JP3563836B2 - 麺類の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、加熱処理後、時間が経過してもこしの強さが損なわれにくい麺類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
うどん、中華麺等の麺類の食感は、いわゆるこしの強いものが好ましいとされている。このこしの強さは、加熱した際の、麺線の中心部から外層部への水分勾配が大きく関わっているといわれている。例えば、麺線が太く、茹で時間の長いうどんの場合、茹でた直後の水分量は、麺線の中心部で約65%、外層部で約75%である。また、麺線が細く、茹で時間の短い中華麺の場合、茹でた直後の水分量は中心部で約40%、外層部で約65〜75%である。また、この水分勾配は中心部から外層部に向かって連続しており、それによって中心部ほど硬い食感が得られ、この食感が麺類のこしとなっている。
【0003】
しかし、上記の水分勾配は、茹でた後、時間の経過とともに小さくなって平均化されてしまい、その結果、こしがなくなり、いわゆる伸びた状態となってしまう。この水分勾配は、麺を茹でた後、一度平均化してしまうと、最初の水分勾配まで戻すことは困難である。
【0004】
したがって、麺類は、例えば専門の飲食店で自家製麺したもののように、製造後、すぐ加熱処理し、直ちに食することが好ましいが、大半は、製麺工場で製造され、スーパーマーケットや小売店等へ配送されるため、製造後、所定の時間の経過はやむを得ないものとなっている。そのため、特に、茹で麺や、保存性を向上させた包装蒸煮麺(以下「LL麺」とする)においては、製造後の時間の経過に伴う食感の悪化が問題となっている。
【0005】
この保存性と食感の問題を解決するために種々の方法が検討されている。例えば、▲1▼加熱後、すぐに凍結させて、冷凍麺として保存する、▲2▼即席油揚げ麺、即席乾燥麺として保存する、▲3▼有機酸等を添加して麺線のpHを低下させて保存性を向上させる、▲4▼麺帯を、澱粉類を含有する外層と、澱粉類と加熱凝固性蛋白質とを含有する内層とにより三層構造にして、麺線の中心部と外層部の硬さを変えることにより水分勾配の替わりとする(特開平4−252149号)、▲5▼中間層にカードランを配合して多層構造にし、長期間保存してもこしが強い麺にする(特開平4−210570号)、▲6▼麺帯全体にトランスグルタミナーゼなどの酵素を練り込んで、蛋白質を架橋させた麺にする(特開平6−14733 号、特開平5−68498 号、特開平5−244887号)等が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、▲1▼の冷凍麺にする方法は、麺を茹でた後、冷凍するまでに所定の時間がかかるため、例えばうどんのような麺線の太い麺類においては、水分勾配の減少が比較的小さく、適用可能であるが、例えば中華麺のような麺線の細い麺においては、その時間の経過中に水分勾配が小さくなり、適用が困難であるという問題があった。
【0007】
また、▲2▼の即席油揚げ麺、即席乾燥麺にする方法は、食する際の復元性を速くするために、ガム類、澱粉類等を添加しているため、加熱しても十分な水分勾配が得られないという問題があった。
【0008】
更に、▲3▼の麺線のpHを低下させる方法は、麺帯製造時に有機酸等を添加すると製麺性に悪影響があるので、茹で工程以後に、含浸等の方法により有機酸を添加するので、この操作のために水分勾配が小さくなるという問題があった。
【0009】
更にまた、▲4▼の麺帯を三層構造にする方法は、中心部と外層部の硬さが段になっており、水分勾配のように連続的な硬さの変化ではないため、不自然さを感じ、生麺のようなこしにはならず、また、内層と外層との二種類の麺帯を製造しなければならないという問題があった。
【0010】
そしてまた、▲5▼の中間層にカードランを配合して多層構造にする方法も、上記▲4▼と同様な問題がある他、多層にすると麺を細くすることができず、更にカードランは中間層に分散して含有されているためその効果を十分発揮できないという問題があった。
【0011】
また、▲6▼の麺帯に酵素を練り込む方法は、酵素を麺帯全体に練り込むことから、連続的な硬さ勾配にはならないという問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、麺線の中心部から外層部への連続的な硬さ勾配をつくることによって麺に自然なこしを付与すると共に、加熱処理後長時間保存してもこしの強さが損なわれないようにした麺類の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の麺類の製造方法は、穀粉を主原料として麺帯を形成し、この麺帯の接合される面の少なくとも一方の面に、蛋白質の架橋重合をおこさせる酵素としてトランスグルタミナーゼ又はレンネットの粉末又は溶液を塗布し、この塗布面が内側になるように前記麺帯を接合させた後、圧延し、切断することを特徴とする。
【0014】
以下、本発明について好ましい態様を挙げて詳細に説明する。
本発明が適用される麺類としては、例えば、うどん、中華麺、日本そば、焼きそば、皮もの等の生麺、茹麺、蒸し麺、LL麺、冷凍麺、即席油揚げ麺、即席乾燥麺等が挙げられる。これらの麺類のうち、特に、加工度の上がった茹で、蒸し工程を経た麺類である、長期保存が可能なLL麺、茹麺、蒸し麺、冷凍麺、即席油揚げ麺、即席乾燥麺等に適用すると、本発明の効果がより有効に現れるので好ましい。
【0015】
本発明において麺帯の主原料となる穀粉としては、通常麺類を製造する際に用いるものを使用することができ、例えば、小麦粉、そば粉等が主に用いられるが、その他米粉、大麦粉等を用いることもできる。また、小麦粉は、製造しようとする麺類の種類に応じて、強力粉、準強力粉、中力粉等を選択して用いるのが好ましい。これらの穀粉には、グルテン等の蛋白質がある程度含まれており、本発明の方法は、この蛋白質の架橋重合反応を利用するものである。
【0016】
また、麺帯の原料としては、これらの穀粉の他に、食塩、かん粉、水等の通常の製麺時に用いる副原料や食品添加剤等を用いることができるが、更に、従来から麺質の改良に用いられている澱粉、化工澱粉、動植物性蛋白質、増粘多糖類等を用いると、本発明の効果をより一層向上させることができるので好ましい。澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、とうもろこし澱粉、米澱粉、蓮根澱粉、甘庶澱粉等が用いられ、化工澱粉としては、上記澱粉を、有機酸のエステル化、リン酸架橋、エーテル化、α化、加水分解等の方法で処理したものが用いられる。また、動植物性蛋白質としては、卵白、グルテン、大豆蛋白、ミルクアルブミン、カゼイン等を用いることができ、増粘多糖類としては、グアガム、カラギーナン、寒天等を用いることができる。
【0017】
本発明において蛋白質の架橋重合反応を起こさせる酵素とは、蛋白質の合成を司る酵素を意味し、本発明では、入手の容易さからレンネット、トランスグルタミナーゼ用いられ、トランスグルタミナーゼが特に好ましく用いられる。
【0018】
蛋白質の架橋重合反応を起こさせる酵素は、粉体又は溶液として用いられる。また、その塗布量は、酵素の種類や、酵素活性濃度によっても異なり、特に限定されるものではないが、例えば、トランスグルタミナーゼとして「アクティバTG−B」(商品名、味の素株式会社製)を用いる場合、0.1 〜1.0 重量%濃度の水溶液を、麺帯に対して0.1 〜1.0 重量%塗布するのが好ましい。
【0019】
本発明の麺類の製造方法においては、上記麺帯の少なくとも一方の面に、蛋白質の架橋重合をおこさせる酵素の粉末又は溶液を塗布し、この塗布面が内側になるように麺帯を接合させた後、圧延し、切断して麺線を得る。
【0020】
また、酵素を麺帯に塗布する方法は特に限定されないが、例えば、酵素の水溶液を用いる場合、噴霧、ブラシやロールなどによる塗り付け、シャワー、滴下等の方法により行うことができる。また、酵素の粉体を用いる場合、粉体のまま塗布する方法、デキストリン等の粉体に分散させて塗布する方法等を採用することができる。これらの塗布方法のうち、水溶液を噴霧する方法、ロールにより塗布する方法が好ましく採用される。
【0021】
酵素を塗布した麺帯を接合する方法としては、塗布面が内側になるようにすればいずれの方法でもよく、たとえば、二枚の麺帯を重ねる方法、一枚の麺帯を二つ折りする方法、一枚の麺帯の両端を中央部に折りたたむ方法、45°ずつスパイラルに折りたたむ方法等が採用されるが、これらのうち二枚の麺帯を重ねる方法が好ましい。なお、麺帯の接合される面の少なくとも一方の面に酵素が塗布されていればよい。
【0022】
また、麺帯に酵素を塗布した後、塗布した酵素を拡散浸透させる時間が必要である。その時間は、製麺工程のどの工程においてとってもよいが、麺帯熟成工程か、麺線熟成工程でとるのが好ましい。塗布した酵素を麺帯又は麺線に拡散浸透させる時間は、10〜120 分間程度とするのが好ましく、10〜60分間がより好ましい。
【0023】
以上説明した本発明の麺類の製造方法の一例として、LLうどんの場合について具体的に説明する。なお、以下に示すLLうどんの製造方法は一例であって、本発明はこの製造方法に限定されるものではない。
【0024】
中力粉70重量%と、タピオカ澱粉の酢酸エステル30重量%との混合粉に、3重量%濃度の食塩水を、混合粉に対して30〜40重量%添加し、混捏機で10〜20分間混捏した後、通常用いる成形ロールを通して、上下2枚の麺帯を得る。
【0025】
次いで、得られた2枚の麺帯のうち、下になる麺帯の表面に、0.5 重量%濃度のトランスグルタミナーゼである「アクティバTG−B」の水溶液を噴霧し、その後、上になる麺帯を重ねて、複合ロールを通して一枚の麺帯とする。続いて、この麺帯を、熟成コンベア等で1時間程度熟成させた後、圧延ロールを用いて、3〜4段階圧延操作を行って、厚さが3mmになるようにし、玉取機を用いて、切歯10番(切断幅30mm/10)で切断して麺線にして生うどんを得る。
【0026】
この生うどんを、一玉が100 〜200 gになるように分け、10〜15分間茹でた後、麺線のpHが4前後になるように乳酸溶液に浸漬し、耐熱性の樹脂製の袋に入れ、中心温度が85〜90℃となる条件下に30分間保持して加熱殺菌する。殺菌終了後、冷却してLLうどんを得る。
【0027】
【作用】
本発明においては、麺帯の少なくとも一方の面に、蛋白質の架橋重合をおこさせる酵素の粉末又は溶液を塗布し、この塗布面が内側になるように麺帯を接合させた後、圧延し、切断するので、麺帯の中心部に蛋白質の架橋重合をおこさせる酵素が付与され、この酵素が水分を媒体として麺帯の外層部に向かって拡散浸透することにより酵素の濃度勾配が生じ、この酵素の濃度勾配により蛋白質の架橋重合度の勾配が生じる。
【0028】
この蛋白質の架橋重合度の勾配による硬さ勾配により、加熱処理直後の麺類の水分勾配による食感と同様な食感を得ることができ、麺類の加熱処理後の時間経過により水分勾配が減少しても、加熱直後と同様な食感、すなわち麺類のこしを維持することができる。
【0029】
なお、例えば冷凍麺の場合は、麺類の加熱処理後の時間経過による水分勾配の減少が少ないが、この場合においても、麺類のこしの強さをより一層強くすることができるという効果がもたらされる。
【0030】
また、本発明の好ましい態様において、麺帯に、従来から行われている麺質改良方法と同様に、澱粉、化工澱粉、動植物性蛋白質、増粘多糖類等を含有させた場合には、本発明の効果がより一層向上する。
【0031】
【実施例】
実施例1
トランスグルタミナーゼとして、「アクティバTG−B」(商品名、味の素株式会社製)を用いて茹でうどん(LL麺)を製造した。
【0032】
中力粉700 gと、化工澱粉である「MT−01H」(商品名、日本食品化工株式会社製)300 gとを混合した後、食塩30gを水380 gに溶解させた水溶液を捏ね水として添加し、2kg用の混捏機で、15分間混捏してうどん生地を調製した。次いで、得られたうどん生地を、4寸ロールを用いて成形複合させて、厚さ6mmの麺帯を得た。
【0033】
この麺帯の約半分の部分に、0.5 重量%濃度の「アクティバTG−B」の水溶液5gを刷毛で塗った後、「アクティバTG−B」を塗った面を内側にして二つ折りし、ロールを通して厚さ8mmの複合麺帯とした。
【0034】
この麺帯を、熟成コンベアで1時間程度熟成させた後、圧延ロールを用いて、3段階の圧延操作を行って、厚さが3mmになるようにし、玉取機を用いて、切歯10番(切断幅30mm/10)で切断して麺線にした。
【0035】
得られた麺線を、pH5〜5.5 の湯で13分間茹で、水洗いした後、1重量%乳酸水溶液に60秒間浸漬し、水切りした。続いて、麺線の表面に油をまぶし、200 gずつに分けて、耐熱性の樹脂製の袋に入れてシールし、85〜90℃の湯の中に60分間浸漬して殺菌した。殺菌終了後、冷却し、LLうどんを得た。このLLうどんを実施例1とする。
【0036】
比較例1
実施例1における麺帯表面への「アクティバTG−B」の塗布の代わりに、実施例1での塗布量に相当する0.025 gの「アクティバTG−B」を、食塩水溶液に溶解させて捏ね水として用いて、「アクティバTG−B」をうどん生地全体に混捏した他は、実施例1と同様にして製麺を行い、得られた麺線を実施例1と同様に処理して、麺全体に「アクティバTG−B」を含有させて蛋白質の架橋重合を行わせたLLうどんを得た。このLLうどんを比較例1とする。
【0037】
試験例1
実施例1、比較例1のLLうどんを、5〜15℃の温度下に、4週間保存した。4週間経過後、袋から取出し、保温性のある容器に麺を移して熱湯を加え、蓋をして約2分間放置して麺を復元させ、濃縮麺汁を入れて、5人の経験豊かなパネラーに食べさせて官能試験を行った。
【0038】
なお、官能試験に際して、実施例1と同様の中力粉を用いて、生うどんを調製し、25分間茹でたものを標準1とした。
【0039】
官能試験の採点基準は、生麺類の食感のうち特に重視されている弾力性を50点、硬さを30点、滑らかさを20点として配点し、標準1の茹でたての生うどんを100 点として、減点法で評価した。これらの結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003563836
【0041】
表1の結果から、実施例1のうどんは、4週間保存後も、茹でたての生うどんに近い硬さ、弾力性、滑らかさを有しているが、比較例1のうどんは、4週間保存後は食感がかなり劣化することがわかる。
【0042】
実施例2
準強力粉780 gと、コーンスターチ200 gと、粉末グルテン20gとを混合し、食塩10gとかん粉5gとを、水360 gに溶解させた捏ね水を加え、実施例1と同様にして15分間混捏して中華麺の生地を得た。
【0043】
次いで、得られた中華麺の生地を、実施例1と同様に成形複合させて、厚さ6mmの麺帯を得た。
【0044】
この麺帯の約半分の部分に、1重量%濃度の「アクティバTG−B」の水溶液8gを刷毛で塗った後、「アクティバTG−B」を塗った麺を内側にして二つ折りし、ロールを通して厚さ1.5 mmの複合麺帯とし、切歯20番で切断して、150 gずつの麺線として、生中華麺を得た。
【0045】
得られた生中華麺を、実施例1と同様に60秒間茹で、水洗いした後、実施例1と同様に処理してLL中華麺を得た。このLL中華麺を実施例2とする。
【0046】
比較例2
実施例2における麺帯表面への「アクティバTG−B」の塗布の代わりに、実施例2での塗布量に相当する0.08gの「アクティバTG−B」を、食塩水溶液に溶解させて捏ね水とし、この捏ね水を中華麺生地全体に混捏した他は、実施例2と同様にして製麺を行い、得られた麺線を実施例2と同様に処理して、麺全体に「アクティバTG−B」を含有させて蛋白質の架橋重合を行わせたLL中華麺を得た。このLL中華麺を比較例2とする。
【0047】
試験例2
実施例2、比較例2のLL中華麺を、5〜15℃の温度下に、4週間保存した。4週間経過後、袋から取出し、保温性のある容器に麺を移して熱湯を加え、蓋をして約2分間放置して麺を復元させ、濃縮麺汁を入れて、5人の経験豊かなパネラーに食べさせて官能試験を行った。
【0048】
なお、官能試験に際して、実施例2と同様の準強力粉を用いて、生中華麺を調製し、60秒間茹でたものを標準2とした。
【0049】
官能試験の採点基準は、試験例1と同様にし、標準2の茹でたての生中華麺を100 点として、減点法で評価した。これらの結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0003563836
【0051】
表2の結果から、実施例2の中華麺は、4週間保存後も、茹でたての生中華麺に近い硬さ、弾力性、滑らかさを有しているが、比較例2の中華麺は、4週間保存後は食感がかなり劣化することがわかる。
【0052】
実施例3
強力粉400 gと、化工澱粉である「MT−01H」(商品名、日本食品化工株式会社製)255 gと、そば粉300 gと、粉末グルテン45gとを混合し、水380 gを加えて15分間混捏して日本そばの生地を得た。
【0053】
次いで、得られた日本そばの生地を、実施例1と同様に成形複合させて、厚さ6mmの麺帯を得た。
【0054】
この麺帯の約半分の部分に、0.5 重量%濃度の「アクティバTG−B」の水溶液5gを刷毛で塗った後、「アクティバTG−B」を塗った麺を内側にして二つ折りし、ロールを通して厚さ8mmの複合麺帯を得た。
【0055】
得られた複合麺帯を、室温で30分間熟成させた後、圧延操作を3回繰り返して厚さ1.5 mmの麺帯とし、切歯20番で切断し、150 gずつに分けた。
【0056】
これらをそれぞれ湯中で、2分30秒間茹でた後、水洗いして樹脂製の袋に入れてシールし、凍結させて冷凍日本そばを得た。この冷凍日本そばを実施例3とする。
【0057】
比較例3
実施例3における麺帯表面への「アクティバTG−B」の塗布の代わりに、実施例3での塗布量に相当する0.025 gの「アクティバTG−B」を、食塩水溶液に溶解させて捏ね水とし、この捏ね水を中華麺生地全体に混捏した他は、実施例3と同様にして製麺を行い、得られた麺線を実施例3と同様に処理して、麺全体に「アクティバTG−B」を含有させて蛋白質の架橋重合を行わせた冷凍日本そばを得た。この冷凍日本そばを比較例3とする。
【0058】
試験例3
実施例3、比較例3の冷凍日本そばを、4週間冷凍保存した。4週間経過後、電子レンジで解凍し、水洗いしてもりそばとし、5人の経験豊かなパネラーに食べさせて官能試験を行った。
【0059】
なお、官能試験に際して、実施例3と同様の強力粉700 gと、そば粉300 gとを用いて、生日本そばを調製し、2分30秒間茹でたものを標準3とした。
【0060】
官能試験の採点基準は、試験例1と同様にし、標準3の茹でたての生日本そばを100 点として、減点法で評価した。これらの結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
Figure 0003563836
【0062】
表3の結果から、実施例3の日本そばは、4週間冷凍保存後も、茹でたての生日本そばに近い硬さ、弾力性、滑らかさを有しているが、比較例3の日本そばは、4週間冷凍保存後は食感がかなり劣化することがわかる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、麺帯の少なくとも一方の面に、蛋白質の架橋重合をおこさせる酵素の粉末又は溶液を塗布し、この塗布面が内側になるように麺帯を接合し、圧延し、切断するようにしたので、麺体の接合面に配置された酵素が水分を媒体として麺帯の外層部に向かって拡散浸透して酵素の濃度勾配が生じ、この酵素の濃度勾配により蛋白質の架橋重合度の勾配が生じ、この蛋白質の架橋重合度の勾配により硬さ勾配が生じて、加熱処理直後の麺類の水分勾配による食感と同様な食感が得られ、加熱処理直後はもちろん、加熱処理後、時間が経過してもこしが強い麺類とすることができる。したがって、特に、茹麺、LL麺等、加熱処理後、時間の経過にともない、麺線内の水分勾配が小さくなって、こしがなくなってしまいやすい麺類に好適である。

Claims (3)

  1. 穀粉を主原料として麺帯を形成し、この麺帯の接合される面の少なくとも一方の面に、蛋白質の架橋重合をおこさせる酵素としてトランスグルタミナーゼ又はレンネットの粉末又は溶液を塗布し、この塗布面が内側になるように前記麺帯を接合させた後、圧延し、切断することを特徴とする麺類の製造方法。
  2. 前記酵素がトランスグルタミナーゼである請求項1記載の麺類の製造方法。
  3. 前記麺帯が、穀粉の他に、澱粉、化工澱粉、動植物性蛋白質、増粘多糖類から選ばれた少なくとも一種を含むものである請求項1又は2記載の麺類の製造方法。
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