JP4477932B2 - ポリエステル系繊維品の難燃加工剤と難燃加工方法 - Google Patents

ポリエステル系繊維品の難燃加工剤と難燃加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル系繊維品のための難燃加工剤と難燃加工方法に関し、詳しくは、ハロゲン系化合物を用いることなく、後加工によって耐久性にすぐれる難燃性をポリエステル系繊維品に付与することができる難燃加工剤とそのような難燃加工剤を用いるポリエステル系繊維品の難燃加工方法に関する。
従来、ポリエステル系繊維品、特に、布帛に浴中吸尽法やパディング法のような後加工によって難燃性能を付与するための方法が種々知られている。例えば、難燃剤として、ハロゲン系化合物、代表的には、例えば、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカンのような臭素化シクロアルカンを難燃剤として分散剤にて水に分散させてなる難燃加工剤をポリエステル系繊維布帛に付着させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このように、ポリエステル系繊維品にハロゲン化合物を付着させて難燃性能を付与する方法によれば、そのポリエステル系繊維品が燃焼したとき、有害なハロゲン化ガスが発生し、これが環境に有害な影響を及ぼす等の間題がある。そこで、これまでも、このようなハロゲン系化合物に代えて、ハロゲンを含まないリン系化合物からなる難燃剤として、種々のホスファゼン化合物が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。しかし、従来より知られているホスファゼン化合物の多くは常温で液体であるので、これをポリエステル系繊維品に付与しても、ブリードアウトするので、難燃剤として用いるに適しない。
これに対して、架橋フェノキシホスファゼンは常温で固体である利点を有するが(特許文献4参照)、しかし、この架橋フェノキシホスファゼンを難燃剤としてポリエステル系繊維品に付与するには、架橋フェノキシホスファゼンを溶剤に溶解し、溶液として、これを用いる方法によるか、又は乳化物として、浴中吸尽法又はパディング法にて付与しなければならない。
しかし、前者の方法に従って、そのような難燃加工剤を用いてポリエステル系繊維品を処理すれば、溶剤が大気中に放出されて、環境汚染を招来するおそれがある。他方、架橋フェノキシホスファゼンを乳化物として用いる方法によれば、界面活性剤を用いることが必要となるが、一般に、架橋フェノキシホスファゼンは、乳化が困難であり、また、乳化物とすることができても、乳化物が安定でなく、経時的に破壊して、架橋フェノキシホスファゼンが析出する。このように、乳化物が不安定であるときは、吸尽法にて難燃剤をポリエステル系繊維品に付与する際に、付着むらが生じたり、また、パディング法にて付与する際には、乳化物の破壊が起こって、付着むらが生じたり、また、機械や装置類を汚染するほか、ポリエステル系繊維品の外観を損なう問題もある。
特公昭53−8840号公報 特開平10−298188号公報 特開2001−131409号公報 特開2003−137420号公報
本発明者らは、従来のポリエステル系繊維品の難燃加工における上述した問題を解決するために鋭意研究した結果、架橋フェノキシホスファゼンを特に選択した界面活性剤を用いて水中に乳化して分散させ、又は湿式粉砕して分散させることによって、安定な乳化物又は分散液を得ることができ、更に、このような架橋フェノキシホスファゼンの乳化物又は分散液を難燃加工剤として用いることによって、ポリエステル系繊維品に耐久性にすぐれる難燃性を付与することができることを見出して、本発明に至ったものである。
従って、本発明は、ポリエステル系繊維品への後加工によって耐久性にすぐれる難燃性を付与することができる難燃加工剤とそのような難燃加工剤を用いてポリエステル系繊維品に耐久性にすぐれる難燃性を付与することができる難燃加工方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、一般式(I)
Figure 0004477932
(式中、mは3〜25の整数を示し、Phはフェニル基を示す。)
で表される環状フェノキシホスファゼンと一般式(II)
Figure 0004477932
(式中、Xは−N=P(OPh)3 基又は−N=P(O)OPh基を示し、Yは−P(OPh)4 基又は−P(O)(OPh)2 基を示し、Phはフェニル基を示し、nは3〜10000の整数を示す。)
で表される直鎖状フェノキシホスファゼンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のホスファゼン化合物がそのフェニル基の脱離した酸素原子の間に介在するo−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基及び一般式(III)
Figure 0004477932
(式中、Zは−C(CH3)2−、−SO2−、−S−又は−O−を示し、xは0又は1を示す。)
で表されるビスフェニレン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋基にて架橋されてなる架橋ホスファゼン化合物を一般式(IV)
Figure 0004477932
(式中、M+ はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、jは平均で1〜3の数を示し、kは平均で5〜30の数を示す。)
で表される界面活性剤、一般式(V)
Figure 0004477932
(式中、jは平均で1〜3の数を示し、kは平均で5〜30の数を示す。)
で表される界面活性剤及び一般式(VI)
Figure 0004477932
(式中、M+ はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、a及びbはそれぞれ平均で1〜3の数を示し、c及びdはそれぞれ平均で5〜30の数を示す。)
で表される界面活性剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤の存在下に水中に乳化又は分散させてなることを特徴とするポリエステル系繊維品の難燃加工剤が提供される。
また、本発明によれば、上記難燃加工剤を用いてポリエステル系繊維品を難燃加工することを特徴とするポリエステル系繊維品の難燃加工方法が提供される。
更に、本発明によれば、上記方法にてポリエステル系繊維品を難燃加工してなる難燃性ポリエステル系繊維品が提供される。
本発明によれば、架橋フェノキシホスファゼンを特に選択した界面活性剤を用いて水中に乳化して分散させ、又は湿式粉砕して分散させることによって、架橋フェノキシホスファゼンを安定な乳化物又は分散液として得ることができ、これを難燃加工剤として用いて、ポリエステル系繊維品に難燃加工を施すことによって、耐久性にすぐれる難燃性を付与することができる。
本発明において、ポリエステル系繊維品とは、少なくともポリエステル繊維を含む繊維と、そのような繊維を含む糸、綿、編織物や不織布等の布帛をいい、好ましくは、ポリエステル繊維、これよりなる糸、綿、編織物や不織布等の布帛をいう。
本発明において、上記ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレナフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/5−ソジオスルホイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリオキシベンゾイル、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート等を挙げることができるが、これら例示に限定されるものではなく、更に、難燃性化合物をポリエステルの製造時にポリエステル中に共重合させたもの、また、重合時又は製糸時に難燃性化合物をブレンドした難燃原糸であってもよい。
本発明による難燃性ポリエステル系繊維品は、例えば、座席シート、シートカバー、カーテン、壁紙、天井クロス、カーペット、緞帳、建築養生シート、テント、帆布等に好適に用いられる。
本発明において、難燃剤として用いる架橋フェノキシホスファゼンは、一般式(I)
Figure 0004477932
(式中、mは3〜25の整数を示し、Phはフェニル基を示す。)
で表される環状フェノキシホスファゼンと一般式(II)
Figure 0004477932
(式中、Xは−N=P(OPh)3 基又は−N=P(O)OPh基を示し、Yは−P(OPh)4 基又は−P(O)(OPh)2 基を示し、Phはフェニル基を示し、nは3〜10000の整数を示す。)
で表される直鎖状フェノキシホスファゼンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のホスファゼン化合物がそのフェニル基の脱離した酸素原子の間に介在するo−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基及び一般式(III)
Figure 0004477932
(式中、Zは−C(CH3)2−、−SO2−、−S−又は−O−を示し、xは0又は1を示す。)
で表されるビスフェニレン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋基にて架橋されてなる化合物である。
本発明によれば、このような架橋フェノキシホスファゼンは、好ましくは、フェニル基の含有率が上記環状及び/又は鎖状フェノキシホスファゼン中の全フェニル基の総数を基準にして50〜99.9%の範囲にあると共に、分子内に遊離のヒドロキシル基をもたない。
このような架橋フェノキシホスファゼンは、特開2003−206394号公報に詳細に記載されているように、一例を挙げれば、クロルベンゼンやテトラクロルエタン中、塩化アンモニウムと五塩化リン(又は塩化アンモニウムと三塩化リンと塩素)とを120〜130℃で反応させ、脱塩酸化することによって、環状ジクロルホスファゼンオリゴマーと直鎖状ジクロルホスファゼンオリゴマーの混合物を得、これらの環状及び直鎖状ジクロルホスファゼンオリゴマーの混合物にアルカリ金属フェノラートとアルカリ金属ジフェノラートとの混合物を反応させ、得られる化合物に更にアルカリ金属フェノラートを反応させることによって得ることができる。
本発明によるポリエステル系繊維品の難燃加工剤は、このような架橋ホスファゼン化合物を一般式(IV)
Figure 0004477932
(式中、M+ はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、jは平均で1〜3の数を示し、kは平均で5〜30の数を示す。)
で表される界面活性剤、一般式(V)
Figure 0004477932
(式中、jは平均で1〜3の数を示し、kは平均で5〜30の数を示す。)
で表される界面活性剤及び一般式(VI)
Figure 0004477932
(式中、M+ はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、a及びbはそれぞれ平均で1〜3の数を示し、c及びdはそれぞれ平均で5〜30の数を示す。)
で表される界面活性剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤の存在下に水中に乳化して分散させ、又は湿式粉砕して分散させてなるものである。
ここに、本発明において、上記架橋フェノキシホスファゼンを乳化して水に分散させるとは、架橋フェノキシホスファゼンを加熱溶融させ、液体とした状態で、水中において、界面活性剤を乳化剤として用いて、その存在下に機械的に激しく攪拌して、上記架橋フェノキシホスファゼンを微細な液滴として水中に分散させることをいう。ここに、本発明によれば、架橋フェノキシホスファゼンを乳化させるに際して、前述した界面活性剤を用いることによって、乳化物が常温に至った後も、架橋フェノキシホスファゼンが可溶化されており、かくして、安定な乳化物を得ることができる。上記機械的な攪拌のためには、例えば、通常の攪拌機のほか、ホモジナイザーやコロイドミルが用いられる。
通常であれば、架橋フェノキシホスファゼンは常温では固体であるので、得られた乳化物においては、架橋フェノキシホスファゼンは、徐々に再結晶し、固体化するので、乳化物は不安定となり、遂には、架橋フェノキシホスファゼンの凝集や沈殿が起こるが、本発明によれば、前記界面活性剤を用いることによって、乳化物が常温に至った後も、架橋フェノキシホスファゼンが可溶化されているので、安定な乳化物を得ることができる。
他方、上記架橋フェノキシホスファゼンを湿式粉砕して水に分散させるとは、架橋フェノキシホスファゼンを固体のまま、界面活性剤を分散剤として用いて、粉砕して、微細な固体の粒子として水中に分散させることをいう。このように、架橋フェノキシホスファゼンを固体のまま、湿式粉砕して分散させるには、上述した乳化の場合よりも強力な機械的攪拌が必要であるので、ホモジナイザーやコロイドミルのほか、ガラスビーズやジルコニアビーズのような粉砕媒体を用いるビーズミルが用いられる。
本発明において用いる前記一般式(V)で表される界面活性剤、スチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物は、フェノール1モル部にスチレンを1〜3モル部付加してスチレン化フェノールを得、このスチレン化フェノール1モル部にエチレンオキサイドを5〜30モル部付加させることによって得ることができる。前記一般式(IV)で表される界面活性剤、スチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩は、上記スチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物を硫酸エステル化した後、アルカリ金属水酸化物やアンモニア等のアルカリにて中和することによって得ることができる。上記アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが好ましく用いられる。従って、前記一般式(IV)で表される界面活性剤、スチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩において、M+ はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、上記アルカリ金属イオンは、好ましくは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンである。
前記一般式(VI)で表される界面活性剤、スチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物のスルホ琥珀酸エステルは、上記一般式(V)で表される界面活性剤、スチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物2モル部をスルホマレイン酸1モル部に反応させることによって得ることができる。一般式(VI)で表される界面活性剤、スチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物のスルホ琥珀酸エステルにおいても、M+ はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、上記アルカリ金属イオンは、好ましくは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンである。
これらの界面活性剤のいずれにおいても、フェノール1モル部当たりのエチレンオキサイドの平均付加モル数が5より少なくても、また、30より多くても、得られる架橋フェノキシホスファゼンの乳化物又は分散液の安定性が悪くなる。
本発明による難燃加工剤において、架橋フェノキシホスファゼンの含有量は、通常、10〜60重量%の範囲であり、好ましくは、20〜40重量%の範囲である。難燃加工剤中の架橋フェノキシホスファゼンの含有量が10重量%よりも少ないときは、ポリエステル系繊維品に難燃性を付与するに際して、徒に多量の難燃加工剤を必要とし、他方、架橋フェノキシホスファゼンの含有量が60重量%を越える乳化物や分散液は、これを安定なものとして調製することが困難である。
更に、本発明によれば、架橋フェノキシホスファゼンの乳化物又は分散液を調製するに際して、前記界面活性剤は、特に限定されるものではないが、通常、架橋フェノキシホスファゼン100重量部に対して、5〜30重量部の範囲で用いられる。架橋フェノキシホスファゼン100重量部に対して、界面活性剤の使用量が5重量部よりも少ないときは、得られる乳化物又は分散液の安定性が悪くなるおそれがあり、他方、30重量部よりも多いときは、十分な難燃性をポリエステル系繊維品に付与することができず、また、吸尽法にて処理した場合に吸尽率を低下させるおそれがある。特に、本発明においては、架橋フェノキシホスファゼンを水中に乳化させるには、好ましくは、架橋フェノキシホスファゼン100重量部に対して、界面活性剤10〜30重量部が用いられ、他方、架橋フェノキシホスファゼンを湿式粉砕し、分散させるには、架橋フェノキシホスファゼン100重量部に対して、好ましくは、界面活性剤5〜10重量部が用いられる。
特に、本発明によれば、架橋フェノキシホスファゼンを水中に乳化して分散させるには、前記一般式(IV)で表される界面活性剤、スチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩が好ましく用いられ、他方、架橋フェノキシホスファゼンを水中に湿式粉砕して分散させるには、前記一般式(V)で表される界面活性剤、スチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物又は前記一般式(VI)で表される界面活性剤、スチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物のスルホ琥珀酸エステルが好ましく用いられる。
本発明による難燃加工剤を製造する方法は特に限定されるものではないが、例えば、架橋フェノキシホスファゼンの乳化物を得るには、架橋フェノキシホスファゼンと上記界面活性剤を混合し、加熱溶融して均一な混合物を得、この混合物を加熱した水中に徐々に加えることによって、架橋フェノキシホスファゼンを微細な液滴として、加熱した水中に乳化分散させればよい。また、別の方法として、架橋フェノキシホスファゼンを加熱溶融させ、これを界面活性剤を含む加熱した水中に徐々に加えることによって、架橋フェノキシホスファゼンを水中に乳化分散させてもよい。このようにして、架橋フェノキシホスファゼンを水中に微細に乳化、分散させた後、更に、分散安定剤として、例えば、ポリビニルアルコールを溶解させることによって、難燃加工剤の安定性を一層、高めることができる。
他方、架橋フェノキシホスファゼンを湿式粉砕し、分散させて水分散液を得るには、一つの方法として、例えば、架橋フェノキシホスファゼンと上記界面活性剤とからなる混合物をジルコニアビーズを粉砕媒体として水中にて攪拌して、架橋フェノキシホスファゼンを粉砕し、水中に分散させればよい。
本発明による難燃加工剤は、その性能が阻害されない範囲において、必要に応じて、前述したポリビニルアルコールのほか、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン糊等の分散安定剤、難燃加工剤の難燃性を高めるための難燃助剤、耐光堅牢度を高めるための紫外線吸収剤や酸化防止剤等を含んでいてもよい。更に、必要に応じて、従来より知られている難燃剤や界面活性剤を含んでいてもよい。
本発明による難燃加工剤を用いて、ポリエステル系繊維品を難燃加工し、難燃性を付与するには、難燃剤である架橋フェノキシホスファゼンのポリエステル系繊維品への付着量は、繊維品の種類によって異なるが、通常、0.03〜30重量%、好ましくは、0.3〜20重量%の範囲である。架橋フェノキシホスファゼンのポリエステル系繊維品への付着量が0.03重量%よりも少ないときは、ポリエステル系繊維品に十分な難燃性を付与することができず、他方、30重量%を越えるときは、難燃加工後の繊維品の風合いが粗硬になる等の不具合を生じる。
本発明による難燃加工剤をポリエステル系繊維品に付与して、難燃加工する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、パディング法、スプレー法、コーティング法等によって、難燃加工剤をポリエステル系繊維品に付着させ、170〜220℃の温度で熱処理して、架橋フェノキシホスファゼンを繊維に固着させる方法を挙げることができる。より詳細には、例えば、パディング法によるときは、本発明による難燃加工剤にポリエステル系繊維品を浸漬して、所定の付着量になるようにマングル等で絞った後、例えば、60〜130℃の範囲の温度で乾燥し、次いで、必要に応じて、例えば、150〜210℃、好ましくは、170〜200℃の範囲の温度で数秒から数分間、乾熱処理を行うのである。
また、本発明による難燃加工剤をポリエステル系繊維品に付与して、難燃加工する別の方法として、浴中処理によることができる。この方法によるときは、例えば、難燃加工剤中にポリステル系繊維品を浸漬し、110〜140℃の温度で浴中処理して、架橋フェノキシホスファゼンを繊維に固着させる。この方法によるときは、例えば、液流染色機、ビーム染色機、チーズ染色機等のパッケージ染色機を用いることができる。
本発明によれば、このような浴中処理によって、難燃加工剤をポリエステル系繊維品に付与して、難燃加工する際には、難燃剤をポリエステル系繊維品に安定に多量に固着させるために、固着剤を用いてもよい。ここに、この固着剤としては、従来よりポリエステル繊維のキャリヤー染色において用いられている染色キャリヤーが好ましく用いられる。従って、このような固着剤として、例えば、o−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール等のフェニルフェノール類、クレソチン酸メチル等のクレソチン酸エステル類、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン等のクロロベンゼン類、ビフェニル、メチルビフェニル等の(アルキル置換)ビフェニル類、ジフェニルオキシド、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン等のアルキル置換ナフタレン類、安息香酸メチル、安息香酸ブチル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル等の安息香酸エステル類、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、テレフタル酸ジメチル等のフタル酸エステル類、フタル酸イミド等を挙げることができる。なかでも、本発明においては、主として、環境負荷と効果の観点から、安息香酸エステル類やフタルイミドが好ましく用いられる。
本発明において、このような固着剤を用いる場合、固着剤は、難燃加工するポリエステル系繊維品に対して、重量基準にて、0.1〜10%owf(on the weight of fiber)、好ましくは、1.0〜5.0%owfの範囲で用いられる。
本発明によれば、このような固着剤を難燃剤を含む処理液中に乳化分散させるために、界面活性剤として、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ソルビトール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキルフェニルエーテル等を適宜に用いることができる。
近年、ポリエステル系繊維品の多様化、高級化によって、レギュラーポリエステル繊維糸とカチオン可染ポリエステル繊維糸とを混織した布帛が普及しつつあるが、固着剤を用いる浴中処理によってポリエステル系繊維品を難燃加工する方法は、このようなカチオン可染ポリエステル混織布帛の場合に好適である。
このように、本発明による難燃加工剤を用いて、カチオン可染ポリエステル混織布帛を難燃加工する場合、上記固着剤は、カチオン可染ポリエステル混織布帛に対して、重量基準にて、0.1〜10%owf(on the weight of fiber)、好ましくは、1.0〜5.0%owfの範囲で用いられる。固着剤の使用割合がカチオン可染ポリエステル混織布帛に対して0.1%owfよりも少ないときは、カチオン可染ポリエステル混織布帛に十分な量の難燃剤を固着することができないおそれがあり、他方、固着剤の使用割合がカチオン可染ポリエステル混織布帛に対して10%owfよりも多いときは、難燃処理したカチオン可染ポリエステル混織布帛に固着剤が残留して、難燃性を阻害するおそれがある。
本発明において、カチオン可染ポリエステル混織布帛とは、カチオン可染ポリエステル繊維糸とレギュラーポリエステル繊維糸との混織による布帛を意味し、カチオン可染ポリエステル繊維糸のみからなる布帛をも含めることとする。
ここに、混率とは、カチオン可染ポリエステル混織布帛中に含まれるカチオン可染ポリエステル繊維糸の重量基準による割合(重量%)をいう。
カチオン可染ポリエステル混織布帛には、そのポリエステル繊維を形成するポリエステルの分子中にカチオン染料による染色を容易にするために、例えば、前述したように、5−ソジオスルホイソフタレートのようなスルホン酸基を有するジカルボン酸モノマー成分がポリエステル分子中に組み込まれている。このようなスルホン酸基を有するモノマー成分を含まないポリエステル分子からなる繊維がレギュラーポリエステル繊維である。このようなカチオン可染ポリエステル混織布帛は、レギュラーポリエステル系繊維品に比較して、燃焼後に燃焼残渣を生じやすく、また、燃焼後に生じた燃焼残渣がいわば「蝋燭の芯」の役割をして、レギュラーポリエステルのドリップを阻害するので、その難燃化が困難であるとされている。
即ち、カチオン可染ポリエステル繊維糸は融点約246℃、5%分解温度約373℃であり、レギュラーポリエステル繊維糸は融点約256℃、分5%解温度約400℃であるので、カチオン可染ポリエステル混織布帛が燃焼した場合、カチオン可染ポリエステル繊維糸の分解温度がレギュラーポリエステル繊維糸の分解温度よりも低く、燃焼残渣がレギュラーポリエステル繊維糸の分解前に形成され、その結果として、燃焼残渣が「蝋燭の芯」の役割をするとみられる。
このようなカチオン可染ポリエステル混織布帛、特に、混率が25%以上のものは、レギュラーポリエステル系繊維品に比較して、従来、難燃化が困難であるといわれている。例えば、従来より知られているリン系の難燃剤、例えば、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)では、リン含有量が低く、通常、5〜11%の範囲であり、従って、カチオン可染ポリエステル混織布帛に付与することができる難燃性能に限界がある。しかし、架橋フェノキシホスファゼンは、リン含有量が12%以上であって、従来のリン系難燃剤に比べてリン含有量が高いが、反面、分子量が大きく、カチオン可染ポリエステル混織布帛内での分散性が悪いので、浴中加工によって、十分な量の架橋フェノキシホスファゼンをカチオン可染ポリエステル混織布帛に付与することが困難である。
ここに、本発明によれば、上記固着剤を用いて浴中処理することによって、架橋フェノキシホスファゼンのカチオン可染ポリエステル混織布帛内での分散性を高めることによって、満足すべき難燃性能を有するに足りる量の架橋フェノキシホスファゼンをカチオン可染ポリエステル混織布帛に付与することができる。しかし、本発明においては、架橋フェノキシホスファゼンを難燃剤として用いてレギュラーポリエステル系繊維品を難燃加工する場合にも、必要に応じて、上述した固着剤を用いてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。用いた試料ポリエステル繊維布帛は下記のとおりであり、それらの難燃性能及びその耐久性の評価は、以下のようにして行った。また、実施例及び比較例において、「部」は固形分換算した重量部である。
(難燃性能)
難燃加工した布帛の初期の難燃性能(表1中、「初期」として示す。)と共に、これを下記の条件で5回水洗濯又は5回ドライクリーニング(DC)したもの(表1中、それぞれ「洗濯5回後」と「DC5回後」として示す。)について、JIS L 1091 A−1法(ミクロバーナー法)及びJIS L 1091 D法(コイル法)にて難燃性能を評価した。ミクロバーナー法においては、1分間加熱、着炎後3秒加熱共に、残炎が3秒以内、残塵が5秒以内、炭化面積が30cm2 以内のときを○とし、これらの条件に満たないものを×とした。コイル法においては、接炎回数が3回以上であれば、難燃性にすぐれるといえる。
(水洗濯)
JIS K 3371に従って、弱アルカリ性第1種洗剤を1g/Lの割合で用い、浴比1:40として、60℃±2℃で15分間水洗濯した後、40℃±2℃で5分間のすすぎを3回行ない、遠心脱水を2分間行ない、その後、60℃±5℃で熱風乾燥する1サイクルを5サイクル行った。
(DC)
試料1gにつき、テトラクロロエチレン12.6mL、チャージソープ0.265g(チャージソープの重量組成はノニオン系界面活性剤(ノニルフェニルエーテルのエチレンオキシド10モル付加物)/アニオン系界面活性剤(ジオクチル琥珀酸ナトリウム塩)/水=10/10/1)を用いて、30℃±2℃で15分間の処理を1サイクルとし、これを5サイクル行った。
(試料ポリエステル繊維布帛A)
経糸としてフルダルポリエステル繊維(酸化チタン3.5%含有)からなる84デシテックス36フィラメントのポリエステル繊維を用い、緯糸として黒原着ポリエステル繊維からなる167デシテックス48フィラメントのポリエステル繊維を用いて、密度縦360本/2.54cm×横100本/2.54cm、両面朱子織とした織物に通常の方法によって精練、プレセットを施したものを試料ポリエステル繊維布帛Aとした。
(試料ポリエステル繊維布帛B)
経糸としてカチオン可染エステル繊維からなる84デシテックス36フィラメントのポリエステル繊維を用い、緯糸として黒原着ポリエステル繊維からなる167デシテックス48フィラメントのポリエステル繊維を用いて、密度縦360本/2.54cm×横100本/2.54cm、両面朱子織とした織物に通常の方法によって精練、プレセットを施したものを試料ポリエステル繊維布帛Bとした。このカチオン可染ポリエステル混織布帛の混率は57.6%である。
(架橋フェノキシホスファゼンの製造)
フェノール37.6g(0.4モル)とテトラヒドロフラン500mLを1L容量四つ口フラスコに仕込み、撹拌下、液温を25℃に保ちつつ、細かく裁断した金属ナトリウム9.2g(0.45g原子)を投入した。投入終了後、65〜72℃で金属ナトリウムが完全に消失するまで、5時間撹拌を続けた。
別に、1L容量四つ口フラスコ中、フェノール160.0g(1.70モル)とビスフェノールS12.5g(0.05モル)をテトラヒドロフラン500mLに溶解し、25℃以下の温度で金属ナトリウム41.4g(1.8g原子)を投入し、投入終了後、1時間かけて61℃まで昇温し、61〜68℃の温度で6時間撹拌して、ナトリウムフェノラート混合溶液を調製した。
この溶液をジクロルホスファゼンオリゴマー(3量体72%、4量体17%、5量体及び6量体7%、7量体2%、8量体以上2%の混合物)115.9gを含む20%クロルベンゼン溶液580gに25℃以下に冷却しつつ、撹拌下に滴下した後、71〜73℃の温度で5時間撹拌して反応を行った。
次に、先に調製したナトリウムフェノラート混合溶液を滴下した後、71〜73℃の温度で3時間反応を行った。反応終了後、反応混合物を濃縮し、クロルベンゼン500mLに再溶解した。次に、5%水酸化ナトリウム水溶液による洗浄を3回、5%硫酸洗浄、5%重曹水洗浄、水洗3回を行った後、濃縮、乾固して、架橋フェノキシホスファゼン218gを淡黄色固体として得た。
この架橋フェノキシホスファゼンの酸価は0.032mgKOH/g、加水分解塩素は0.01%以下であり、リン含有率と元素分析値から、上記架橋フェノキシホスファゼンの組成はほぼ次式
〔N=P(−O−Ph−SO2−Ph−O−)0.05 (−O−Ph)1.90
で示される。重量平均分子量はポリスチレン換算で1080であり、TG/DTA分析による融解温度(Tm)は103℃、分解開始温度は320℃、5%重量減少温度は334℃、残存ヒドロキシ基量は検出限界以下(アセチル化法)であった。
(難燃加工剤Aの調製)
上記架橋フェノキシホスファゼン30重量部とトリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5重量部を混合し、この混合物を130℃まで加熱して、均一な溶融物を得た。この溶融物を95℃の水65重量部に攪拌しながら徐々に加えて、架橋フェノキシホスファゼンを乳化させ、微細に分散させて、難燃加工剤Aを均一な乳化物として得た。
(難燃加工剤の安定性の評価方法)
この難燃加工剤Aを温度20℃で静置して、目視にて安定性を調べたところ、凝集や沈殿が起こらず、1か月以上安定であった。
(難燃加工剤Bの調製)
上記架橋フェノキシホスファゼン50重量部とトリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5重量部を混合し、この混合物を130℃まで加熱して、均一な溶融物を得た。この溶融物を95℃の水40重量部に攪拌しながら徐々に加えて、架橋フェノキシホスファゼンを乳化させ、微細に分散させた後、更に、分散安定剤として、ポリビニルアルコールの20%水溶液5重量部を加えて均一化して、難燃加工剤Bを均一な乳化物として得た。この難燃加工剤Bについて、実施例1と同様にして安定性を調べたところ、1か月以上安定であった。
(難燃加工剤Cの調製)
上記架橋フェノキシホスファゼン30重量部とソルビタンモノステアレートエチレンオキサイド10モル付加物5重量部を混合し、130℃まで加熱して、均一な溶融物を得た。この溶融物を95℃の水65重量部に攪拌しながら徐々に加えて乳化させることを試みたが、溶融物が著しく凝集して、均一な乳化物を得ることができなかった。
(難燃加工剤Dの調製)
上記架橋フェノキシホスファゼン30重量部とジスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物5重量部を混合し、130℃まで加熱して、均一な溶融物を得た。この溶融物を95℃の水65重量部に攪拌しながら徐々に加えて、架橋フェノキシホスファゼンを乳化させ、微細に分散させて、難燃加工剤Dを均一な乳化物として得た。この難燃加工剤Dについて、実施例1と同様にして安定性を調べたところ、3時間まで安定であった。
(難燃加工剤Eの調製)
上記架橋フェノキシホスファゼン30重量部とノニルフェノールエチレンオキサイド10モル付加物5重量部を混合し、この混合物を130℃まで加熱して、均一な溶融物を得た。この溶融物を95℃の水65重量部に攪拌しながら徐々に加えて乳化させることを試みたが、溶融物が著しく凝集して、均一な乳化物を得ることができなかった。
(難燃加工剤Fの調製)
上記架橋フェノキシホスファゼン30重量部とラウリルアルコールエチレンオキサイド9モル付加物5重量部を混合し、この混合物を130℃まで加熱して、均一な溶融物を得た。この溶融物を95℃の水65重量部に攪拌しながら徐々に加えて乳化させることを試みたが、溶融物が著しく凝集して、均一な乳化物を得ることができなかった。
(難燃加工剤Gの調製)
難燃剤1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカン40重量部、ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム3.5重量部とシリコーン系消泡剤0.1重量部を水25重量部と混合し、これを直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、上記難燃剤を平均粒子径が0.5μmとなるまで粉砕し、105℃の温度で30分間乾燥させたときの不揮発分濃度が40%となるように調整して、難燃加工剤Gを得た。
(難燃加工剤Hの調製)
難燃剤としてレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)45重量部と界面活性剤トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物硫酸エステルのアンモニウム塩7.5重量部とを混合し、95℃まで加熱して、均一な溶融物を得た。この溶融物を95℃の水47.5重量部に攪拌しながら徐々に加えて、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)を乳化させ、微細に分散させて、難燃加工剤Hを均一な乳化物として得た。この難燃加工剤Hについて、実施例1と同様にして安定性を調べたところ、1か月以上安定であった。
実施例1
試料ポリエステル繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf(on the weight of fiber)、難燃加工剤Aを架橋フェノキシホスファゼンとして1.5%owf、浴比1:15となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
実施例2
試料ポリエステル繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤Bを架橋フェノキシホスファゼンとして1.5%owf、浴比1:15となるように配合した混合処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
実施例3
試料ポリエステル繊維布帛Bを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤Aを架橋フェノキシホスファゼンとして5.0%owf、キャリヤーとしてブチルベンゾエート2%owf、浴比1:15となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例1
試料ポリエステル繊維布帛Aを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤Gを難燃剤として1.5%owf、浴比1:15となるように配合した混合処理液中に浸漬し、130℃で45分間処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例2
試料ポリエステル繊維布帛Bを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤Gを難燃剤として5.0%owf、浴比1:15となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
比較例3
試料ポリエステル繊維布帛Bを分散染料(スミカロンブルーE−RPD)0.3%owf、難燃加工剤Hを難燃剤として5.0%owf、固着剤として安息香酸ブチル2%owf、浴比1:15となるように配合した処理液中に浸漬し、130℃で45分間、浴中処理し、通常の還元洗浄を行い、水洗後、乾燥し、170℃で1分間熱処理を行った。
上記実施例及び比較例において難燃加工したポリエステル繊維布帛の難燃性能を表1に示す。表1に示す結果から明らかなように、本発明による難燃加工剤を用いて、ポリエステル系繊維品に難燃加工を施すことによって、従来の1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカンを用いる場合とほぼ同等の難燃性を付与することができる。
Figure 0004477932

Claims (5)

  1. 一般式(I)
    Figure 0004477932
    (式中、mは3〜25の整数を示し、Phはフェニル基を示す。)
    で表される環状フェノキシホスファゼンと一般式(II)
    Figure 0004477932
    (式中、Xは−N=P(OPh)3 基又は−N=P(O)OPh基を示し、Yは−P(OPh)4基又は−P(O)(OPh)2 基を示し、Phはフェニル基を示し、nは3〜10000の整数を示す。)
    で表される直鎖状フェノキシホスファゼンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のホスファゼン化合物がそのフェニル基の脱離した酸素原子の間に介在するo−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基及び一般式(III)
    Figure 0004477932
    (式中、Zは−C(CH3)2−、−SO2−、−S−又は−O−を示し、xは0又は1を示す。)
    で表されるビスフェニレン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋基にて架橋されてなる架橋ホスファゼン化合物を一般式(IV)
    Figure 0004477932
    (式中、M+ はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、jは平均で1〜3の数を示し、kは平均で5〜30の数を示す。)
    で表される界面活性剤、一般式(V)
    Figure 0004477932
    (式中、jは平均で1〜3の数を示し、kは平均で5〜30の数を示す。)
    で表される界面活性剤及び一般式(VI)
    Figure 0004477932
    (式中、M+ はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、a及びbはそれぞれ平均で1〜3の数を示し、c及びdはそれぞれ平均で5〜30の数を示す。)
    で表される界面活性剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤の存在下に水中に乳化して分散させ、又は湿式粉砕して分散させてなる難燃加工剤を用いてポリエステル系繊維品を難燃加工するポリエステル系繊維品の難燃加工方法において、上記難燃加工剤中にポリエステル系繊維品を浸漬し、安息香酸エステル又はフタルイミドからなる固着剤を用いて、110〜140℃の温度で浴中処理して、上記架橋ホスファゼン化合物を繊維に固着させることを特徴とする方法
  2. 難燃加工するポリエステル系繊維品に対して、固着剤を重量基準で0.1〜5.0%owfの範囲で用いる請求項1に記載の方法。
  3. 難燃加工するポリエステル系繊維品に対して、固着剤を重量基準で0.1〜2.0%owfの範囲で用いる請求項1に記載の方法。
  4. ポリエステル系繊維品がレギュラーポリエステル繊維糸とカチオン可染ポリエステル繊維糸とからなる混織布帛である請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 請求項からのいずれかに記載の方法にてポリエステル系繊維品を難燃加工してなる難燃性ポリエステル系繊維品。

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