JPH07150049A - 難燃性加工剤、難燃性ポリエステル繊維および難燃性ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

難燃性加工剤、難燃性ポリエステル繊維および難燃性ポリエステル繊維の製造方法

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JPH07150049A
JPH07150049A JP30295493A JP30295493A JPH07150049A JP H07150049 A JPH07150049 A JP H07150049A JP 30295493 A JP30295493 A JP 30295493A JP 30295493 A JP30295493 A JP 30295493A JP H07150049 A JPH07150049 A JP H07150049A
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flame
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polyester fiber
retardant
compound
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JP30295493A
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Masami Ikeyama
正己 池山
Jiro Amano
慈朗 天野
Shigeru Okita
茂 沖田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】下記式で表される化合物において、R1 がアリ
ール基またはアルキル基のいずれかであり、R2 および
4 が水素、アリール基、またはアルキル基のいずれか
であり、R3 がアリーレン基、またはアルキレン基のい
ずれかであり、かつnが1〜6であるポリホスホン酸ア
ミド系化合物が水に微分散されてなることを特徴とする
難燃性加工剤。また、前記難燃性加工剤を用いてなる難
燃性ポリエステル繊維およびその製造方法。 【化1】 【効果】本発明の難燃性加工剤は水不溶性で繊維との親
和性が大きく、常温で固体であるため、従来のリン系難
燃剤のように可塑剤的性質もなく、染料のブリードアウ
トを誘発する心配がない。また染色と難燃化を同時加工
できる利点を有し、得られる製品は良好な染色性と共
に、燃焼時に有害ガスの発生のない優れた難燃性を有す
る繊維を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリホスホン酸アミド
系化合物からなり、繊維、特に合成繊維用難燃性加工
剤、およびそれを用いてなるポリエステル繊維とその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に合成繊維およびその編織物は自己
消火性がなく、それが原因で火災を生じ尊い人命を失う
ことも少なくない。そのため繊維を不燃性、難燃性にす
る研究が数多く行なわれている。合成繊維の難燃化に
は、リン、ハロゲン、アンチモンなどの元素を含有する
化合物が好ましく利用されている。また、合成繊維の難
燃化方法としては、原糸の製造段階で難燃性を付与する
原糸難燃法と、編織物の状態で難燃性を付与する後加工
難燃法がある。
【0003】特公昭52−41787号公報でポリホス
ホン酸アミド系化合物の原糸難燃法が提案されている
が、強力低下などの糸物性の低下は避けられない。
【0004】一方、後加工で難燃性を付与するための加
工剤としては現在ハロゲン系化合物が最も主体的に用い
られているが燃焼した場合に有害ガスが発生しやすく、
近年世界的な環境問題が重視されている中で、技術改良
の機運が高まりつつある。
【0005】また、良好な難燃性能を有しかつ有害ガス
発生のないリン系化合物も種々検討されているが実質的
に後加工用としては使用されていないのが現状である。
その理由としては、化合物が水溶性であり繊維との親和
性に乏しい、可塑剤的性質を有し、染料のブリードアウ
トを誘発する傾向があること、また従来のリン系難燃性
化合物は化合物中のリン含有量が少ないため多量に付与
する必要があるなどの問題点を有していたためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、後加工
用としてのリン系難燃性加工剤の上記欠点を解決するこ
とを目的に鋭意検討した結果、水不溶性でかつ常温で固
体であるリン系化合物を用いることが上記欠点の解決に
有効であることを究明し本発明に到達した。
【0007】さらに本発明者らは、後加工用としてのリ
ン系難燃性加工剤の上記欠点を解決することを目的に鋭
意検討した結果、水不溶性でかつ常温で固体であるポリ
ホスホン酸アミド化合物が100℃以上の湿熱状態で被
膜化できることを究明し本発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】第一の本発明は、上記目
的を達成するため次の構成を有する。
【0009】すなわち、下記式 (I)で表される化合物に
おいて、R1 がアリール基またはアルキル基のいずれか
であり、R2 およびR4 が水素、アリール基、またはア
ルキル基のいずれかであり、R3 がアリーレン基、また
はアルキレン基のいずれかであり、かつnが1〜6であ
るポリホスホン酸アミド系化合物が水に微分散されてな
ることを特徴とする難燃性加工剤である。
【0010】
【化5】 また、第二の本発明は、上記目的を達成するため次の構
成を有する。
【0011】すなわち、ポリエステル繊維が下記式 (I)
【化6】 (式中、R1 はアリール基またはアルキル基、R2 は水
素、アリール基、またはアルキル基、R3 はアリーレン
基、またはアルキレン基、R4 は水素、アリール基、ま
たはアルキル基、n=1〜6)で表されるポリホスホン
酸アミド系化合物で被覆されていることを特徴とする難
燃性ポリエステル繊維である。
【0012】さらに、第三の本発明は、上記目的を達成
するため次の構成を有する。
【0013】すなわち、平均粒子径10μm以下である
下記式(I) で表されるポリホスホン酸アミド系化合物が
分散されてなる分散液中で、ポリエステル繊維を100
℃以上の温度で加熱することを特徴とする難燃性ポリエ
ステル繊維の製造方法である。
【0014】
【化7】 (式中、R1 はアリール基またはアルキル基、R2 は水
素、アリール基、またはアルキル基、R3 はアリーレン
基、またはアルキレン基、R4 は水素、アリール基、ま
たはアルキル基、n=1〜6)さらにまた、第四の本発
明は、上記目的を達成するため次の構成を有する。
【0015】すなわち、平均粒子径10μm以下である
下記式(I) で表されるポリホスホン酸アミド系化合物が
分散されてなる分散液にポリエステル繊維を浸漬し、脱
液後100℃以上の温度で湿熱処理することを特徴とす
る難燃性ポリエステル繊維の製造方法である。
【0016】
【化8】 (式中、R1 はアリール基またはアルキル基、R2 は水
素、アリール基、またはアルキル基、R3 はアリーレン
基、またはアルキレン基、R4 は水素、アリール基、ま
たはアルキル基、n=1〜6)以下、本発明を詳細に説
明する。
【0017】第一の本発明は、水不溶性でかつ常温では
固体状で存在するポリホスホン酸アミド系化合物を採用
することにより、従来の後加工用リン系難燃剤の欠点を
克服したことに大きな特徴を有する。
【0018】ポリホスホン酸アミド系化合物の実際の使
用に際しては水に微分散させて用いることが重要であ
る。上記化合物を水に微分散させる方法は、特に限定さ
れるものではないが次の方法が好ましく用いられる。
【0019】ポリホスホン酸アミド系化合物、分散剤、
および水を混合、攪拌し分散する。この分散物をガラス
ビーズ粉砕機で粉砕、分散操作を行なうのが一般的であ
るがこの限りではない。ここで分散剤を用いる目的は、
水に微分散させた難燃剤がすぐに沈殿することを防ぐた
めである。
【0020】具体的な例としては、ポリホスホン酸アミ
ド系化合物100重量部に対して分散剤を1〜50重量
部(好ましくは1〜20重量部)、および水を20〜8
0重量部(好ましくは40〜60重量部)を混合、攪拌
し流動性が発現するまで分散する。この分散物をガラス
ビーズ粉砕機で4時間以上好ましくは16時間以上粉
砕、分散操作を行なう。粒子の大きさは粉砕時間とビー
ズの大きさや量により所望のものが得られる。
【0021】本発明で用いる分散剤としては、リグニン
スルホン酸塩、芳香族スルホン酸、長鎖状のアルキル基
によって置換されている飽和脂肪族カルボン酸、芳香族
スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物、アルキ
ルフェノール/エチレンオキシ付加物、脂肪酸または脂
肪族アミン/または脂肪族アルコール/エチレンオキシ
付加物、硫酸化され置換されているベンズイミダゾー
ル、スルホン化されている脂肪族アミド等が挙げられ
る。
【0022】粉砕後、分散液の放置分散安定性を改良す
るために保護コロイドを適量添加混合することも差しつ
かえない。この場合保護コロイドとしては、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチ
ン、酸カゼイン、でんぷんのり、アクリル酸系モノマー
のポリマー例えばポリアクリル酸、アクリル酸エチルま
たはメタクリル酸メチルのコポリマー、天然ガム例えば
アルギン酸ソーダ、ローカストビーンガム、グアーガム
などが挙げられる。
【0023】また、水に微分散させるための他の方法と
して、ポリホスホン酸アミド系化合物を溶解し得る溶媒
を用いて溶解した後、攪拌しながら水と混合してエマル
ジョン化しても差しつかえない。
【0024】本発明によるポリホスホン酸アミド系化合
物は、繊維表面を被膜化することにより難燃性を付与す
るものであり、粉砕したポリホスホン酸アミド系化合物
の粒子径としては小さいほど有効であり10ミクロン以
下、好ましく5ミクロン以下、更に好ましくは1ミクロ
ン以下にすることが繊維への均一付与の面から好まし
い。粒子径が10ミクロンを越える場合では被膜が不均
一になりやすくまた単繊維同士が接着され風合いが粗硬
になるなど好ましくない。更に分散液の安定性からも粒
子の大きさは細かい方が好ましい。
【0025】この様にして得られた難燃性加工剤におい
て、ポリホスホン酸アミド系化合物の配合量は通常、難
燃性加工剤全量の少なくとも40重量%以上、好ましく
は50重量%以上がよく、使用に当たっては必要に応じ
て希釈して用いるのが好ましい。
【0026】本発明における難燃性加工剤を繊維に付与
する方法としては、例えば染色浴中に該難燃性加工剤を
投入し、染色と難燃加工を同時に行なう方法がある。そ
の場合、ポリホスホン酸アミド系化合物中のリン元素が
繊維に対して0.5重量%以上付着するように投入量を
調整する。その他通常の染色に使用される染料、pH調
整剤、均染剤などを適宜添加する。浴比は1:5〜1:
100(好ましくは1:5〜1:50)で、80℃以上
(好ましくは100℃〜140℃、更に好ましくは12
0℃〜135℃)の温度で、20〜60分浴中処理す
る。処理布は通常の洗浄(還元洗浄を含む)処理し、乾
燥(必要により熱処理)する。
【0027】また、本発明における難燃性加工剤を繊維
に付与する別の方法として、難燃性加工剤の分散浴中に
加工布を浸漬/マングルで脱液した後、たとえば70℃
〜100℃で乾燥し、それを100℃以上たとえば10
0℃〜220℃(好ましくは150℃〜200℃)で1
0秒〜180秒(好ましくは20秒〜60秒)の加熱処
理、たとえば湿熱処理を行なうこともできる。
【0028】リン元素付着量が0.5重量%未満となる
ポリホスホン酸アミド系化合物を繊維に付着せしめた場
合は十分な難燃性ポリエステルが得られない。また、付
着量が多すぎると、難燃性能は十分得られるが風合いが
粗硬になる傾向にある。
【0029】本発明でいう繊維としてはポリエステル
系、ポリアミド系、ポリアクリル系などの熱可塑性合成
繊維に対して特に有効である。中でも特にポリエステル
系繊維に対して好適な難燃加工剤である。
【0030】次に、第二の本発明は、水不溶性でかつ常
温では固体状で存在し、融点が180℃以上好ましくは
200℃以上であるポリホスホン酸アミド系化合物をポ
リエステル繊維に被覆化したことに大きな特徴を有す
る。
【0031】従来の水溶性リン系難燃剤での処理に比
べ、上記化合物を被覆化することによる主な特徴とし
て、第一に難燃剤による染着座席の阻害がないため染料
の染色性への悪影響がない点、第二に洗濯による染料ブ
リードがなく処理布の堅牢性が高い点、第三に水不溶性
でポリエステルへの親和性が高いことから染色と同時の
浴中処理が可能であり、ポリエステル繊維に効率よく付
与できる点、第四に繊維上への付与量の調整と均一被膜
を形成することにより炭化型の難燃性ポリエステルを得
ることができる点などが挙げられる。
【0032】本発明による化合物で難燃性を得るための
付与量としては、化合物中のリン元素付与量により異な
り、例えばJIS−L1091D法(接炎試験)に合格
するためには0.5重量%以上の量を付与するのが好ま
しい。0.5重量%未満では上記試験法に合格する十分
な難燃性能が得られにくい傾向がある。また1.0重量
%以上の付与量では炭化型の難燃性能を示すようになる
のでさらに好ましい。しかし付与量があまりに多すぎる
と難燃性能は変わらないが、風合いが硬くなる傾向にあ
る。
【0033】本発明による被覆とは、布帛を構成する単
繊維それぞれが被覆されていてもよいし、また数本の単
繊維集合体として被覆されていてもかまわない。またこ
れら被覆が混合された形態であってもよい。
【0034】本発明によるポリホスホン酸アミド系化合
物の実際の使用に際しては、水に微分散させて用いるこ
とが好ましい。この化合物を水に微分散させる方法は特
に限定されるものではないが、次の方法が好ましく用い
られる。
【0035】ポリホスホン酸アミド系化合物、分散剤、
および水を、混合、攪拌し分散する。この分散物をガラ
スビーズ粉砕機で粉砕、分散操作を行なうのが一般的で
ある。また、水に微分散させるための他の方法として、
ポリホスホン酸アミド系化合物を溶解し得る溶媒を用い
て溶解した後、攪拌しながら水と混合してエマルジョン
化して用いても差しつかえない。
【0036】第三の本発明に係る、ポリホスホン酸アミ
ド系化合物をポリエステル繊維に被覆する第一の方法
は、平均粒子径10μm以下に微分散させた該化合物の
分散液中、100℃以上の温度でポリエステル繊維を浴
中処理する方法である。染色浴中に該化合物を投入し、
染色と難燃加工を同時に行なうこともできる。その場
合、ポリホスホン酸アミド系化合物中のリン元素が、繊
維に対して0.5重量%以上付着するように投入量を調
整することが好ましい。その他通常の染色に使用される
染料、pH調整剤、均染剤などを適宜添加する。浴比は
1:5〜1:100好ましくは1:5〜1:50で、1
00℃以上、好ましくは100℃〜140℃、更に好ま
しくは120℃〜135℃の温度で、20分〜60分浴
中処理する。処理布は、通常の洗浄(還元洗浄を含む)
処理し、乾燥(必要により熱処理)する。
【0037】また第四の本発明に係る、上記化合物をポ
リエステル繊維に被覆する別の方法は、上記化合物の分
散浴中にポリエステル繊維を浸漬し、マングル等で脱液
した後、70℃〜100℃で乾燥し、それを100℃以
上、たとえば100℃〜180℃好ましくは120℃〜
150℃で、10秒〜180秒、好ましくは20秒〜6
0秒の湿熱処理を行なう方法である。
【0038】本発明に用いる粉砕したポリホスホン酸ア
ミド系化合物の粒子径としては、小さいほど有効であり
10μm以下、好ましく5μm以下、更に好ましくは1
μm以下にすることが繊維への均一付与の面から好まし
い。被膜が不均一になりやすく、また単繊維同士が接着
されるようになるので風合いが粗硬になるなどの観点か
ら、粒子径が10μm以下が好ましい。また分散液の安
定性からも粒子の大きさは、細かい方が好ましい。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0040】[実施例1]難燃性有効成分としてm−キ
シリレンジアミン型ポリホスホン酸アミド化合物100
重量部に対し、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒ
ドとの縮合生成物からなる分散剤20重量部と水60重
量部を混合、攪拌し分散液を作成した。
【0041】分散液をガラスビーズ粉砕機を用いて18
時間粉砕処理を行なった。この場合の平均粒子径を粒度
分布測定装置で測定したところ平均粒径が0.5ミクロ
ンであった。また粉砕時間を2時間としたものは平均粒
子径が25ミクロンであった。
【0042】粉砕終了後10%カルボキシメチルセルロ
ース溶液(エーテル化度=0.85%)20重量部を分
散液に加え、完全に混合した。
【0043】この様にして得られた難燃性加工剤を、通
常のポリエステル織物を染色する際、繊維重量に対する
m−キシリレンジアミン型ポリホスホン酸アミドの濃度
を4%〜25%の範囲で添加量を変えて調液し、室温か
ら80℃までを1℃/分、さらに130℃までを2℃/
分の速度で昇温し、130℃の温度で45分間染色し
た。次に40℃まで3℃/分で降温する条件で染色同時
浴中処理を行なった後、通常の方法で還元洗浄を行な
い、次いで、乾燥して表1に示すリン元素量が付着した
ポリエステル織物を得た。
【0044】得られた難燃性ポリエステル織物をJIS
−L1091のD法(接炎試験)により難燃性を評価し
た。
【0045】平均粒子径を0.5ミクロンに調整したm
−キシリレンジアミン型ポリホスホン酸アミド化合物中
のリン元素付着量が0.5重量%未満のポリエステル織
物は、難燃性能が得られなかったが、リン元素付着量が
0.5重量%以上のものは難燃性能、染色性および風合
い共に良好な結果が得られた。
【0046】また、リン元素が2.4重量%付着したポ
リエステル織物は、難燃性能は十分であったが風合いが
硬い仕上がりであった。
【0047】また平均粒子径が25ミクロンのm−キシ
リレンジアミン型ポリホスホン酸アミド化合物ではリン
元素付着量が0.5重量%以上で難燃性能は得られるが
測定場所により燃焼ムラが見られ、色相もややくすみ、
風合いも硬い仕上がりであった。
【0048】
【表1】 [実施例2]実施例1で得られた難燃性加工剤を用い
て、m−キシリレンジアミン型ポリホスホン酸アミドの
処理浴濃度を7%と20%に調整し、染色されたポリエ
ステル織物に絞り率約50%でそれぞれパディング法に
より表2に示す付着量となるように付与し、100℃で
乾燥した後、180℃×30秒の湿熱処理(スチーム処
理)を行なった。難燃性評価は実施例1と同様の方法で
行ない結果を表2に同時に示した。
【0049】
【表2】 [比較例1]m−キシリレンジアミン型ポリホスホン酸
アミドの代りにリン系難燃剤としてホスフォネート型ポ
リオール系化合物(Pyrovate SVC Ciba-Geigy社製)2
0%濃度の水溶液を用いる以外は、実施例1と同様の染
色温度・時間条件で染色同時処理を行なった。結果を表
1に示したが難燃剤が水溶性であるため繊維への付着は
見られなかった。また、難燃性能も得られなかった。
【0050】[比較例2]比較例1と同じ難燃剤を用い
て、処理浴濃度を3%〜25%の範囲で変化させ、絞り
率約50%に調整し実施例2と同様の処理を表2に示す
リン元素付着量で行なった。処理直後の難燃性能は得ら
れるが洗濯により難燃剤が脱落したと見られ耐久性のな
いものであった。結果を表2に併記した。
【0051】
【発明の効果】本発明の難燃性加工剤は水不溶性で繊維
との親和性が大きく、常温で固体であるため、従来のリ
ン系難燃剤のように可塑剤的性質もなく、染料のブリー
ドアウトを誘発する心配がない。また染色と難燃化を同
時加工できる利点を有し、得られる製品は良好な染色性
と共に、燃焼時に有害ガスの発生のない優れた難燃性能
が得られる。
【0052】また本発明の難燃性ポリエステル繊維は、
水不溶性で常温で固体であるポリホスホン酸アミド系化
合物を表層に被覆しているため、染料のブリードアウト
がなく高い堅牢性を有する。そして、染色と難燃化を同
時加工できる利点を有し、得られる製品は良好な染色性
と共に燃焼時に有害ガスの発生のない優れた難燃性能が
得られるものである。
【0053】さらに、従来のリン系難燃剤では不可能で
あった炭化型難燃性能も得ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式 (I)で表される化合物において、R
    1 がアリール基またはアルキル基のいずれかであり、R
    2 およびR4 が水素、アリール基、またはアルキル基の
    いずれかであり、R3 がアリーレン基、またはアルキレ
    ン基のいずれかであり、かつnが1〜6であるポリホス
    ホン酸アミド系化合物が水に微分散されてなることを特
    徴とする難燃性加工剤。 【化1】
  2. 【請求項2】ポリエステル繊維が下記式 (I) 【化2】 (式中、R1 はアリール基またはアルキル基、 R2 は水素、アリール基、またはアルキル基、 R3 はアリーレン基、またはアルキレン基、 R4 は水素、アリール基、またはアルキル基、 n=1〜6)で表されるポリホスホン酸アミド系化合物
    で被覆されていることを特徴とする難燃性ポリエステル
    繊維。
  3. 【請求項3】平均粒子径10μm以下である下記式(I)
    で表されるポリホスホン酸アミド系化合物が分散されて
    なる分散液中で、ポリエステル繊維を100℃以上の温
    度で加熱することを特徴とする難燃性ポリエステル繊維
    の製造方法。 【化3】 (式中、R1 はアリール基またはアルキル基、 R2 は水素、アリール基、またはアルキル基、 R3 はアリーレン基、またはアルキレン基、 R4 は水素、アリール基、またはアルキル基、 n=1〜6)
  4. 【請求項4】平均粒子径10μm以下である下記式(I)
    で表されるポリホスホン酸アミド系化合物が分散されて
    なる分散液にポリエステル繊維を浸漬し、脱液後100
    ℃以上の温度で湿熱処理することを特徴とする難燃性ポ
    リエステル繊維の製造方法。 【化4】 (式中、R1 はアリール基またはアルキル基、 R2 は水素、アリール基、またはアルキル基、 R3 はアリーレン基、またはアルキレン基、 R4 は水素、アリール基、またはアルキル基、 n=1〜6)
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