JP3569756B2 - コンクリート用模様型枠 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、化粧模様等の外観を表現するために用いるコンクリート用模様型枠に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
近年、護岸、道路改良、宅地造成等における擁壁や側壁、ダム堰堤、建築物の外壁、門塀その他のコンクリート壁等の施工において、コンクリートの表面を、住環境や自然環境を損なうことのない石積み模様や割り石模様等の外観を呈するように施工することが行われている。
【0003】
このようなコンクリート施工においては、図18に示すように、石積み模様等の化粧模様を形成する凹部(102) 及び目地を形成する凸部(104) を有するコンクリート用模様型枠(100) (化粧型枠ともいう)が、本体パネル(106) に貼設されて用いられている。このコンクリート用模様型枠(100) としては、ポリスチレン系樹脂発泡体により成形されたものが一般的である。
【0004】
ところが、この発泡体の型枠において、材料節約等のための肉盗みについては有効かつ充分な配慮がなされておらず、コスト高につながっている。
【0005】
またこのポリスチレン系樹脂発泡体は、コンクリート固化後の脱型の際にコンクリート用模様型枠(100) の打設面が破損したり、割れが生じ易いものであり、繰り返し使用するのはほとんど不可能なものとなっている。またこれを焼却した場合、多量の黒煙や刺激的な臭い発生するため、その廃棄処理が大きな問題となっている。
【0006】
この問題点を解決するために、ポリスチレン系樹脂発泡体に比して割れや破損が生じ難く、また焼却した場合に黒煙や臭いの少ないポリオレフィン系樹脂発泡体を用いて、コンクリート用模様型枠を形成することができる。しかしながら、従来のポリスチレン系樹脂発泡体に比べて、このポリオレフィン系樹脂発泡体は、かなり高価であり材料費が高騰するという問題点がある。
【0007】
この材料費を節約するために、ポリオレフィン系樹脂発泡体を全体的に肉薄に成形することも可能であるが、この場合、強度上の関係でコンクリート用模様型枠が変形するという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は上記の事情を考慮してなされたものであり、ポリオレフィン系等の割れや破損が生じにくくかつコンクリートとの剥離性がよい素材を有効に用いて、強度上問題がない形で使用できるコンクリート用模様型枠を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、請求項1のコンクリート用模様型枠は、合成樹脂発泡体により一体成形され、コンクリート打設面に、化粧模様等の外観を表現する模様形成用の凹凸を有するコンクリート用模様型枠において、前記コンクリート用模様型枠の背面に、コンクリート打設時にほとんど撓み変形を生じさせることのない開口形状による連続した凹陥部及び/又は不連続の凹陥部を模様形成用の凹凸に応じて多数形成してなるものである。
【0010】
請求項2のコンクリート用模様型枠は、前記凹陥部の底面がコンクリート打設面の凹凸に略対応する形状をなすように凹設されてなるものである。
【0011】
請求項3のコンクリート用模様型枠は、請求項1または2に記載のものにおいて、前記凹陥部が、短辺が5cm以下の長方形の凹部、直径若しくは短径が5cm以下の円形若しくは楕円形の凹部、又は幅が5cm以下の溝のいずれかよりなるものである。
【0012】
もし、開口形状が上記の形状であって、その短辺、直径若しくは短径、又は溝幅が5cm以上になると、凹陥部に対応するコンクリート打設面の撓み変形が大きくなりすぎてしまい、規格品としてのコンクリート用模様型枠の使用上好ましくない。
【0013】
請求項4のコンクリート用模様型枠は、請求項1〜3に記載のものにおいて、前記凹陥部が長方形の凹部、円形若しくは楕円形の凹部、又は溝であり、この短辺、半径若しくは短径、又は溝幅をL1とし、前記凹陥部に対応するコンクリート打設面の撓み変形量をΔhとしたとき、Δh/L1の値が0.1以下であるものである。
【0014】
もし、Δh/L1の値が0.1以上になると、コンクリートの表面に形成される模様部分に生じる凹凸が可視できるようになり、このようなコンクリート用模様型枠は、使用に耐えない。
【0015】
請求項5のコンクリート用模様型枠は、請求項1〜4に記載のものにおいて、前記コンクリート用模様型枠が、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はオレフィンを主体とする共重合体等のポリオレフィン系樹脂発泡体により一体成形されているものである。
【0016】
前記の構成素材の発泡体の発泡倍率は10〜50倍が好ましい。すなわち、発泡倍率が10倍未満になると、使用樹脂量が多くなりコスト高になる上、重く取扱い難くなる。また発泡倍率が50倍を越えると、型枠表面の保形性や強度に問題があり好ましくない。
【0017】
【作 用】
請求項1のコンクリート用模様型枠によれば、コンクリート用模様型枠の背面に、連続した凹陥部及び/又は不連続の凹陥部がコンクリート打設面の模様形成用凹凸に応じて多数形成されている。このことにより、凹陥部を設けた部分に匹敵する体積(以下「空洞体積」という)分の合成樹脂発泡体の材料を節約することができる。
【0018】
しかも前記の凹陥部はコンクリート打設時にほとんど撓み変形を生じさせることのない形状であって、このコンクリート用模様型枠のコンクリート打設面は、コンクリート打設時においても過度に変形せず、充分にその使用に耐え得る。
【0019】
請求項2のように、凹陥部の底面がコンクリート打設面の凹凸に略対応する形状をなすように凹設されていると、さらに効果的に材料を節約できる。
【0020】
特に、凹陥部が、短辺が5cm以下の長方形の凹部、直径若しくは短径が5cm以下の円形若しくは楕円形の凹部、又は幅が5cm以下の溝のいずれかである場合、凹陥部を設けたことにより生じる、前記凹陥部に対応するコンクリート打設面の撓み変形を最小限に押さえ、コンクリート用模様型枠の強度上問題のない範囲で、より広く空洞体積を設けて材料費を節約することができる。
【0021】
なお、凹陥部と模様形成用凹凸を有するコンクリート打設面の間の厚みは、少なくとも3mm以上であって、20mm以内であるのが好ましく、特に5〜15mmがよい。
【0022】
さらに、Δh/L1の値が0.1以下であると、コンクリート表面に形成される模様に影響することのないコンクリート用模様型枠を提供することができる。また、請求項5のように、前記のコンクリート用型枠の構成素材が、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はオレフィンを主体とする共重合体等のポリオレフィン系樹脂でできた発泡体である場合、素材に強靭性があるため、使用の際に破損や割れが生じることがなく、繰り返し使用に特に好適なものとなる。
【0023】
【実施例】
次に本発明の実施態様を図面に基いて詳細に説明する。
【0024】
コンクリート用模様型枠(1) は、図1に示すように、発泡ビーズ成形による合成樹脂発泡体、中でも適度に耐圧性があってかつ強靭性のあるポリオレフィン系樹脂発泡体(通常、発泡倍率は10〜50倍、好ましくは20〜40倍)より構成されている。また、コンクリート用模様型枠(1) の打設面には、石積み模様等の外観を表現する模様形成用凹部(2) が凹設されるとともに、隣接する模様形成用凹部(2)(2)の間及び模様形成用凹部(2) の周側縁部には模様形成用凹部(2) より一段と高くなっている目地形成用凸部(4a) (4b) が形成されている。この目地形成用凸部 (4a)(4b) は、割り石の形態をより自然に見せるために、横方向の目地形成凸部 (4a) は、縦方向の目地形成用凸部(4b)より細くなっている。
【0025】
本実施例のコンクリート用模様型枠(1) は、周縁部が枠部 (12) で囲まれており、全長が縦約60〜200cm,横約50〜90cmであって、模様形成用凹部(2) の深さは一番深い所で約7cm程度の大きさを有するものである。コンクリート打設面には、やや太めの縦方向の目地形成用凸部 (4b) を中心に左右に6個ずつの模様形成用凹部(2) を有しており、本実施例のコンクリート用模様型枠(1) を使用した場合、コンクリートの表面に合計12個の割り石が積み上げられた模様を表すことができる。
【0026】
このコンクリート用模様型枠(1) の背面には、その略全面に渡って、図2に示すように、不連続の凹陥部(10)が、模様形成用凹部(2) 等の凹凸に応じて多数設けられている。この凹陥部(10)は、短辺が5cm以下の長方形の凹部であり、コンクリート打設時にほとんど撓み変形を生じさせることのないものである。また、この凹陥部(10)の深さは、コンクリート打設面に形成された模様形成用凹部(2) 及び目地形成用凸部(4b)によって生じている凹凸にほぼ対応する形状となるように調整されている。これにより、コンクリート用模様型枠(1) の空洞体積分の合成樹脂発泡体を節約することができる。そのためポリスチレン系樹脂発泡体等に比して高価なポリオレフィン系樹脂発泡体の使用も可能になる。
【0027】
このコンクリート用模様型枠(1) は、図3に示すように、従来のコンクリート用模様型枠(100) と同様、本体パネル(6) に貼設して使用する。この本体パネル(6) に貼設されたコンクリート用模様型枠(1) にコンクリート(C)を打設すると、打設したコンクリートの荷重が、型枠に作用するが、前記凹陥部(10)がほとんど撓み変形を生じさせることのない形状であり、凹陥部(10)を有していても問題なく使用することができる。
【0028】
次に、凹陥部(10)の開口形状とコンクリート用模様型枠(1) の変形の関係について説明する。
【0029】
ここでは、発泡倍率30倍のポリプロピレンの樹脂発泡体よりなるコンクリート用模様型枠(1) について考える。このコンクリート用模様型枠(1) の凹陥部(10) の寸法は次の通りである。まず、図4に示すように、凹陥部(10)と隣り合う凹陥部(10)までの距離Wを1cmとする。
【0030】
また、図5に示すように、コンクリートを打設する前の成形壁部(3) の厚さDを2cm,さらに、凹陥部(10)の深さHを1cmとする。このコンクリート用模様型枠 (1)のコンクリート打設面にP=0.5kgf/cm2 の荷重がかかった場合に生じるコンクリート用模様型枠(1) 全体にかかる圧縮変形量をΔdとし、特に、凹陥部(10)を設けたことにより、前記凹陥部 (10) に対応するコンクリート打設面の成形壁部(3) に生じる撓み変形量をΔhとする。さらに、凹陥部(10)の開口部の短辺をL1とし、長辺をL2とする。
【0031】
表1は、短辺L1,長辺L2の変化に伴う圧縮変形量Δd、撓み変形量Δh、短辺L1に対する撓み変形量Δhの比をΔh/L1、及びコンクリート用模様型枠 (1)に占める空洞体積率Vの値の変化を示している。
【0032】
【表1】
この表1より以下のことを読み取ることができる。
【0033】
まず、凹陥部(10)を設けたことによる空洞体積率Vに着目すると、短辺L1が大きければ大きいほど、つまり短辺L1が1cmより2cmの方が、2cmより3cmの方が、3cmより5cmの方が空洞体積率Vの値が大きくなっている。このことより、短辺L1が大きくなるほど、樹脂発泡体を削減し、その体積分の材料を節約することができる。
【0034】
さらに、同じ短辺L1の大きさで長辺L2の大きさを変化させると、長辺L2が大きければ大きいほど空洞体積率Vの値が大きくなり、高価な素材を有効に活用することができる。
【0035】
しかしながら、空洞体積率Vの値が大であるほど素材の節約の点では有利に働くものの、撓み変形量Δh、圧縮変形量Δdも大きくなり、コンクリート用模様型枠(1) の強度が低下する恐れがある。そこで、本実施例のコンクリート用模様型枠(1) では、以下に記述するような変形が少ない開口形状を有する凹陥部(10)を設けている。
【0036】
圧縮変形量Δdは、コンクリート用模様型枠(1) にかかる全体的な変形量であるため、数ミリ程度の変形であれば、コンクリート(C)の打設量が多くなるだけで、使用上差し支えないが、望ましくは、1mm以下に押さえるほうが良い。従って、数値的には、短辺L1が5cm以下、好ましくは、3cm以下にする方が良い。
【0037】
また、撓み変形量Δhは、コンクリート(C)表面上への模様形成に重大な影響を及ぼすので、短辺L1に対する撓み変形量Δhの比Δh/L1は、0.1以下に押さえる方が好ましい。短辺L1の値が小さいほど、撓み変形量Δhが小さくなるが、空洞体積率Vが小さくなってしまうため、これの2つの要件を折り合わせたもの、つまり、空洞体積率Vが比較的大きく、且つ、撓み変形量Δhが比較的小さい凹陥部(10)が有利なものとなる。表1から具体的に数値を拾うと、短辺が1cmで、長辺が8cmの長方形と、1辺2cmの正方形は、どちらも空洞体積率Vが、22.22%と等しい。しかしながら、撓み変形量Δh及び短辺L1に対する撓み変形量Δhの比Δh/L1は、1辺2cmの正方形の方が大きくなっている。また、短辺が2cmで、長辺が5.4cmの長方形と、1辺3cmの正方形は、どちらも空洞体積率Vは、28.13%と等しい。しかしながら、撓み変形量Δh、及び短辺L1に対する撓み変形量Δhの比Δh/L1は、1辺3cmの正方形の方が大きくなっている。このことからすると、開口形状は、正方形よりも長方形の方が有利ということがわかる。
【0038】
上記の点から、空洞体積率Vが比較的大きく、圧縮変形、撓み変形共に比較的小さいものは、短辺が3cm以下の開口形状を有する凹陥部(10)であり、開口形状が正方形よりも長方形の方が有利なことから、短辺L1が3cm、長辺L2が5cm程度の開口形状の凹陥部(10)が望ましいと言える。
【0039】
次に、凹陥部(10)他の開口形状について図6から図14を用いて説明する。
【0040】
凹陥部(10)は、図6に示すように規則的に一方向に並んだ長方形のみならず、図7または図8のように細長長方形の開口形状を有する凹陥部(10)を互い違いに変化させて配列することも可能であり、後者の方が有利な形状となる。また、溝による凹陥部(10)を図9のように波型に形成した方が型枠の曲げに対しては望ましいものになる。別の形状として、図10、図11のように、円形に設けることもできるが、この場合、空洞体積率Vが若干低下する。
【0041】
図12及び図13は、さらに他の変形例であり、形状の異なる凹陥部(10)を組み合わせることもできる。また、図14のように、三角形の開口形状の凹陥部(10)でも良い。
【0042】
これらいずれの場合にも、長方形の短辺、円形の直径や楕円形の短径、さらに溝の幅については、上記と略同様のことが言え、5cm以下に設定しておくのがよい。
【0043】
本発明の他の実施態様としては、図15に示すように、コンクリート用模様型枠(1) の背面の凹陥部(10)と凹陥部(10)とによって形成される凸部(8) の基部と成形壁部(3) との連続部分が丸みを帯びた形状にして成形することができる。この場合、図16に示すように、凸部(8) の基部と成形壁部(3) がほぼ垂直をなすように成形した場合と比べて、基部にかかる力を分散することができるため、格段に強度が向上する。また、いずれの場合も、凹陥部(10)にテーパをつけることにより、成形時の脱型を容易にすることが可能となる。但し、このテーパを施した場合、空洞体積率Vは、テーパをつけない場合と比較すると小さくなってしまう。
【0044】
ここではコンクリート型枠(1) 背面に不連続な凹陥部(10)を多数設けた場合について説明したが、図17に示すように、凸部(8) が縦横少なくとも1方向に並列あるいは互い違いに並列するように、凹陥部(10)を溝状に連続させて設けても良い。さらに、多数の凸部(8) がコンクリート用模様型枠(1) の背面に散在するように凹陥部(10)を連続状に設けても構わない。この場合の凹陥部についても、凸部(8)(8)間の間隔、すなわち溝幅は5cm以下に設定しておくのがよい。又、この場合の連続する凹陥部の深さ又は凸手の高さは、コンクリート打設面の凹凸に略対応するものである。
【0045】
上記の実施例において説明した全ての場合について、ビーズの充填による成形上の最小間隔を考慮した場合、凹陥部間の凸部の幅や成形壁部の厚み等は1cm以上を有することが望ましい。
【0046】
【発明の効果】
上記したように本発明の請求項1のコンクリート用模様型枠では、コンクリート用模様型枠の背面に、連続または不連続の凹陥部をコンクリート打設面の模様形成用凹凸に応じて多数形成している。このことにより、凹陥部を設けた部分に匹敵する空洞体積分の合成樹脂発泡体の材料を節約することができ、コスト低下を図ることができる。
【0047】
また、前記凹陥部が、コンクリート打設時にほとんど撓み変形を生じさせることのない開口形状であるため、このコンクリート用模様型枠は、コンクリート打設時においても、使用に耐え得る。
【0048】
特に、凹陥部が、短辺が5cm以下の長方形、直径若しくは短径が5cm以下の円形若しくは楕円形、又は幅が5cm以下の溝のいずれかの開口形状であると、空洞体積率が比較的大きく、且つコンクリートの荷重がかかった場合の圧縮変形及び凹陥部を設けたことによる撓み変形の比較的小さいものとなる。
【0049】
さらに、前記開口形状が長方形の場合の短辺、円形又は楕円形の場合の半径又は短径、若しくは溝形の場合の溝幅をL1とし、前記凹陥部に対応するコンクリート打設面の変形量をΔhとしたとき、Δh/L1の値が0.1以下であると、コンクリート表面に形成される模様に影響することのないコンクリート用模様型枠を提供することができ、またポリオレフィン系樹脂発泡体での実施も問題なく可能になる。
【0050】
また、前記コンクリート用模様型枠の構成素材が、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はオレフィンを主体とする共重合体等のポリオレフィン系樹脂発泡体の場合、強靭性があるため、使用の際に破損や割れが生じることなく、繰り返し使用に特に好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すコンクリート用模様型枠のコンクリート打設面を示す一部破断斜視図である。
【図2】図1の背面の一部破断斜視図である。
【図3】本発明の一実施例のコンクリート用型枠が本体パネルに貼設され、コンクリート打設面にコンクリートが打設された状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の一部の平面図を示す。
【図5】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の凹陥部及び変形部位を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の凹陥部の開口部が矩形であるコンクリート用模様型枠の一部を示す。
【図7】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の凹陥部の開口部が格子状長方形形状であるコンクリート用模様型枠の一部を示す。
【図8】図7の変形例を示す。
【図9】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の凹陥部の開口部が波形の溝形であるコンクリート用模様型枠の一部を示す。
【図10】本発明の1実施例のコンクリート用模様型枠の凹陥部の開口部が円形であるコンクリート用模様型枠の一部を示す。
【図11】図10の変形例を示す。
【図12】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠において、異なる開口形状を組み合わせた凹陥部を有するコンクリート用模様型枠の一部を示す。
【図13】図12の変更例を示す。
【図14】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠において、開口形状が三角形である凹陥部を示す。
【図15】凸部の基部と成形壁部の連続部分が丸みをおびた形状を有して成形された断面図である。
【図16】凸部の基部と成形壁部の連続部分がほぼ垂直に成形された断面図である。
【図17】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の背面に連続して溝形の凹陥部を設けた図を示す。
【図18】従来のコンクリート用型枠が本体パネルに貼設され、コンクリート打設面にコンクリートが打設された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
(1)、(100)……コンクリート用模様型枠
(2)、(102)……模様形成用凹部
(3)……成形壁部
(4a)、(4b)、(104)……目地形成用凸部
(6)、(106)……本体パネル
(8)……凸部
(10)……凹陥部
(12)……枠部
(C)……コンクリート
【産業上の利用分野】
この発明は、化粧模様等の外観を表現するために用いるコンクリート用模様型枠に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
近年、護岸、道路改良、宅地造成等における擁壁や側壁、ダム堰堤、建築物の外壁、門塀その他のコンクリート壁等の施工において、コンクリートの表面を、住環境や自然環境を損なうことのない石積み模様や割り石模様等の外観を呈するように施工することが行われている。
【0003】
このようなコンクリート施工においては、図18に示すように、石積み模様等の化粧模様を形成する凹部(102) 及び目地を形成する凸部(104) を有するコンクリート用模様型枠(100) (化粧型枠ともいう)が、本体パネル(106) に貼設されて用いられている。このコンクリート用模様型枠(100) としては、ポリスチレン系樹脂発泡体により成形されたものが一般的である。
【0004】
ところが、この発泡体の型枠において、材料節約等のための肉盗みについては有効かつ充分な配慮がなされておらず、コスト高につながっている。
【0005】
またこのポリスチレン系樹脂発泡体は、コンクリート固化後の脱型の際にコンクリート用模様型枠(100) の打設面が破損したり、割れが生じ易いものであり、繰り返し使用するのはほとんど不可能なものとなっている。またこれを焼却した場合、多量の黒煙や刺激的な臭い発生するため、その廃棄処理が大きな問題となっている。
【0006】
この問題点を解決するために、ポリスチレン系樹脂発泡体に比して割れや破損が生じ難く、また焼却した場合に黒煙や臭いの少ないポリオレフィン系樹脂発泡体を用いて、コンクリート用模様型枠を形成することができる。しかしながら、従来のポリスチレン系樹脂発泡体に比べて、このポリオレフィン系樹脂発泡体は、かなり高価であり材料費が高騰するという問題点がある。
【0007】
この材料費を節約するために、ポリオレフィン系樹脂発泡体を全体的に肉薄に成形することも可能であるが、この場合、強度上の関係でコンクリート用模様型枠が変形するという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は上記の事情を考慮してなされたものであり、ポリオレフィン系等の割れや破損が生じにくくかつコンクリートとの剥離性がよい素材を有効に用いて、強度上問題がない形で使用できるコンクリート用模様型枠を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、請求項1のコンクリート用模様型枠は、合成樹脂発泡体により一体成形され、コンクリート打設面に、化粧模様等の外観を表現する模様形成用の凹凸を有するコンクリート用模様型枠において、前記コンクリート用模様型枠の背面に、コンクリート打設時にほとんど撓み変形を生じさせることのない開口形状による連続した凹陥部及び/又は不連続の凹陥部を模様形成用の凹凸に応じて多数形成してなるものである。
【0010】
請求項2のコンクリート用模様型枠は、前記凹陥部の底面がコンクリート打設面の凹凸に略対応する形状をなすように凹設されてなるものである。
【0011】
請求項3のコンクリート用模様型枠は、請求項1または2に記載のものにおいて、前記凹陥部が、短辺が5cm以下の長方形の凹部、直径若しくは短径が5cm以下の円形若しくは楕円形の凹部、又は幅が5cm以下の溝のいずれかよりなるものである。
【0012】
もし、開口形状が上記の形状であって、その短辺、直径若しくは短径、又は溝幅が5cm以上になると、凹陥部に対応するコンクリート打設面の撓み変形が大きくなりすぎてしまい、規格品としてのコンクリート用模様型枠の使用上好ましくない。
【0013】
請求項4のコンクリート用模様型枠は、請求項1〜3に記載のものにおいて、前記凹陥部が長方形の凹部、円形若しくは楕円形の凹部、又は溝であり、この短辺、半径若しくは短径、又は溝幅をL1とし、前記凹陥部に対応するコンクリート打設面の撓み変形量をΔhとしたとき、Δh/L1の値が0.1以下であるものである。
【0014】
もし、Δh/L1の値が0.1以上になると、コンクリートの表面に形成される模様部分に生じる凹凸が可視できるようになり、このようなコンクリート用模様型枠は、使用に耐えない。
【0015】
請求項5のコンクリート用模様型枠は、請求項1〜4に記載のものにおいて、前記コンクリート用模様型枠が、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はオレフィンを主体とする共重合体等のポリオレフィン系樹脂発泡体により一体成形されているものである。
【0016】
前記の構成素材の発泡体の発泡倍率は10〜50倍が好ましい。すなわち、発泡倍率が10倍未満になると、使用樹脂量が多くなりコスト高になる上、重く取扱い難くなる。また発泡倍率が50倍を越えると、型枠表面の保形性や強度に問題があり好ましくない。
【0017】
【作 用】
請求項1のコンクリート用模様型枠によれば、コンクリート用模様型枠の背面に、連続した凹陥部及び/又は不連続の凹陥部がコンクリート打設面の模様形成用凹凸に応じて多数形成されている。このことにより、凹陥部を設けた部分に匹敵する体積(以下「空洞体積」という)分の合成樹脂発泡体の材料を節約することができる。
【0018】
しかも前記の凹陥部はコンクリート打設時にほとんど撓み変形を生じさせることのない形状であって、このコンクリート用模様型枠のコンクリート打設面は、コンクリート打設時においても過度に変形せず、充分にその使用に耐え得る。
【0019】
請求項2のように、凹陥部の底面がコンクリート打設面の凹凸に略対応する形状をなすように凹設されていると、さらに効果的に材料を節約できる。
【0020】
特に、凹陥部が、短辺が5cm以下の長方形の凹部、直径若しくは短径が5cm以下の円形若しくは楕円形の凹部、又は幅が5cm以下の溝のいずれかである場合、凹陥部を設けたことにより生じる、前記凹陥部に対応するコンクリート打設面の撓み変形を最小限に押さえ、コンクリート用模様型枠の強度上問題のない範囲で、より広く空洞体積を設けて材料費を節約することができる。
【0021】
なお、凹陥部と模様形成用凹凸を有するコンクリート打設面の間の厚みは、少なくとも3mm以上であって、20mm以内であるのが好ましく、特に5〜15mmがよい。
【0022】
さらに、Δh/L1の値が0.1以下であると、コンクリート表面に形成される模様に影響することのないコンクリート用模様型枠を提供することができる。また、請求項5のように、前記のコンクリート用型枠の構成素材が、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はオレフィンを主体とする共重合体等のポリオレフィン系樹脂でできた発泡体である場合、素材に強靭性があるため、使用の際に破損や割れが生じることがなく、繰り返し使用に特に好適なものとなる。
【0023】
【実施例】
次に本発明の実施態様を図面に基いて詳細に説明する。
【0024】
コンクリート用模様型枠(1) は、図1に示すように、発泡ビーズ成形による合成樹脂発泡体、中でも適度に耐圧性があってかつ強靭性のあるポリオレフィン系樹脂発泡体(通常、発泡倍率は10〜50倍、好ましくは20〜40倍)より構成されている。また、コンクリート用模様型枠(1) の打設面には、石積み模様等の外観を表現する模様形成用凹部(2) が凹設されるとともに、隣接する模様形成用凹部(2)(2)の間及び模様形成用凹部(2) の周側縁部には模様形成用凹部(2) より一段と高くなっている目地形成用凸部(4a) (4b) が形成されている。この目地形成用凸部 (4a)(4b) は、割り石の形態をより自然に見せるために、横方向の目地形成凸部 (4a) は、縦方向の目地形成用凸部(4b)より細くなっている。
【0025】
本実施例のコンクリート用模様型枠(1) は、周縁部が枠部 (12) で囲まれており、全長が縦約60〜200cm,横約50〜90cmであって、模様形成用凹部(2) の深さは一番深い所で約7cm程度の大きさを有するものである。コンクリート打設面には、やや太めの縦方向の目地形成用凸部 (4b) を中心に左右に6個ずつの模様形成用凹部(2) を有しており、本実施例のコンクリート用模様型枠(1) を使用した場合、コンクリートの表面に合計12個の割り石が積み上げられた模様を表すことができる。
【0026】
このコンクリート用模様型枠(1) の背面には、その略全面に渡って、図2に示すように、不連続の凹陥部(10)が、模様形成用凹部(2) 等の凹凸に応じて多数設けられている。この凹陥部(10)は、短辺が5cm以下の長方形の凹部であり、コンクリート打設時にほとんど撓み変形を生じさせることのないものである。また、この凹陥部(10)の深さは、コンクリート打設面に形成された模様形成用凹部(2) 及び目地形成用凸部(4b)によって生じている凹凸にほぼ対応する形状となるように調整されている。これにより、コンクリート用模様型枠(1) の空洞体積分の合成樹脂発泡体を節約することができる。そのためポリスチレン系樹脂発泡体等に比して高価なポリオレフィン系樹脂発泡体の使用も可能になる。
【0027】
このコンクリート用模様型枠(1) は、図3に示すように、従来のコンクリート用模様型枠(100) と同様、本体パネル(6) に貼設して使用する。この本体パネル(6) に貼設されたコンクリート用模様型枠(1) にコンクリート(C)を打設すると、打設したコンクリートの荷重が、型枠に作用するが、前記凹陥部(10)がほとんど撓み変形を生じさせることのない形状であり、凹陥部(10)を有していても問題なく使用することができる。
【0028】
次に、凹陥部(10)の開口形状とコンクリート用模様型枠(1) の変形の関係について説明する。
【0029】
ここでは、発泡倍率30倍のポリプロピレンの樹脂発泡体よりなるコンクリート用模様型枠(1) について考える。このコンクリート用模様型枠(1) の凹陥部(10) の寸法は次の通りである。まず、図4に示すように、凹陥部(10)と隣り合う凹陥部(10)までの距離Wを1cmとする。
【0030】
また、図5に示すように、コンクリートを打設する前の成形壁部(3) の厚さDを2cm,さらに、凹陥部(10)の深さHを1cmとする。このコンクリート用模様型枠 (1)のコンクリート打設面にP=0.5kgf/cm2 の荷重がかかった場合に生じるコンクリート用模様型枠(1) 全体にかかる圧縮変形量をΔdとし、特に、凹陥部(10)を設けたことにより、前記凹陥部 (10) に対応するコンクリート打設面の成形壁部(3) に生じる撓み変形量をΔhとする。さらに、凹陥部(10)の開口部の短辺をL1とし、長辺をL2とする。
【0031】
表1は、短辺L1,長辺L2の変化に伴う圧縮変形量Δd、撓み変形量Δh、短辺L1に対する撓み変形量Δhの比をΔh/L1、及びコンクリート用模様型枠 (1)に占める空洞体積率Vの値の変化を示している。
【0032】
【表1】
この表1より以下のことを読み取ることができる。
【0033】
まず、凹陥部(10)を設けたことによる空洞体積率Vに着目すると、短辺L1が大きければ大きいほど、つまり短辺L1が1cmより2cmの方が、2cmより3cmの方が、3cmより5cmの方が空洞体積率Vの値が大きくなっている。このことより、短辺L1が大きくなるほど、樹脂発泡体を削減し、その体積分の材料を節約することができる。
【0034】
さらに、同じ短辺L1の大きさで長辺L2の大きさを変化させると、長辺L2が大きければ大きいほど空洞体積率Vの値が大きくなり、高価な素材を有効に活用することができる。
【0035】
しかしながら、空洞体積率Vの値が大であるほど素材の節約の点では有利に働くものの、撓み変形量Δh、圧縮変形量Δdも大きくなり、コンクリート用模様型枠(1) の強度が低下する恐れがある。そこで、本実施例のコンクリート用模様型枠(1) では、以下に記述するような変形が少ない開口形状を有する凹陥部(10)を設けている。
【0036】
圧縮変形量Δdは、コンクリート用模様型枠(1) にかかる全体的な変形量であるため、数ミリ程度の変形であれば、コンクリート(C)の打設量が多くなるだけで、使用上差し支えないが、望ましくは、1mm以下に押さえるほうが良い。従って、数値的には、短辺L1が5cm以下、好ましくは、3cm以下にする方が良い。
【0037】
また、撓み変形量Δhは、コンクリート(C)表面上への模様形成に重大な影響を及ぼすので、短辺L1に対する撓み変形量Δhの比Δh/L1は、0.1以下に押さえる方が好ましい。短辺L1の値が小さいほど、撓み変形量Δhが小さくなるが、空洞体積率Vが小さくなってしまうため、これの2つの要件を折り合わせたもの、つまり、空洞体積率Vが比較的大きく、且つ、撓み変形量Δhが比較的小さい凹陥部(10)が有利なものとなる。表1から具体的に数値を拾うと、短辺が1cmで、長辺が8cmの長方形と、1辺2cmの正方形は、どちらも空洞体積率Vが、22.22%と等しい。しかしながら、撓み変形量Δh及び短辺L1に対する撓み変形量Δhの比Δh/L1は、1辺2cmの正方形の方が大きくなっている。また、短辺が2cmで、長辺が5.4cmの長方形と、1辺3cmの正方形は、どちらも空洞体積率Vは、28.13%と等しい。しかしながら、撓み変形量Δh、及び短辺L1に対する撓み変形量Δhの比Δh/L1は、1辺3cmの正方形の方が大きくなっている。このことからすると、開口形状は、正方形よりも長方形の方が有利ということがわかる。
【0038】
上記の点から、空洞体積率Vが比較的大きく、圧縮変形、撓み変形共に比較的小さいものは、短辺が3cm以下の開口形状を有する凹陥部(10)であり、開口形状が正方形よりも長方形の方が有利なことから、短辺L1が3cm、長辺L2が5cm程度の開口形状の凹陥部(10)が望ましいと言える。
【0039】
次に、凹陥部(10)他の開口形状について図6から図14を用いて説明する。
【0040】
凹陥部(10)は、図6に示すように規則的に一方向に並んだ長方形のみならず、図7または図8のように細長長方形の開口形状を有する凹陥部(10)を互い違いに変化させて配列することも可能であり、後者の方が有利な形状となる。また、溝による凹陥部(10)を図9のように波型に形成した方が型枠の曲げに対しては望ましいものになる。別の形状として、図10、図11のように、円形に設けることもできるが、この場合、空洞体積率Vが若干低下する。
【0041】
図12及び図13は、さらに他の変形例であり、形状の異なる凹陥部(10)を組み合わせることもできる。また、図14のように、三角形の開口形状の凹陥部(10)でも良い。
【0042】
これらいずれの場合にも、長方形の短辺、円形の直径や楕円形の短径、さらに溝の幅については、上記と略同様のことが言え、5cm以下に設定しておくのがよい。
【0043】
本発明の他の実施態様としては、図15に示すように、コンクリート用模様型枠(1) の背面の凹陥部(10)と凹陥部(10)とによって形成される凸部(8) の基部と成形壁部(3) との連続部分が丸みを帯びた形状にして成形することができる。この場合、図16に示すように、凸部(8) の基部と成形壁部(3) がほぼ垂直をなすように成形した場合と比べて、基部にかかる力を分散することができるため、格段に強度が向上する。また、いずれの場合も、凹陥部(10)にテーパをつけることにより、成形時の脱型を容易にすることが可能となる。但し、このテーパを施した場合、空洞体積率Vは、テーパをつけない場合と比較すると小さくなってしまう。
【0044】
ここではコンクリート型枠(1) 背面に不連続な凹陥部(10)を多数設けた場合について説明したが、図17に示すように、凸部(8) が縦横少なくとも1方向に並列あるいは互い違いに並列するように、凹陥部(10)を溝状に連続させて設けても良い。さらに、多数の凸部(8) がコンクリート用模様型枠(1) の背面に散在するように凹陥部(10)を連続状に設けても構わない。この場合の凹陥部についても、凸部(8)(8)間の間隔、すなわち溝幅は5cm以下に設定しておくのがよい。又、この場合の連続する凹陥部の深さ又は凸手の高さは、コンクリート打設面の凹凸に略対応するものである。
【0045】
上記の実施例において説明した全ての場合について、ビーズの充填による成形上の最小間隔を考慮した場合、凹陥部間の凸部の幅や成形壁部の厚み等は1cm以上を有することが望ましい。
【0046】
【発明の効果】
上記したように本発明の請求項1のコンクリート用模様型枠では、コンクリート用模様型枠の背面に、連続または不連続の凹陥部をコンクリート打設面の模様形成用凹凸に応じて多数形成している。このことにより、凹陥部を設けた部分に匹敵する空洞体積分の合成樹脂発泡体の材料を節約することができ、コスト低下を図ることができる。
【0047】
また、前記凹陥部が、コンクリート打設時にほとんど撓み変形を生じさせることのない開口形状であるため、このコンクリート用模様型枠は、コンクリート打設時においても、使用に耐え得る。
【0048】
特に、凹陥部が、短辺が5cm以下の長方形、直径若しくは短径が5cm以下の円形若しくは楕円形、又は幅が5cm以下の溝のいずれかの開口形状であると、空洞体積率が比較的大きく、且つコンクリートの荷重がかかった場合の圧縮変形及び凹陥部を設けたことによる撓み変形の比較的小さいものとなる。
【0049】
さらに、前記開口形状が長方形の場合の短辺、円形又は楕円形の場合の半径又は短径、若しくは溝形の場合の溝幅をL1とし、前記凹陥部に対応するコンクリート打設面の変形量をΔhとしたとき、Δh/L1の値が0.1以下であると、コンクリート表面に形成される模様に影響することのないコンクリート用模様型枠を提供することができ、またポリオレフィン系樹脂発泡体での実施も問題なく可能になる。
【0050】
また、前記コンクリート用模様型枠の構成素材が、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はオレフィンを主体とする共重合体等のポリオレフィン系樹脂発泡体の場合、強靭性があるため、使用の際に破損や割れが生じることなく、繰り返し使用に特に好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すコンクリート用模様型枠のコンクリート打設面を示す一部破断斜視図である。
【図2】図1の背面の一部破断斜視図である。
【図3】本発明の一実施例のコンクリート用型枠が本体パネルに貼設され、コンクリート打設面にコンクリートが打設された状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の一部の平面図を示す。
【図5】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の凹陥部及び変形部位を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の凹陥部の開口部が矩形であるコンクリート用模様型枠の一部を示す。
【図7】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の凹陥部の開口部が格子状長方形形状であるコンクリート用模様型枠の一部を示す。
【図8】図7の変形例を示す。
【図9】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の凹陥部の開口部が波形の溝形であるコンクリート用模様型枠の一部を示す。
【図10】本発明の1実施例のコンクリート用模様型枠の凹陥部の開口部が円形であるコンクリート用模様型枠の一部を示す。
【図11】図10の変形例を示す。
【図12】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠において、異なる開口形状を組み合わせた凹陥部を有するコンクリート用模様型枠の一部を示す。
【図13】図12の変更例を示す。
【図14】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠において、開口形状が三角形である凹陥部を示す。
【図15】凸部の基部と成形壁部の連続部分が丸みをおびた形状を有して成形された断面図である。
【図16】凸部の基部と成形壁部の連続部分がほぼ垂直に成形された断面図である。
【図17】本発明の一実施例のコンクリート用模様型枠の背面に連続して溝形の凹陥部を設けた図を示す。
【図18】従来のコンクリート用型枠が本体パネルに貼設され、コンクリート打設面にコンクリートが打設された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
(1)、(100)……コンクリート用模様型枠
(2)、(102)……模様形成用凹部
(3)……成形壁部
(4a)、(4b)、(104)……目地形成用凸部
(6)、(106)……本体パネル
(8)……凸部
(10)……凹陥部
(12)……枠部
(C)……コンクリート
Claims (6)
- 合成樹脂発泡体により一体成形され、コンクリート打設面に、化粧模様等の外観を表現する模様形成用の凹凸を有するコンクリート用模様型枠において、
前記コンクリート用模様型枠の背面に、コンクリート打設時にほとんど撓み変形を生じさせることのない開口形状による連続した凹陥部及び/又は不連続の凹陥部を模様形成用の凹凸に応じて多数形成してなることを特徴とするコンクリート用模様型枠。 - 前記凹陥部は、底面がコンクリート打設面の凹凸に略対応する形状をなすように凹設されてなることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート用模様型枠。
- 前記凹陥部が、短辺が5cm以下の長方形の凹部、直径若しくは短径が5cm以下の円形若しくは楕円形の凹部、又は幅が5cm以下の溝のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート用模様型枠。
- 前記凹陥部が長方形の凹部、円形若しくは楕円形の凹部、又は溝であり、この長方形の短辺、円形の半径若しくは楕円形の短径、又は溝の幅をL1とし、凹陥部に対応するコンクリート打設面の撓み変形量をΔhとしたとき、Δh/L1の値が0.1以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート用模様型枠。
- 前記コンクリート用模様型枠が、ポリオレフィン系樹脂発泡体により一体成形されてなる請求項1〜4のいずれかに記載のコンクリート用模様型枠。
- 発泡倍率10〜50倍の発泡体よりなる請求項1〜5のいずれかに記載にコンクリート用模様型枠。
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