JP2670964B2 - 繊維用処理剤 - Google Patents

繊維用処理剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維用処理剤に関す
る。更に詳しくは、ポリエステル系合成繊維の非ハロゲ
ン系難燃加工用処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエステル系合成繊維の難燃加
工用処理剤としては、ヘキサブロモシクロドデカンの水
性分散液(特開昭57−137377号公報)等が知ら
れているが、環境保護の観点から含ハロゲン化合物の使
用は問題となってきており、非ハロゲン系の難燃処理剤
が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ハロゲンを
含まない化合物を用いてポリエステル系合成繊維に後加
工で耐久性のある難燃性を付与する処理剤の提供を目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、ハロゲンを含まない
化合物を用いた、ポリエステル系合成繊維に良好な難燃
性を後加工で付与し、耐久性(耐洗濯性、耐ドライクリ
ーニング性)および耐光性に優れた繊維用処理剤を見い
だし、本発明に到達した。即ち本発明は、芳香族ジカル
ボン酸またはその低級アルキルエステル(A)とアルキ
レングリコール(B)と下記一般式(1)および/また
は一般式(2)で示されるホスフィン酸誘導体(C)と
を反応させてなる、重量平均分子量が1,000〜5
0,000で、かつリン含量が3〜15重量%である
リエステル共重合体(I)を含有してなるポリエステル
系繊維の難燃加工に用いられる繊維用処理剤である。 [式中、Rはエチレン基または1,2−プロピレン
基,Rは炭素数1〜4のアルキル基,Rは炭素数1
〜4のアルキル基またはフェニル基またはアルキル置換
フェニル基,Rはエチレン基または1,2−プロピレ
ン基,Rは炭素数2〜4のアルキレン基,nは0〜4
の整数を表す。]
【0005】本発明において、芳香族ジカルボン酸また
はその低級アルキルエステル(A)としては、例えばテ
レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸お
よびこれらのアルキル(炭素数1〜4)エステルが挙げ
られる。これらのうち好ましいものは、テレフタル酸お
よびそのメチルエステルである。
【0006】アルキレングリコール(B)としては、炭
素数が2〜10のアルキレングリコールが挙げられ、具
体例としてはエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、デカメチレングリコー
ルなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、エ
チレングリコールである。また、該(B)と共に、ポリ
アルキレングリコールおよび/またはポリアルキレング
リコールのモノアルキルエーテルを併用することができ
る。該ポリアルキレングリコールまたはそのモノエーテ
ルの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリエ
チレン・ポリプロピレングリコール(ブロックまたはラ
ンダム)、ポリエチレン・テトラメチレングリコール
(ブロックまたはランダム)、ポリプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリ
プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられ
る。ポリアルキレングリコールまたはそのモノエーテル
の分子量は通常400〜6,000、好ましくは1,0
00〜4,000である。該ポリアルキレングリコール
および/またはそのモノアルキルエーテルの使用量は、
全グリコール成分に対し通常0.5モル%以下である。
【0007】ホスフィン酸誘導体(C)を示す前記一般
式(1)および一般式(2)において、R1はエチレン
基または1,2−プロピレン基であり、好ましくはエチ
レン基である。R2は炭素数1〜4のアルキル基であ
り、好ましくメチル基である。R3は炭素数1〜4のア
ルキル基またはフェニル基またはアルキル(通常炭素数
1〜4のアルキル基)置換フェニル基であり、好ましく
はメチル基およびフェニル基である。R4はエチレン基
および/または1,2−プロピレン基であり、好ましく
はエチレン基である。また、一般式(2)におけるR5
は炭素数2〜4のアルキレン基であり、好ましくはエチ
レン基である。
【0008】該(C)は、例えば特開平4−36419
6号明細書に記載の方法により製造することができる。
【0009】本発明におけるポリエステル共重合体は、
前記(A)、(B)および(C)とを公知の方法により
脱水または脱アルコール反応せしめることによって製造
できる。該ポリエステル化反応における(A):
(B):(C)のモル比は通常1:(0.3〜2):
(0.1〜2)、好ましくは1:(0.5〜1.5):
(0.3〜1)である。
【0010】該ポリエステル共重合体の重量平均分子量
は、通常1,000〜50,000、好ましくは2,0
00〜25,000である。重量平均分子量が1,00
0未満では耐久性が不十分であり、50,000を超え
ると重合物の水分散性が低下し、またポリエステル系合
成繊維への吸着性も不良となる。
【0011】該ポリエステル共重合体中のリン含量は、
通常3〜15重量%、好ましくは5〜10重量%であ
る。リン含量が3重量%未満では繊維に処理した場合の
難燃性が不十分であり、15重量%を超えるとポリエス
テル共重合体の重量平均分子量が1,000未満とな
り、耐久性が低下する。
【0012】該ポリエステル共重合体は、通常、水また
は有機溶剤中に分散させて本発明の繊維処理剤として使
用される。該共重合体を水に分散させる方法としては、
通常の方法、たとえば該共重合体と非イオン界面活性
剤、アニオン界面活性剤などの界面活性剤と有機溶剤と
を配合して均一に溶解し、徐々に温湯を加えて乳化分散
させる方法が挙げられる。
【0013】非イオン界面活性剤としては、例えばポリ
オキシアルキレン型非イオン界面活性剤(高級アルコー
ルアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールア
ルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイ
ド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオ
キサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサ
イド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物
など)および多価アルコール型非イオン界面活性剤(ア
ルキルグリコシド、ショ糖脂肪酸エステルなど)が挙げ
られる。
【0014】アニオン界面活性剤としては、例えば硫酸
エステル塩(高級アルコール硫酸エステル塩、高級アル
キルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステルな
ど)、スルホン酸塩(アルキルベンゼンスルホン酸塩、
アルキルナフタレンスルホン酸塩など)およびリン酸エ
ステル塩(高級アルコールリン酸エステル塩、高級アル
コールのアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩
など)が挙げられる。
【0015】有機溶剤としては、トルエン、キシレン、
アルキルナフタレンなどの芳香族炭化水素類;アセト
ン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジオキサン、
エチルセロソルブなどのエーテル類;ジメチルホルムア
ミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスル
ホキシド類およびこれらの二種以上の混合物が挙げられ
る。
【0016】本発明の繊維処理剤が好適に適用されるポ
リエステル系合成繊維としては、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレー
ト、ポリエチレンテレフタレート・パラオキシベンゾエ
ート、ポリエチレン・ブチレンテレフタレートなどのポ
リエステル系繊維からなる綿、糸、トウ、トップ、カ
セ、編織物、不織布などが挙げられる。さらに上記ポリ
エステル系繊維と他の天然、再生、半合成もしくは合成
繊維との混紡または交織織物等にも適用できる。
【0017】本発明の処理剤は、通常、水で希釈した処
理液の形で用いられる。該処理液中の固形分濃度は通常
10〜50重量%である。処理剤の繊維に対する付与量
は繊維製品の種類によって異なるが、固形分で通常0.
05〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%であ
る。付与量が0.05重量%未満では難燃性が不十分と
なり、30重量%を超えると処理繊維の風合いが粗硬と
なる。
【0018】本発明の処理剤をポリエステル系繊維に付
与する方法としては、高温加圧下(たとえば110〜1
30℃,1〜3気圧)で吸尽させる吸尽法、浸漬法、パ
ディング法、スプレイ法などの公知の方法が挙げられ
る。吸尽法以外では、処理温度は常温でよい。処理剤を
施与した後、通常の方法で乾燥および熱処理される。乾
燥条件は通常80〜130℃で1〜10分間、熱処理条
件は通常150〜200℃で10秒〜10分間である。
【0019】本発明の処理剤は、必要により公知の他の
繊維加工剤と併用することができる。他の繊維加工剤と
しては、柔軟剤、吸水加工剤、帯電防止剤、撥水撥油
剤、硬仕上剤、風合い調整剤、スリップ防止剤などが挙
げられる。
【0020】本発明の処理剤は、特にポリエステル系繊
維に処理することにより、従来のものに比べて有害なハ
ロゲンを含まずに耐久性のある難燃性を付与することが
できる。
【0021】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに説明するが
本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下に
おいて部は重量部、%は重量%を示す。
【0022】実施例1 ジメチルテレフタレート150部、エチレングリコール
120部および下式(3)のホスフィン酸誘導体160
部を混合し、触媒(三酸化アンチモン)0.5部を添加
して、常圧下180〜200℃で3時間反応させてほぼ
理論量のメタノールを留去し、さらに5mmHgの減圧
下200〜220℃で6時間反応させて軟化点(環球
法)160℃、重量平均分子量9,500の重合物を得
た。 本重合物150部、ジメチルホルムアミド100部およ
びノニルフェノールエチレンオキサイド15モル付加物
50部を80℃で均一に溶解し、温湯(80℃)700
部を徐々に加えて乳化・希釈し、常温まで冷却して本発
明の処理剤「1」1,000部を得た。該「1」は淡黄
乳白色のエマルションで、粘度550cps(25
℃)、pHは6.8であった。
【0023】実施例2 ジメチルテレフタレート150部、エチレングリコール
120部および三酸化アンチモン0.5部からなる混合
物を、常圧で180〜200℃で3時間反応させてほぼ
理論量のメタノールを留去し、さらに下式(4)のホス
フィン酸誘導体212部を添加し、5mmHgの減圧下
200〜220℃で8時間反応させて軟化点(環球法)
140℃、重量平均分子量11,000の重合物を得
た。 本重合物150部、ジメチルホルムアミド100部、ノ
ニルフェノールエチレンオキサイド15モル付加物30
部およびラウリルアルコールエチレンオキサイド20モ
ル付加物20部を80℃で均一に溶解し、温湯(80
℃)700部を徐々に加えて乳化・希釈し、常温まで冷
却して本発明の処理剤「2」1,000部を得た。該
「2」は淡黄乳白色のエマルションで、粘度350cp
s(25℃)、pHは7であった。
【0024】実施例3 ジメチルテレフタレート150部、エチレングリコール
120部および三酸化アンチモン0.5部を添加して、
常圧で180〜200℃で3時間反応させてほぼ理論量
のメタノールを留去し、さらに下式(5)のホスフィン
酸誘導体169部を加え、5mmHgの減圧下200〜
220℃で8時間反応させて軟化点(環球法25℃、重
量平均分子量10,000の重合物を得た。 本重合物150部、ジメチルホルムアミド100部、ノ
ニルフェノールエチレンオキサイド15モル付加物30
部およびラウリルアルコールエチレンオキサイド18モ
ル付加物20部を80℃で均一に溶解し、温湯(80
℃)700部を徐々に加えて乳化・希釈し、常温まで冷
却して本発明の処理剤「3」1,000部を得た。該
「3」は淡黄乳白色のエマルションで、粘度250cp
s(25℃)、pHは6.5であった。
【0025】比較例1 下記処方の各成分をビスコミル(五十嵐機械工業製:横
型湿式微粉分散機)を用いて連続的に30分間混合粉砕
し、比較の処理剤「4」1,000部を得た。該「4」
は淡黄乳白色のエマルションで、粘度1,000cps
(25℃)、pH7.5、平均粒子径0.8ミクロンで
あった。 処方: 1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカン (400部) ノニルフェノールエチレンオキサイド20モル付加物 ( 30部) ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム塩 ( 10部) カルボキシメチルセルロースナトリウム塩 ( 5部) 水 (555部)
【0026】性能試験 実施例1〜3および比較例1で得た処理剤[1]〜
[4]を用いて、難燃剤としての性能試験を行った結果
を表1および表2に示す。
【0027】
【表 1】
【0028】〈試験方法〉300g/m2のポリエステ
ル未染色織布25g、染料Kayalon Polyester NavyBule
2R-SF(日本化薬製)2%o.w.f.、分散均染剤イオ
ネットRAP-250(三洋化成工業製)0.5g/l、本発明の
処理剤15%o.w.f.、比較の処理剤7.5%o.
w.f.を浴比1:20の水溶液中で、カラ−マスター
(辻井染機製染色機)で130℃×30分間処理し、水
洗・乾燥(100℃×3分間)後熱処理(170℃×1
分間)したものについて、JIS L−1091D法に
従い難燃性試験を行った。洗濯はJIS L−0217
(103法)、ドライクリーニングはJIS L−10
18に従った。
【0029】
【表 2】
【0030】〈試験方法〉300g/m2のポリエステ
ル未染色織布を下記の処理浴中でパディング(絞り率8
0%)処理し、乾燥(100℃×5分間)・熱処理(1
90℃×50秒)したものについて、難燃性試験を行っ
た。 (処理浴) 染料Kayalon Polyester Navy Bule 2R-SF(日本化薬
製)10g/l アルギン酸ソーダ2g/l 本発明の処理剤200g/l、比較の処理剤100g/
l 難燃性試験はJIS L−1091D法、洗濯はJIS
L−0217(103法)、ドライクリーニングはJ
IS L−1018に従った。
【0030】
【発明の効果】本発明の繊維用処理剤は、特にポリエス
テル系繊維に後加工することにより優れた難燃性を付与
できるので、有害なハロゲンを含まない耐久性のある難
燃加工剤として極めて有用である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジカルボン酸またはその低級アル
    キルエステル(A)とアルキレングリコール(B)と下
    記一般式(1)および/または一般式(2)で示される
    ホスフィン酸誘導体(C)とを反応させてなる、重量平
    均分子量が1,000〜50,000で、かつリン含量
    が3〜15重量%であるポリエステル共重介体(I)を
    含有してなるポリエステル系繊維の難燃加工に用いられ
    繊維用処理剤。 [式中、Rはエチレン基または1,2−プロピレン
    基,Rは炭素数1〜4のアルキル基,Rは炭素数1
    〜4のアルキル基またはフェニル基またはアルキル置換
    フェニル基,Rはエチレン基または1,2−プロピレ
    ン基,Rは炭素数2〜4のアルキレン基,nは0〜4
    の整数を表す。]
  2. 【請求項2】 請求項1記載の処理剤を、吸尽法、浸漬
    法、パディング法またはスプレイ法によりポリエステル
    系繊維に付与し、必要により熱処理する繊維の処理方
    法。
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