JP3566104B2 - 感光性着色組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイやカラービデオカメラ等に使用されるカラーフィルタ用感光性着色組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のカラーフィルタは、一般に、透明基板とこの透明基板上にパターン化されて配列された複数色の着色透明被膜とで構成され、これら被膜に入射した白色光をその被膜の色彩に着色するものである。そして、液晶ディスプレイにおいては入射光としてディスプレイに内蔵された光源からの光やディスプレイの画面に入射する太陽光などが利用され、カラーフィルタを透過した着色光によりカラー画面の表示を可能としている。また、カラービデオカメラにおいては入射光として撮影対象からカメラに入射する光を利用し、カラーフィルタを透過した着色光によりカラー画面の撮影を可能としている。
【0003】
このようなカラーフィルタにあっては、一般に、可視領域に含まれる光の波長を複数の領域に区分し、これら複数領域のうちの特定の領域に含まれる光を完全に透過し、他方、その他の光を完全に遮断することが理想とされている。すなわち、特定波長領域の光を完全に透過することにより明るい画面表示又は画面撮影が可能となり、他方、その他の光を完全に遮断することにより色純度が向上して表示又は撮影できる色相の範囲が増大し、このため、より自然に近く美しい表示や撮影が可能となるからである。
このようなカラーフィルタの製造法においては、色剤として、染料、および顔料を用いていた。色剤として染料および顔料を用いる代表的な製造法としては、それぞれ染色法、顔料分散法がある。
【0004】
染色法は基板上に透明なパターンを形成した後、基板を染料水溶液に浸漬して上記パターンを染色する方法である。この製造方法では色素として染料を用いているために、透明性が優れている。
【0005】
一方で、顔料分散法では、樹脂溶液中に顔料を含んでいる感光性着色液を用いる。この感光性着色液を基板上に塗布し、次にパターンを形成する方法が顔料分散法である。この製造方法では色剤として顔料を用いているために、耐熱性、耐光性が優れている。
【0006】
しかしながら、上記の方法においても問題点がないわけではない。色剤として染料を用いると、耐光性、耐熱性が劣るという問題点がある。また、色剤として顔料を用いると、顔料は粒径が大きいため、光散乱を起こし、透明性、色純度の向上に問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような問題点を解決するためになされたもので、耐光性、耐熱性、および透明性の優れたカラーフィルタ用の感光性着色組成物を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明において上記課題を達成するために、まず、請求項1においては下記一般式<化3>で表される色素単量体を重合して得られる着色重合物と、この着色重合物を基板に固定すると共に、露光又は露光とこれに続く後処理によりその現像液溶解性能が変化する感光性材料とを主成分とする感光性着色組成物を提供する。
【0009】
【化3】
(式中、R1は各々独立に、下記<化4>で表される重合性基の中から選ばれる基、水素原子、炭素原子数1から8のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を表し、少なくとも一つは下記<化4>で表される重合性基の中から選ばれる。X−はアニオンを表す。)
【0010】
【化4】
(式中、R2は炭素原子数2から4のアルキル基を表す。)
【0011】
また、請求項2においては、前記感光性材料が、露光又は露光とこれに続く後処理によりその現像液溶解性能が低下するものであることを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物を提供する。
【0012】
また、請求項3においては、前記感光性材料が、露光又は露光とこれに続く後処理によりその現像液溶解性能が増大するものであることを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物。
を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について説明する。
本発明において、カラーフィルタの着色性能は、<化1>で表される色素単量体を重合して得られる着色重合物が担保している。この着色重合体は、染料と異なり、優れた耐光性・耐熱性を有するため、液晶ディスプレイやカラービデオカメラの長期的使用又はその製造工程中の加熱工程の有無にかかわらず、所期の着色性能を維持することが出来る。
【0014】
また、前記着色重合物は、感光性着色組成物中あるいはこれを基板に塗布して得られた被膜中に一様に存在しており、従って、粒子を構成せず、その組成物又は被膜中に部分的に屈折率の異なる部位を生じさせないため。この被膜に入射した光を散乱させることもない。
【0015】
この着色組成物としては、分子量3000〜150000のものが適当である。分子量3000以下の場合には耐候性・耐熱性が不十分である。他方、分子量150000以上の場合には、溶剤溶解性に乏しく、均一な感光性着色組成物及び被膜の形成が困難である。
この着色重合物は、該単量体のみを重合して重合することができる他、該単量体と従来周知の単量体との共重合物とすることができる。また、色相を調整するため本発明の重合可能な色素単量体を二種以上組み合わせた共重合物とすることもできる。
本発明の重合物の製造は、水中、有機溶剤中または無溶媒で、付加重合に用いられるものとして従来周知の重合触媒を用いて容易に行うことができる。
【0016】
本発明の重合可能な色素単量体としては、<化1>において、R1で表される炭素原子1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシルなどが挙げられ、炭素原子1〜8のヒドロキシルアルキル基としては、例えば、上記アルキル基の水素原子をヒドロキシル基で置換した構造の基が挙げられる。R2で表される炭素原子2〜4のアルキレン基としては、例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレンなどが挙げられる。
【0017】
また、本発明の重合可能な色素単量体である<化1>で表される化合物において、X−で表されるアニオンとしては、例えば、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、フッ素アニオンなどのハロゲンアニオン、過塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオンなどの無機系アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、などの有機スルホン酸アニオン、オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオンなどの有機リン酸アニオンなどが挙げられる。
【0018】
上記一般式<化1>で示される色素単量体の代表例として、青色の色相の下記の<化5>が挙げられる。ただし、本発明は下記の例示化合物により何ら限定されるものではない。なお、以下の例示では、アニオンを省いた色素単量体カチオンで示してある。
【0019】
【化5】
【0020】
本発明の重合物である上記共重合物を合成するために用いる周知の単量体としては、スチレン系化合物並びにα,β−不飽和モノ〜ポリカルボン酸およびそのエステル、アミド、イミド、または無水物であり、例えば、前者では、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレンなどが挙げられ、後者では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、1−ブチン−2,3,4−トリカルボン酸などが挙げられ、上記エステルとしては、上記α,β−不飽和カルボン酸のメチル、エチル、2−ヒドロキシエチル、プロピル、ブチル、オクチル、ドデシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル、2−〔3−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−ヒドロキシフェニル〕エチルなどのエステルが挙げられ、上記アミドとしては、上記α,β−不飽和カルボン酸のメチルアミド、ジメチルアミド、エチルアミド、ジエチルアミド、プロピルアミド、ジプロピルアミド、ブチルアミド、ジブチルアミド、ヘキシルアミド、オクチルアミド、フェニルアミドなどが挙げられ、上記イミドとしては、マレイミド、イタコンイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどが挙げられる。
【0021】
本発明の色素単量体と周知の単量体との共重合とする場合、該周知の単量体の使用量は用途に応じて適宣選択されるが、通常、本発明の色素単量体100gに対して、5〜100000gの範囲内である。
【0022】
次に、前記感光性材料は、本発明に係る感光性着色組成物を基板に塗布して被膜を形成した後、この被膜を所定のパターンに加工可能とするものである。すなわち、本発明に係る感光性着色組成物を基板に塗布して被膜を形成した後、この鼓膜上に所望の開口部又は透明部を有するマスクを重ね、このマスクを通して露光する。あるいは露光に続き、加熱処理などの後処理を行う。この露光又は露光とその後処理により、露光部位の現像液溶解性能が変化し、その溶解性能の高い部位を選択的に溶解除去する事により、所望のパターンに加工することが可能となる。
【0023】
このような感光性材料としては、露光又は露光とこれによりその現像液溶解性能が低下するものと現像液溶解性能が増大するものが例示できる。
露光によりその現像液溶解性能が低下するものとしては、例えば、光重合性モノマーと、光照射によりこれらモノマーを重合させる感光剤との組み合わせが例示できる。
【0024】
光重合性モノマーとしては、2官能、3官能、多官能モノマーがあり、2官能モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等があり、3官能モノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等があり、多官能モノマーとして、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等がある。
【0025】
また、感光剤としてはトリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、チオキサンソン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ジアゾ系化合物、アジド系化合物がある。トリアジン系化合物としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(N−イソアミロキシカルボニルメチル−3’−カルバゾリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(N−(2”−メトキシ−1”−メチルエトキシカルボニルメチル)−3’−カルバゾリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(N−シクロヘキシロキシカルボニルメチル−3’−カルバゾリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジンなどがある。
【0026】
アセトフェノン系化合物としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、2ーヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル(4−ドデシル)プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オンなどがある。チオキサンソン系化合物としては、2−メチルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどがある。ベンゾイン系化合物としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどがある。ベンゾフェノン系化合物としては、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどがある。ジアゾ系化合物としては、p−ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド縮合物とヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、過塩素酸塩、パラトルエンスルホン酸、もしくは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸との反応により生成されたジアゾニウム塩がある。アジド系化合物としては、4,4’−ジアジドスチルベン、4,4’−ジアジドベンゾフェノン、4,4’−ジアジドカルコン,4,4’−ジアジドジフェニルメタン,p−フェニレンbis−アジドがある。
【0027】
上記のような光開始剤は増感剤とともに用いることができる。このような増感剤としてチオキサントン類、キサントン類などが挙げられる。
【0028】
この感光性材料を利用するときには、前記着色重合物と感光性材料に加えて、さらに樹脂及び溶剤を混合して感光性着色組成物とすることができる。そして、この感光性着色組成物は、例えば、スピンコート法により基材に塗布して被膜を形成することが出来る。また、塗布形成された被膜は、これを露光する事により、その溶剤溶解性が低下する。このため、前記被膜に所望の開口部又は透明部を有するマスクを重ね、このマスクを通して露光した後、現像液で現像することにより、その露光部位の被膜を選択的に基板上に残存させてパターン化することが可能である。
【0029】
このような樹脂としては(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、pーヒドロキシスチレンのようなフェノール性化合物またはその共重合体などが挙げられる。
【0030】
上記のように調整された樹脂の分子量は、好ましくは3000〜150000であり、さらに好ましくは10000〜80000である。分子量が3000以下では、感度が不足し、150000以上では現像性が低下する。
【0031】
溶剤としては、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、ジグライム、シクロヘキサノン、エチルベンゼン、酢酸イソアミル、酢酸n−アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(アセテート)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(アセテート)、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、エチルエトキシプロピオネート等が用いられるが、これらの溶剤は2種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0032】
この感光性材料を利用するときには、前記着色重合物25〜60重量%、光重合性モノマー10〜50重量%、感光剤5〜20重量%、樹脂2〜30重量%の割合で混合した固形分10〜50重量%に溶剤50〜90重量%を加え、感光性着色組成物とすればよい。
また、露光とこれによりその現像液溶解性能が低下する感光性材料としては、樹脂、光照射により酸を発生する光酸発生剤、及び上記酸の存在下の加熱により上記樹脂を架橋させる架橋剤の組み合わせが例示できる。
【0033】
樹脂としては、アルコール系水酸基を有する単量体、フェノール系水酸基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体、アルコール系水酸基およびカルボキシル基を有する単量体の共重合体を用いる。
【0034】
アルコール系水酸基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの −カプロラクトン付加物、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの2塩基酸無水物およびエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸のフェニルグリシジルエーテル付加物、グリシジル(メタ)アクリレートのモノカルボン酸付加物、アリルアルコール、アリロキシエタノール等が挙げられる。フェノール系水酸基を有する単量体としては、フェノールノボラック、p−ヒドロキシスチレン、に代表されるフェノール類モノマーが挙げられる。この単量体は共重合において5〜50wt%の範囲で用いることが望ましく、5wt%未満であると感度が低下し、50wt%を越えると膨潤、現像性のバランスが取れなくなる。
【0035】
カルボン酸基を有する単量体としては、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸または(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに無水フタル酸等の酸無水物を付加させたもの等が挙げられる。この単量体は共重合において5〜50wt%の範囲で用いることが好ましく、5wt%未満であると感度が低下し、50wt%を越えると現像性のバランスが取れなくなる。
【0036】
アルコール系水酸基およびカルボン酸基を有する単量体、またはアルコール系水酸基またはカルボン酸基を有する単量体と共重合可能な他の単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族含有(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート等の官能性(メタ)アクリレート、スチレンおよびスチレン誘導体、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のN置換マレイミド等が挙げられる。この単量体は1種類でも、それ以上でも構わない。
上記のように調整された樹脂の分子量は、好ましくは3000〜150000であり、さらに好ましくは15000〜80000である。分子量が3000以下では、感度が不足し、150000以上では現像性が低下する。
【0037】
光酸発生剤としてはトリアジン系化合物、オニウム塩系化合物がある。トリアジン系化合物としては、上記記載のトリアジン系感光剤がある。
【0038】
オニウム塩系化合物としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネートなどが挙げられる。
【0039】
架橋剤としては、N−メチロール構造を有するものが用いられ、たとえばメチロール化尿素、尿素樹脂、メチロール化メラミン、ブチロール化メラミン、メチロール化グアナミンあるいはこれらの化合物のアルキルエーテルを用いることができ、熱安定性が高いという点からアルキルエーテル化物がより好ましい。このアルキルエーテルのアルキル基としては炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。特に、このアルキルエーテル化物としては、感度の点からヘキサメチロールメラミンのアルキルエーテル化物がより好ましい。
【0040】
この感光性材料を利用するときには、前記着色重合物と感光性材料に加えて、さらに溶剤を混合して感光性着色組成物とすることができる。そして、この感光性着色組成物は、例えば、スピンコート法により基材に塗布して被膜を形成することができる。また、塗布形成された被膜は、これを露光する事により酸発生剤から酸が発生し、この露光に引き続いて加熱することにより上記樹脂と架橋剤とが架橋して、その溶剤溶解性が低下する。このため、前記被膜に所望の開口部又は透明部を有するマスクを重ね、このマスクを通して露光・加熱した後、現像液で現像することにより、その露光部位の被膜を選択的に基板上に残存させてパターン化することが可能である。
【0041】
この感光性材料を利用するときには、前記着色重合物25〜60重量%、光酸発生剤5〜20重量%、架橋剤2〜30重量%、樹脂2〜50重量%の割合で混合した固形分10〜50重量%に溶剤50〜90重量%を加え、感光性着色組成物とすればよい。
【0042】
次に、露光によりその現像液溶解性能が増大するものとしては、例えば、樹脂と、光照射によりこの樹脂を分解又は変性させて、その現像液溶解性を増大させる感光剤との組み合わせが例示できる。
【0043】
このような樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、スチレンとアクリル酸との共重合体、メタクリル酸とアルキルエステルとの共重合体、ヒドロキシスチレンの重合体、ポリビニルヒドロキシベンゾエート、ポリビニルヒドロキシベンザルなどがある。
【0044】
また感光剤としては1,2−ナフトキノン系化合物がある。たとえば、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸のエステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノジアジド−5−スルホン酸のエステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸のエステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステル、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸のエステル、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステルなどがある。
【0045】
この感光性材料を利用するときには、前記着色重合物と感光性材料に加えて、さらに溶剤を混合して感光性着色組成物とすることが出来る。そして、この感光性着色組成物は、例えば、スピンコート法により基材に塗布して被膜を形成することが出来る。又、塗布形成された被膜は、これを露光する事により、樹脂が分解又は変性され、その溶剤溶解性が低下する。このため、前記被膜に所望の開口部又は透明部を有するマスクを重ね、このマスクを通して露光・加熱した後、現像液で現像することにより、その非露光部位の被膜を選択的に基板上に残存させてパターン化する事が可能である。なお、この感光性材料に適用する溶剤としては、前記に記載したものが利用できる。
【0046】
この感光性材料を利用するときには、前記着色重合物25〜60重量%、感光剤5〜20重量%、樹脂2〜50重量%の割合で混合した固形分10〜50重量%に溶剤50〜90重量%を加え、感光性着色組成物とすればよい。
【0047】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例を以下に詳細に説明する。
<実施例1>
(重合例)
本発明の着色重合物としては、<化5>で表される色素単量体のClO4 −塩30g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸13g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート46g、メタクリル酸11g、および28wt%アンモニア水4g、更に重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル5gを加え、メチルセロソルブを溶媒として、95℃で5時間反応させた。溶媒を留去し、得られた共重合体(以下重合物Aと呼ぶ)は数平均分子量13300、重量平均分子量18200であった。
【0048】
(感光性着色組成物Aの製造)
本発明の重合物としては重合物Aを用い、重合物Aのシクロヘキサノン溶液(固形分濃度20wt%)20.6gに対して、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン1.3g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2.7g、アクリル系樹脂((a)メタクリル酸5.0g、(b)ヒドロキシエチルメタクリレート3.7g、(c)メチルメタクリレート2.5g、(d)ブチルメタクリレート13.7gをエチルセロソルブ74.8gに溶解し、窒素雰囲気下でアゾイソブチロニトリル0.3gを加えて70℃、5時間反応より得られたバインダー樹脂)3.2g、シクロヘキサノン72.2gを加えてよく撹拌し、感光性着色組成物Aとした。
【0049】
この感光性着色組成物Aをスピンコート(膜厚1.2μm)し乾燥させた。70℃で20分間プリベーク後、画素サイズ30μm×100μmのマスクを用いて露光した(露光量は200mJ/cm2)。その後、1wt%炭酸ナトリウム溶液で現像後よく水洗しその後、ポストベーク230℃/1hr行い、パターンを定着させた。耐熱性試験として分光透過率を測定(OSP−SP200:OLYMPUS)し、ポストベーク前後の色差を表1に示す。また、ポストベーク後の透過率を表2に示す。耐候性試験として、キセノンランプ(10万ルクス)に被爆させ、分光変化の測定を行い、その結果を表3に示す。
【0050】
<実施例2>
(感光性着色組成物Bの製造)
重合物Aのシクロヘキサノン溶液(固形分濃度20wt%)30gに対して、樹脂溶液(ヒドロキシエチルメタクリレート18.8g、メチルメタクリレート12.5g、ブチルメタクリレート68.8gをエチルセロソルブ300gに溶解し、窒素雰囲気下でアゾイソブチロニトリル0.75gを加えて70℃、5時間反応より得られたバインダー樹脂の20%溶液)24.205g、アルキル化メラミン樹脂MW−30M(三和ケミカル(株))0.392g、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン0.67g、シクロヘキサノン22.172gを加えて良く撹拌し感光性着色組成物Bとした。以下、実施例2と同様にサンプル作成、評価を行った。
【0051】
<実施例3>
(感光性着色組成物Cの製造)
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステル化物3.0gをエチルセロソルブアセテート39.5gに溶解させる。また、クレゾールノボラック樹脂(重量平均分子量9000)12.0gをエチルセロソルブアセテート44.8gに溶解させる。上記二つの溶液とp−トルエンスルホン酸0.7gを60℃10分で完全に溶解させた。この溶液100gに重合物A20gを攪拌溶解し、感光性着色組成物Cした。
【0052】
感光性着色組成物Cをスピンコート(膜厚1.2μm)し乾燥させた。70℃で20分間プリベーク後、画素サイズ30μm×100μmのマスクを用いて露光した(露光量は200mJ/cm2)。その後、現像液(水酸化ナトリウム0.4wt%、炭酸ナトリウム0.5wt%の水溶液)で現像後よく水洗しその後、ポストベーク230℃/1hr行い、パターンを定着させた。各種評価は実施例1と同様に行った。
【0053】
<比較例1>
アクリル系樹脂を樹脂濃度20%になるようにエチルセロソルブで希釈した。この希釈樹脂90.1gに対し、青色顔料C.I.Pig No.15 8.91g、紫顔料C.I.Pig No.19 0.09g、ソルスパース(ゼネカ(株) 商品名)0.9gを添加して、3本ロールで十分混練して、青色着色樹脂を作製した。
【0054】
この青色着色樹脂30gに対して、アクリル系樹脂24.205g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5.127g 、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン1.025g、シクロヘキサノン 47.382gを加えて良く撹拌し感光性着色組成物とした。この感光性着色組成物を実施例1と同様な方法にてサンプル作成、評価を行った。
【0055】
<比較例2>
ジメチルアミノプロピルアクリルアミド40wt%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15wt%、ビニルピロリドン15wt%、メチルメタクリレート8wt%、メチルアクリレート12wt%、ジメチルアミノアクリルアミド10wt%の以上のモノマーを公知の溶液重合法にて重合し、ポリマーを得る。
【0056】
このポリマー10.0wt%に4、4’−ジアジドカルコン0.2wt%、ビスアジド化合物0.6wt%、シランカプラーKBM603(信越化学工業(株))0.2wt%、エチルセロソルブ45.0wt%、ジエチレングリコールジエチルエーテル45.0wt%をよく攪拌し、感光性組成物とした。
【0057】
この感光性組成物をガラス板にスピンコートし、乾燥させた。その後、60℃で20分間プリベーク後、画素サイズ30μm×100μmのマスクを用いて露光した。露光量は80mJ/cm2であった。その後、0.05wt%ポリエチレングリコールノニフェノールエーテル水溶液で現像を行い、パターンを形成する。
このガラス板をBlue43P(日本化薬(株)カラーフィルタ用色素)0.1%溶液で60℃、10分間染色を行った。各種評価は実施例1と同様に行った。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示すごとき効果がある。すなわち、色剤として、染料、顔料ではなく、重合した色素を用いているがために、耐光性、耐熱性、透明性の優れたカラーフィルタ用感光性着色組成物を提供することができる。
Claims (3)
- 前記感光性材料が、露光又は露光とこれに続く後処理によりその現像液溶解性能が低下するものであることを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物。
- 前記感光性材料が、露光又は露光とこれに続く後処理によりその現像液溶解性能が増大するものであることを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物。
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