JP3574304B2 - 車両後部エネルギ吸収構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両後部エネルギ吸収構造に関するものであり、より詳しくは、シャシフレームに影響を与えずに後部エネルギ吸収ボックスを取付け得るようにした車両後部エネルギ吸収構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの車両は、一般に、シャシフレームの上部に車体を搭載し、シャシフレームと車体との間をボルトなどで締結固定して一体化することによって構成されている。
【0003】
そして、上記シャシフレームは、主として前後方向へ延びる左右一対のシャシフレーム本体から成り、シャシフレーム本体には、エンジンや車輪などの走行機構が取付けられる。
【0004】
上記のような構造の車両には、前部や後部などにエネルギ吸収構造が各種設けられている。
【0005】
上記エネルギ吸収構造のうち、車両の後部に取付けられる車両後部エネルギ吸収構造について、以下、図6〜図9を用いて説明する。
【0006】
図6は車両の概略側面図であり、図6中、1は図示しないシャシフレームの上に搭載された車体、2は車体1の前部及び後部にそれぞれ取付けられたバンパ、3は車輪である。
【0007】
そして、図6の車両の後部におけるVII部分の内部は、図7に示すようになっており、図7中、4は車体1を構成するフロアパネル、5はフロアパネル4を補強するためのフロアリインフォースメント、6は車体1のリヤフロアメンバ、7はリヤメンバ、8はフロアパネル4の後端部とリヤメンバ7の上端部との間に取付けられたウェザストリップ、9は車体1のバックドア、10はバックドア9を構成するバックドアインナ、11はバックドア9を構成するバックドアアウタ、12は後側のバンパ2を支持するためのバンパアーム、13はバンパ2を補強するためのバンパリインフォースメント、14はバンパカバー、15はリブ、16はリヤフロアメンバ6とバンパアーム12との間を締結するボルト部、17はバンパアーム12とバンパ2との間を締結するボルト部、18は車体1の下部にあって前後方向へ延びるシャシフレームであり、車体1を構成するリヤフロアメンバ6にバンパアーム12を介してバンパ2が取付けられている。
【0008】
図7を上方から見ると、図8に示すようになっており、シャシフレーム18とバンパ2は切り離されている。
【0009】
そして、シャシフレーム18の後端部には、図9に示すように、ベースフランジ19が溶接固定されており、該ベースフランジ19に、ほぼ箱状をした後部エネルギ吸収ボックス20のフランジ部21を当接し、ベースフランジ19とフランジ部21との間をボルト22を用いて締結することによって、シャシフレーム18の後端部に後部エネルギ吸収ボックス20を取付け得るようにしている。
【0010】
掛る構成によれば、万一、後方から追突された時などに、後部エネルギ吸収ボックス20が変形することによって、衝突のエネルギを吸収させることが可能となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の車両後部エネルギ吸収構造には、以下のような問題があった。
【0012】
即ち、後部エネルギ吸収ボックス20は、シャシフレーム18の後端部に固定されたベースフランジ19に取付けるようになっているが、後部エネルギ吸収ボックス20は全車に標準装備されるようなものではなく、車両の仕様によって装備されたり、装備されなかったりするようなものであるので、全車のシャシフレーム18の後端部にベースフランジ19を取付けておき、仕様によって後部エネルギ吸収ボックス20を装備させたり装備させなかったりするようにすると、後部エネルギ吸収ボックス20を装備しない車のコストアップとなるという問題がある。
【0013】
一方、後部エネルギ吸収ボックス20を装備する車のシャシフレーム18の後端部にのみベースフランジ19を取付けるようにすると共に、後部エネルギ吸収ボックス20を装備しない車のシャシフレーム18の後端部にはベースフランジ19を取付けないようにするとすると、シャシフレーム18の種類が二種類に倍増されてしまうという問題がある。
【0014】
本発明は、上述の実情に鑑み、シャシフレームに影響を与えずに後部エネルギ吸収ボックスを取付け得るようにした車両後部エネルギ吸収構造を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車体(1)にバンパ(2)を取付けるバンパアーム(12)と、シャシフレーム(18)の後端部と対応する位置に配置され且つシャシフレーム当接面(24)を有する後部エネルギ吸収ボックス(23)とを備え、
前記後部エネルギ吸収ボックス(23)は、バンパアーム(12)におけるシャシフレーム(18)側のアーム(34)とバンパ取付部(35)との間に取付けられたことを特徴とする車両後部エネルギ吸収構造にかかるものである。
【0016】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0017】
万一、後方から追突された時などに、バンパ2が押されて、バンパアーム12に取付けた後部エネルギ吸収ボックス23のシャシフレーム当接面24がシャシフレーム18の後端部に当接されると、シャシフレーム18の後端部に当接された後部エネルギ吸収ボックス23が変形することによって、衝突のエネルギを吸収させることが可能となり、シャシフレーム18が損傷を受けることを防止させることが可能となる。
【0018】
又、後部エネルギ吸収ボックス23を、バンパアーム12に取付けるようにしているので、後部エネルギ吸収ボックス23を装備させる場合も、後部エネルギ吸収ボックス23を装備しない場合も、シャシフレーム18を共通化することが可能となり、しかも、小部品であるバンパアーム12にボルト孔を形成しておくだけで、後部エネルギ吸収ボックス23を装備する仕様と、後部エネルギ吸収ボックス23を装備しない仕様の別を作り出すことができるので、低いコストで後部エネルギ吸収ボックス23による仕様差を付けるようにすることが可能となる。更に、後部エネルギ吸収ボックス23をバンパアーム12におけるシャシフレーム18側のアーム34とバンパ取付部35との間に取付けるようにしているので、上記アーム34とバンパ取付部35との折れ部分40を補強させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例と共に説明する。
【0020】
図1〜図3は、本発明の第一の実施の形態である。
【0021】
車両の基本的な構造については、図6〜図8と同様であるため、同一の部分については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0022】
本発明では、後部エネルギ吸収ボックス23を、図2に示すように、バンパアーム12の、シャシフレーム18の後端部と対応する位置に取付けたところにその特徴がある。
【0023】
より詳細には、図3に示すように、先ず、中央にシャシフレーム当接面24とボックス一側面25とが形成され、両端に取付部26,27が形成されるよう、上方から見てほぼW字状に曲げられた第一の金属板28を設ける。同様に、ボックス他側面29とボックス上面30及びボックス下面31を形成するよう前後方向から見てほぼコの字状に曲げられた第二の金属板32を設ける。そして、第一の金属板28のボックス一側面25と、第二の金属板32のボックス他側面29及びボックス上面30並びにボックス下面31とが箱型となるよう組合せて、ほぼコの字状をした第二の金属板32に設けられた折代33と、ほぼW字状をした第一の金属板28のシャシフレーム当接面24やボックス一側面25との間を、スポット溶接やアーク溶接やボルト固定などすることなどにより一体化して、後部エネルギ吸収ボックス23を構成する。
【0024】
そして、後部エネルギ吸収ボックス23を、上方から見てほぼY字状をしたバンパアーム12におけるシャシフレーム18側のアーム34の側部に当接させ、後部エネルギ吸収ボックス23の一方の取付部26を、バンパアーム12のバンパ取付部35と重ねてボルト部17でバンパ2を固定する際に同時に固定させるようにすると共に、後部エネルギ吸収ボックス23の他方の取付部27を、バンパアーム12におけるシャシフレーム18側のアーム34の中間部に形成したボルト孔36の部分にボルト37で固定するようにする。
【0025】
尚、ボルト37は後部エネルギ吸収ボックス23の他方の取付部27に、予め植設しておくようにするのが、取付け上の便宜が良いが、これに限るものではない。
【0026】
次に、作動について説明する。
【0027】
万一、後方から追突された時などに、バンパ2が押されて、バンパアーム12に取付けた後部エネルギ吸収ボックス23のシャシフレーム当接面24がシャシフレーム18の後端部に当接されると、シャシフレーム18の後端部に当接された後部エネルギ吸収ボックス23が変形することによって、衝突のエネルギを吸収させることが可能となり、シャシフレーム18が損傷を受けることを防止させることが可能となる。
【0028】
この際、後部エネルギ吸収ボックス23が、ボックス一側面25と、ボックス他側面29と、ボックス上面30と、ボックス下面31とから成る箱型の断面を有しているため、前後方向の荷重を十分に受けてから変形されることとなるので、高いエネルギ吸収能力を得ることができる。
【0029】
又、後部エネルギ吸収ボックス23をバンパアーム12におけるシャシフレーム18側のアーム34とバンパ取付部35との間に取付けるようにしているので、上記アーム34とバンパ取付部35との折れ部分40を補強させることが可能となると共に、バンパ2に対する支持力を強化することが可能となる。
【0030】
更に、後部エネルギ吸収ボックス23をバンパアーム12におけるシャシフレーム18側のアーム34とバンパ取付部35との間に取付けるようにしているので、後部エネルギ吸収ボックス23を装備させる場合も、後部エネルギ吸収ボックス23を装備しない場合も、シャシフレーム18を共通化することが可能となり、しかも、小部品であるバンパアーム12におけるシャシフレーム18側のアーム34の中間部にボルト孔36を形成しておくだけで、後部エネルギ吸収ボックス23を装備させる仕様と、後部エネルギ吸収ボックス23を装備しない仕様の別を作り出すことができるので、低いコストで後部エネルギ吸収ボックス23による仕様差を付けるようにすることが可能となる。
【0031】
図4・図5は、本発明の第二の実施の形態であり、後部エネルギ吸収ボックス23を構成する第二の金属板32に取付部38,39などを形成して、両者をスポット溶接やアーク溶接やボルト固定などで直接一体化せずに、バンパアーム12に取付けるためのボルト部17やボルト37によって、第一の金属板28と第二の金属板32を締結させるようにしたものである。
【0032】
上記以外については、前記実施の形態と同様の構成を備えており、同様の作用・効果を得ることができる。
【0033】
尚、本発明は、上述の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の車両後部エネルギ吸収構造によれば、シャシフレームに影響を与えずに後部エネルギ吸収ボックスを取付けることができ、又、後部エネルギ吸収ボックスをバンパアームにおけるシャシフレーム側のアームとバンパ取付部との間に取付けるようにしているので、上記アームとバンパ取付部との折れ部分を補強させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の部分拡大側面図である。
【図2】図1を上方から見た概略図である。
【図3】後部エネルギ吸収ボックスの斜視図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態にかかる後部エネルギ吸収ボックスの斜視図である。
【図5】図4に示す後部エネルギ吸収ボックスを取付けた状態を示す部分拡大平面図である。
【図6】車両の側面図である。
【図7】図6のVII部分の内部を示す拡大した側方断面図である。
【図8】図7を上方から見た概略図である。
【図9】シャシフレームに後部エネルギ吸収ボックスを取付ける状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1車体
2バンパ
12バンパアーム
18シャシフレーム
23後部エネルギ吸収ボックス
24シャシフレーム当接面
34 アーム
35 バンパ取付部

Claims (1)

  1. 車体(1)にバンパ(2)を取付けるバンパアーム(12)と、シャシフレーム(18)の後端部と対応する位置に配置され且つシャシフレーム当接面(24)を有する後部エネルギ吸収ボックス(23)とを備え、
    前記後部エネルギ吸収ボックス(23)は、バンパアーム(12)におけるシャシフレーム(18)側のアーム(34)とバンパ取付部(35)との間に取付けられたことを特徴とする車両後部エネルギ吸収構造。
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