JP3563234B2 - 塩化ビニル系重合体ラテックスの製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体ラテックスの製造方法 Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系重合体ラテックスの製造方法に関する。詳しくは、本発明は、重合反応時の酸素濃度を制御することにより重合反応速度の変動を抑え、白度の高い成形品を与えることのできる塩化ビニル系重合体ラテックスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル系重合体のラテックスや、ペーストレジンを得る目的で、塩化ビニルの乳化重合が行われる。塩化ビニルの乳化重合は、水分散媒、アニオン性又はノニオン性界面活性剤の乳化剤、水溶性の重合開始剤などを用い、冷却ジャケット付き耐圧重合器中で比較的緩徐な攪拌を行いつつ、界面活性剤の作用によって塩化ビニル単量体を微細な液滴に乳化させ、単量体を包む界面活性剤ミセル層内で重合を進め、粒径0.05〜0.5μm程度の微小球形樹脂をラテックスとして得るものである。
乳化重合法よりも更に大きい粒径を有する粒子のラテックスを得るために、予備重合した重合体ラテックスを種子として用い、乳化剤を連続的または断続的に添加して種子のポリマー粒子の全表面積を単分子層でカバーするのに必要な理論量の20〜60%に保ちつつ重合することにより、新たな微小粒子の生成を防ぎつつ種子粒子のみを太らせるための被覆重合を行う播種乳化重合が行われている。
また、ラテックスやペーストレジンを得る別の方法としては、水を分散媒とし、単量体、乳化剤、油溶性の重合開始剤等の混合物を、ホモジナイザ等を用いて微細な液滴に分散させたのち重合する微細懸濁重合や、微細懸濁重合で得られた重合体を種子粒子として更に被覆重合を行う播種微細懸濁重合等も行われている。
【0003】
これらの回分式の重合方法の中で、乳化重合、播種乳化重合および播種微細懸濁重合においては、重合反応時の酸素濃度がある一定値以上あると重合反応開始までの誘導期間が長くなったり、重合反応速度が低下したりして重合時間が延びる現象を惹起する。また、そのような重合反応を経て得られるラテックス粒子がラテックス加工やペースト加工に供されると、色調が黄色系もしくは赤色系にくすんで白度の低い成形品が得られる問題がある。
重合反応開始時の酸素濃度を低減するために重合器内の脱気を強化しようとしても、単に真空操作に時間をかけるだけでは、現実には酸素濃度を単量体重量に対して35ppm以下にすることは困難で、不可能に近いことである。
そこで、脱気操作に次いで窒素等の不活性ガスを導入し、再び脱気操作を施すことを繰返すことによって酸素濃度を低減することが行われている。しかし、この方法は、窒素置換工程が複数必要であり、操作が繁雑であることに加えて、操作時間が長くなり生産性を低下させる欠点を有している。
このため、簡易的な方法で重合反応間での変動が少なく、酸素濃度を低減させる重合方法の開発が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情の下で、簡便な方法で重合器内の酸素濃度を低く制御して白度の高い成形品を与えることのできる塩化ビニル系重合体ラテックスを安定した反応で生産性よく製造する方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、重合器内に一定の酸素濃度及び温度の水を張って一定の脱気操作と組合わせることにより上記の目的が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、塩化ビニルまたは塩化ビニルおよびこれと共重合し得る不飽和単量体の混合物を回分式で乳化重合、播種乳化重合または播種微細懸濁重合して塩化ビニル系重合体ラテックスを製造するに際し、重合器内を100torr以下に脱気してから酸素濃度5ppm以下である30〜90℃の水を仕込み、次いで攪拌しつつ重合器内の水を40〜80℃に保ち、気相を150torr以下に再脱気した後、単量体を仕込み、重合反応開始時の重合器内の酸素濃度を仕込み単量体重量に対して25ppm以下にすることを特徴とする塩化ビニル系重合体ラテックスの製造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明方法は、塩化ビニル又は塩化ビニル及びこれと共重合し得る不飽和単量体の回分式の乳化重合、播種乳化重合及び播種微細懸濁重合に適用される。本発明方法を塩化ビニル及びこれと共重合し得る不飽和単量体の共重合に適用する場合には、単量体混合物中の塩化ビニルの量が50重量%以上であることが好ましく、75重量%以上であることがより好ましい。
本発明方法において、塩化ビニルと共重合し得るエチレン系不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル等の不飽和モノカルボン酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和アミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;マレイン酸、フマール酸等の不飽和ジカルボン酸並びにこれらのエステル及びこれらの無水物;N−置換マレイミド類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;更に塩化ビニリデン等のビニリデン化合物等を挙げることができる。
【0007】
本発明方法は、重合器の圧力を100torr以下にする第1回目の脱気操作の段階、加温された水を仕込む段階、重合器内の水を40〜80℃に保ちつつ気相を150torr以下にする第2回目の脱気操作の段階及び単量体を仕込んで重合反応を行う段階を含む。
第1回目の脱気操作では、重合器内圧力を100torr以下、好ましくは50torr以下にする。重合反応が播種乳化重合または播種微細懸濁重合の場合は、種子重合体ラテックスを仕込む必要がある。種子重合体ラテックスの重合器への仕込みは、第1回目の脱気操作の後でも、それに続く温浄水の仕込みの後でもよいが、通常、第1回目の脱気操作の前に重合器に仕込む。種子重合体ラテックスの仕込みは、配管を通して行ってもよいしマンホールから投入してもよい。種子重合体ラテックスの水の酸素濃度は、5ppm以下であることが好ましい。第1回目の脱気操作に次いで、温浄水を重合器に所定量仕込む。本発明方法において、重合反応の媒体として重合器に仕込まれる水は30〜90℃、好ましくは40〜80℃の温浄水である。該温浄水は、イオン交換樹脂により金属イオンを除去された水または蒸留水であると好ましい。該温浄水の温度が30℃より低いと、温浄水に溶存可能な酸素の濃度が大きくなることに加えて、水温を40〜80℃に調整するのに手間を要する。また、仕込まれる温浄水の温度が90℃より高いと、重合器内の温度が重合反応温度より高くなり、無駄な冷却操作が必要になる。
本発明において該温浄水は、酸素を5ppm以下、好ましくは3ppm以下含有するものである。酸素濃度が5ppmより大きいと、第2回目の脱気操作だけでは酸素を仕込み単量体重量当り25ppm以下に抑えられない可能性がある。該温浄水は、重合器に仕込まれる前に貯槽において上記温度範囲に制御されていることが好ましい。また、上記貯槽にて窒素バブリングが行われれば、温浄水の溶存酸素が一層低減するので好ましい。
【0008】
本発明において、重合反応に必要な乳化剤および水溶性の重合開始剤の添加時期は必ずしも限定されないが、温浄水を仕込んだ段階で添加されることが多い。重合開始剤を40〜80℃の水に60〜180分以上接触させると、分解によりラジカル量が不足する可能性があるので、単量体の仕込み直前または仕込み中に重合開始剤を添加することが好ましい。ただし、播種微細懸濁重合の場合は重合開始剤は種子重合体中に残存する油溶性重合開始剤で足りるので新たな添加は不要である。
温浄水を仕込んだことによる水蒸気圧上昇や空間容積の減少により、重合器の圧力は第1回目の脱気操作による圧力から、真空度が減少された状態に復圧する。
次に、攪拌しつつ重合器内の水相をジャケットなどにより40〜80℃、好ましくは50〜70℃に保って第2回目の脱気操作を行い、缶内を150torr以下、好ましくは130torr以下の圧力にする。第1回目の脱気による圧力が100torrより高いと、また第2回目の脱気による圧力が150torrより大であると重合器内の酸素量が十分に除去できず、誘導期間、反応遅延または成形品の白度不良等の問題を解決し得ない。また、第2回目の脱気操作時の水相の温度が40℃より低いと、水蒸気圧が小さくなる分、脱気操作で除去される酸素の量が少なくなる。一方、水相の温度が80℃より高いと、重合反応温度より高いので後で冷却する無駄な操作を要することになる。
【0009】
第2回目の脱気操作の後、単量体を仕込み、次いで、単量体の導入により下降した重合器内の温度を所定の反応温度に昇温して重合反応を開始する。重合反応温度は30〜80℃であることが好ましい。
本発明方法においては、2回の脱気操作と特定の温浄水の使用とを組合わせることが必要で、更に、単量体を仕込んでから昇温して重合反応を開始する時点における重合器内の酸素濃度が単量体重量に対し25ppm以下であることを要する。重合反応開始時の系内の酸素濃度が15ppm以下であれば、本願発明の効果がより優れたものとなり、好ましい。本発明において、上記の2回の脱気操作と特定の温浄水の使用との組合わせにより、効率的に酸素濃度25ppm以下を実現することができる。
重合反応開始時の系内の酸素濃度が単量体重量に対し25ppmを超えると、重合誘導期間が認められるようになったり重合反応速度が低下したりして重合反応が長びき、また、得られた塩化ビニル系重合体ラテックスを用いて成形された製品が黄色又は薄赤色を帯びるなどして白度が悪化する。
重合反応開始時の酸素濃度を25ppm以下に抑えさえすれば、反応の経過での酸素濃度を管理する必要がなく、本発明の前記目的が達成される。
【0010】
本発明方法に用いられる乳化剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ラウリン酸ナトリウム、半硬化牛脂脂肪酸カリウム等の脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩等のエトキシサルフェート塩;アルカンスルホン酸塩;アルキルエーテル燐酸エステルナトリウム塩;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル等のノニオン性界面活性剤等を挙げることができる。乳化剤は初期添加のみの方法と、粒径の肥大化のために重合の進行に合わせて追加添加をも行う方法とがあるが、使用量は単量体100重量部に対し、0.1〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部が更に好ましい。
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物;これらの水溶性過酸化物又はクメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシドに、酸性亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、アスコルビン酸等の還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤;2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩等の水溶性アゾ化合物等を挙げることができる。
【0011】
本発明方法に使用する重合器には特に制限がなく、容量は10〜100mが適当である。ジャケットは在来型の外套方式でも、あるいは特公平3−4249号公報に記載されたような伝熱係数の改善された内部ジャケット方式でもよい。また反応時間短縮のために還流凝縮器を付帯させて除熱能力を上げたものを使用してもよい。
本発明方法においては、重合条件によって連鎖移動剤、架橋剤、スケール防止剤等の公知の添加剤を適宜使用することができる。
本発明方法によれば、重合器内脱気時に窒素などの不活性ガスによる置換を行わずに酸素濃度を低減でき、酸素濃度が、重合開始時単量体重量に対し25ppm以下に簡便に制御することができる。これにより誘導期間の発生を防ぎ得、重合反応を遅延させることなく、得られる加工製品の白度を改良することができる。
【0012】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における、酸素濃度、酸素量等の測定や塩化ビニル系重合体より得られる加工製品白度評価は下記の方法により行った。
(1)浄水溶存酸素量 重合反応媒体に使用する浄水を溶存酸素計(飯島精密工業(株)製、MY900)を用いて測定する。
(2)単量体溶存酸素量 重合反応に使用する塩化ビニル単量体を真空耐圧容器中で気化させ、酸素測定装置(大阪酸素(株)製、ポータブル HERCH MKP−H型)により測定する。
(3)重合器気相酸素量
(イ)第1回脱気操作後 温度、重合器全容積および重合器の第1回脱気後の圧力より残存空気量を算出し、その21容量%を酸素容量とし、ボイル−シャールの法則により重量に換算する。
(ロ)第2回脱気操作後 第1回脱気操作での残存酸素量を基本に、第2回脱気操作後の重合器圧力と温浄水仕込み後の復圧した重合器圧力との比より重合器気相の残存酸素量を計算する。
(4)中心粒子径 レーザー散乱粒径分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザーMS−20)を用いて累積粒径分布を測定し、累積値が50重量%に当たる粒径として求める。
【0013】
(5)成形品白度 重合反応を経て製造された塩化ビニル系重合体ラテックスをスプレー乾燥して得られた樹脂粉100重量部に、可塑剤ジ−2−エチルヘキシルフタレート50重量部、炭酸カルシウム〔白石工業(株)製、ホワイトンH〕12重量部、酸化チタントナー〔日本ピグメント(株)製、NVS914W〕20重量部、Ba−Zn系熱安定剤〔旭電化工業(株)製、FL103A〕3重量部、発泡剤アゾジカルボアミド〔大塚化学(株)製、AZH25〕2重量部および粘度調整剤ミネラルスピリット〔日本石油(株)製、MSP〕7重量部を混合してプラスチゾルを調製して25℃に4時間放置後、離型紙上にコーターで厚み150μmに塗布する。これをギアオーヴンにて150℃で30秒間加熱してセミゲル化したシートを取出し、マルチオーヴンに入れ、245℃で25秒間加熱して発泡シートを作成する。この発泡体シートの白度を色差試験器〔スガ試験機(株)製、カラーコンピューターSM3〕にて測定する。b値は低いほど、L値は高いほど白度が高いことを意味する。b値が4以上であると黄色系のくすみが感じられる。
(6)ゾル粘度 重合反応を経て製造された塩化ビニル系重合体ラテックスをスプレー乾燥して得られた樹脂粉100重量部と可塑剤ジ−2−エチルヘキシルフタレート60重量部とを、温度25℃、相対湿度55%の恒温恒湿室中でらいかい機で混練してプラスチゾルを調製し、4時間静置後のゾルの粘度をブルックフィールド型粘度計〔東京計器(株)製、BL型〕、ローター4を用いて6rpmで測定する。
【0014】
実施例1
容量100リットルのグラスライニング重合器を用い、酸素濃度5ppmの水媒体に中心粒子径0.55μmの種子重合体35重量%を含む水性分散液4.32kgと開始剤である過硫酸カリウム21grとをマンホールより仕込み、その後マンホールを閉め、第1回目の脱気操作を行った。温度20℃にて約5分で重合器内圧力は収束し、真空度は36torrであった。次に、60℃に温調した、かつ、窒素バブリングして溶存酸素を2ppmに制御した脱陽イオン水を35kgを仕込んだ後、重合気内の水を撹拌しながら60℃に制御しつつ第2回目の脱気操作を行った。重合器内圧力は、温浄水仕込み後は500torrに復圧したが、第2回目脱気操作約5分で125torrに収束した。
重合器内の酸素量を計算する。
(第1回目脱気操作)
▲1▼種子ラテックス中の酸素 4.32×(1−0.35)×(5×10−6)=0.014g
▲2▼気相 空間部 100−4.32=95.7リットルだから酸素の量は、
(32g/mol)(36torr/760torr)(95.7リットル×0.21)/(0.0821)(273+20)=1.26g
(第2回目脱気操作)
▲1▼温浄水 35,000×(2×10−6)=0.07g
▲2▼気相 500torrに復圧した気相が125torrまで脱気されたので、
1.26×(125/500)=0.31g
次に、酸素を1ppm含む塩化ビニル21kgを仕込んだ。これによる重合器内に持ち込まれた酸素は、
21,000×(1×10−6)=0.021g
【0015】
結局、重合反応開始時に重合器内に存在する酸素の量は、
(種子ラテックス中)0.014g、(温浄水中)0.07g、(気相)0.31g、(塩化ビニル単量体中)0.021g、(合計)0.415g
従って、仕込み単量体重量当りの酸素濃度は、0.415/21,000=1.98×10−5
であり、20ppmであった。尚、種子重合体水性分散液仕込み開始から、単量体仕込み終了までの操作時間は20分であった。
撹拌速度100rpmで撹拌を開始し、一旦52℃まで低下した内容物の温度を重合缶のジャケットで加熱して55℃まで昇温した。重合器内の圧力は8kg/cmGになり、55℃に達してから重合反応が開始した。尚、種子重合体水性分散液仕込み開始から重合反応開始までの操作時間は25分であった。重合反応は反応温度55℃に制御しながら継続した。重合開始から8時間50分後、重合器内圧力が5kg/cmGにまで低下したので重合反応を終了した。次いで、撹拌機を停止し、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、ラテックスを取り出した。
重合体ラテックスの粒子の中心粒子径は1.30μmで、スプレー乾燥で得られた樹脂粉で調製したゾル粘度は3000CPであった。そして成形加工品白度は色差計b値で3.5、L値は93.4で白度は改良され満足できるレベルであった。評価結果を表1に示す。
【0016】
実施例2
第1回目の脱気操作の終了後に仕込む脱陽イオン水として、60℃に温調した、しかし、窒素バブリングしていない、溶存酸素を5ppmに制御した脱陽イオン水35kgを仕込んだほかは実施例1と同様に行った。
重合器内の酸素量を計算する。
(第1回目脱気操作)
▲1▼種子ラテックス中の酸素 0.014g
▲2▼気相の酸素 1.26g
(第2回目脱気操作)
▲1▼温浄水の酸素 35,000×(5×10−6)=0.175g
▲2▼気相の酸素 0.31g
▲3▼塩化ビニル単量体による重合器内に持ち込まれた酸素 0.021g
結局、重合反応開始時に重合器内に存在する酸素の量は、
(種子ラテックス中)0.014g、(浄水中)0.175g、(気相)0.31g、(塩化ビニル単量体中)0.021g、(合計)0.52g
従って、仕込み単量体重量当りの酸素濃度は、0.52/21,000=2.48×10−5
であり、25ppmであった。
そのほかの評価項目と合わせ、評価結果を表1に示す。
【0017】
比較例1
容量100リットルのグラスライニング重合器を用い、酸素濃度5ppmの水媒体に中心粒子径0.55μmの種子重合体35重量%を含む水性分散液4.32kgと開始剤である過硫酸カリウム21grとをマンホールより仕込み、その後マンホールを閉め第1回目の脱気操作を行った。20℃にて約5分で重合器内圧力は収束し、真空度は36torrであった。そして60℃に温調した、かつ窒素バブリングして溶存酸素を2ppmに制御した脱陽イオン水を35kg仕込んだ。その後実施例1の様な第2回目の脱酸素を行わずに、酸素を1ppm含有する塩化ビニル単量体21kgのの仕込み工程へ入った。
重合器内の酸素量を求める。実施例1と同様に計算する。
(種子ラテックス中)0.014g、(温浄水中)0.07g、(気相)1.26g、(塩化ビニル単量体中)0.021g、(合計)1.365g
従って、仕込み単量体当りの酸素濃度は、1.365/21,000=6.5×10−5
【0018】
結局、重合反応開始時に重合器内に存在する酸素の濃度は、仕込み塩化ビニル単量体重量に対し65ppmであった。尚、種子重合体水性分散液仕込み開始から、単量体仕込み終了までの操作時間は18分であった。
塩化ビニル単量体21kgを仕込んだ後、撹拌速度100rpmで撹拌を開始し、55℃まで昇温した。重合器内の圧力は8kg/cmGになり、55℃に達してから重合が開始した。尚、種子重合体水性分散液仕込み開始から重合反応開始までの操作時間は23分であった。重合反応は反応温度55℃に制御しながら継続した。実施例1の反応時間8時間50分では重合器内圧力は7kg/cmGにまでしか低下せずに、5kg/cmGまで下がるには9時間40分要した。その後、撹拌機停止し未反応の塩化ビニルを回収し、ラテックスを取り出した。
重合体ラテックスの中心粒子径は1.30μmで、ゾル粘度は3000CPであった。成形加工品白度は色差計b値で4.3、L値93.2で満足できるレベルではなかった。評価結果を表1に示す。
【0019】
比較例2
容量100リットルのグラスライニング重合器を用い、酸素濃度5ppmの水媒体に中心粒子径0.55μmの種子重合体35重量%を含む水性分散液4.32kgと開始剤である過硫酸カリウム21grとをマンホールより仕込み、その後マンホールを閉め第1回目の脱気操作を行った。20℃にて約5分で重合器内圧力は収束し、真空度は36torrであった。その後60℃に温調した、かつ窒素バブリングして溶存酸素を2ppmに制御した脱陽イオン水35kgを仕込み、重合器内を撹拌しながら60℃に調整して第2回目の脱気操作を行った。脱気操作は重合器内圧で500torrより250torrまで行った。次いで酸素を1ppm含有する塩化ビニル単量体21kgの仕込み工程に入った。
重合器内の酸素量を計算すると、
(種子ラテックス中)0.014g、(温浄水中)0.07g、(気相)1.26×(250/500)=0.63g、(塩化ビニル単量体中)0.021g、(合計)0.735g
従って、仕込み単量体当りの酸素濃度は、0.735/21,000=3.5×10−5
【0020】
結局、重合反応開始時に重合器内に存在する酸素の量は、仕込み塩化ビニル単量体重量に対し35ppmであった。尚、種子重合体水性分散液仕込み開始から、単量体仕込み終了までの操作時間は19分であった。
塩化ビニル単量体21kgを仕込んだ後、撹拌速度100rpmで撹拌を開始し、55℃まで昇温した。重合器内の圧力は8kg/cmGになり、55℃に達してから重合が開始した。尚、種子重合体水性分散液仕込み開始から重合反応開始までの操作時間は24分であった。重合反応は反応温度55℃に制御しながら継続した。終了は少し重合遅延し、重合開始9時間00分で重合器内圧力が5kg/cmGにまで低下したので重合終了した。撹拌機停止し、未反応の塩化ビニルを回収し、ラテックスを取り出した。
重合体ラテックスの中心粒子径は1.30μmで、ゾル粘度は3000CPであった。成形加工品白度は色差計b値で4.0で、L値93.0で満足できるレベルではなかった。評価結果を表1に示す。
【0021】
比較例3
容量100リットルのグラスライニング重合器を用い、酸素濃度5ppmの水媒体に中心粒子径0.55μmの種子重合体35重量%を含む水性分散液4.32kgと開始剤である過硫酸カリウム21grとをマンホールより仕込み、その後マンホールを閉め第1回目の脱気操作を行った。20℃にて約5分で重合器内圧力は収束し、真空度は36torrであった。次いで、一度窒素で2kg/cmGまで加圧してから第2回目の脱気操作にて再度36torrとした。その後60℃に温調した、かつ窒素バブリングして溶存酸素を2ppmに制御した脱陽イオン水35kgを仕込んだ後、重合器内を撹拌しながら60℃に調整し、続いて酸素を1ppm含有する塩化ビニル単量体21kgを仕込み、撹拌速度100rpmで撹拌を開始し、55℃まで昇温した。重合開始時の酸素量は、気相の酸素は無視できるとして、種子ラテックスの持込み分0.014g、浄水の持込み分0.07g及び塩化ビニル単量体の持ち込み分0.021gであるので、合計0.105gである。
従って、仕込み単量体重量当りの酸素濃度は、0.105/21,000=5×10−6
結局、重合反応開始時の重合器内の酸素濃度は、仕込み単量体重量に対して5ppmである。
【0022】
55℃に昇温してから重合が開始した。重合器内の圧力は8kg/cmGであった。尚、種子重合体水性分散液仕込み開始から重合反応開始までの操作時間は40分であった。重合反応は反応温度55℃で一定になるよう制御しながら反応を継続した。
重合開始8時間50分後、槽内圧力が5kg/cmGにまで低下したので重合終了した。撹拌機停止し、未反応の塩化ビニルを回収し、ラテックスを取り出した。
得られた重合体ラテックスの中心粒子径は1.30μmで、ゾル粘度は3000CPであった。そして加工品白度は色差計b値で3.5、L値で93.6で満足できるレベルであった。評価結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
Figure 0003563234
【0024】
注 *1 窒素置換2回脱気。
*2 種子重合体水性分散液仕込み開始から重合反応開始までの時間。
【0025】
【発明の効果】
本発明方法によれば、回分式の乳化重合、播種乳化重合または播種微細懸濁重合において、不活性ガスで置換を伴わない簡便な脱気操作で、効率的にかつ的確に酸素濃度を単量体重量に対して25ppm以下に抑えて重合反応を開始することができ、操作時間を短かくし、反応時間を遅延させず、かつ白度の高い成形品を与えることのできる塩化ビニル系重合体ラテックスを安定に製造できる。

Claims (1)

  1. 塩化ビニルまたは塩化ビニルおよびこれと共重合し得る不飽和単量体の混合物を回分式で乳化重合、播種乳化重合または播種微細懸濁重合して塩化ビニル系重合体ラテックスを製造するに際し、重合器内を100torr以下に脱気してから酸素濃度5ppm以下である30〜90℃の水を仕込み、次いで攪拌しつつ重合器内の水を40〜80℃に保ち、気相を150torr以下に再脱気した後、単量体を仕込み、重合反応開始時の重合器内の酸素濃度を仕込み単量体重量に対して25ppm以下にすることを特徴とする塩化ビニル系重合体ラテックスの製造方法。
    【0001】
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