JP3735984B2 - カラーフィルター用保護膜組成物及びカラーフィルター - Google Patents

カラーフィルター用保護膜組成物及びカラーフィルター Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶の表示装置または固体撮像素子と組み合わせて用いるカラーフィルターの製造の際にブラックマトリックス、着色画像等の保護に使用する永久保護膜組成物及びそれを用いたカラーフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルターは染色法、印刷法、電着法、顔料分散法などによりガラス基板上に赤、緑、青、などの微細な画素を形成したものである。これら公知の方法については以下のような特徴、問題点を有する。
染色法によるカラーフィルターはゼラチンやポリビニルアルコールなどに感光剤として重クロム酸塩を混合した感光性樹脂により画像を形成した後、染色して製造される。多色を同一基板に形成するためには、防染工程が必須であり、工程が複雑になる問題点がある。また、染料を使用しているため耐光性が劣る。感光剤として用いる重クロム酸は公害防止の観点からも問題である。
印刷法によるカラーフィルターはスクリーン印刷またはフレキソ印刷などの方法で、熱硬化または光硬化インキをガラス基板に転写させる。画像形成、染色が不要であるため工程が簡略である反面、高精細な画像が得られず、インキの平滑性にも問題がある。
電着法によるカラーフィルターは、顔料または染料を含んだ浴に電極をもうけたガラス基板を浸し電気泳動により色相を付着させるものである。平滑性に優れるが、あらかじめ、ガラス基板に電極が必要なため、複雑なパターンを形成させるのが困難である。
顔料分散法は光硬化性樹脂に顔料を分散させた着色レジストにより画像を形成する。高耐熱性、染色がいらないなどの利点があり、また、高精度な画像形成が可能である。品質、製造コストの点から上記製造法に比較し顔料分散法は優れ、現在カラーフィルター製造の主流となっている。
【0003】
さらに、赤、青、緑の着色画像の間には通常コントラストを向上させる目的のためブラックマトリックスと呼ばれる格子状の黒色パターンを配置するのが一般的である。従来、ブラックマトリックスはガラス基板全体にクロムを蒸着し、エッチング処理によりパターン形成する手法がとられていたが、クロムを使用するため、高コスト、高反射率であり、廃液処理にも問題を有している。このため、感光性樹脂で形成する樹脂ブラックマトリックスを形成する検討が鋭意なされている。
樹脂ブラックマトリックスはカーボンブラック等の黒色顔料または数種の顔料を混合して黒色にした顔料を分散した感光性組成物により画像形成される。高遮光性を得るためには多量の顔料を配合したレジストを用いるかブラックマトリックス自体の膜厚を厚くする必要があるが、顔料配合比率を高めたレジストでは密着性、耐薬品性が低下し、逆に、ブラックマトリックス自体の膜厚を厚くするとカラーフィルター全体の平坦性が失われる傾向にある。そのため、平坦性、耐薬品性、密着性等の欠点を同時に解決するのは極めて困難である。そこで、上記問題点を解決するためブラックマトリックス、着色画像の上に透明な保護膜をもう一層形成する手法が考えられるが、樹脂ブラックマトリックス上で上記性能を発揮できる保護膜が無いため実用性のある樹脂ブラックマトリックス型カラーフィルターは実現できていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は樹脂ブラックマトリックス上においても耐薬品性、密着性、平坦性、透明性が高いカラーフィルター用保護膜組成物を提供することにより、高品質、低コスト、安全性に優れたカラーフィルターを実現することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を進めた結果、特定の光重合開始剤を配合した保護膜組成物を使用することによってかかる目的を解決し得ることを見出した。すなわち本発明の要旨は、(a)樹脂、(b)光重合開始剤の作用により硬化するモノマー、(c)光重合開始剤を含むカラーフィルター用保護膜組成物であって、(c)光重合開始剤がビイミダゾール化合物及び400nm以下に吸収ピークを有する増感剤を含む複合開始系であり、さらにエポキシ当量が400以上であるビスフェノール系エポキシ樹脂を配合したことを特徴とするカラーフィルター用保護膜組成物並びにそれを用いたカラーフィルターに存する。また、本発明の別の要旨は、a)樹脂、(b)光重合開始剤の作用により硬化するモノマー、(c)光重合開始剤を含むカラーフィルター用保護膜組成物であって、(c)光重合開始剤がビイミダゾール化合物及び400nm以下に吸収ピークを有する増感剤を含む複合開始系であり、c)光重合開始剤としてさらにチオール化合物を配合してなることを特徴とするカラーフィルター用保護膜組成物並びにそれを用いたカラーフィルターに存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明組成物に使用される(a)樹脂、(b)光重合開始剤の作用により硬化するモノマーは一般にこの種成分を含むレジストに使用される広い範囲から選ぶことができる。
(a)樹脂としては塗膜形成能を有する高分子化合物であれば特に制限は無く、具体的な例としては例えば下記の化合物が挙げられる。
1)ポリオレフィン系ポリマー
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン等
2)ジエン系ポリマー
ポリブタジエン、ポリイソプレン等
3)共役ポリエン構造を有するポリマー
ポリアセチレン系ポリマー、ポリフェニレン系ポリマー等
4)ビニルポリマー
ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルフェノール等
5)ポリエーテル
ポリフェニレンエーテル、ポリオキシラン、ポリオキセタン、ポリテトラヒドロフラン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール等6)フェノール樹脂
ノボラック樹脂、レゾール樹脂等
7)ポリエスエル
ポリエチレンテレフタレート、ポリフェノールフタレインテレフタレート、ポリカーボネート、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等
8)ポリアミド
ナイロン−6、ナイロン66、水溶性ナイロン、ポリフェニレンアミド等
9)ポリペプチド
ゼラチン、カゼイン等
10)エポキシ樹脂及びその変性物
ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシアクリレート及び酸無水物による変性樹脂等
11)その他
ポリウレタン、ポリイミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミダゾール、ポリオキサゾール、ポリピロール、ポリアニリン、ポリスルフィド、ポリスルホン、セルロース類等
【0007】
これらの樹脂の中では、アルカリ可溶性樹脂、具体的には、樹脂側鎖または主鎖にカルボキシル基あるいはフェノール性水酸基等を有する樹脂を含有する保護膜組成物がアルカリ現像可能なため、公害防止の観点から好ましい。特にカルボキシル基を有する樹脂、例えば、アクリル酸(共)重合体、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ノボラックエポキシアクリレートの酸無水物変性樹脂等は高アルカリ現像性なので好ましい。
さらに、アクリル系樹脂は現像性、透明性に優れているので好ましく、様々なモノマーを選択して種々の共重合体を得ることが可能なため、性能および製造制御の観点からより好ましい。
【0008】
より具体的にはカルボキシル基を含有するアクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、などのカルボキシル基を有するモノマーとスチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトン酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸クロライド、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、などのコモノマーを共重合させたポリマーが挙げられる。中でも好ましいのは構成モノマーとして少なくとも(メタ)アクリル酸あるいは(メタ)アクリル酸アルキルエーテルを含有するアクリル樹脂であり、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸およびスチレンを含有するアクリル樹脂である。
【0009】
また、これらの樹脂は側鎖にエチレン性二重結合を付加させることもできる。樹脂側鎖に二重結合を付与することにより光硬化性が高まるため、解像性、密着性をさらに向上させることができ好ましい。エチレン性二重結合を導入する合成手段として、例えば、特公昭50−34443、特公昭50−34444などに記載の方法等が挙げられる。具体的には、カルボキシル基や水酸基にグリシジル基、エポキシシクロヘキシル基および(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物やアクリル酸クロライドなどを反応させる方法が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アリルクロライドなどの化合物を使用し、カルボキシル基や水酸基を有する樹脂に反応させることにより側鎖に重合基を有する樹脂を得ることができる。特に、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートのような脂環式エポキシ化合物を反応させた樹脂は特に耐薬品性が高いので好ましい。
【0010】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル〜」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル〜またはメタクリル〜」、「アクリレートまたはメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸またはメタクリル酸」を意味するものとする。
これらのアクリル樹脂のGPCで測定した重量平均分子量の好ましい範囲は1000〜100,000である。重量平均分子量が1000以下であると均一な塗膜をえるのが難しく、また、100,000を超えると平坦化能力、現像性が低下する傾向がある。また、カルボキシル基の好ましい含有量の範囲は酸価で5〜200である。酸価が5以下であるとアルカリ現像液に不溶となり、また、200を超えると感度、耐薬品性が低下することがある。
【0011】
また、エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸の反応により得られる樹脂は、保護膜の平坦性に特に優れ、好ましい。その場合、樹脂の原料となるエポキシ化合物としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加型ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素添加型ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加型ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、(o,m,p)−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化(o,m,p)−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテル、アジピン酸グリシジルエーテル、フタル酸グリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリシジルフタルイミド、(ポリ)エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることが出来る。エポキシ化合物のなかでは特にフェノールノボラック型エポキシ樹脂、(o,m,p)−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂が好ましい。より好ましくはo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂である。
不飽和モノカルボン酸の例としてはアクリル酸、メタアクリル酸、β−フリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、α−シアノケイ皮酸、ケイ皮酸、クロトン酸、等が挙げられる。これらの不飽和モノカルボン酸は単独、複数併用どちらも可能である。不飽和モノカルボン酸のなかではアクリル酸、メタアクリル酸が好ましい。より好ましくはアクリル酸である。
樹脂はエポキシ化合物のエポキシ基と不飽和カルボン酸のカルボキシル基とのエステル化反応により得られる。エステル化反応は常法により行うことができ、1級、2級、3級のアミン、4級アンモニウム塩等の触媒を用いると反応が促進される。反応比率はエポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、不飽和モノカルボン酸のカルボキシル基が0.3〜1.2当量、より好ましくは0.5〜1.1当量である。
このようにして得られた樹脂のGPCで測定した重量平均分子量の好ましい範囲は1000〜100,000である。重量平均分子量が1000以下であると均一な塗膜をえるのが難しく、また、100,000を超えると平坦化能力が低下する。
(b)光重合開始剤の作用により硬化するモノマーとしては、光重合開始剤の発生するラジカルの作用によりラジカル重合するモノマーおよび光重合開始剤から発生する酸の作用で付加縮合するモノマー等公知のいずれのものも用い得る。 前者の代表的例としては、エチレン性二重結合を有するモノマーが挙げられ、より具体的には、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、モルホリノエチルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロドデシルアクリレート、トリメチルシロキシエチルメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ビスフェノールA,エチレンオキサイド付加物ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチレンフォスフェート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ノボラックエポキシのアクリル酸変性物、ノボラックエポキシのアクリル酸および酸無水物の変性物、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリル化イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。
これらのモノマーのなかではアクリルモノマー、特に3個以上のエチレン性二重結合を有するアクリルモノマーが透明性、感度、耐薬品性の観点から好ましい。これらのモノマーは単独または複数組み合わせて使用される。
【0012】
一方、光重合開始剤から発生する酸の作用で付加縮合するモノマーとしては、メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリルもしくは尿素にホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそれらのアルキル変性化合物、エポキシ化合物およびレゾール化合物等の架橋作用を有する化合物が挙げられる。
具体的には、三井サイアナミド社のサイメル(登録商標)300、301、303、350、736、738、370、771、325、327、703、701、266、267、285、232、235、238、1141、272、254、202、1156、1158は、メラミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例である。サイメル(登録商標)1123、1125、1128は、ベンゾグアナミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例である。サイメル(登録商標)1170、1171、1174、1172はグリコールウリルにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例である。尿素にホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例として三井サイアナミド社のUFR(登録商標)65、300を挙げることができる。
【0013】
エポキシ化合物の例として、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテル、アジピン酸グリシジルエーテル、フタル酸グリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリシジルフタルイミド、(ポリ)エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0014】
この中で特に好ましい化合物として、分子中に−N(CH2 OR)2 基を有する化合物(式中、Rは水素原子またはアルキル基を示す)が挙げられる。詳しくは、尿素あるいはメラミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物が特に好ましい。
レゾール化合物の例として、群栄化学社製のPP−3000s、PP−3000A、RP−2978、SP−1974、SP−1975、SP−1976、SP−1977、RP−3973等が挙げられる。
これらのバインダー樹脂およびモノマーの中では、保護膜の透明性、熱による黄変性、アルカリ現像可能である点に於て特に前記のカルボキシル基を含有するアクリル樹脂とアクリルモノマーとの組合せが最も好ましい。
【0015】
(c)光重合開始剤としてはビイミダゾール化合物及び400nm以下に吸収ピークを有する増感剤を併用した複合開始系が用いられる。
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体(以下c−1と略す)、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などが具体的に例示される。
400nm以下に吸収ピークを有する増感剤として好ましい化合物はカルボニル化合物である。特にカルボニル基とベンゼン環を有する化合物が好ましい。例えば、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2,4,6−トリエチルベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾネート、4−フェニルベンゾフェノン、4(4−メチルフェニルチオ)フェニレンエタノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(1,3−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアンモニウムクロライド、等のベンゾフェノン誘導体、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等のチオキサントン誘導体、アセトフェノン、2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モンフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシジ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、等のアセトフェノン誘導体、ベンジル、2−エチルアントラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチル−α−オキソベンゼンアセテート等のジカルボニル化合物誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、のベンゾイン誘導体等が挙げられる。
さらに、カルボニル基、ベンゼン環及びアミノ基を有する化合物はより好ましい。例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(以下c−2と略す)、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、等のアミノベンゾフェノン誘導体等、メチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾネート、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾネート(以下c−3と略す)、プロピル4−(ジメチルアミノ)ベンゾネート、ブチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾネート、メチル4−(ジエチルアミノ)ベンゾネート、エチル4−(ジエチルアミノ)ベンゾネート、プロピル4−(ジエチルアミノ)ベンゾネート、ブチル4−(ジエチルアミノ)ベンゾネート、イソアミル4−(ジメチルアミノ)ベンゾネート(以下c−4と略す)、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾネート、2−(ジエチルアミノ)エチルベンゾネート、等のアミノ基を有する安息香酸エステル誘導体等が挙げられる。これらの増感剤のなかでは、ベンゾフェノン誘導体及びアミノ基を有する安息香酸エステル誘導体が好ましく、透明性の観点から特にアミノ基を有する安息香酸エステルが好ましい。
本発明では、さらにチオール類、アミン類、フォスフィン類等、酸素による重合阻害防止効果のある化合物を開始剤の成分としてさらに添加することができる。このような化合物を配合すると酸素遮断膜を付けなくても実用的感度を保持することができる。特に、チオール類は効果が高いので添加するのが好ましい。例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(以下c−5と略す)、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、等の芳香族モノチオール、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸エチル、メルカプトプロピオン酸ブチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸トリデシル、等の脂肪族モノチオール、ブタンジオールチオプロピオネート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(以下c−6と略す)、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等の脂肪族多官能チオール等が挙げられる。これらのチオール類の中でも特に脂肪族多官能チオールは効果が高いので好ましい。
【0016】
本発明では必要に応じてエポキシ樹脂をさらに添加することも可能である。エポキシ樹脂を添加した場合には耐薬品性、耐熱性、密着性をさらに向上させることができるので添加するのは好ましい。エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂等が挙げられるが、なかでもビスフェノールエポキシ樹脂が好ましい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、F型、S型のいずれでも良く、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート1001、1002、1003、1055、1004、1004AF、1007、1009、1010、1003F、1004F、1005F、1100L、旭チバ社製のアラルダイトAER6001、6011、6021、6041、6051、6071、6081、6091、6002、6032、6042、6052、6062、6072、6003、6013、6023、6004、6014、6034、6044、6054、6064、6084、6094、6104、6114、6006、6007、6027、6097、6008、6018、6009、6019、6029、6039、6049、6099、大日本インキ社製のエピクロン900−IM、1050、1055、2055、3050、4050、4055、7050、9055、東都化成社製のYD−011、YD−012、YD−013、YD−014、YD−017、YD−019、YD−020、YD−7011R、YD−7014R、YD−7017、YD−7019、YD−7020、YD−900、YD−901、YD−902、YD−903、YD−904、YD−907、YD−909、YD−927、YDF−2001、YDF−2004、旭電化社製のアデカレジン等が挙げられる。中でも、ビスフェノールA型が好適に使用され、エポキシ当量は、400以上が好ましい。
【0017】
本発明の保護膜成分の好ましい配合比率はa)樹脂が20〜90wt%、(b)光重合開始剤の作用により硬化するモノマーが5〜70wt%(c)光重合開始剤0.01〜30wt%範囲であり、エポキシ樹脂を含む場合、5〜70wt%の範囲である。
(a)樹脂の配合比率が上記範囲以下であると塗膜特性が低下し、ピンホールが発生しやすくなり、膜厚の均一性も失われるようになる。現像特性も低下するため良好な画像がでにくくなる。また、上記範囲を越えると密着性、耐薬品性が低下する。
(b)モノマーの配合比率が上記範囲以下であると光硬化時の架橋密度が不十分となり画像形成能が低下する。また、上記範囲を越えると乾燥時のベタツキが増大し作業性が低下する。また、現像液への溶解性も低下するため解像性の低下も発生するようになる。
(c)光重合開始剤の配合比率が上記範囲以下であると感度低下が著しくなり、露光に長時間を要するため作業効率を低下させる。また、上記範囲を越えると透明性の低下や開始剤の再析出等の問題が発生することがある。
なお、エポキシ樹脂の添加量が上記範囲であると耐熱性、耐薬品性、密着性、現像性の点で好ましい。
【0018】
本発明の保護膜組成物は通常これらの成分を溶剤に溶解させた状態で使用される。溶剤としては具体的に、ジイソプロピルエーテル、ミネラルスピリット、n−ペンタン、アミルエーテル、エチルカプリレート、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、イソプレン、エチルイソブチルエーテル、ブチルステアレート、n−オクタン、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、アプコシンナー、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキセン、メチルノニルケトン、プロピルエーテル、ドデカン、Socal solvent No.1およびNo.2、アミルホルメート、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン、ソルベッソ#150、酢酸ブチル(n,sec,t)、ヘキセン、シェル TS28 ソルベント、ブチルクロライド、エチルアミルケトン、エチルベンゾネート、アミルクロライド、エチレングリコールジエチルエーテル、エチルオルソホルメート、メトキシメチルペンタノン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソブチレート、ベンゾニトリル、エチルプロピオネート、メチルセロソルブアセテート、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、アミルホルメート、ビシクロヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジペンテン、メトキシメチルペンタノール、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、プロピルプロピオネート、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、カルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールアセテート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどの有機溶剤が挙げられる。
溶剤は沸点が100℃から200℃の範囲のものを選択するのが平滑性、乾燥特性の観点から好ましい。より好ましくは120℃〜170℃の沸点をもつものである。これらの溶剤は単独もしくは混合して使用される。溶剤の添加量は固形分濃度が5〜50wt%の範囲となるように加えるのが好ましい。固形分濃度が5wt%以下であると十分な膜厚を得ることが難しく、ピンホール等の塗布欠陥が発生しやすくなる。また、50wt%を越えると粘度上昇により塗膜の平滑性が失われるようになる。
【0019】
本発明の保護膜組成物には必須成分以外に塗膜特性向上のためのレベリング剤、、紫外線吸収剤、エポキシ硬化剤、消泡剤、増感剤、フィラー等を好適に添加することができる。
【0020】
本発明の組成物はスピンコーター、ロールコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷などの公知の方法でカラーフィルター上に塗布される。カラーフィルターは通常、ガラス基板上にブラックマトリックス及び着色画像が形成されてなるが、本発明の保護膜組成物は、特にブラックマトリックスが樹脂ブラックマトリックスであるカラーフィルター上に形成するのが有利である。塗布膜厚は0.2μm〜10μmが好ましい。より好ましくは0.3から5μmである。塗布膜を乾燥させるためにコンベクションオーブンまたはホットプレートが使用される。乾燥温度は50℃〜150℃、乾燥時間は30秒〜60分が好適である。露光には高圧水銀燈、超高圧水銀燈、キセノンランプ、カーボンアーク燈等の紫外線を発する光源が使用でき、マスクを通して露光することにより保護膜に潜像が形成される。その後、未露光部分を溶解させる溶剤で現像することにより画像が形成される。現像液はアセトン、トルエン、MEK、塩化メチレン、ジクロルエタン、NMP、シクロヘキサノン、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジグライムなどの有機溶剤も使用可能であるが、環境問題からアルカリ現像液の方が好ましい。一例をあげるならば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム、アンモニア水、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液、などが用いられる。アルカリ現像液には界面活性剤、消泡剤などが添加されていてもよい。現像方法としては、特に制限はなく、パドル法、ディッピング法、スプレー法など公知の方法でおこなうことができる。またプリウエットを採用してもよい。なお、画像形成が不要な場合には露光から現像までの工程を省くことができる。保護膜の硬化処理には光硬化、熱硬化、及び光及び熱硬化を併せた処理が可能である。光硬化には高圧水銀燈、超高圧水銀燈、キセノンランプ、カーボンアーク燈等が好適に使用でき、熱硬化にはホットプレート、コンベクションオーブン、IRオーブン等が好適に使用できる。光硬化の方が熱硬化よりスループットの点で有利になる場合があるが、熱硬化の方が着色画像への退色等の悪影響が少ないのでより好ましい。ホットプレートまたはコンベクションオーブンで熱硬化を行う場合には180℃〜300℃、硬化時間は30秒〜60分の範囲が好適である。
熱硬化処理が上記範囲より緩い場合には、保護膜の硬化が十分に進まず、耐薬品性、密着性が低下することがある。また、上記範囲より強い硬化を行うと、着色膜の退色が起こる場合がある。
【0021】
【実施例】
次に、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0022】
(実施例1−27および比較例1−14)
1)保護膜の組成
a)樹脂:表−1記載 10g
a−1:(合成例−1で合成)
a−2:o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂のアクリル酸付加樹脂
重量平均分子量 4000
酸価2mg/KOH以下
エポキシ当量 10000g/当量以上
b)アクリルモノマー:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5g
c)光重合開始剤:表−1記載 光重合開始剤全量で0.5g
c−1:2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体
c−2:4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン
c−3:エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾネート
c−4:イソアミル4−(ジメチルアミノ)ベンゾネート
c−5:2−メルカプトベンゾチアゾール
c−6:ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート
d)エポキシ樹脂: 表−1記載
d−1:エピコート1004
(油化シェルエポキシ社製;エポキシ当量875〜975)
d−2:エピコート1001
(油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量450〜500)
d−3:エピコート1002
(油化シェルエポキシ社製;エポキシ当量600〜700)
d−4:エピコート1007
(油化シェルエポキシ社製;エポキシ当量1750〜2200)
e)溶剤: プロピレングリコールモノメチルアセテート 20g
【0023】
2)保護膜の評価
保護膜溶液をスピンコーターにて樹脂ブラックマトリックス、赤、緑、青でパターニングされたカラーフィルター基板上に塗布した。保護膜を塗布する前のカラーフィルターの着色画像部の最大−最小膜厚差は触針式膜厚計α−ステップ(テンコール社製)で測定したところ0.6μmであった。次にホットプレートで保護膜を80℃、1分間乾燥した。乾燥後の保護膜の膜厚はガラス基板上で3μであった。このサンプルをマスクを通して高圧水銀灯で1000mj/cm2 像露光した。温度25℃、濃度0.05wt%の水酸化カリウム水溶液に浸漬現像してパターニングした。さらに、これをコンベクションオーブンにて200℃で10分間熱硬化を行なった。こうして得られたサンプルについて以下の評価を行なった結果を表−1に示す。ただし、実施例22−27および比較例8−14については、保護膜の評価の際にアルカリ現像を行わなかった。
塗膜特性
熱硬化終了後のサンプル塗膜表面を目視観察して膜荒れの状態を評価した。膜荒れのあるものを×、無いものを○とした。
透明性
透明性はガラス基板上の保護膜(膜厚3μm)の透過率を分光光度計(日立製作所製 U−3000型)で測定し400nmにおける透過百分率により評価した。
平坦性
塗膜特性が良好なものについて測定した。保護膜で被われた着色画像部の最大−最小膜厚差をα−ステップにて測定し平坦化能力を評価した。
耐薬品性、密着性
耐薬品試験は塩化第2鉄25wt%、塩酸18wt%を含有する水溶液に45℃で30分間サンプルを浸せき後、カッターにて1mm角で100個の碁盤目ができるよう保護膜に傷をつけセロテープ剥離試験を行った。剥離した升目の百分率を求め保護膜の耐薬品性、密着性を評価した。すなわち、セロテープ剥離試験で剥離した升目のパーセンテージが低いものほど耐薬品性、密着性が高いことを示している。
評価基準 剥離
◎ : 0%
○ : 1〜 10%
△ : 11〜 30%
× : 31〜100%
鉛筆硬度
JIS D−0202に則り測定した。
【0024】
なお、樹脂は以下の合成例1に従って製造して用いた。
(合成例−1)
酸価200、分子量5000のスチレン・アクリル酸樹脂20g、p−メトキシフェノール0.2g、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド0.2g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40gをフラスコに仕込み、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート7.6gを滴下し100℃の温度で30時間反応させた。反応液を水に再沈殿、乾燥させて樹脂を得た。KOHによる中和滴定をおこなったところ樹脂の酸価は80であった。
【0025】
【表1】
Figure 0003735984
【0026】
【発明の効果】
本発明により得られた保護膜組成物は塗布性、透明性、平坦化能力、密着性、耐薬品性が高いため、樹脂ブラックマトリックスを具備したカラーフィルターの品質を著しく向上させることがきる。従って、本発明の保護膜組成物を用いることにより、高品位、低コストで液晶ディスプレー用カラーフィルターを製造することができる。なお、本発明の保護膜は樹脂ブラックマトリックスタイプのカラーフィルター製造のみならず、印刷法、電着法、染色法など従来の幅広いカラーフィルター製造にも適用が可能であり、歩留まり、信頼性、平坦性の向上をはかることができる。

Claims (18)

  1. (a)樹脂、(b)光重合開始剤の作用により硬化するモノマー、(c)光重合開始剤を含むカラーフィルター用保護膜組成物であって、(c)光重合開始剤がビイミダゾール化合物及び400nm以下に吸収ピークを有する増感剤を含む複合開始系であり、さらにエポキシ当量が400以上であるビスフェノール系エポキシ樹脂を配合したことを特徴とするカラーフィルター用保護膜組成物。
  2. (a)樹脂、(b)光重合開始剤の作用により硬化するモノマー、(c)光重合開始剤を含むカラーフィルター用保護膜組成物であって、(c)光重合開始剤がビイミダゾール化合物及び400nm以下に吸収ピークを有する増感剤を含む複合開始系であり、(c)光重合開始剤としてさらにチオール化合物を配合してなることを特徴とするカラーフィルター用保護膜組成物。
  3. (a)樹脂がアルカリ可溶性である請求項1又は2に記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  4. (a)樹脂が側鎖に重合基を有する請求項に記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  5. (a)樹脂が構成単位としてスチレン及び/または(メタ)アクリル酸を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  6. (a)樹脂側鎖の重合基が(メタ)アクリル基である請求項または記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  7. (a)樹脂側鎖の重合基が(メタ)アクリル基を有する脂環式エポキシ化合物により導入されたことを特徴とする請求項のいずれかに記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  8. (a)樹脂がエポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸の反応により得られる樹脂である請求項1又は2記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  9. 該エポキシ化合物がノボラックエポキシ樹脂である請求項記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  10. 該不飽和モノカルボン酸が(メタ)アクリル酸である請求項又は記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  11. 前記400nm以下に吸収ピークを有する増感剤としてカルボニル化合物を含む請求項1〜1のいずれかに記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  12. 該カルボニル化合物がベンゼン環及びカルボニル基を有する化合物である請求項1記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  13. 該カルボニル化合物が、さらにアミノ基を有する化合物である請求項1記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  14. 前記400nm以下に吸収ピークを有する増感剤としてアミノ基を有する安息香酸エステルを含む請求項1〜1のいずれかに記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  15. c)光重合開始剤としてさらに配合するチオール化合物が脂肪族多官能チオールである請求項2〜いずれかに記載のカラーフィルター用保護膜組成物
  16. (b)光重合開始剤の作用により硬化するモノマーが3官能以上のアクリルモノマーである請求項1〜1のいずれかに記載のカラーフィルター用保護膜組成物。
  17. 請求項1〜1記載の保護膜組成物で形成された保護膜を着色画像部の上部に設けたことを特徴とするカラーフィルター。
  18. カラーフィルターが樹脂ブラックマトリックスを有することを特徴とする請求項17のカラーフィルター。
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