JPH10139801A - 塩化ビニルの重合方法 - Google Patents

塩化ビニルの重合方法

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JPH10139801A
JPH10139801A JP29258896A JP29258896A JPH10139801A JP H10139801 A JPH10139801 A JP H10139801A JP 29258896 A JP29258896 A JP 29258896A JP 29258896 A JP29258896 A JP 29258896A JP H10139801 A JPH10139801 A JP H10139801A
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JP
Japan
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polymerization
vinyl chloride
stirring
finely dispersed
monomer
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JP29258896A
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Minoru Uchida
実 内田
Masaki Asahi
正樹 旭
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の粒径分布を有する塩化ビニル系重合体
ラテックスを、重合条件の制御により製造する。 【解決手段】 重合反応中に、乳化ないしは微細懸濁状
態が維持できない弱い撹拌と、これらの状態が維持され
る強い撹拌とを経由させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性媒体中に塩化
ビニル系単量体を微細に分散させて重合する方法に関す
るものである。特に本発明は、得られる重合体ラテック
スの粒径分布を容易に制御できる重合方法に関するもの
である。本発明によれば、ペースト用に好適な塩化ビニ
ル系重合体ラテックスを容易に製造することができる。
【0002】
【従来の技術】ペースト用塩化ビニル系重合体に可塑剤
等を配合したプラスチゾルは、塗布、浸漬、スプレーそ
の他の加工法により、床材や壁紙等の製造、自動車の防
錆塗装(アンダーコート)等、種々の用途に供されてい
る。床材・壁紙の製造に際しては、このプラスチゾルを
ナイフコーティング等の方法で基材上に塗布する方法が
広く用いられており、生産性向上のためプラスチゾルの
粘度、特に100sec -1以上のいわゆる高せん断速度
領域での粘度を低くすることがのぞまれている。また、
自動車のアンダーコートにはスプレー塗装法が多用され
ているが、この場合にも、噴霧の安定化のため高せん断
速度領域での低粘度化が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】プラスチゾルの流動性
を良くする手法の一つとして、個数基準の粒径分布にお
いて複数の極大値を有する塩化ビニル系重合体を用いる
ことが提案されている。例えば、特公昭61−8843
号公報には、粒径分布に2つの極大値を有する塩化ビニ
ル系ラテックスを混合して噴霧乾燥する事が開示されて
いる。また特開平7−53627号公報には、異なる製
法で得られた塩化ビニル系重合体ラテックスを混合し
て、粒径分布に3〜6個の極大値を有する塩化ビニル系
重合体ラテックスを製造することが開示されている。更
に、特開平5−155908号公報には、複数の塩化ビ
ニル系重合体ラテックスを混合して、粒径分布に複数の
極大値のあるシードラテックスとし、このシードラテッ
クスの存在下に重合を行い、塩化ビニル系重合体ラテッ
クスを製造することが記載されている。しかし、これら
の方法で採用されている複数のラテックスを混合する方
法は、操作が煩雑であり、また設備面でもラテックスタ
ンクの複数化や乳化機の設置といった設備投資が必要で
あり、工業的に実施するには解決すべき多くの問題点が
ある。本発明は広い粒径分布を有する、又は粒径分布に
複数の極大値を有する塩化ビニル系重合体ラテックスを
容易に製造する方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、水性媒
体中に塩化ビニル系単量体を微細に分散させ、水溶性重
合開始剤を用いて重合するに際し、重合反応中に、重合
反応系の撹拌の強さを変更して、微細分散状態が維持で
きない強さの撹拌(これは無撹拌を含み、本明細書では
これを弱撹拌ということがある)下での重合と、それに
引続く微細分散状態が維持される強さの撹拌(本明細書
ではこれを強撹拌ということがある)下での重合とを経
由させることにより、所望の粒径分布を有する塩化ビニ
ル系重合体ラテックスを製造することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明について詳細に説明する
と、本発明は塩化ビニル系単量体(本明細書において塩
化ビニル系単量体とは、塩化ビニル又は塩化ビニル及び
これと共重合可能な他の単量体との混合物を意味する。
混合物に占める塩化ビニルの割合は通常は80重量%以
上である。)を原料として、広い粒径分布又は複数の極
大値を持つ粒径分布を有する塩化ビニル系重合体を製造
する方法である。共重合可能な他の単量体としては、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等
のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビ
ニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ラウリルビニ
ルエーテル等のビニルエーテル類、アクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸やそのアルキ
ルエステル類、塩化ビニリデン、不飽和ニトリル等が挙
げられる。塩化ビニル系単量体は、これらの2種以上を
含んでいてもよい。
【0006】ペースト用塩化ビニル系重合体は、塩化ビ
ニル系単量体を水性媒体中に微細に分散させ、水溶性重
合開始剤を用いて重合することにより製造される。その
代表的な製法によれば、塩化ビニル系単量体を乳化剤を
含む水性媒体中に撹拌下微細に分散させ、引続き撹拌し
てこの微細分散状態を維持しつつ重合反応を行わせる。
本発明では、塩化ビニル系単量体を、水溶性重合開始剤
を用いて、常法により微細分散状態で重合するに際し、
重合反応中に撹拌の強さを変更することにより、生成す
る塩化ビニル系重合体ラテックスの粒径分布を制御す
る。
【0007】すなわち重合の過程において、弱撹拌の下
で一定時間重合を行い、次いで強撹拌の下で更に重合を
行うことを経由させることにより、生成する塩化ビニル
系重合体ラテックスの粒径分布が制御できる。その理由
は詳らかではないが、上記2つの撹拌条件下において重
合反応の進行状態が異なることによるものと考えられ
る。
【0008】水性媒体中に塩化ビニル系単量体を微細に
分散させ、水溶性重合開始剤を用いて常法により重合を
行う場合には、重合は一貫して強撹拌の下で行われ、且
つ通常は反応の途中において撹拌の強さが変更されるこ
とはない。この条件下では微細分散状態で存在する塩化
ビニル系単量体からの、重合の場である水相中への塩化
ビニル系単量体の移行は定常的に進行し、水相中に存在
する塩化ビニル系単量体の濃度はほぼ一定の高濃度に維
持される。その結果、水相中では重合が定常的に進行し
て狭い粒径分布を有する重合体ラテックスが生成するも
のと考えられる。
【0009】これに対し、弱撹拌の下では、塩化ビニル
系単量体が油層として分離したり、大きな油滴を形成し
たりして、水相との接触面積が著しく小さくなる。その
結果、水相中への塩化ビニル系単量体の移行速度が小さ
くなり、水相中では低濃度の塩化ビニル系単量体の存在
下に重合が行われることになる。このような低濃度での
重合を一定時間継続したのち、撹拌を強くして常法と同
じく塩化ビニル系単量体が水性媒体中に微細に分散して
いる状態下、すなわち水相中に高濃度の塩化ビニル系単
量体が存在する状態下で重合を行わせると、塩化ビニル
系単量体が低濃度の状態での重合により生成した粒子の
肥大生長と、新たな重合体粒子の生成及びその肥大生長
とが並行して進行し、結果として粒径分布の広い又は複
数の極大値を有する粒径分布の重合体ラテックスが生成
するものと考えられる。
【0010】弱撹拌は、典型的には、液相が水層と油層
に完全に分離するような撹拌である。しかし、2層に完
全に分離するに至らない場合でも、微細分散状態が不安
定となって、微細に分散している油滴が相互に結合して
大きな油滴を生じたり、塩化ビニル系単量体の一部が油
層として分離するような撹拌であってもよい。通常は撹
拌を30分間継続した場合において、液相の塩化ビニル
系単量体の50重量%以上が油層として分離して存在す
る強さの撹拌が用いられる。
【0011】弱撹拌は、その効果を十分に発現させるた
めには、通常は15分間以上継続して行うことが必要で
ある。30分間以上継続して行うのが好ましい。本発明
の好ましい態様では、液相の塩化ビニル系単量体の50
重量%以上が油層として分離している状態下で、15分
間以上、好ましくは30分間以上重合反応を継続する。
本発明を実施するに際し、弱撹拌と強撹拌とは、一般的
には重合反応系に投入される撹拌動力により選択でき
る。すなわち撹拌動力値が0.04kW/m3 以下、好
ましくは0.02kW/m3 以下での撹拌では、一般に
微細分散状態を維持することができない。逆に撹拌動力
値が0.06kW/m3 以上、好ましくは0.08kW
/m3 以上で撹拌すると、微細分散状態が維持される。
しかし投入される撹拌動力値が大き過ぎると凝集体が発
生するので、撹拌動力値は0.3kW/m3 以下、特に
0.2kW/m3 以下とするのが好ましい。
【0012】本発明では、通常は高い生産性を達成する
ため、強撹拌の下において大部分の重合反応を行わせ、
弱撹拌の下での重合は、生成する重合体の粒径分布を制
御するのに必要な限度で行わせる。弱撹拌の下での重合
は1回でもよく、数回反復してもよい。いずれの場合で
も、弱撹拌の下での重合に続く強撹拌の下での重合は、
30分間以上、好ましくは1時間以上継続する。この重
合時間が短いと、弱撹拌の下で重合を行った意義が薄れ
る。
【0013】本発明を実施するに際しての、弱撹拌と強
撹拌との組合せには、基本的には次の2通りがある。 弱撹拌で重合を開始し、途中で強撹拌に変更する
(弱撹拌−強撹拌) 強撹拌で重合を開始し、途中で弱撹拌に変更したの
ち、もう一強撹拌に変更する(強撹拌−弱撹拌−強撹
拌)
【0014】なお、上記の方法の変法として、例えば下
記のように、更に撹拌の強さの変更を繰返してもよい。 弱撹拌−強撹拌−弱撹拌−強撹拌 強撹拌−弱撹拌−強撹拌−弱撹拌−強撹拌
【0015】撹拌の強さの変更を更に反復することも勿
論可能である。そして生成する重合体は、一般に撹拌の
強さの変更回数が多いほど粒径分布が広くなったり、極
大値の数が多くなったりする。なお、前述の如く弱撹拌
においては重合速度が低下するので、最後は強撹拌で重
合を完結させるのが好ましい。本発明による塩化ビニル
の重合は、重合の途中において撹拌の強さを変更する以
外は、常法に従って行うことができる。例えば重合は予
じめ調製した種晶(シード)の存在下に行うことができ
る。
【0016】重合反応系に供給する乳化剤としては、高
級アルコール硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン
酸、高級脂肪酸等のアルカリ金属やアンモニウム塩等が
用いられる。またアニオン系界面活性剤を用いることも
できる。これらの界面活性剤は、2種以上を併用するこ
ともでき、またこれらにノニオン系界面活性剤を併用す
ることもできる。これらの乳化剤は、塩化ビニル系単量
体に対し、通常0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜
1.5重量%となるように使用する。また乳化助剤とし
て、炭素数10〜18の高級アルコールを0.2〜2重
量%併用することも好ましい。
【0017】重合開始剤としては、例えば過硫酸のナト
リウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩や過酸化水素等
の水溶性過酸化物が用いられる。また、これらの水溶性
過酸化物と水溶性還元剤、例えば亜硫酸ナトリウム、ピ
ロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコル
ビン酸、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
等からなる水溶性レドックス重合開始剤等も用いられ
る。これらの重合開始剤は、塩化ビニル系単量体に対
し、0.01〜0.5重量%、とくに0.01〜0.2
重量%程度の量を用いるのが好ましい。重合反応系には
更に、重合度調整剤その他の助剤類を添加してもよい。
重合度調整剤としては、トリクロルエチレン、四塩化炭
素、2−メルカプトエタノール、オクチルメルカプタン
等の連鎖移動剤、フタル酸ジアリル、イソシアヌル酸ト
リアリル、エチレングリコールジアクリレート、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート等の架橋剤が用い
られる。他の助剤としては、例えばレドックス重合開始
剤の活性化剤として作用する塩化第二銅、硫酸第1鉄、
硝酸第2ニッケル等の水溶性遷移金属塩や燐酸一水素又
は二水素アルカリ金属塩、フタル酸水素カリウム、炭酸
水素ナトリウム等のpH調整剤等が挙げられる。重合温
度は40〜75℃程度であり、重合時間は通常、4時間
〜12時間程度である。
【0018】本発明方法により製造された塩化ビニル系
重合体ラテックスは、常法により乾燥、粉砕等の製品化
処理を施して製品の塩化ビニル系重合体とする。その
際、必要に応じて常用の調整用乳化剤、酸化防止剤、そ
の他の助剤、改質剤等を添加してもよい。またこのよう
にして得られた塩化ビニル系重合体は、可塑剤、有機溶
剤、安定剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色
剤、離型剤等の配合剤を便宜配合してプラスチゾル又は
オルガノゾルとして用いられる。
【0019】なお塩化ビニル系重合体ラテックスの粒径
分布は、例えば堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒
度分布測定装置(LA910)を用いて測定することが
できる。小粒径部分が大粒径部分に影響されて精度よく
測定できない場合には、遠心沈降その他により大粒径部
分と小粒径部分とを分離して測定することにより精度を
上げることができる。
【0020】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例
において、重合率は塩化ビニルが全量供給されたものと
して計算した値である。また、実施例3においては重合
体ラテックスとして仕込まれたものも含めて重合率が計
算されている。
【0021】実施例1 撹拌機を備えた容積300Lの重合缶に、温度54℃の
脱イオン水90kg、過硫酸カリウム10g、ピロ亜硫
酸ナトリウム50g及びラウリル硫酸ナトリウム22g
を仕込み、脱気したのち約20分間撹拌して溶解させ
た。次いで撹拌下に重合缶の水相中に塩化ビニル15k
gをポンプを用いて約10分間で注入し、かつ、缶内温
度を50℃に調節した。単位容積当たりの消費撹拌動力
値を0.02kW/m3 として、油層が分離した状態で
撹拌しながら重合を行わせた。塩化ビニルの仕込み完了
後15分経過してから、総量で10gの過硫酸カリウム
を、0.2%過硫酸カリウム水溶液として、重合速度が
一定になるように制御しながら、重合終了時までかけて
添加した。また、塩化ビニルの仕込み完了後35分経過
してから、総量で45kgの塩化ビニルを液面の位置が
ほぼ一定となるように連続的に添加した。更に重合率が
約15%に達した時に、10%ラウリル硫酸ナトリウム
水溶液を約80ml/10分の速度で添加し、ラウリル
硫酸ナトリウムの総添加量が360gになるまで添加を
続けた。0.2%過硫酸カリウム水溶液添加開始後1時
間経過した時点で消費撹拌動力値が0.08kW/m3
となるように撹拌を強くして乳化状態で重合を続行し
た。缶内圧力が50℃での塩化ビニルの飽和圧力から1
960hPa(2kg/cm2 )降下した時点で反応を
停止し、未反応の塩化ビニルを回収して塩化ビニル重合
体ラテックスを得た。この重合体ラテックスの粒径分布
は表1の通りであり、粒径分布はブロードで、安定性は
良好であった。
【0022】比較例1 重合反応を一貫して消費撹拌動力値が0.1kW/m3
の強撹拌下で行った以外は、実施例1と同一の条件で重
合反応を行った。得られた重合体ラテックスの粒径分布
は表1の通りであり、粒径分布はシャープで、安定性は
良好であった。
【0023】
【表1】
【0024】実施例2 撹拌機を備えた容積300Lの重合缶に、温度54℃の
脱イオン水90kg、過硫酸カリウム10g、ピロ亜硫
酸ナトリウム50g及びラウリル硫酸ナトリウム22g
を仕込み、脱気したのち約20分間撹拌して溶解させ
た。次いで重合缶の水相中に塩化ビニル30kgをポン
プを用いて注入し、消費撹拌動力値が0.1kW/m3
となるように撹拌して乳化させ、かつ缶内温度を50℃
に調節して重合を開始させた。塩化ビニルの仕込み完了
後15分経過してから、実施例1と同じく総量で10g
の過硫酸カリウムを0.2%過硫酸カリウム水溶液とし
て、重合速度が一定になるように制御しながら、重合終
了時までかけて添加し、且つ重合率が約15%に達した
時に10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を約80ml
/10分の速度で添加し、ラウリル硫酸ナトリウムの総
添加量が360gになるまで添加を続けた。更に過硫酸
カリウム水溶液の添加と同時に、60kgの塩化ビニル
を0.5L/分の速度で連続的に重合缶に追加供給し
た。0.2%過硫酸カリウム水溶液の添加開始後1.5
時間経過した時点で、消費撹拌動力値が0.02kW/
3 となるように撹拌を弱くした。この弱撹拌で1.5
時間重合を行ったのち、再び消費撹拌動力値が0.1k
W/m3 の強撹拌に戻し、以後、重合完了までこの強撹
拌下で乳化状態で重合を行った。缶内圧力が50℃での
塩化ビニルの飽和圧力から1960hPa(2kg/c
2 )降下した時点で反応を停止し、未反応の塩化ビニ
ルを回収して塩化ビニル重合体ラテックスを得た。この
塩化ビニル重合体ラテックスは、2個の極大値を有する
粒径分布を有する粒子からなり、1個目の極大値は0.
32μmで、2個目の極大値は1.31μmであった。
ラテックスの安定性は、良好で有った。
【0025】実施例3 撹拌機を備えた容積300Lの重合缶に、脱イオン水8
0kg及び比較例1で調製された塩化ビニル重合体ラテ
ックスを固形分として3.0kg仕込んだ。脱気したの
ち塩化ビニル17kgをポンプで注入した。消費撹拌動
力値を0.02kW/m3 として、油層が分離した状態
で撹拌しながら、缶内温度を55℃に昇温したのち、過
酸化水素一ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレー
トのレドックス重合開始剤38.5gを連続的に添加し
た。更に重合率が10%に達した時点から、総量で50
0gのラウリル硫酸ナトリウムを61.6g/時の速度
で10%水溶液として連続的に添加した。また、レドッ
クス重合開始剤の添加開始から約35分経過してから、
総量で60kgの塩化ビニルを液面の位置がほぼ一定と
なるように連続的に供給した。レドックス重合開始剤を
添加してから1時間経過した時点で、消費撹拌動力値が
0.1kW/m3 となるように撹拌を強化し、以後、重
合完了までこの強撹拌下で乳化状態で重合を行った。缶
内圧力が55℃での塩化ビニルの飽和圧力から980h
Pa(1kg/cm2 )低下した時点で反応を停止し、
未反応の塩化ビニルを回収して塩化ビニル重合体ラテッ
クスを得た。得られたラテックスの粒子組成は、粒径
0.131μm、0.339μm及び1.318μmの
3点の極大値を示し、いわゆる3つのピークが独立した
3山粒径分布を有しており、ラテックスの安定性は良好
であった。
【0026】比較例2 実施例3において、一貫して消費撹拌動力値が0.1k
W/m3 の強撹拌下で重合を行った以外は、実施例3と
全く同様にして塩化ビニルの重合を行った。得られた塩
化ビニル重合体ラテックスの粒子組成は、粒径0.33
9μm及び1.318μmの2点の極大値を示し、かつ
粒径分布曲線において2つのピークが独立したいわゆる
2山粒径分布を有しており、安定性は良好であった。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば撹拌の強さを調節するだ
けで、種々の粒径分布を有する塩化ビニル系重合体ラテ
ックスを容易に得ることができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中に塩化ビニル系単量体を微細
    に分散させ、水溶性重合開始剤を用いて重合するに際
    し、重合反応中に微細分散状態が維持できない強さの撹
    拌下での重合と、それに引続く微細分散状態が維持され
    る強さの撹拌下での重合とを経由させることを特徴とす
    る塩化ビニルの重合方法。
  2. 【請求項2】 微細分散状態が維持できない強さの撹拌
    が、この撹拌を30分間継続した場合において、液相に
    ある塩化ビニル系単量体の50重量%以上が油層として
    分離して存在する強さの撹拌であることを特徴とする請
    求項1記載の塩化ビニルの重合方法。
  3. 【請求項3】 微細分散状態が維持できない強さの撹拌
    を30分間以上継続することを特徴とする請求項1又は
    2記載の塩化ビニルの重合方法。
  4. 【請求項4】 水性媒体中に塩化ビニル系単量体を微細
    に分散させ、水溶性重合開始剤を用いて重合するに際
    し、重合開始後30分間以上に亘り、塩化ビニル系単量
    体の少なくとも一部が油層として分離した状態で重合を
    行わせ、次いで塩化ビニル系単量体が水性媒体中に微細
    に分散していて油層として実質的に分離していない状態
    として30分間以上に亘り重合を行わせる過程を経由さ
    せることを特徴とする塩化ビニルの重合方法。
  5. 【請求項5】 水性媒体中に塩化ビニル系単量体を微細
    に分散させ、水溶性重合開始剤を用いて重合するに際
    し、重合開始後30分間以上に亘り塩化ビニル系単量体
    が水性媒体中に微細に分散していて実質的に油層として
    分離していない状態として重合を行わせ、次いで微細分
    散状態が維持できない強さの撹拌下に30分間以上に亘
    り重合を行わせ、更に塩化ビニル系単量体が水性媒体中
    に微細に分散していて油層として分離していない状態と
    して30分間以上に亘り重合を行わせる過程を経由させ
    ることを特徴とする塩化ビニルの重合方法。
  6. 【請求項6】 水性媒体中に塩化ビニル系単量体を微細
    に分散させ、水溶性重合開始剤を用いて重合するに際
    し、重合開始後30分間以上に亘り塩化ビニル系単量体
    が水性媒体中に微細に分散していて実質的に油層として
    分離していない状態として重合を行わせ、次いで液相の
    塩化ビニル系単量体の50%以上が油層として分離して
    いる状態下で30分間以上に亘り重合を行わせ、更に塩
    化ビニル系単量体が水性媒体中に微細に分散していて実
    質的に油層として分離していない状態として30分間以
    上に亘り重合を行わせる過程を経由させることを特徴と
    する塩化ビニルの重合方法。
  7. 【請求項7】 水性媒体中に塩化ビニル系単量体を微細
    に分散させ、水溶性重合開始剤を用いて重合するに際
    し、重合反応中に撹拌動力値が0.04kW/m3 以下
    の撹拌下での重合を30分間以上行わせる過程と、撹拌
    動力値が0.06kW/m3 〜0.3kW/m3 の撹拌
    下での重合を30分間以上行わせる過程とを経由させる
    ことを特徴とする塩化ビニルの重合方法。
  8. 【請求項8】 水性媒体中に塩化ビニル系単量体を微細
    に分散させ、水溶性重合開始剤の存在下に撹拌しながら
    重合するに際し、重合反応の途中で撹拌の強さを一時的
    に弱くする過程を経由させることにより、このような過
    程を経由させない場合に比して、粒径分布において極大
    値の数が多い重合体ラテックスを生成させることを特徴
    とする塩化ビニルの重合方法。
  9. 【請求項9】 重合反応を、予じめ調製された重合体粒
    子の存在下に行うことを特徴とする請求項1ないし8の
    いずれかに記載の塩化ビニルの重合方法。
JP29258896A 1996-11-05 1996-11-05 塩化ビニルの重合方法 Pending JPH10139801A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014173002A (ja) * 2013-03-08 2014-09-22 Tosoh Corp 塩化ビニル系重合体ラテックス組成物及びその製造方法並びに接着助剤、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液及びゴム組成物−繊維複合体
CN114599683A (zh) * 2019-09-19 2022-06-07 韩华思路信(株) 制造氯乙烯-丙烯酸共聚物胶乳的方法
CN114641511A (zh) * 2019-09-19 2022-06-17 韩华思路信(株) 制造氯乙烯-乙酸乙烯酯共聚物胶乳的方法

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