JP3561471B2 - 作業車の操作部構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、左右独立の走行駆動機構を備えた作業車、例えば、コンバイン、農用トラクタ等の作業車における走行部に設けたHST装置を操作するための操作部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、左右独立の走行駆動機構を備えた作業車として、例えば、コンバインがあり、同コンバインでは左右走行部をそれぞれ静油圧駆動機構(以下「HST」と称する)により走行駆動可能とし、各HSTのトラニオンレバーに、左右独立して設けた2本の操作レバーを連動連結して、同操作レバーにより操向操作が行えるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記したコンバインのように、左右のHSTを、独立した左右の操作レバーにて操作する場合は、車体の走行速度を調整する変速操作と、車体の操向を行う旋回操作を同一レバーにて操作しなければならないために、その操作性が悪く、運転操作を円滑に行うことができないという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、左右の走行部にそれぞれHST装置を設けた作業車において、上記HST装置に連結した操作ワイヤの先端部位を、変速レバーに連動して作動する支持部材にガイド体を介して摺動自在に係合させ、支持部材の作動により操作ワイヤの先端部位とガイド体との係合位置を変化させて、操作ワイヤを伸縮させることにより左右一対のHST装置をそれぞれ作動させて走行速度を変速すると共に、上記ガイド体を操向ハンドルに連動連結して、機体の回行時には、ガイド体が変速位置にある操作ワイヤをHST装置の減速側に伸縮させて、機体の操向を行うように構成したことを特徴とする作業車の操作部構造を提供するものである。
【0005】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0006】
図1に示すAは、本発明に係る操作部であり、同操作部Aは、左右一対のHST装置を具備する作業車としてのコンバイン等を、前・行進、左・右旋回、さらには、左・右急旋回操作することができるようにしており、左右一対のHST装置は、左右走行部を走行駆動するHST(図示せず)に増減速機構としての油圧モータ制御用の左斜板84と右斜板54とを設けて、各斜板84,54を操作部Aにより姿勢変更操作して、車体を上記のように操向操作することができるようにしている。
【0007】
操作部Aは、図1に示すように、操作台10を左右幅方向に長手状の矩形箱型に形成し、同操作台10の天井壁10c の中央部にハンドルコラム11を立設し、同ハンドルコラム11に取付けて上下方向に軸線を向けたハンドル支軸12の上端に操向ハンドルとしての丸型ハンドル18を取付ける一方、操作台10内に横架した主変速軸34の右側端突出部34a に、変速操作具としての主変速レバー35の下端をレバーステー36を介して取付けている。10a は脚部、10bはワイヤステー、13はギヤケース、14はギヤケース取付ブラケット、15は取付ボルト、16は主変速レバーガイド体、Fは床部である。
【0008】
そして、図3及び図4に示すように、操作台10の天井壁10c と床部10d の中央部間に上下方向に軸線を向けたハンドル支軸12の基部12a を回動自在に取付け、同基部12a の中央部にピニオンギヤ23を取付けている。26a は軸受体である。
【0009】
また、図2〜図4に示すように、操作台10の左右側壁10e,10f の前部間には、左右幅方向に軸線を向けたスライド軸28と主変速軸34とを前後方向に一定の間隔を開けて横架しており、主変速軸34は、断面形状を略三角形に形成して、回動自在に取付けている。26b は軸受体である。
【0010】
スライド軸28の中途部には、図3及び図5に示すように、スライド作用体25を左右幅方向に摺動自在に取付けており、同スライド作用体25は、スライド軸28にスライド自在に取付けた基部25a と、同基部25a に一体的に取付けて、主変速軸34の直下方に配置した作用体本体25b とから形成し、同作用体本体25b の下端部には、左右幅方向に伸延するラック24を取付け、同ラック24を前記ピニオンギヤ23に噛合させて、スライド作動機構を構成している。26c はラックガイド体である。
【0011】
このようにして、丸型ハンドル18を左方向又は右方向に回動操作すると、ハンドル支軸12の基部12a に取付けたピニオンギヤ23の回動動作に連動して、スライド作用体25がラック24を介して右側方又は左側方へスライド移動するようにしている。
【0012】
スライド軸28と主変速軸34の左右側部には、図2〜図5に示すように、支持部材としての左右一対の左右スライド体27,30 をそれぞれ左右幅方向にスライド自在に取付けて、主変速軸34をスライド支軸としても機能させており、同左右スライド体27,30 の各外側位置には、丸型ハンドル18が旋回操作されていない中立状態の位置に付勢する中立付勢手段としての中立用戻しバネ31,32 を取付けて、各中立用戻しバネ31,32 により各スライド体27,30 を中立状態に付勢する一方、操作台10の天井壁10c の中央部に門型の中立位置ストッパー33を取付けて、同中立位置ストッパー33により各スライド体27,30 を中立位置に停止可能としている。
【0013】
左スライド体27は、図2〜図5に示すように、外周面右側端部に左アーム支持部37を回転自在に遊嵌し、同左アーム支持部37の前側外周面部よりスライド軸28に向けて左廻止め体38を伸延させ、同左廻止め体38をスライド軸28の外周面に左右幅方向にスライド自在に遊嵌する一方、左アーム支持部37の後側外周面部より後下方へ向けて左ガイド体支持アーム39を伸延させ、同アーム39の先端に左ボス部40を取付け、同ボス部40中に前後方向に略水平に軸線を向けた枢支ピン41を回転自在に取付け、同枢支ピン41の後端に左右幅方向に伸延し、かつ、後面が開口した断面コ字状の左ガイド体42の前壁中央部を固設している。56はブッシュである。
【0014】
そして、図2〜図4に示すように、左スライド体27の外周面左側端部より後方へ向けて左揺動アーム43を伸延させ、同左揺動アーム43の先端に伸縮調節自在の左リンク44の上端を連結ピン45を介して連結し、同左リンク44の下端に前記左ガイド体42の前壁外側端部を連結ピン46を介して連結している。
【0015】
このようにして、左ガイド体42は、スライド作用体25のスライド動作に連動してスライド動作する左スライド体27と一体的にスライド軸28及び主変速軸34に沿って左右幅方向にスライド移動すると共に、主変速操作レバー35による主変速軸34の回動動作に連動して回動する左スライド体と一体的に枢支ピン41を中心に上下揺動するようにしている。図4中、Wは、主変速軸34の回動動作範囲であり、同回動動作範囲W内で左ガイド体42の一側端部を上下方向に揺動動作させるものである。
【0016】
また、図2〜図5に示すように、左ガイド体42には、操作ワイヤ55の先端部位としての左回転子47を回転自在かつ左ガイド体42に沿って左右幅方向に摺動自在に係合しており、左回転子47は、左右幅方向に伸延する左回転子支持アーム48の外側端部に支軸49を介して取付け、同支持アーム48の内側端部を操作台10の後壁10g にボス部50を介して軸線を前後方向に向けたアーム支軸51により上下揺動自在に枢支し、操作台10の外部において、アーム支軸51の端部に左右幅方向に伸延する左斜板作動用アーム52の左側端部を固定ボルト53により固定して操作機構100を形成しているものであり、同左斜板作動用アーム52の右側端部に油圧モータを制御する右斜板54を左操作ワイヤ55を介して連動連結している。57は回転子ストッパー体、58はワイヤ連結ピンである。
【0017】
このようにして、一定角度の傾斜姿勢で左右スライド移動する左ガイド体42に連動して回転子支持アーム48が左回転子47を介して上下揺動動作し、同支持アーム48と一体的に左斜板作動用アーム52が同支持アーム48とは上下反対方向に上下揺動動作して、右斜板54を左操作ワイヤ55を介して動作させて、油圧モータを制御することができるようにしている。
【0018】
また、以上は、左スライド体27と増減速機構としての右斜板54との間に介設した走行駆動調節部材について説明してきたが、右スライド体30と増減速機構としての左斜板84との間に介設する走行駆動調節部材も、左右対称位置にて同様に構成すると共に、操作台10内に分けて配設しているものであり、67は右アーム支持部、68は右廻止め体、69は右ガイド体支持アーム、70は右ボス部、71は枢支ピン、72は操作機構101の一部を形成する右ガイド体、72a は回転子ストッパー体、73は右揺動アーム、74は右リンク、75,76 は連結ピン、77は右操作ワイヤ85の先端部位としての右回転子、78は右回転子支持アーム、79は支軸、80はボス部、81はアーム支軸、82は右斜板作動用アーム、83は固定ボルト、85は右操作ワイヤ、86はブッシュ、87は回転子ストッパー体、88はワイヤ連結ピンである。
【0019】
ここで、上記した増減速機構としての左・右斜板84,54は、それぞれ左右側の油圧モータを個別に増速回転、減速回転、停止、逆回転させて、車体を前進、後進、旋回、急旋回(スピンターン)をさせるものである。
【0020】
本発明の実施例は、上記のように構成しているものであり、以下に図2、及び図6〜図9を参照しながら操作作動形態について説明する。
【0021】
すなわち、主変速レバー35を中立状態にすると共に、丸型ハンドル18を中立状態にしている場合には、図6に示すように、左右ガイド体42,72 、左右回転子支持アーム48,78 、及び左右斜板作動用アーム52,82 は略水平姿勢を採っている。
【0022】
かかる状態より、主変速レバー35を前進側変速位置に変速操作すると、主変速軸34が回動して、左右スライド体27,30 →左右揺動アーム43,73 →左右リンク44,74 →左右ガイド体42,72 を枢支ピン41,71 を中心に回動させ、さらに、左右回転子47,77 を介して左右回転子支持アーム48,78 →アーム支軸51,81 →左右斜板作動用アーム52,82 を、図7に示す傾斜姿勢にする。
【0023】
この場合は、油圧モータを制御する左右斜板84,54 が同一傾斜角度となって、左右側の走行部(図示せず)は同一速度にて前進走行作動して、車体は直進する。
【0024】
次に、上記直進状態から、例えば、丸型ハンドル18を右旋回操作すると、ピニオンギヤ23が回動して、同ピニオンギヤ23に噛合したラック24が左方向に移動し、同ラック24に取付けたスライド作用体25が左スライド体27を左側方へ押してスライド摺動させる。
【0025】
従って、左スライド体27に取付けた左ガイド体42は、前記傾斜姿勢のまま左側方へスライド移動して、同左ガイド体42の左側端部位置に係合していた左回転子47は、図8に示すように、左ガイド体42の略中央部位置に係合した状態となって、左回転子支持アーム48と右斜板作動用アーム52を水平姿勢に近づけて、右斜板54を中立状態に近づける。
【0026】
この場合、右側の走行部は減速あるいは停止状態となる一方、左側の走行部は前進走行作動するために、車体はゆるやかに右旋回する。
【0027】
次に、上記右旋回状態で、丸型ハンドル18をさらに右旋回方向に回動操作すると、左ガイド体42は、前記傾斜姿勢のままさらに左側方へスライド移動して、同左ガイド体42の略中央部位置に係合していた左回転子47は、図9に示すように、左ガイド体42の右側部位置に係合した状態となって、左回転支持アーム48と右斜板作動用アーム52を左低右高の傾斜姿勢にして、右斜板54を後進側に傾斜させる。
【0028】
この場合、右側の走行部は後進走行作動する一方、左側の走行部は前進走行作動するために、車体は右側に急旋回(スピンターン)する。
【0029】
また、左旋回、左急旋回についても、丸型ハンドル18を上記とは反対側に回動操作することにより行なうことができる。
【0030】
そして、丸型ハンドル18の操作位置に関係なく、主変速レバー35を中立位置に操作すると、主変速軸34が中立位置まで回動して、左右スライド体27,30→左右揺動アーム43,73→左右リンク44,74を介して、左右のガイド体42,72を枢支ピン41,71を中心に共に略水平姿勢位置まで回動させる。
【0031】
これに連動して、左右回転子47,77→左右回転子支持アーム48,78→アーム支軸51,81を介して、左右斜板用アーム52,82が、左右の各増減速機構を停止である略水平姿勢位置まで回動させる。
【0032】
このように、丸型ハンドル18の操作位置に関係なく、主変速レバー35を中立位置に操作すれば、左右のHST装置の各増減速機構を停止させて、車体を停止させることができる。
【0033】
また、主変速レバー35が中立位置にある場合に、丸型ハンドル18を操作したとしても、前記左右ガイド体42,72により、左右斜板用アーム52,82は、左右の各増減速機構の停止位置である略水平姿勢位置で保持されるので、左右のHST装置の各増減速機構は停止したままであり、車体は停止状態を保つ。
【0034】
すなわち、主変速レバー35が中立位置にある場合には、丸型ハンドル18を操作したとしても、左右の増減速機構は連動することなく停止状態のままである。
【0035】
また、主変速レバー35を後進位置に操作すると、車体は後進し、その状態で、丸型ハンドル18を操作すれば、車体を後進左・右旋回、後進左・右急旋回させることができて、各種の作業を能率的に行なうことができる。
【0036】
なお、本実施例では、スライド体27,30 を左右幅方向に配置したものについて説明してきたが、かかるスライド体27,30 の配置はこれに限らず、上下方向あるいは斜方向でもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0038】
すなわち、本発明では、左右の走行部にそれぞれHST装置を設けた作業車において、上記HST装置に連結した操作ワイヤの先端部位を、変速レバーに連動して作動する支持部材にガイド体を介して摺動自在に係合させ、支持部材の作動により操作ワイヤの先端部位とガイド体との係合位置を変化させて、操作ワイヤを伸縮させることにより左右一対のHST装置をそれぞれ作動させて走行速度を変速すると共に、上記ガイド体を操向ハンドルに連動連結して、機体の回行時には、ガイド体が変速位置にある操作ワイヤをHST装置の減速側に伸縮させて、機体の操向を行うように構成している。
このようにして、変速レバーを操作すれば、それに連動して作動する支持部材に支持された操作ワイヤがガイド体に案内されて伸縮するので、左右一対のHST装置がそれぞれ作動され、直進状態を保持したまま、機体の走行速度を自由に変速させることができる。
【0039】
そして、機体の回行時には、操向ハンドルに連動して作動するガイド体が、操作ワイヤの先端部位との係合位置を変化させて、変速位置にある操作ワイヤを伸縮させるので、左右いずれか一方のHST装置が作動されて旋回速度が調節され、機体を円滑かつ的確に旋回させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る操作部の背面図。
【図2】同操作部の一部切欠背面図。
【図3】同操作部の断面底面図。
【図4】同操作部の左断面側面説明図。
【図5】同操作部の左断面側面図。
【図6】主変速レバーが中立位置で、かつ、丸型ハンドルが中立状態を示す(車体停止)説明図。
【図7】主変速レバーが前進側に変速され、かつ、丸型ハンドルが中立状態を示す(車体直進)説明図。
【図8】主変速レバーが前進側に変速され、かつ、丸型ハンドルが右旋回状態を示す(車体は右旋回)説明図。
【図9】主変速レバーが前進側に変速され、かつ、丸型ハンドルが右スピンターン状態を示す(車体は右急旋回)説明図。
【符号の説明】
A 操作部
18 丸型ハンドル
27 左スライド体
30 右スライド体
34 主変速軸
Claims (1)
- 左右の走行部にそれぞれHST装置を設けた作業車において、
上記HST装置に連結した操作ワイヤ(55,85)の先端部位を、変速レバー(35)に連動して作動する支持部材(27,30) にガイド体 (42,72) を介して摺動自在に係合させ、支持部材 (27,30) の作動により操作ワイヤ (55,85) の先端部位とガイド体 (42,72) との係合位置を変化させて、操作ワイヤ (55,85) を伸縮させることにより左右一対のHST装置をそれぞれ作動させて走行速度を変速すると共に、
上記ガイド体(42,72)を操向ハンドル(18)に連動連結して、機体の回行時には、ガイド体(42,72)が変速位置にある操作ワイヤ(55,85)をHST装置の減速側に伸縮させて、機体の操向を行うように構成したことを特徴とする作業車の操作部構造。
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