JP3198697B2 - 多層麺の製造法 - Google Patents

多層麺の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層生麺の製造法、並
びに常温流通が可能で、喫食時にゆでたと同様な弾力
(こし)、堅さ及びなめらかさを味わえる包装ゆで麺の
製造法に関する。更に詳しくは、特に、ゆで麺を酸性下
で加熱殺菌しても又はレトルト殺菌を施しても麺独特の
弾力、堅さ及びなめらかさのある食感を維持することが
出来る常温流通可能な包装ゆで麺の製造法に係わる。
【0002】
【従来の技術】美味しくゆで上げられた麺類は、中心部
に多少なりとも芯を持っていることが知られている。ゆ
で上げられた麺の中心部の水分は約50%程度で、表層
部の水分は約85%である。ゆで延びした状態とは、こ
の水分分布が両部分を通じて均一化することが原因であ
る。
【0003】長期間保存を目的とした包装ゆで麺の分野
で成功した例として冷凍麺が挙げられる。これは美味し
い状態にゆで上げられた麺を瞬間凍結することで、表層
部と中心部の水分分布を固定させたもので、−18℃以
下で保存する限り、長期間美味しさを保つことができ
る。
【0004】しかしながら、常温流通を前提とすると、
一度ゆでた麺をレトルト殺菌や酸性下での加熱殺菌が必
要となる。一度ゆで上げた麺を、殺菌を目的として再度
加熱すると麺の水分分布が均一化されてしまい、麺の美
味しさの源であるやや芯のある食感は維持できない。
【0005】麺類のゆで延び防止策として、麺帯を多層
化する試みがなされている。具体的には、特公昭54−
40621、同56−49540、同56−54129
等が挙げられるが、これらはいずれもゆで麺の状態で常
温流通させるための技術ではないため、常温流通を可能
とする殺菌を施すと麺のこしの強さは必然的に低下する
ものである。
【0006】一方、常温流通可能な麺類の製法として、
特願平3−030307、特願平4−32325、特願
平4−50648等のごとくトランスグルタミナーゼを
麺生地に添加し、小麦グルテンの架橋構造を強化して麺
のこしを強める方法が開発されている。しかしながら、
これらの方法により得られたものを常温流通を可能にす
るために殺菌を施すと、ゆで麺状態のこしを保持するこ
とは出来るが、麺の美味しさの重要な要素であるところ
の、芯を持つ不均一な食感が消失して均一な食感になる
ことや、なめらかさが不足する傾向が認められる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題とすると
ころは、長期間の常温流通を可能とする包装ゆで麺の製
法、特にレトルト殺菌又は酸性下加熱殺菌に付しても麺
の食感の劣化の生じない、すなわち、弾力、硬さ及びな
めらかさが共に保持され得る製法を開発し、提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、ゆで麺類を製造する工程
において、麺に多層構造を持たせること、具体的にはゆ
で上げ時に芯となるべき内層にトランスグルタミナーゼ
を添加することを必須とし、外層にはなめらかさを付与
すべく内層に比してトランスグルタミナーゼの添加量を
減じた麺生地を用いることで、レトルト処理又は酸性下
の加熱殺菌による、麺のこし、硬さ及びなめらかさの低
下を改善出来ることを見いだし、このような知見に基い
て本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、トランスグルタミナ
ーゼを添加した麺生地を内層とし、トランスグルタミナ
ーゼを添加しないか又は内層より添加量を減じた麺生地
を外層として積層して複合麺帯とし、これを切り出すこ
とを特徴とする多層生麺の製造法、及びこのようにして
得られる生麺を材料とする包装ゆで麺の製造法に関す
る。
【0010】以下、本発明を逐次詳細に説明する。
【0011】本発明の対象となる麺は、中華麺類、うど
ん、そば等の和風麺類、スパゲッティー、マカロニなど
のパスタ類、レーメン、ビーフン等のその他の麺であ
る。
【0012】本発明の方法は、ことに、常温流通可能な
ゆで麺で製造時にpHの変化が激しい麺、具体的には中
華麺に適用する意義は絶大である。理由を列挙するなら
ば、生中華麺をゆでたものはpHが10前後であり、酸
性下で加熱殺菌を施すと食感が軟化してしまい、商品価
値を失う。トランスグルタミナーゼを麺生地に添加する
ことで麺のこしは保持されるものの、なめらかさが不足
する傾向が認められた。一方、生中華麺をゆでたものに
レトルト殺菌を施すとpH10前後では著しく褐変し、
悪臭も発生するため、ゆで麺のpHを6〜8に低下させ
る必要が生ずる。pH10前後で麺のこしが出ているた
め、pHの低下は必然的に麺のこしの低下をもたらす。
【0013】これらの麺にトランスグルタミナーゼを添
加すれば、麺のこしは保持されるが、なめらかさが不足
するという問題が生ずる。この問題を解決するために本
発明者は、多層麺の中心層(内層)になる麺生地にはト
ランスグルタミナーゼを添加して麺のかたさ、こしを付
与し、表面(外層)になる麺生地にはトランスグルタミ
ナーゼを中心層以下で添加するかまたは全く添加しない
ことで麺の表面のなめらかさを付与できることを発見
し、本発明に至った。
【0014】本発明における多層麺類の調製法には、本
発明の特徴であるところの後に詳述するトランスグルタ
ミナーゼを使用する点を除いては特別の制限はなく、公
知の常法によることができる。すなわち、例えば、性質
の異なる麺帯を調製し、これを複数枚積層して複合、圧
延を行い、多層複合麺帯を得た後、切り出しを行って所
望の形に成形し、生麺とするもので、必要に応じて熟成
工程を加えて調製できる。麺帯の調製の概要は、水を含
む種々の原料を混練し、この麺生地を圧延ローラーを用
いて圧延して麺帯を得るものである。複数の麺帯を積層
する際の組合せ方法は無数に考えられるが、結果的に3
層とする場合は、厚さの比で見ると外層:内層:外層の
比を1:1:1〜1:5:1とするのが好ましい。外層
となる2つの麺帯は同質であっても異質であっても特に
かまわないが、製造上簡便であるために同質とするほう
が有利である。
【0015】麺帯の主原料である穀粉は、強力小麦粉、
準強力小麦粉、薄力小麦粉等を挙げることができる。そ
の他原料としては、馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスター
チ、タピオカ澱粉、酸処理澱粉、ハイアミロースコーン
スターチ等の各種澱粉、小麦グルテン、卵白、大豆蛋
白、乳蛋白、ゼラチン等の蛋白類、食塩類、必要に応じ
て油脂、食用色素、pH調整剤、乳化剤等を用いる。ま
た、中華麺用としてはかんすいを用いる。
【0016】内層と外層の組合せには特別の制限はない
が、(1)内層が小麦粉で、外層が小麦粉単独あるいは
小麦粉に澱粉又は/及び蛋白を添加したもの、(2)内
層が小麦粉に蛋白を添加したもので、外層が、小麦粉単
独あるいは小麦粉に澱粉又は/及び蛋白を添加したも
の、(3)内層が小麦粉に澱粉及び蛋白を加えたもの
で、外層が小麦粉単独あるいは小麦粉に澱粉又は/及び
蛋白を添加したもの、等が考えられる。
【0017】内層と外層の組合せの選択は、目的とする
麺類の食感により異なるものであり、本発明では特別の
制限はない。なお、中華麺では準強力粉、そしてパスタ
類では強力粉をベースに用いることが望ましい。
【0018】本発明が従来の多層麺の製造法と異なると
ころは、トランスグルタミナーゼを使用する点である。
すなわち、本発明の重要な特徴は、トランスグルタミナ
ーゼを添加した麺帯を内層とし、トランスグルタミナー
ゼを無添加又は内層より添加量を減じた麺帯を外層とし
て積層し、質の異なる麺帯が層状構造を持つように複合
することでサンドイッチ状の複合麺帯とする点にある。
換言すれば、複合麺帯の内層により強くトランスグルタ
ミナーゼを作用させる点に特徴がある。
【0019】以下、この点に付いて詳しく説明する。
【0020】本発明で用いられるトランスグルタミナー
ゼは哺乳類由来のもの(特公平1−50382参照)、
魚類由来のもの、植物由来のもの、微生物由来のもの
(特開昭64−27471参照)等が知られているが、
その由来を問わず使用できる。しかし、好ましくは微生
物由来のトランスグルタミナーゼを用いるのがよい。
【0021】内層におけるトランスグルタミナーゼの添
加量は、麺生地中のタンパク質1g当り0.1〜30ユ
ニット、好ましくは2〜10ユニットである。添加量が
0.1ユニット以下では当該酵素の無添加のものと食感
上の差異は見られず、一方、30ユニット以上では麺が
脆くなり、かつ酵素反応の進行が速やかに過ぎて希望す
る食感にコントロールすることが困難となる。外層に
は、トランスグルタミナーゼを内層におけるよりもより
少ない量で添加するか又は全く添加しない。なお、本発
明でいうトランスグルタミナーゼの活性の測定法及び定
義は、活性単位をも含めて、前出特開昭64−2747
1におけると全く同じである。
【0022】トランスグルタミナーゼは適宜な形で使用
することができ、例えば溶液として麺の原料に添加して
もよいし、また粉体希釈剤と混合して麺生地に添加して
もよい。
【0023】トランスグルタミナーゼの酵素作用を充分
に発揮させるためには、麺生地のpHは6〜8.5に保
つことが好ましく、また混練して得られた麺帯の表面の
水分の蒸散を抑制しつつ、15〜65℃にて20〜12
0分間程度ねかせる熟成工程を設けるとよい。
【0024】このようにして得られた複合麺帯は、例え
ば切り歯で切り出して多層生麺とする。このようにして
得られた多層生麺はそのまま流通に置くこともできる
が、これを包装ゆで麺に加工することで本発明の効果が
より顕著に奏せられ得る。
【0025】すなわち、上のようにして得られた複合麺
帯を切りだした生麺を完全又は不完全なゆで後にレトル
ト包材に収容し、レトルト殺菌に付すことで高品位の常
温流通可能な包装ゆで麺製品を得ることができる。レト
ルト殺菌の条件は、麺を充填した袋の中央部の熱履歴が
F0で4以上とするのが好ましく、またF0の上限は麺
の種類により異なるがF0=30程度である。また、生
麺を完全又は不完全なゆで後に例えば乳酸、酢酸、フマ
ール酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸などの
食用に供し得る酸の水溶液に浸漬してゆで麺のpHを
4.5以下に調整し、水切り後、包材に収容し、例えば
常圧で加熱殺菌に処することで高品位な常温流通可能な
包装麺製品を得ることができる。さらにまた、グルコノ
−δ−ラクトン又は/及びフマール酸の油脂コート物を
麺帯調製時に予め練り込み、その後の加熱処理によりグ
ルコノ−δ−ラクトンを加水分解させ又は/及び油脂コ
ートを溶解させることにより生じる酸を殺菌に利用する
のも実用的な殺菌法である。
【0026】なお、生麺製造時におけるトランスグルタ
ミナーゼの使用量にもよるが、生麺製造後においてもト
ランスグルタミナーゼの酵素作用が進行してゆで麺が硬
くなり過ぎるおそれがあれば、適時にゆでてトランスグ
ルタミナーゼを失活させるとよいことはいうまでもな
い。
【0027】
【作用】蛋白質に架橋を形成させる酵素であるトランス
グルタミナーゼをサンドイッチ状の複合麺帯の内層に外
層に対するより多く使用することにより、内層はトラン
スグルタミナーゼを原料中の蛋白質に作用させて蛋白質
間、蛋白質内の架橋構造を麺帯内に形成させ、硬さ及び
弾力を強化し、そして外層はトランスグルタミナーゼの
作用を減じて表面のなめらかさを保持し、例えばレトル
ト殺菌を施しても、なめらかさ、硬さ、及び弾力の好ま
しい食感の維持された多層麺が製造される。
【0028】
【実施例】以下に、本発明を実施例によりさらに詳しく
説明する。
【0029】実施例1(ゆで中華麺) 準強力小麦粉「特ナンバーワン」(日清製粉(株)製、
蛋白含量11.7%)1000g、食塩10g、粉末か
んすい「かんすいA」(日本コロイド(株)製)2g、
及び放線菌ストレプトベルチシリウムに属する微生物
(Streptoverticillium mobaraense IFO 13819)起源の
トランスグルタミナーゼ(比活性1.0/mg)を第1
表に示した種々の添加量となるように秤量して水400
mlに溶解したものを原材料とし、常法に従い、荒延
べ、2枚合わせを行った後2mm厚まで圧延を行い、粗
麺帯(1)を得た。次に、同様にして前記配合の原材料
からトランスグルタミナーゼのみを除いた麺生地から
0.7mm厚の粗麺帯(2)を得た。因みに、粗麺帯
(1)のpHは8.0であった。なお、pHは、試料5
0gに蒸留水100gを加え、ブレンダーを用いて1分
間ホモゲナイズして得られる液についてpH複合電極を
用いて測定した。
【0030】粗麺帯(1)を内層とし、上下に粗麺帯
(2)を外層とし、サンドイッチ状に麺帯をかさね合わ
せ、複合、圧延を行って1.8mm厚の複合麺帯(3)
を得た。これを25℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に
いれ、60分間熟成を行なった後、丸歯22番で切り出
して生中華麺とした。
【0031】
【表1】
【0032】これらの生麺(4種類)を3分間ゆでてゆ
で麺を得た。このようにして得られたゆで麺をゆで直
後、並びに10℃で1時間及び1日間保存したものを官
能検査に付した。
【0033】官能検査は10名からなる専門パネルで行
い、温かいラーメンスープに麺をいれて、食感を重点的
に評価した。なお、ゆで直後を除き、経過時間毎の官能
検査は30秒間の再ゆでを行った後に実施した。
【0034】官能検査の結果を第2表に示した。
【0035】
【表2】
【0036】なお、かたさの評価は、ゆで麺No.1の
ゆで直後のかたさを基準(やわらかい)とした。また、
総合評価は、麺としての美味しさ(歯ざわり、歯切れの
良さ、弾力、かたさ、粘りなどのバランスの好ましさ)
を表わし、その評点は、専門パネルの感じた好ましさの
程度により10から0を配点させたもの(10点:好ま
しい、……5点:普通、……0点:好ましくない)の1
1点法による平均値である。
【0037】実施例2(レトルト殺菌中華麺) 強力小麦粉「オーション」(日清製粉(株)製、蛋白含
量13%)1000g、食塩10g、粉末かんすい「か
んすいA」2g、及び実施例1におけると同じ起源のト
ランスグルタミナーゼ(比活性1.0/mg)を蛋白1
g当り5ユニット(650mg)となるように秤量して
水400mlに溶解したものを原材料とし、荒延べ、圧
延を行なって2mm厚の粗麺帯(1)を得た。一方、準
強力小麦粉「特ナンバーワン」(蛋白含量11.2%)
1000gに食塩10g、粉末かんすい「かんすいA」
2g及び水400gを混合した麺生地を荒延べ、圧延し
て0.7mm厚の粗麺帯(2)を得た。因みに、粗麺帯
(1)のpHは7.9であった。
【0038】粗麺帯(1)を内層とし、上下に粗麺帯
(2)を外層とし、サンドイッチ状に麺帯を積層し、圧
延を繰り返し、1.8mm厚の複合麺帯(3)を得た。
これを30℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽にいれ、4
0分間熟成を行なった後、丸歯22番で切り出して生中
華麺とした。
【0039】生中華麺を1分間ゆでた後、氷水で30秒
間冷却し、水切りを行ない、耐熱性の袋に180g計量
していれ、3gのサラダ油を加えて密封した。レトルト
殺菌は静置式で熱水循環方式とし、レトルト多層麺(包
装ゆで麺)Aを得た。レトルト条件はレトルトパウチの
中心部の熱履歴がF0値で10になるように設定した。
また、効果の確認用にレトルト多層麺Aからトランスグ
ルタミナーゼのみを除いたレトルト多層麺B(対照)を
調製した。さらに、また、トランスグルタミナーゼを5
ユニット/g蛋白添加した配合の粗麺帯(2)のみから
なる単層麺C(対照)を調製した。
【0040】以上の様にして調製したレトルト殺菌中華
麺(3種類)の品質評価を実施例1におけると同じ専門
パネルを使用して行い、品質、特に、かたさ、なめらか
さ、弾力性等の、食感を重点に評価した。官能検査の結
果を第3表に示す。
【0041】
【表3】
【0042】上表から分るように、本発明の対照である
Bはなめらかではあるが、弾力が無く、やわらかいもの
で、中華麺独特の食感の消失した好ましくない食感のも
のであった。一方、対照であるCは、かたくて弾力が強
いもののざらついたものであった。本発明のAは、かた
さ、なめらかさ及び弾力のバランスがとれていて最も好
ましいものであった。
【0043】実施例3(酸性下殺菌中華麺) 強力小麦粉「スーパーカメリヤ」(日清製粉(株)製、
蛋白含量11.5%)1000gに食塩10g、粉末か
んすい「かんすいA」2g、及び実施例1におけると同
じ起源のトランスグルタミナーゼ(比活性1.0/m
g)を蛋白1g当り5ユニット(575mg)となるよ
うに秤量して水400mlに溶解したものを添加し、常
法に従い、荒延べ、圧延を行って2.5mm厚の粗麺帯
(1)を得た。一方、準強力粉「特ナンバーワン」(蛋
白含量11.2%)に食塩10g、粉末かんすい「かん
すいA」2g及び水400gを混合した麺生地を荒延
べ、圧延して0.7mm厚の粗麺帯(2)を得た。因み
に、粗麺帯(1)のpHは7.9であった。
【0044】粗麺帯(1)を内層とし、上下に粗麺帯
(2)を外層とし、サンドイッチ状に麺帯を積層し、複
合を行ない、4mm厚の複合麺帯(3)を得た。これを
25℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽にいれ、60分間
熟成を行なった後、圧延を行い、最終的に1.8mm厚
の麺帯とし、丸歯22番で切り出して生中華麺とした。
生中華麺を1分間ゆでた後、水切りを行ない、0.5%
の乳酸水溶液に40秒間浸漬し、水切り後、耐熱性の袋
に180g計量していれ、90℃の浴槽で50分間加熱
して多層麺Aを得た。また、効果の確認用に多層麺Aか
らトランスグルタミナーゼのみを除いたレトルト多層麺
Bを調製した。さらにまた、トランスグルタミナーゼを
5ユニット/g蛋白添加した配合の粗麺帯(2)のみか
らなる単層麺C(対照)を調製した。
【0045】以上の様にして製造した、酸性下加熱殺菌
中華麺(3種類)の品質評価を実施例1におけると同じ
専門パネルを使用して行ない、実施例2におけると同様
に、品質、特に、かたさ、なめらかさ、弾力性等の、食
感を重点に評価した。結果を第4表に示す。
【0046】
【表4】
【0047】第4表から、本発明の対照であるBはなめ
らかではあるが、弾力が無くてやわらかいもので、中華
麺独特の食感の消失したものであった。一方、なめらか
さの対照であるCは、かたく弾力が強いもののややざら
ついたものであった。本発明のAは、かたさ、なめらか
さ及び弾力のバランスがとれていて最も好ましいもので
あった。
【0048】実施例4(酸性下殺菌スパゲッティー) デュラム小麦粉「レオーネB」(日清製粉(株)製、蛋
白含量13%)に食塩10g、及び実施例1におけると
同じ起源のトランスグルタミナーゼ(比活性1.0/m
g)を蛋白1g当り5ユニット(650mg)となるよ
うに秤量して水200mlに溶解したものを添加し、鶏
卵200gとともに真空混練機で脱気しながら混練して
スパゲティー生地を得た。これを製麺機にかけ荒延べ、
圧延を行なって3mm厚の粗麺帯(1)を得た。一方、
粗麺帯(1)からトランスグルタミナーゼを除いた生地
を荒延べ、圧延して0.7mm厚の粗麺帯(2)を得
た。因みに、粗麺帯(1)のpHは6.1であった。
【0049】粗麺帯(1)を内層とし、上下に粗麺帯
(2)を外層とし、サンドイッチ状に麺帯を積層して圧
延を行ない、2.5mm厚の複合麺帯(3)を得た。こ
れを25℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽にいれ、60
分間熟成を行なった後、最終的に丸歯20番で切り出し
て生スパゲティーを得た。これを4分間ゆでた後、水切
りを行ない、0.5%の乳酸水溶液に40秒間浸漬して
から水切りを行い、耐熱性の袋に180g計量してい
れ、90℃の温浴槽で50分間加熱して多層スパゲッテ
ィーを得た。
【0050】ミートソースをかけて官能評価したとこ
ろ、スパゲッティー独特の歯ごたえがあり、大変好まし
いとの評価を得た。
【0051】
【発明の効果】本発明により、なめらかさ、かたさ及び
弾力(こし)などの食感が改良され、かつ長時間食感を
保持できるゆで麺類が供給されるところとなった。
【0052】ゆで麺を常温流通可能とするところの、レ
トルト殺菌や酸性下加熱殺菌処理を施したのちでも、こ
の改良効果は顕著であるため、お湯されあれば麺類の本
格的なおいしさをどこでも楽しめる、新たな商品形態を
提供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 幸子 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1番1号 味の素株式会社食品総合研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスグルタミナーゼを添加した麺生
    地を内層とし、トランスグルタミナーゼを添加しないか
    又は内層より添加量を減じた麺生地を外層として積層し
    て複合麺帯とし、これを切り出すことを特徴とする多層
    生麺の製造法。
  2. 【請求項2】 内層のトランスグルタミナーゼ含量が、
    タンパク質1g当り2〜10ユニットである請求項1記
    載の多層生麺の製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の方法で製造した生
    麺を完全又は不完全なゆで後にレトルト包材に収容し、
    レトルト殺菌に付することを特徴とする包装ゆで麺の製
    造法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の方法で製造した生
    麺を完全又は不完全なゆで後に酸溶液に浸漬し、包材に
    収容し、加熱殺菌に付することを特徴とする包装ゆで麺
    の製造法。
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