JP3749759B2 - 作業車の走行形態表示構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業車の走行形態表示構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンバイン等の農業用の作業車は、走行機構として左右一対のクローラ式の走行部を具備するものがある。
【0003】
左右側走行部は、それぞれ左右独立した駆動輪に油圧モータを連動連結し、各油圧モータを左右側のHSTにより駆動変速することができるようにしており、その走行形態は、複数種類を選択的に採用することができるようにしている。
【0004】
すなわち、左右側走行部を同速で駆動させれば直進走行形態が得られ、また、左右側走行部のそれぞれの駆動速度を異ならせると緩旋回の走行形態が得られる。
【0005】
そして、左右側走行部のいずれか一方の油圧モータにブレーキ制動を行うと、ブレーキ制動された側の走行部を中心にして機体が旋回する。すなわちブレーキターン形態が得られる。
【0006】
更には、左右側走行部の油圧モータを相互に逆転させれば、逆転側の走行部を中心にして機体が急旋回する、すなわちスピンターン形態が得られる。
【0007】
以上のように、作業車には、基本的な走行形態として直進走行、緩旋回、ブレーキターン、スピンターンの四種類が採用できるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した作業車の操作部には、作業車の直進走行時にのみ直進状態を表すランプが点灯するように構成されており、各種旋回状態を表示する機構は全く設けられていないので、オペレータにとって、旋回操作をした場合に、視覚的にいずれの旋回形態の操作をしているのか容易に判断できないという課題があった。
【0009】
従って、操作ミス等によりオペレータが認識している旋回形態と実際の操作旋回形態とに喰い違いが生じた場合には、作業車が、オペレータの予想外の旋回動作を行なうという危険な事態が発生し、特に、不整地や畦でかかる認識と旋回形態とに喰い違いが生起した場合には、作業車が転倒したり、オペレータが運転部から転落する等の事故が発生するおそれがあった。
【0010】
かかる危険な事態の発生は、作業車の操向操作機構が丸ハンドルで、旋回の各種形態が丸ハンドルの回動操作量により行われるように構成したものにあっては、特に顕著であり、オペレータは作業車の操向形態がいずれであるのかを丸ハンドルの回動操作した感覚で判断し認識するしかなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、回転ハンドルによる操作に基づいて左右一対のクローラ式の走行部を操作して、スピンターンを含む旋回操作を可能にしたコンバインからなる作業車であって、旋回操作をするための操向機構に回転ハンドルの回転量を検出する旋回検出センサを設けると共に、同旋回検出センサの検出結果に基づいて走行形態を表示する走行形態表示部を運転席から視認しやすい位置に設け、しかも、走行形態表示部は、左右側走行部の回転方向及び回転速度を、棒グラフ状の点灯表示によってそれぞれ図示的に表示するように構成し、点灯表示の表示面積から現状の走行形態が、直進、緩旋回、ブレーキターン、スピンターンのいずれかであるかを視認可能としたことを特徴とする作業車の走行形態表示構造を提供せんとするものである。
【0013】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る走行形態表示構造を具備する汎用コンバインAを示しており、同汎用コンバインAは、左右一対のクローラ式の走行部1,1の走行フレーム1a,1a 間に基台2を横架し、同基台2上に運転部3と脱穀部4と選別部5と排藁処理部6と穀粒タンク7とをそれぞれ設けると共に、基台2の前方に刈取・搬送部8を取付けている。9は、キャビンであり、同キャビン9内に運転部3を設けている。
【0015】
このようにして、汎用コンバインAでは、刈取・搬送部8により穀稈を刈り取ると共に後方の脱穀部4へ搬送し、同脱穀部4により脱穀し、脱穀した穀粒を選別部5により選別し、選別した精粒をグレンタンクに搬送して貯留する一方、排藁を排藁処理部6に搬送して排藁処理するようにしている。
【0016】
運転部3には、図1及び図2に示すように、床面F上に操向機構としての操作部14と、同操作部14の後方に配置した運転15と、同座席15の左側方に配置したレバーボックス16とを設けている。
【0017】
そして、操作部14には、図2に示すように、変速レバー9と回転ハンドル18とを設け、これら変速レバー9及び回転ハンドル18と、左右側走行部1,1の駆動を変速する静油左駆動変速機構であるHST(図示せず)との間に旋回・変速兼用連動機構Mを介設しており、同旋回・変速兼用連動機構Aにより、HSTに設けた油圧モータ制御用の左斜板54と右斜板84とを姿勢変更操作して、機体を前・後直進、左・右緩旋回、左右ブレーキターン、更には、左・右スピンターンさせることができるようにしている。
【0018】
旋回・変速兼用連動機構Aは、図2に示すように、操作台10を左右幅方向に長手状の矩形箱型に形成し、同操作台10の天井壁10c の中央部にハンドルコラム11を立設し、同ハンドルコラム11に取付けたハンドル支軸12の上端に回転ハンドル18を取付ける一方、操作台10内に横架した主変速軸34の右側端突出部34a に、主変速レバー9の下端をレバーステー36を介して取付けている。10a,10b は左右ワイヤステー、13は軸支持体である。
【0019】
また、図2に示すように、軸支持体13内に位置するハンドル支軸12の中途部外周面に回転体20を取り付ける一方、軸支持体13内に旋回検出センサとしてのポテンシオメータ21を取付け、同ポテンシオメータ21より上方へ突出させた回転軸21a の上端に回転接触子21b を取り付けて、同回転接触子21b を上記回転体20に当接させている。
【0020】
そして、上記ポテンシオメータ21は、図2に示すように、制御部Cの入力側に接続しており、同制御部Cの出力側に走行形態表示盤22を接続している。
【0021】
走行形態表示盤22は、図2に示すように、運転席15に着座したオペレータが視認しやすいレバーボックス16上に取付けており、図3に示すように、直進表示部22a と緩旋回表示部22b とブレーキターン表示部22c とスピンターン表示部22d とを具備している。
【0022】
このようにして、旋回操作するための回転ハンドル18の回転量をポテンシオメータ21により検出し、同検出結果を制御部Cに入力して、同制御部Cにより検出結果にもとづいて各表示部22a,22b,22c,22d の内のいずれか一つを点灯表示させて、運転席15に着座して回転ハンドル18を操作しているオペレータに、現状の走行形態を視認させることができるようにしている。
【0023】
従って、オペレータは、自身の経験と感にたよることなく、回転ハンドル18の操作量により現出される走行形態を、点灯している表示部を見ることにより確認することができて、操作上の安全性を確保することができる。
【0024】
ここで、本機の走行状態を検出する手段としては、上記以外に左右斜板作動用アーム52,82 に、各アーム52,82 の回動変移量を検出するセンサ、例えば、直動ポテンシオメータを取付けて、各アーム52,82 の回動変移量を検出することにより、左右側走行部1,1への動力配分を制御Cが判断して、それに適応するようにしてもよい。
【0025】
また、走行形態表示部22の形態は、図4に示すように、左右側走行部1,1の回転方向と回転速度を図形的に表示して、各走行部1,1の動力配分、すなわち、走行形態を棒グラフ状の点灯表示面積から容易に視認することができるようにしてもよい。
【0026】
また、緩旋回形態とスピンターン形態の中間で起こるブレーキターン形態にある時に点灯表示、又は、告知音を発生するようにしてもよい。
【0027】
次に、旋回・変速兼用連動機構Aについてさらに具体的に説明すると、同旋回・変速兼用連動機構Aは、図5及び図6に示すように、操作台10の天井壁10c と床部10d の中央部間に上下方向に軸線を向けたハンドル支軸12の基部12a を回動自在に取付け、同基部12a の中央部にピニオンギヤ23を取付けている。26a は軸受体である。
【0028】
また、操作台10の左右側壁10e,10f の後部間には、左右幅方向に軸線を向けた主変速軸34とスライド軸28とを前後方向に一定の間隔を開けて横架しており、主変速軸34は、断面形状を略三角形に形成して、回動自在に取付けている。26b は軸受体である。
【0029】
スライド軸28の中途部には、図5〜図8に示すように、スライド作用体25を左右幅方向に摺動自在に取付けており、同スライド作用体25は、スライド軸28にスライド自在に取付けた基部25a と、同基部25a に一体的に取付けて、主変速軸34の直上方に配置した作用体本体25b と、同作用体本体25b の上面に取付けた左右幅方向に伸延するラック24とから構成しており、同ラック24には前記ピニオンギヤ23が噛合している。
【0030】
このようにして、回転ハンドル18を左方向又は右方向に回動操作すると、ハンドル支軸12の基部12a に取付けたピニオンギヤ23の回動動作に連動して、スライド作用体25がラック24を介して右側方又は左側方へスライド移動するようにしている。
【0031】
スライド軸28と主変速軸34の左右側部には、左右一対の左右スライド体27,30 をそれぞれ左右幅方向にスライド自在に取付けており、後述するように、同左右スライド体27,30 は、スライド作用体25に連動して左右にスライド移動するようにしている。
【0032】
右スライド体30は、図5〜図8に示すように、外周面右側端部に右アーム支持部67を回転自在に遊嵌するとともに、外周面後上部よりスライド軸28に向けて右廻止め体68を伸延させ、同右廻止め体68をスライド軸28の外周面に左右幅方向にスライド自在に遊嵌する一方、外周面前部より前上方へ向けて右ガイド体支持アーム69を伸延させ、同アーム69の先端に右ボス部70を取付け、同ボス部70中に左下方に軸線を向けた枢支ピン71を回転自在に取付け、同枢支ピン71の前端に左右幅方向に伸延し、かつ、前面が開口した断面コ字状の右ガイド体72の後壁中央部を固設している。
【0033】
そして、右アーム支持部67の外周面右側端部より前下方へ向けて右揺動アーム73を伸延させ、同右揺動アーム73の先端に伸縮調節自在の右リンク74の下端を連結ピン75を介して連結し、同右リンク74の上端に前記右ガイド体72の後壁右側端部を連結ピン76を介して連結している。
【0034】
このようにして、右ガイド体72は、スライド作用体25のスライド動作に連動してスライド動作する右スライド体30と一体的にスライド軸28及び主変速軸34に沿って左右幅方向にスライド移動するとともに、変速レバー9による主変速軸34の回動動作に連動して回動する右スライド体30と一体的に枢支ピン71を中心に上下揺動するようにしている。
【0035】
また、図5〜図10に示すように、右ガイド体72には、右回転子77を回転自在かつ右ガイド体72に沿って左右幅方向に摺動自在に嵌合しており、右回転子77は、左右幅方向に伸延する右回転子支持アーム78の左側端部に支軸79を介して取付け、同支持アーム78の右側端部を操作台10の前壁10g にボス部80を介して軸線を前下方に向けたアーム支軸81により上下揺動自在に枢支し、操作台10の外部において、アーム支軸81の前端部に左右幅方向に伸延する右斜板作動用アーム82の左側端部を固定ボルト83により固定し、同右斜板作動用アーム82の右側端部に油圧モータを制御する右斜板84を右連結ワイヤ85を介して連動連結している。87は回転子ストッパー体、88はワイヤ連結ピンである。
【0036】
このようにして、一定角度の傾斜姿勢で左右スライド移動する右ガイド体72に連動して、右回転子支持アーム78が右回転子77を介して上下揺動動作し、同支持アーム78と一体的に右斜板作動用アーム82が同支持アーム78とは上下反対方向に上下揺動動作して、右斜板84を右連結ワイヤ85を介して動作させて、油圧モータを制御することができるようにしている。
【0037】
また、以上は、右スライド体30と右斜板84との間に介設した走行駆動調節部材について説明してきたが、左スライド体27と左斜板54との間に介設する走行駆動調節部材も、左右対称位置にて同様に構成しているものであり、37は左アーム支持部、38は左廻止め体、39は左ガイド体支持アーム、40は左ボス部、41は枢支ピン、42は左ガイド体、43は左揺動アーム、44は左リンク、45,46 は連結ピン、47は左回転子、48は左回転子支持アーム、49は支軸、50はボス部、51はアーム支軸、52は左斜板作動用アーム、53は固定ボルト、55は左連結ワイヤ、57は回転子ストッパー体、58はワイヤ連結ピンである。
【0038】
図5〜図8に示すように、左スライド体27の右側端面及び右スライド体30の左側端面それぞれに、主変速軸34と同軸状のスプリング取付け部27a,30a を嵌合し、両スプリング取付け部27a,30a 間に主変速軸34と同軸状にスプリング1を介設するとともに、操作台10の床部10d の後方左右両側位置に中立位置ストッパー33a,33b を床部10d より上方に向けて突設し、それぞれの中立位置ストッパー33a,33b に左スライド体27の左側端面、右スライド体30の右側端面を当接している。
【0039】
そして、スプリング1により左右スライド体27,30 を中立状態に付勢するとともに、中立位置ストッパー33a,33b により、左右スライド体27,30 を中立位置に停止可能としている。
【0040】
このようにして、操向操作により、例えば、スライド作用体25を左側方にスライドさせて右スライド体30を同方向に摺動させると、左スライド体27は中立位置ストッパー33a に当接し中立状態を維持し、左右スライド体27,30 間に介設したスプリング1は右スライド体30が摺動した分だけ圧縮し、その後摺動した右スライド体30を中立状態の原位置に復帰させる際の復帰付勢力になって作用し、右スライド体30を自動的に中立位置に復帰させるようにしている。
【0041】
また、スライド作用体25のラック24の右側端部上面には、略L字状レバー92を同レバー92の中央部に突設した枢支ピン95を介して枢支しており、同レバー92の前方端部下面には作動ピン94を鉛直下方に向けて突設するとともに、左側方端部上面にはカム作動体93としてのボールベアリングを取付けている。
【0042】
作動ピン94は、ラック24の右側端部に形成した長孔97に挿通され、右スライド体30の左側端面に取付けた作動板96の右側面に当接しており、略L字状レバー92の回動によって長孔97内を移動できるようになっている。
【0043】
カム作動体93の外周面には、天井壁10c の下側面に左右方向に取付けた板状のカム8の後側面が当接しており、同カム8は、中央部を細幅に形成するとともに、左右両端部を幅広に形成し、中央部と左右両端部との間に傾斜面を滑らかに形成しており、スライド作用体25の摺動方向でカム機能が働くようにしている。
【0044】
すなわち、操向操作により、例えば、スライド作用体25を左側方にスライドさせると、それにともない、略L字状レバー92とともに作動ピン94が左側方に移動し、同作動ピン94が右スライド体30に取付けた作動板96に当接して右スライド体30を左側方に付勢するとともに、さらに、カム作動体93がカム8を介して変位し略L字状レバー92を枢支ピン95を中心に左回りに回動させることにより、作動ピン94も左側方に移動し、作動ピン94を介して当接した右スライド体30を摺動するようにしている。
【0045】
ラック24の左側端部に取付けた略L字状レバー2も左右対称位置にて同様に機能するものであり、3はカム作動体としてのボールベアリング、4は作動ピン、5は枢支ピン、6は作動板、7は長孔である。
【0046】
本発明の実施例は、上記のように構成しているものであり、以下に図2、及び図11〜図14を参照しながら操作作動形態について説明する。
【0047】
すなわち、変速レバー9を中立状態にするとともに、回転ハンドル18を中立状態にしている場合には、図11に示すように、左右ガイド体42,72 、左右回転子支持アーム48,78 、及び左右斜板作動用アーム52,82 は略水平姿勢を採っている。
【0048】
かかる状態より、変速レバー9を前進側変速位置に変速操作すると、主変速軸34が回動して、左右スライド体27,30 →左右揺動アーム43,73 →左右リンク44,74 →左右ガイド体42,72 を枢支ピン41,71 を中心に回動させ、さらに、左右回転子47,77 を介して左右回転子支持アーム48,78 →アーム支軸51,81 →左右斜板作動用アーム52,82 を、図12に示す傾斜姿勢にする。
【0049】
この場合は、油圧モータを制御する左右斜板54,84 が同一傾斜角度となって、左右側の走行部(図示せず)は同一速度にて前進走行作動して、機体は直進する。
【0050】
次に、上記直進状態から、例えば、回転ハンドル18を右旋回操作すると、ピニオンギヤ23が回動して、同ピニオンギヤ23に噛合したラック24が左方向に移動し、同ラック24を形成したスライド作用体25が右スライド体30を左側方へ押してスライド摺動させる。
【0051】
したがって、右スライド体30に取付けた右ガイド体72は、前記傾斜姿勢のまま左側方へスライド移動して、同右ガイド体72の左端部位置に嵌合していた右回転子77は、図13に示すように、右スライド体30の略中央部位置に嵌合した状態となって、右回転子支持アーム78と右斜板作動用アーム52を水平姿勢に近づけて、右斜板54を中立状態に近づける。
【0052】
この場合、右側の走行部は減速あるいは停止状態となる一方、左側の走行部は前進走行作動するために、機体は右に緩旋回あるいはブレーキターンする。
【0053】
次に、上記右旋回状態で、回転ハンドル18をさらに右旋回方向に回動操作すると、右ガイド体72は、前記傾斜姿勢のまま更に左側方へスライド移動して、同右ガイド体72の略中央部位置に嵌合していた右回転子77は、図14に示すように、右ガイド体72の右側部位置に嵌合した状態となって、右回転支持アーム78と右斜板作動用アーム52を左低右高の傾斜姿勢にして、右斜板54を後進側に傾斜させる。
【0054】
この場合、右側の走行部は後進走行作動する一方、左側の走行部は前進走行作動するために、機体は右側にスピンターンする。
【0055】
また、左旋回、左急旋回についても、回転ハンドル18を上記とは反対側に回動操作することにより行うことができるものであり、回転ハンドル18の操作位置に関係なく、変速レバー9を中立位置に操作すれば機体は停止し、また、変速レバー9を後進位置に操作すれば、機体は後進、更には、後進左・右旋回、後進左・右ブレーキターン、及び、後進左・右スピンターンさせることができて、各種の作業を効率的に行うことができる。
【0056】
かかる作業車の操向、変速操作において、操向操作は、スライド作用体25を一側方にスライドさせて左右のスライド体27,30 の一方を同方向に摺動させることにより行われるが、この際、左右のスライド体27,30 間にスプリング1が介設しているので、旋回方向にスライド体27,30 が摺動していくと、その間に介設したスプリング1はその分圧縮し、その後スライド体27,30 を中立状態の原位置に復帰させる際の復帰付勢力になって作用し、摺動したスライド体27,30 を自動的に中立位置に復帰させることができる。
【0057】
更には、回転ハンドル18の操作始動時に、スライド作用体25が左右一方向へ摺動開始すると、それにともない、略L字状レバー2,92とともに作動ピン4,94も移動し、スライド体27,30 に当接してスライド体27,30 を摺動方向に付勢する。同時に、スライド作用体25の初期摺動によってカム作動体3,93は、カム8に当接しながらカム機能によって変位し略L字状レバー2,92を中央枢支部を中心に回動させる。
【0058】
該レバー2,92の回動にともない略回動量と同じ量だけ作動ピン4,94は、スライド体27,30 を更に摺動付勢して所定方向にスライド体27,30 を移動させることになり、旋回始動が開始する。
【0059】
換言すれば、回転ハンドル18をわずかに所定方向に操作するだけで、略L字状レバー2,92のカム作動体3,93がカム機能を介して大きく変位し、該レバー2,92を回動させて作動ピン4,94の移動量を大きくとることができるようになり、その分、スライド体27,30 の摺動量は、大きくなり、始動旋回量を大きくとることができる。
【0060】
このように、一旦旋回始動が開始すれば、その後はカム機能はなくなり、回転ハンドル18の旋回操作により、スライド作用体25が通常のスライド作動を行っていくようにしている。
【0061】
上述した旋回操作時における回転ハンドル18の回動量とスライド体27(30)の移動量との関係を図15に示しており、同図に示すように、旋回始動開始時においては、回転ハンドル18を角度αだけ旋回することによって、従来のものではスライド体27(30)をh2だけしか移動できなかったのに対し、本実施例ではスライド体27(30)をh1まで移動させることができ、したがって、始動旋回量を大きくしており、その後においては、従来と同様に回転ハンドル18の回動量に応じてスライド体27(30)が移動するようにしている。
【0062】
本実施例においては、カム8を旋回始動開始時のみに機能し、その後は機能しなくなるような形状としているが、カム8の形状を変更することにより、スピーンターン時において左右走行部の走行速度差を増減させたり、旋回操作途中における走行速度を増減させることもできる。
【0063】
【発明の効果】
本発明では、直進走行から旋回走行に移行する場合には、回転ハンドルを操向操作することにより旋回するものであり、旋回の形態としては、緩慢な旋回形態、やや急なブレーキターン形態、急激なスピンターン形態等があり、これらの旋回形態は、回転ハンドルの操向回転量によって決定される。
【0064】
そこで、回転ハンドルを旋回のために回転操作すると、その回転量を旋回検出センサで検出し、その検出値を走行表示形態の種別信号として走行形態表示部に送り、同走行形態表示部で緩旋回か、ブレーキターンか、スピンターンかを区別して表示し、オペレータに回転ハンドルの操作位置がいかなる走行形態を現出しているかを視認させることができる。この際、走行形態表示部は、作業車に設けられた左右側走行部の回転方向及び回転速度を、棒グラフ状の点灯表示によってそれぞれ図示的に表示し、点灯表示の表示面積から現状の走行形態が、直進、緩旋回、ブレーキターン、スピンターンのいずれかであるかを視認可能に表示するため、左右側走行部の動力配分を容易に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る走行形態表示構造を具備する汎用コンバインの側面図。
【図2】操作部の正面説明図。
【図3】走行形態表示盤の正面図。
【図4】他の実施例としての走行形態表示盤の説明図。
【図5】同旋回・変速兼用連動機構の平面図。
【図6】同旋回・変速兼用連動機構の中央部断面図。
【図7】同旋回・変速兼用連動機構の右側部断面図。
【図8】同旋回・変速兼用連動機構の一部切欠正面図。
【図9】同旋回・変速兼用連動機構の正面図。
【図10】同旋回・変速兼用連動機構の断面平面説明図。
【図11】主変速レバーが中立位置で、かつ、回転ハンドルが中立状態を示す(機体停止)説明図。
【図12】主変速レバーが前進側に変速され、かつ、回転ハンドルが中立状態を示す(機体前進)説明図。
【図13】主変速レバーが前進側に変速され、かつ、回転ハンドルが右旋回状態を示す(機体は右旋回)説明図。
【図14】主変速レバーが前進側に変速され、かつ、回転ハンドルが右スピンターン状態を示す(機体は右急旋回)説明図。
【図15】回転ハンドルの回動量とスライド体の移動量との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
A 汎用コンバイン
M 旋回・変速兼用連動機構
1 スプリング
3,93 カム作動体
2,92 略L字状レバー
4,94 作動ピン
8 カム
9 変速レバー
10 操作台
18 回転ハンドル
25 スライド作用体
27 左スライド体
30 右スライド体
34 主変速軸
Claims (1)
- 回転ハンドルによる操作に基づいて左右一対のクローラ式の走行部を操作して、スピンターンを含む旋回操作を可能にしたコンバインからなる作業車であって、
旋回操作をするための操向機構に回転ハンドルの回転量を検出する旋回検出センサを設けると共に、同旋回検出センサの検出結果に基づいて走行形態を表示する走行形態表示部を運転席から視認しやすい位置に設け、
しかも、走行形態表示部は、左右側走行部の回転方向及び回転速度を、棒グラフ状の点灯表示によってそれぞれ図示的に表示するように構成し、点灯表示の表示面積から現状の走行形態が、直進、緩旋回、ブレーキターン、スピンターンのいずれかであるかを視認可能としたことを特徴とする作業車の走行形態表示構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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