JP3635259B2 - 作業車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、作業車の一形態として、左右一対のクローラ式の走行部間に車体フレームを介設し、同車体フレーム上に運転部と原動機部とミッション部とを設けると共に、原動機部に上記走行部をミッション部を介して連動連結して、同ミッション部にて直進動力伝達系と旋回動力伝達系との回転速度を合成して、この合成回転速度により各走行部を個別に駆動すべく構成したものがある。
【0003】
そして、運転部には操向操作レバーを設け、同操向操作レバーとミッション部との間に操向操作用リンク機構を介設して、同操向操作レバーにより車体の操向操作が行なえるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した操向操作用リンク機構では、リンク連結部の配置精度が良くない場合には、いわゆるガタが生じ、精度の良い操作が行なえず、操作性を良好に確保できないという不具合がある。
【0005】
そして、操向操作用リンク機構では、配設(レイアウト)の自由度が制限され、コンパクトな配設が行なえないという不具合がある。
【0006】
また、上記したクローラ式の走行部を具備する作業車では、前進走行時と後進走行時とでは、旋回操作方向と機体の旋回動作方向が反対になるため、操作性と安全性とを確保するために旋回動作方向を切り替えるためのリンク機構を別途設けているが、この場合も、リンク連結部にいわゆるガタが生じ、精度の良い操作が行なえず、操作性を良好に確保できないという不具合がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、左右一対のクローラ式の走行部間に車体フレームを介設し、同車体フレーム上に運転部と原動機部とミッション部とを設けた作業車において、車体フレームの前部に運転部の床部を形成すると共に、同床部の前部を前方へ上り傾斜状となして、同床部の前部上方位置にステアリングホイールを配設し、ステアリングホイールにステアリングホイール支軸を介して操向リンク機構を連動連結すると共に、同操向リンク機構は、前方へ上り傾斜状となした床部の前部の直下方位置に配置し、原動機部に走行部をミッション部を介して連動連結して、同ミッション部にて直進動力伝達系と旋回動力伝達系との回転速度を合成して、この合成回転速度により左右の走行部を個別に駆動すべく構成し、ステアリングホイールに、操向リンク機構を介して旋回動力伝達系の回転速度を増減速させる旋回用無段変速装置を連動連結して、同ステアリングホイールの左・右回転操作と旋回用無段変速装置の正・逆回転作動とを連動させ、操向リンク機構に、旋回用無段変速装置の出力軸の正・逆回転方向を切り替える回転方向切替機構を設け、同回転方向切替機構に前後進切替・変速レバーを連動連結して、同前後進切替・変速レバーの前・後進切替操作と、回転方向切替機構による旋回用無段変速装置の出力軸の正・逆回転方向切替作動とを連動させ、操向リンク機構に、旋回用無段変速装置の出力軸の正・逆回転方向を切り替える回転方向切替機構を設け、同回転方向切替機構に前後進切替レバーを連動連結して、同前後進切替レバーの前・後進切替操作と、回転方向切替機構による旋回用無段変速装置の出力軸の正・逆回転方向切替作動とを連動させると共に、操向リンク機構は、揺動支軸を中心に揺動自在に取り付けた揺動体と、横移動自在に取り付けた横移動体と、同横移動体と上記揺動体との間に摺動自在に配置して両者に係合する係合ピンとを具備し、上記係合ピンに回転方向切替機構を介して前後進切替レバーを連動連結して、同前後進切替レバーの回動操作量に係合ピンの摺動量を比例させる一方、横移動体に作動アームを介して旋回用無段変速装置を連動連結して、横移動体の横移動量に作動アームの回動量を比例させ、ステアリングホイールを、左右側へ回転操作することにより、揺動体が揺動支軸を中心に揺動して、前後進切替レバーの回動操作量に比例した摺動量だけ摺動する係合ピンを介して横移動体を横移動させ、同横移動体の横移動量に比例した回動量だけ回動する作動アームを介して、旋回用無段変速装置を旋回作動させて機体を旋回させることができるようにしたことを特徴とする作業車を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
すなわち、本発明に係る作業車は、基本的構造として、左右一対のクローラ式の走行部間に車体フレームを介設し、同車体フレーム上に運転部と原動機部とミッション部とを設けている。
【0012】
そして、特徴的構造として、車体フレームの前部に運転部の床部を形成すると共に、同床部の前部を前方へ上り傾斜状となして、同床部の前部上方位置にステアリングホイールを配設している。
【0013】
しかも、ステアリングホイールにステアリングホイール支軸を介して操向リンク機構を連動連結すると共に、同操向リンク機構は、前方へ上り傾斜状となした床部の前部の直下方位置にコンパクトに配置している。
【0014】
さらには、原動機部に走行部をミッション部を介して連動連結して、同ミッション部にて直進動力伝達系と旋回動力伝達系との回転速度を合成して、この合成回転速度により左右の走行部を個別に駆動すべく構成し、ステアリングホイールに、操向リンク機構を介して旋回動力伝達系の回転速度を増減速させる旋回用無段変速装置を連動連結して、同ステアリングホイールの左・右回転操作と旋回用無段変速装置の正・逆回転作動とを連動させ、操向リンク機構に、旋回用無段変速装置の出力軸の正・逆回転方向を切り替える回転方向切替機構を設け、同回転方向切替機構に前後進切替・変速レバーを連動連結して、同前後進切替・変速レバーの前・後進切替操作と、回転方向切替機構による旋回用無段変速装置の出力軸の正・逆回転方向切替作動とを連動させている。
【0015】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1に示すAは、本発明に係る作業車であり、同作業車Aは、後方に作業装置としての耕耘装置Bを昇降連結機構Cを介して連結している。
【0017】
そして、作業車Aは、図2にも示すように、左右一対のクローラ式の走行部1,1間に車体フレーム2を架設し、同車体フレーム2上において、前部に運転部3を配置し、同運転部3の座席4の後方に原動機部5を配置すると共に、同座席4の下方に原動機部5と連動連設したミッション部6を配置し、同ミッション部6に各走行部1,1の駆動輪13,13をそれぞれ走行伝動機構7,7を介して連動連結し、かつ、同ミッション部6に前方に突出するフロントPTO軸8を連動連結する一方、同ミッション部6に後方へ突出するリヤPTO軸9を連動連結している。
【0018】
走行部1は、前後方向に伸延する走行フレーム10と、同走行フレーム10の前・後端部にそれぞれ取り付けた前・後従動輪11,12と、両前・後従動輪11,12間でかつこれらよりも上方位置に配置した駆動輪13と、これら駆動輪13及び前・後従動輪11,12の間に巻回した履帯14とを具備している。16はアイドラホーク、17はアイドラホーク進退調節用ボルト、18は転動輪、19は履帯外れ防止体である。
【0019】
車体フレーム2は、左右一対の走行フレーム10,10間に、前部横フレーム形成片20と後部横フレーム形成片22とをそれぞれ前後方向に間隔を開けて横架して形成しており、前部横フレーム形成片20より前上方に立ち上げた前部支持体23と、後部横フレーム形成片22より後上方に立ち上げた後部支持体24との間に、平面視四角形リング状に形成したガードフレーム25を架設している。
【0020】
運転部3は、図1〜図3に示すように、ガードフレーム25の前部に床部26を張設しており、同床部26は、前部26aを前方へ上り傾斜状に形成して、同前部26aの直下方位置に操向リンク機構31をコンパクトに配設するための空間Sを形成している。
【0021】
そして、かかる床部26の前部26a上において、床部26の前部にステアリングコラム27を立設し、同ステアリングコラム27中に上下方向に伸延するステアリングホイール支軸28を挿通して、同ステアリングホイール支軸28の上端部にステアリングホイール29を取り付けることにより、車体の最前部にステアリングホイール29を配置している。
【0022】
一方、床部26の前部26aの直下方位置に形成した空間S内において、ステアリングホイール支軸28の下端部に、リンクボックス30内に内蔵した操向リンク機構31を連動連結し、同操向リンク機構31に後述する旋回用無段変速装置76のトラニオンアーム76aを連動連結して、ステアリングホイール29の左・右回転操作と旋回用無段変速装置76の正・逆回転作動とを連動させている。
【0023】
そして、ステアリングホイール29の後方位置に座席4を配置しており、同座席4の左側方位置にミッション部6と連動連結した変速レバー32を配置する一方、右側方位置に前後進切替レバー33を配置している。
【0024】
しかも、前後進切替レバー33は、後述する直進動力伝達系の回転速度を増減速させる直進用無段変速装置77のトラニオンアーム77aに連動連結して、同前後進切替レバー33の前・後進切替操作と直進用無段変速装置77の正・逆回転作動とを連動させると共に、リンクボックス30に内蔵した操向リンク機構31に、旋回用無段変速装置76の出力軸(図示せず)の正・逆回転方向を切り替える回転方向切替機構34を設け、同回転方向切替機構34に前後進切替レバー33を連動連結して、前後進切替レバー33の前・後進切替操作と、回転方向切替機構34による旋回用無段変速装置76の正・逆回転切替作動とを連動させている。
【0025】
ここで、リンクボックス30は、図2〜図4に示すように、平面視にて前後方向に伸延し、かつ、側面視にて扁平な箱形に形成して、ガードフレーム25にステー35を介して下方より取り付けており、同リンクボックス30の前部には上下方向に軸線を向けた連動軸36をその軸線廻りに回転自在に枢支し、同連動軸36の上端部をリンクボックス30の天井部30aに形成した突出孔41より上方へ突出させてステアリングホイール支軸28の下端部に同軸的に連動連結している。37は支軸ケースである。
【0026】
そして、連動軸36は、上部に出力ギヤ38を設ける一方、下部に回転規制受け片39を後方へ向けて略直状態に突設しており、同回転規制受け片39は、後方へ突出状態の中立位置より、ステアリングホイール29の回転操作に連動して回転して、リンクボックス30の底部30bの前端部より上方へ突出させた回転規制片40に先端部が左右いずれかの一方向から係合して、同ステアリングホイール29の左右の回転操作角がいずれも180度よりも小さい範囲内に規制されるようにしている。
【0027】
また、かかるリンクボックス30に内蔵した操向リンク機構31は、図3〜図7に示すように、リンクボックス30の天井部30aの中央部に左右揺動自在に取り付けた揺動体45と、同揺動体45の直下方位置にてリンクボックス30の左右側壁30c,30d間にて左右方向に横移動自在に取り付けた横移動体46と、同横移動体46と上記揺動体45との間に配置して両者に係合する係合ピン47と、上記横移動体46に先端部を係合し、かつ、基端部をリンクボックス30の底部30bに左右揺動自在に取り付けた連動アーム48とを具備している。
【0028】
揺動体45は、前後方向に伸延させて形成した揺動体本体45aと、同揺動体本体45aの上面中央部より上方へ軸線を向けて突設した揺動支軸45bとを具備して、同揺動支軸45bをリンクボックス30の天井部30aに枢支しており、揺動本体45aは、前端縁部を円弧面に形成して、同円弧面に部分ギヤ45cを形成すると共に、下面に前後方向に伸延する揺動体側係合溝45dを形成している。
【0029】
そして、部分ギヤ45cは、連動軸36の上部に設けた出力ギヤ38に噛合させて、同連動軸36に連動して揺動体45が揺動支軸45bを中心に揺動すべく構成している。
【0030】
横移動体46は、左右方向に軸線を向けた筒状の移動体本体46aと、同移動体本体46aの上面に直交状態に連設した係合片46bとを具備して、移動体本体46aをリンクボックス30の左右側壁30c,30d間に横架したスライド支軸49にスライド自在に取り付けており、係合片46bは、前後方向に伸延する上面開口の箱形に形成して、内部に横移動体側係合溝46cを形成している。46dは、横移動体側係合溝46cの中央部で、かつ、揺動支軸45bの仮想軸線上に形成した中立位置仮止め用凹部である。
【0031】
係合ピン47は、上下方向に軸線を向けて形成すると共に、下端部に下端開口の仮止め用ボール収容凹部47aを形成し、同仮止め用ボール収容凹部47a内に仮止め用ボール47bと、同仮止め用ボール47bを下方へ押圧状態に弾性付勢する押圧スプリング47cとを収容して、同仮止め用ボール47bを前記した中立位置仮止め用凹部46dに係合させて、係合ピン47を中立位置にて仮止め可能としている。
【0032】
そして、係合ピン47は、前記した係合片46bの横移動体側係合溝46c内に下端部を摺動自在に係合させる一方、前記した揺動体本体45aの揺動体側係合溝45d内に上端部を摺動自在に係合させている。
【0033】
連動アーム48は、リンクボックス30の底部30bに軸線を上下方向に向けて挿通した枢軸50の上端部に基端部を取り付ける一方、前記した移動体本体46aの下端中央部に形成した二又状係合片46eに先端部を係合させている。
【0034】
そして、リンクボックス30の底部30bより外部へ突出させた枢軸50の下端部に右側方へ向けて伸延する作動アーム51の基端部を取り付けて、同作動アーム51の先端部と旋回用無段変速装置76のトラニオンアーム76aとを旋回用HST連動機構52を介して連動連結している。
【0035】
旋回用無段変速装置76の正・逆回転作動を切り替える回転方向切替機構34は、前記した前後進切替レバー33と係合ピン47との間に介設している。
【0036】
すなわち、回転方向切替機構34は、左右方向に軸線を向けたレバー支軸53に前後進切替レバー33の下端部をボス部54を介して取り付け、同ボス部54に切替アーム55を前上方へ向けて突設する一方、リンクボックス30の後壁30eに形成したロッド挿通孔56中に前後方向に伸延する押し引きロッド57を前後摺動自在に挿通し、同押し引きロッド57の後端部と上記切替アーム55の先端部との間に切替操作連動機構58を介設すると共に、押し引きロッド57の前端部に係合ピン連結片59の後端部を上下方向に軸線を向けた連結ピン60により枢支して連結し、同係合ピン連結片59の前端部に係合ピン47を連結している。
【0037】
そして、上記したボス部54には直進用HST作動アーム61を後下方へ向けて突設し、同直進用HST作動アーム61と直進用無段変速装置77のトラニオンアーム77aとの間に直進用HST連動機構62を介設している。
【0038】
このようにして、前後進切替レバー33を、図3に示すように、垂直方向に起立させた中立状態となしている場合には、係合ピン47の仮止め用ボール47bが中立位置仮止め用凹部46dに係合して、同係合ピン47が中立位置にて仮止めされた状態となっている。
【0039】
そして、かかる状態にてステアリングホイール29を左右いずれの方向に回転操作しても、揺動体45は、連動軸36の出力ギヤ38に噛合させた部分ギヤ45cにより揺動支軸45bを中心にして左右いずれかの方向に揺動するものの、揺動支軸45bと係合ピン47とが同一軸線上に位置しているため、横移動体46は横移動することがなく、従って、同横移動体46に先端部を係合させている連動アーム48も作動しないことから、旋回用無段変速装置76は中立状態に保持される。
【0040】
次に、前後進切替レバー33を前方へ回動操作して前進切替状態となした場合には、回転方向切替機構34が全体的に前方へ摺動して、係合ピン47を横移動体側係合溝46c内と揺動体側係合溝45d内の前端縁部位置にスライド移動させると共に、直進用HST連動機構62を介して直進用無段変速装置77のトラニオンアーム77aを前進側へ切替作動させることができる。
【0041】
そして、かかる状態にてステアリングホイール29を、例えば、図4に示すように、左側へ回転操作すると、実線で示すように、揺動体45が揺動支軸45bを中心に右側方へ揺動して、横移動体46を係合ピン47を介して右側方へ横移動させるため、同横移動体46に先端部を係合させた連動アーム48も右側方へ回動し、同連動アーム48に枢軸50を介して連動連結した作動アーム51が右側方を向いた中立位置(一点鎖線で示す)から後方へ向けて回動して、旋回用HST連動機構52を介して旋回用無段変速装置76のトラニオンアーム76aを左旋回作動させ、機体を前進直進状態から左旋回させることができる。
【0042】
また、かかる状態にてステアリングホイール29を右側へ回転操作すると、上記した揺動体45、横移動体46、連動アーム48、作動アーム51、旋回用HST連動機構52、及び旋回用無段変速装置76のトラニオンアーム76aがそれぞれ上記とは反対方向に動作して、機体を前進直進状態から右旋回させることができる。
【0043】
次に、前後進切替レバー33を後方へ回動操作して後進切替状態となした場合には、回転方向切替機構34が全体的に後方へ摺動して、係合ピン47を横移動体側係合溝46c内と揺動体側係合溝45d内の後端縁部位置にスライド移動させると共に、直進用HST連動機構62を介して直進用無段変速装置77のトラニオンアーム77aを後進側へ切替作動させることができる。
【0044】
そして、かかる状態にてステアリングホイール29を、例えば、図4に示すように、左側へ回転操作すると、揺動体45が揺動支軸45bを中心に右側方へ揺動して、二点鎖線で示すように、横移動体46を係合ピン47を介して左側方へ横移動させるため、同横移動体46に先端部を係合させた連動アーム48も左側方へ回動し、同連動アーム48に枢軸50を介して連動連結した作動アーム51が右側方を向いた中立位置(一点鎖線で示す)から前方へ向けて回動して、旋回用HST連動機構52を介して旋回用無段変速装置76のトラニオンアーム76aを右旋回作動させ、機体を後進直進状態から左旋回させることができる。
【0045】
従って、クローラ式の走行部1,1であるにもかかわらず、タイヤ式の走行部と同様に、後進直進状態にて旋回操作した場合にも、前進直進状態にて旋回操作した場合と同じ方向へ機体を旋回させることができて、操作性と安全性とを良好に確保することができる。
また、かかる状態にてステアリングホイール29を右側へ回転操作すると、上記した揺動体45、横移動体46、連動アーム48、作動アーム51、旋回用HST連動機構52、及び旋回用無段変速装置76のトラニオンアーム76aがそれぞれ上記とは反対方向に動作して、機体を後進直進状態から右旋回させることができる。
【0046】
原動機部5は、エンジンEと、同エンジンEの近傍に配設したラジエータやエアクリーナ等(図示せず)を具備している。
【0047】
ミッション部6は、図2に示すように、ミッションケース70を左右方向に伸延する左右方向伸延ケース71と、同左右方向伸延ケース71の右側端部に前端部を連通連設して後方へ伸延する後方伸延ケース72とから形成している。
【0048】
そして、左右方向伸延ケース71に設けた入力軸73と、エンジンEに設けた出力軸74との間にユニバーサルジョイント75を介設している。
【0049】
また、後方伸延ケース72内に旋回動力伝達系と直進動力伝達系(図示せず)とをそれぞれ形成し、これら旋回動力伝達系と直進動力伝達系の動力を後方伸延ケース72内に設けた遊星歯車機構(図示せず)により合流させて合成回転速度を形成し、この合成回転速度により左右の走行部1,1 を後述する走行伝動機構7,7を介して個別に駆動すべく構成している。
【0050】
しかも、後方伸延ケース72の右側壁には、旋回動力伝達系の一部を形成する静油圧式の旋回用無段変速装置76と、直進動力伝達系の一部を形成する静油圧式の直進用無段変速装置77とを連動連設して、旋回用無段変速装置76により旋回動力伝達系の回転速度を増減速させることができるようにしていると共に、直進用無段変速装置77により直進動力伝達系の回転速度を増減速させることができるようにして、これら旋回用無段変速装置76と直進用無段変速装置77は、前記したようにステアリングホイール29と前後進切替レバー33とにより増減速操作が行えるようにしている。
【0051】
走行伝動機構7,7は、前記後方伸延ケース72の後部左右側壁よりそれぞれ左右外側方へ伸延させて形成した筒状の駆動軸ケース78,78の外側端部に前部ギヤケース79,79を連動連設する一方、走行フレーム10,10の後部に左右方向に軸線を向けた筒状の駆動輪支軸ケース80,80をケースステー81,81を介して設け、各駆動輪支軸ケース80,80の内側端部に後部ギヤケース82,82を連動連設して、前後方向に対向する前・後部ギヤケース79,79,82,82間に伝動シャフト83,83を介設し、各駆動輪支軸ケース80,80中に駆動輪支軸84,84を挿通して、各駆動輪支軸84,84の内側端部を後部ギヤケース82,82に連動連結すると共に、各駆動輪支軸84,84の外側端部に駆動輪13,13を取り付けている。
【0052】
このようにして、後方伸延ケース72内の旋回動力伝達系と直進動力伝達系の回転速度を合成した合成回転速度を、駆動軸ケース78,78内に挿通した駆動軸(図示せず)→前部ギヤケース79,79→伝動シャフト83,83→後部ギヤケース82,82→駆動輪支軸84,84→駆動輪13,13→履帯14,14に伝達するようにしている。
【0053】
フロントPTO軸8は、ミッション部6の左右方向伸延ケース71より前部減速ケース85を介して前方へ突出させており、同フロントPTO軸8より作業車Aの前方に連結した除雪装置(図示せず)等への動力取り出しを可能としている。
【0054】
リヤPTO軸9は、車体フレーム2の後部に配設した後部減速ケース86の右側部より後方に向けて突出させており、同後部減速ケース86の左側部と左右方向伸延ケース71の左側部との間にはPTO伝動シャフト87を介設している。
【0055】
そして、本実施例では、リヤPTO軸9に、耕耘装置Bの耕耘ケース90より前方へ突設した入力軸91を耕耘装置伝動シャフト92を介して連動連結している。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0057】
すなわち、本発明では、車体フレームの前部に運転部の床部を形成すると共に、同床部の前部を前方へ上り傾斜状となして、同床部の前部上方位置にステアリングホイールを配設している。
【0058】
このようにして、下り傾斜地を走行する際には、オペレータは、ステアリングホイールを両手で把持した状態にて、床部の前部に足を載せて踏ん張ることができる。
【0059】
そのため、オペレータは恐怖感を感じることがなく、下り傾斜地での操向操作を安心して行うことができる。
【0060】
また、本発明では、ステアリングホイールにステアリングホイール支軸を介して操向リンク機構を連動連結すると共に、同操向リンク機構は、前方へ上り傾斜状となした床部の前部の直下方位置に配置している。
【0061】
このようにして、操向リンク機構を床部の前部の直下方にコンパクトに配置しているため、走行中に操向リンク機構が地上の凸部に衝突して損傷等されるのを防止することができると共に、床部上のオペレータの足元空間を可及的に広くすることができて、オペレータの足元の自由度を大きく確保することができ、その結果、居住性と操作性とを向上させることができる。
【0062】
すなわち、ステアリングホイールにステアリングホイール支軸を介して連動連結した操向リンク機構を床部の前部の直下方にコンパクトに配置することができるため、ステアリングホイール支軸の周囲を可及的にスリム化することができて、床部上のオペレータの足元空間を可及的に広くすることができる。
【0063】
従って、オペレータの足元の自由度を大きく確保することができて、居住性と操作性とを向上させることができる。
【0064】
また、本発明では、原動機部に走行部をミッション部を介して連動連結して、同ミッション部にて直進動力伝達系と旋回動力伝達系との回転速度を合成して、この合成回転速度により左右の走行部を個別に駆動すべく構成し、ステアリングホイールに、操向リンク機構を介して旋回動力伝達系の回転速度を増減速させる旋回用無段変速装置を連動連結して、同ステアリングホイールの左・右回転操作と旋回用無段変速装置の正・逆回転作動とを連動させ、操向リンク機構に、旋回用無段変速装置の出力軸の正・逆回転方向を切り替える回転方向切替機構を設け、同回転方向切替機構に前後進切替レバーを連動連結して、同前後進切替レバーの前・後進切替操作と、回転方向切替機構による旋回用無段変速装置の出力軸の正・逆回転方向切替作動とを連動させている。
【0065】
このようにして、前記した操向リンク機構と同様に、回転方向切替機構の操作性能を良好に確保することができると共に、同回転方向切替機構により、前後進切替レバーを後進切替操作した際にも、後進走行時における旋回操作方向と機体の旋回動作方向が一致するようにして、誤操作を防止することができ、その結果、操作性と安全性とを良好に確保することができる。
また、本発明では、操向リンク機構は、揺動支軸を中心に揺動自在に取り付けた揺動体と、横移動自在に取り付けた横移動体と、同横移動体と上記揺動体との間に摺動自在に配置して両者に係合する係合ピンとを具備し、上記係合ピンに回転方向切替機構を介して前後進切替レバーを連動連結して、同前後進切替レバーの回動操作量に係合ピンの摺動量を比例させる一方、横移動体に作動アームを介して旋回用無段変速装置を連動連結して、横移動体の横移動量に作動アームの回動量を比例させ、ステアリングホイールを、左右側へ回転操作することにより、揺動体が揺動支軸を中心に揺動して、前後進切替レバーの回動操作量に比例した摺動量だけ摺動する係合ピンを介して横移動体を横移動させ、同横移動体の横移動量に比例した回動量だけ回動する作動アームを介して、旋回用無段変速装置を旋回作動させて機体を旋回させることができるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる作業車の側面図。
【図2】同作業車のミッション部の平面図。
【図3】リンクボックスの断面側面図。
【図4】同リンクボックスの断面平面図。
【図5】図3のI−I線断面図。
【図6】図3のII−II線断面図。
【図7】図3のIII−III線断面図。
【符号の説明】
A 作業車
1 走行部
2 車体フレーム
3 運転部
4 座席
5 原動機部
6 ミッション部
7 走行伝動機構
Claims (1)
- 左右一対のクローラ式の走行部(1,1) 間に車体フレーム(2) を介設し、同車体フレーム(2) 上に運転部(3) と原動機部(5) とミッション部(6) とを設けた作業車において、
車体フレーム(2)の前部に運転部(3)の床部(26)を形成すると共に、同床部(26)の前部(26a)を前方へ上り傾斜状となして、同床部(26)の前部上方位置にステアリングホイール(29)を配設し、
ステアリングホイール(29)にステアリングホイール支軸(28)を介して操向リンク機構(31)を連動連結すると共に、同操向リンク機構(31)は、前方へ上り傾斜状となした床部(26)の前部(26a)の直下方位置に配置し、
原動機部(5)に走行部(1,1)をミッション部(6)を介して連動連結して、同ミッション部(6)にて直進動力伝達系と旋回動力伝達系との回転速度を合成して、この合成回転速度により左右の走行部(1,1)を個別に駆動すべく構成し、
ステアリングホイール(29)に、操向リンク機構(31)を介して旋回動力伝達系の回転速度を増減速させる旋回用無段変速装置(76)を連動連結して、同ステアリングホイール(29)の左・右回転操作と旋回用無段変速装置(76)の正・逆回転作動とを連動させ、
操向リンク機構(31)に、旋回用無段変速装置(76)の出力軸の正・逆回転方向を切り替える回転方向切替機構(34)を設け、同回転方向切替機構(34)に前後進切替レバー(33)を連動連結して、同前後進切替レバー(33)の前・後進切替操作と、回転方向切替機構(34)による旋回用無段変速装置(76)の出力軸の正・逆回転方向切替作動とを連動させると共に、
操向リンク機構 (31) は、揺動支軸 (45b) を中心に揺動自在に取り付けた揺動体 (45) と、横移動自在に取り付けた横移動体 (46) と、同横移動体 (46) と上記揺動体 (45) との間に摺動自在に配置して両者に係合する係合ピン (47) とを具備し、
上記係合ピン (47) に回転方向切替機構 (34) を介して前後進切替レバー (33) を連動連結して、同前後進切替レバー (33) の回動操作量に係合ピン (47) の摺動量を比例させる一方、横移動体 (46) に作動アーム (51) を介して旋回用無段変速装置 (76) を連動連結して、横移動体 (46) の横移動量に作動アーム (51) の回動量を比例させ、
ステアリングホイール (29) を、左右側へ回転操作することにより、揺動体 (45) が揺動支軸 (45b) を中心に揺動して、前後進切替レバー (33) の回動操作量に比例した摺動量だけ摺動する係合ピン (47) を介して横移動体 (46) を横移動させ、同横移動体 (46) の横移動量に比例した回動量だけ回動する作動アーム (51) を介して、旋回用無段変速装置 (76) を旋回作動させて機体を旋回させることができるようにしたことを特徴とする作業車。
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