の平均粒子径が5μm以下となっていることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル系繊維用の難燃加工剤。
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