JP2002105871A - 難燃性人工皮革およびその製造方法 - Google Patents

難燃性人工皮革およびその製造方法

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JP2002105871A
JP2002105871A JP2000304588A JP2000304588A JP2002105871A JP 2002105871 A JP2002105871 A JP 2002105871A JP 2000304588 A JP2000304588 A JP 2000304588A JP 2000304588 A JP2000304588 A JP 2000304588A JP 2002105871 A JP2002105871 A JP 2002105871A
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flame
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retardant
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Masami Ikeyama
正己 池山
Hiromichi Iijima
弘道 飯島
Koji Watanabe
幸二 渡辺
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】燃焼時に有害ガスの発生がなく、従来の風合い
を損なうことのない難燃性人工皮革を提供する。 【解決手段】極細繊維および/または極細繊維束の絡合
体に高分子弾性体が付与されてなる人工皮革に、線状お
よび/または環状のホスファゼン化合物が含有されてな
る難燃性人工皮革およびホスファゼン化合物が含有され
た分散液中に、極細繊維および/または極細繊維束の絡
合体に高分子弾性体が付与されてなる人工皮革または染
色された該人工皮革を浸漬し、該分散液中で100℃以
上の温度で吸尽処理を施す難燃性人工皮革の製造方法お
よびホスファゼン化合物が含有されてなる分散液中に、
極細繊維および/または極細繊維束の絡合体を浸漬し、
脱液、乾燥後150℃以上の雰囲気下で吸尽処理を施す
難燃性人工皮革の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は難燃性に優れた人工
皮革に関する。さらに詳しくは、難燃効果およびその耐
久性に優れた難燃性人工皮革に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に合成繊維、特にポリエステル繊維
は寸法安定性、機械的特性、耐久性などの点からインテ
リアや衣料用途等の素材として不可欠なものとなってい
る。しかし、一般に合成繊維は自己消火性に乏しく燃え
てしまう性質があり、インテリア分野、特に鉄道車両や
自動車用シート等に用いられる人工皮革においては難燃
性を付与することは極めて重要であり、例えば、インテ
リア材料であるカーテンや暗幕として使用される材料に
対しては、45°ミクロバーナー法やコイル法またはJ
IS−L−1091、A−1法やD法のような消防法で
規定された燃焼試験法に合格することが要求され、また
自動車内装材として使用される材料に対しては、JIS
−D−1201またはFMVSSNo.302のような
燃焼性の法規制がある。
【0003】合成繊維の難燃化には、リン、ハロゲン、
アンチモンなどの元素を含有する化合物が好ましく利用
されている。ポリエステルの難燃化には、例えば原糸の
製造段階で難燃剤をポリマーに練り込む方法が提案され
ているが、溶融温度における難燃剤とポリマーの安定性
の点から紡糸温度の設定や難燃剤の選択に制約があり、
生産性に問題がある。一方シート状の形態で後加工によ
り難燃性を付与する方法は、必要に応じて自由に加工で
きる利点があり、現在ハロゲン系化合物を用いて後加工
で難燃性を付与する方法が最も主体的に用いられてい
る。しかし、難燃剤としてハロゲン系化合物を使用した
場合は燃焼時に有害ガスが発生しやすく、近年世界的に
環境問題が重視されている中で、技術改良の機運が高ま
っている。
【0004】また、良好な難燃性能を有し、かつ有害ガ
ス発生のないリン系化合物も種々検討されているが、実
質的に後加工用としては使用されていないのが現状であ
る。その理由としては、難燃剤としてのリン系化合物は
一般に水溶性のものが多く、ポリエステル繊維との親和
性が乏しい。そして可塑剤的性質を有し、染料のブリー
ドアウトを誘発する傾向がある。また、従来のリン系難
燃化合物は、化合物中のリン含有量が少ないため多量に
付与する必要があるなどの問題点を有していたためであ
る。
【0005】一方、従来、人工皮革状の構造物に難燃性
を付与する方法は、特公昭60−4306号公報、特公
平3−13356号公報、特公平3−20514号公報
等で種々提案されているが、難燃剤を含む樹脂をパディ
ング法で付与したり、バインダーと共に塗布するもので
あり、製品の風合いが粗硬化するなど改善すべき問題を
残していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、極細繊
維からなる人工皮革の一連の加工プロセスにおいて容易
に、かつ、洗濯耐久性、ドライクリーニング耐久性に優
れた難燃性能を付与することを目的とし、前記後加工用
としてのリン系難燃加工剤の欠点を改善するために、リ
ン含有量の多いホスファゼン化合物に着眼し、さらに極
細繊維との親和性を高めることを目的に鋭意検討した結
果、アミノ基およびフェノキシ基を有するホスファゼン
化合物が極細繊維との親和性を高め、染色と同時の浴中
処理で容易に、風合い変化もなく難燃処理できることを
究明し、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の難燃性人工皮革
は、前記課題を解決するため、以下の構成を有する。
【0008】すなわち、極細繊維および/または極細繊
維束の絡合体に高分子弾性体が付与されてなる人工皮革
に下記(I)式または下記(II)式で表される線状およ
び/または環状のホスファゼン化合物を含有せしめたも
のである。
【0009】
【化7】
【0010】(式(I)中のX1〜X3はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。Y1〜Y3はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。)
【0011】
【化8】
【0012】(式(II)中のX1〜X4はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。Y1〜Y4はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。) また、本発明の難燃性人工皮革の製造方法は、前記課題
を解決するため、以下の構成を有する。すなわち下記
(I)式または下記(II)式で表される線状または環状
のホスファゼン化合物が含有されてなる分散液中に、極
細繊維および/または極細繊維束の絡合体に高分子弾性
体が付与されてなる人工皮革または該人工皮革が染色さ
れた人工皮革を浸漬し、該分散液中で100℃以上の温
度で該ホスファゼン化合物の吸尽処理を施す難燃性人工
皮革の製造方法である。
【0013】
【化9】
【0014】(式(I)中のX1〜X3はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。Y1〜Y3はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。)
【0015】
【化10】
【0016】(式(II)中のX1〜X4はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。Y1〜Y4はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。) さらに、本発明の難燃性人工皮革の製造方法は、前記課
題を解決するため、以下の構成を有する。すなわち下記
(I)式または下記(II)式で表される線状または環状
のホスファゼン化合物が含有されてなる分散液中に、極
細繊維および/または極細繊維束の絡合体を浸漬し、脱
液、乾燥後150℃以上の雰囲気下で該ホスファゼン化
合物の吸尽処理を施す難燃性人工皮革の製造方法であ
る。
【0017】
【化11】
【0018】(式(I)中のX1〜X3はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。Y1〜Y3はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。)
【0019】
【化12】
【0020】(式(II)中のX1〜X4はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。Y1〜Y4はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。)
【0021】
【発明の実施の形態】以下、さらに詳しく本発明につい
て説明する。
【0022】本発明の難燃性人工皮革は、極細繊維およ
び/または極細繊維束の絡合体に高分子弾性体が付与さ
れてなる人工皮革に下記(I)式または下記(II)式で
表される線状および/または環状のホスファゼン化合物
を含有せしめたものである。
【0023】
【化13】
【0024】(式(I)中のX1〜X3はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。Y1〜Y3はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。)
【0025】
【化14】
【0026】(式(II)中のX1〜X4はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。Y1〜Y4はアミノ基、フェノ
キシ基のいずれかである。) 本発明においては、従来、水溶性難燃性化合物として用
いられていたホスファゼン化合物の水に対する溶解性
を、置換基により制御することによって、極細繊維との
親和性を高め、かつ、常温では固体状で吸尽処理可能な
化合物に改質したものを用いる点に大きな特徴を有す
る。従来、セルロース繊維の難燃加工には完全水溶性の
化合物として用いるが、これら化合物を単に極細繊維に
対して用いても全く吸尽されないし、難燃性能を付与す
ることもできない。しかし、本発明におけるホスファゼ
ン化合物のアミノ基の一部にフェノキシ基を導入するこ
とで水不溶性となり、分散染料と同様の扱い方で染色と
同時に難燃処理することが可能になった。本発明のホス
ファゼン化合物は、特にポリエステル繊維に対する吸尽
効率の観点から、ホスファゼン化合物中の総フェノキシ
基数が2個以上となるのが好ましい。また、本発明で用
いるホスファゼン化合物に難燃補助作用のある窒素が含
まれているので、より効果的な難燃性能を得ることがで
きる。
【0027】本発明における極細繊維は、極細化可能で
極細繊維の平均繊度が0.9dtex以下であることが
好ましく、極細繊維を形成するポリマーとしては、特に
限定はされないが、例えばナイロン6、ナイロン66、
ナイロン12、などのポリアミド類、および/またはそ
れらの共重合体類、ポリエチレンテレフタレート、およ
び/またはその共重合体類、ポリブチレンテレフタレー
ト、および/またはその共重合体類、ポリプロピレンテ
レフタレートなどのポリエステル類を用いることができ
るが、中でもポリエステル類が本発明の効果を発揮する
うえで好ましい。
【0028】本発明における極細繊維は、単成分を直接
紡糸して得ることができるが、より好ましくは、互いに
性質の異なる少なくとも2成分のポリマーを用い、複合
紡糸あるいは混合紡糸などにより形成された複合繊維
で、少なくとも1成分を溶解除去あるいは物理的、化学
的作用により剥離、分割し、極細化可能な複合繊維を用
いることによって得ることができる。複合繊維および極
細繊維の形態は特に限定されるものではない。
【0029】溶解除去あるいは物理的、化学的作用によ
り剥離、分割されるポリマーとしては、上記のポリアミ
ド類、ポリエステル類、ポリエチレン、ポリスチレン、
ポリプロピレンなどのポリオレフィン類を用いることが
できる。
【0030】本発明における極細繊維および/または極
細繊維束の絡合体とは、前記複合繊維を短繊維化し、カ
ード・クロスラッパーもしくはランダムウェッバーなど
の常法によりウェッブを作り、その後ニードルパンチあ
るいはウォータージェットパンチなどの絡合処理を施す
ことにより形成される。また、メルトブローなど紡糸か
ら直接ウェッブを作り絡合処理を行い形成することもで
きる。
【0031】本発明で用いる高分子弾性体は、特に限定
はされないが、例えば、ポリウレタンエラストマー、ア
クリロニトリル・ブタジエンラバー、ブタジエンラバ
ー、天然ゴム、ポリ塩化ビニール、ポリアミドなどを用
いることができる。中でも加工性、製品品位、風合いな
どの観点から、ポリウレタンエラストマーが好ましく、
平均分子量が500〜3000のポリエステルジオール
系、ポリエーテルジオール系、ポリカーボネートジオー
ル系を単独もしくは組み合わせて用いたものが好ましく
用いられる。また、本発明で用いる高分子弾性体として
は溶剤溶液以外に水溶性のエマルジョンタイプの樹脂を
用いてもさしつかえなく、これらに限定されるものでは
ない。
【0032】本発明の人工皮革の製造方法は、例えば、
次のような方法で製造される。例えば、極細化後の繊度
が0.9dtex以下となる複合繊維を短繊維化し、カ
ードクロスラッパーもしくはランダムウェッバーなどの
常法によりウェッブを作り、その後ニードルパンチある
いはウォータージェットパンチなどを施すことにより絡
合シートを作成する。この絡合シートを必要に応じて高
密度化処理あるいはポリビニルアルコールなどの糊剤を
付与した後、海成分を除去し、次いで高分子弾性体を付
与する。かくして得られたシートの少なくとも一面、あ
るいは得られたシートを必要に応じて半裁(半裁:厚み
方向に何枚かに切断すること)し、少なくとも一面を起
毛処理を施して得られるが、本発明に用いる人工皮革は
これらの製造方法に限定されるものではない。また、人
工皮革が、極細繊維および/または極細繊維束の絡合体
と織物、編物またはスパンボンド、スパンレースなどと
絡合一体化または張り合わせた構造であってもよい。
【0033】本発明においてホスファゼン化合物を使用
するに際しては、水に微分散させて用いることが好まし
い。本発明のホスファゼン化合物を水に微分散させる方
法は、特に限定されるものではないが、分散効率の観点
から、本発明のホスファゼン化合物、分散剤および水を
混合し攪拌し分散し、該分散物をガラスビーズ粉砕機で
粉砕、分散操作を行う方法を好ましく用いることができ
る。また水に微分散させるための他の方法として、本発
明のホスファゼン化合物を溶解し得る溶媒を用いて溶解
した後、攪拌しながら水と混合してエマルジョン化して
もさしつかえない。
【0034】本発明に用いる人工皮革への均一吸尽性お
よび分散液の安定性の観点から本発明のホスファゼン化
合物の粒径は10ミクロン以下が好ましく、より好まし
くは5ミクロン以下、更に好ましくは1ミクロン以下が
よい。10ミクロンを越えると難燃加工剤としたときの
分散安定性が得られにくく、また吸尽性が低下し、結果
的に利用効率が低くなり好ましくない。下限としては、
微粒子の製造過程での加工性、経済性を考慮すると0.
5ミクロン程度が目安となる。
【0035】本発明で用いるホスファゼン化合物で難燃
性を得るための付与量としては、例えば、難燃性:FM
VSS No.302(自動車内装材燃焼試験規格)を
満足するためには、ホスファゼン化合物中のリン元素含
有量により異なるが本発明に用いる人工皮革の全体重量
に対して0.3〜1.0重量%のリン元素が含まれるよ
うに本発明の化合物を付与するのが好ましい。0.3%
未満では十分な難燃性能が得られない。また1.0%を
越える重量を付与しても差しつかえないが、難燃性能が
飽和し、経済的にも不利である。
【0036】本発明のホスファゼン化合物を本発明で用
いる人工皮革に吸尽させる方法としては、染色浴中に微
分散化したホスファゼン化合物を投入し、染色と難燃加
工を同時に行うのが最も容易な方法である。その場合、
吸尽効率を考慮し、本発明のホスファゼン化合物中のリ
ン元素が本発明に用いる人工皮革の全体重量に対して
0.3〜1.0重量%の範囲で吸尽されるように投入量
を調整する。その他、通常の染色に使用される染料、p
H調整剤、均染剤など適宜添加しても本発明の効果が損
なわれるものではない。ホスファゼン化合物の吸尽効率
の観点から、染色浴比は1:5〜1:100が好まし
く、1:5〜1:50がより好ましい。浴中吸尽処理に
おける処理温度は100℃以上とするものである。処理
温度が100℃に満たないと特にポリエステル繊維に難
燃性を十分に付与せしめることができないという問題が
生じる。従って、吸尽効率の観点から120℃〜130
℃の温度で30〜60分間浴中処理し、その後、通常の
洗浄、還元洗浄、乾燥するのが好ましい。
【0037】さらに、他の製造方法としては、本発明の
人工皮革を製造する中間工程において、例えば、極細繊
維化処理し、乾燥後の極細繊維絡合体シートを、本発明
のホスファゼン化合物の微分散液中に浸漬、マングルで
脱液し100〜120℃の温度で乾燥し、その後、温度
が150℃以上、好ましくは170℃〜200℃、処理
時間10秒〜180秒の範囲の熱処理条件で吸尽処理す
るのが好ましい。150℃未満であると本発明の難燃剤
の十分な吸尽が得られず、難燃性付与が不十分となる。
200℃を越えると、本発明の難燃剤の吸尽性は十分で
あるが、極細繊維の黄変が生じ好ましくない。本発明の
難燃剤を吸尽処理した後、40〜60℃の温湯で洗浄
し、単に表面上に付着した難燃加工剤を除去する工程を
用いても良い。その後は前述の人工皮革の製造方法に従
って製造すればよい。
【0038】さらに、本発明の人工皮革を製造する工程
で、予め本発明のホスファゼン化合物が練り込まれた高
分子弾性体を用いた人工皮革を製造し、その後、染色と
同時の難燃処理でポリエステル繊維に難燃剤を付与し難
燃性人工皮革を得ることも好ましい方法である。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0040】実施例中の評価方法を以下に示す。 (1)難燃性評価 FMVSS No.302(自動車内装材燃焼規格)に
従って燃焼速度(100mm/min以内が合格)の測定を
5回行い、その平均値を算出した。
【0041】また、JIS−L1091D法に従って接
炎回数(3回以上が合格)を測定した。 実施例1〜3 島成分がポリエチレンテレフタレート、海成分がポリス
チレン、島/海比率=80/20重量%、島数16島、
複合繊度約4dtex、の高分子相互配列体繊維のステ
ープルを用い、このステープルをカード・クロスラッパ
ーでウェッブとし、ニードルパンチして目付600g/
2のフェルトを作り、このフェルトを収縮処理して乾
燥した。次いで、このフェルトにポリビニルアルコール
水溶液を含浸し、乾燥した。このシートをトリレン中に
浸漬、圧搾し脱海した後、乾燥した。次いで、ポリエス
テル−ポリエーテル系ポリウレタンをジメチルホルムア
ルデヒドに溶解させた溶液を固形分として対島繊維当た
り約35部となるように含浸し、湿式凝固し、ジメチル
ホルムアミド、ポリビニルアルコールを除去した後乾燥
した。
【0042】次いで、このシートを厚み方向に1/2と
なるようにスライスし、非スライス面をサンドペーパー
で起毛処理を行い、極細繊維束の絡合体にポリウレタン
が付与された人工皮革を得た。
【0043】次に、難燃剤として、テトラフェノキシジ
アミノシクロトリホスファゼン100重量部に対し、ナ
フタレンスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合生成物か
らなる分散剤20重量部と水60重量部を混合、攪拌し
分散液を作製した。
【0044】この分散液をガラスビーズ粉砕機を用いて
18時間粉砕処理した。粉砕終了後、10%カルボキシ
メチルセルロース水溶液(エーテル化度0.85%)2
0重量部を分散液に加え、完全に混合し、50重量%の
テトラフェノキシジアミノシクロトリホスファゼンの分
散液を得た。
【0045】この様にして得られた難燃加工剤を用い
て、前記で作製した人工皮革を染色する際に、難燃加工
剤投入量が10%owf(実施例1)、20%owf
(実施例2)、30%owf(実施例3)である下記処
理液を作製し、浴比1:30で染色同時浴中処理を行っ
た後、通常の方法で還元洗浄を行い、100℃の温度で
乾燥した。
【0046】得られた難燃性人工皮革の難燃剤吸尽量と
計算値から求めたリン元素含有量および難燃性評価を行
い表1に示した。
【0047】 処理液 Resolin Blue BBLS(分散染料) 0.14%owf Kayaron Polyester Rubin BLS(分散染料) 0.58%owf Foron Yellow Brown S-2RFLJ(分散染料) 3.42%owf Terasil Yellow 4G(分散染料) 0.21%owf 酢酸 0.6g/l 酢酸ソーダ 0.8g/l 均染剤 1.0g/l 難燃加工剤(50%分散液) 10%owf(実施例1) 20%owf(実施例2) 30%owf(実施例3) 難燃性を評価し、いずれの試験法においても規格を満足
するものであった。また官能評価による風合いも柔軟な
ものであった。 実施例4〜6 難燃加工剤として、フェノキシホスファゼンを用い、難
燃剤投入量が10%owf(実施例4)、20%owf
(実施例5)、30%owf(実施例6)である以外は
実施例1と同じ方法で分散液の作製、難燃処理、評価を
行った。
【0048】難燃性を評価し、いずれの試験法において
も規格を満足するものであった。また官能評価による風
合いも柔軟なものであった。結果を合わせて表1に示
す。 比較例1 実施例1で用いる処理液で、難燃加工剤が含まれていな
いこと以外は実施例1と同じ染色処理条件で染色し、実
施例1と同じ試験条件で難燃性を評価し、結果を合わせ
て表1に示す。本発明ホスファゼン化合物を用いていな
いため、全く難燃性能を示さなかった。 比較例2〜3 難燃加工剤として、ファイロール51(水溶性リン系難
燃剤)を用い、難燃剤投入量が20%owf(比較例
2)、30%owf(比較例3)である以外は実施例1
と同じ染色条件で処理し、実施例1と同じ試験条件で難
燃性を評価した。難燃剤の吸尽が全くなく、難燃性能は
得られなかった。結果を合わせて表1に示す。 比較例4 実施例1で得られた人工皮革を、実施例1の難燃剤を除
く処理液で染色、還元洗浄、乾燥して得られた人工皮革
のスライス面に、難燃剤として、リン酸エステル系化合
物、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロー
ス、分散剤とバインダーとからなる処理液を塗布して、
難燃性人工皮革を得た。実施例1と同じ試験条件で難燃
性評価を行った。難燃性能は得られたが製品風合いの硬
いものであった。 実施例7〜8 実施例1と同じ方法でフェルトを作製し、収縮処理/乾
燥、ポリビニルアルコール水溶液含浸し、乾燥して、更
にトリクレン中に浸漬、圧搾し脱海した後、乾燥した。
次に、12%のポリエステル−ポリエーテル系ポリウレ
タンのジメチルホルムアルデヒド溶液を調合し、この溶
液100部に対してテトラフェノキシジアミノシクロト
リホスファゼン(微分散処理してないもの)を2部(実
施例7)、5部(実施例8)混合攪拌しポリウレタン含
浸液を作製した。固形分が対島繊維当たり35部となる
ように含浸し、湿式凝固し、ジメチルホルムアミドおよ
びポリビニールアルコールを除去した後乾燥した。次い
で、このシートを厚み方向に1/2となるようにスライ
スし、非スライス面をサンドペーパーで起毛処理を行
い、極細繊維束の絡合体に難燃剤を含むポリウレタンが
付与された人工皮革を得た。
【0049】次に、実施例1と同じ処理浴、処理条件で
染色同時の難燃処理を行い仕上げた。得られた難燃性人
工皮革を実施例1と同じ試験条件で難燃性評価を行っ
た。難燃性能を満足し、かつ柔軟な風合いを有するもの
であった。評価結果を表2に示す。 実施例9〜10 実施例1で得たテトラフェノキシジアミノシクロトリホ
スファゼンの50%微分散液を用い、10%水溶液(実
施例9)、30%水溶液(実施例10)の処理浴を作製
し、この処理浴に、実施例1の人工皮革を製造する段階
において、脱海処理し、乾燥シートを浸漬し、マングル
で余分な処理液を脱液した後、110℃の温度で乾燥し
た。次いで、180℃の温度で3分間熱処理を施した。
次いで、40℃の温湯中で洗浄し、単に表面付着した難
燃加工剤を除去して乾燥した。その後、ポリエステル−
ポリエーテル系ポリウレタンをジメチルホルムアルデヒ
ドに溶解させた溶液を固形分として対島繊維当たり約3
0部となるように含浸し、湿式凝固して乾燥した。次い
でこのシートを実施例1と同様にスライスし、非スライ
ス面をサンドペーパーで起毛処理を行い、極細繊維束の
絡合体にポリウレタンが付与された人工皮革を得た。そ
の後、実施例1の難燃剤を除く同じ染色処理液で染色し
て仕上げた。規格を満足する難燃性と柔軟な風合いを有
するものであった。結果を表3に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】本発明により得られた難燃性人工皮革
は、難燃基準に合格する難燃性能を有し、燃焼時におい
て有害ガスを発生することなく、環境に優しく、かつ、
難燃処理方法が容易で、本来の風合いを損なうことのな
いものである。かくして得られた難燃性人工皮革は自動
車内装材、家具用途、カーテンなどのインテリア、鞄、
靴、手袋などの資材用途はもちろんのこと、衣料用途と
しても好適に用いることができるものである。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F055 AA01 AA18 AA21 AA27 AA30 BA02 CA11 EA04 EA34 FA15 GA03 HA04 HA18 4H028 AA38 AB01 BA04 4L033 AA05 AA07 AB07 AC05 BA83 CA50

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極細繊維および/または極細繊維束の絡合
    体に高分子弾性体が付与されてなる人工皮革に下記
    (I)式または下記(II)式で表される線状および/ま
    たは環状のホスファゼン化合物が含有されてなることを
    特徴とする難燃性人工皮革。 【化1】 (式(I)中のX1〜X3はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。Y1〜Y3はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。) 【化2】 (式(II)中のX1〜X4はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。Y1〜Y4はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。)
  2. 【請求項2】ホスファゼン化合物中の総フェノキシ基数
    が2個以上であることを特徴とする請求項1に記載の難
    燃性人工皮革。
  3. 【請求項3】下記(I)式または下記(II)式で表され
    る線状または環状のホスファゼン化合物が含有されてな
    る分散液中に、極細繊維および/または極細繊維束の絡
    合体に高分子弾性体が付与されてなる人工皮革または染
    色された該人工皮革を浸漬し、該分散液中で100℃以
    上の温度で該ホスファゼン化合物の吸尽処理を施すこと
    を特徴とする難燃性人工皮革の製造方法。 【化3】 (式(I)中のX1〜X3はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。Y1〜Y3はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。) 【化4】 (式(II)中のX1〜X4はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。Y1〜Y4はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。)
  4. 【請求項4】下記(I)式または下記(II)式で表され
    る線状または環状のホスファゼン化合物が含有されてな
    る分散液中に、極細繊維および/または極細繊維束の絡
    合体を浸漬し、脱液、乾燥後150℃以上の雰囲気下で
    該ホスファゼン化合物の吸尽処理を施すことを特徴とす
    る難燃性人工皮革の製造方法。 【化5】 (式(I)中のX1〜X3はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。Y1〜Y3はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。) 【化6】 (式(II)中のX1〜X4はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。Y1〜Y4はアミノ基、フェノキシ基のいず
    れかである。)
  5. 【請求項5】ホスファゼン化合物中の総フェノキシ基数
    が2個以上であることを特徴とする請求項3または4に
    記載の難燃性人工皮革の製造方法。
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