JP3558503B2 - ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の型内成形方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の型内成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の型内成形方法に関する。さらに詳しくは、成形サイクルが短く、かつスキン層を含めた全体の密度分布が均一なすぐれたポリオレフィン系樹脂発泡成形体をうることのできるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の型内成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を、閉鎖しうるが密閉しえない金型内に充填し、加熱融着させることにより、型通りの成形体を製造する方法は公知である(たとえば特開昭63−183832号公報、特開平8−20662号など)。
【0003】
また、型内成形時の加熱融着性をよくする方法として、加圧、加熱下にある水性液に分散している揮発性発泡剤を含有する熱可塑性樹脂粒子を低圧域に放出して予備発泡粒子を製造する際に、製造された予備発泡粒子を洗浄しながら融着性の良好な予備発泡粒子を連続的にうる方法(特開平4−57838号公報)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記ポリオレフィン系樹脂発泡成形体をうる方法では、用いる予備発泡粒子が、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロ−1−クロロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;プロパン、ブタン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロペンタンなどの環式脂肪族炭化水素類;二酸化炭素などの揮発性発泡剤や無機ガスを使用して製造されている。
【0005】
前記揮発性発泡剤や無機ガスのあるものはオゾン層を破壊し、また、あるものは地球温暖化を促進させ、地球環境に悪影響をおよぼすために使用を控えるのが望ましい。また、あるものは燃焼性を有し、空気、酸素などの支燃性ガスと混合すると爆発性ガスを形成するため、製造時の安全性確保に充分注意する必要がある。また、あるものは環境適合性および安全性に前記課題を有さずとも高価であり、実際の使用が困難である。
【0006】
さらに、前記揮発性発泡剤や無機ガスを用いて製造した予備発泡粒子のばあい、スキン層を有する予備発泡粒子がえられるため、予備発泡粒子の表層部と内部との密度差が大きくなる。このような予備発泡粒子を用いて成形体を製造したばあい、えられる成形体の表層部と内部との密度差が大きくなり、見かけ上、機械的強度が低下するほか、たとえば表層部をスライス、廃棄して用いるばあいには、単位成形体重量あたりの廃棄重量が多くなるため、収率が低下する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記のごとき従来からの予備発泡粒子を製造し、成形体にするばあいの問題を解決するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造するために鋭意研究を重ねた結果、従来の発泡剤のかわりに、安価で地球環境に影響を及ぼさず、安全性の高い、予備発泡時に分散媒として使用する水系媒体、通常は水を発泡剤として使用してポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造する画期的な方法を見出した。
【0008】
前記発泡方法により製造された予備発泡粒子には、特異的に予備発泡粒子の表層部に、中心部における平均気泡径の1/3以下であり、かつ直径が0.5μm以上50μm以下であるような微細気泡が1mmあたり300個以上存在し、該予備発泡粒子を用いて発泡成形体を成形したばあいには加熱融着成形時の成形条件幅が広く、かつ、えられた成形体にヒケやソリなどの歪みがなく、外観美麗な成形体がえられることを見出し、これらについてはすでに出願している(特願平9−113812号)。
【0009】
そののち、さらに継続して該予備発泡粒子を用いた型内成形方法について成形条件とえられる発泡成形体の物性との関係について詳細に研究を行なった結果、該予備発泡粒子を用いた型内成形法のばあいには、成形時の金型内最高温度tを、T−5≦t≦T(T(℃)、T(℃)はそれぞれポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の2つの融点の低温側融点および2つの吸熱ピーク間の鞍部温度)を満たすように調整するばあいには、成形サイクルが短くスキン層を含めた全体の密度分布が均一なすぐれたポリオレフィン系樹脂発泡成形体(表層部に微細気泡を有するために真珠光沢を有するすぐれた外観を呈し、かつ、中心部密度/表層部密度(以下、密度比という)が大きくなり、表層部を含めた成形体全体にわたる密度分布の小さいすぐれた成形体)をうることができ、また、予備発泡粒子の表面に付着した融着防止剤の量を3000ppm以下にしたばあいには、さらに加熱融着性を良好にしうることを見出した。
【0010】
本発明は前記のごとき知見にもとづいてなされたものであり、
密度0.880g/cm以上、0.940g/cm未満のポリオレフィン系樹脂組成物からなり、示差走査熱量計法による測定において2つの融点を示す結晶構造を有するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子であって、該粒子の表層部に、中心部における平均気泡径の1/3以下であり、かつ直径が0.5μm以上50μm以下の微細気泡が1mmあたり300個以上存在するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を、閉鎖しうるが密閉しえない金型に充填し、加熱融着させ、型通りの成形体を製造する際に、成形時の金型内最高温度t(℃)が
−5≦t≦T
(T(℃)、T(℃)はそれぞれポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の2つの融点の低温側融点および2つの吸熱ピーク間の鞍部温度)
を満たす条件で成形することを特徴とするポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の型内成形方法(請求項1)、
ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の表面に付着した融着防止剤の量が3000ppm以下である請求項1記載の型内成形方法(請求項2)、
ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である請求項1または2記載の型内成形方法(請求項3)
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、密度0.880g/cm以上、0.940g/cm未満のポリオレフィン系樹脂組成物からの粒子から製造される。
【0012】
前記ポリオレフィン系樹脂組成物の主成分であるポリオレフィン系樹脂は、オレフィン単量体単位を50〜100%(重量%、以下同様)、さらには70〜100%含有し、オレフィン単量体と共重合可能な単量体単位を0〜50%、さらには0〜30%含有する樹脂である。オレフィン単量体単位は、軽量で、機械的強度、加工性、電気絶縁性、耐水性、耐薬品性にすぐれた予備発泡粒子、成形体をうるために使用される成分である。また、オレフィン単量体と共重合可能な単量体単位は、接着性、透明性、耐衝撃性、ガスバリヤー性、帯電防止性などの改質、成形性改良、成形サイクル短縮などのために使用される成分であり、使用することによる効果をうるためには2%以上、さらには5%以上使用するのが好ましい。
【0013】
前記オレフィン単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテンなどの炭素数2〜8のα−オレフィン単量体や、ノルボルネン系モノマーなどの環状オレフィンなどがあげられる。これらのうちでは、エチレン、プロピレンが安価であり、えられる重合体の物性が良好になる点から好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記オレフィン単量体と共重合可能な単量体の具体例としては、酢酸ビニルなどのビニルアルコールエステル、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ヘキシルアクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニルアルコール、メタクリル酸、塩化ビニル、スチレン、イソプレンなどがあげられる。これらのうちでは、酢酸ビニルが接着性、柔軟性、低温特性の改良の点から好ましく、メチルメタクリレートが接着性、低温特性、熱安定性の改良の点から好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
また、ポリオレフィン系樹脂の密度としては、0.880〜0.935g/cm、さらには0.885〜0.915g/cmのものが好ましく、たとえばポリプロピレン系樹脂のばあい、MI(メルトインデックス)としてはまた、0.5〜30g/10分、さらには1〜10g/10分、曲げ弾性率(JIS K 7203)としては5000〜20000kgf/cm、さらには8000〜16000kgf/cm、融点としては125〜165℃、さらには130〜160℃のものが好ましい。前記MIが0.5g/10分未満のばあい、溶融粘度が高すぎて高発泡倍率の予備発泡粒子がえられにくく、30g/10分をこえるばあい、発泡時の樹脂の伸びに対する溶融粘度が低く破泡しやすくなり、予備発泡粒子の連泡率が高くなる傾向にある。
【0016】
前記ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、たとえばエチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム3元共重合体、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体などのポリエチレン系樹脂;ポリブテン、ポリペンテンなどがあげられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、前記ポリオレフィン系樹脂は、無架橋の状態で用いてもよいが、パーオキサイドや放射線などにより架橋させて用いてもよい。これらのうちではポリプロピレン系樹脂が、他のポリオレフィン系樹脂と比べて、高発泡倍率の予備発泡粒子がえられやすく、また、えられた予備発泡粒子から製造された成形体の機械的強度や耐熱性が良好である点から好ましい。
【0017】
前記ポリオレフィン系樹脂組成物には、主成分であるポリオレフィン系樹脂以外の成分として、親水性ポリマーおよび無機充填剤のうちの少なくとも1種、ならびに要すれば使用される帯電防止剤、可塑剤、着色剤、滑剤などの従来公知の添加剤が含まれる。
【0018】
前記親水性ポリマーは、予備発泡粒子表層の微細気泡を安定的に発生させるとともに、発泡剤である水系媒体、通常は水の収着量を向上させ、予備発泡粒子の発泡倍率を向上させるために使用される成分である。
【0019】
前記親水性ポリマーとは、分子内にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、エステル基などの親水性基を有するポリマーであり、親水性のちがいにより吸湿性ポリマー、吸水性ポリマーおよび水溶性ポリマーに分類される。
【0020】
前記吸湿性ポリマーとは、ASTM D570に準拠して測定された吸水率が0.5%以上で上限が100%のポリマーをいう。
【0021】
前記吸湿性ポリマーの代表例としては、たとえばカルボキシル基含有ポリマー、ポリアミド、熱可塑性ポリエステル系エラストマー、セルロース誘導体などがあげられる。
【0022】
前記カルボキシル基含有ポリマーの具体例としては、たとえばエチレン−アクリル酸−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の分子間をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンをはじめ、亜鉛イオンなどの遷移金属イオンで架橋させたエチレン系アイオノマー、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などがあげられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのカルボキシル基含有ポリマーのなかでは、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の分子間をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンなどで架橋させたエチレン系アイオノマーが、ポリオレフィン系樹脂中での分散性にすぐれ、比較的少量でポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子、およびそれからなる成形体の表層部に前記微細気泡を安定的に多数生成させうるので、本発明においてとくに好ましく使用しうるものである。
【0023】
前記ポリアミドの具体例としては、たとえばナイロン−6、ナイロン−6,6、共重合ナイロン(イーエムエス ヘミー社(EMS−CHEMIE AG)製、商品名グリルテックスなど)などがあげられる。これらのポリアミドは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記熱可塑性ポリエステル系エラストマーの具体例としては、たとえばポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールのブロック共重合体などがあげられる。これらの熱可塑性ポリエステル系エラストマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記セルロース誘導体の具体例としては、たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースなどがあげられる。これらのセルロース誘導体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記吸水性ポリマーとは、水に溶けることなく、自重の数倍から数百倍の水を吸水し、圧力がかかっても脱水されがたいポリマーをいう。
【0027】
前記吸水性ポリマーの具体例としては、たとえば澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、架橋ポリビニルアルコール系重合体、架橋ポリエチレンオキサイド系重合体、イソブチレン−マレイン酸系共重合体などがあげられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記架橋ポリビニルアルコール系重合体の具体例としては、たとえば日本合成化学工業(株)製の商品名アクアリザーブGPなどで代表される種々の架橋ポリビニルアルコール系重合体があげられる。かかる重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記架橋ポリエチレンオキサイド系重合体の具体例としては、たとえば住友精化(株)製の商品名アクアコークなどで代表される種々の架橋ポリエチレンオキサイド系重合体があげられる。かかる重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記イソブチレン−マレイン酸系共重合体の具体例としては、たとえば(株)クラレ製の商品名KIゲルなどで代表される種々のイソブチレン−マレイン酸系共重合体があげられる。かかる共重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記水溶性ポリマーとは、常温ないし高温状態で水に溶解するポリマーをいう。
【0032】
前記水溶性ポリマーの具体例としては、たとえばポリ(メタ)アクリル酸系重合体、ポリ(メタ)アクリル酸塩系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエチレンオキサイド系重合体、水溶性セルロース誘導体などがあげられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体としては、たとえばポリアクリル酸、アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記ポリ(メタ)アクリル酸塩系重合体としては、たとえばポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸カリウムなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記ポリビニルアルコール系重合体としては、たとえばポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体などがあげられる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記ポリエチレンオキサイド系重合体としては、たとえば分子量数万〜数百万のポリエチレンオキサイドなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記水溶性セルロース誘導体としては、たとえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記無機充填剤は、中心部における気泡径を均一化するために使用される成分である。
【0039】
前記無機充填剤の具体例としては、たとえばタルク、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化カルシウムなどがあげられる。これらのうちでは、タルクが安価であるうえ、少量で中心部の気泡径を均一化する効果がえられるため好ましい。
【0040】
前記ポリオレフィン系樹脂組成物に親水性ポリマーが含まれるばあいのポリオレフィン系樹脂および親水性ポリマーの割合は、親水性ポリマーの種類によって異なるが、これらの合計が100%になるようにポリオレフィン系樹脂95〜99.99%、さらには98〜99.99%に対し、親水性ポリマー0.01〜5%、さらには0.01〜2%使用されるのが好ましい。
【0041】
前記ポリオレフィン系樹脂の含有割合が多くなりすぎると親水性ポリマーの添加割合が少なくなりすぎ、微細気泡を安定的に発生させにくくなる傾向にあり、逆に少なくなりすぎると親水性ポリマーの添加割合が多くなりすぎるために、予備発泡粒子の連泡率が高くなったり、中心部と表層部の平均気泡径の比が1/3をこえて大きくなる、あるいは直径0.5μm以上50μm以下であるような表層微細気泡数が1mmあたり300個未満となってしまう傾向が生じる。
【0042】
前記ポリオレフィン系樹脂組成物に無機充填剤が含まれているばあいの無機充填剤の割合は、ポリオレフィン系樹脂または親水性ポリマーが含まれているばあいにはポリオレフィン系樹脂と親水性ポリマーの混合物100部(重量部、以下同様)に対して無機充填剤が0.001〜5部、さらには0.005〜3部であるのが好ましい。無機充填剤の割合が少なすぎると、無機充填剤添加の効果である中心部における均一な気泡構造が充分えられにくくなる傾向にあり、また、無機充填剤の割合が多すぎると、ポリオレフィン系樹脂組成物の密度が高くなり、0.940g/cm以上になるばあいが生じるとともに、予備発泡粒子の中心部の平均気泡径が小さくなってしまう傾向が生じる。
【0043】
前記ポリオレフィン系樹脂ならびに親水性ポリマーおよび充填剤のうちの少なくとも1種、好ましくは両者を含み、要すれば他の添加剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物は、通常、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いて溶融混練し、ついで円柱状、楕円柱状、球状、立方体状、直方体状などの予備発泡に利用しやすい所望の粒子形状に成形するのが好ましい。
【0044】
前記のごときポリオレフィン系樹脂組成物は、密度が0.880g/cm以上、さらには0.885g/cm以上で、0.940g/cm未満、さらには0.935g/cm以下である。密度が低くなりすぎると予備発泡粒子の融着成形時の成形条件幅が著しく狭くなり、成形性が低下する。なお、高くなりすぎるばあいには、樹脂の結晶化度が高く、予備発泡粒子に2つの融点を有するような特殊な結晶構造をもたせることが困難となる。
【0045】
前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、示差走査熱量計法による測定において2つの融点を示す結晶構造を有し、かつ、その表層部に、中心部における平均気泡径の1/3以下、さらには1/4以下であり、かつ直径が0.5μm以上、さらには1μm以上、50μm以下、さらには45μm以下であるような微細気泡が1mmあたり300個以上、さらには500個以上存在し、また一般に発泡倍率1.5〜80倍、さらには2〜60倍、連泡率20%以下、さらには15%以下および中心部の平均気泡径100〜1000μm、さらには100〜700μmのものである。
【0046】
前記示差走査熱量計法による測定において2つの融点を示す結晶構造を有するとは、本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を約5mg採取し、セイコー電子工業(株)製のSSC5200を用いて40℃から220℃まで、昇温速度10℃/分の測定条件で融点を測定したときに、2つの融点があり、それらの温度差が好ましくは5℃以上、さらに好ましくは5〜30℃であるような結晶構造を有することをいう。融点が2つあり、それらの温度差が5℃以上であるため、融着成形時に蒸気などにより予備発泡粒子が加熱された際、適度な2次発泡性と破泡収縮しないだけの樹脂膜強度を同時に満足する融着成形性の良好な、温度範囲(成形条件幅)の広い予備発泡粒子となる。
【0047】
前記2つの融点は、ポリプロピレン系樹脂のばあい、通常110〜155℃と120〜175℃に存在し、ポリエチレン系樹脂のばあい、通常70〜110℃と90〜135℃に存在する。
【0048】
また、前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の表層部とは、前記予備発泡粒子の表面から50μmまでの部分であり、前記予備発泡粒子の最外層に位置する単層の微細気泡はすべてこの表層部に含まれ、中心部とは、前記予備発泡粒子の表層部を除いた部分のことである。
【0049】
さらに、前記表層部の微細気泡の直径とは、前記予備発泡粒子表面の拡大顕微鏡写真において観察される気泡断面積を求め、これを円と仮定した際に面積同等となるように求めた直径(いわゆる相当径)のことである。また、前記中心部の平均気泡径とは、前記予備発泡粒子断面の拡大顕微鏡写真において、表層部を除く部分に、長さ1mmに相当する線分を引き、該線分が通る気泡数を求めたのち、ASTM D 3576記載の手順にもとづいて求めた平均気泡径のことである。
【0050】
前記表層部における微細気泡の直径が中心部における平均気泡径の1/3より大きいばあいには、中心部における気泡と表層部における微細気泡との区別が明確でなくなるうえ、中心部における平均気泡径が小さいばあいには、成形融着性や成形サイクルなどの成形性に劣る。また、成形時に発泡粒子の連泡率が増大し、えられた成形体の機械的強度が低下するため好ましくない。また、前記表層部の微細気泡の直径が0.5μm未満のばあい、可視光の波長が0.4〜0.7μm程度であり、光学的に気泡の存在を確認できなくなる(気泡が透明になる)ため、本発明では気泡として考えない。また、微細気泡の直径が50μmをこえるばあいには、表層微細気泡が存在することによりえられる型内成形体の真珠光沢を有するすぐれた外観が損われてしまうため好ましくない。また、1mmあたりの微細気泡の個数が少なすぎるばあいには表層微細気泡の分布が疎となるため、融着成形性や圧縮弾性回復率などのすぐれた改善効果がなくなる。なお、1mmあたりの微細気泡の個数の上限は該範囲内に直径0.5μmの微細気泡が単層に密に配置されたばあいを考えると、約100万個である。
【0051】
本発明に使用されるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、前記ポリオレフィン系樹脂ならびに親水性ポリマーおよび無機充填剤のうちの少なくとも1種などを含有するポリオレフィン系樹脂組成物からの粒子を密閉容器内で水系分散媒に分散させ、該粒子を前記ポリオレフィン系樹脂の軟化温度以上の温度に加熱し、含水したポリオレフィン系樹脂組成物からの粒子としたのち、前記密閉容器の一端を解放し、前記含水粒子および水系分散媒を前記密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中に放出させ、含水粒子中に含まれる水または水系分散媒を発泡剤として含水粒子を発泡させることにより製造される。
【0052】
本発明に使用されるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造するに際し、密閉容器内で前記樹脂組成物からの粒子が水系分散媒に分散せしめられるが、このとき、通常融着防止剤が使用される。
【0053】
前記水系分散媒の代表例としては水があげられるが、必要によりエチレングリコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、グリセリンなどが加えられたものであってもよい。
【0054】
前記融着防止剤としては、従来から分散剤または融着防止剤として用いられている物質がいずれも適用可能である。具体例としては、たとえば微粒状酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、ベントナイトなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、第三リン酸カルシウムが融着防止効果が高く好ましい。
【0055】
また、たとえばn−パラフィンスルホン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどの分散助剤を適宜配合してもよい。
【0056】
本発明の成形方法において用いられるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の表面に付着した融着防止剤の量は、3000ppm以下、さらには2000ppm以下であるのが好ましい。前記表面に付着した融着防止剤の量が多すぎるばあいには、型内成形時の加熱融着性が充分でなくなる。なお、融着防止剤の量は少ない方がよいが、10ppm程度未満にするのは困難であり実用的ではない。
【0057】
予備発泡粒子の表面に付着した融着防止剤の量の低減は、予備発泡粒子の製造後、好ましくは製造直後水洗を行なう、前記分散助剤(界面活性剤)水溶液またはポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどの縮合リン酸塩の水溶液などにより洗浄するなどにより行なうことができる。
【0058】
本発明では、前記表層部に微細気泡を有するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を、閉鎖しうるが密閉しえない金型に充填し、加熱融着させ、型通りの成形体が製造される。その際、成形時の金型内最高温度t(℃)が、
−5≦t≦T
(T(℃)、T(℃)はそれぞれ前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の2つの融点の低温側融点および2つの吸熱ピーク間の鞍部温度である)
となるように設定される。
【0059】
前記成形時の金型内最高温度t(℃)は、つぎのようにして求められる。
【0060】
たとえば成形時の加熱を水蒸気を用いて行なうばあいには、成形用金型のいずれか1面に圧力センサーを設置し、水蒸気予備加熱により、金型内の空気を充分に除去したのち本加熱を行なう。このばあい、金型内温度は水蒸気の蒸気圧により一義的に決定され、圧力センサーから読みとられる金型内圧力値を蒸気圧表と照らし合わせることにより求められる。したがって、成形開始から終了までの金型内の圧力の最高値(最高面圧)を測定することにより金型内最高温度が求められる。具体的には、(社)化学工学会編、改訂5版化学工学便覧(1988)、18頁に記載された水の蒸気圧表から求めた。
【0061】
金型内温度は、金型内に直接温度計、熱電対などを挿入して測定してもよいが、そのばあい、金型閉鎖時に蒸気漏れが起こったり、成形体に前記温度計、熱電対などの痕跡が残ったりする。
【0062】
前記T(℃)およびT(℃)はつぎのようにして求められる。
【0063】
すなわち、本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の示差走査熱量測定によるDSC曲線を求めると、たとえば図1のグラフに示されているように、結晶化に伴う吸熱ピーク(融点)を2つ有するグラフがえられる。これらの2つのピークのうち、低温側のピーク(融点)がT(℃)(図1中の符号α)である。なお、高温側のピーク(融点)はT(℃)(図1中の符号β)である。通常、この2つの融点の温度差T−Tは5〜30℃程度であり、図1に示されているように、これら2つのピークが全体として馬の鞍のような形を形成する。この鞍部を形成するDSC曲線が最も放熱側に寄った点(もう1つの極値となる)の温度が鞍部温度T(℃)(図1中の符号γ)である。
【0064】
前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子において、通常、Tは70〜155℃、Tは110〜175℃、Tは80〜170℃であり、T−Tは5〜25℃である。とくにポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子のばあいには、Tは110〜155℃、Tは120〜175℃、Tは115〜170℃であり、T−Tは5〜25℃である。
【0065】
本発明では、前記金型内最高温度tが、T−5(℃)以上、好ましくはT−4(℃)以上で、T(℃)以下、好ましくはT−2(℃)以下となるような条件で型内成形が行なわれる。金型内最高温度がT−5(℃)未満のばあい、加熱が不充分で予備発泡粒子の2次発泡力が不足し、融着性が低下する。一方、Tをこえて加熱しようとすると、高い水蒸気圧での加熱が必要となり、最高面圧が高くなり、金型壁面の予備発泡粒子がより強く金型壁面に圧着されるため、えられる発泡成形体の表層部密度が高くなり、中心部密度/表層部密度が小さく、密度差が大きくなるため、成形体内密度分布が大きくなる。また、Tをこえる高温に加熱するため、成形サイクルが長くなって成形性が低下する。さらに、加熱過剰により予備発泡粒子中の気泡膜が破断し、発泡成形体を形成する発泡粒子の連泡率が高くなり、成形体強度が低下するほか、ヒケ、ソリなどの寸法の歪みが大きくなり、さらには本発明による真珠光沢を有するすぐれた外観が損われる。
【0066】
かくして、全体の密度分布が均一で、外観美麗なすぐれたポリオレフィン系樹脂発泡成形体が短いサイクルで成形される。
【0067】
本発明の成形方法によりえられるポリオレフィン系樹脂発泡成形体は、発泡倍率1.5〜80倍、さらには2〜60倍、融着率50%以上、さらには70%以上、連泡率0〜20%、さらには0〜15%、密度比0.80〜1.00、さらには0.85〜1.00の成形体であるのが好ましい。
【0068】
発泡倍率が80倍をこえると予備発泡粒子の気泡膜が薄くなりすぎるため、破断による気泡の連通化が生じやすくなる傾向にあり、1.5倍未満のばあいには成形体の柔軟性、緩衝特性、断熱性が低下する傾向がある。
【0069】
また、融着率が50%未満のばあい、発泡成形体の引張強度、曲げ強度などの機械的強度が低下する他、はなはだしいばあいには予備発泡粒子が剥離、欠落し、形状をとどめなくなる。
【0070】
さらに、連泡率が20%をこえるばあいには発泡成形体の圧縮強度、曲げ強度などの機械的強度が低下する他、緩衝特性も低下する傾向にある。また、密度比が0.80未満のばあい、機械的強度の向上効果が小さくなり、型内成形法を用いて中心部密度の均一な発泡成形体をえたばあいには、原理的に表層部密度は中心部密度以上となるため、1.0をこえるばあいはない。
【0071】
このようにしてえらえる本発明の方法によるポリオレフィン系樹脂発泡成形体の密度は、好ましくは15〜200g/L、さらには45〜150g/Lのものとなる。
【0072】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明の方法をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0073】
なお、実施例および比較例における評価は、つぎの方法により行なった。
【0074】
(予備発泡粒子の発泡倍率)
予備発泡粒子3〜10g程度を取り、60℃で6時間乾燥したのち重量wを測定後、水没法で体積vを測定し、予備発泡粒子の真比重ρ=w/vを求め、原料組成物の密度ρとの比から発泡倍率K=ρ/ρを求めた。
【0075】
(予備発泡粒子の連泡率)
空気比較式比重計(東京サイエンス(株)製、1000型)を用い、えられた予備発泡粒子の独立気泡体積を求め、これを別途水没法により求めた見かけの体積で除してえられた独立気泡率(%)を、100から引くことにより求めた。
【0076】
(予備発泡粒子の中心部の平均気泡径)
予備発泡粒子10個を任意に取り出し、セル膜が破壊されないように充分注意して切断したそれぞれのサンプルの切断面の拡大顕微鏡写真において、表層部を除く部分に長さ1mmに相当する線分を引き、該線分が通る気泡数を測定し、以後はASTM D3576に準拠して平均気泡径を測定し、中心部の平均気泡径dを算出した。
【0077】
(予備発泡粒子の表層部の微細気泡径)
予備発泡粒子5個を任意に取り出し、光学顕微鏡を用いて表層部の拡大顕微鏡写真(×1000倍)をそれぞれ2枚撮影した。えられた10枚の顕微鏡写真上で、それぞれ一辺100μmに相当する大きさの正方形を描き、その範囲内に含まれる各気泡の断面積を求め、これを円と仮定した際に面積同等となるような相当径を求めた。
【0078】
(予備発泡粒子の表層部の微細気泡数)
予備発泡粒子5個を任意に取り出し、光学顕微鏡を用いて表層部の拡大顕微鏡写真(×1000倍)をそれぞれ2枚撮影した。えられた10枚の顕微鏡写真上にそれぞれ一辺100μmに相当する大きさの正方形を描き、その中に含まれる直径が0.5μm以上50μm以下の微細気泡数を測定し、その合計数を求め(総面積0.1mm)、これを10倍することにより、1mmあたりの微細気泡数を算出した。
【0079】
(融点および鞍部温度の測定)
充分に乾燥させた予備発泡粒子5〜10mgを精秤後、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製SSC5200)に供給し、40℃から220℃まで、昇温速度10℃/分の条件で測定を行ない、あらわれる吸熱ピークのピーク温度を融点とした。また、いずれのばあいも融点は2つあらわれたので、これら2つのピークがなす馬の鞍状のDSC曲線が最も放熱側に寄った点(もう1つの極値となる)の温度を鞍部温度とした。
【0080】
(予備発泡粒子表面に付着した融着防止剤(第三リン酸カルシウム)の量)
メタバナジン酸アンモニウム0.022%、モリブデン酸アンモニウム0.54%および硝酸3%を含む水溶液(比色液)50.0mlとw(g)の予備発泡粒子とをコニカルビーカーにとり、1分間撹拌したのち、10分間放置した。えられた液相を光路長1.0cmの石英セルにとり、分光光度計により410nmでの吸光度Aを測定した。
【0081】
同一の比色液についてあらかじめ測定しておいた第三リン酸カルシウムの410nmでの吸光度係数μ(g/L・cm)を用い、以下の式にもとづいて融着防止剤の量C(phr)を求めた。
【0082】
【数1】
Figure 0003558503
【0083】
(発泡成形体の発泡倍率)
成形後80℃で48時間乾燥した発泡成形体の重量wおよび水没法により体積vを測定し、成形体の密度を式:ρ=w/vより求めた。これとポリオレフィン系樹脂組成物の密度との比を求め、発泡倍率とした。
【0084】
(発泡成形体融着率)
発泡成形体の表面にナイフで約5mmの深さのクラックを入れたのち、このクラックに沿って成形体を割り、破断面を観察し、粒子の全個数に対する破壊粒子数の割合を求め、発泡成形体融着率とした。
【0085】
(発泡成形体の連泡率)
発泡成形体の中心部より、一辺約25mmの立方体試験片を5個採取し、それぞれ各辺の寸法をマイクロメータで測定し、外形体積vを求め、予備発泡粒子の連泡率と同様にして求めた独立気泡体積vとの比より求められる独立気泡率(v/v×100(%))を、100から引くことにより求め、各試験片の測定値の平均値を求めた。
【0086】
(密度比)
発泡成形体(270×290×50(mm)の金型で成形した成形体)の表面(6面)を含む厚さ5mmの測定用サンプルを採取し(計6枚)、重量wを測定後、水没法により体積vを求め、密度w/vを算出した(表層部密度)。一方、表層部密度測定用サンプル採取後の発泡成形体の残りの部分の重量wを測定後、水没法により体積vを求め、密度w/vを算出した(中心部密度)。それらから(中心部密度)/(表層部密度)を算出した。
【0087】
(外観)
えられた成形体のヒケ、ソリなどの寸法歪みおよび表面光沢について目視で評価し、ヒケ、ソリなどの寸法歪みがなく、かつ表面が真珠光沢を有するばあいを○、それ以外のばあいを×とした。
【0088】
製造例1
ポリオレフィン系樹脂であるエチレン−プロピレンランダム共重合体(密度0.90g/cm、融点145℃、MI=5.5g/10分)98%とエチレン系アイオノマー(エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量15%)のカルボン酸をナトリウムで塩にして分子間を架橋させたアイオノマー(イオン化度59%))2%とからなる混合物100部に対し、無機充填剤としてタルク(平均粒径7μm)0.5部を添加し、50mmφ単軸押出機に供給し、溶融混練したのち、直径1.5mmφの円筒ダイより押し出し、水冷後カッターで切断し、円柱状のポリオレフィン系樹脂組成物からの粒子(1.8mg/粒)をえた。えられた粒子の融点は145℃、JIS K 7112により測定した密度は0.91g/cmであった。
【0089】
えられた粒子100部を水200部、第3リン酸カルシウム1.0部およびn−パラフィンスルホン酸ソーダ0.03部とともに耐圧密閉容器に投入したのち、撹拌しながら155.2℃に加熱した。このときの圧力は約5kg/cmGであった。そののち、空気加圧により耐圧密閉容器の内圧を30kg/cmGとし、すぐに密閉容器下部のバルブを開いて水分散物(粒子および水系分散媒)を直径4mmφのオリフィスを通じて大気圧下に放出して独立気泡構造を有する予備発泡粒子をえた。この際、放出中は容器内の圧力が低下しないように、空気で圧力を保持した。また、放出せしめられた予備発泡粒子に対して、洗浄水ラインの末端に設けられた複数の小孔ノズルから噴出される粒子重量の40倍の洗浄水(60℃)によって、表面付着物(融着防止剤)を洗い流した。
【0090】
えられた予備発泡粒子(A)は示差走査熱量計測定において、低温側融点(T)144℃、高温側融点(T)162℃の2つの融点と、鞍部温度(T)155.1℃を示し、発泡倍率、連泡率、中心部の平均気泡径および粒子表層部の微細気泡の直径および気泡数を測定した結果、発泡倍率9.8倍、連泡率0.4%、中心部の平均気泡径121μm、表層部の微細気泡の直径2〜10μm、表層部の微細気泡数1370個/mmであり、表層部には2〜10μmを外れる直径を有する気泡は観察されなかった。また、予備発泡粒子(A)の表面に付着した融着防止剤の量は700ppmであった。結果をまとめて表1に示す
製造例2
製造例1でえられた予備発泡粒子(A)を塩酸水溶液(pH 1)で洗浄して、表面付着物量を50ppmにした予備発泡粒子(B)をえた。えられた予備発泡粒子(B)の物性を表1に示す。
【0091】
製造例3
ポリオレフィン系樹脂100部に対し、添加するタルクの量を0.01部とし、また予備発泡粒子を製造する際に、揮発性発泡剤であるイソブタンを14.5部添加し、発泡温度を145.0℃とした以外は、製造例1と同様にして、予備発泡粒子(C)をえた。えられた予備発泡粒子(C)の物性を表1に示す。
【0092】
【表1】
Figure 0003558503
【0093】
実施例1〜3
製造例1でえられた予備発泡粒子(A)を密閉容器内に投入し、密閉容器内を空気加圧して2.0kg/cmGとした。これを室温で18時間放置することにより、予備発泡粒子に発泡能を付与し、内圧を2.0atm(abs)として、閉鎖しうるが密閉しえない金型(270×290×50(mm))内に充填し、表2に示す加熱蒸気圧で加熱融着させた発泡成形体をえた。また、加熱融着成形の際には、金型の側面(270×290(mm)の長方形面)に圧力センサーを設置し、成形時の金型内面圧の変化をリアルタイムでモニタリングし、成形中の最高金型内面圧より金型内最高温度tを求めた。また、前記圧力計の指示値が0.5kg/cmGとなった時点で金型開となるようにあらかじめ設定したばあいの、金型閉から金型開までの時間を成形サイクルとして測定した。また、えられた成形体の特性をしらべた。結果を表2に示す。
【0094】
実施例4〜5
製造例2でえられた予備発泡粒子(B)に発泡能を付与することなく成形金型に充填する直前に3.0kg/cmGの空気で加圧圧縮したのち、閉鎖しうるが密閉しえない金型内に充填した以外は実施例1〜3と同様にして発泡成形体をえ、特性をしらべた。結果を表2に示す。
【0095】
比較例1〜2
金型内最高温度を表2に示すように変更した以外は、実施例1〜3と同様にして発泡成形体をえ、特性をしらべた。
【0096】
なお、比較例1のばあい、金型内最高温度が低すぎたため、成形サイクルは短くなったが、えられた発泡成形体の融着率は0%であり、破断面を指でこする程度の軽い摩擦により、成形体を構成する予備発泡粒子が剥離、欠落してしまい、まともな成形体とよべるものがえられなかった。結果を表2に示す。
【0097】
比較例3〜4
製造例3でえられた予備発泡粒子(C)を用いた以外は実施例1〜3と同様にして発泡成形体をえ、特性をしらべた。結果を表2に示す。
【0098】
【表2】
Figure 0003558503
【0099】
表2の結果から、実施例1〜3でえられた発泡成形体は、いずれもヒケ、ソリなどの歪みがなく、真珠光沢を有する外観美麗な成形体であるうえ、表芯密度差が小さく、密度分布が均一なすぐれた成形体であり、これらをうるために要した成形サイクルも短いことがわかる。
【0100】
また、実施例4〜5から、成形法によらず、融着率が高く、連泡率が低く、密度分布が均一で、外観も良好なすぐれた発泡成形体がえられることがわかる。また、これらをうるために要した成形サイクルも短いことがわかる。
【0101】
比較例2から、金型内最高温度が高すぎるばあいには、成形サイクルが長くなるうえに、成形体の連泡率が高く、密度比((中心部密度)/(表層部密度))が小さくなることがわかる。
【0102】
比較例3、4から、予備発泡粒子(C)の表層部に微細気泡が存在しないばあいには、同一条件での成形でも成形サイクルが長く、また発泡成形体の密度分布は不均一であり、さらに真珠光沢のない、艶消し状の鈍い光沢を有するものしかえられないことがわかる。
【0103】
【発明の効果】
本発明の型内成形方法により成形すると、短い成形サイクルでスキン層を含めた全体の密度分布が均一な成形体をうることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の2つの融点および鞍部温度の求め方を説明するのに用いた示差走査熱量測定によるDSC曲線を示す図面である。
【符号の説明】
α:結晶化に伴う2つの吸熱ピークのうち低温側のピーク(融点)T(℃)
β:結晶化に伴う2つの吸熱ピークのうち高温側のピーク(融点)T(℃)
γ:鞍部を形成するDSC曲線が最も放熱側に寄った点(鞍部温度)T(℃)

Claims (3)

  1. 密度0.880g/cm以上、0.940g/cm未満のポリオレフィン系樹脂組成物からなり、示差走査熱量計法による測定において2つの融点を示す結晶構造を有するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子であって、該粒子の表層部に、中心部における平均気泡径の1/3以下であり、かつ直径が0.5μm以上、50μm以下の微細気泡が1mmあたり300個以上存在するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を、閉鎖しうるが密閉しえない金型に充填し、加熱融着させ、型通りの成形体を製造する際に、成形時の金型内最高温度t(℃)が
    −5≦t≦T
    (T(℃)、T(℃)はそれぞれポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の2つの融点の低温側融点および2つの吸熱ピーク間の鞍部温度)
    を満たす条件で成形することを特徴とするポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の型内成形方法。
  2. ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の表面に付着した融着防止剤の量が3000ppm以下である請求項1記載の型内成形方法。
  3. ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である請求項1または2記載の型内成形方法。
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