JP6793921B2 - ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工とそのための難燃剤組成物の製造 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工とそのための難燃剤組成物の製造に関し、詳しくは、所定のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンの所定の割合の混合物からなり、ポリエステル系合成繊維構造物に後加工によって難燃性を付与するための難燃剤組成物、そのような難燃剤組成物によって難燃加工された難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物、そのような難燃剤組成物を含む難燃加工剤、そのような難燃加工剤を用いるポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法、そのような難燃加工によって得られる難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物、更には、上述した難燃剤組成物の製造方法に関する。
従来、ポリエステル系合成繊維構造物に後加工によって難燃性を付与する方法が種々知られている。後加工の代表的な方法として、例えば、浴中処理法やパディング法を挙げることができる。
ポリエステル系合成繊維構造物に後加工によって難燃性を付与する方法としては、古くは、リン酸グアニジンやリン酸カルバメートのような水溶性塩類を難燃加工剤としてパディング法にてポリエステル系合成繊維構造物に付与する方法が主流であったが、上記水溶性塩類によって加工された難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物は、吸放湿したときに繊維構造物の表面に結晶物が析出したり、また、繊維構造物の表面に水が付着したときに際付き(きわつき)とも称される輪染みを生じたりする問題があった(例えば、特許文献1参照)。
そこで、これまでも、上述したような問題に対応すべく、ハロゲン系化合物やリン系化合物を乳化物又は分散物とし、それを浴中処理法やパディング法によってポリエステル系合成繊維構造物に付与する方法が研究されてきた(例えば、特許文献2及び3参照)。
上記ハロゲン系化合物の代表的なものとして、例えば、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)が知られているが、近年、この化合物は環境に有害であることから、その使用が規制されるに至っている。
一方、上記リン系化合物としては、リン酸エステルやリン酸アミドが知られている。これらのリン酸エステルやリン酸アミドは疎水性が強いことから、水に乳化分散して使用するが、その際、比較的多量の界面活性剤を必要とし、そこで、これらのリン酸エステルやリン酸アミドをポリエステル系合成繊維構造物に付与して難燃加工したとき、繊維構造物の表面に多量の界面活性剤が残留するので、難燃加工したポリエステル系合成繊維構造物をその難燃加工後に洗浄することが必須であった。そして、上記難燃加工後の洗浄を行わないときは、得られるポリエステル系合成繊維構造物が摩擦堅牢度において著しく低下する問題があった。
更に、上記リン酸エステルやリン酸アミドはリン含有量が少ないので、これらをポリエステル系合成繊維構造物に付与して、十分な難燃性を達成するには、上記難燃剤を多量に付与する必要があり、風合いの低下やチョークマークが発生する等の問題もあった。
一方、これまでも、分子中にアミノ基及び/又はフェノキシ基を有する環状ホスファゼン化合物が高いリン含有量を有することから、ポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤として用いることが既に幾つか提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、従来、(アミノ基と共に)フェノキシ基を多く有する環状(アミノ)フェノキシホスファゼン、例えば、ヘキサフェノキシシクロホスファゼンやペンタフェノキシシクロホスファゼンは疎水性が高いので、これらを溶媒に分散して難燃加工剤とするには、多量の界面活性剤を必要としていた。
従って、そのような難燃加工剤は多量の界面活性剤を含むので、それら難燃加工剤を用いて難燃加工したポリエステル系合成繊維構造物は、上述したリン酸エステルやリン酸アミドを用いる難燃加工と同様に、難燃加工の後の洗浄が必須であって、これを行わないときは、得られる難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物が摩擦堅牢度において著しく低下する問題があった。また、そのような環状(アミノ)フェノキシホスファゼンを難燃剤として難燃加工したポリエステル系合成繊維構造物には、容易に上述した際付きを生じる問題があった。
他方、(フェノキシ基と共に)アミノ基を多く有する環状ホスファゼン、代表的には、例えば、ヘキサアミノシクロホスファゼンやフェノキシペンタアミノシクロホスファゼン、ジフェノキシテトラアミノシクロホスファゼンは、分子中に1個のリン原子に結合した2個のアミノ基、即ち、geminal(以下、gemという。)−ジアミノ基を有することから、湿熱下で加水分解しやすいところ、従来、(フェノキシ基と共に)アミノ基を多く有する環状ホスファゼンは、ホスファゼン骨格へのアミノ基とフェノキシ基の結合位置が異なる種々の異性体を含む混合物のまま、難燃剤として用いられており、かくして、gem−ジアミノ基を有するアミノフェノキシシクロホスファゼンを含むことが多く、そのような環状ホスファゼンを用いてポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工した場合には、ポリエステル系合成繊維構造物に着色を生じる問題があった。
分子中にgem−ジアミノ基を有する2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンや2,2,4−トリアミノ−4,6,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン等についても、勿論、同様に湿熱下で容易に加水分解することから、同様の問題があった。
そのほか、アミノフェノキシシクロホスファゼンを難燃剤として含む難燃加工剤にてポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工すると同時に、染料を3〜5%owf使用して、濃色に染色した場合には、得られるポリエステル系合成繊維構造物は摩擦堅牢度の低下が著しく、従って、リン酸エステルやリン酸アミドを難燃剤として用いた場合と同様に、難燃加工後の洗浄が必須であった(例えば、特許文献5及び6参照)。
特開2002−38374号公報 特公昭53−8840号公報 特開2003−193368号公報 特開平8−291467号公報 特開2002−105871号公報 特開平10−298188号公報
本発明者らは、従来のポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工のための難燃剤における上述した問題を解決するために、アミノ基及び/又はフェノキシ基を有する種々の環状ホスファゼン化合物の製造とそれらの難燃性能について広範囲に且つ詳細に研究した。
その結果、本発明者らは、特に、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンがそれぞれ単独でも、また、両者の組み合わせにても、加水分解し難く、安定であって、界面活性剤の存在下に溶媒への分散性にすぐれて、難燃加工剤に製剤化しやすいうえに、得られる難燃加工剤はポリエステル系合成繊維構造物に少量の付着量にて高い難燃性を付与することができ、特に、例えば、パディング法にてポリエステル系合成繊維構造物に難燃加工を施すことによって、難燃加工後の洗浄をせずとも、際付きやチョークマークの発生や摩擦堅牢度の低下等のポリエステル系繊維構造物の物性低下を伴うことなしに、満足すべき難燃性をポリエステル系合成繊維構造物に付与し得ることを見出した。
そこで、本発明者らは、上記2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンの工業的に有利な製造方法を開発するために、更に、研究した結果、ある反応条件の下で上記2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンの所定の範囲の割合の組み合わせを、これら以外のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンの副生をある限度内に抑えて、比較的容易に得ることができること、そして、上記2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンの所定の範囲の割合の組み合わせが上述したようなポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物として有効であることを見出した。
従って、本発明は、上記2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを所定の割合で含む難燃剤組成物を提供することを目的とし、更に、上記2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを所定の割合で含む難燃剤組成物を工業的に有利に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、
(A)下記構造式(1)
Figure 0006793921
で表される2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと下記構造式(2)
Figure 0006793921
で表される2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを合計で95重量%以上と、
(B)上記(1)及び(2)以外のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン5重量%以下とを含むポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物であって、上記(1)及び(2)の合計量100重量%のうち、上記(1)が10〜80重量%であり、上記(2)が90〜20重量%であるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物が提供される。
また、本発明によれば、上記難燃剤組成物を界面活性剤の存在下に溶媒、好ましくは、水に分散させてなるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃加工剤が提供される。
更に、本発明によれば、上記難燃剤によって難燃加工されたポリエステル系合成繊維構造物が提供される。
また、本発明によれば、上記難燃加工剤によってポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工するポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法、特に、上記難燃加工剤をポリエステル系合成繊維構造物に付着させ、乾燥させた後、100〜220℃の温度で熱処理するポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法や、上記難燃加工剤をポリエステル系合成繊維構造物に100〜140℃の温度で浴中吸尽処理するポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法が提供される。
上記難燃加工方法によって難燃加工された難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物も提供される。
更に、上記に加え、本発明によれば、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00モ
ル部にアルカリ金属フェノキシド3.50〜4.10モル部を反応させて、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であるクロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物を合成し、次いで、上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物にアンモニアを反応させることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物の製造方法が提供される。
本発明によれば、好ましくは、上記製造方法において、第1の有機溶媒中において、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンとアルカリ金属フェノキシドを反応させて、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であるクロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物を合成し、次いで、第2の有機溶媒の存在下に上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物にアンモニアを反応させる。
特に、本発明によれば、好ましくは、上記製造方法において、第1の有機溶媒中において、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンにアルカリ金属フェノキシドを−50℃から上記第1の有機溶媒の沸点までの範囲の温度で反応させ、得られたクロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物にアンモニアを−20〜100℃の範囲の温度で反応させることが好ましい。
本発明による難燃剤組成物は、湿熱条件下においても容易に加水分解せず、しかも、溶媒への分散性とポリエステル系合成繊維構造物への吸尽性にすぐれる。従って、このような難燃剤組成物を含む難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃加工を施すことによって、際付きとチョークマークの発生や摩擦堅牢度の低下なしに、満足すべき難燃性をポリエステル系合成繊維構造物に付与することができる。
しかも、本発明による難燃加工剤を用いるポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工によれば、難燃加工後のポリエステル系合成繊維構造物の洗浄を必要としないので、難燃加工における負荷を大幅に軽減することができる。
更に、本発明によれば、上述した所定の割合の2種のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物を効率よく製造することができる。
本発明において、ポリエステル系合成繊維構造物とは、少なくともポリエステル繊維を含む繊維と、そのような繊維を含む糸、綿、編織布や不織布等の布帛をいい、好ましくは、ポリエステル繊維、これよりなる糸、綿、編織布や不織布等の布帛をいう。更に、編織布や不織布等の布帛は単層であっても二層以上の積層体であってもよく、糸、綿、編織布や不織布等からなる複合体であってもよい。
本発明において、上記ポリエステル繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/5−スルホイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリオキシベンゾイル、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸の共重合体、D−乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)等のポリカプロラクトン、ポリリンゴ酸、ポリヒドロキシカルボン酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、β−ヒドロキシ酪酸(3HB)−3−ヒドロキシ吉草酸(3HV)ランダム共重合体等のポリ脂肪族ヒドロキシカルボン酸、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート−アジペート共重合体等のグリコールと脂肪族ジカルボン酸とのポリエステル等を挙げることができるが、これら例示したものに限定されるものではなく、更に。難燃剤等の機能性化合物をポリエステルの製造時にポリエステルに共重合させたもの、また、重合時又は製糸時に抗菌剤等の機能性化合物をブレンドしたものであってもよい。
本発明によって難燃加工された難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物は、例えば、座席シート、シートカバー、カーテン、壁紙、天井クロス、カーペット、緞帳、建築養生シート、テント、帆布等に好適に用いられる。
本発明によるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物は、
(A)下記構造式(1)
Figure 0006793921
で表される2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと下記構造式(2)
Figure 0006793921
で表される2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを合計で95重量%以上と、
(B)上記(1)及び(2)以外のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン5重量%以下とを含むポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物であって、上記(1)及び(2)の合計量100重量%のうち、上記(1)が10〜80重量%であり、上記(2)が90〜20重量%である。
即ち、好ましい態様によれば、本発明による難燃剤組成物は、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン(1)と2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン(2)を合計で95重量%以上と、上記(1)及び(2)以外のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン5重量%以下とで、難燃剤組成物100重量%を構成する。
難燃剤組成物における上記(1)及び(2)以外のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンが5重量%を超えるときは、組成物が溶媒中で凝集して、分散させ難く、難燃加工剤を得ることができない。
上記(1)と上記(2)の合計量のうち、上記(1)が10重量%よりも少なく、上記(2)が90重量%よりも多い難燃剤組成物を得ようとすれば、副生する上記(1)及び(2)以外のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンの量が5重量%を超える。
他方、上記(1)と上記(2)の合計量のうち、上記(1)が80重量%よりも多く、上記(2)が20重量%よりも少ないときは、難燃剤組成物のポリエステル系合成繊維構造物への付着率が低いために、ポリエステル系合成繊維構造物に十分な難燃性を与えることができない。特に、浴中処理において、難燃剤組成物のポリエステル系合成繊維構造物への付着量が十分でないため、得られたポリエステル系合成繊維構造物に十分な難燃性を持たない。また、そのような難燃剤組成物を得ようとすれば、gem−ジアミノ基を有する望ましくない副生物の生成が多くなって、目的とする難燃剤組成物の収率が低い。
本発明によれば、上記(1)と(2)のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンを所定の割合で含む難燃剤組成物は、適宜の溶媒に分散させてなる難燃加工剤として好適に用いられる。
本発明によるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃加工剤は、上記難燃剤組成物を界面活性剤の存在下に溶媒に分散させてなるものである。ここに、上記難燃加工剤における上記難燃剤組成物のための好ましい分散媒は水である。
しかし、本発明によれば、難燃加工剤としての性能を阻害しない範囲であれば、上記分散媒は有機溶媒でもよく、また、有機溶媒と水と混合物であってもよい。
従って、本発明による難燃加工剤は、好ましくは、上記所定割合の(1)と(2)のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物を界面活性剤と共に水に混合し、湿式粉砕機を用いて粉砕して、微粒子化させることによって得ることができる。
本発明においては、上記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤のいずれをも用いることができる。
しかし、本発明によれば、なかでも、界面活性剤としては、
(a)下記一般式(I)
Figure 0006793921
(式中、R1 はベンジル基、スチリル基又はクミル基を表し、mは平均で1〜3の整数であり、nは平均で5〜50の整数である。)
で表されるアリール化フェノールエチレンオキサイド付加物、
(b)下記一般式(II)
Figure 0006793921
(式中、R1 はベンジル基、スチリル基又はクミル基を表し、mは平均で1〜3の整数で
あり、nは平均で5〜30の整数であり、Mはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示す。)
で表されるアリール化フェノールエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩及び
(c)下記一般式(III)
Figure 0006793921
(式中、M’はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、a及びcはそれぞれ独立に平均で1〜3の数であり、b及びdはそれぞれ独立に平均で5〜30の数である。)
で表されるスチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物のスルホ琥珀酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
上記一般式(II)で表されるアリール化フェノールエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩又は上記一般式(III)で表されるスチレン化フェノールエチレンオキサイド付
加物のスルホ琥珀酸エステル塩において、M又はM’がアルカリ金属イオンであるときは、具体的には、好ましくは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンである。
本発明において、上記難燃剤組成物100重量部に対して、用いる界面活性剤の量が5.0重量部よりも多いときは、得られる難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物の摩擦堅牢度が低下し、また、際付きが生じるおそれがある。他方、用いる界面活性剤の量が0.9重量部よりも少ないときは、難燃剤組成物を水に分散できないことがある。
本発明において、上記界面活性剤を水に分散させるときに有害な影響を与えない範囲において、必要に応じて、上記界面活性剤と共に、上記以外の他のアニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤を併用してもよい。また、必要に応じて、上記界面活性剤に代えて、カチオン界面活性剤を用いてもよい。
上記以外の他のアニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル塩等の硫酸エステル塩や、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等を挙げることができる。
上記以外のノニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪族エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物等のポリオキシアルキレン型非イオン系界面活性剤や、アルキルグリコキシド、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコール型ノニオン界面活性剤等を挙げることができる。
また、カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体等を挙げることができる。
本発明において、上記アリール化フェノールエチレンオキサイド、アリール化フェノールエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩やスチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物のスルホ琥珀酸エステル塩と併用するに際して、上記他のアニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤、また、カチオン界面活性剤は単独で用いてもよく、また、必要に応じて、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明において、前記難燃剤組成物を分散させる分散媒として用いることができる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、エチルセロソルブ等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチレンクロライド、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。
特に、本発明においては、上記有機溶媒は、好ましくは、メタノール等のアルコール類、アセトン、エチルセロソルブ等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等の水溶性有機溶媒を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独にて、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、水と混合して用いられる。
一般に、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃剤組成物を付与して難燃加工する際に、上記難燃剤組成物の平均粒子径は、その加工によってポリエステル系合成繊維構造物に与えられる難燃性能に重要な影響を及ぼす。難燃剤組成物は、その平均粒子径が小さいほど、ポリエステル系合成繊維構造物に高い難燃性能を与えることができるので好ましい。反対に、難燃剤組成物は、その平均粒子径が大きいほど、難燃加工剤としての貯蔵安定性が悪く、難燃剤組成物が難燃加工剤中で沈殿し、固まりになって、所謂ハードケーキを形成するので、好ましくない。
そこで、本発明によれば、前記難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃加工を施すに際して、難燃剤組成物がポリエステル系合成繊維構造物の内部に十分に拡散し、付着して、難燃剤組成物による難燃性能が耐久性を有するように、難燃剤組成物は、平均粒子径が2μm以下の微粒子として水に分散されてなる難燃加工剤として用いられることが好ましく、特に、平均粒子径が0.3〜1μmの範囲にある微粒子として水に分散されていることが好ましい。
本発明による難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工するに際して、難燃加工剤は、通常、水にて希釈して、加工液として用いられる。このような加工液は、本発明による難燃剤組成物を、通常、0.5〜5重量%の範囲で含むことが好ましい。
また、本発明による難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工するに際して、難燃剤組成物のポリエステル系合成繊維構造物に対する付着量は、その形態や種類によって異なるが、通常、難燃剤組成物量にて、0.1〜5重量%、好ましくは、1〜5重量%の範囲である。
但し、上記ポリエステル系合成繊維構造物に対する難燃剤組成物の付着量は、本発明による難燃剤組成物の付着量を限定するものではない。何故ならば、ポリエステル系合成繊維構造物によっては、本発明による難燃剤組成物の付着量が0.5重量%程度でも、そのポリエステル系合成繊維構造物に十分な難燃性を付与することができる。一方、ポリエステル系合成繊維構造物によっては、本発明による難燃剤組成物の付着量が1重量%よりも少ないとき、ポリエステル系合成繊維構造物に十分な難燃性を付与することができない場合がある。
他方、5重量%を越えるときは、難燃加工後のポリエステル系合成繊維構造物の風合いが粗硬になる等の不具合を生じる。
本発明による難燃剤組成物を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃性を付与するには、ポリエステル系合成繊維の紡糸時に本発明による難燃剤組成物を練り込む方法によることもできるが、前述したように、本発明による難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物に後加工として難燃加工を施す方法によることが好ましい。
ポリエステル系合成繊維構造物に後加工によって難燃性を付与する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、好ましい1つの方法として、難燃加工剤をポリエステル系合成繊維構造物に付着させ、乾燥させた後、100〜220℃の温度で1〜5分間熱処理して、本発明による難燃剤組成物を繊維内部へ吸尽させる方法を挙げることができる。この方法において、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃加工剤を付着させるには、例えば、パディング法、スプレー法、コーティング法等によることができる。
パディング法は、難燃加工剤又はこれを希釈した加工液に、例えば、布帛のようなポリエステル系合成繊維構造物を浸漬した後、上記布帛をローラー(マングル)にて絞って、難燃剤組成物を上記布帛に付着させる方法である。スプレー法は、難燃加工剤又はこれを希釈した加工液を布帛に霧状に噴霧して、上記布帛に難燃剤を付着させる方法である。また、コーティング法は、難燃加工剤を増粘し、これを布帛の裏面に均一に塗布して、難燃剤を布帛に付着させる方法である。
本発明によれば、このようにして、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃剤組成物を付着させた後、乾燥させ、上述したように、100〜220℃の温度で1〜5分間熱処理して、難燃剤組成物を繊維内部へ吸尽させ、かくして、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃剤を付与して、すぐれた難燃性を与えることができる。
また、本発明による難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工する別の方法として、例えば、液流染色機、ビーム染色機、チーズ染色機等のパッケージ染色機を用い、難燃加工剤又はこれを希釈した加工液にポリエステル系合成繊維構造物を浸漬し、100〜140℃の温度で浴中処理して、難燃剤組成物を繊維内部へ吸尽させる浴中処理法を挙げることができる。
本発明によれば、このような浴中処理によるポリエステル系合成繊維構造物への難燃加工剤の付与は、ポリエステル系合成繊維構造物を染色する前、染色と同時又は染色した後のいずれの時期に行ってもよい。
本発明による難燃加工剤は、その性能が阻害されない範囲内において、必要に応じて、前述した以外の界面活性剤を分散剤として含んでいてもよい。また、本発明によれば、難燃加工剤は、必要に応じて、その貯蔵安定性を高めるために、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン糊等の保護コロイド剤、難燃加工剤の難燃性を高めるための難燃助剤、耐光堅牢度を高めるための紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。必要に応じて、従来から知られている難燃剤を含んでいてもよい。
更に、本発明による難燃加工剤は、必要に応じて、難燃加工を施したポリエステル系合成繊維構造物の摩擦堅牢度を改善するために、ポリエステル樹脂エマルションやウレタン樹脂エマルションを含んでいてもよい。上記ウレタン樹脂エマルションとしては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のいずれであってもよいが、得られるポリエステル系合成繊維構造物の耐光堅牢度や耐熱性の観点から、ポリエステル系又はポリカーボネート系が好ましい。
また、難燃加工を施したポリエステル系合成繊維構造物の縫製性を向上させるために、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ワックス、カルナバロウ、モンタンワックス等を水に乳化してなる平滑剤を含んでいてもよい。
本発明による難燃加工剤は、ポリエステル系合成繊維構造物に与える難燃性能に有害な影響を及ぼさない範囲において、従来、知られている他の繊維加工剤と併用することもできる。このような繊維加工剤としては、例えば、柔軟剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、硬仕上げ剤、風合調整剤等を挙げることができる。
以下に本発明による難燃剤組成物の製造について説明する。本発明によるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物は、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.0
0モル部にアルカリ金属フェノキシド3.50〜4.10モル部を反応させて、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であるクロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物を合成し、次いで、上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物にアンモニアを反応させることによって固体として得ることができる。
先ず、本発明の方法によれば、好ましくは、第1の有機溶媒中において、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンにアルカリ金属フェノキシドを反応させて、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であるクロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物を得る。
上記第1の有機溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されるものではない。通常、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジエトキシエタン、ジフェニルエーテル等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、ウンデカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素系並びにシアン化合物系、アセトン等の有機溶媒が用いられる。これらのなかでは、特に、トルエン、THF又は1,4−ジオキサンが好ましく用いられる。
また、アルカリ金属フェノキシドにおけるアルカリ金属としては、通常、リチウム、ナトリウム、カリウム塩又はセシウムが好ましく、特に、ナトリウム又はカリウムが好ましい。アルカリ金属フェノキシドは、フェノールと金属リチウム、金属ナトリウム又は金属カリウム等との脱水素反応や、又はフェノールと、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物との混合物からの脱水反応によって調製することができる。
上記アルカリ金属フェノキシドのための有機溶媒も、反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されるものではない。通常、ジエチルエーテル、THF、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジエトキシエタン、ジフェニルエーテル等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、ウンデカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素系、ピリジン等の複素環式芳香族炭化水素系、第三級アミン系、シアン化合物系、アセトン等が用いられる。これらのなかでは、特に、THF又は1,4−ジオキサンが好ましく用いられる。
本発明によれば、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンに対するアルカリ金属フェノキシドの量は、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00モル部に対して、3.50〜4.10モル部の範囲である。
より詳しくは、本発明によれば、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00モル部に対して、アルカリ金属フェノキシド3.50モル部を用いるときは、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン(1)と2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン(2)の合計量を100重量%とするとき、上記以外のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンを5重量%未満に抑えつつ、通常、前者(1)を70重量%以上の割合で得ることができる。
反対に、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00モル部に対して、アルカリ金属フェノキシド4.10モル部を用いるときは、上記以外のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンを5重量%未満に抑えつつ、通常、後者(2)を80重量%以上の割合で得ることができる。
本発明によれば、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00モル部に対するアルカリ金属フェノキシドの量を3.50〜4.10モル部の範囲で用いることによって、上記(1)及び(2)以外のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンを5重量%以下に抑えつつ、上記(1)及び(2)の合計量100重量%のうち、上記(1)が10〜80重量%であり、上記(2)が90〜20重量%である混合物、即ち、本発明によるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物を得ることができる。
また、本発明によれば、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00モル部に対するアルカリ金属フェノキシドの量を3.50モル部から4.10モル部までの範囲で増やすことによって、(1)に対する(2)の割合を増やした上記(1)及び(2)の混合物を得ることができる。
ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00モル部に対するアルカリ金属フェノキシドの量が3.50モル部よりも少ないときは、2,2,4,6−テトラクロロ−4,6−ジフェノキシシクロトリホスファゼンや2,2,4−トリクロロ−4,6,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン等、シクロトリホスファゼン分子中の一つのリン原子に二つのクロロ基を有する中間体が生成する。これらの中間体をアミノ化すると、2,2,4,6−テトラアミノ−4,6−ジフェノキシシクロトリホスファゼンや2,2,4−トリアミノ−4,6,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン等、シクロトリホスファゼン分子中の一つのリン原子に二つのアミノ基が結合した構造、即ち、geminal−ジアミノ基を有する化合物が生成する。しかし、このようなgeminal−ジアミノ基を有する化合物は、高温多湿下で加水分解しやすいので、難燃剤として用いるには適さない。
一方、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00モル部に対するアルカリ金属フェノキシドの量が4.10モル部よりも多いときは、得られる中間体のアミノ化によって、融点が76℃であるアミノペンタフェノキシシクロトリホスファゼンのような比較的融点の低いアミノフェノキシシクロトリホスファゼンを多く含む生成物が得られることになり、従って、そのような望ましくない反応生成物の固化や除去の工程が必要となって、目的とする上記(1)と(2)の混合物を高収率で得ることができないので、工業的に不利である。
ヘキサクロロシクロトリホスファゼンにアルカリ金属フェノキシドを反応させる際の反応温度は、反応生成物の熱安定性や、用いる有機溶媒の沸点又は融点等を考慮して、適宜に定められる。例えば、有機溶媒を用いて上記反応を行う場合は、通常、−50℃から溶媒の沸点までの温度範囲であり、好ましくは、−20〜150℃の範囲であり、より好ましくは、0〜120℃の範囲である。一方、無溶媒で上記反応を行う場合は、反応温度は、通常、0〜200℃の範囲であり、好ましくは、10〜150℃の範囲である。
このようにして、好ましくは、第1の有機溶媒中において、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物を得た後、未反応のフェノールを除去するために、最初、得られた反応混合物を水酸化ナトリウム水溶性や水酸化カリウム水溶液のようなアルカリ水溶液で洗浄し、次いで、脱塩水で適宜回数、洗浄する。この後、反応混合物から上記第1の有機溶媒を除去して、上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物を得る。
本発明の方法によれば、このようにして得たクロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物を、好ましくは、第2の有機溶媒と共に耐圧容器に仕込み、次いで、耐圧容器内にアンモニアを加えて、上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物と反応させる。
ここに、上記第2の有機溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されるものではないが、通常、ジエチルエーテル、THF、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジエトキシエタン、ジフェニルエーテル等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、ウンデカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素系、ピリジン等の複素環式芳香族炭化水素系、第三級アミン系、シアン化合物系、アセトン等の有機溶媒を挙げることができる。これらのなかでは、特に、THF、1,4−ジオキサン又はトルエンが好ましく用いられる。
上記反応に用いるアンモニアの量は、反応物であるクロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物の有する塩素原子をアミノ基に置換するアミノ基量から決定することができる。ここに、アンモニアは置換剤と脱酸剤として使用されることから、1当量の塩素に対して2当量のアンモニアが必要である。例えば、(トリクロロ)(トリフェノキシ)シクロトリホスファゼンに一つのアミノ基を導入し、アミノ(ジクロロ)(トリフェノキシ)シクロトリホスファゼンを得るためには、アンモニアは、1当量の塩素に対して2当量のアンモニアが用いられる。
従って、本発明においては、限定されるものではないが、用いたヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00モル部に対して、目的とするアミノフェノキシシクロトリホスファゼンに応じて、アンモニアは、通常、3.80〜100モル部の範囲で用いられる。
クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物をアンモニアと反応させる際の反応温度は、反応生成物の熱安定性またはアンモニアの蒸気圧等を考慮して適宜に設定することができる。通常、−20℃から100℃の温度であり、好ましくは、0〜80℃の範囲であり、より好ましくは、10〜60℃の範囲である。
このようにして、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物をアンモニアと反応させた後、得られた反応混合物を適宜の有機溶媒、例えば、上記第2の有機溶媒で希釈し、副生した塩化アンモニウム等の塩を水洗等で除去し、得られた反応生成物を精製した後、上記有機溶媒を濃縮すれば、目的物を固体として得る。
以下に本発明による難燃剤組成物の合成例を示す実施例と、本発明による難燃加工剤の製造例及び本発明による難燃加工例を示す実施例を比較例と共に挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
尚、以下において、難燃加工剤中の不揮発分とは、難燃加工剤中の難燃剤組成物の割合をいい、難燃加工剤が難燃剤組成物と共に界面活性剤と消泡剤とその他の助剤を含むときは、上記難燃剤組成物と上記界面活性剤と上記消泡剤と上記その他の助剤中の不揮発成分の合計量の割合をいう。
難燃剤組成物の平均粒子径は、難燃加工剤中の難燃剤組成物の粒度分布を(株)島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000Jで測定して得た体積基準のメディアン径をいう。
また、以下においては、特に断りがない限り、「%」及び「部」とあるのは、それぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
以下の実施例及び比較例において得られた難燃剤組成物中の2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンとその他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンは、HPLC分析、LC/MS分析及び硝酸銀を用いた電位差滴定法による塩素元素(残留塩素)の分析の結果に基づいて同定し、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンの含有量をHPLC分析にて求め、また、それらについて、TG/DTA分析によって融解温度と5%重量減少温度を測定した。
A.難燃剤組成物の製造
実施例1
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Aの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド610g(5.25モル)にTHF2400mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物816gを得た。
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物815gとトルエン320mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア221g(13.0モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体462gを得た。
この白色固体を分析した結果を次に示す。
HPLC:
(分析条件1)
分析化合物:2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン、
装置:Agilent Technologies 1260 Infinity、
カラム:Inertsil HILIC、3μm、4.6mm I.D.、250mm
L(GL Sciences社製)、
カラム温度:40℃、
移動相:0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル=10/90、
流量:1.0mL/min、
検出器:UV 254nm、
試料濃度:5mg/mL(溶媒 アセトニトリル)、
注入量:1μL。
(分析条件2)
分析化合物:2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン、
装置:Agilent Technologies 1260 Infinity、
カラム: Inertsil ODS−2、5μm、4.6mm I.D.、250mm L(GL Sciences社製)、
カラム温度:40℃、
移動相 A:0.1%リン酸水溶液、
B:アセトニトリル、
グラジエント:0−12min:B= 60%、12−15min:B=100%、
15−25min:B=100%、
検出器:UV 254nm、
流量:1.0mL/min、
試料濃度:5mg/mL(溶媒 アセトニトリル)、
注入量:1μL、
LC/MS(positive−ESI):
2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン:m/z:463 (M+H)、
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン:m/z:540 (M+H)。
HPLC分析条件1では、リテンションタイムが2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品と一致するピークを確認し、また、そのピークがLC/MS分析でm/z:463 (M+H)であることを確認した。
また、分析条件2では、同様にリテンションタイムが2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品と一致することを確認し、また、そのピークがLC/MS分析でm/z:540 (M+H)であることを確認した。
更に、これら2成分の含量を定量し、残りをその他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分(2,2,4,6−テトラアミノ−4,6−ジフェノキシシクロトリホスファゼン、2,2,4−トリアミノ−4,6,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン、2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン及びモノアミノペンタフェノキシシクロトリホスファゼン等)含量とした。
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:100℃以上、
5%重量減少温度:274℃。
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ76%と20%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は4%であった。収率61.5%。
実施例2
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Bの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド688g(5.93モル)にTHF2700mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物854gを得た。
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物853gとトルエン330mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア182g(10.7モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体661gを得た。
この白色固体を分析した結果を次に示す。
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H)又は540 (M+H)であることを確認した。
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:80℃以上、
5%重量減少温度:289℃。
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ15%と83%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は2%であった。収率82.3%。
実施例3
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Cの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコに、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加えて溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド662g(5.70モル)にTHF2600mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物842gを得た。
この混合物を、予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物841gとトルエン330mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア195g(11.4モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体707gを得た。
この白色固体を分析した結果を次に示す。
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H)又は540 (M+H)であることを確認した。
加水分解塩素:0.01%以下
TG/DTA分析:
融解温度:80℃以上
5%重量減少温度:277℃
以上の分析結果から、上記白色固体は、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ32%と64%、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は4%であった。収率90.0%。
実施例4
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Dの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド705g(6.08モル)にTHF2800mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物863gを得た。
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物862gとトルエン340mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア173g(10.1モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体694gを得た。
この白色固体を分析した結果を次に示す。
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H)又は540 (M+H)であることを確認した。
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:80℃以上、
5%重量減少温度:290℃。
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ10%と88%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は2%であった。収率85.1%。
実施例5
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Eの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド627g(5.40モル)にTHF2500mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物824gを得た。
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物823gとトルエン320mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア212g(12.5モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体597gを得た。
この白色固体を分析した結果を次に示す。
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H)又は540 (M+H)であることを確認した。
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:80℃以上、
5%重量減少温度:276℃。
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ62%と36%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は2%であった。収率78.2%。
実施例6
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Fの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド644g(5.55モル)にTHF2550mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物833gを得た。
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物832gとトルエン320mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア204g(12.0モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体629gを得た。
この白色固体を分析した結果を次に示す。
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H)又は540 (M+H)であることを確認した。
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:80℃以上、
5%重量減少温度:278℃。
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ45%と52%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は3%であった。収率81.2%。
比較例1
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Gの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド522g(4.50モル)にTHF2050mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物773gを得た。
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物772gとトルエン446mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア266g(15.6モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体324gを得た。
上記白色固体を分析した結果を次に示す。
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H)又は540 (M+H)であることを確認した。
加水分解塩素:0.01%以下
TG/DTA分析:
融解温度:70℃以上
5%重量減少温度:278℃
以上の分析結果から、上記白色固体は、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ90%と9%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は1%であった。収率46.7%。
比較例2
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Hの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加えて溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド731g(6.30モル)にTHF2900mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物876gを得た。
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物875gとトルエン340mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア159g(9.40モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体347gを得た。
上記白色固体を分析した結果を次に示す。
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H)又は540 (M+H)であることを確認した。
加水分解塩素:0.01%以下
TG/DTA分析:
融解温度:70℃以上
5%重量減少温度:290℃
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ3%と90%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は7%であった。収率41.7%。
B.難燃加工剤の製造
実施例7
(難燃加工剤A1の製造)
難燃剤組成物Aを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Aに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.491μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤A1を得た。
実施例8
(難燃加工剤B1の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.541μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B1を得た。
実施例9
(難燃加工剤B2の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのナトリウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.500μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B2を得た。
実施例10
(難燃加工剤B3の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド15モル付加物のスルホ琥珀酸エステルのナトリウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.562μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B3を得た。
実施例11
(難燃加工剤B4−1の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド16モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.831μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B4−1を得た。
実施例12
(難燃加工剤B4−2の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド25モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.081μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B4−2を得た。
実施例13
(難燃加工剤B5−1の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド13モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.822μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−1を得た。
実施例14
(難燃加工剤B5−2の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド20モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.771μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−2を得た。
実施例15
(難燃加工剤B5−3の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド50モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.162μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−3を得た。
実施例16
(難燃加工剤B6の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ジスチレン化メチルフェノールエチレンオキサイド7モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.430μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B6を得た。
実施例17
(難燃加工剤B7の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリベンジル化フェノールエチレンオキサイド14モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.911μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B7を得た。
実施例18
(難燃加工剤B8の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、クミル化フェノールエチレンオキサイド11モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.500μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B8を得た。
実施例19
(難燃加工剤B9の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.572μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B9を得た。
実施例20
(難燃加工剤B10の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.560μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B10を得た。
実施例21
(難燃加工剤B11の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.611μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B11を得た。
実施例22
(難燃加工剤B12の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ポリオキシエチレン(15)トリデシリルエーテルリン酸エステル5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.350μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B12を得た。
実施例23
(難燃加工剤B13の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.491μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B13を得た。
実施例24
(難燃加工剤B14の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ポリオキシエチレン(8)ステアリルアミン5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.790μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B14を得た。
実施例25
(難燃加工剤B1B5−2の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩2.5重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド20モル付加物2.5重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.710μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B1B5−2を得た。
実施例26
(難燃加工剤B5−1Aの製造)
難燃剤組成物Bを100重量部及びジスチレン化フェノールエチレンオキサイド13モル付加物5.0重量部をイソプロピルアルコール130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.850μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、イソプロピルアルコールの量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−1Aを得た。
実施例27
(難燃加工剤C1の製造)
難燃剤組成物Cを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Cに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.520μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤C1を得た。
実施例28
(難燃加工剤D1の製造)
難燃剤組成物Dを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Dに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.550μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤D1を得た。
実施例29
(難燃加工剤E1の製造)
難燃剤組成物Eを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Eに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.501μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤E1を得た。
実施例30
(難燃加工剤F1の製造)
難燃剤組成物Fを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Fに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.510μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤F1を得た。
比較例3
(難燃加工剤G1の製造)
難燃剤組成物Gを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Gに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.541μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤G1を得た。
比較例4
(難燃加工剤H1の製造)
難燃剤組成物Hを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理したが、上記難燃剤組成物Hに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンが凝集して、分散させることができなかった。
比較例5
(難燃加工剤Iの製造)
リン酸グアニジン47重量部を水53重量部に溶解させて、比較例による難燃加工剤Iを得た。
比較例6
(難燃加工剤Jの製造)
アニリノジフェニルホスフェート100重量部、ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム6.1重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記リン酸アミドを平均粒子径0.526μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が40重量%になるように、水の量を調整して、比較例による難燃加工剤Jを得た。
比較例7
(難燃加工剤Kの製造)
テトラ(2,6−ジメチルフェニル)−m−フェニレンホスフェートの結晶性粉末100重量部、オクチルフェノールのエチレンオキサイド10モル付加物8.8重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合し、ホモミキサーを用いて6000rpmにて3時間以上粉砕処理し、上記ホスフェートを平均粒径50μm以下とした処理液を得た。
次に、この処理液をこれと同じ容積の直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、上記ホスフェートを平均粒子径0.996μmとなるまで粉砕処理した後、105℃の温度で40分間乾燥したときの不揮発分濃度が40重量%になるように水の量を調整して、比較例による難燃加工剤Kを得た。
C.ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工
(1)被処理布帛の準備
ポリエステルニット(目付け重量200g/m)を分散染料Dianix Black AM−SLR(DyStar社製)4%owfにて130℃で30分間、浴中染色処理した後、常法にて還元洗浄し、乾燥して、黒色に染色したポリエステルニットを得た。
実施例35を含むそれ以降の実施例及び比較例においては、上記黒色に染色したポリエステルニットを被処理布帛として難燃加工した。
(2)浴中染色同時難燃処理
実施例31
上記ポリエステルニットの染色工程において、上記ポリエステルニットに対して、本発明による難燃加工剤A1を25.0%owf及び分散染料Dianix Black AM−SLR(DyStar社製)4%owfにて130℃で30分間、染色同時難燃処理した後、常法にて還元洗浄し、乾燥して、黒色に染色した難燃加工ポリエステル布帛を得た。
難燃剤利用率は25.4%であった。ここに、上記難燃剤利用率は難燃加工剤中に含まれる難燃剤がポリエステル布帛に付着した割合を示す。
実施例32
難燃加工剤をB1に代えて12.0%owfで用いた以外は、実施例31と同様に染色同時難燃処理して、黒色に染色した難燃加工ポリエステル布帛を得た。難燃剤利用率57.9%。
実施例33
実施例32において、染色工程の温度を140℃とした以外は、同様に染色同時難燃処理して、黒色に染色した難燃加工ポリエステル布帛を得た。難燃剤利用率58.1%。
実施例34
難燃加工剤をC1に代えて14.5%owfで用いた以外は、実施例31と同様に染色同時難燃処理して、黒色に染色した難燃加工ポリエステル布帛を得た。難燃剤利用率48.0%。
比較例8
実施例31と同様にして、難燃加工剤G1を25.0%owfで用いて、染色同時難燃処理して、黒色に染色した難燃加工ポリエステル布帛を得た。難燃剤利用率15.1%。
上記実施例31〜34及び比較例8に記載の難燃加工ポリエステル布帛についての性能試験の結果を表1に示す。
上述した浴中染色同時難燃処理における難燃剤付着量は、難燃加工前後のポリエステル布帛の増加重量に難燃加工剤を入れずに染色処理したポリエステル布帛の加工前後の減少重量の合計から計算して求めた。
難燃性能については、難燃加工ポリエステル布帛にシリコーン樹脂1.0重量%をパディング法にて付着させた後、130℃で5分間乾燥し、150℃で1分間熱処理して、難燃評価用布帛を得、これを燃焼試験に供した。上記シリコーン樹脂は難燃性を阻害する物質として添加した。
(3)パディング法
実施例35及び比較例9
本発明による難燃加工剤A1、B1、B2、B3、B4−1、B4−2、B5−1、B5−2,B5−3、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、B1B5−2、B5−1A、C1、D1、E1及びF1と比較例による難燃加工剤I、J及びK、又はこれらを水で希釈した加工液を用いて、それぞれ前述した黒色に染色したポリエステルニットを被処理布帛として難燃加工して、本発明による難燃加工ポリエステル布帛と比較例9としてのポリエステル布帛を得た。これらの難燃加工したポリエステル布帛及び比較例9としてのブランクについて、性能試験の結果を表2から表4に示す。
実施例36
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部、シリコーン系消泡剤0.1重量部及びポリエステル系ウレタン樹脂エマルション25重量部(不揮発分50%、ガラス転移温度(Tg)は−42℃)を水105重量部と混合した。
得られた混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.509μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が36.5重量%になるように、水の量を調整して得られた難燃加工剤92重量部にパラフィンワックスと酸化パラフィンからなるワックスエマルション(不揮発分26%、パラフィンワックスと酸化パラフィンの含有量21%)を8重量部混合して、本発明による難燃加工剤Lを得た。難燃加工剤Lの不揮発分は35.7重量%であった。
実施例37
実施例36で得られた難燃加工剤Lを用いて、前記被処理布帛を実施例35におけると同様に難燃加工して、本発明による難燃加工ポリエステル布帛を得た。この難燃加工したポリエステル布帛についての性能試験の結果を表4に示す。
上記難燃加工剤を用いるパディング法による難燃加工において、難燃剤付着量は難燃加工前後のポリエステル布帛の重量差と溶媒で希釈された難燃加工剤の濃度及び難燃加工剤中の難燃剤含有量に基づいて計算により求めた。
D.性能試験
難燃加工したポリエステル布帛の性能試験は以下のようにして行った。即ち、本発明による難燃加工剤を用いて、前述した黒色に染色したポリエステルニットを被処理布帛として、これにパディング法にて難燃加工し、100℃で5分間乾燥し、130℃で1分間熱処理した。また、難燃加工剤A1による難燃加工ポリエステル布帛のみ210℃で1分間熱処理した。このようにして得た難燃加工ポリエステル布帛を洗浄することなく、そのままで、摩擦堅牢度、際付き、チョークマーク、ブリードアウト及び耐光堅牢度及び湿熱試験の評価を行った。
また、難燃性能については、シリコーン樹脂1.0重量%と難燃加工剤を含む単一の浴を用いて、前述した黒色に染色したポリエステルニットを被処理布帛として、これにパディング法にて難燃剤を付着させた後、130℃で5分間乾燥し、150℃で1分間熱処理して、難燃加工した布帛を得、これを燃焼試験に供した。また、難燃加工剤A1による難燃加工ポリエステル布帛のみ210℃で1分間熱処理した。上記シリコーン樹脂は難燃性を阻害する物質として添加した。
(摩擦堅牢度)
難燃加工した被処理布帛をJIS L 0849の摩擦に対する染色堅牢度試験方法によって試験を行い、JIS L 0849の8.1.2に記載の摩擦試験機II形(学振形)を使用し、汚染用グレースケール(JIS L 0805)で級数を判定した。5級が最も摩擦堅牢度がよく、3級以上を良好とした。
(際付き性)
ウレタンフォームの上に難燃加工した被処理布帛を置き、表面に5mLの純水、沸水、及び塩化カルシウム3%水溶液をそれぞれ滴下し、24時間後に試料の表面を観察し、輪染みや際付き等がみられないものを良好とした。
評価基準
○:輪染みや際付きがみられない。
×:輪染みや際付きがみられる。
(チョークマーク)
難燃加工した被処理布帛の表面を爪で軽くこすり、傷による白化の程度を確認した。
評価基準
○:白化、粉落ちがみられない。
×:白化、粉落ちがみられる。
(ブリードアウト)
難燃加工した被処理布帛の表面にポリエステルタフタ、濾紙及び分銅800gを順に載せ、荷重800g/15.9cm2、100℃で2時間の雰囲気中で処理し、ポリエステルタフタへの移染を汚染用グレースケール(JIS L 0805)で評価した。5級が最も汚染が少なく、3級以上を良好とした。
(耐光堅牢度)
JIS L 0842の紫外線カーボンアーク灯光に対する染色堅牢度試験方法によって試験を行った。フェードメーター(スガ試験機(株)製)を用い、難燃加工した被処理布帛に83℃にて144時間カーボンアーク灯光を照射した。次いで、変退色用グレースケール(JIS L 0804)により級数を判定した。5級が最も堅牢度が良く、3級以上を良好とした。
(湿熱試験)
難燃加工した被処理布帛を70℃、95%RHの雰囲気中に1か月間放置した後、変色の有無を確認した。
評価基準
○:変色がみられない。
×:変色がみられる。
(難燃性能試験)
FMVSS(米国連邦自動車安全基準)No.302の自動車内装材燃焼試験規格に基づいて水平燃焼速度を測定し、燃焼速度101mm/分未満を良好とした。
評価基準
◎:難燃性、自己消火性
○:1〜61mm/分未満
△:61〜101mm/分未満
×:101mm/分以上
Figure 0006793921
Figure 0006793921
Figure 0006793921
Figure 0006793921
本発明による難燃加工剤を用いて難燃加工したポリエステル布帛は、表1〜4に示すように、難燃性、摩擦堅牢度及び耐光堅牢度も良好であり、難燃加工した繊維品の洗浄なしに、際付きやチョークマークが生じず、ブリードアウトも抑制されている。
難燃加工前の被処理布帛自体についての試験結果をブランクとして表4に示す。このブランクと比較しても、特に、表1から表4における難燃加工剤A1、B1、C1、D1、E1及びF1は、少量の難燃剤の使用にて、際付き性と摩擦堅牢度において遜色がない。難燃剤組成物Gを含む比較例3の難燃加工剤G1は、比較例8において浴中処理に用いたが、難燃剤組成物の利用率が低く、ポリエステル系合成繊維構造物に十分な難燃性を与えることができなかった。
難燃剤組成物Hを用いて難燃加工剤の製造を試みたが、凝集してしまい、難燃剤組成物を分散することができなかった。
比較例5〜7は、難燃剤として、リン酸グアニジン、アニリノジフェニルホスフェート及びテトラ(2,6−ジメチルフェニル)−m−フェニレンホスフェートの結晶性粉末を用いて、それぞれ難燃加工剤I、J及びKを得たものであるが、表4の比較例9に示すように、いずれの難燃加工剤を用いた場合も、難燃加工したポリエステル布帛には際付きがみられた。また、難燃加工剤J及びKについては、表4の比較例9に示すように、摩擦堅牢度と耐光堅牢度のいずれにおいても劣っており、ブリードアウトも顕著であった。
実施例37においては、ポリエステル布帛の摩擦堅牢度の向上を目的として、難燃剤組成物Bに加えて、ポリエステル系ウレタンエマルションを含み、更に、縫製性の向上を目的として、前記ワックスエマルションを含む難燃加工剤を用いて、前記被処理布帛を難燃加工して、得られた難燃加工ポリエステル布帛について性能評価を行った。
その結果、得られた難燃加工ポリエステル布帛は、実施例35におけると同様に、難燃性、摩擦堅牢度及び耐光堅牢度にすぐれており、難燃加工した繊維品の洗浄なしに、際付きやチョークマークが生じず、ブリードアウトも抑制されていた。

Claims (11)

  1. (A)下記構造式(1)
    Figure 0006793921
    で表される2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと下記構造式(2)
    Figure 0006793921
    で表される2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを合計で95重量%以上と、
    (B)上記(1)及び(2)以外のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン5重量%以下とを含むポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物であって、上記(1)及び(2)の合計量100重量%のうち、上記(1)が10〜80重量%であり、上記(2)が90〜20重量%であるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物。
  2. 請求項1に記載の難燃剤組成物を界面活性剤の存在下に溶媒に分散させてなることを特徴とするポリエステル系合成繊維構造物のための難燃加工剤。
  3. 前記溶媒が水である請求項2に記載のポリエステル系合成繊維構造物のための難燃加工剤。
  4. 請求項1に記載の前記難燃剤によって難燃加工されたポリエステル系合成繊維構造物。
  5. 請求項2又は3に記載の前記難燃加工剤によってポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工することを特徴とするポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法。
  6. 請求項2又は3に記載の前記難燃加工剤をポリエステル系合成繊維構造物に付着させ、乾燥させた後、100〜220℃の温度で熱処理することを特徴とするポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法。
  7. 請求項2又は3に記載の前記難燃加工剤をポリエステル系合成繊維構造物に100〜140℃の温度で浴中吸尽処理することを特徴とするポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法。
  8. 請求項5から7のいずれかに記載の難燃加工方法によって難燃加工された難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物。
  9. ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00モル部にアルカリ金属フェノキシド3.
    50〜4.10モル部を反応させて、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であるクロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物を合成し、次いで、上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物にアンモニアを反応させることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物の製造方法。
  10. 第1の有機溶媒中において、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンとアルカリ金属フェノキシドを反応させて、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であるクロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物を合成し、次いで、第2の有機溶媒の存在下に上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物にアンモニアを反応させることを特徴とする、請求項9に記載のポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物の製造方法。
  11. 第1の有機溶媒中において、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンにアルカリ金属フェノキシドを−50℃から上記第1の有機溶媒の沸点までの範囲の温度で反応させ、得られたクロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物にアンモニアを−20〜100℃の範囲の温度で反応させることを特徴とする請求項10に記載のポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤組成物の製造方法。
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