JP3086560B2 - ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法 - Google Patents

ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法

Info

Publication number
JP3086560B2
JP3086560B2 JP5972893A JP5972893A JP3086560B2 JP 3086560 B2 JP3086560 B2 JP 3086560B2 JP 5972893 A JP5972893 A JP 5972893A JP 5972893 A JP5972893 A JP 5972893A JP 3086560 B2 JP3086560 B2 JP 3086560B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
synthetic fiber
flame
compound
fiber structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP5972893A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06248575A (ja
Inventor
一 斎藤
博友 番戸
準治 佐野
邦夫 市橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nicca Chemical Co Ltd
Original Assignee
Nicca Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nicca Chemical Co Ltd filed Critical Nicca Chemical Co Ltd
Priority to JP5972893A priority Critical patent/JP3086560B2/ja
Publication of JPH06248575A publication Critical patent/JPH06248575A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3086560B2 publication Critical patent/JP3086560B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ポリエステル系合成
繊維よりなる繊維構造物に難燃性を付与するポリエステ
ル系合成繊維構造物の難燃加工法に係り、特に、ポリエ
ステル系合成繊維よりなる繊維構造物に、耐洗濯性や耐
ドライクリーニング性等の耐久性に優れた難燃性を付与
するポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系合成繊維よりなる繊維構
造物は、種々の優れた物理的及び化学的性質を有してい
るが、一般に燃焼し易いという欠点を有しており、この
ため、従来よりこのようなポリエステル系合成繊維構造
物に後加工処理を施して難燃性を付与することが行われ
ていた。
【0003】そして、上記のようにポリエステル系合成
繊維構造物に後加工処理によって難燃性を付与するにあ
たり、従来においては、難燃性を付与する難燃性化合物
としてハロゲン系化合物を用い、このハロゲン系化合物
を後加工処理によりポリエステル系合成繊維構造物に付
与するようにしていた。
【0004】ここで、上記のハロゲン系化合物として
は、特に臭素又は塩素系化合物が有効であることが知ら
れており、このようなハロゲン系化合物を後加工処理に
よりポリエステル系合成繊維構造物に付与するにあたっ
ては、一般にハロゲン化シクロアルカン系化合物、より
具体的には、ヘキサブロモシクロドデカン等のハロゲン
系化合物を溶剤に溶解させ、或は分散剤等を使用して水
中に乳化分散させ、さらに必要に応じて他の添加剤を加
えて処理液を調製し、この処理液を上記のポリエステル
系合成繊維構造物に塗布,浸漬,噴霧等の方法によって
付与させるようにしていた。
【0005】しかし、このようにポリエステル系合成繊
維構造物にハロゲン系化合物を付与して難燃性を持たせ
るようにした場合、このポリエステル系合成繊維構造物
が燃焼した際に有害なハロゲン化ガスが発生し、これが
自然環境に悪影響を及ぼす等の問題があり、このため、
近年においてはこのようなハロゲン系化合物の使用が規
制されるようになった。
【0006】そこで、従来においても、上記のようなハ
ロゲン系化合物に代わる難燃性化合物として、リン酸エ
ステル系等のリン系化合物を用いてポリエステル系合成
繊維構造物に難燃性を付与することが行われていた。
【0007】ここで、従来において、難燃性化合物とし
て一般に使用されているリン系化合物は、化合物中にお
けるリンの含有率が低く、またその分子量が一般に20
0〜400と低く、ポリエステル系合成繊維の引火点以
下で分解したり揮発したりするため、上記のハロゲン系
化合物に比べて、ポリエステル系合成繊維構造物に対し
十分な難燃性を付与することができず、このようなリン
系化合物によってポリエステル系合成繊維構造物に良好
な難燃性を付与するには、リン系化合物を大量に付与し
なければならなかった。
【0008】しかし、このようにリン系化合物を大量に
付与する場合、その処理時にトラブルが発生し易く、ま
たリン系化合物が大量に付与されることによって、ポリ
エステル系合成繊維構造物における風合いが低下すると
いう問題があった。
【0009】更に、このようなリン系化合物をポリエス
テル系合成繊維構造物に付与した場合、時間が経つに連
れて次第にこのリン系化合物がポリエステル系合成繊維
構造物の表面に移行し、その際、このポリエステル系合
成繊維構造物を染色していた分散染料等もこのリン系化
合物に溶解した状態で一緒に移行し、いわゆる表面ブリ
ードが生じて染色堅牢度が低下するという問題があっ
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、ポリエス
テル系合成繊維よりなる繊維構造物に後加工処理を施し
て難燃性を付与する場合における、上記のような様々な
問題を解決することを課題とするものである。
【0011】すなわち、この発明においては、上記のよ
うなポリエステル系合成繊維構造物に後加工処理によっ
て難燃性を付与するにあたり、ハロゲン系化合物を使用
しなくとも、ポリエステル系合成繊維構造物に対して十
分に耐久性のある難燃性を容易に付与できるようにする
と共に、難燃性の付与によってポリエステル系合成繊維
構造物の風合いが低下するということもないポリエステ
ル系合成繊維構造物の難燃性加工法を提供することを課
題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明においては、上
記のような課題を解決するため、ポリエステル系合成繊
維よりなる繊維構造物に、下記の化2に示す一般式
(1),(2),(3)で表されるホスホネートオリゴ
マーを少なくとも一種含む難燃性化合物を付与し、これ
によってポリエステル系合成繊維構造物に難燃性を付与
するようにしたのである。
【0013】
【化2】 (但し、上記の一般式中において、R1 は、水素,炭素
数1〜12迄の脂肪族基又は芳香族基のいずれかを示
す。R2 は、炭素数1〜12迄の脂肪族基又は芳香族基
のいずれかを示す。R3 は、炭素数2〜4迄の脂肪族基
を示す。a,bは0〜6、cは1〜6までの整数を示
し、これらは同一であっても異なっていても良い。)
【0014】ここで、上記のポリエステル系合成繊維と
しては、例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリブ
チレンテレフタレート,ポリオキシエトキシベンゾエー
ト,ポリエチレンナフタレート,シクロヘキサンジメチ
レンテレフタレート及びこれらのポリエステルに、付加
的成分として、イソフタル酸,アジピン酸,スルホイソ
フタル酸のようなジカルボン酸成分、プロピレングリコ
ール,ブチレングリコール,シクロヘキサンジメタノー
ル,ジエチレングリコールのようなジオール成分を共重
合させたもの等を使用することができる。
【0015】また、上記のようなポリエステル系合成繊
維で構成される繊維構造物は、糸,織物,編物,不織布
等のいずれの形態のものであってもよい。
【0016】一方、難燃性化合物として使用する上記の
一般式(1),(2),(3)で示されるホスホネート
オリゴマーは、一般にその分子量が500〜2500
で、上記のポリエステル系合成繊維に類似した構造を有
する成分からなっている。
【0017】そして、このようなホスホネートオリゴマ
ーをポリエステル系合成繊維構造物に付与するにあたっ
ては、一般に、上記のホスホネートオリゴマーを水中に
分散させた分散液を調製し、100℃以上の温度の熱処
理条件でパット−ドライ−スチーム方式,パッド−スチ
ーム方式,パッド−ドライ−キュア方式等により上記の
分散液をポリエステル系合成繊維構造物に付与させ、或
は液流染色機,ビーム染色機,チーズ染色機等のパッケ
ージ染色機を用い、加熱温度100℃以上で浸漬加熱方
式により上記の分散液をポリエステル系合成繊維構造物
に付与させるようにする。なお、このように浸漬加熱方
式によってポリエステル系合成繊維構造物に分散液を付
与するにあたっては、ポリエステル系合繊維構造物を染
色する前,染色と同時,染色した後の何れの時期に行っ
てもよいが、染色と同時に行うと、作業工数が少なくな
って、作業効率がよくなる。
【0018】また、上記のホスホネートオリゴマーを水
中に分散させて分散液を調製するにあたっては、必要に
応じて、分散剤や安定化剤を使用することができる。
【0019】ここで、分散剤としては、例えば、ポリオ
キシエチレングリコール,ポリオキシエチレンポリオキ
シプロピレンブロックポリマー等のポリオキシアルキレ
ングリコール類とその脂肪酸エステル類、ポリオキシエ
チレンペンタエリスリットエーテル,ポリオキシエチレ
ンソルビットエーテル等の多価アルコールエーテル類と
その脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル,ポリオキシエチレンスチレン化フェニ
ルエーテル,ポリオキシエチレンスチレン化アルキルフ
ェニルエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル誘導
体とその脂肪酸エステルまたは硫酸エステル化物、芳香
族スルホン酸またはそのホルムアルデヒド縮合生成物な
どを使用することができる。なお、ここで述べた脂肪酸
は、通常、炭素数が12〜18の不飽和または飽和脂肪
酸である。
【0020】また、安定化剤としては、例えば、ポリビ
ニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、でんぷん糊等を使用することができる。
【0021】なお、上記のようにして前記のホスホネー
トオリゴマーをポリエステル系合成繊維構造物に付与す
る場合、このホスホネートオリゴマーの量がポリエステ
ル系合成繊維構造物に対して1重量%未満であると、ポ
リエステル系合成繊維構造物に十分な難燃性を付与する
ことができない一方、その量が10重量%以上であって
もポリエステル系合成繊維構造物に対する難燃性の効果
はあまり変化せず、逆にポリエステル系合成繊維構造物
における風合いが損なわれて固くなるため、好ましく
は、ポリエステル系合成繊維構造物に対して上記のホス
ホネートオリゴマーを1〜10重量%付与させるように
する。
【0022】
【作用】この発明においては、ポリエステル系合成繊維
よりなる繊維構造物に難燃性を付与するにあたり、この
ポリエステル系合成繊維構造物に前記の一般式(1),
(2),(3)で示されるホスホネートオリゴマーを少
なくとも一種含む難燃性化合物を付与するようにしたた
め、ポリエステル系合成繊維の引火点である345〜4
00℃においても、上記の難燃性化合物が分解したり揮
発したりするということがなく、従来のハロゲン系化合
物を用いた場合と同様の難燃効果が付与されるようにな
る。
【0023】また、ポリエステル系合成繊維構造物に付
与された上記のホスホネートオリゴマーは、従来用いら
れているリン系化合物のように時間が経つに連れて次第
にポリエステル系合成繊維構造物の表面に移行するとい
うことがなく、耐洗濯性等の耐久性に優れた難燃性が付
与されるようになり、また分散染料がこの難燃性化合物
と一緒にポリエステル系合成繊維構造物の表面に移行す
るということもなく、染色堅牢度が低下するということ
もない。
【0024】
【実施例】
(実施例1)この実施例においては、ポリエステル系合
成繊維よりなる繊維構造物として、ポリエチレンテレフ
タレートで構成された75デニール/36フィラメント
の経糸と、105デニール/53フィラメントの緯糸と
を使用し、経糸の打ち込み本数が8000本/m2 、緯
糸の打ち込み本数が3200本/m2 、目付けが103
g/m2 になった織物を用いるようにした。
【0025】一方、このポリエチレンテレフタレートか
らなる織物に難燃性を付与する難燃性化合物を得るにあ
たり、この実施例においては、溶媒として酢酸エチルを
使用し、コンデンサー及び加熱撹拌装置付きのガラス容
器内に、上記溶媒と共にジクロロフェニルホスホネート
を1.0モル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)メチル
ベンゾエートを2.0モル加え、トリエチルアミンの触
媒下で上記溶媒を還流させながら3時間反応させた。
【0026】その後、これを冷却させてトリエチルアミ
ンの塩酸塩を除去し、さらに減圧下で溶媒である酢酸エ
チルを除去して、下記の化3に示すホスホネートオリゴ
マーからなる難燃性化合物を得た。なお、この難燃性化
合物における重量平均分子量Mwは約514であった。
【0027】
【化3】
【0028】そして、上記のポリエチレンテレフタレー
トからなる織物にこの難燃性化合物を付与するにあた
り、この実施例においては、化3に示す上記の難燃性化
合物45重量部に対し、分散剤として3スチレン化フェ
ノールエチレンオキサイド20モル付加物を5重量部加
え、これに水50重量部を撹拌しながら加え、更に安定
化剤としてカルボキシメチルセルロースを0.2重量部
加えて乳白色のエマルジョンを得た。
【0029】次に、テクサム社製のミニカラー染色機を
使用し、浴比1:15、温度130℃の条件下で、90
%酢酸を0.3cc/l、上記の難燃性化合物を含むエ
マルジョンを20%o.w.f.、分散染料(C.I.
Disperse Blue56)を1%o.w.f.
の割合で加えて30分間処理し、上記の難燃性化合物を
含むエマルジョンをポリエチレンテレフタレートからな
る織物に付与した。
【0030】その後、ポリオキシエチレンノニルフェノ
ールの硫酸エステル化物からなるソーピング剤を1g/
l、ハイドロサルファイトを2g/l、苛性ソーダを1
g/lの割合で加えた液中において、上記のようにエマ
ルジョンが付与された織物を80℃で20分間還元洗浄
し、さらにこれを110℃で5分間乾燥させた。
【0031】(実施例2)この実施例においては、ポリ
エステル系合成繊維からなる繊維構造物として、上記実
施例1の場合と同じポリエチレンテレフタレートからな
る織物を使用し、この織物に付与する難燃性化合物だけ
を変更させるようにした。
【0032】ここで、この実施例においては、上記織物
に難燃性を付与する難燃性化合物を得るにあたり、上記
実施例1において使用した4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)メチルベンゾエートの代わりに、ビス−(ヒドロキ
シエチル)テレフタレートを2.0モル用いるように
し、それ以外は、上記実施例1の場合と同様にして下記
の化4に示す難燃性化合物を得た。なお、この難燃性化
合物における重量平均分子量Mwは約1300であっ
た。
【0033】
【化4】
【0034】その後は、上記実施例1の場合と全く同様
にして、ポリエチレンテレフタレートからなる織物に上
記の化4に示す難燃性化合物を付与するようにした。
【0035】(実施例3)この実施例においても、ポリ
エステル系合成繊維からなる繊維構造物として、上記実
施例1の場合と同じポリエチレンテレフタレートからな
る織物を使用し、この織物に付与する難燃性化合物だけ
を変更させるようにした。
【0036】ここで、この実施例においては、上記織物
に難燃性を付与する難燃性化合物を得るにあたり、上記
実施例1において使用した4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)メチルベンゾエートの代わりに、4,4’−ビス
(ヒドロキシエチルジフェノキシ)スルホン2.0モル
を用いるようにし、それ以外は、上記実施例1の場合と
同様にして下記の化5に示す難燃性化合物を得た。な
お、この難燃性化合物における重量平均分子量Mwは約
2100であった。
【0037】
【化5】
【0038】その後は、上記実施例1の場合と全く同様
にして、ポリエチレンテレフタレートからなる織物に上
記の化5に示す難燃性化合物を付与するようにした。
【0039】(比較例1)この比較例においても、ポリ
エステル系合成繊維からなる繊維構造物として、上記の
各実施例の場合と同じポリエチレンテレフタレートの織
物を使用する一方、この織物に付与する難燃性化合物だ
けを変更させ、難燃性化合物としては、従来より使用さ
れているリン系化合物のトリス(β−クロロエチル)ホ
スフェートを用いるようにした。
【0040】その後は、上記の各実施例の場合と全く同
様にして、ポリエチレンテレフタレートからなる織物に
上記の難燃性化合物を付与するようにした。
【0041】(比較例2)この比較例においても、ポリ
エステル系合成繊維からなる繊維構造物として、上記の
各実施例の場合と同じポリエチレンテレフタレートの織
物を使用する一方、この織物に付与する難燃性化合物だ
けを変更させ、難燃性化合物としては、従来より使用さ
れているリン系化合物のトリクレジルホスフェートを用
いるようにした。
【0042】その後は、上記の各実施例の場合と全く同
様にして、ポリエチレンテレフタレートからなる織物に
上記の難燃性化合物を付与するようにした。
【0043】(比較例3)この比較例においても、ポリ
エステル系合成繊維からなる繊維構造物として、上記の
各実施例の場合と同じポリエチレンテレフタレートの織
物を使用する一方、この織物に付与する難燃性化合物を
変更させ、難燃性化合物としては、従来より使用されて
いるハロゲン系化合物であるヘキサブロモシクロドデカ
ンを用いるようにした。
【0044】そして、このヘキサブロモシクロドデカン
45重量部に対し、分散剤として3スチレン化フェノー
ルエチレンオキサイド20モル付加物を5重量部、水を
50重量部加え、サンドミルにより微粒子化させて分散
させ、更に安定化剤としてカルボキシメチルセルロース
を0.2重量部加えて分散液を得た。
【0045】その後は、上記実施例1の場合と全く同様
にして、この分散液をポリエチレンテレフタレートから
なる織物に付与するようにした。
【0046】次に、上記の実施例1〜3及び比較例1〜
3のようにして難燃性化合物を付与した各織物と、難燃
性化合物を付与していない未加工の織物について、それ
ぞれ難燃性と染料ブリード性を調べた。
【0047】ここで、上記の各織物における難燃性を調
べるにあたっては、得られた各織物をそのままの状態、
各織物をJIS L−1042に規定される洗濯法によ
って洗濯した後の状態、各織物をJIS L−1018
に規定されるドライクリーニング法によってドライクリ
ーニングした後の状態のものを調製し、各織物において
それぞれ試験する3箇所を定め、JIS L−1091
D法に規定される難燃性試験方法によって各織物にお
ける難燃性を調べ、その結果を下記の表1に示した。
【0048】また、上記の各織物における染料ブリード
性を調べるにあたっては、各織物が得られた初期もの
と、ジャングルテスターを用いて各織物を温度70℃,
湿度95%で7日間放置して経日変化の促進処理を行っ
た放置後のものについて、それぞれJIS L−084
6に規定される染料ブリード性試験法に準じて堅牢度を
測定し、その結果を下記の表2に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】上記の表1に示される結果から明らかなよ
うに、前記の化3〜化5に示すホスホネートオリゴマー
からなる難燃性化合物を付与させた実施例1〜3の各織
物は、難燃性化合物が非ハロゲン系化合物であるにもか
かわらず、そのまま,洗濯後,ドライクリーニング後の
いずれの状態においても、ハロゲン系化合物であるヘキ
サブロモシクロドデカンを難燃性化合物として付与した
比較例3の織物の場合と同程度或はそれ以上の非常に優
れた難燃性を示し、また難燃性化合物の付与によって織
物における風合いが低下するということもなかった。
【0052】これに対して、従来より使用されているリ
ン系化合物を難燃性化合物として付与させた比較例1,
2の各織物は、そのまま,洗濯後,ドライクリーニング
後のいずれの状態においても難燃性が実施例1〜3の各
織物より悪くなっていた。
【0053】また、上記の表2に示される結果から明ら
かなように、染料ブリード性の点においても、比較例
1,2の各織物は染料ブリード性が強くて堅牢性が悪い
のに対し、前記のホスホネートオリゴマーからなる難燃
性化合物を付与させた実施例1〜3の各織物は、前記の
ハロゲン系化合物からなる難燃性化合物を付与させた比
較例3の織物と同様に染料ブリード性が少なくて良好な
堅牢結果を示した。
【0054】更に、上記実施例1〜3において得られた
各織物は、難燃性化合物としてハロゲン系化合物を使用
していないため、ハロゲン系化合物からなる難燃性化合
物を付与させた比較例3の織物のように燃焼した際に有
害なハロゲン化ガスが発生するということもなかった。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明における
ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法において
は、ポリエステル系合成繊維よりなる繊維構造物に難燃
性を付与するにあたり、この繊維構造物に前記の一般式
(1),(2),(3)で示されるホスホネートオリゴ
マーを少なくとも一種含む難燃性化合物を付与するよう
にしたため、難燃性化合物として使用されている従来の
リン系化合物のように、ポリエステル系合成繊維の引火
点以下で、これが分解したり揮発したりするということ
がなく、難燃性化合物としてハロゲン系化合物を使用し
た場合と同様に、ポリエステル系合成繊維構造物に高い
難燃性が付与され、難燃性の高いポリエステル系合成繊
維構造物が得られるようになった。
【0056】また、ポリエステル系合成繊維構造物に付
与させた上記のホスホネートオリゴマーは、従来のリン
系化合物のように時間が経つに連れて次第にポリエステ
ル系合成繊維構造物の表面に移行するということがな
く、ポリエステル系合成繊維構造物に耐洗濯性等の耐久
性に優れた難燃性が付与されるようになり、また分散染
料がこの難燃性化合物と一緒にポリエステル系合成繊維
構造物の表面に移行するということもなく、染色堅牢度
が低下するということもなかった。
【0057】さらに、この発明においては、難燃性化合
物としてハロゲン系化合物を使用していないため、難燃
性化合物が付与されたポリエステル系合成繊維構造物が
燃焼しても、有害なハロゲン化ガスが発生するというこ
とがなく、自然環境に悪影響を及ぼということもなくな
った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市橋 邦夫 大阪府枚方市長尾西町3丁目7番2号 (56)参考文献 特開 平4−226543(JP,A) 特開 昭49−93613(JP,A) 特開 昭63−41590(JP,A) 特開 昭50−137962(JP,A) 特公 昭48−43499(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 13/282 - 13/313

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル系合成繊維よりなる繊維構
    造物に、下記の化1に示す一般式(1),(2),
    (3)で表されるホスホネートオリゴマーを少なくとも
    一種含む難燃性化合物を付与することを特徴とする難燃
    加工法。 【化1】 (但し、上記の一般式中において、R1 は、水素,炭素
    数1〜12迄の脂肪族基又は芳香族基のいずれかを示
    す。R2 は、炭素数1〜12迄の脂肪族基又は芳香族基
    のいずれかを示す。R3 は、炭素数2〜4迄の脂肪族基
    を示す。a,bは0〜6、cは1〜6までの整数を示
    し、これらは同一であっても異なっていても良い。)
JP5972893A 1993-02-24 1993-02-24 ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法 Expired - Fee Related JP3086560B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5972893A JP3086560B2 (ja) 1993-02-24 1993-02-24 ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5972893A JP3086560B2 (ja) 1993-02-24 1993-02-24 ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06248575A JPH06248575A (ja) 1994-09-06
JP3086560B2 true JP3086560B2 (ja) 2000-09-11

Family

ID=13121556

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5972893A Expired - Fee Related JP3086560B2 (ja) 1993-02-24 1993-02-24 ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3086560B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5614573A (en) * 1995-03-27 1997-03-25 Nicca Chemical Co., Ltd. Flame retardants and flame retardant finishing method for polyester-based synthetic fiber materials
US5665801A (en) * 1995-06-20 1997-09-09 Industrial Technology Research Institute High molecular weight polyester flame retardant and process for preparing the same

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06248575A (ja) 1994-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4527797B2 (ja) ポリエステル繊維の難燃加工剤とその加工方法
KR20030005172A (ko) 난연 가공제, 난연 가공 방법 및 난연 가공 섬유
JP5335600B2 (ja) ポリエステル系繊維品の難燃加工剤と難燃加工方法
US3656991A (en) Process of treating water swellable cellulosic materials
JP3371308B2 (ja) 難燃性ポリエステル繊維およびその製造方法
JP3086560B2 (ja) ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法
JP3308679B2 (ja) ポリエステル系合成繊維構造物の後加工用難燃剤及びポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工法
JP4721853B2 (ja) 難燃加工剤および、当該難燃加工剤を用いたポリエステル系繊維の難燃加工方法
JP2000328445A (ja) ポリエステル系繊維の難燃加工方法
JP2006070417A (ja) ポリエステル系繊維用の難燃加工剤及び難燃加工方法
US5614573A (en) Flame retardants and flame retardant finishing method for polyester-based synthetic fiber materials
JP2012127037A (ja) 繊維難燃加工の加工助剤と難燃加工方法
JPH10298188A (ja) ホスファゼン系化合物、それを用いた防炎加工剤および防炎加工方法
JP4872069B2 (ja) ポリエステル系繊維品の難燃加工剤と難燃加工方法
JP4668728B2 (ja) 難燃性ポリエステル系繊維構造物
EP0733638B1 (en) Use of phosphoryl compounds for the flame retardant finishing of polyester-based synthetic fibre materials
JP3605340B2 (ja) 合成繊維構造物の防炎加工剤と防炎加工方法
JP5323593B2 (ja) ポリエステル繊維用難燃加工剤、それを用いた難燃性ポリエステル繊維製品の製造方法、およびそれにより得られた難燃性ポリエステル繊維製品
JP2670964B2 (ja) 繊維用処理剤
JP4619187B2 (ja) 難燃性アラミド繊維構造物とその製造方法
JP4917654B2 (ja) ポリエステル繊維用難燃加工剤及び難燃加工方法
JP2007131968A (ja) ポリエステル系繊維の難燃加工剤とその加工方法
JPH0242944B2 (ja)
JPH07145562A (ja) 撥水難燃性ポリエステル繊維及びその製造法
JP2014224336A (ja) 難燃性繊維の製造方法、繊維用難燃加工薬剤及び繊維用難燃加工助剤

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080707

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090707

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees