JP3572046B2 - 水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物に関し、詳しくは特定の有機酸とエチルアルコールを水相中に、食用油脂を油相中に特定の割合で含有し、かかる水相と油相とからなる水中油型乳化相を特定の割合で含有していることを特徴とする水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
たれ、ソース等の液状調味料の近年の傾向として、非加熱製法によるフレッシュな風味を付加価値としたものが増える傾向にある。これらの液状調味料では、非加熱製法であることにより、その賞味期間内における微生物の繁殖による変質が問題となるが、このような微生物問題を防ぐための配合手段として、食塩濃度を高めたり、エチルアルコールを添加したりする配合が一般的に知られている。
【0003】
一方、油脂を含有する液状調味料では、エチルアルコールは、油相と水相の2相からなる分離液状調味料において、微生物耐性を付与すると共に、振とう後、速やかに油相と水相とを分離して界面を清澄化させる作用を有しており、例えば食用油脂と6〜25v/v%のエチルアルコール水溶液との2相からなる液状調味料(特公昭59−7425号公報)や、水相にキサンタンガムとアミノ酸系調味料及び/又はエチルアルコールが所定量配合されている分離型液状調味料(特公昭60−20983号公報)が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記の液状調味料に、微生物耐性を有する濃度まで食塩やエチルアルコールを配合した場合、塩味及びアルコール臭が強く、商品価値がないものになってしまう。
また、マヨネーズに代表されるように水中油型の乳化物は、分離液状に比べて、塩味の感じ方を軽減しマイルド感とコクみを付与する作用があることが、一般的に知られているが、水相中にエチルアルコールを含む場合には、特公昭59−7425号公報や特公昭60−20983号公報で示されたように、乳化し難いという問題が生じている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題を解決して、水中油型乳化物特有のマイルドな食味とコクみを有し、且つ、保存中に微生物の繁殖により変質することがない水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく検討した結果、水中における有機酸の解離度に着目し、解離度が限定された有機酸を含むことにより、エチルアルコールを使用しても安定した水中油型乳化相が得られることを見出した。
更に、本発明者は、かかる有機酸とエチルアルコールを特定の濃度に限定し、且つ、水中油型の乳化相を含有させることにより、食味及び微生物耐性をも含めた上記の課題を解決できることを見出し、これらの知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、請求項1に係る本発明は、pKa値が3.5〜5.5である有機酸を水相中に0.1〜2.0重量%、エチルアルコールを水相中に1.0〜7.0重量%含有し、かかる水相と油相とからなる水中油型乳化相を全体の20%以上含有していることを特徴とする水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を提供するものである。
【0008】
次に、請求項2に係る本発明は、pKa値が3.5〜5.5である有機酸が、酢酸である請求項1記載の調味料用油脂含有組成物を提供するものである。
【0009】
また、請求項3に係る本発明は、食塩を、全原料中に10重量%以下含有することを特徴とする請求項1又は2記載の調味料用油脂含有組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示し、本発明を詳細に説明する。
請求項1に係る本発明は、水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物に関し、pKa値が3.5〜5.5である有機酸を水相中に0.1〜2.0重量%、エチルアルコールを水相中に1.0〜7.0重量%含有し、かかる水相と油相とからなる水中油型乳化相を全体の20%以上含有していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項1に係る本発明の調味料用油脂含有組成物は、pKa値が3.5〜5.5である有機酸を含有する。
ここで、「pKa値が3.5〜5.5である有機酸」とは、例えば、酢酸、コハク酸、乳酸が挙げられ、各々のpKa値は4.8、4.2、3.9である。
これらの中でも特に、請求項2に記載したように、酢酸は、微生物に対する静菌作用に優れ、且つ、食酢の成分として良好な食味を提供でき、有用である。
また、クエン酸や酒石酸のようにpKa値が3.5を下回るような有機酸と、pKa値が3.5〜5.5である有機酸とを併用しても、本発明の効果に支障はきたさないが、含有する有機酸のpKa値が3.5を下回るような有機酸のみに限定された場合には、エチルアルコールの界面清澄化作用により乳化安定性が低下し、水中油型乳化相を含有したときの良好な食味が得られなくなる。
【0012】
一方、請求項1に係る本発明の調味料用油脂含有組成物は、エチルアルコールを含有するものである。
本発明で使用されるエチルアルコールの原料は、食品添加物用のアルコール製剤、ワイン、日本酒等の酒類等が挙げられるが、その由来についてはいずれも限定されるものではない。
【0013】
請求項1に係る本発明の調味料用油脂含有組成物は、上記のようなpKa値が3.5〜5.5である有機酸と、エチルアルコールを、水相中に所定濃度含有している。
ここで、「水相中」とは水分中のことを指し、例えば、「水相中にエチルアルコールを1重量%含有する」とは、「全原料中の水分に対し、エチルアルコールを1重量%含有する」ことを指す。
【0014】
請求項1に係る本発明の調味料用油脂含有組成物において、水相中のエチルアルコール濃度、及びpKa値が3.5〜5.5である有機酸濃度は、本発明の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物の充分な微生物耐性と乳化安定性とマイルドな食味を得るために、エチルアルコールは1.0〜7.0重量%、前記有機酸は0.1〜2.0重量%の範囲であることが必要である。好ましくは、エチルアルコールは1.0〜4.0重量%、前記有機酸は0.1〜1.0重量%の範囲である。さらには、pKa値が3.5〜5.5である有機酸において、かかる有機酸の非解離分子濃度を上述の0.1〜1.0重量%という範囲に限定することで、本発明がより確実に実現可能となる。
【0015】
エチルアルコール濃度が上記範囲を下回った場合には、保存期間中の微生物繁殖による変質が起こるという問題が生じ、また、pKa値が3.5〜5.5である有機酸濃度が上記範囲を下回った場合には、微生物繁殖による変質だけでなく、前述のようにエチルアルコールの界面清澄化作用により乳化安定性が低下し、水中油型乳化相を含有したときの良好な食味が得られなくなる。
一方、エチルアルコール濃度及びpKa値が3.5〜5.5である有機酸濃度のいずれもが上記範囲を上回った場合には、アルコール臭や酸味が強くなり、食味が低下するという問題が生じる。
【0016】
ここで、本発明において、pKa値とは、25℃の水中における酸解離指数を指し、酸解離定数Kaの逆数の対数である。
例えば、酢酸のpKa値は次式により示される。
【数1】
【0017】
なお、クエン酸のように複数の解離段数を有する有機酸については、1段目のpKa値を適用する。
【0018】
次に、請求項1に係る本発明の調味料用油脂含有組成物は、食塩を含有することができる。
食塩の濃度は、請求項3に記載したように、調味料用油脂含有組成物の全原料中10重量%以下が望ましく、5重量%以下が特に好ましい。食塩の濃度が10重量%を超えると、塩辛く食味が低下する傾向になる。
【0019】
請求項1に係る本発明の調味料用油脂含有組成物は、かかる水相と油相とからなる水中油型乳化相を全体の20%以上含有している。
ここで、「水中油型乳化相」とは、該調味料用油脂含有組成物中で水相原料の連続相の中に油相原料が粒子の状態で均一に分散されている相のことを指す。
調味料用油脂含有組成物全体に対する水中油型乳化相の比率は、全体の20%以上であれば、調味料用油脂含有組成物全体が水中油型乳化相であっても、油相、水中油型乳化相、水相の三相に分かれていても差し支えないが、好ましくは水中油型乳化相の比率が全体の30%以上である。
水中油型乳化相の比率が全体の20%を下回る場合には、喫食時によく振とうしたとしても、直ちに乳化がブレークされ易いため、水中油型乳化物特有のマイルドでコクみのある食味を提供できない。
【0020】
請求項1に係る本発明において、水中油型乳化相を形成するための乳化剤の種類については、大豆たん白、乳たん白、卵黄、チキンエキス、ゼラチン、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、ジェランガム、グアーガム、ペクチン、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられるが、特に限定されるものではなく、また複数を組み合わせても良い。
【0021】
請求項1に係る本発明の調味料用油脂含有組成物においては、pKa値が3.5〜5.5である有機酸を水相中に0.1〜2.0重量%、エチルアルコールを水相中に1.0〜7.0重量%含有し、かかる水相と油相とからなる水中油型乳化相を全体の20%以上含有していることを特徴とするものであり、これ以外の点については通常の調味料用油脂含有組成物と同様のものであって、既知の原料(水相原料及び油相原料)から製造されるものである。
【0022】
水相原料には、pKa値が3.5〜5.5である有機酸、エチルアルコール、前記した乳化剤以外に、最終製品の特徴に合わせて、例えば、調味料(食塩、砂糖、水あめ、トマトペースト、醤油、味噌、グルタミン酸Na等)、香辛料(こしょう、唐辛子等)、具材(ごま、たまねぎ、ねぎ等)等を任意に含ませることができる。
【0023】
油相原料とは、食用油脂を主体とし、これに必要に応じて油脂溶解性又は油脂分散性原料を添加した原料をいう。食用油脂としては、通常、大豆油、菜種油等のサラダ油が用いられる。油相原料の原料全体に対する比率は、特に限定はされないが、好ましくは20%以上である。
【0024】
請求項1に係る本発明の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物の代表的な製造方法を示せば、次の通りである。
まず、水相原料と油相原料とをあらかじめ調製しておき、次いで両者を水中油型に乳化させ、水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を得る。
すなわち、第一段階として、ミキサー中において水相原料が充分に均一となるように混合、撹拌しておく。第二段階として、撹拌を続けながら徐々に油相原料を注入して乳化する。必要に応じ、第三段階として、高圧ホモジナイザーなどの仕上げ乳化機で処理して、微細乳化を行う。
このようにして目的とする請求項1に係る本発明の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を得ることができる。
【0025】
【実施例】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0026】
実施例1〜3
第1表に示す水相原料(均一に混合したもの)と油相原料とを、ミキサーで5分間混合、乳化し、水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を得た。有機酸として、実施例1では酢酸、実施例2ではコハク酸、実施例3では乳酸を使用した。
調製翌日、このようにして得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物の外観検査による水中油型乳化相の比率の測定と味覚検査を実施した。各実施例の水相中のエチルアルコール濃度、有機酸濃度、有機酸のpKa値と共に、水中油型乳化相の比率と味覚検査の結果を第2表に示す。
【0027】
なお、味覚検査は、次の4段階で食味を評価した。
◎:非常に良い、○:良い、□:わずかに良い、×:悪い
【0028】
【表1】
第1表
【0029】
比較例1〜2
実施例1〜3において、有機酸の種類を、比較例1ではクエン酸、比較例2では酒石酸に変えた他は、実施例1〜3の配合と製法に従って、水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を調製した。
調製翌日、このようにして得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物の外観検査による水中油型乳化相の比率の測定と味覚検査を実施した。各比較例の水相中のエチルアルコール濃度、有機酸濃度、有機酸のpKa値と共に、水中油型乳化相の比率と味覚検査の結果を第2表に示す。
【0030】
【表2】
第2表
【0031】
第2表から明らかなとおり、pKa値が3.5〜5.5の有機酸を含有する、本発明の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物(実施例1〜3)は、水中油型乳化相の比率が30%を超え、食味が良好であった。特に、酢酸を含有する実施例1の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物は、食味が非常に好ましくなることが理解できる。
一方、有機酸としてpKa値が3.1のクエン酸、pKa値が3.0の酒石酸をそれぞれ含有する他は実施例1〜3と同様の配合、製法で得られた比較例1及び2の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物は、水中油型乳化相の比率が低下し、味覚検査の結果も悪かった。
これらのことから、本発明の如く、pKa値が3.5〜5.5の有機酸を含有し、水中油型乳化相の割合が20%以上である水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物は、味覚の点で優れており、特に酢酸を含有する水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物は、特に良好な食味を有することが明らかとなった。
【0032】
実施例4
第3表に示す水相原料(均一に混合したもの)と油相原料とを、ミキサーで3分間混合して予備乳化した後に、高圧ホモジナイザーで5分間仕上げ乳化を行い、水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を得た。
得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物について、調製翌日、外観検査による水中油型乳化相の比率の測定と味覚検査を実施した。味覚検査は実施例1〜3と同様にして4段階で評価した。水相中のエチルアルコール濃度、酢酸濃度、全原料中の食塩濃度と共に、水中油型乳化相の比率と味覚検査の結果を第4表に示す。
【0033】
【表3】
第3表
【0034】
実施例5〜6
実施例4の配合において、食塩の使用量を、各々8.5重量%、10.5重量%と変更したこと以外は、実施例4の製法に従い、実施例5、実施例6の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を得た。
得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物について、調製翌日、実施例4と同様にして外観検査による水中油型乳化相の比率の測定と味覚検査を実施した。水相中のエチルアルコール濃度、酢酸濃度、全原料中の食塩濃度と共に、水中油型乳化相の比率と味覚検査の結果を第4表に示す。
【0035】
実施例7
実施例4の配合において、卵黄を除き、水相原料と油相原料とをミキサーで3分間混合、乳化して、水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を得た。
得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物について、調製翌日、実施例4と同様にして外観検査による水中油型乳化相の比率の測定と味覚検査を実施した。水相中のエチルアルコール濃度、酢酸濃度、全原料中の食塩濃度と共に、水中油型乳化相の比率と味覚検査の結果を第4表に示す。
【0036】
比較例3
実施例7の配合に従い、実施例7の製法においてミキサーの撹拌時間を30秒間に変更して、水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を得た。
得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物について、調製翌日、実施例4と同様にして外観検査による水中油型乳化相の比率の測定と味覚検査を実施した。水相中のエチルアルコール濃度、酢酸濃度、全原料中の食塩濃度と共に、水中油型乳化相の比率と味覚検査の結果を第4表に示す。
【0037】
比較例4
実施例7の配合に従い、実施例7の製法において水相原料と油相原料とを混合することなく充填して、水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を得た。
得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物について、調製翌日、実施例4と同様にして外観検査による水中油型乳化相の比率の測定と味覚検査を実施した。水相中のエチルアルコール濃度、酢酸濃度、全原料中の食塩濃度と共に、水中油型乳化相の比率と味覚検査の結果を第4表に示す。
【0038】
【表4】
第4表
【0039】
第4表から明らかなとおり、水中油型乳化相の比率が20%以上である実施例4〜7の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物は、味覚検査の結果、高い評価が得られた。特に、食塩濃度が10%以下である実施例4、実施例5、実施例7の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物では、風味が「非常に良い」、或いは「良い」との高い評価が得られた。
一方、比較例3及び4の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物は、実施例7と同様の配合にもかかわらず、水中油型乳化相の比率が低いものであるため、味覚の評価が著しく低かった。
これらのことから、本発明の如く、水中油型乳化相を全体の20%以上含有する調味料用油脂含有組成物は、良好な食味を有することが明らかである。また、食塩は、全原料中10%以下の割合で含有すると、より好ましい食味を有することも明らかである。
【0040】
実施例8〜11
第5表に示す水相原料(均一に混合したもの)と油相原料とを、ミキサーで2分間混合、乳化し、水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を得た。食酢とエチルアルコールの量は、水相中のエチルアルコール及び酢酸濃度がそれぞれ第6表に示した値となるよう、適量に調整した。
【0041】
得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物について、調製翌日、実施例4と同様にして外観検査による水中油型乳化相の比率の測定と味覚検査を実施した。水相中のエチルアルコール濃度、酢酸濃度、全原料中の食塩濃度と共に、水中油型乳化相の比率と味覚検査の結果を第6表に示す。
【0042】
更に、得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物について、微生物耐性を検査すべく、以下の試験を行った。
すなわち、変質した調味料類から分離された菌群の菌液を、菌数が約100個/gとなるように、得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物と混合し、ポリエチレン樹脂製容器に各300gずつ充填、密封した後に、30℃にて6ヶ月間保存し、微生物の生育によるガス発生と、味の変質の有無を観察した。この微生物耐性の検査の結果を併せて第6表に示す。
【0043】
【表5】
第5表
【0044】
比較例5〜12
実施例8〜11において、食酢とエチルアルコールの量は、水相中のエチルアルコール及び酢酸濃度が第6表に示した値となるよう、適量に調整した他は、実施例8〜11の配合と製法に従って水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物を得た。
【0045】
得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物について、調製翌日、実施例4と同様にして外観検査による水中油型乳化相の比率の測定と味覚検査を実施した。水相中のエチルアルコール濃度、酢酸濃度、全原料中の食塩濃度と共に、水中油型乳化相の比率と味覚検査の結果を第6表に示す。
【0046】
更に、得られた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物について、実施例8〜11と同様にして、微生物耐性を検査した。結果を併せて第6表に示す。
【0047】
【表6】
第6表
【0048】
第6表から明らかなように、水相中のエチルアルコール濃度が1.0〜7.0重量%であり、水相中の酢酸濃度が0.1〜2.0重量%であって、かかる水相と油相とからなる水中油型乳化相の割合が20%以上である実施例8〜11の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物は、味覚検査の結果、高い評価が得られ、また、微生物によるガスの発生や変質もないことが明らかである。特に、実施例8〜10は、味覚検査の結果、風味が非常に良いことが示された。
【0049】
一方、水相中のエチルアルコール濃度を0.5重量%とした他は実施例10と同様の配合、製法で得られた比較例5の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物は、微生物によるガスの発生や変質が観察された。同様に、水相中のエチルアルコール濃度を0.5重量%とした他は実施例11と同様の配合、製法で得られた比較例6の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物も、微生物によるガスの発生や変質が観察された。
【0050】
また、水相中のエチルアルコール濃度を8.0%とした他は実施例10と同様の配合、製法で得られた比較例7の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物は、実施例10の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物と比べて食味の点で劣ることが明らかである。次に、水相中のエチルアルコール濃度を8.0%とした他は実施例11と同様の配合、製法で得られた比較例8の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物も、実施例11の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物と比べて食味の点で劣ることが明らかである。
更に、酢酸を配合しなかった他は実施例10と同様の配合、製法で得られた比較例9の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物は、実施例10の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物と比べて、水中油型乳化相の割合が低く、食味の点で劣ると共に、微生物によるガスの発生や変質も観察された。同様に、酢酸を配合しなかった他は実施例11と同様の配合、製法で得られた比較例10の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物も、実施例11の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物と比べて水中油型乳化相の比率が低く、食味の点で劣ると共に、微生物によるガスの発生や変質も観察された。
【0051】
さらにまた、水相中の酢酸濃度を2.5%とした他は実施例10と同様の配合、製法で得られた比較例7の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物は、実施例10の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物と比べて水中油型乳化相の割合は高かったものの、食味の点で劣ることが明らかである。同様に、水相中の酢酸濃度を2.5%とした他は実施例11と同様の配合、製法で得られた比較例8の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物も、実施例11の水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物と比べて食味の点で劣ることが明らかである。
【0052】
これらのことから、本発明の如く、有機酸及びエチルアルコールを所定濃度含み、水中油型乳化相を所定濃度含有する調味料用油脂含有組成物は、水中油型乳化相特有のマイルドな食味とコクみを有し、且つ、微生物耐性を有していることが分かる。
【0053】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によれば、水中油型乳化物特有のマイルドな食味とコクみを有し、且つ、保存中に微生物の繁殖により変質することがない水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物が提供される。
また、請求項2に係る本発明によれば、有機酸として酢酸を用いることにより、微生物に対する静菌作用に優れ、且つ、食酢の成分としての良好な食味を有する、水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物が提供される。
更に、請求項3に係る本発明によれば、より一層食味に優れた水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物が提供される。
Claims (3)
- pKa値が3.5〜5.5である有機酸を水相中に0.1〜2.0重量%、エチルアルコールを水相中に1.0〜7.0重量%含有し、かかる水相と油相とからなる水中油型乳化相を全体の20%以上含有していることを特徴とする水中油型乳化相を含む調味料用油脂含有組成物。
- pKa値が3.5〜5.5である有機酸が、酢酸である請求項1記載の調味料用油脂含有組成物。
- 食塩を、全原料中に10重量%以下含有することを特徴とする請求項1又は2記載の調味料用油脂含有組成物。
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