JP3308679B2 - ポリエステル系合成繊維構造物の後加工用難燃剤及びポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法 - Google Patents

ポリエステル系合成繊維構造物の後加工用難燃剤及びポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法

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JP3308679B2 JP26565393A JP26565393A JP3308679B2 JP 3308679 B2 JP3308679 B2 JP 3308679B2 JP 26565393 A JP26565393 A JP 26565393A JP 26565393 A JP26565393 A JP 26565393A JP 3308679 B2 JP3308679 B2 JP 3308679B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ポリエステル系合成
繊維構造物に後加工によって難燃性を付与するポリエス
テル系合成繊維構造物の後加工用難燃剤及びこのような
難燃剤を用いてポリエステル系合成繊維構造物に後加工
によって難燃性を付与するポリエステル系合成繊維構造
物の難燃加工法に係り、特に、ポリエステル系合成繊維
よりなる繊維構造物に、耐洗濯性や耐ドライクリーニン
グ性等の耐久性に優れた難燃性を付与するようにした点
に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系合成繊維よりなる繊維構
造物は、種々の優れた物理的及び化学的性質を有してい
るが、一般に燃焼し易いという欠点を有しており、この
ため、従来よりこのようなポリエステル系合成繊維構造
物に後加工処理を施して難燃性を付与することが行われ
ていた。
【0003】そして、上記のようにポリエステル系合成
繊維構造物に後加工処理によって難燃性を付与するにあ
たり、従来においては、難燃性を付与する難燃性化合物
としてハロゲン系化合物を用い、このハロゲン系化合物
を後加工処理によりポリエステル系合成繊維構造物に付
与するようにしていた。
【0004】ここで、上記のハロゲン系化合物として
は、特に臭素又は塩素系化合物が有効であることが知ら
れており、このようなハロゲン系化合物を後加工処理に
よりポリエステル系合成繊維構造物に付与するにあたっ
ては、一般にハロゲン化シクロアルカン系化合物、より
具体的には、ヘキサブロモシクロドデカン等のハロゲン
系化合物を溶剤に溶解させ、或は分散剤等を使用して水
中に乳化分散させ、さらに必要に応じて他の添加剤を加
えて処理液を調製し、この処理液を上記のポリエステル
系合成繊維構造物に塗布,浸漬,噴霧等の方法によって
付与するようにしていた。
【0005】しかし、このようにポリエステル系合成繊
維構造物にハロゲン系化合物を付与して難燃性を持たせ
るようにした場合、このポリエステル系合成繊維構造物
が燃焼した際に有害なハロゲン化ガスが発生し、これが
自然環境に悪影響を及ぼす等の問題があり、このため、
近年においては、このようなハロゲン系化合物の使用が
規制されるようになってきた。
【0006】そこで、従来においても、上記のようなハ
ロゲン系化合物に代わる難燃性化合物として、リン酸エ
ステル系等のリン系化合物を用いてポリエステル系合成
繊維構造物に難燃性を付与することが行われていた。
【0007】ここで、従来において、難燃性化合物とし
て一般に使用されているリン系化合物は、化合物中にお
けるリンの含有率が低く、またその分子量が一般に20
0〜400と低く、ポリエステル系合成繊維の引火点以
下で分解したり揮発したりするため、上記のハロゲン系
化合物に比べて、ポリエステル系合成繊維構造物に対し
十分な難燃性を付与することができず、このようなリン
系化合物によってポリエステル系合成繊維構造物に良好
な難燃性を付与するには、リン系化合物を大量に付与し
なければならなかった。
【0008】しかし、このようにリン系化合物を大量に
付与する場合、その処理時にトラブルが発生し易く、ま
たリン系化合物が大量に付与されることによって、ポリ
エステル系合成繊維構造物における風合いが低下すると
いう問題があった。
【0009】更に、このようなリン系化合物をポリエス
テル系合成繊維構造物に付与した場合、時間が経つに連
れて次第にこのリン系化合物がポリエステル系合成繊維
構造物の表面に移行し、その際、このポリエステル系合
成繊維構造物を染色していた分散染料等もこのリン系化
合物に溶解した状態で一緒に移行し、いわゆる表面ブリ
ードが生じて染色堅牢度が低下するという問題があっ
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、ポリエス
テル系合成繊維よりなる繊維構造物に後加工処理を施し
て難燃性を付与する場合における、上記のような様々な
問題を解決することを課題とするものである。
【0011】すなわち、この発明においては、上記のよ
うにポリエステル系合成繊維構造物に後加工処理によっ
て難燃性を付与するにあたり、ハロゲン系化合物を使用
しなくとも、ポリエステル系合成繊維構造物に対して十
分に耐久性のある難燃性を容易に付与できるようにする
と共に、難燃性の付与によってポリエステル系合成繊維
構造物の風合いが低下するということもない新規なポリ
エステル系合成繊維構造物の後加工用難燃剤及びポリエ
ステル系合成繊維構造物の難燃加工法を提供することを
課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明においては、上
記のような課題を解決するため、ポリエステル系合成繊
維構造物に後加工によって難燃性を付与するポリエステ
ル系合成繊維構造物の後加工用難燃剤として、下記の化
2に示した一般式(1)〜(6)で表されるホ スホリル
化合物を少なくとも一種含むものを開発したのである。
【0013】
【化2】 [但し、上記の一般式(1)〜(6)中において、
1 ,R2 ,R3 ,R4 は炭素数が2〜6迄のアルキレ
ン基を示し、直鎖又は分岐していてもよい。R6 ,R8
は炭素数が1〜12迄のアルキル基又はアリール基を示
し、R5 ,R7 は炭素数が1〜15迄のアルキル基又は
アリール基を示し、これらは種類が異なっていても、同
一であってもよい。a,b,c,dは0又は1の整数を
示し、これらは同一であっても異なっていてもよい。n
は1〜6迄の整数を示す。]
【0014】 ここで、上記のポリエステル系合成繊維と
しては、例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリブ
チレンテレフタレート,ポリオキシエトキシベンゾエー
ト,ポリエチレンナフタレート,シクロヘキサンジメチ
レンテレフタレート及びこれらのポリエステルに、付加
成分として、イソフタル酸,アジピン酸,スルホイソフ
タル酸のようなジカルボン酸成分、プロピレングリコー
ル,ブチレングリコール,シクロヘキサンジメタノー
ル,ジエチレングリコールのようなジオール成分を共重
合させたもの等を使用することができる。
【0015】 また、上記のようなポリエステル系合成繊
維で構成される繊維構造物は、糸,織物,編物,不織布
等のいずれの形態のものであってもよい。
【0016】 一方、難燃性化合物として使用する上記の
一般式(1)〜(6)で示されるホスホリル化合物は、
オキシ塩化リンや二塩化フェニルホスホン酸等のホスホ
リル化合物と、下記の化3に示されるフタル酸エステル
系化合物と、アルキルアルコール又はフェノール類等と
を反応させて得ることができ、通常、その分子量が50
0〜2500で、上記のポリエステル系合成繊維に類似
した構造を有する成分からなっている。
【0017】
【化3】
【0018】なお、上記の一般式中におけるR1 ,R2
は前記のように炭素数が2〜6迄のアルキレン基を示
し、直鎖又は分岐していてもよい。
【0019】 そして、上記のホスホリル化合物をポリエ
ステル系合成繊維構造物に付与するにあたっては、一般
に、上記のホスホリル化合物を水中に分散させた分散液
を調製し、100℃以上の温度の熱処理条件でパッド−
ドライ−スチーム方式,パッド−スチーム方式,パッド
−ドライ−キュア方式等により上記の分散液をポリエス
テル系合成繊維構造物に付与させ、或は液流染色機,ビ
ーム染色機,チーズ染色機等のパッケージ染色機を用
い、加熱温度100℃以上で浸漬加熱方式により上記の
分散液をポリエステル系合成繊維構造物に付与させるよ
うにする。なお、このように浸漬加熱方式によってポリ
エステル系合成繊維構造物に分散液を付与するにあたっ
ては、ポリエステル系合成繊維構造物を染色する前,染
色と同時,染色した後の何れの時期に行ってもよいが、
染色と同時に行うと、作業工数が少なくなって、作業効
率がよくなる。
【0020】 また、上記のホスホリル化合物を水中に分
散させて分散液を調製するにあたっては、必要に応じ
て、分散剤や安定化剤を使用することができる。
【0021】 ここで、分散剤としては、例えば、ポリオ
キシエチレングリコール,ポリオキシエチレンポリオキ
シプロピレンブロックポリマー等のポリオキシアルキレ
ングリコール類とその脂肪酸エステル類、ポリオキシエ
チレンペンタエリスリットエーテル,ポリオキシエチレ
ンソルビットエーテル等の多価アルコールエーテル類と
その脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル,ポリオキシエチレンスチレン化フェニ
ルエーテル,ポリオキシエチレンスチレン化アルキルフ
ェニルエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル誘導
体とその脂肪酸エステルまたは硫酸エステル化物、芳香
族スルホン酸またはそのホルムアルデヒド縮合生成物な
どを使用することができる。なお、ここで述べた脂肪酸
は、通常炭素数が12〜18の不飽和または飽和脂肪酸
である。
【0022】 また、安定化剤としては、例えば、ポリビ
ニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、でんぷん糊等を使用することができる。
【0023】 なお、上記のようにして前記のホスホリル
化合物をポリエステル系合成繊維構造物に付与する場
合、このホスホリル化合物の量がポリエステル系合成繊
維構造物に対して1重量%未満であると、ポリエステル
系合成繊維構造物に十分な難燃性を付与することができ
ない一方、その量が10重量%以上であってもポリエス
テル系合成繊維構造物に対する難燃性の効果はあまり変
化せず、逆にポリエステル系合成繊維構造物における風
合いが損なわれて硬くなるため、好ましくは、ポリエス
テル系合成繊維構造物に対して上記のホスホリル化合物
を1〜10重量%の範囲で付与させるようにする。
【0024】
【作用】この発明においては、ポリエステル系合成繊維
よりなる繊維構造物に難燃性を付与するにあたり、この
ポリエステル系合成繊維構造物に前記の一般式(1)〜
(6)で示されるホスホリル化合物を少なくとも一種含
ポリエステル系合成繊維構造物の後加工用難燃剤を後
加工によって付与するようにしたため、従来のリン系化
合物を用いた場合のように、ポリエステル系合成繊維の
引火点である345〜400℃において、上記の難燃性
化合物が分解したり、揮発したりするということがな
く、従来のハロゲン系化合物を用いた場合と同様の高い
難燃効果が付与されると共に、ハロゲン系化合物を用い
た場合のように、このポリエステル系合成繊維構造物が
燃焼した際に有害なガスが発生するということもない。
【0025】 また、ポリエステル系合成繊維構造物に付
与された上記の後加工用難燃剤におけるホスホリル化合
物は、従来用いられているリン系化合物のように時間が
経つに連れて次第にポリエステル系合成繊維構造物の表
面に移行するということがなく、耐洗濯性等の耐久性に
優れた難燃性が付与されるようになり、また分散染料が
この後加工用難燃剤と一緒にポリエステル系合成繊維構
造物の表面に移行するということもなく、染色堅牢度が
低下するということもない。
【0026】
【実施例】(実施例1) この実施例においては、ポリエステル系合成繊維よりな
る繊維構造物として、ポリエチレンテレフタレートで構
成された75デニール/36フィラメントの経糸と、1
05デニール/53フィラメントの緯糸とを使用し、経
糸の打ち込み本数が8000本/ 、緯糸の打ち込み
本数が3200本/ 、目付けが103g/m2 にな
った織物を用いるようにした。
【0027】 一方、このポリエチレンテレフタレートか
らなる織物に難燃性を付与する難燃性化合物を得るにあ
たり、この実施例においては、コンデンサー及び加熱攪
拌装置付きのガラス容器内に、オキシ塩化リンを1.0
モル、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを
1.0モル、p−クレゾールを2.0モル、塩化アルミ
ニウムを0.01モルの割合で同時に加え、窒素気流中
において150℃迄加熱して6時間反応させた。
【0028】 その後、これを常法により水洗し、下記の
化4の一般式(7)〜(10)に示すようなリン酸エス
テル化合物の混在物からなる難燃性化合物を得た。
【0029】
【化4】
【0030】次に、上記のようにして得た難燃性化合物
をポリエチレンテレフタレートからなる織物に付与する
にあたり、この実施例においては、上記の難燃性化合物
45重量部に対し、分散剤としてノニルフェノールエチ
レンオキサイド20モル付加物を5重量部加え、攪拌し
ながらこれに水を50重量部加えて乳化させた後、更に
安定化剤としてカルボキシメチルセルロースを0.2重
量部加えて乳白色のエマルジョンを得た。
【0031】 そして、テクサム技研社製のミニカラー染
色機を使用し、浸漬法により下記の処理条件で上記の織
物を上記の難燃性化合物を含むエマルジョンで処理し
た。 ・処理条件 分散染料(C.I.Disperse Blue56) 1%o.w.f. 上記の難燃性化合物を含むエマルジョン 20%o.w.f. 90%酢酸 0.3cc/l 処理温度 130℃ 処理時間 30分 浴 比 1:15
【0032】 そして、上記のように処理した織物を温水
で洗浄し、さらにこの織物を還元洗浄した後、この織物
を110℃で5分間乾燥させた。
【0033】 (実施例2) この実施例においては、ポリエステル系合成繊維からな
る繊維構造物として、上記実施例1の場合と同じポリエ
チレンテレフタレートからなる織物を使用し、この織物
に付与する難燃性化合物だけを変更させるようにした。
【0034】 ここで、この実施例においては、上記の織
物に難燃性を付与する難燃性化合物を得るにあたり、コ
ンデンサー及び加熱攪拌装置付きのガラス容器内に、二
塩化フェニルホスホン酸を1.0モル、ビス(2−ヒド
ロキシエチル)テレフタレートを1.0モル、フェノー
ルを1.0モル、塩化カルシウムを0.01モルの割合
で同時に加え、窒素気流中において150℃迄加熱して
3時間反応させた後、さらに180℃迄加熱して7時間
反応させ、その後、これを常法により水洗し、下記の化
5の一般式(11)〜(15)に示すようなリン酸エス
テル化合物の混在物からなる難燃性化合物を得た。
【0035】
【化5】
【0036】その後は、上記実施例1の場合と全く同様
にして、上記のポリエチレンテレフタレートからなる織
物に、上記の化5に示した難燃性化合物を付与するよう
にした。
【0037】 (実施例3) この実施例においても、ポリエステル系合成繊維からな
る繊維構造物として、上記実施例1の場合と同じポリエ
チレンテレフタレートからなる織物を使用し、この織物
に付与する難燃性化合物だけを変更させるようにした。
【0038】 ここで、この実施例においては、上記の織
物に難燃性を付与する難燃性化合物を得るにあたり、コ
ンデンサー及び加熱攪拌装置付きのガラス容器内に、二
塩化フェニルホスホン酸を1.0モル、ビス(2−ヒド
ロキシエチル)テレフタレートを1.0モル、p−クミ
ルフェノールを1.0モル、塩化カルシウムを0.01
モルの割合で同時に加え、窒素気流中において150℃
迄加熱して3時間反応させた後、さらに180℃迄加熱
して7時間反応させ、その後、これを常法により水洗
し、下記の化6の一般式(16)〜(19)に示すよう
なリン酸エステル化合物の混在物からなる難燃性化合物
を得た。
【0039】
【化6】
【0040】その後は、上記実施例1の場合と全く同様
にして、上記のポリエチレンテレフタレートからなる織
物に、上記の化6に示した難燃性化合物を付与するよう
にした。
【0041】 (実施例4) この実施例においても、ポリエステル系合成繊維からな
る繊維構造物として、上記実施例1の場合と同じポリエ
チレンテレフタレートからなる織物を使用し、この織物
に付与する難燃性化合物だけを変更させるようにした。
【0042】 ここで、この実施例においては、上記織物
に難燃性を付与する難燃性化合物を得るにあたり、コン
デンサー及び加熱攪拌装置付きのガラス容器内に、オキ
シ塩化リンを1.0モル、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)イソフタレートを2.0モル、p−イソプロピルフ
ェノールを1.0モル、塩化アルミニウムを0.01モ
ルの割合で同時に加え、窒素気流中において150℃迄
加熱して6時間反応させた後、これを常法により水洗
し、下記の化7の一般式(20)〜(23)に示すよう
なリン酸エステル化合物の混在物からなる難燃性化合物
を得た。
【0043】
【化7】
【0044】その後は、上記実施例1の場合と全く同様
にして、上記のポリエチレンテレフタレートからなる織
物に、上記の化7に示した難燃性化合物を付与するよう
にした。
【0045】 (比較例1) この比較例においても、ポリエステル系合成繊維からな
る繊維構造物として、上記の各実施例の場合と同じポリ
エチレンテレフタレートの織物を使用する一方この織物
に付与する難燃性化合物だけを変更させ、難燃性化合物
としては、従来より使用されているリン系化合物のトリ
ス(β−クロロエチル)ホスフェートを用いるようにし
た。
【0046】 その後は、上記の各実施例の場合と全く同
様にして、ポリエチレンテレフタレートからなる織物に
上記の難燃性化合物を付与するようにした。
【0047】 (比較例2) この比較例においても、ポリエステル系合成繊維からな
る繊維構造物として、上記の各実施例の場合と同じポリ
エチレンテレフタレートの織物を使用する一方この織物
に付与する難燃性化合物だけを変更させ、難燃性化合物
としては、従来より使用されているリン系化合物のトリ
クレジルホスフェートを用いるようにした。
【0048】 その後は、上記の各実施例の場合と全く同
様にして、ポリエチレンテレフタレートからなる織物に
上記の難燃性化合物を付与するようにした。
【0049】 (比較例3) この比較例においても、ポリエステル系合成繊維からな
る繊維構造物として、上記の各実施例の場合と同じポリ
エチレンテレフタレートの織物を使用する一方この織物
に付与する難燃性化合物を変更させ、難燃性化合物とし
ては、従来より使用されているハロゲン系化合物である
ヘキサブロモシクロドデカンを用いるようにした。
【0050】 そして、このヘキサブロモシクロドデカン
45重量部に対し、分散剤として3ノニルフェノールエ
チレンオキサイド20モル付加物を5重量部、水を50
重量部加え、サンドミルにより微粒子化させて分散さ
せ、更に安定化剤としてカルボキシメチルセルロースを
0.2重量部加えて分散液を得た。
【0051】 その後は、上記実施例1の場合と全く同様
にして、この分散液をポリエチレンテレフタレートから
なる織物に付与するようにした。
【0052】 次に、上記の実施例1〜4及び比較例1〜
3のようにして難燃性化合物を付与した各織物と、難燃
性化合物を付与していない未加工の織物について、それ
ぞれ難燃性と染料ブリード性を調べた。
【0053】 ここで、上記の各織物における難燃性を調
べるにあたっては、得られた各織物をそのままの状態、
各織物をJIS L−1042に規定される洗濯法によ
って洗濯した後の状態、各織物をJIS L−1018
に規定されるドライクリーニング法によってドライクリ
ーニングした後の状態のものを調製し、各織物において
それぞれ試験する3箇所を定め、JIS L−1091
D法に規定される難燃性試験方法によって各織物にお
ける難燃性を調べ、その結果を下記の表1に示した。
【0054】 また、上記の各織物における染料ブリード
性を調べるにあたっては、各織物が得られた初期もの
と、ジャングルテスターを用いて各織物を温度70℃,
湿度95%で7日間放置して経日変化の促進処理を行っ
た放置後のものについて、それぞれJIS L−084
6に規定される水に対する染色堅牢度試験方法に準じて
水堅牢度を測定し、その結果を下記の表2に示した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】上記の表1に示される結果から明らかなよ
うに、難燃性化合物として前記の化4〜化7に示したホ
スホリル化合物を付与させた上記実施例1〜4の各織物
は難燃性化合物が非ハロゲン系化合物であるにもかかわ
らず、そのまま,洗濯後,ドライクリーニング後のいず
れの状態においても、難燃性化合物としてハロゲン系化
合物であるヘキサブロモシクロドデカンを付与した比較
例3の織物の場合と同程度或はそれ以上の非常に優れた
難燃性を示し、またこれらの難燃性化合物を付与によっ
て織物における風合いが低下するということもなかっ
た。
【0058】 これに対して、難燃性化合物として従来よ
り使用されているリン系化合物を付与させた比較例1,
2の各織物は、そのまま,洗濯後,ドライクリーニング
後のいずれの状態においても難燃性が実施例1〜4の各
織物より悪くなっていた。
【0059】 また、上記の表2に示される結果から明ら
かなように、染料ブリード性の点においても、比較例
1,2の各織物は染料ブリード性が強くて堅牢性が悪い
のに対し、前記のホスホリル化合物からなる難燃性化合
物を付与させた実施例1〜4の各織物は、前記のハロゲ
ン系化合物からなる難燃性化合物を付与させた比較例3
の織物と同様に染料ブリード性が少なくて良好な堅牢結
果を示した。
【0060】 更に、上記実施例1〜4において得られた
各織物は、難燃性化合物としてハロゲン系化合物を使用
していないため、ハロゲン系化合物からなる難燃性化合
物を付与させた比較例3の織物のように燃焼した際に有
害なハロゲン化ガスが発生するということもなかった。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明において
は、ポリエステル系合成繊維よりなる繊維構造物に後加
工により難燃性を付与するにあたり前記の一般式
(1)〜(6)で示されるホスホリル化合物を少なくと
も一種含むポリエステル系合成繊維構造物の後加工用難
燃剤を後加工によってポリエステル系合成繊維構造物に
付与するようにしたため、難燃剤として従来より使用さ
れているリン系化合物のように、ポリエステル系合成繊
維の引火点以下で、これが分解したり揮発したりすると
いうことがなくなると共に、難燃性化合物としてハロゲ
ン系化合物を使用した場合と同様に、ポリエステル系合
成繊維構造物に高い難燃性が付与されるようになり、難
燃性の高いポリエステル系合成繊維構造物が得られるよ
うになった。
【0062】 また、ポリエステル系合成繊維構造物に付
与させた上記のポリエステル系合成繊維構造物の後加工
用難燃剤は、従来のリン系化合物のように時間が経つに
連れて次第にポリエステル系合成繊維構造物の表面に移
行するということがなく、ポリエステル系合成繊維構造
物に耐洗濯性等の耐久性に優れた難燃性が付与されるよ
うになり、また分散染料がこの難燃性化合物と一緒にポ
リエステル系合成繊維構造物の表面に移行するというこ
ともなく、染色堅牢度が低下するということもなかっ
た。
【0063】 さらに、この発明においては、難燃剤とし
てハロゲン系化合物を使用していないため、難燃剤が付
与されたポリエステル系合成繊維構造物が燃焼したとし
ても、有害なハロゲン化ガスが発生するということがな
く、自然環境に悪影響を及ぼすということもなくなっ
た。
フロントページの続き (72)発明者 市橋 邦夫 大阪府枚方市長尾西町3丁目7番2号 (56)参考文献 特開 昭51−73596(JP,A) 仏国特許出願公開1515615(FR,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 13/292 D01F 6/92 D06M 15/667 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル系合成繊維構造物に後加工
    によって難燃性を付与するポリエステル系合成繊維構造
    物の後加工用難燃剤において、下記の化1に示した一般
    式(1)〜(6)で表されるホスホリル化合物を少なく
    とも一種含むことを特徴とするポリエステル系合成繊維
    構造物の後加工用難燃剤。 【化1】 [但し、上記の一般式(1)〜(6)中において、
    1 ,R2 ,R3 ,R4 は炭素数が2〜6迄のアルキレ
    ン基を示し、直鎖又は分岐していてもよい。R6 8
    炭素数が1〜12迄のアルキル基又はアリール基を示
    し、R5 ,R7 は炭素数が1〜15迄のアルキル基又は
    アリール基を示し、これらは種類が異なっていても、同
    一であってもよい。a,b,c,dは0又は1の整数を
    示し、これらは同一であっても異なっていてもよい。n
    は1〜6迄の整数を示す。]
  2. 【請求項2】 請求項1に記載したポリエステル系合成
    繊維構造物の後加工用難燃剤において、上記の化1に示
    した一般式(1)〜(6)で表されるホスホリル化合物
    として、オキシ塩化リンと二塩化フェニルホスホン酸と
    から選択されるホスホリル化合物と、フタル酸エステル
    系化合物と、アルキルアルコールとフェノール類とから
    選択される化合物とを反応させて得たものを用いたこと
    を特徴とするポリエステル系合成繊維構造物の後加工用
    難燃剤。
  3. 【請求項3】 ポリエステル系合成繊維構造物に、上記
    の請求項1又は2に記載したポリエステル系合成繊維構
    造物の後加工用難燃剤を後加工によって付与することを
    特徴とするポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工
    法。
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