JP6735694B2 - 難燃加工剤 - Google Patents

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Description

本発明は難燃加工剤に関し、詳しくは、構造式(I)
Figure 0006735694
で表されるホスホロアミデートが難燃剤として水に高濃度に分散されてなる流動性を有する繊維品用水性難燃加工剤に関する。
従来、繊維品に後加工によって難燃性を付与する難燃剤として、種々のものが知られている。例えば、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカンのようなハロゲン系化合物が従来、よく知られている(特許文献1)。
しかし、このようなハロゲン系化合物にて難燃処理を施した繊維品が燃焼したとき、有害なハロゲン化ガスが発生し、これが環境に有害な影響を及ぼす等の問題があるので、近年においては、このようなハロゲン系化合物を難燃剤として用いることが規制されるに至っている。
そこで、ハロゲン原子を含まないホスホロアミデートからなる難燃剤が近年、種々、提案されており、そのようなホスホロアミデートからなる難燃剤は、通常、種々のノニオン界面活性剤やアニオン界面活性剤を用いて水中に分散させてなる難燃加工剤とされて、使用に供されている(例えば、特許文献2参照)。
上述したように、従来、知られているホスホロアミデートを水に分散させるために、従来、用いられている界面活性剤としては、例えば、ノニオン界面活性剤として、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪族エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン型非イオン系界面活性剤や、アルキルグリコキシド、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコール型非イオン系界面活性剤を挙げることができる。
また、アニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル塩、スチレン化フェノールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩等の硫酸エステルや、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ビス(スチレン化フェニルエーテルアルキレンオキサイド付加物)コハク酸エステルスルホン化物の塩等のスルホン酸塩、トリスチレン化フェノール酸化エチレン付加物のスルホコハク酸エステルナトリウム塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩、スチレン化フェノールアルキレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩等を挙げることができる。
最近、前記構造式(I)で表されるホスホロアミデートをアクリル樹脂エマルジョンのような特定の水性樹脂を用いて、予め、水中に分散させてなる難燃加工剤が提案されている(特許文献3参照)。
しかし、上記難燃加工剤において、予め、配合されている上記特定の水性樹脂は、繊維品の難燃加工においてバインダーとして機能するものであるから、繊維品に応じて、上記特定の水性樹脂以外の他のより好ましい水性樹脂を樹脂バインダーとして用いることが制限されたり、また、予め、配合されている特定の水性樹脂では、繊維品によっては、得られる難燃加工繊維品において、目的とする風合いが得られない場合がある。
そこで、上記ホスホロアミデートの難燃加工剤としての汎用性を得るには、上記特定の水性樹脂を用いることなく、前述したように、界面活性剤を用いて、水中に分散させてなる難燃加工剤とすることが望ましい。
しかしながら、上記構造式(I)で表されるホスホロアミデートを上述したような従来、用いられている界面活性剤によって水に分散させるとき、その濃度が高くなるにつれて、得られる水分散体が塑性を示すようになり、やがては流動性を失うに至る。
上記ホスホロアミデートを水に分散させたときに、流動性を有する水分散体を得ることができるホスホロアミデート濃度の上限は、その平均粒子径にもよるが、例えば、平均粒子径が5μmのとき、界面活性剤を用いないときは、20重量%程度であり、上述したような従来、用いられている界面活性剤を用いたときは、通常、30重量%程度である。
尚、本発明において、ホスホロアミデートの水分散体が流動性を有するとは、後に定義するように、上記ホスホロアミデートの水分散体を漏斗に流し込んだとき、重力によって、上記水分散体が漏斗を通過し得ることを意味する。このような流動性を有するホスホロアミデートの水分散体を得ることができないときは、ホスホロアミデートを難燃剤として用いる繊維品の難燃加工において、ハンドリング性が著しく損なわれ、一方、難燃加工剤における上記ホスホロアミデートの濃度が低いときは、輸送コストや保管の面で不利である。
そこで、上記ホスホロアミデートの難燃加工剤としての汎用性を得ると共に、上述したような輸送コストや保管における不利益を解消するには、特定の水性樹脂を用いることなく、前述したように、界面活性剤のみを用いて、例えば、上記ホスホロアミデートが5μmの平均粒子径を有する場合であれば、40重量%以上、好ましくは、50重量%濃度の水分散体が良好な流動性を有するように、水中に分散させてなる難燃加工剤とすることが望ましい。
しかし、前記一般式(I)で表されるホスホロアミデートは、上述したように、従来、知られている種々のホスホロアミデートを水に分散させるために、従来、用いられている種々の界面活性剤によって水中に分散させるときは、前記ホスホロアミデート濃度が比較的低い場合であっても、水分散体は流動性をもたない。
特公昭53−8840号公報 特開2003−193368号公報 国際公開WO2014/002958A1
本発明は、前記構造式(I)で表されるホスホロアミデートを含む難燃加工剤における上述した問題を解決するためになされたものであって、前記構造式(I)で表されるホスホロアミデートを高濃度で含みながら、高い流動性を備えた水分散体としての難燃加工剤を提供することを目的とする。
即ち、本発明によれば、前記構造式(I)で表されるホスホロアミデートを特定の界面活性剤を用いて、水に分散させてなり、上記ホスホロアミデートが5μmの平均粒子径を有する場合であれば、40重量%を超える高濃度であっても、好ましくは、50重量%濃度の水分散体であっても、高い流動性を備えた水分散体としての繊維品用水性難燃加工剤を提供することを目的とする。
このような難燃加工剤によれば、汎用性を有し、そのうえ、加工時の希釈や混合、即ち、ハンドリング性にもすぐれ、更に、輸送効率の向上に寄与し、また、保管にも有利である。
本発明によれば、
(A)構造式(I)
Figure 0006735694
で表されるホスホロアミデートと、
(B)共重合体からなる界面活性剤と、
(C)水
を含む難燃加工剤であって、
上記共重合体が
(1)(a)一般式(IIa)
Figure 0006735694
(式中、Xはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、Yはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素原子数1〜8のアルキル基又は一般式(IIb)
Figure 0006735694
(式中、R1は炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。)
で表されるアルコキシエチル基を示す。)
で表される構成単位と、
(b)一般式(IIc)
Figure 0006735694
(式中、R2は水素原子又はメチル基を示し、Zはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示す。)
で表される構成単位とから選ばれる少なくとも1つの有機カルボン酸構成単位と、
(2)(a)(ジ)イソブチレン構成単位と、
(b)一般式(III)
Figure 0006735694
(式中、R3は水素原子又はメチル基を示す。)
で表される構成単位とから選ばれる少なくとも1つの炭化水素構成単位を有する共重合体である難燃加工剤が提供される。
本発明によれば、上記ホスホロアミデートは0.5〜10μmの平均粒子径を有するものであることが好ましい。
また、上記共重合体は1000〜200000の範囲の重量平均分子量を有するものであることが好ましい。
本発明による難燃加工剤は、上記共重合体からなる界面活性剤を前記ホスホロアミデート100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で含むことが好ましい。
更に、本発明によれば、上記共重合体の好ましい具体例として、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体のハーフエステル化物(但し、ハーフエステルにおけるエステルは炭素原子数1〜8のアルキルエステル又はアルコキシ基の炭素原子数1〜8のアルコキシエチルエステルである。)のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体のハーフエステル化物(但し、ハーフエステルにおけるエステルは炭素原子数1〜8のアルキルエステル又はアルコキシ基の炭素原子数1〜8のアルコキシエチルエステルである。)のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ジイソブチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
なかでも、上記共重合体の特に好ましい具体例として、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のアンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体のモノプロピルエステルのアンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体のモノ−n−ブチルエステルのアンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体のブチル/メチル混合エステルのアンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体のモノブトキシエチルエステルのアンモニウム塩、及びスチレン−メタクリル酸共重合体のアンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
以下において、本発明において用いる上記共重合体からなる界面活性剤を、上述した従来、用いられている界面活性剤と区別して、「特定の界面活性剤」ということがある。
前記構造式(I)で表されるホスホロアミデートを、従来、用いられている界面活性剤によって水中に分散させようとしても、流動性を有する水分散体を得ることができないのに対して、本発明に従って、前記構造式(I)で表されるホスホロアミデートを上述した特定の界面活性剤にて水中に分散させてなる難燃加工剤は、高濃度品であって、高い流動性を有している。
前記構造式(I)で表されるホスホロアミデートの平均粒子径にもよるが、例えば、本発明に従って、特定の界面活性剤を用いて水中にホスホロアミデートを水に分散させてなる水分散体は、ホスホロアミデートの平均粒子径が5μmの場合であれば、ホスホロアミデート濃度が50重量%のときでも、水分散体は高い流動性を有する。
これに対して、従来、用いられている界面活性剤によって、ホスホロアミデートを水に分散させてなる水分散体は、ホスホロアミデート濃度が精々、20〜30重量%程度であれば、水分散体は流動性を有するが、40重量%以上であるときは、流動性をもたない。
このように、前記構造式(I)で表されるホスホロアミデートを本発明による特定の界面活性剤を用いて水に分散させてなる水分散体としての難燃加工剤は、予め、特定の水性樹脂を含まず、ホスホロアミデートを高濃度で含むにもかかわらず、流動性を有するので、必要に応じて、繊維品に応じて、最適の樹脂バインダーを用いることができるという汎用性を有し、また、輸送や保管にも有利である。
本発明による難燃加工剤を用いて難燃加工し得る繊維品を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維、アセテート等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維、更には、これらの複合繊維を挙げることができるが、特に、好適な繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、綿繊維、レーヨン繊維等を挙げることができる。ここに、繊維品とは、上述したような繊維を含む糸、綿、編織物や不織布の布帛をいう。
本発明に従って難燃加工された繊維品は、例えば、座席シート、シートカバー、カーテン、ロールブラインド、プリーツブラインド、壁紙、天井クロス、カーペット、緞帳、建築養生シート、テント、帆布、頭巾、ユニフォーム等の衣服、エプロン等に好適に用いられる。
先ず、本発明による繊維品のための難燃加工剤について説明する。本発明による繊維品の難燃加工剤は、
(A)構造式(I)
Figure 0006735694
で表されるホスホロアミデートと、
(B)共重合体からなる界面活性剤と、
(C)水
を含む難燃加工剤であって、
上記共重合体が
(1)(a)一般式(IIa)
Figure 0006735694
(式中、Xはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、Yはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素原子数1〜8のアルキル基又は一般式(IIb)
Figure 0006735694
(式中、R1は炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。)
で表されるアルコキシエチル基を示す。)
で表される構成単位と、
(b)一般式(IIc)
Figure 0006735694
(式中、R2は水素原子又はメチル基を示し、Zはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示す。)
で表される構成単位とから選ばれる少なくとも1つの有機カルボン酸構成単位と、
(2)(a)(ジ)イソブチレン構成単位と、
(b)一般式(III)
Figure 0006735694
(式中、R3は水素原子又はメチル基を示す。)
で表される構成単位とから選ばれる少なくとも1つの炭化水素構成単位を有する共重合体であるものである。
特に、本発明によれば、上記共重合体は、好ましくは、
(1)前記一般式(IIa)で表される構成単位又は一般式(IIc)で表される構成単位からなる有機カルボン酸構成単位と、
(2)前記(ジ)イソブチレン構成単位又は前記一般式(III)からなる炭化水素構成単位
とからなるものであることが好ましい。
本発明において用いる上記構造式(I)で表されるホスホロアミデートは、国際公開WO2014/002958A1に記載されているように、既に知られている化学物質である。
また、本発明において界面活性剤として用いる共重合体は、有機カルボン酸構成単位がカルボン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩構造を有しており、水溶性である。
従って、上記共重合体を構成する構成単位のうち、上記一般式(IIa)で表される有機カルボン酸構成単位において、Xはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、Yはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素原子数1〜8のアルキル基又は一般式(IIb)
Figure 0006735694
(式中、R1は炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。)
で表されるアルコキシエチル基を示す。
本発明において、アルカリ金属イオンは、これを有するすべての構成単位において、それぞれ独立に、好ましくは、カリウムイオン又はナトリウムイオンである。
本発明において、炭素原子数1〜8のアルキル基は、これを有するすべての構成単位において、そのアルキル基は、それぞれ独立に、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル又はオクチルであり、炭素原子数3以上のアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
上記アルキル基の好ましい具体例として、例えば、メチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。また、上記アルキル基は、ブチル/メチル混合エステルに例示されるように、メチル基とブチル基のように相違するアルキル基が混在していてもよい。
上記アルコキシエチル基の好ましい具体例として、例えば、ブトキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、オクチロキシエチル基等を挙げることができる。
上記一般式(IIc)で表される有機カルボン酸構成単位は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属及び/又は(メタ)アクリル酸アンモニウムである。(メタ)アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
上記(ジ)イソブチレン構成単位はジイソブチレン又はイソブチレンを意味し、好ましくは、ジイソブチレンである。
上記一般式(III)で表される炭化水素構成単位はスチレン又はα−メチルスチレンであり、好ましくは、スチレンである。
本発明において、上記一般式(IIa)で表される構成単位の好ましい具体例として、例えば、無水マレイン酸の加水分解物のナトリウム塩やアンモニウム塩、無水マレイン酸のハーフエステル化物(但し、ハーフエステルにおけるエステルは炭素原子数1〜8のアルキルエステル又はアルコキシ基の炭素原子数1〜8のアルコキシエチルエステルである。)のナトリウム塩やアンモニウム塩等を挙げることができる。
従って、上記無水マレイン酸のハーフエステル化物のナトリウム塩やアンモニウム塩の好ましい具体例としては、例えば、無水マレイン酸のプロピルエステル、ブチルエステル、ブチル/メチル混合エステル等のナトリウム塩やアンモニウム塩、無水マレイン酸のブトキシエチルエステルのナトリウム塩やアンモニウム塩等を挙げることができる。
従って、本発明において、特定の界面活性剤として好ましく用いることができる上記共重合体の具体例として、例えば、
(1)ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のアルカリ金属塩やアンモニウム塩、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体のハーフエステル化物(但し、ハーフエステルにおけるエステルは炭素原子数1〜8のアルキルエステル又はアルコキシ基の炭素原子数1〜8のアルコキシエチルエステルである。)のアルカリ金属塩やアンモニウム塩、
(2)スチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のアルカリ金属塩やアンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体のハーフエステル化物(但し、ハーフエステルにおけるエステルは炭素原子数1〜8のアルキルエステル又はアルコキシ基の炭素原子数1〜8のアルコキシエチルエステルである。)のアルカリ金属塩やアンモニウム塩、
(3)ジイソブチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩やアンモニウム塩、(4)スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等を挙げることができる。
本発明において、上述した共重合体は、重量平均分子量が通常、1000〜200000の範囲であり、好ましくは、2000〜20000の範囲である。
また、上述した共重合体において、有機カルボン酸構成単位と炭化水素構成単位の割合は、有機カルボン酸構成単位/炭化水素構成単位モル比にて、通常、1/9〜9/1の範囲であり、好ましくは、1/5〜5/1の範囲であり、より好ましくは、1/3〜3/1の範囲であり、最も好ましくは、1/2〜2/1の範囲である。
更に、本発明による難燃加工剤において、上記界面活性剤の割合は、特に制限されないが、通常、上記ホスホロアミデート100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であり、好ましくは、0.2〜5重量部の範囲である。
本発明による難燃加工剤において、上記ホスホロアミデートの平均粒子径は、通常、0.5〜10μmの範囲であり、好ましくは、1〜5μmの範囲である。
難燃加工剤において、上記ホスホロアミデート100重量部に対して、界面活性剤の割合が0.1重量部よりも少ないときは、上記ホスホロアミデートを水中に分散させる作用に乏しく、ホスホロアミデートを高濃度で含みながら、流動性を備えた水分散体を得ることができず、他方、10重量部を超えるときは、そのような難燃加工剤を用いて難燃加工した繊維品の摩擦堅牢度を低下させる等のおそれがある。
本発明による難燃加工剤は、前記ホスホロアミデートの平均粒子径にもよるが、通常、ホスホロアミデートを30〜80重量%の割合で含み、後に定義する流動性を有する。しかし、難燃加工剤における難燃剤の割合が余りに高いときは、難燃加工剤が安定性に欠けるおそれがある。難燃加工の効率と難燃加工剤の安定性の両立を考慮すると、本発明による難燃加工剤は、ホスホロアミデートを30〜70重量%の割合で含んでいることが好ましい。
前述したように、より詳しくは、前記ホスホロアミデートは、これを水に分散させるとき、その濃度が高くなるにつれて、水分散体が塑性を示すようになり、やがては流動性を失うに至る。本発明において、上記ホスホロアミデートの水分散体が流動性を有するホスホロアミデート濃度は、その平均粒子径にもよるが、例えば、ホスホロアミデートの平均粒子径が2μmのとき、30重量%濃度の水分散体は流動性を有し、ホスホロアミデートの平均粒子径が5μmのとき、50重量%濃度の水分散体は流動性を有し、ホスホロアミデートの平均粒子径が10μmのとき、70重量%濃度の水分散体は流動性を有する。
本発明による難燃加工剤は、その製造方法において、特に限定されるものではないが、例えば、前記ホスホロアミデートと前記特定の界面活性剤と水を混合し、プロペラ攪拌機やホモジナイザーを用いて、上記難燃剤を水に分散させることによって、水分散体としての難燃加工剤を得ることができる。また、湿式粉砕機を用いて、上記難燃剤を微粒子に粉砕した水分散体としての難燃加工剤を得ることもできる。
このように、本発明に従って、前記ホスホロアミデートを水に分散させて、本発明による難燃加工剤を製造する際に、繊維品に付与する難燃性に有害な影響を与えない範囲において、その他の難燃剤を含んでいてもよい。例えば、本発明による難燃加工剤は、従来から知られているリン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、リン酸アミド、ホスファゼン系難燃剤等のリン系難燃剤、グアニジン等の窒素系難燃剤、臭素化ビスフェノールAとその誘導体、臭素化ビスフェノールSとその誘導体、エチレンビスペンタブロモベンゼン、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の臭素系難燃剤を含んでいてもよい。
次に、本発明に従って、上述した難燃加工剤を用いる繊維品の難燃加工について説明する。
本発明による難燃加工剤は、通常、これを水で希釈して、ホスホロアミデート濃度1〜50重量%程度の水分散体である難燃加工処理液とし、これを用いて、繊維品に難燃加工を施す。
このような難燃加工処理液を用いて、繊維品を難燃加工し、繊維品に難燃性を付与する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、パディング法、スプレー法、コーティング法、捺染法、スクリーン印刷法等によって、難燃剤である前記ホスホロアミデートを繊維品に付着させ、100〜200℃の温度で熱処理して、上記難燃剤を繊維に固着させる方法を挙げることができる。
より詳細には、例えば、パディング法によるときは、本発明による難燃加工剤に繊維品を浸漬して、所定の付着量になるようにマングルで絞った後、例えば、100〜200℃、好ましくは120〜190℃の範囲の温度で数秒から数分間、乾熱処理を行う。この際、付着した難燃剤が加工後の洗濯等によって脱落しないよう、樹脂バインダーを併用してもよい。樹脂バインダーとしては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、SBR系樹脂等の水性樹脂を挙げることができる。このような樹脂バインダーの種類や使用量は、本発明による難燃加工剤の性能が阻害されない範囲において、任意に選択することができる。
本発明による難燃加工剤を用いて、繊維品を難燃加工するに際して、難燃剤、即ち、前記ホスホロアミデートの繊維製品への付着量は、その繊維品の種類にもよるが、通常、0.1〜20重量%の範囲である。
繊維品への難燃剤の付着量が0.1重量%よりも少ないときは、十分な難燃性を付与することができず、他方、20重量%を越えるときは、難燃加工後の繊維品の風合い硬化や、意匠性が低下する等の不具合を生じる。
本発明による難燃加工剤は、その性能が阻害されない範囲において、必要に応じて、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、デンプン糊等の分散安定剤、難燃加工剤の難燃性を高めるための難燃助剤、耐光堅牢度を高めるための紫外線吸収剤や酸化防止剤を含んでいてもよい。更に、必要に応じて、従来から知られている難燃剤や、従来、用いられている界面活性剤等を含んでいてもよい。
本発明による難燃加工剤は、他の機能加工剤と併用することもできる。機能加工剤の例としては、硬仕上げ剤、柔軟剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、風合い調整剤、SR剤等を挙げることができる。
以下に実施例と共に比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はそれら実施例によって何ら限定されるものではない。
以下において、特に断りのない限り、「ホスホロアミデート」は前記構造式(I)で表されるホスホロアミデートを意味するものとする。ホスホロアミデートの平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製SALD−2000J)を用いて測定した値である。
表1及び表2において、ホスホロアミデート水分散体の流動性は、ホスホロアミデート水分散体を室温(20℃)にて口外径75mm、足外径8mm、足長75mmのガラス漏斗に流し込んで、その100gが上記ガラス漏斗を通過するために要した時間(秒)を測定して、流動性の指標とした。ホスホロアミデート水分散体100gがガラス漏斗を通過する前に流動性をなくしたとき、不通過とした。
また、表1及び表2において、界面活性剤a〜g及び1〜12は以下のものを表す。
a:ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のナトリウム塩(ジイソブチレン/無水マレイン酸共重合体の加水分解物のナトリウム塩モル比=1/1、重量平均分子量20000)
b:スチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のアンモニウム塩(スチレン/無水マレイン酸共重合体の加水分解物のアンモニウム塩モル比=2/1、重量平均分子量7500)
c:スチレン−無水マレイン酸共重合体のモノプロピルエステル(ハーフエステル化物)のアンモニウム塩(スチレン/無水マレイン酸のモノプロピルエステル(ハーフエステル化物)のアンモニウム塩モル比=1:1、重量平均分子量9000)
d:スチレン−無水マレイン酸共重合体のモノ−n−ブチルエステル(ハーフエステル化物)のアンモニウム塩(スチレン/無水マレイン酸のモノ−n−ブチルエステル(ハーフエステル化物)のアンモニウム塩モル比=1/1、重量平均分子量13800)
e:スチレン−無水マレイン酸共重合体のモノブトキシエチルエステル(ハーフエステル化物)のアンモニウム塩(スチレン/無水マレイン酸のモノブトキシエチルエステル(ハーフエステル化物)のアンモニウム塩モル比=1:1、重量平均分子量7000)
f:スチレン−無水マレイン酸共重合体のブチル/メチル混合エステル(ハーフエステル化物)のアンモニウム塩(スチレン/無水マレイン酸のブチル/メチル混合エステル(ハーフエステル化物)のアンモニウム塩モル比=1:1、重量平均分子量180000)
g:スチレン−メタクリル酸共重合体のアンモニウム塩(スチレン/メタクリル酸のアンモニウム塩モル比2/1、重量平均分子量10000)
1:ラウリルアルコールエチレンオキサイド5モル付加物
2:ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド13モル付加物
3:モノステアリン酸ソルビタンエチレンオキサイド20モル付加物
4:C12〜15アルコールエチレンオキサイド3モル付加物リン酸エステル
5:トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルアンモニウム塩
6:ラウリルアミンエチレンオキサイド5モル付加物
7:β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩(重量平均分子量3000)
8:酢酸ビニル−無水マレイン酸重合体のナトリウム塩(重量平均分子量3000)
9:アクリル酸−無水マレイン酸重合体のナトリウム塩(重量平均分子量5500)
10:無水マレイン酸重合体のアンモニウム塩(重量平均分子量1500)
11:ポリビニルアルコール(重合度1700、けん化度87〜89%)
12:カルボキシメチルセルロース(エーテル化度0.85、重量平均分子量6000)
I.難燃加工剤の製造
以下において、比較例1は、界面活性剤を用いることなく、平均粒子径5μmのホスホロアミデートを濃度20重量%にて、水に分散させてなる水分散体を得たものであり、比較例2〜6は、表1に示す界面活性剤を用いて、平均粒子径5μmのホスホロアミデートを濃度30重量%にて、水に分散させてなる水分散体を得たものであり、従来のホスホロアミデートを水に分散させるために用いられてきた従来の界面活性剤を用いることによっても、ホスホロアミデート濃度が30重量%までであれば、流動性を有する水分散体を得ることができることを示す。
実施例I−1〜実施例I−7は、本発明に従って、特定の界面活性剤を用いることによって、平均粒子径5μmのホスホロアミデートの濃度が50重量%であっても、流動性を有する水分散体を得ることができることを示す。
比較例I−1は、界面活性剤を用いることなく、平均粒子径5μmのホスホロアミデートを濃度30重量%にて、水に分散させてなる水分散体を得たものであり、比較例I−2〜比較例I−13は、表1に示す界面活性剤を用いて、平均粒子径5μmのホスホロアミデートを水に分散させた場合、ホスホロアミデート濃度が30重量%、40重量%又は50重量%の水分散体がいずれも、流動性をもたないことを示す。
実施例I−8〜実施例I−14は、本発明に従って、特定の界面活性剤を用いることによって、平均粒子径2μmのホスホロアミデートの濃度が30重量%であっても、流動性を有する水分散体を得ることができることを示す。
比較例I−14は、界面活性剤を用いることなく、平均粒子径2μmのホスホロアミデートを濃度30重量%にて、水に分散させてなる水分散体を得たものであり、比較例I−15〜比較例I−26は、表2に示す界面活性剤を用いて、平均粒子径2μmのホスホロアミデートを濃度30重量%にて、水に分散させてなる水分散体を得たものであり、従来のホスホロアミデートを水に分散させるために用いられてきた界面活性剤を用いることによっては、ホスホロアミデートの平均粒子径が2μmであるとき、ホスホロアミデート濃度30重量%であっても、流動性を有する水分散体を得ることができないことを示す。
実施例I−15〜実施例I−21は、本発明に従って、特定の界面活性剤を用いることによって、平均粒子径10μmのホスホロアミデートの濃度が70重量%であっても、流動性を有する水分散体を得ることができることを示す。
比較例I−27は、界面活性剤を用いることなく、平均粒子径10μmのホスホロアミデートを濃度70重量%にて、水に分散させてなる水分散体を得たものであり、比較例I−28〜比較例I−39は、表2に示す界面活性剤を用いて、平均粒子径10μmのホスホロアミデートを濃度70重量%にて、水に分散させてなる水分散体を得たものであり、従来のホスホロアミデートを水に分散させるために用いられてきた界面活性剤を用いることによっては、ホスホロアミデートの平均粒子径が10μmであるとき、ホスホロアミデート濃度70重量%では、流動性を有する水分散体を得ることができないことを示す。
比較例1
(水分散体h−1の製造)
ホスホロアミデート(平均粒子径5μm)20重量部と水80重量部をビーカーに仕込み、プロペラ攪拌機で均一分散して、ホスホロアミデート濃度20重量%の水分散体を得た。
比較例2〜6
(水分散体i−1〜m−1の製造)
ホスホロアミデート(平均粒子径5μm)30重量部、表1に示す界面活性剤0.5重量部、水69.5重量部をビーカーに仕込み、プロペラ攪拌機で均一分散して、ホスホロアミデート濃度30重量%の水分散体を得た。
実施例I−1〜I−7
(難燃加工剤A−1〜G−1の製造)
ホスホロアミデート(平均粒子径5μm)50重量部、表1に示す界面活性剤0.5重量部、水49.5重量部をビーカーに仕込み、プロペラ攪拌機で均一分散して、ホスホロアミデート濃度50重量%の難燃加工剤を得た。
比較例I−1
(水分散体h−2の製造)
ホスホロアミデート(平均粒子径5μm)30重量部と水70重量部をビーカーに仕込み、プロペラ攪拌機で均一分散して、ホスホロアミデート濃度30重量%の水分散体を得た。
比較例I−2〜I−6
(水分散体i−2〜m−2の製造)
ホスホロアミデート(平均粒子径5μm)40重量部、表1に示す界面活性剤0.5重量部、水59.5重量部をビーカーに仕込み、プロペラ攪拌機で均一分散して、ホスホロアミデート濃度40重量%の水分散体を得た。
比較例I−7
(水分散体n−1の製造)
ホスホロアミデート(平均粒子径5μm)30重量部、表1に示す界面活性剤0.5重量部、水69.5重量部をビーカーに仕込み、プロペラ攪拌機で均一分散して、ホスホロアミデート濃度30重量%の水分散体を得た。
比較例I−8〜I−13
(水分散体o−1〜t−1の製造)
ホスホロアミデート(平均粒子径5μm)50重量部、表1に示す界面活性剤0.5重量部、水49.5重量部をビーカーに仕込み、プロペラ攪拌機で均一分散して、ホスホロアミデート濃度50重量%の水分散体を得た。
実施例I−8〜I−14
(難燃加工剤A−2〜G−2の製造)
ホスホロアミデート(平均粒子径5μm)30重量部、表1に示す界面活性剤0.6重量部を水40重量部と混合し、これを0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、上記難燃剤の平均粒子径がレーザー回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製SALD−2000J)で測定して2.0μmとなるまで粉砕し、105℃の温度で30分乾燥させたときのホスホロアミデート濃度が30重量%となるように水で希釈して、難燃加工剤を得た。
比較例I−14
(水分散体h−3の製造)
実施例I−8において、界面活性剤を用いなかった以外は、同様にして、ホスホロアミデート濃度30重量%の水分散体を得た。
比較例I−15〜I−26
(水分散体i−3〜m−3及び水分散体n−2〜t−2の製造)
実施例I−8において、表2に示す界面活性剤を用いて、同様にして、ホスホロアミデート濃度30重量%の水分散体を得た。
実施例I−15〜I−21
(難燃加工剤A−3〜G−3の製造)
ホスホロアミデート(平均粒子径10μm)70重量部、表2に示す界面活性剤0.7重量部、水29.3重量部をビーカーに仕込み、プロペラ攪拌機で均一分散して、ホスホロアミデート濃度70重量%の難燃加工剤を得た。
比較例I−27
(水分散体h−4の製造)
ホスホロアミデート(平均粒子径10μm)70重量部と水30重量部をビーカーに仕込み、プロペラ攪拌機で均一分散して、ホスホロアミデート濃度70重量%の水分散体を得た。
比較例I−28〜比較例I−39
(水分散体i−4〜m−4及び水分散体n−3〜t−3の製造)
ホスホロアミデート(平均粒子径10μm)70重量部、表2に示す界面活性剤0.7重量部、水29.3重量部をビーカーに仕込み、プロペラ攪拌機で均一分散して、ホスホロアミデート濃度70重量%の水分散体を得た。
上述した実施例及び比較例において得たホスホロアミデートの水分散体の製造に用いた界面活性剤、ホスホロアミデートの平均粒子径、水分散体のホスホロアミデート濃度及び流動性を表1及び表2に示す。
Figure 0006735694
Figure 0006735694
II.繊維品の難燃加工と難燃性能試験
実施例II−1
(ポリエステル繊維品の難燃加工)
実施例I−1で得た難燃加工剤A−1が20重量%と水80重量%からなる難燃加工処理液に市販のポリエステルペトロマット(目付165g/m)を浸漬し、パディング法にて付着させた。これを130℃で3分乾燥した後、170℃で1分熱処理を行って、難燃加工ポリエステル繊維布帛を得て、下記の難燃性能試験に供した。
実施例II−2
(ポリエステル繊維品の難燃加工)
実施例II−1において、難燃加工剤A−1に代えて、実施例I−12で得た難燃加工剤E−2を用いた以外は、同様にして、難燃加工ポリエステル繊維布帛を得て、下記の難燃性能試験に供した。
実施例II−3
(ポリエステル繊維品の難燃加工)
実施例II−1において、難燃加工剤A−1に代えて、実施例I−6で得た難燃加工剤F−1を用いた以外は、同様にして、難燃加工ポリエステル繊維布帛を得て、下記の難燃性能試験に供した。
実施例II−4
(ポリエステル繊維品の難燃加工)
実施例II−1において、難燃加工剤A−1に代えて、実施例I−14で得た難燃加工剤G−2を用いた以外は、同様にして、難燃加工ポリエステル繊維布帛を得て、下記の難燃性能に供した。
比較例II−1
上記と同じポリエステルペトロマットに難燃加工を行わず、下記の難燃性能試験に供した。
(難燃性能試験)
FMVSS No.302の自動車内装材燃焼試験規格に基づいて水平燃焼速度を測定し、次の判定基準により難燃性能を評価した。
A標線に達する前に自消した場合、判定区分を「A標線内自消」とし、合格とした。
A標線を越えて自消した場合であって、燃焼距離が50mm以内であり、且つ燃焼時間が60秒以内の場合、判定区分を「自消」とし、合格とした。
自消しないが、標線間の燃焼速度が4インチ/分(約101.6mm/分)以下である場合、判定区分を「規定速度以下の燃焼」とし、合格とした。
自消せず、標線間の燃焼速度が4インチ/分(約101.6mm/分)を超える場合、判定区分を「規定速度を超える燃焼」とし、不合格とした。
実施例II−5
(綿繊維品の難燃加工)
実施例I−8で得た難燃加工剤A−2が20重量%と水80重量%からなる難燃加工処理液に市販の綿ブロード(目付120g/m)を浸漬し、パディング法にて付着させた。これを130℃で5分乾燥した後、難燃加工綿繊維布帛を得て、下記の難燃性能試験に供した。
実施例II−6
(綿繊維品の難燃加工)
実施例II−5において、難燃加工剤A−2に代えて、実施例I−9で得た難燃加工剤B−2を用いた以外は、同様にして、難燃加工綿繊維布帛を得て、下記の難燃性能に供した。
比較例II−2
上記と同じ綿ブロードに難燃加工を行わず、下記の難燃性能試験に供した。
(難燃性能試験)
FMVSS No.302の自動車内装材燃焼試験規格に基づいて水平燃焼速度を測定し、前記と同じ判定基準により難燃性能を評価した。
実施例II−7
(ナイロン繊維品の難燃加工)
実施例I−10で得た難燃加工剤C−2が20重量%と水80重量%からなる難燃加工処理液に市販の6,6−ナイロンジャージ(目付125g/m)を浸漬し、パディング法にて付着させた。これを130℃で3分乾燥した後、170℃で1分熱処理を行って、難燃加工ナイロン繊維布帛を得た。
実施例II−8
(ナイロン繊維品の難燃加工)
実施例II−7において、難燃加工剤C−2に代えて、実施例I−11で得た難燃加工剤D−2を用いた以外は、同様にして、難燃加工ナイロン繊維布帛を得て、下記の難燃性能に供した。
比較例II−3
上記と同じ6,6−ナイロンジャージに難燃加工を行わず、下記の難燃性能評価試験に供した。
(難燃性能試験)
難燃性能は、JIS L 1091 D法(コイル法)にて評価した。コイル法においては、接炎回数が3回以上であれば、難燃性能にすぐれるといえる。結果を表3に示す。
Figure 0006735694
本発明による難燃加工剤は、ポリエステルやナイロンの繊維品、綿繊維品等を含む種々の繊維品に高い難燃性を付与することができる。

Claims (6)

  1. (A)構造式(I)
    Figure 0006735694
    で表されるホスホロアミデートと、
    (B)共重合体からなる界面活性剤と、
    (C)水
    を含む難燃加工剤であって、
    上記共重合体が
    (1)(a)一般式(IIa)
    Figure 0006735694
    (式中、Xはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、Yはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素原子数1〜8のアルキル基又は一般式(IIb)
    Figure 0006735694
    (式中、R1は炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。)
    で表されるアルコキシエチル基を示す。)
    で表される構成単位と、
    (b)一般式(IIc)
    Figure 0006735694
    (式中、R2は水素原子又はメチル基を示し、Zはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示す。)
    で表される構成単位とから選ばれる少なくとも1つの有機カルボン酸構成単位と、
    (2)(a)(ジ)イソブチレン構成単位と、
    (b)一般式(III)
    Figure 0006735694
    (式中、R3は水素原子又はメチル基を示す。)
    で表される構成単位とから選ばれる少なくとも1つの炭化水素構成単位を有する共重合体である難燃加工剤。
  2. 前記ホスホロアミデートが0.5〜10μmの平均粒子径を有するものである請求項1に記載の難燃加工剤。
  3. 前記共重合体が1000〜200000の範囲の重量平均分子量を有するものである請求項1に記載の難燃加工剤。
  4. 前記界面活性剤を前記ホスホロアミデート100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で含む請求項1に記載の難燃加工剤。
  5. 前記共重合体がジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体のハーフエステル化物(但し、ハーフエステルにおけるエステルは炭素原子数1〜8のアルキルエステル又はアルコキシ基の炭素原子数1〜8のアルコキシエチルエステルである。)のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体のハーフエステル化物(但し、ハーフエステルにおけるエステルは炭素原子数1〜8のアルキルエステル又はアルコキシ基の炭素原子数1〜8のアルコキシエチルエステルである。)のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ジイソブチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の難燃加工剤。
  6. 前記共重合体がジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物のアンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体のモノプロピルエステルのアンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体のモノ−n−ブチルエステルのアンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体のブチル/メチル混合エステルのアンモニウム塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体のモノブトキシエチルエステルのアンモニウム塩、及びスチレン−メタクリル酸共重合体のアンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の難燃加工剤。


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