JP4482959B2 - 着色組成物及び感光性着色組成物及びそれを用いたカラーフィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイやカラービデオカメラ等に使用されるカラーフィルタ用着色組成物及び感光性着色組成物及びそれを用いたカラーフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカラーフィルタの製造法においては、色剤として、染料、および顔料を用いていた。色剤として染料および顔料を用いる代表的な製造法としては、それぞれ染色法、顔料分散法がある。
【0003】
染色法は基板上に透明なパターンを形成した後、基板を染料水溶液に浸漬して上記パターンを染色する方法である。この製造方法では色素として染料を用いているために透明性が優れている。
【0004】
一方で、顔料分散法では、樹脂、感光剤、光重合性モノマー、分散剤、溶剤および顔料を含んでいる感光性着色液を用いる。この感光性着色液を基板上に塗布し、乾燥、露光、現像を行いパターンを形成する方法が顔料分散法である。この製造方法では色剤として顔料を用いているために、耐熱性、耐光性が優れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法においても問題点がないわけではない。すなわち、色剤として染料を用いると、耐光性、耐熱性が劣るという問題点がある。また、色剤として顔料を用いると、顔料は粒径が大きいため、光散乱を起こし、透明性、コントラスト、色純度の点で問題がある。
本発明は上述のような問題点を解決するためになされたもので、耐光性、耐熱性、および透明性の優れたカラーフィルタ用着色組成物及び感光性着色組成物及びそれを用いたカラーフィルタを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明において上記課題を達成するために、まず、請求項1においては、下記一般式<化5>で表される色素単量体とN−フェニルマレイミドと他単量体を重合して得られる共重合物の重合比率が、共重合物100重量%に対しN−フェニルマレイミド3〜40重量%である着色共重合物を用いたことを特徴とする着色組成物を提供する。
【化5】
(式中、R1は各々独立に、下記<化6>で表される重合性基の中から選ばれる基、水素原子、炭素原子数1から8のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を表し、少なくとも一つは下記<化6>で表される重合性基の中から選ばれる。X−はアニオンを表す。)
【化6】
(式中、R2は炭素原子数2から4のアルキレン基を表す。)
【0007】
また、請求項2においては、請求項1記載の着色組成物を用いたことを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0008】
また、請求項3においては、下記一般式<化7>で表される色素単量体とN−フェニルマレイミドと他単量体を重合して得られる共重合物の重合比率が、共重合物100重量%に対しN−フェニルマレイミド3〜40重量%である着色共重合物を用いたことを特徴とする感光性着色組成物を提供する。
【化7】
(式中、R1は各々独立に、下記<化8>で表される重合性基の中から選ばれる基、水素原子、炭素原子数1から8のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を表し、少なくとも一つは下記<化8>で表される重合性基の中から選ばれる。X−はアニオンを表す。)
【化8】
(式中、R2は炭素原子数2から4のアルキレン基を表す。)
【0009】
また、請求項4においては、請求項3記載の感光性着色組成物を用いたことを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について説明する。
本発明における着色共重合物は、以下に記述する重合可能な色素単量体から得られるものである。該着色共重合物は、該色素単量体とN−フェニルマレイミド、および他単量体として従来周知の単量体との共重合物である。また、色相を調整するため本発明の重合可能な色素単量体を二種以上組み合わせた共重合物とすることもできる。
本発明の共重合物の製造は、水中、有機溶剤中または無溶媒で、従来周知の重合触媒を用いて容易に行うことができる。
【0011】
本発明における重合可能な色素単量体としては、一般式<化1>において、R1 で表される炭素原子1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシルなどが挙げられ、炭素原子1〜8のヒドロキシルアルキル基としては、例えば、上記アルキル基の水素原子をヒドロキシル基で置換した構造の基が挙げられる。<化2>において、R2 で表される炭素原子2〜4のアルキル基としては、例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレンなどが挙げられる。
【0012】
また、重合可能な色素単量体である一般式<化1>で表される化合物において、X- で表されるアニオンとしては、例えば、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、フッ素アニオンなどのハロゲンアニオン、過塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオンなどの無機系アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、などの有機スルホン酸アニオン、オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオンなどの有機リン酸アニオンなどが挙げられる。
【0013】
上記一般式<化1>で示される色素単量体の代表例として、下記の一般式<化9>が挙げられる。ただし、本発明は下記の例示化合物により何ら限定されるものではない。なお、以下の例示では、アニオンを省いた色素単量体カチオンで示してある。
【化9】
【0014】
また、本発明の共重合物はN−フェニルマレイミドの重合比率が3から40重量%、さらに好ましくは5から30重量%であることを特徴とする。N−フェニルマレイミドの重合比率が3重量%以下であると耐熱性において十分な効果が得られない。また、40重量%以上であると短波長における透過率が低下し明度を減少させてしまう。
【0015】
本発明の共重合物を合成するために用いる周知の単量体としては、スチレン系化合物並びにα,β−不飽和モノ〜ポリカルボン酸およびそのエステル、アミド、イミド、または無水物であり、例えば、前者では、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレンなどが挙げられ、後者では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、1−ブチン−2,3,4−トリカルボン酸などが挙げられる。
上記エステルとしては、上記α,β−不飽和カルボン酸のメチル、エチル、2−ヒドロキシエチル、プロピル、ブチル、オクチル、ドデシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル、2−〔3−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−ヒドロキシフェニル〕エチルなどのエステルが挙げられる。
上記アミドとしては、上記α,β−不飽和カルボン酸のメチルアミド、ジメチルアミド、エチルアミド、ジエチルアミド、プロピルアミド、ジプロピルアミド、ブチルアミド、ジブチルアミド、ヘキシルアミド、オクチルアミド、フェニルアミドなどが挙げられ、上記イミドとしては、マレイミド、イタコンイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどが挙げられる。
【0016】
本発明の色素単量体と周知の単量体との共重合とする場合、該周知の単量体の使用量は用途に応じて適宣選択されるが、通常、色素単量体100gに対して、5〜100000gの範囲内である。
【0017】
本発明による着色共重合物を用いた着色組成物としては、例えば、本発明による着色共重合物、ポリイミド前駆体、および溶剤からなるものである。
【0018】
ポリイミド前駆体を合成するための酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’4,4’−ジフェニルスルホン酸テトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、などがある。これらの酸無水物は二種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0019】
ポリイミド前駆体を合成するためのジアミノ化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス−(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサンなどがある。これらのジアミノ化合物は二種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0020】
溶剤としてはメタノール、エタノール、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、ジグライム、シクロヘキサノン、エチルベンゼン、酢酸イソアミル、酢酸n−アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(アセテート)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(アセテート)、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、エチルエトキシプロピオネート等が用いられるが、これらの溶剤は2種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0021】
上記酸二無水物及びジアミノ化合物から得られたポリイミド樹脂の前駆体を、前記着色重合体及び溶剤と混合して塗料とし、スピンコート法等の方法により基板上に塗布し、乾燥することにより、基板上に被膜を形成することが可能である。
そして、この被膜上に感光性樹脂を塗布し、更に所望の開口部又は透明部を有するマスクを重ね、このマスクを通して露光し、現像して、上記被膜を部分的に露出させ、この露出部位の被膜をエッチングして除去することにより、上記被膜を所望のパターンに精度良く加工することが出来る。
なお、このパターン化の後加熱処理を施すことにより上記前駆体を重合させ、基板と被膜とを強固に接着させることが可能である。
【0022】
本発明による着色共重合物を用いた感光性着色組成物としては、例えば、感光性着色組成物(1)は、本発明による着色共重合物、樹脂、光重合性モノマー、感光剤、溶剤を組み合わせたもの、もしくは、感光性着色組成物(2)として、本発明による着色共重合物、樹脂、感光剤、溶剤の組み合わせたものが挙げられる。以下、それぞれについて詳細に記述する。
【0023】
上記感光性着色組成物(1)の樹脂としては(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、pーヒドロキシスチレンのようなフェノール性化合物またはその共重合体などが挙げられる。
【0024】
上記のように調整された樹脂の分子量は、好ましくは3000〜150000であり、さらに好ましくは10000〜80000である。分子量が3000以下では感度が不足し、150000以上では現像性が低下する。
【0025】
上記記載の感光性着色組成物(1)の光重合性モノマーとしては、2官能、3官能、多官能モノマーがあり、2官能モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等があり、3官能モノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等があり、多官能モノマーとして、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等がある。光重合性モノマーの添加量は、特に限定されるものではないが、バインダー樹脂の20〜150重量%が好ましい。
【0026】
上記感光性着色組成物(1)の感光剤としてはトリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、チオキサンソン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ジアゾ系化合物、アジド系化合物がある。
トリアジン系化合物としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(N−イソアミロキシカルボニルメチル−3’−カルバゾリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(N−(2”−メトキシ−1”−メチルエトキシカルボニルメチル)−3’−カルバゾリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(N−シクロヘキシロキシカルボニルメチル−3’−カルバゾリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジンなどがある。
【0027】
アセトフェノン系化合物としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、2ーヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル(4−ドデシル)プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オンなどがある。
チオキサンソン系化合物としては、2−メチルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどがある。ベンゾイン系化合物としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどがある。
【0028】
ベンゾフェノン系化合物としては、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどがある。ジアゾ系化合物としては、p−ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド縮合物とヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、過塩素酸塩、パラトルエンスルホン酸、もしくは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸との反応により生成されたジアゾニウム塩がある。
アジド系化合物としては、4,4’−ジアジドスチルベン、4,4’−ジアジドベンゾフェノン、4,4’−ジアジドカルコン、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、p−フェニレンbis−アジドがある。
【0029】
上記のような光開始剤は増感剤とともに用いることができる。このような増感剤としてチオキサントン類、キサントン類などが挙げられる。
【0030】
上記のような光開始剤は固形分に対して3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の量で用いられる。なお、光開始剤が固形分に対して3重量%未満であると露光によって充分な量の酸およびラジカルが発生せず感度が低下する。一方、20重量%を越えると液安定性が悪くなる。
【0031】
上記感光性着色組成物(1)の溶剤としては、前記着色組成物と同様のものが用いられる。ただし、樹脂のモノマー組成、光重合性モノマー、光開始剤等によって溶解性が異なるので単一または複数の溶剤組成の溶剤を適宜に選択される。
【0032】
上記のように、本発明による着色共重合物を用いた感光性着色組成物(1)は、前記着色共重合物と感光性材料に加えて、さらに樹脂及び溶剤を混合して感光性着色組成物としたものである。
そして、この感光性着色組成物(1)は、例えば、スピンコート法により基材に塗布して被膜を形成することが出来る。また、塗布形成された被膜は、これを露光する事により、その溶剤溶解性が低下する。このため、前記被膜に所望の開口部又は透明部を有するマスクを重ね、このマスクを通して露光した後、現像液で現像することにより、その露光部位の被膜を選択的に基板上に残存させてパターン化することが可能である。
【0033】
また、本発明による着色共重合物を用いた感光性着色組成物(2)の樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、スチレンとアクリル酸との共重合体、メタクリル酸とアルキルエステルとの共重合体、ヒドロキシスチレンの重合体、ポリビニルヒドロキシベンゾエート、ポリビニルヒドロキシベンザルなどがある。
【0034】
上記感光性着色組成物(2)の感光剤としては、1,2−ナフトキノン系化合物がある。たとえば、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸のエステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノジアジド−5−スルホン酸のエステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸のエステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステル、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸のエステル、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステルなどがある。
【0035】
上記感光性着色組成物(2)の溶剤としては、前記感光性着色組成物(1)の溶剤と同様なものを用いる。
【0036】
上記のように、本発明による着色共重合物を用いた感光性着色組成物(2)は、前記着色共重合物と感光性材料に加えて、さらに樹脂及び溶剤を混合して感光性着色組成物としたものである。
そして、この感光性着色組成物(2)は、例えば、スピンコート法により基材に塗布して被膜を形成することが出来る。また、塗布形成された被膜は、これを露光する事により、その溶剤溶解性が向上する。このため、前記被膜に所望の開口部又は透明部を有するマスクを重ね、このマスクを通して露光した後、現像液で現像することにより、その露光部位の被膜を選択的に基板上に残存させてパターン化することが可能である。
【0037】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて詳細に説明する。
【0038】
<実施例1>
(重合例)
本発明の着色共重合物としては、一般式<化9>で表される色素単量体のClO4 - 塩30g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸13g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30g、メタクリル酸11g、N−フェニルマレイミド16gおよび28重量%アンモニア水4g、更に重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル5gを加え、メチルセロソルブを溶媒として、95℃で5時間反応させた。溶媒を留去し、得られた共重合体(以下重合物Aと呼ぶ)は数平均分子量13300、重量平均分子量18200であった。
【0039】
ポリイミド前駆体は以下のように作製した。シクロヘキサノン77.5gを3つ口フラスコにとる。これに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル9.1gとビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.5gを50℃で撹拌しながら加え、溶解する。次に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物12.9gを少しずつ添加し、50℃で3時間反応させる。
【0040】
(着色組成物の調製)
本発明の着色共重合物としては、重合物Aを用い、重合物A13.0gをシクロヘキサノン61.0gに溶解した。これにポリイミド前駆体22.0gを混合し、着色組成物とした。
【0041】
得られた着色組成物をスピンコート(膜厚1.2μm)し乾燥させた。その後、120℃で20分間加熱した、その上にポジ型レジストであるマイクロポジットS1400(シプレイ社製)をスピンコートで塗布し、100℃で10分間加熱した。次に、画素サイズ30μm×100μmのマスクを用いて高圧水銀灯で露光した(3kW、200mJ/cm2 )。
その後、現像液(水酸化ナトリウム0.4重量%、炭酸ナトリウム0.5重量%の水溶液)でエッチングし、30℃のエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート中でれジストを剥離し、さらに、200℃で1時間加熱し、パターンを定着させた。耐熱性試験として分光透過率を測定(OSP−SP200:OLYMPUS)し、ポストベーク前後の色差を表1に示す。また、ポストベーク後の透過率を表2に示す。耐候性試験として、キセノンランプ(10万ルクス)に被爆させ、分光変化の測定を行い、その結果を表3に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
<実施例2>
本発明の着色共重合物として重合物Aを用い、重合物Aのシクロヘキサノン溶液(固形分濃度20重量%)20.6gに対して、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン1.3g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2.7g、アクリル系樹脂((a)メタクリル酸5.0g、(b)ヒドロキシエチルメタクリレート3.7g、(c)メチルメタクリレート2.5g、(d)ブチルメタクリレート13.7gをエチルセロソルブ74.8gに溶解し、窒素雰囲気下でアゾイソブチロニトリル0.3gを加えて70℃、5時間反応より得られたバインダー樹脂3.2g、シクロヘキサノン72.2gを加えてよく撹拌し、感光性着色組成物Aとした。
【0046】
この感光性着色組成物Aをスピンコート(膜厚1.2μm)し乾燥させた。70℃で20分間プリベーク後、画素サイズ30μm×100μmのマスクを用いて露光した(露光量は200mJ/cm2 )。
その後、1重量%炭酸ナトリウム溶液で現像後よく水洗しその後、ポストベーク230℃/1hr行い、パターンを定着させた。各種評価は実施例1と同様に行った。結果を表1、表2、表3に示す。
【0047】
<実施例3>
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステル化物3.0gをエチルセロソルブアセテート39.5gに溶解させる、また、クレゾールノボラック樹脂(重量平均分子量9000)12.0gをエチルセロソルブアセテート44.8gに溶解させる。上記二つの溶液とp−トルエンスルホン酸0.7gを60℃10分で完全に溶解させた。この溶液100gに重合物A30gを攪拌溶解し、感光性着色組成物Bとした。
【0048】
この感光性着色組成物Bをスピンコート(膜厚1.2μm)し乾燥させた。70℃で20分間プリベーク後、画素サイズ30μm×100μmのマスクを用いて露光した(露光量は200mJ/cm2 )。
その後、現像液(水酸化ナトリウム0.4重量%、炭酸ナトリウム0.5重量%の水溶液)で現像後よく水洗しその後、ポストベーク230℃/1hr行い、パターンを定着させた。各種評価は実施例1と同様に行った。結果を表1、表2、表3に示す。
【0049】
<比較例1>
(色剤として顔料を用いたカラーフィルタ)
アクリル系樹脂を樹脂濃度20%になるようにエチルセロソルブで希釈した。
この希釈樹脂90.1gに対し、青色顔料C.I.Pig No.15を8.91g、紫顔料C.I.Pig No.19を0.09g、ソルスパース(ゼネカ(株):商品名)0.9gを添加して、3本ロールで十分混練して、青色着色樹脂を作製した。
【0050】
この青色着色樹脂30gに対して、アクリル系樹脂24.205g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5.127g 、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン1.025g、シクロヘキサノン 47.382gを加えて良く撹拌し感光性着色組成物とした。この感光性着色組成物を実施例2と同様な方法にてカラーフィルタを作成した。各種評価は実施例1と同様に行った。結果を表1、表2、表3に示す。
【0051】
<比較例2>
(色剤として染料を用いたカラーフィルタ)
ジメチルアミノプロピルアクリルアミド40重量%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15重量%、ビニルピロリドン15重量%、メチルメタクリレート8重量%、メチルアクリレート12重量%、ジメチルアミノアクリルアミド10重量%の以上のモノマーを公知の溶液重合法にて重合しポリマーを得る。
【0052】
このポリマー10.0重量%に4、4’−ジアジドカルコン0.2重量%、ビスアジド化合物0.6重量%、シランカプラーKBM603(信越化学工業(株))0.2重量%、エチルセロソルブ45.0重量%、ジエチレングリコールジエチルエーテル45.0重量%をよく攪拌し感光性組成物とした。
【0053】
この感光性組成物をガラス板にスピンコートし乾燥させた。その後、60℃で20分間プリベーク後、画素サイズ30μm×100μmのマスクを用いて露光した。露光量は80mJ/cm2 であった。
その後、0.05重量%ポリエチレングリコールノニフェノールエーテル水溶液で現像を行いパターンを形成した。
このガラス板をBlue43P(日本化薬(株)カラーフィルタ用色素)0.1%溶液で60℃、10分間染色を行った。各種評価は実施例1と同様に行った。結果を表1、表2、表3に示す。
【0054】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示すごとき効果がある。すなわち、色材として、染料、顔料ではなく、重合した色素を用いているがために、耐光性、耐熱性、透明性の優れたカラーフィルタ用着色組成物及び感光性着色組成物及びカラーフィルタを提供することができる。
Claims (4)
- 請求項1記載の着色組成物を用いたことを特徴とするカラーフィルタ。
- 請求項3記載の感光性着色組成物を用いたことを特徴とするカラーフィルタ。
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