図1及び図2に示すAは、本発明に係るトラクタであり、同トラクタAは、機体フレーム1上に原動機部2を設け、同原動機部2に前後方向に伸延するクラッチハウジング部3の前端部を連設し、同クラッチハウジング3部の後端部にミッション部4を連設すると共に、同クラッチハウジング部3とミッション部4の上方に運転部5を配設し、機体フレーム1に前車輪側デフ部6を介して左右一対の前車輪7,7を連動連結する一方、ミッション部4の後部に設けた後車輪側デフ部8を介して左右一対の後車輪9,9を連動連結している。
原動機部2は、エンジン10等をボンネット11により開閉自在に閉塞している。
クラッチハウジング部3は、前後方向に伸延させて形成したクラッチハウジング12内に、エンジン10とミッション部4とを連動連結する伝動シャフト(図示せず)を配設し、同伝動シャフトの前部にクラッチ(図示せず)を設けている。
ミッション部4は、図4に示すように、ミッションケース14内に、前・後車輪7,7,9,9を前進側の正回転と後進側の逆回転とに変速するための主変速部15と、同主変速部15により変速された回転速度を更に変速するための副変速部16と、前車輪7,7の回転速度を後車輪9,9と等速状態ないしは増速状態に切り替えるための等・増速切替部17と、各種作業機に動力を出力するためのPTO軸18と、同PTO軸18の回転数を変速するためのPTO変速部19とを具備している。
運転部5は、ボンネット11の後方でかつクラッチハウジング12の前部上方に位置させてステアリングコラム20を立設し、同ステアリングコラム20の上端部より操向操作機構の一部を構成するホイール支軸21を突出させて、同ホイール支軸21の上端部にステアリングホイール22を取り付け、同ステアリングホイール22の後方位置でかつミッション部4の上方位置に運転席23を配設している。
そして、図3にも示すように、運転席23の左側方位置には、前記主変速部15を操作するための主変速レバー24と、前記副変速部16を操作するための副変速レバー25と、PTO変速部19を操作するためのPTO変速レバー26とを配設する一方、運転席23の右側方位置には、後方に連結した作業機(図示せず)を昇降操作するための作業機昇降レバー27と、後方に連結した耕耘装置(図示せず)の耕耘深さを調節するための耕耘深さ調節レバー28とを配設している。図2中、29はクラッチペダル、30,31はブレーキペダルである。
また、クラッチハウジング12より左右側方へそれぞれステップ体193,193を張り出し状に張設し、各ステップ体193,193の後端部に後車輪フェンダー194,194の前端下部を接続している。
左側の後車輪フェンダー194にはレバーガイド体195を設けており、同レバーガイド体195の右側前部に、前後方向に直状に伸延させて形成した主変速レバーガイド溝196を設け、同主変速レバーガイド溝196中に前記主変速レバー24を挿通すると共に、同主変速レバー24を主変速レバーガイド溝196に沿わせて前後摺動自在となしている。
そして、レバーガイド体195の左側前部でかつ主変速レバーガイド溝196の左側方位置に、平面視略H型に形成した副変速レバーガイド溝197を設け、同副変速レバーガイド溝197中に前記副変速レバー25を挿通すると共に、同副変速レバー25を副変速レバーガイド溝197に沿わせて摺動自在となしている。
また、レバーガイド体195の後部に、前後方向に直状に伸延させて形成したPTO変速レバーガイド溝198を設け、同PTO変速レバーガイド溝198中に前記PTO変速レバー26を挿通すると共に、同PTO変速レバー26をPTO変速レバーガイド溝198に沿わせて摺動自在となしている。
以下に、図4〜図7を参照しながらミッション部4の構造をより具体的に説明する。
〔ミッション部4の説明〕
すなわち、ミッション部4は、ミッションケース14を第1ケース40と第2ケース41とから形成しており、第1ケース40内にPTO軸18を変速するPTO変速機構42と、前・後車輪7,7,9,9を変速する前・後車輪変速機構43とを設ける一方、第2ケース41内に前車輪7,7を後車輪9,9と等速状態ないしは増速状態に切り替える等・増速切替機構44を設けている。
そして、第2ケース41は、第1ケース40の前方に配置すると共に、同第1ケース40に前方から取付ボルト45を介して着脱自在に取り付けており、同第2ケース41内に設けた等・増速切替機構44は、前・後車輪変速機構43に前方から着脱自在に連動連結している。
このようにして、等・増速切替機構44を内蔵する第2ケース41だけを第1ケース40に前方から着脱自在に取り付けると共に、同第2ケース41内に設けた等・増速切替機構44を前・後車輪変速機構43に前方から着脱自在に連動連結しているため、等・増速切替機構44をメンテナンス等する場合には、第2ケース41だけを第1ケース40から前方へ容易に取り外すことができると共に、等・増速切替機構44を前・後車輪変速機構43から前方へ容易に連結解除することができて、取り外した等・増速切替機構44のメンテナンス等を楽に行うことができる。
しかも、第2ケース41は、第1ケース40の前方に配置しているため、ミッションケース14自体の最低地上高を高く確保することができて、ミッションケース14が地面の突起物等と干渉して損傷等されるのを可及的に防止することができる。
さらには、第2ケース41を介して等・増速切替機構44の着脱が容易に行えるため、出荷時に、第2ケース41を取り外すことにより、前・後輪駆動の四輪駆動仕様から後輪駆動のみの二輪駆動仕様に容易に変更することができる。
第1ケース40には、図4及び図5に示すように、前壁体46と中間壁体47と後壁体48とを設けており、前壁体46の中央上部に前後方向に軸線を向けた入力軸支持用ボス部49を連通連設して、同入力軸支持用ボス部49中に前後方向に軸線を向けた入力軸50を回動自在に支持させる一方、後壁体48の中央上部に前後方向に軸線を向けたPTO軸支持用ボス部51を連通連設して、同PTO軸支持用ボス部51中に前後方向に軸線を向けたPTO軸18を回動自在に支持させている。
(PTO変速機構42の説明)
PTO変速機構42は、前壁体46と中間壁体47との上部間に前後方向に軸線を向けた前部PTO変速軸52を回動自在に架設しており、同前部PTO変速軸52の後端部は、中間壁体47よりも後方へ伸延させて、同後端部に前後方向に軸線を向けた後部PTO変速軸53の前端部を連結用筒体54を介して連結すると共に、同後部PTO変速軸53の後端部を後壁体48に回動自在に支持させている。
そして、前部PTO変速軸52の前部にPTO変速部19を設けており、同PTO変速部19は、前部PTO変速軸52の外周面に伝動用筒体55をスプライン嵌合し、同伝動用筒体55の外周面にスライド噛合体56を軸線方向にスライド自在に嵌合し、同スライド噛合体56の前方位置に高変速ギヤ57と逆転ギヤ58とを回転自在に取り付ける一方、スライド噛合体56の後方位置に低変速ギヤ59を回転自在に取り付けている。
また、高変速ギヤ57には高変速用噛合片60を設け、逆転ギヤ58には逆転用噛合片61を設け、低変速ギヤ59には低変速用ギヤ片62を設けて、いずれかの噛合片60,61,62にスライド噛合体56に設けた前・後側スライド噛合片63,64のいずれかを噛合させることにより、各ギヤ57,58,59と前部PTO変速軸52とを連動連結することができるようにしている。
後部PTO変速軸53の後端部には、出力ギヤ65を取り付ける一方、PTO軸18の前端部に入力ギヤ66を取り付けて、両ギヤ65,66を噛合させている。67は、PTO軸18の突出部をカバーしているカバー体である。
ここで、スライド噛合体56にはPTO変速フォーク68を係合させており、同PTO変速フォーク68の基端部68aは、第1ケース40の前上部に軸線を前後方向に向けて横架したPTO変速フォークシャクト69に取り付けている。
そして、PTO変速フォークシャフト69には前記PTO変速レバー26の基端部を連結して、同PTO変速レバー26を操作することにより、PTO変速フォーク68を介してスライド噛合体56をスライドさせて、同スライド噛合体56に設けた前・後側スライド噛合片63,64のいずれかを、いずれかの噛合片60,61,62に噛合させ、各ギヤ57,58,59と前部PTO変速軸52とを連動連結して、PTO軸18を低速、中立、高速、逆転のいずれかに変速することができるようにしている。
また、前記した入力軸50には第1出力ギヤ65と第2出力ギヤ66とを同軸的に取り付けており、第1出力ギヤ65は、後述するカウンター軸70に取り付けた第1カウンターギヤ71に噛合させ、同第1カウンターギヤ71に前記高変速ギヤ57を噛合させると共に、第1カウンターギヤ71に連設体72を介して一体的に連設した第3カウンターギヤ73に低速変速ギヤ59を噛合させる一方、第2出力ギヤ66は前記逆転ギヤ58に噛合させている。
カウンター軸70は、前後方向に軸線を向けて前壁体46と中間壁体47との間に回動自在に横架しており、同カウンター軸70の前半部に第1カウンターギヤ71と第2カウンターギヤ74と第3カウンターギヤ73とを連設体72を介して一体的に連設した状態にて回転自在に取り付ける一方、カウンター軸70の後半部に第4・第5・第6・第7カウンターギヤ75,76,77,78をそれぞれカウンター軸70と一体的に回動すべく取り付けている。
(前・後車輪変速機構43の説明)
前・後車輪変速機構43は、前壁体46と中間壁体47の下部間に、前後方向に軸線を向けた主・副変速軸80を回動自在に横架し、同主・副変速軸80の前半部に主変速部15を設けると共に、後半部に副変速部16を設けている。
(主変速部15)
そして、主変速部15は、主・副変速軸80の前半部外周面に筒状ギヤ支持体81を一体的に回動すべく嵌合させて取り付け、同筒状ギヤ支持体81の外周面の中央部に、伝動用筒体82をスプライン嵌合し、同伝用筒体82の外周面にスライド噛合体83を軸線方向にスライド自在に嵌合し、同スライド噛合体83の前方位置に高変速ギヤ84を回転自在に取り付ける一方、スライド噛合体83の後方位置に逆転ギヤ85を回転自在に取り付けている。
ここで、高変速ギヤ84は前記第1カウンターギヤ71に噛合させ、また、逆転ギヤ85は前記低変速ギヤ59に噛合させている。
また、伝動用筒体82の外周面に前・後側伝動噛合片86,87を設ける一方、スライド噛合体83の内周面に前・後側スライド噛合片88,89を設けると共に、スライド噛合体83の外周面に低速ギヤ90を一体成形している。
そして、高変速ギヤ84に高変速用噛合片91を設け、逆転ギヤ85に逆転用噛合片92を設けている。
ここで、スライド噛合体83には主変速フォーク93を係合させており、図6及び図7に示すように、同主変速フォーク93の基端部93aは、後述する主変速フォークシャクト94に取り付けている。
そして、主変速フォークシャフト94には主変速レバー24の基端部を連結して、同主変速レバー24を前後方向に回動操作することにより、主変速フォーク93を介してスライド噛合体83をスライドさせて、高変速、低変速、中立、及び、逆転(後進)の切替が行えるようにしている。
すなわち、高変速操作は、スライド噛合体83の前側スライド噛合片88を、高変速ギヤ84の高変速用噛合片91と伝動用筒体82の前側伝動噛合片86とに跨るように噛合させた状態となすものである。
そして、低変速操作は、スライド噛合片83の前側スライド噛合片88を、伝動用筒体82の前・後側伝動噛合片86,87に噛合させると共に、スライド噛合片83の低速ギヤ90を、前記した第2カウンターギヤ74に噛合させた状態となすものである。
また、中立操作は、スライド噛合片83の前・後側スライド噛合片88,89を、伝動用筒体82の前・後側伝動噛合片86,87のいずれにも噛合させさせない状態となすものである。
逆転(後進)操作は、スライド噛合片83の前側スライド噛合片88を、伝動用筒体82の後側伝動噛合片87に噛合させると共に、スライド噛合片83の後側スライド噛合片89を逆転ギヤ85の逆転用噛合片92に噛合させた状態となすものである。
(副変速部16)
副変速部16は、前記伝動用筒体82の外周面後端部に形成した主変速伝動ギヤ95と、同主変速伝動ギヤ95に噛合させた前記第4カウンターギヤ75と、同第4カウンターギヤ75とカウンター軸70を介して同軸的に取り付けた第5・第6・第7カウンターギヤ76,77,78と、これらのギヤ76,77,78と噛合すべく主・副変速軸80の後半部外周面にスライド自在に取り付けた高速度段シフトギヤ96及び低速度段シフトギヤ97とから構成している。
そして、高速度段シフトギヤ96は、主・副変速軸80の外周面にギヤ本体96aをスライド自在にスプライン嵌合し、同ギヤ本体96aの前面に主変速伝動ギヤ95に嵌合状態に噛合する第4変速ギヤ形成片96bを形成すると共に、ギヤ本体96aの外周面に第5カウンターギヤ76と噛合する第3変速ギヤ形成片96cを形成している。
ここで、ギヤ本体96aには高速度段変速フォーク98を係合させており、図6及び図7に示すように、同高速度段変速フォーク98の基端部98aは、後述する高速度段切替用フォークシャフト127に取り付けている。
そして、高速度段切替用フォークシャフト127には高速度段変速フォーク98の基端部98aを介して副変速レバー25の基端部を係合させて、同副変速レバー25を前後方向に回動操作することにより、高速度段変速フォーク98を介して高速度段シフトギヤ96をスライドさせて、第4速、中立、及び、第3速の切替が行えるようにしている。
すなわち、第4速変速操作は、主変速伝動ギヤ95に第4変速ギヤ形成片96bを嵌合状態に噛合させると共に、第5カウンターギヤ76から第3変速ギヤ形成片96cを噛合解除した状態となすものである。
そして、中立操作は、主変速伝動ギヤ95から第4変速ギヤ形成片96bを噛合解除させると共に、第5カウンターギヤ76から第3変速ギヤ形成片96cを噛合解除した状態となすものである。
また、第3速変速操作は、主変速伝動ギヤ95から第4変速ギヤ形成片96bを噛合解除させると共に、第5カウンターギヤ76に第3変速ギヤ形成片96cを噛合させた状態となすものである。
低速度段シフトギヤ97は、主・副変速軸80の外周面にギヤ本体97aをスライド自在にスプライン嵌合し、同ギヤ本体97aの外周面に第6カウンターギヤ77と噛合する第2変速ギヤ形成片97bを形成すると共に、ギヤ本体96aの外周面に第7カウンターギヤ78と噛合する第1変速ギヤ形成片97cを形成している。
ここで、ギヤ本体97aには低速度段変速フォーク99を係合させており、図6及び図7に示すように、同低速度段変速フォーク99の基端部99aは、後述する低速度段切替用フォークシャフト126に取り付けている。
そして、高速度段切替用フォークシャフト127には高速度段変速フォーク98の基端部98aを介して副変速レバー25の基端部を係合させて、同副変速レバー25を前後方向に回動操作することにより、低速度段変速フォーク99を介して低速度段シフトギヤ97をスライドさせて、第2速、中立、及び、第1速の切替が行えるようにしている。
すなわち、第2速変速操作は、第6カウンターギヤ77に第2変速ギヤ形成片97bを噛合させると共に、第7カウンターギヤ78から第1変速ギヤ形成片97cを噛合解除した状態となすものである。
そして、中立操作は、第6カウンターギヤ77から第2変速ギヤ形成片97bを噛合解除すると共に、第7カウンターギヤ78から第1変速ギヤ形成片97cを噛合解除した状態となすものである。
また、第1速変速操作は、第6カウンターギヤ77から第2変速ギヤ形成片97bを噛合解除すると共に、第7カウンターギヤ78に第1変速ギヤ形成片97cを噛合させた状態となすものである。
主・副変速軸80は、前端部100を前方へ伸延させて、同前端部100に後述する等・増速切替機構44を着脱自在に連動連結する一方、後端部にベベルギヤ101を設けて、同ベベルギヤ101に後車輪側デフ部8を連動連結している。
(等・増速切替機構44の説明)
等・増速切替機構44は、前記したように第2ケース41内に設けており、同第2ケース41は後面開口のキャップ状に形成して、前壁41aに前後方向に軸線を向けた出力軸支持ボス部102を連通連設し、同出力軸支持ボス部102に前後方向に軸線を向けた出力軸103の中途部を回動自在に支持させ、同出力軸103の後端部111と前記主・副変速軸80の前端部100とを着脱自在に連動連結し、同出力軸103の中途部に前記等・増速切替部17を設けている。
そして、等・増速切替部17は、出力軸103の中途部外周面にボールベアリング104を介して筒状の切替用スライド体105をスライド自在に嵌合し、同切替用スライド体105の前端部と後端部とにそれぞれ前部歯部106と後部歯部107を形成すると共に、同切替スライド体105の前方と後方とにそれぞれ増速側歯部108と等速側歯部109とを配置している。
このようにして、切替用スライド体105を前方にスライドさせて、前部歯部106を増速側歯部108に噛合させることにより、増速切替可能とする一方、切替スライド体105を後方にスライドさせて、後部歯部107を等速側歯部109に噛合させることにより、等速切替可能としている。
すなわち、第1ケース40内に設けると共に第2ケース41内まで延設した前・後車輪変速機構43の主・副変速軸80の前端部100と、第2ケース41内に設けた等・増速切替機構44の出力軸103の後端部111とを、同一軸線上に配置して突き合わせ状態となすと共にボス部112を介して着脱自在にスプライン嵌合して連結し、同ボス部112の外周面に、等・増速切替機構44の一部を形成する前車輪増速用の出力ギヤ113と、前記した等速側歯部109とを一体的に形成している。
このようにして、前・後車輪変速機構43の主・副変速軸80の先端部110と、等・増速切替機構44の出力軸103の先端部111とを、ボス部112を介して着脱自在に連結しているため、等・増速切替機構44を前・後車輪変速機構43から容易に連結解除することができる。
しかも、前・後車輪変速機構43の主・副変速軸80と等・増速切替機構44の出力軸103とを連結するボス部112は、前車輪増速用の出力ギヤ113を外周面に形成しているため、等・増速切替機構44の部品点数を削減することができて、メンテナンス等の手間と労力の削減とコスト削減とを図ることができる。
さらには、前・後車輪変速機構43の主・副変速軸80の前端部100と等・増速切替機構44の出力軸103の後端部111とを同一軸線上にて突き合わせて配置しているため、等・増速切替機構44の着脱を容易化することができると共に、等・増速切替機構44のコンパクト化を図ることができる。
また、出力軸103の前部外周面には、ボス部114を回動自在に嵌合し、同ボス部114の外周面に、前車輪増速用の入力ギヤ115と、前記した増速側歯部108とを一体的に形成している。
しかも、第2ケース41の前壁41aの中途部と第1ケース40の前壁体との間には、前後方向に軸線を向けた増速軸116を回動自在に横架し、同増速軸116の前部と後部にそれぞれ増速出力ギヤ117と増速入力ギヤ118とを設けて、前記前車輪増速用の出力ギヤ113に増速入力ギヤ118を噛合させる一方、前車輪増速用の入力ギヤ115に増速出力ギヤ117を噛合させている。
さらには、図10にも示すように、第2ケース41の略中央部に前後方向に伸延する等・増速切替用フォークシャフト119を前後摺動自在に取り付け、同等・増速切替用フォークシャフト119に等・増速切替フォーク120の基端部を取り付けると共に、前記切替用スライド体105に等・増速切替フォーク120の先端部を係合させている。
そして、第2ケース41の左側壁には、左右方向に軸線を向けたフォーク作動軸121を貫通させて回動自在に設け、同フォーク作動軸121の内側端部にフォーク作動アーム122を介して前記等・増速切替フォーク120の基端部を連動連結する一方、フォーク作動軸121の外側端部に等・増速切替操作部123を連動連結している。
また、等・増速切替操作部123には操向操作連動機構125を連動連結して、切替規制・解除手段124により等・増速切替操作部123の切替規制を解除した状態にて、同等・増速切替操作部123を増速側に切替操作すると、ステアリングホイール22による旋回操作に操向操作連動機構125が連動して、前車輪7,7の回転速度が増速されるようにすると共に、切替規制・解除手段124は、副変速部16が低速変速度段に設定された状態の場合にのみ、等・増速切替操作部123の切替規制を解除すると共に、副変速部16の高速変速度段への切替を規制するようにしている。
ここで、説明の便宜上、まず、主・副変速部15,16と等・増速切替部17に設けた各フォークシャフト94,126,127の配設構造について説明し、その後に、切替規制・解除手段124について具体的に説明し、続いて、等・増速切替操作部123と操向操作連動機構125について具体的に説明する。
(各フォークシャフト94,126,127の配設構造の説明)
すなわち、副変速部16の一部を構成する低速度段切替用フォークシャフト126及び高速度段切替用フォークシャフト127と、主変速部15の一部を構成する主変速切替用フォークシャフト94は、図5〜図7に示すように、第1ケース40の前壁体46と中間壁体47との間に、前後方向に軸線を向けた平行状態にて前後方向に摺動(スライド)自在に架設すると共に、等・増速切替部17の一部を構成する等・増速切替用フォークシャフト119は、図4にも示すように、第2ケース41の前壁41aと第1ケース40の前壁体46との間に、前後方向に摺動(スライド)自在に架設している。
そして、図5に示すように、正面視にて、低速度段切替用フォークシャフト126の直下方位置に高速度段切替用フォークシャフト127を配置し、同高速度段切替用フォークシャフト127の直下方位置に主変速切替用フォークシャフト94を配置すると共に、低速度段切替用フォークシャフト126の右側下方位置に等・増速切替用フォークシャフト119を配置して、低速度段切替用フォークシャフト126と高速度段切替用フォークシャフト127と等・増速切替用フォークシャフト119とが仮想略二等辺三角形の頂点を形成するように配置している。
なお、図5中、142は、高速度段切替用フォークシャフト127を切替位置に仮止めする仮止めボール、143は、仮止めボール142を押圧状態に弾性付勢する押圧スプリング、144は、主変速切替用フォークシャフト128を切替位置に仮止めする仮止めボール、145は、仮止めボール144を押圧状態に弾性付勢する押圧スプリングである。
(切替規制・解除手段124の説明)
切替規制・解除手段124は、図6及び図7に示すように、上記した低速度段切替用フォークシャフト126と等・増速切替用フォークシャフト119との間に、上下方向に伸延する棒状の第1切替規制・解除体130を介在させると共に、低速度段切替用フォークシャフト126と高速度段切替用フォークシャフト127との間に、上下方向に伸延する棒状の第2切替規制・解除体131を介在させている。
そして、これら第1・第2切替規制・解除体130,131は、第1ケース40の前壁体46に形成した第1・第2連通孔140,141中に収容すると共に、隣接するフォークシャフト119, 126(126,127)間にてこれらと略直交する方向に摺動自在となしている。
また、等・増速切替用フォークシャフト119の外周面に等・増速係合用凹部132を形成する一方、低速度段切替用フォークシャフト126の外周面に低速度段係合用凹部としての第1速係合用凹部134と第2速係合用凹部135とをそれぞれ円周方向に沿って平行に形成し、また、高速度段切替用フォークシャフト127の外周面に高速度段係合用凹部137を円周方向に沿って形成している。
このようにして、図5及び図7に示すように、等・増速係合用凹部132に対して、上下方向に摺動自在となした第1切替規制・解除体130の下端部133が後退して非係合状態となると共に、第1速係合用凹部134と第2速係合用凹部135のいずれかに対して、第1切替規制・解除体130の上端部136が進出して係合状態となると、等・増速切替用フォークシャフト119の切替規制が解除されると共に、低速度段切替用フォークシャフト126の切替が規制され、かつ、高速度段切替用フォークシャフト127の外周面に円周方向に沿って形成した高速度段係合用凹部137に第2切替規制・解除体131の下端部138が係合状態となって、高速度段切替用フォークシャフト127の切替が規制されるようにしている。
一方、図6に示すように、等・増速係合用凹部132に第1切替規制・解除体130の下端部133が係合状態となると共に、低速度段係合用凹部134,135のいずれにも第1切替規制・解除体130の上端部136が非係合状態となると、等・増速切替用フォークシャフト119の切替規制がなされるようにしている。
このように、切替規制・解除手段124は、副変速部16が低速度段(本実施の形態では第1速又は第2速)に設定されている場合にのみ、等・増速切替部17による増速切替を可能にするものであり、副変速部16が高速度段(本実施の形態では、第3速又は第4速)に設定されている場合には、等・増速切替部17が規制されて増速切替を不能にするものである。
従って、副変速部16が低速変速度段(第1速又は第2速)に設定された状態の場合にのみ、切替規制・解除手段124により等・増速切替操作部123の切替規制を解除すると共に、副変速部16の高速変速度段(第3速又は第4速)への切替を規制するようにしているため、車体が高速走行状態であるにもかかわらず、等・増速切替部17が切替作動して前車輪7,7が増速されるという不具合を確実に防止することができる。その結果、オペレータに恐怖感を与える虞をなくすことができる。
この際、副変速部16の一部を構成する低速度段切替用フォークシャフト126及び高速度段切替用フォークシャフト127と、等・増速切替部の一部を構成する等・増速切替用フォークシャフト119とを、同一方向に軸線を向けた平行状態に配置して、これらの隣接するフォークシャフト126,127,119の間に、切替規制・解除手段124の一部を構成する第1切替規制・解除体130と第2切替規制・解除体131とを介在させることにより、等・増速切替用フォークシャフト119の切替規制がなされるようにしているため、簡単かつコンパクトな構造にて確実に切替規制を行うことができる。
(等・増速切替操作部123の説明)
等・増速切替操作部123は、図8〜図11に示すように、前記した等・増速切替部17と、操向操作機構に連動連結した操向操作連動機構125とを連動・解除可能に連動連結しており、これら等・増速切替操作部123と操向操作連動機構125は、左右方向に面を向けた仮想の略同一垂直面上に近接させて配置している。
すなわち、等・増速切替操作部123は、クラッチハウジング12の左側壁12aにレバーステー150を連設し、同レバーステー150より左側外方へ向けてレバー支軸151を突設し、同レバー支軸151にボス部152を介して等・増速切替レバー153の基端部を連設する一方、上記ボス部152の外周面にレバー連動アーム154の基端部を回動自在に嵌合すると共に、同レバー連動アーム154の基端部より後方へ突出させた連結用突片155と、上記等・増速切替レバー153の基端部より後方へ突出させた連結用突片156とを連結ピン157により連動連結している。158はレバーステー150の上端部より外側方へ延設して形成したレバーガイド片、159はレバーガイド溝である。
そして、前記した等・増速切替部17のフォーク作動軸121の外側端部に、左右方向に軸線を向けた連動支軸160の基端部を同軸的に連動連結し、同連動支軸160に筒状体161を介して左右一対の作動アーム162,162の基端部を連設し、両作動アーム162,162の先端部に連動支軸160を中心とする円弧状の連動回避用ガイド溝163,163を形成すると共に、両連動回避用ガイド溝163,163の後端縁部より下方へ向けて連動係合用溝164,164を伸延させて形成している。
しかも、前記したレバー連動アーム154の先端部にも上記連動回避用ガイド溝163,163と符合する連動回避用ガイド溝165を形成しており、図12にも示すように、同連動回避用ガイド溝165の後端縁部166は、作動アーム162,162に形成した連動回避用ガイド溝163,163の後端縁部167,167よりも後方へ伸延させて形成すると共に、これら後端縁部166,167,167と前記した連動係合用溝164,164は、レバー支軸151を中心とする同一回動軌跡上に形成している。
さらには、上記した連動回避用ガイド溝163,163,165中には、左右方向に軸線を向けた連動連結ピン168を貫通させており、同連動連結ピン168と前記レバーステー150との間には、ピン復元用スプリング169を介設して、同ピン復元用スプリング169により連動連結ピン168を後方へ引張付勢している。
また、筒状体161にはスプリング係止片170を垂設する一方、クラッチハウジング12より左側方へ向けてスプリング係止体171を突設して、これらスプリング係止片170とスプリング係止体171との間にアーム復元用スプリング172を介設して、同アーム復元用スプリング172の弾性引張力により、図14に示すように、連動支軸160を中心に反時計廻りに回動された作動アーム162,162を回動復帰させることができるようにしている。
このようにして、等・増速切替レバー153は、図11及び12に示すように、略垂直に起立させた等速操作位置(イ)と、図13及び図14に示すように、前方へ傾動させた増速操作位置(ロ)との間で回動させて切替操作することができるようにしている。
そして、等・増速切替レバ153を等速操作位置(イ)に操作した場合には、図11及び図12に示すように、連動連結ピン168が連動回避用ガイド溝163,163,165中を摺動するだけで、作動アーム162,162は回動作動しないようにしている。
また、等・増速切替レバー153を増速操作位置(ロ)に操作した場合には、図13及び図14に示すように、レバー連動アーム154がレバー支軸151を中心に反時計廻りに回動されて、同レバー連動アーム154の連動回避用ガイド溝165の後端縁部166に当接している連動連結ピン168が、図13に示すように、作動アーム162,162に形成した連動係合用溝164,164中に移行されるようにしている。
そして、同状態にて連動連結ピン168が後述する操向操作機構に連動連結した操向操作連動機構125に連動して前方へ引張されると、図14に示すように、両作動アーム162,162が連動支軸160を中心に反時計廻りに回動されて、その回動力が連動支軸160を介して等・増速切替部17のフォーク作動軸121に伝達されて、同等・増速切替部17が増速側に切替作動されるようにしている。
(操向操作連動機構125の説明)
操向操作連動機構125は、図9及び図11に示すように、クラッチハウジング12の左側壁12aの前部より左側方へ向けてレバー揺動支軸175を突設し、同レバー揺動支軸175の外周面にボス部176を回動自在に嵌合し、同ボス部176の左側上部に連動アーム177を上方へ向けて突設する一方、ボス部176の右側部に左右一対の連動レバー体178,178を連設すると共に、各連動レバー体178,178には、上方突出片179,179と下方突出片180,180とを形成し、両上・下突出片179,179,180,180と前記連動連結ピン168との間に操向操作連動体181を介設している。
そして、操向操作連動体181は、図9及び図11に示すように、上・下方突出片179,179,180,180間に介設した係合体182,183に前後方向に貫通する貫通孔184,185を形成し、各貫通孔184,185中に前後方向に伸延する上下一対の引張ロッド186,187の前端部を貫通させると共に、各前端部に被係合体188,189を設けて、各被係合体188,189に上記係合体182,183が後方から係合するようにしており、両引張ロッド186,187の後端部は、連結体190に連結し、同連結体190と前記連動連結ピン168との間に連結用引張スプリング191を介設している。
ここで、上下一対の引張ロッド186,187と連結体190と連結用引張スプリング191は、図9に示すように、平面視にて前後方向に伸延する略同一直線上に配置すると共に、この略同一直線上にて前後方向に摺動(移動)するようにして、コンパクト化を図っている。
また、連動アーム177の上端部には、操向操作機構の一部を構成する押し引きロッド192の後端部を連結しており、操向操作機構の一部を構成するステアリングホイール22の左右回動操作に連動して押し引きロッド192が前後方向に押し引き作動され、それに連動して連動アーム177がレバー揺動支軸175を中心に前後方向に揺動するようにしている。
このようにして、連動アーム177が前後方向に揺動すると、ボス部176を介して上・下方突出片179,179,180,180が前後方向に揺動するようにしている。
そして、上方突出片179,179が前方に揺動すると、両上方突出片179,179間に設けた係合体182が、上方の引張ロッド186の前端部に設けた被係合体188に後方から係合すると共に、同引張ロッド186を前方へ引っ張り摺動させ、前記連結体190と連結用引張スプリング191とを介して連動連結ピン168を前方へ引っ張り摺動させる。
この際、下方突出片180,180は後方に揺動し、両下方突出片180,180間に設けた係合体183が、下方の引張ロッド187の前端部に設けた被係合体189とは係合しないため、同引張ロッド187は前後方向に摺動しない。
また、下方突出片180,180が前方に揺動すると、両下方突出片180,180間に設けた係合体183が、下方の引張ロッド187の前端部に設けた被係合体189に後方から係合すると共に、同引張ロッド187を前方へ引っ張り摺動させ、前記連結体190と連結用引張スプリング191とを介して連動連結ピン168を前方へ引っ張り摺動させる。
この際、上方突出片179,179は後方に揺動し、両上方突出片179,179間に設けた係合体182が、上方の引張ロッド186の前端部に設けた被係合体188とは係合しないため、同引張ロッド186は前後方向に摺動しない。
従って、前記したように、等・増速切替レバー153を増速操作位置(ロ)に操作した場合には、ステアリングホイール22を左右いずれの方向に回動操作しても、操向操作連動機構125により連動連結ピン168が前方へ引っ張り摺動されて、両作動アーム162,162が回動作動する。
また、上記のように、等・増速切替操作部123と操向操作連動機構125は、左右方向に面を向けた仮想の略同一垂直面上に近接させて配置しているため、これらをコンパクトに配置することができて、部品点数の削減化と連動調整の簡易化が図れる。
ここで、等・増速切替レバー153は、図1、図2及び図9に示すように、クラッチハウジング12の左側壁12aの後部近傍で、かつ、クラッチハウジング12より左右側方へ張り出し状に張設しているステップ体193,193よりも上方に突出させて配置している。
すなわち、等・増速切替レバー153は、ステップ体193を介して運転部5に乗降する際に支障ならず、しかも、運転席23に着座した状態でも足元付近にて楽に操作することができ、さらには、等・増速切替部17の近傍に配設した作動アーム162,162の近傍に配設しているため、等・増速切替レバー153と作動アーム162,162と等・増速切替部17を相互に連動連結するための構成部品を可及的に少なくすることができて、これらの連動性能の向上と製造コストの削減が図れる。
しかも、等・増速切替レバー153と作動アーム162,162と等・増速切替部17を、クラッチハウジング12の左側方近傍位置に配設しているため、これらをコンパクトに近接させて配置することができて、部品点数の削減化と連動調整の簡易化が図れる。
図15及び図16は、第2実施形態としての等・増速切替操作部123を示しており、同等・増速切替操作部123では、前記した第1実施形態としての等・増速切替操作部123のレバー連動アーム154に代えてレバー連動体200を設け、同レバー連動体200を等・増速切替レバー153により上下方向に変位させるようにしている。
すなわち、クラッチハウジング12に固設した支持板体201に上下方向に軸線を向けた支持筒体202を設け、同支持筒体202に上下方向に伸延する棒状の支持片203を挿通すると共に、同支持片203の上端部と支持筒体202の上端面との間に押圧スプリング204を介設して、同支持片203を支持筒体202に支持させ、同支持片203の下端部を内側方へ向けて伸延させて支持アーム205を形成し、同支持アーム205の先端部に前記レバー連動体200を取り付けている。
そして、レバー連動体200は、前部に作動アーム162に形成した連動回避用ガイド溝163,163と左右方向に符合する連動回避用ガイド溝165を形成する一方、後部に上下方向に伸延する等・増速切替レバー153の下端部を連設している。
また、等・増速切替レバー153の上端部には係止片206を設けて、同係止片206をクラッチハウジング12に設けた係止受け体207に係止可能としており、同係止受体207には上段係止受け部208と下段係止受け部209とを設けている。
このようにして、等・増速切替レバー153を押圧スプリング204の弾性付勢力に抗して上方へ引き上げて、係止片206を上段係止受け部208に係止させた等速操作位置(イ)では、レバー連動体200は上方へ変位されて、同レバー連動体200に形成した連動回避用ガイド溝165が作動アーム162に形成した連動回避用ガイド溝163,163と左右方向に符合して、これらのガイド溝163,163,165中にて連動連結ピン168が摺動するだけで、作動アーム162は作動しないようにしている。
また、上段係止受け部208に係止されている係止片206を側方へ移動させて係止解除すると、押圧スプリング204の弾性付勢力により等・増速切替レバー153が下方へ引き下げられた増速操作位置(ロ)となる。
そして、レバー連動体200は下方へ変位されて、同レバー連動体200に形成した連動回避用ガイド溝165の後端縁部166に係合している連動連結ピン168が、作動アーム162に形成した連動係合用溝164にも係合した状態となり、同状態にて連動回避用ガイド溝163,163中を摺動すると共に、作動アーム162を反時計廻りに回動作動させるようにしている。
このようにして、等・増速切替レバー153を上下方向に操作するようにして、同等・増速切替レバー153が前後方向に変位しないようにすることにより、オペレータの足元に配設した等・増速切替レバー153がオペレータに支障とならないように、オペレータの足元空間を広く確保することができる。
図17は、第3実施形態としての等・増速切替操作部123を示しており、同等・増速切替操作部123では、前記した第1実施形態としての等・増速切替操作部123の作動アーム162の上端部に連結ピン210を介して連結用引張スプリング191の後端部を連結する一方、作動アーム162の下端部より下方へ向けてストッパー受け体211を延設し、同ストッパー受け体211の後方位置にクラッチハウジング12に固設したストッパー体212を配設し、同ストッパー体212とストッパー受け体211との間に、ストッパー作用体213を抜き差し自在に介在させるようにしている。
そして、ストッパー作用体213は、上下方向に伸延する等・増速切替レバー153の下端部に取り付けて、同等・増速切替レバー153を筒状案内体214を介して上下方向に摺動自在となしている。215は、筒状案内体214を支持する支持体であり、同支持体215はクラッチハウジング12に固定している。
このようにして、等・増速切替レバー153を下方へ押し下げた等速操作位置(イ)では、ストッパー作用体213がストッパー体212とストッパー受け体211との間に配置されて、作動アーム162に回動作用力が作用しても、ストッパー受け体211がストッパー作用体213を介してストッパー体212に当接して、作動アーム162の回動が規制される。
この際、作動アーム162に作用する回動作用力は、連結用引張スプリング191が引張されて吸収される。
また、等・増速切替レバー153を上方へ引き上げた増速操作位置(ロ)では、ストッパー体212とストッパー受け体211との間に配置されていたストッパー作用体213が上方に変位されて、作動アーム162に回動作用力が作用すると、同作動アーム162は反時計廻りに回動作動される。
このようにして、等・増速切替レバー153を上下方向に操作するようにして、同等・増速切替レバー153が前後方向に変位しないようにすることにより、オペレータの足元に配設した等・増速切替レバー153がオペレータに支障とならないように、オペレータの足元空間を広く確保することができる。