JP6818327B2 - ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル系合成繊維構造物のための難燃加工に関し、詳しくは、ある種のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンからなり、ポリエステル系合成繊維構造物に後加工によって難燃性を付与するポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤、そのような難燃剤によって難燃加工された難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物、そのような難燃剤を含む難燃加工剤、そのような難燃加工剤を用いるポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法、更には、そのような難燃加工方法によって得られる難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物に関する。
従来、ポリエステル系合成繊維構造物に後加工によって難燃性を付与する方法が種々知られている。後加工の代表的な方法として、例えば、浴中処理法やパディング法を挙げることができる。
ポリエステル系合成繊維構造物に後加工によって難燃性を付与する方法としては、古くは、リン酸グアニジンやリン酸カルバメートのような水溶性塩類を難燃加工剤としてパディング法にてポリエステル系合成繊維構造物に付与する方法が主流であったが、上記水溶性塩類によって加工された難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物は、吸放湿したときに繊維構造物の表面に結晶物が析出したり、また、繊維構造物の表面に水が付着したときに際付き(きわつき)とも称される輪染みを生じたりする問題があった(例えば、特許文献1参照)。
そこで、これまでも、上述したような問題に対応すべく、ハロゲン系化合物やリン系化合物を乳化物又は分散物とし、それを浴中処理法やパディング法によってポリエステル系合成繊維構造物に付与する方法が研究されてきた(例えば、特許文献2及び3参照)。
上記ハロゲン系化合物の代表的なものとして、例えば、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)が知られているが、近年、この化合物は環境に有害であることから、その使用が規制されるに至っている。
一方、上記リン系化合物としては、リン酸エステルやリン酸アミドが知られている。これらのリン酸エステルやリン酸アミドは疎水性が強いことから、水に乳化分散して使用するが、その際、比較的多量の界面活性剤を必要とし、そこで、これらのリン酸エステルやリン酸アミドをポリエステル系合成繊維構造物に付与して難燃加工したとき、繊維構造物の表面に多量の界面活性剤が残留するので、難燃加工したポリエステル系合成繊維構造物をその難燃加工後に洗浄することが必須であった。そして、上記難燃加工後の洗浄を行わないときは、得られるポリエステル系合成繊維構造物が摩擦堅牢度において著しく低下する問題があった。
更に、上記リン酸エステルやリン酸アミドはリン含有量が少ないので、これらをポリエステル系合成繊維構造物に付与して、十分な難燃性を達成するには、上記難燃剤を多量に付与する必要があり、風合いの低下やチョークマークが発生する等の問題もあった。
一方、これまでも、分子中にアミノ基、フェノキシ基及び/又はメトキシ基を有する環状ホスファゼン化合物が高いリン含有量を有することから、ポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤として用いることが既に幾つか提案されている(例えば、特許文献4及び5参照)。
しかし、従来、ある種の環状アミノフェノキシホスファゼンは、分散性が必ずしもよくないので、多量の界面活性剤を用いて溶媒に分散させて難燃加工剤とする必要があり、その結果、環状アミノフェノキシホスファゼンを付与して難燃加工したポリエステル系合成繊維構造物には、容易に上述した際付きを生じる問題があった(例えば、特許文献4参照)。
また、従来、環状アミノフェノキシホスファゼンは、ホスファゼン骨格へのアミノ基とフェノキシ基の結合位置が異なる種々の異性体を含む混合物のまま、難燃剤として用いられているので、これを難燃剤として用いて、ポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工するとき、湿熱下で一部、加水分解して、難燃加工したポリエステル系合成繊維構造物の着色の原因になる問題があった。
更に、(アミノ基と共に)フェノキシ基を多く有する環状(アミノ)フェノキシホスファゼンは疎水性が高いので、これを溶媒に分散して難燃加工剤とするには、多量の界面活性剤を必要とし、従って、そのような難燃加工剤にて難燃加工したポリエステル系合成繊維構造物は、上述したリン酸エステルやリン酸アミドを用いる難燃加工と同様に、難燃加工の後の洗浄が必須であって、これを行わないときは、得られる難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物が摩擦堅牢度において著しく低下する問題があった。
そのほか、環状アミノフェノキシホスファゼンを難燃剤として含む難燃加工剤にてポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工すると同時に、染料を3〜5%owf使用して、濃色に染色した場合には、得られるポリエステル系合成繊維構造物は摩擦堅牢度の低下が著しく、従って、リン酸エステルやリン酸アミドを難燃剤として用いた場合と同様に、難燃加工後の洗浄が必須であった(例えば、特許文献5及び6参照)。
特開2002−38374号公報 特公昭53−8840号公報 特開2003−193368号公報 特開平8−291467号公報 特開平10−298188号公報 特開2002−105871号公報
本発明者らは、従来のポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工のための難燃剤における上述した問題を解決するために、アミノ基、フェノキシ基及び/又はメトキシ基を有する種々の環状ホスファゼン化合物の製造とその難燃性能について広範囲に且つ詳細に研究した結果、ある種のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンが加水分解し難く、安定であって、難燃加工剤に製剤化しやすいうえに、これを界面活性剤の存在下で溶媒に分散させて難燃加工剤とし、この難燃加工剤を用いて、例えば、パディング法にてポリエステル系合成繊維構造物に難燃加工を施すことによって、難燃加工後の洗浄をせずとも、際付きやチョークマークの発生や摩擦堅牢度の低下等のポリエステル系繊維構造物の物性低下を伴うことなしに、満足すべき難燃性をポリエステル系合成繊維構造物に付与し得ることを見出して、本発明に至ったものである。
本発明によれば、下記構造式(1)
Figure 0006818327
で表される2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン及び下記構造式(2)
Figure 0006818327
で表される2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンから選ばれる少なくとも1種のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンからなるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤が提供される。
また、本発明によれば、上記難燃剤を界面活性剤の存在下に溶媒に分散させてなるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃加工剤が提供される。
更に、本発明によれば、上記難燃剤によって難燃加工された難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物が提供される。
また、本発明によれば、上記難燃加工剤によってポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工することを特徴とするポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法、特に、上記難燃加工剤をポリエステル系合成繊維構造物に付着させ、乾燥させた後、100〜220℃の温度で熱処理するポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法が提供される。
上記に加えて、本発明によれば、上記難燃加工方法によって難燃加工された難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物が提供される。
本発明による難燃剤を含む難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃加工を施すことによって、際付きとチョークマークの発生や摩擦堅牢度の低下なしに、満足すべき難燃性をポリエステル系合成繊維構造物に付与することができる。しかも、本発明による難燃加工剤を用いるポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工によれば、難燃加工後のポリエステル系合成繊維構造物の洗浄を必要としないので、難燃加工における負荷を大幅に軽減することができる。
本発明において、ポリエステル系合成繊維構造物とは、少なくともポリエスエル繊維を含む繊維と、そのような繊維を含む糸、綿、編織布や不織布等の布帛をいい、好ましくは、ポリエステル繊維、これよりなる糸、綿、編織布や不織布等の布帛をいう。更に、上記編織布や不織布等の布帛は、単層であっても、2層以上の積層体であってもよく、また、糸、綿、編織布や不織布等からなる複合体であってもよい。
本発明において、上記ポリエステル繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/5−スルホイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリオキシベンゾイル、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸の共重合体、D−乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)等のポリカプロラクトン、ポリリンゴ酸、ポリヒドロキシカルボン酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、β−ヒドロキシ酪酸(3HB)−3−ヒドロキシ吉草酸(3HV)ランダム共重合体等のポリ脂肪族ヒドロキシカルボン酸、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート−アジペート共重合体等のグリコールと脂肪族ジカルボン酸とのポリエステル等を挙げることができるが、しかし、これら例示したものに限定されるものではなく、更に、難燃剤等の機能性化合物をポリエステルの製造時にポリエステルに共重合させたもの、また、重合時又は製糸時に抗菌剤等の機能性化合物をブレンドしたものであってもよい。
本発明に従って難燃加工されたポリエステル系合成繊維構造物は、例えば、座席シート、シートカバー、カーテン、壁紙、天井クロス、カーペット、緞帳、建築養生シート、テント、帆布等に好適に用いられる。
本発明によるポリエステル系合成繊維構造物の難燃剤は、下記構造式(1)
Figure 0006818327
で表される2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン及び下記構造式(2)
Figure 0006818327
で表される2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンから選ばれる少なくとも1種のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンからなる。
即ち、本発明によれば、上記2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンを単独で用いて難燃剤とすることができ、また、2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを単独で用いて難燃剤とすることができ、また、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを任意の割合にて併用して難燃剤とすることができる。
上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンは、例えば、適宜の有機溶媒中、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンにナトリウムフェノキシドを反応させて、クロロフェノキシシクロトリホスファゼンを主成分とする反応混合物を得、次いで、耐圧容器中、密閉条件下に適宜の有機溶媒中、上記混合物にアンモニアを反応させ、得られた反応混合物から副生物を除去することによって得ることができる。
本発明によれば、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンからなる難燃剤は、適宜の溶媒に分散させてなる難燃加工剤として好適に用いられる。
本発明によるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃加工剤は、上記難燃剤を界面活性剤の存在下に溶媒に分散させてなるものである。ここに、上記難燃加工剤における上記難燃剤のための好ましい分散媒は水である。
しかし、本発明によれば、難燃加工剤としての性能を阻害しない範囲であれば、上記分散媒は有機溶媒でもよく、また、有機溶媒と水と混合物であってもよい。
従って、本発明による難燃加工剤は、好ましくは、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを界面活性剤と共に水に混合し、湿式粉砕機を用いて粉砕して、微粒子化させることによって得ることができる。
本発明においては、上記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤のいずれをも用いることができる。
しかし、本発明によれば、なかでも、界面活性剤としては、
(a)下記一般式(I)
Figure 0006818327
(式中、R1 はベンジル基、スチリル基又はクミル基を表し、mは平均で1〜3の整数で
あり、nは平均で5〜50の整数である。)
で表されるアリール化フェノールエチレンオキサイド付加物、
(b)下記一般式(II)
Figure 0006818327
(式中、R1 はベンジル基、スチリル基又はクミル基を表し、mは平均で1〜3の整数であり、nは平均で5〜30の整数であり、Mはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示す。)
で表されるアリール化フェノールエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩及び
(c)下記一般式(III)
Figure 0006818327
(式中、M’はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、a及びcはそれぞれ独立に平均で1〜3の数であり、b及びdはそれぞれ独立に平均で5〜30の数である。)
で表されるスチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物のスルホ琥珀酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
上記一般式(II)で表されるアリール化フェノールエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩又は上記一般式(III)で表されるスチレン化フェノールエチレンオキサイド付
加物のスルホ琥珀酸エステル塩において、M又はM’がアルカリ金属イオンであるときは、具体的には、好ましくは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンである。
本発明において、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部に対して、用いる界面活性剤の量が5.0重量部よりも多いときは、得られる難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物の摩擦堅牢度が低下し、また、際付きが生じるおそれがある。他方、用いる界面活性剤の量が0.9重量部よりも少ないときは、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを水に分散できないことがある。
本発明において、上記界面活性剤を水に分散させるときに有害な影響を与えない範囲において、必要に応じて、上記界面活性剤と共に、上記以外の他のアニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤を併用してもよい。また、必要に応じて、上記界面活性剤に代えて、カチオン界面活性剤を用いてもよい。
上記以外の他のアニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル塩等の硫酸エステル塩や、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等を挙げることができる。
上記以外のノニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪族エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物等のポリオキシアルキレン型非イオン系界面活性剤や、アルキルグリコキシド、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコール型ノニオン界面活性剤等を挙げることができる。
また、カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体等を挙げることができる。
本発明において、上記アリール化フェノールエチレンオキサイド、アリール化フェノールエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩やスチレン化フェノールエチレンオキサイド付加物のスルホ琥珀酸エステル塩と併用するに際して、上記他のアニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤、また、カチオン界面活性剤は単独で用いてもよく、また、必要に応じて、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明において、前記難燃剤を分散させる分散媒として用いることができる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、エチルセロソルブ等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチレンクロライド、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。
特に、本発明においては、上記有機溶媒は、好ましくは、メタノール等のアルコール類、アセトン、エチルセロソルブ等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等の水溶性有機溶媒を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独にて、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、水と混合して用いられる。
一般に、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃剤を付与して難燃加工する際に、上記難燃剤の平均粒子径は、その加工によってポリエステル系合成繊維構造物に与えられる難燃性能に重要な影響を及ぼす。難燃剤は、その平均粒子径が小さいほど、ポリエステル系合成繊維構造物に高い難燃性能を与えることができるので好ましい。反対に、難燃剤は、その平均粒子径が大きいほど、難燃加工剤としての貯蔵安定性が悪く、難燃剤が難燃加工剤中で沈殿し、固まりになって、所謂ハードケーキを形成するので、好ましくない。
そこで、本発明によれば、前記難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃加工を施すに際して、難燃剤がポリエステル系合成繊維構造物の内部に十分に拡散し、付着して、難燃剤による難燃性能が耐久性を有するように、前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンは、平均粒子径が2μm以下の微粒子として水に分散されてなる難燃加工剤として用いられることが好ましく、特に、平均粒子径が0.3〜1μmの範囲にある微粒子として水に分散されていることが好ましい。
本発明による難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工するに際して、難燃加工剤は、通常、水にて希釈して、加工液として用いられる。このような加工液は、本発明によるアミノフェノキシシクロトリホスファゼンを、通常、0.5〜5重量%の範囲で含むことが好ましい。
また、本発明による難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工するに際して、難燃剤アミノフェノキシシクロトリホスファゼンのポリエステル系合成繊維構造物に対する付着量は、対象とするポリエステル系合成繊維構造物の形態や種類によって異なるが、通常、難燃剤量にて、0.1〜5重量%、好ましくは、1〜5重量%の範囲である。
但し、上記ポリエステル系合成繊維構造物に対する難燃剤の付着量は、本発明による難燃剤の付着量を限定するものではない。何故ならば、ポリエステル系合成繊維構造物によっては、本発明による難燃剤の付着量が0.5重量%程度でも、そのポリエステル系合成繊維構造物に十分な難燃性を付与することができるが、一方において、ポリエステル系合成繊維構造物によっては、本発明による難燃剤の付着量が1重量%よりも少ないとき、ポリエステル系合成繊維構造物に十分な難燃性を付与することができない場合があるからである。
他方、5重量%を越えるときは、難燃加工後のポリエステル系合成繊維構造物の風合いが粗硬になる等の不具合を生じる。
本発明による難燃剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃性を付与するには、ポリエステル系合成繊維の紡糸時に本発明による難燃剤を練り込む方法によることもできるが、前述したように、本発明による難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物に後加工として難燃加工を施す方法によることが好ましい。
ポリエステル系合成繊維構造物に後加工によって難燃性を付与する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、好ましい1つの方法として、難燃加工剤をポリエステル系合成繊維構造物に付着させ、乾燥させた後、100〜220℃の温度で1〜5分間熱処理して、本発明によるアミノフェノキシシクロトリホスファゼンを繊維内部へ吸尽させる方法を挙げることができる。この方法において、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃加工剤を付着させるには、例えば、パディング法、スプレー法、コーティング法等によることができる。
パディング法は、難燃加工剤又はこれを希釈した加工液に、例えば、布帛のようなポリエステル系合成繊維構造物を浸漬した後、上記布帛をローラー(マングル)にて絞って、難燃剤を上記布帛に付着させる方法である。スプレー法は、難燃加工剤又はこれを希釈した加工液を布帛に霧状に噴霧して、上記布帛に難燃剤を付着させる方法である。また、コーティング法は、難燃加工剤を増粘し、これを布帛の裏面に均一に塗布して、難燃剤を布帛に付着させる方法である。
本発明によれば、このようにして、ポリエステル系合成繊維構造物にアミノフェノキシシクロトリホスファゼンを付着させた後、乾燥させ、上述したように、100〜220℃の温度で1〜5分間熱処理して、アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを繊維内部へ吸尽させ、かくして、ポリエステル系合成繊維構造物に難燃剤を付与して、すぐれた難燃性を与えることができる。
また、本発明による難燃加工剤を用いて、ポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工する別の方法として、例えば、液流染色機、ビーム染色機、チーズ染色機等のパッケージ染色機を用い、難燃加工剤又はこれを希釈した加工液にポリエステル系合成繊維構造物を浸漬し、100〜140℃の温度で浴中処理して、難燃剤を繊維内部へ吸尽させる浴中処理法を挙げることができる。
本発明によれば、このような浴中処理によるポリエステル系合成繊維構造物への難燃加工剤の付与は、ポリエステル系合成繊維構造物を染色する前、染色と同時又は染色した後のいずれの時期に行ってもよい。
本発明による難燃加工剤は、その性能が阻害されない範囲内において、必要に応じて、前述した以外の界面活性剤を分散剤として含んでいてもよい。また、本発明によれば、難燃加工剤は、必要に応じて、その貯蔵安定性を高めるために、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン糊等の保護コロイド剤、難燃加工剤の難燃性を高めるための難燃助剤、耐光堅牢度を高めるための紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。更に、必要に応じて、従来から知られている難燃剤を含んでいてもよい。
更に、本発明による難燃加工剤は、必要に応じて、難燃加工を施したポリエステル系合成繊維構造物の摩擦堅牢度を改善するために、ポリエステル樹脂エマルションやウレタン樹脂エマルションを含んでいてもよい。上記ウレタン樹脂エマルションとしては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のいずれであってもよいが、得られるポリエステル系合成繊維構造物の耐光堅牢度や耐熱性の観点から、ポリエステル系又はポリカーボネート系が好ましい。
また、難燃加工を施したポリエステル系合成繊維構造物の縫製性を向上させるために、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ワックス、カルナバロウ、モンタンワックス等を水に乳化してなる平滑剤を含んでいてもよい。
本発明による難燃加工剤は、ポリエステル系合成繊維構造物に与える難燃性能に有害な影響を及ぼさない範囲において、従来、知られている他の繊維加工剤と併用することもできる。このような繊維加工剤としては、例えば、柔軟剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、硬仕上げ剤、風合調整剤等を挙げることができる。
以下に本発明による難燃剤の合成例を示す参考例、本発明による難燃加工剤の製造及び本発明による難燃加工の実施例を比較例と共に挙げて、本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、それら実施例によって何ら限定されるものではない。
尚、以下において、難燃加工剤中の不揮発分とは、難燃加工剤中の難燃剤の割合をいい、難燃加工剤が難燃剤と共に界面活性剤と消泡剤とその他の助剤を含むときは、上記難燃剤と上記界面活性剤と上記消泡剤と上記その他の助剤中の不揮発成分の合計量の割合をいう。
難燃剤の平均粒子径は、難燃加工剤中のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンの粒度分布を(株)島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000Jで測定して得た体積基準のメディアン径をいう。
また、以下においては、特に断りがない限り、「%」及び「部」とあるのは、それぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
以下の参考例において得られたアミノフェノキシシクロトリホスファゼンは、H−NMRスペクトルと31P−NMRスペクトルの測定、硝酸銀を用いた電位差滴定法による塩素元素(残留塩素)の分析、並びにLC/MS分析の結果に基づいて同定した。また、それらアミノフェノキシシクロトリホスファゼンについて、TG/DTA分析によって、融解温度と5%重量減少温度を測定した。
A.難燃剤の製造
参考例1
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド610g(5.25モル)にテトラヒドロフラン(THF)2400mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物850gを得た。この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンを含有していることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物849gとトルエン320mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア221g(13.0モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、濾過した。得られた濾塊にメタノールを加え、加温して溶解し、室温まで冷却した。析出した固体を濾取し、これを乾燥し、白色固体321gを得た。
上記白色固体の分析結果を以下に示す。
H−NMRスペクトル(300MHz、DMSO-d、δ、ppm):
N−H:4.1(6H)、
C−H:6.8〜7.5(15H)、
31P−NMRスペクトル(121MHz、DMSO-d、δ、ppm):
P−(NH)(OPh):17.3〜17.7(3P)、
LC/MS(positive−ESI)m/z:463 (M+H)、
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:213℃、
5%重量減少温度:278℃。
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンであることを確認した。収率46.3%、HPLC純度99.1%(面積百分率)。
参考例2
(2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた5L容量のフラスコ内にヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)とトルエン2000mLを仕込み、撹拌して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンをトルエンに溶解させて、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド697g(6.00モル)をTHF2700mLに溶解して得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温して、1時間還流した。この後、THFを留去しながら、還流下で8時間反応させた。
反応終了後、得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次いで、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層を脱水した後、トルエンを留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物688gを得た。予め調製した標品を用いてHPLCで定量した結果、2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含んでいることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物688gとトルエン600mLを2L容量のステンレス製耐圧容器に入れ、更に、アンモニア134g(7.85モル)を加え、密封下に50℃で15時間撹拌下に反応させた。この後、耐圧容器を開けて、得られた反応混合物にトルエン4500mLを加え、反応混合物を溶解させた後、希塩酸と脱塩水1000mLで2回洗浄した。
溶離液として酢酸エチルとヘキサンの混合物を用いて、シリカゲル充填カラムクロマトグラフィーで副成物であるアミノペンタフェノキシシクロトリホスファゼンとトリアミノトリフェノキシシクロトリホスファゼン等を分離した。
溶離液を減圧濃縮した後、残渣を約80%酢酸エチル溶液として一晩静置し、析出した結晶を濾過、乾燥して、2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン484gを白色固体として得た。
上記白色固体の分析結果を以下に示す。
H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3、δ、ppm):
N−H 2.6、2.8(4H)、
C−H 6.8〜7.5(20H)、
31P−NMRスペクトル(121MHz、CDCl3、δ、ppm):
P−(OPh)2 8.5〜10.5(1P)、
P−NH2(OPh) 18.0〜20.0(2P)、
LC/MS(positive−ESI) m/z:540(M+H)、
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:97℃、
5%重量減少温度:298℃。
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンであることを確認した。収率59.8%、HPLC純度99.3%(面積百分率)。
参考例3
(2,2,4−トリアミノ−4,6,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド540g(4.65モル)にTHF2200mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物765gを得た。この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,2,4−トリクロロ−4,6,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンを含有していることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物764gとトルエン300mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア251g(14.8モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、濾過した後、濾液のトルエン層を脱塩水で洗浄した。
上記トルエン層を減圧濃縮して、黄褐色粘稠物464gを得た。この粘稠物28.1gを採り、酢酸エチルとヘキサンを溶離液として、シリカゲルを充填したカラムで精製した。目的物を含むフラクションを減圧濃縮後、室温まで冷却して、白色固体12.9gを得た。
上記白色固体の分析結果を以下に示す。
H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl、δ、ppm):
N−H:1.6〜2.8(6H)、
C−H:7.1〜7.4(15H)、
31P−NMRスペクトル(121MHz、CDCl、δ、ppm):
P−(OPh):9.9〜11.3(1P)、
P−(NH、P−(NH)(OPh):17.8〜20.5(2P)、
LC/MS(positive−ESI)m/z:463 (M+H)、
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:138℃、
5%重量減少温度:259℃。
以上の分析結果から、上記白色固体は2,2,4−トリアミノ−4,6,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンであることを確認した。収率30.8%、HPLC純度99.4%(面積百分率)。
参考例4
(2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた5L容量のフラスコ内にヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)とジエチルエーテル2150mLを仕込み、水浴で冷却しながら、撹拌して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンをジエチルエーテルに溶解させて、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
上記溶液を撹拌しながら、これに内温25℃以下で25%アンモニア水766g(アンモニアとして11.3モル)を滴下した後、内温30℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を分液漏斗に移し、水層を分離し、ジエチルエーテル層を中性になるまで脱塩水で洗浄した。
得られたジエチルエーテル層を脱水した後、ジエチルエーテルを留去して、2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラクロロシクロトリホスファゼン276gを淡黄色固体として得た。収率59.6%。
上記淡黄色固体の分析結果を以下に示す。
H−NMRスペクトル(300MHz、アセトン−d、δ、ppm):
N−H 2.1(m)、
31P−NMRスペクトル(121MHz、アセトン−d、δ、ppm):
P−(NH 10.0〜12.0(1P)、
P−Cl 18.0〜20.0(2P)、
次に、撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた5L容量のフラスコ内に上記2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラクロロシクロトリホスファゼン276g(0.894モル)を仕込み、更に、THF1200mLを加え、撹拌して、2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラクロロシクロトリホスファゼンをTHFに溶解させて、2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラクロロシクロトリホスファゼンの溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド622g(5.36モル)をTHF2500mLに溶解させて溶液を得、この溶液を上記2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温25℃以下で加えた後、15時間還流した。反応終了後、減圧下でTHFを留去した。得られた残渣をジエチルエーテル2000mLに溶解させ、2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄した後、脱塩水1000mLで2回洗浄した。
得られたジエチルエーテル層を脱水し、ジエチルエーテルを留去し、得られた残渣にヘキサン660mLを加え、1時間撹拌した後、濾過した。得られた固体を減圧下に60℃で乾燥して、2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン433gを白色固体として得た。収率53.5%。
上記白色固体の分析結果を以下に示す。
H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl、δ、ppm):
N−H 2.2(4H)、
C−H 7.0〜7.5(20H)、
31P−NMRスペクトル(121MHz、CDCl、δ、ppm):
P−(OPh) 10.0〜11.5(2P)、
P−(NH 18.5〜20.5(1P)、
LC/MS(positive−ESI) m/z:540(M+H)、
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析
融解温度:107℃、
5%重量減少温度:344℃。
参考例5
(アミノペンタフェノキシシクロトリホスファゼンの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
ナトリウムフェノキシド784g(6.75モル)にTHF3000mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、得られた反応混合物からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物892gを得た。この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、モノクロロペンタフェノキシシクロトリホスファゼンとジクロロテトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物891gとトルエン350mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア131g(7.72モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、トルエン層を脱塩水で洗浄した。
上記トルエン層を減圧濃縮し、黄褐色粘稠物812gを得た。この粘稠物123gを採り、酢酸エチルとヘキサンを溶離液として、シリカゲルを充填したカラムで精製した。目的物を含むフラクションを減圧濃縮後、室温まで冷却し、白色固体43.2gを得た。
上記白色固体の分析結果を以下に示す。
H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl、δ、ppm):
N−H:2.6(2H)、
C−H:6.8〜7.5(25H)、
31P−NMRスペクトル(121MHz、CDCl、δ、ppm):
P−(OPh):9.3〜10.1(2P)、
P−(NH)(OPh):18.4〜19.8(1P)、
LC/MS(positive−ESI)m/z:617(M+H)、
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:76℃、
5%重量減少温度:315℃。
以上の分析結果から、上記白色固体はアミノペンタフェノキシシクロトリホスファゼンであることを確認した。収率30.7%、HPLC純度99.3%(面積百分率)。
B.難燃加工剤の製造
実施例1
(難燃加工剤A1の製造)
2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.477μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤A1を得た。
実施例2
(難燃加工剤B1の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.542μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B1を得た。
実施例3
(難燃加工剤B2の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのナトリウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.500μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B2を得た。
実施例4
(難燃加工剤B3の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド15モル付加物のスルホ琥珀酸エステルのナトリウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.569μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B3を得た。
実施例5
(難燃加工剤B4−1の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド16モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.833μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B4−1を得た。
実施例6
(難燃加工剤B4−2の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド25モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.088μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B4−2を得た。
実施例7
(難燃加工剤B5−1の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド13モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.823μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−1を得た。
実施例8
(難燃加工剤B5−2の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド20モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.771μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−2を得た。
実施例9
(難燃加工剤B5−3の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド50モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.167μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−3を得た。
実施例10
(難燃加工剤B6の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、ジスチレン化メチルフェノールエチレンオキサイド14モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.430μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B6を得た。
実施例11
(難燃加工剤B7の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリベンジル化フェノールエチレンオキサイド15モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.914μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B7を得た。
実施例12
(難燃加工剤B8の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、クミル化フェノールエチレンオキサイド11モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.500μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B8を得た。
実施例13
(難燃加工剤B9の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.575μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B9を得た。
実施例14
(難燃加工剤B10の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.564μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B10を得た。
実施例15
(難燃加工剤B11の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.615μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B11を得た。
実施例16
(難燃加工剤B12の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、ポリオキシエチレン(15)トリデシルエーテルリン酸エステル5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.350μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B12を得た。
実施例17
(難燃加工剤B13の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.497μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B13を得た。
実施例18
(難燃加工剤B14の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、ポリオキシエチレン(8)ステアリルアミン5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.791μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B14を得た。
実施例19
(難燃加工剤C1の製造)
2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン80重量部、2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン20重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.533μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤C1を得た。
実施例20
(難燃加工剤D1の製造)
2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン50重量部、2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン50重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.598μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤D1を得た。
実施例21
(難燃加工剤E1の製造)
2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン10重量部、2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン90重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.734μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤E1を得た。
実施例22
(難燃加工剤B1B5−2の製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩2.5重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド20モル付加物2.5重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.715μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B1B5−2を得た。
実施例23
(難燃加工剤B5−1Aの製造)
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部及びジスチレン化フェノールエチレンオキサイド13モル付加物5.0重量部をイソプロピルアルコール130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.851μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、イソプロピルアルコールの量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−1Aを得た。
比較例1
(難燃加工剤Fの製造)
リン酸グアニジン47重量部を水53重量部に溶解させて、比較例による難燃加工剤Fを得た。
比較例2
(難燃加工剤Gの製造)
アニリノジフェニルホスフェート100重量部、ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム6.1重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記リン酸アミドを平均粒子径0.526μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が40重量%になるように、水の量を調整して、比較例による難燃加工剤Gを得た。
比較例3
(難燃加工剤Hの製造)
テトラ(2,6−ジメチルフェニル)−m−フェニレンホスフェートの結晶性粉末100重量部、オクチルフェノールのエチレンオキサイド10モル付加物8.8重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合し、ホモミキサーを用いて6000rpmにて3時間以上粉砕処理し、上記ホスフェートを平均粒径50μm以下とした処理液を得た。
次に、この処理液をこれと同じ容積の直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、上記ホスフェートを平均粒子径0.996μmとなるまで粉砕処理した後、105℃の温度で40分間乾燥したときの不揮発分濃度が40重量%になるように水の量を調整して、比較例による難燃加工剤Hを得た。
比較例4
(難燃加工剤Iの製造)
ヘキサアミノシクロトリホスファゼン20重量部を水80重量部に溶解させて、比較例による難燃加工剤Iを得た。
比較例5
(難燃加工剤Jの製造)
2,2,4−トリアミノ−4,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.420μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、比較例による難燃加工剤Jを得た。
比較例6
(難燃加工剤Kの製造)
2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.432μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、比較例による難燃加工剤Kを得た。
比較例7
(難燃加工剤Lの製造)
アミノペンタフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩10.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.620μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、比較例による難燃加工剤Lを得た。
比較例8
(難燃加工剤Mの製造)
ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド15モル付加物のスルホ琥珀酸エステルのナトリウム塩10.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.642μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が40重量%になるように、水の量を調整して、比較例による難燃加工剤Mを得た。
比較例9
(難燃加工剤Nの製造)
2,4,6−トリフェノキシ−2,4,6−トリメトキシシクロトリホスファゼン100重量部に対し、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩12.5重量部を加え、これに熱水137.5重量部を攪拌しながら加え、乳化分散させた後、冷却して、比較例による乳白色の難燃加工剤Nを得た。難燃加工剤Nの平均粒子径は0.251μmであった。
C.ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工
(1)被処理布帛の準備
ポリエステルニット(目付け重量200g/m2)を分散染料Dianix Black AM−SLR(DyStar社製)4%owfにて130℃で30分間、浴中染色処理した後、常法にて還元洗浄し、乾燥して、黒色に染色したポリエステルニットを得た。実施例25を含むそれ以降の実施例及び比較例においては、上記黒色に染色したポリエステルニットを被処理布帛として難燃加工した。
(2)浴中染色同時難燃処理
実施例24
上記ポリエステルニットの染色工程において、上記ポリエステルニットに対して、本発明による難燃加工剤E1を11%owf及び分散染料Dianix Black AM−SLR(DyStar社製)4%owfにて130℃で30分間、染色同時難燃処理した後、常法にて還元洗浄し、乾燥して、黒色に染色した難燃加工ポリエステル布帛を得た。
上述した浴中同時難燃処理における難燃剤付着量は、難燃加工前後のポリエステル布帛の増加重量に難燃加工剤を入れずに染色処理したポリエステル布帛の加工前後の減少重量の合計から計算して求めた。
このようにして得た難燃加工ポリエステル布帛について、摩擦堅牢度、際付き、チョークマーク、ブリードアウト、耐光堅牢度及び湿熱の評価試験を行った。これら性能試験の結果を表1に示す。
難燃性能については、難燃加工ポリエステル布帛にシリコーン樹脂1.0重量%をパディング法にて付着させた後、130℃で5分間乾燥し、150℃で1分間熱処理して、難燃評価用布帛を得、これを燃焼試験に供した。上記シリコーン樹脂は難燃性を阻害する物質として添加した。
(3)パディング加工
実施例25及び比較例10
本発明による難燃加工剤として、A1、B1、B2、B3、B4−1、B4−2、B5−1、B5−2,B5−3、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、C1、D1、E1、B1B5−2、B5−1Aと、比較例10として、ブランク、難燃加工剤F、G、H、I、J、K、L、M、N又はこれらを水で希釈した加工液を用いて、それぞれ上記被処理布帛を難燃加工して、本発明による難燃加工ポリエステル布帛と比較例としてのポリエステル布帛を得た。これらの難燃加工したポリエステル布帛について、性能試験の結果を表1〜表5に示す。
また、難燃加工剤A1とB1をそれぞれ用いてポリエステル布帛を難燃加工したが、付着量が少ないために、ポリエステル布帛に満足すべき難燃性を付与することができなかった例を表4中の比較例10として示す。
上述した難燃加工剤による難燃加工において、難燃加工前後のポリエステル布帛の重量差と溶媒で希釈された難燃加工剤の濃度及び難燃加工剤中の難燃剤含有量より難燃剤付着量を計算した。
実施例25及び比較例10において難燃加工したポリエステル布帛の性能試験は以下のようにして行った。即ち、本発明による難燃加工剤を用いて上記被処理布帛をパディング法にて難燃加工し、100℃で5分間乾燥し、130℃で1分間熱処理した。また、難燃加工剤A1による難燃加工ポリエステル布帛のみ、210℃で1分間熱処理した。このようにして得た難燃加工ポリエステル布帛を洗浄することなく、そのままで、摩擦堅牢度、際付き、チョークマーク、ブリードアウト、耐光堅牢度及び湿熱試験の評価を行った。
難燃性能については、シリコーン樹脂1.0重量%と難燃加工剤を含む単一の浴を用いて、被処理布帛にパディング法にて難燃剤を付着させた後、130℃で5分間乾燥し、150℃で1分間熱処理して、難燃加工した布帛を得、これを燃焼試験に供した。また、難燃加工剤A1による難燃加工ポリエステル布帛のみ、210℃で1分間熱処理した。上記シリコーン樹脂は難燃性を阻害する物質として添加した。
実施例26
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部及びポリエステル系ウレタン樹脂エマルション25重量部(不揮発分50%、ガラス転移温度(Tg)は−42℃)を水105重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.526μmの微粒子として分散させた。
得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が36.5重量%になるように、水の量を調整して得られた難燃加工剤92重量部にパラフィンワックスと酸化パラフィンからなるワックスエマルション(不揮発分26%、パラフィンワックスと酸化パラフィンの含有量21%)を8重量部混合して、本発明による難燃加工剤Oを得た。この難燃加工剤Oの不揮発分は35.7重量%であった。
実施例27
実施例26で得られた難燃加工剤Oを用いて、前記被処理布帛を実施例25におけると同様に難燃加工して、本発明による難燃加工ポリエステル布帛を得た。この難燃加工したポリエステル布帛について実施例25におけると同様に性能試験を行った。その結果を表4に示す。
D.難燃性能試験
(摩擦堅牢度)
難燃加工した被処理布帛をJIS L 0849の摩擦に対する染色堅牢度試験方法によって試験を行い、JIS L 0849の8.1.2に記載の摩擦試験機II形(学振形)を使用し、汚染用グレースケール(JIS L 0805)で級数を判定した。5級が最も摩擦堅牢度がよく、3級以上を良好とした。
(際付き性)
ウレタンフォームの上に難燃加工した被処理布帛を置き、表面に5mLの純水、沸水、及び塩化カルシウム3%水溶液をそれぞれ滴下し、24時間後に試料の表面を観察し、輪染みや際付き等がみられないものを良好とした。
評価基準
○:輪染みや際付きがみられない。
×:輪染みや際付きがみられる。
(チョークマーク)
難燃加工した被処理布帛の表面を爪で軽くこすり、傷による白化の程度を確認した。
評価基準
○:白化、粉落ちがみられない。
×:白化、粉落ちがみられる。
(ブリードアウト)
難燃加工した被処理布帛の表面にポリエステルタフタ、濾紙及び分銅800gを順に載せ、荷重800g/15.9cm2、100℃で2時間の雰囲気中で処理し、ポリエステルタフタへの移染を汚染用グレースケール(JIS L 0805)で評価した。5級が最も汚染が少なく、3級以上を良好とした。
(耐光堅牢度)
JIS L 0842の紫外線カーボンアーク灯光に対する染色堅牢度試験方法によって試験を行った。フェードメーター(スガ試験機(株)製)を用い、難燃加工した被処理布帛に83℃にて144時間カーボンアーク灯光を照射した。次いで、変退色用グレースケール(JIS L 0804)により級数を判定した。5級が最も堅牢度が良く、3級以上を良好とした。
(湿熱試験)
難燃加工した被処理布帛を70℃、95%RHの雰囲気中に1か月間放置した後、変色の有無を確認した。
評価基準
○:変色がみられない。
×:変色がみられる。
(難燃性能試験)
FMVSS(米国連邦自動車安全基準)No.302の自動車内装材燃焼試験規格に基づいて水平燃焼速度を測定し、燃焼速度101mm/分未満を良好とした。
評価基準
◎:難燃性、自己消火性
○:1〜61mm/分未満
△:61〜101mm/分未満
×:101mm/分以上
上記難燃性能の試験結果を表1から表5に示す。
Figure 0006818327
Figure 0006818327
Figure 0006818327
Figure 0006818327
Figure 0006818327
本発明による難燃加工剤を用いて難燃加工したポリエステル布帛は、表1から表4の実施例24及び実施例25に示すように、難燃性、摩擦堅牢度及び耐光堅牢度にすぐれており、難燃加工した繊維品の洗浄なしに、際付きやチョークマークが生じず、ブリードアウトも抑制されている。
難燃加工前の被処理布帛自体についての試験結果は、ブランクとして表4の比較例10に示す。このブランクと比較しても、特に、表1の難燃加工剤A1及びB1は、少量の難燃剤の使用にて、際付き性と摩擦堅牢度において遜色がない。
実施例27においては、難燃加工したポリエステル布帛の摩擦堅牢度の向上を目的として、ポリエステル系ウレタンエマルションを含み、更に、縫製性の向上を目的として、パラフィンワックスエマルションを含む難燃加工剤を用いて、被処理布帛を難燃加工して、得られたポリエステル布帛について性能評価を行った。
その結果、得られた難燃加工ポリエステル布帛は、実施例24及び実施例25におけると同様に、難燃性、摩擦堅牢度及び耐光堅牢度にすぐれており、難燃加工した繊維品の洗浄なしに、際付きやチョークマークが生じず、ブリードアウトも抑制されていた。
比較例1〜3は、難燃剤として、リン酸グアニジン、アニリノジフェニルホスフェート及びテトラ(2,6−ジメチルフェニル)−m−フェニレンホスフェートの結晶性粉末を用いて、それぞれ難燃加工剤F、G及びHを得たものであるが、表4から表5の比較例10に示すように、いずれの難燃加工剤を用いた場合も、難燃加工したポリエステル布帛には際付きがみられた。また、難燃加工剤G及びHについては、表5の比較例10に示すように、摩擦堅牢度と耐光堅牢度のいずれにおいても劣っており、ブリードアウトも顕著であった。
比較例4は、水溶性のヘキサアミノシクロトリホスファゼンを水に溶解させて、難燃加工剤Iを得たものであるが、表5中、比較例10に示すように、際付きがみられた。
比較例5及び6は、1個のリン原子に2個のアミノ基が結合しているgeminal−ジアミノ基を有する2,2,4−トリアミノ−4,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを用いて、それぞれ難燃加工剤JとKを得たものである。これらの難燃加工剤は、難燃剤が有する上記geminal−ジアミノ基が湿熱環境下において容易に加水分解するために、得られた難燃加工ポリエステル布帛には、湿熱試験において顕著な変色がみられた。
比較例7及び8は、難燃剤として、アミノペンタフェノキシシクロトリホスファゼンとヘキサフェノキシシクロトリホスファゼンをそれぞれ水に分散させて、難燃加工剤LとMをそれぞれ得たものである。これらの難燃加工剤を用いて難燃加工したポリエステル布帛には界面活性剤が多く含まれるため、表5中、比較例10に示すように、際付きがみられたほか、摩擦堅牢度に劣るものであった。
比較例9は、2,4,6−トリフェノキシ−2,4,6−トリメトキシシクロトリホスファゼンを乳化分散して、難燃加工剤Nを得たものであるが、表5中、比較例10に示すように、際付きが見られたほか、摩擦堅牢度やブリードアウト性に劣るものであった。
前述したように、表4の比較例10中の難燃加工剤A1及びB1は、ポリエステル布帛への難燃剤付着量が少なすぎた結果、得られた難燃加工ポリエステル布帛の難燃性能は不十分なものであった。

Claims (7)

  1. 下記構造式(1)
    Figure 0006818327
    で表される2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン及び下記構造式(2)
    Figure 0006818327
    で表される2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンから選ばれる少なくとも1種のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンからなるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃剤。
  2. 請求項1に記載の前記難燃剤を界面活性剤の存在下に溶媒に分散させてなるポリエステル系合成繊維構造物のための難燃加工剤。
  3. 前記溶媒が水である請求項2に記載のポリエステル系合成繊維構造物のための難燃加工剤。
  4. 請求項1に記載の前記難燃剤によって難燃加工された難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物。
  5. 請求項2又は3に記載の前記難燃加工剤によってポリエステル系合成繊維構造物を難燃加工することを特徴とするポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法。
  6. 請求項2又は3に記載の前記難燃加工剤をポリエステル系合成繊維構造物に付着させ、乾燥させた後、100〜220℃の温度で熱処理することを特徴とするポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工方法。
  7. 請求項5又は6に記載の難燃加工方法によって難燃加工された難燃加工ポリエステル系合成繊維構造物。
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