JP2000095891A - ポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子の製造方法

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JP2000095891A
JP2000095891A JP11301051A JP30105199A JP2000095891A JP 2000095891 A JP2000095891 A JP 2000095891A JP 11301051 A JP11301051 A JP 11301051A JP 30105199 A JP30105199 A JP 30105199A JP 2000095891 A JP2000095891 A JP 2000095891A
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polyolefin
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water
resin composition
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JP11301051A
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English (en)
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Takeshi Obayashi
毅 御林
Kenji Mogami
健二 最上
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 融着率が低くとも粒子間融着強度が高く、引
張強度などの機械的強度特性にすぐれたポリオレフィン
系樹脂組成物発泡成形体を与える予備発泡粒子を製造す
る。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂組成物からの樹脂
粒子を密閉容器内で水系分散媒に分散させ、前記ポリオ
レフィン系樹脂の軟化温度以上で軟化温度+50℃以下
の温度に加熱し、含水した粒子としたのち、無機ガスお
よび(または)水系分散媒と同等の液体を密閉容器内に
導入して、または導入せずに、容器内の圧力を68.6
×104〜744.8×104Pa(6〜75kg/cm
2G)とし、この圧力を保持しつつ前記密閉容器の内圧
よりも低圧の雰囲気下に放出することを特徴とするポリ
オレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断熱材、緩衝包装
材、通函、バンパー用芯材、ピラー、プラットフォー
ム、側突材などの自動車部材、パレット材、ツールボッ
クスなどに用いられるポリオレフィン系樹脂組成物から
の型内発泡成形体の製造に使用されるポリオレフィン系
樹脂組成物予備発泡粒子の製造方法に関する。さらに詳
しくは、融着率が低くとも粒子間融着強度が高く、引張
強度などの機械的強度特性にすぐれたポリオレフィン系
樹脂組成物発泡成形体の製造に使用されるポリオレフィ
ン系樹脂組成物予備発泡粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
オレフィン系樹脂型内発泡成形体は、ポリスチレン系樹
脂型内発泡成形体に比べて、耐薬品性、耐熱性、圧縮後
の歪み回復性などにすぐれており、緩衝包装材、通函、
バンパ用芯材、ピラー、プラットフォーム、側突材など
の自動車部材、パレット材、ツールボックスなどに広く
用いられている。
【0003】また、前記ポリオレフィン系樹脂型内発泡
成形体の製法としては数種の方法が知られているが、こ
れらはいずれもポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を閉
鎖し得るが密閉しえない金型内に充填し、水蒸気などに
より加熱融着させる方法である。したがって、得られた
成形体の融着率を高くすることが、良好な物性を有する
発泡成形体の前提条件と考えられ、とくに良好な発泡成
形体の融着率は80%以上であるとされてきている(た
とえば特開昭63−183832号公報、特開昭60−
107516号公報、特開平4−57838号公報な
ど)。
【0004】これは、発泡成形体の融着率の低下によ
り、発泡成形体に脆性が顕著に現れ、ハンドリング性が
低下したり、機械加工時に割れる、あるいはとくに引張
強度に代表される機械的強度特性が低下することによ
る。また、融着率が10%以下のように著しく低い発泡
成形体の場合、発泡成形体の破断面を指でこする程度の
わずかな摩擦により、予備発泡粒子が剥離欠落すること
もある。
【0005】これらはいずれも発泡成形体を形成する予
備発泡粒子間の融着力の低下が原因と考えられ、このた
めに発泡成形体の融着率は高くすることが常識とされて
きている。
【0006】一方、前記発泡成形体の融着率は、様々な
因子によって決定され、とくに成形時の加熱温度や、ポ
リオレフィン系樹脂予備発泡粒子の表面に付着した無機
物の量によって大きく変化し、成形時の加熱温度は高い
ほど、付着無機物量は少ないほど、融着率の高い発泡成
形体が得られることが知られており、こうした各因子を
微妙にコントロールすることが成形技術とされてきた
が、逆に加熱融着成形を行なうに際して設定する因子が
複雑となり、成形幅を狭める結果となっている。
【0007】ところが、従来知られている、ポリオレフ
ィン系樹脂予備発泡粒子の、たとえば原料樹脂を変更し
たり、付着無機物量を調整したりといった技術では、融
着率の低い発泡成形体を形成する予備発泡粒子間の融着
力が顕著に変化するとは考えられず、したがって、融着
率の低い発泡成形体の物性評価は充分には行なわれてい
ない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のポ
リオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造に際して用いら
れてきた揮発性発泡剤のかわりに、安価で地球環境に影
響をおよぼさず、安全性の高い、予備発泡時に分散媒と
して用いる水系媒体、通常は水を発泡剤として使用して
ポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子を製造する画
期的な方法を見出した。
【0009】前記発泡方法により製造される予備発泡粒
子には、特異的に予備発泡粒子の表層部に、中心部にお
ける平均気泡径の1/3以下であり、かつ直径が0.5
μm以上50μm以下であるような微細気泡が1mm2
あたり300個以上存在し、さらに該予備発泡粒子を用
いて発泡成形体を成形した場合には、加熱融着時の成形
条件幅が広く、かつ、得られる成形体の表層部に直径
0.5〜50μmの微細気泡が1mm2あたり300個
以上存在することを見出し、これらについてはすでに出
願している(特開平10−298338号公報)。
【0010】そののち、さらに継続して、該予備発泡粒
子から得られる発泡成形体の物性について詳細に評価を
行なった結果、驚くべきことに、該発泡成形体は、融着
率が低くても引張強度に代表される機械的強度が従来品
に比べて高く、したがって、引張強度の融着率依存性が
低いことを見出した。
【0011】本発明は前記のごとき知見に基づいてなさ
れたものであり、ポリオレフィン系樹脂組成物からの樹
脂粒子を密閉容器内で水系分散媒に分散させ、前記ポリ
オレフィン系樹脂の軟化温度以上で軟化温度+50℃以
下の温度に加熱し、含水した粒子としたのち、無機ガス
および(または)水系分散媒と同等の液体を密閉容器内
に導入して、または導入せずに、容器内の圧力を68.
6×104〜744.8×104Pa(6〜75kg/c
2G)とし、この圧力を保持しつつ前記密閉容器の内
圧よりも低圧の雰囲気下に放出することを特徴とするポ
リオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子の製造方法(請
求項1)に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明による予備発泡粒子からの
ポリオレフィン系樹脂組成物発泡成形体は、ポリオレフ
ィン系樹脂組成物からの予備発泡粒子を閉鎖し得るが密
閉しえない金型内に充填し、水蒸気などにより加熱融着
させることによって得られる発泡成形体である。
【0013】前記ポリオレフィン系樹脂組成物は、予備
発泡粒子の基材樹脂であるポリオレフィン系樹脂と、親
水性ポリマーおよび充填剤のうちの1種以上とを含み、
要すればその他の添加剤、たとえば染料、顔料、滑剤、
帯電防止剤、収縮防止剤などを含有する。該組成物が親
水性ポリマーを含有する場合には、予備発泡粒子、ひい
ては発泡成形体の表層部の微細気泡を安定的に発生させ
て、型内成形時の成形サイクルを短縮し、かつ、加熱融
着時の成形条件幅が広くなり、さらに得られる成形体の
引張強度の融着率依存性を小さくする点から好ましく、
また、充填剤を含有する場合には、予備発泡時の発泡効
率を上げ、高発泡倍率の予備発泡粒子が得られるほか、
中心部の平均気泡径を型内成形に適した大きさとするこ
とができる点から好ましい。なお、親水性ポリマーと充
填剤とを併用する場合には、予備発泡粒子の中心部の気
泡径が均一で、かつ、予備発泡粒子、ひいては発泡成形
体の表層部の微細気泡が安定的に発生し、しかも高発泡
倍率の予備発泡粒子を得ることができるという点から好
ましい。
【0014】前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン
単量体単位を50〜100%(重量%、以下同様)、さ
らには70〜100%含有し、オレフィン単量体と共重
合可能な単量体単位を0〜50%、さらには0〜30%
含有する樹脂である。オレフィン単量体単位を50%以
上含有するため、軽量で機械的強度、加工性、電気絶縁
性、耐水性、耐薬品性にすぐれた成形体が得られる。オ
レフィン単量体と共重合可能な単量体単位は、接着性、
透明性、耐衝撃性、ガスバリア性などの改質のために使
用される成分であり、使用することによる効果を得るた
めには、2%以上、さらには5%以上使用するのが好ま
しい。
【0015】前記オレフィン単量体の具体例としては、
エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、
ヘプテン、オクテンなどの炭素数2〜8のα−オレフィ
ン単量体やノルボルネン系モノマーなどの環状オレフィ
ンなどがあげられる。これらのうちでは、エチレン、プ
ロピレンが安価であり、得られる重合体の物性が良好に
なる点から好ましい。これらは単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0016】前記オレフィン単量体と共重合可能な単量
体の具体例としては、酢酸ビニルなどのビニルアルコー
ルエステル、メチルメタクリレート、エチルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレートなどのアルキル基の炭素数が
1〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニル
アルコール、メタクリル酸、塩化ビニルなどがあげられ
る。これらのうちでは、酢酸ビニルが接着性、柔軟性、
低温特性の点から好ましく、メチルメタクリレートが接
着性、柔軟性、低温特性、熱安定性の点から好ましい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0017】前記ポリオレフィン系樹脂のメルトインデ
ックス(MI)としては、たとえばポリプロピレン系樹
脂の場合0.5〜30g/10分、さらには3〜25g
/10分のものが好ましく、また曲げ弾性率(JIS
K 7203)としては、たとえばポリプロピレン系樹
脂の場合49×107〜196×107Pa(5000〜
20000kgf/cm2)、さらには78.4×107
〜156.8×107Pa(8000〜16000kg
f/cm2)、融点としては、たとえばポリプロピレン
系樹脂の場合125〜165℃、さらには135〜16
5℃のものが好ましい。前記MIが0.5g/10分未
満の場合、溶融粘度が高すぎて高発泡倍率の予備発泡粒
子が得られにくく、30g/10分をこえる場合、発泡
時の樹脂の伸びに対する溶融粘度が低く破泡しやすくな
り、高発泡倍率の予備発泡粒子が得られにくくなる傾向
にある。また、前記曲げ弾性率が49×107Pa(5
000kgf/cm2)未満の場合、機械的強度、耐熱
性が不充分となり、196×107Pa(20000k
gf/cm2)をこえる場合、得られる発泡成形体の柔
軟性、緩衝特性が不充分となる傾向がある。さらに、融
点が165℃をこえる場合、成形時の融着性、二次発泡
力不足となり、125℃未満の場合、耐熱性が不足する
傾向がある。
【0018】前記ポリオレフィン系樹脂の具体例として
は、たとえばエチレン−プロピレンランダム共重合体、
エチレン−プロピレン−ブテンランダム3元共重合体、
ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体、ホモ
ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂;低密度ポ
リエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体な
どのポリエチレン系樹脂;ポリブテン、ポリペンテンな
どがあげられる。また、該ポリオレフィン系樹脂は、無
架橋の状態で用いてもよいが、パーオキサイドや放射線
などにより架橋させて用いてもよい。これらのポリマー
は単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これ
らのうちでは、ポリプロピレン系樹脂が、他のポリオレ
フィン系樹脂と比べて、高発泡倍率の予備発泡粒子が得
られやすく、また、得られた予備発泡粒子から製造され
た成形体の機械的強度や耐熱性が良好であるため好まし
い。
【0019】前記親水性ポリマーとは、ASTM D5
70に準拠して測定された吸水率が0.5%以上のポリ
マーのことであり、いわゆる吸湿性ポリマー、吸水性ポ
リマー(水に溶けることなく、自重の数倍から数百倍の
水を吸収し、圧力がかかっても脱水されがたいポリマ
ー)および水溶性ポリマー(常温ないし高温状態で水に
溶解するポリマー)を含有する概念である。前記親水性
ポリマーの分子内には、カルボキシル基、水酸基、アミ
ノ基、アミド基、エステル基、ポリオキシエチレン基な
どの親水性基が含有され得る。
【0020】前記吸湿性ポリマーの例としては、たとえ
ばカルボキシル基含有ポリマー、ポリアミド、熱可塑性
ポリエステル系エラストマー、セルロース誘導体などが
あげられる。
【0021】前記カルボキシル基含有ポリマーの具体例
としては、たとえばエチレン−アクリル酸−無水マレイ
ン酸3元共重合体(吸水率0.5〜0.7%)、エチレ
ン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をナ
トリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イ
オンで塩にし、分子間を架橋させたアイオノマー系樹脂
(吸水率0.7〜1.4%)、エチレン−(メタ)アク
リル酸共重合体(吸水率0.5〜0.7%)などがあげ
られる。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用し
てもよい。
【0022】前記ポリアミドの具体例としては、たとえ
ばナイロン−6(吸水率1.3〜1.9%)、ナイロン
−6,6(吸水率1.1〜1.5%)、共重合ナイロン
(イーエムエス ヘミー社(EMS−CHEMIE A
G)製、商品名グリルテックスなど)(吸水率1.5〜
3%)などがあげられる。これらは単独で用いてもよく
2種以上を併用してもよい。
【0023】前記熱可塑性ポリエステル系エラストマー
の具体例としては、たとえばポリブチレンテレフタレー
トとポリテトラメチレングリコールとのブロック共重合
体(吸水率0.5〜0.7%)などがあげられる。これ
らは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0024】前記セルロース誘導体の具体例としては、
たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースなど
があげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を
併用してもよい。
【0025】前記吸湿性ポリマーのうちでは、アイオノ
マー系樹脂が、ポリオレフィン系樹脂中での分散性にす
ぐれ、比較的少量で高含水率の含水ポリオレフィン系樹
脂組成物が得られるため好ましい。
【0026】前記吸水性ポリマーとは、水に溶けること
なく自重の数倍から数百倍の水を吸収し、圧力がかかっ
ても脱水されがたいポリマーをいう。
【0027】前記吸水性ポリマーの例としては、たとえ
ば澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、架橋ポリビニル
アルコール系重合体、架橋ポリエチレンオキサイド系重
合体、イソブチレン−マレイン酸系共重合体などがあげ
られる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。
【0028】前記架橋ポリビニルアルコール系重合体の
具体例としては、たとえば日本合成化学工業(株)製、
商品名アクアリザーブGPなどで代表される種々の架橋
ポリビニルアルコール系重合体があげられる。これらは
単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0029】前記架橋ポリエチレンオキサイド系重合体
の具体例としては、たとえば住友精化(株)製、商品名
アクアコークなどで代表される種々の架橋ポリエチレン
オキサイド系重合体があげられる。これらは単独で用い
てもよく2種以上を併用してもよい。
【0030】前記イソブチレン−マレイン酸系共重合体
の具体例としては、たとえば(株)クラレ製、商品名K
Iゲルなどで代表される種々のイソブチレン−マレイン
酸系共重合体があげられる。これらは単独で用いてもよ
く2種以上を併用してもよい。
【0031】前記吸水性ポリマーのうちでは、架橋ポリ
エチレンオキサイド系重合体がポリオレフィン系樹脂中
での分散性、比較的少量で高含水率が得られる点から好
ましい。
【0032】前記水溶性ポリマーとは、常温ないし高温
状態で水に溶解するポリマーをいう。
【0033】前記水溶性ポリマーの例としては、たとえ
ばポリ(メタ)アクリル酸系重合体、ポリ(メタ)アク
リル酸塩系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ポ
リエチレンオキサイド系重合体、水溶性セルロース誘導
体などがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種
以上を併用してもよい。
【0034】前記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の具
体例としては、たとえばポリアクリル酸、アクリル酸−
アクリル酸エチル共重合体、ポリメタクリル酸2−ヒド
ロキシエチルなどがあげられる。これらは単独で用いて
もよく2種以上を併用してもよい。
【0035】前記ポリ(メタ)アクリル酸塩系重合体の
具体例としては、たとえばポリアクリル酸ナトリウム、
ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウ
ム、ポリメタクリル酸カリウムなどがあげられる。これ
らは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0036】前記ポリビニルアルコール系重合体の具体
例としては、たとえばポリビニルアルコール、ビニルア
ルコール−酢酸ビニル共重合体などがあげられる。これ
らは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0037】前記ポリエチレンオキサイド系重合体の具
体例としては、たとえば分子量数万〜数百万のポリエチ
レンオキサイドなどがあげられる。これらは単独で用い
てもよく2種以上を併用してもよい。
【0038】前記水溶性セルロース誘導体の具体例とし
ては、たとえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロースなどがあげられる。これらは単独で
用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0039】前記吸湿性ポリマー、吸水性ポリマーおよ
び水溶性ポリマーは単独で用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。
【0040】前記親水性ポリマーの使用量は、前記親水
性ポリマーの種類によって異なるが、通常、予備発泡粒
子の発泡倍率が3倍以上になる含水率を有するポリオレ
フィン系樹脂組成物を得るためには、ポリオレフィン系
樹脂、好ましくはポリプロピレン系樹脂100部に対し
て0.05部以上、さらには0.5部以上使用するのが
好ましい。また、予備発泡粒子の製造時の生産安定性や
発泡特性を良好にし、予備発泡粒子から得られる成形体
にすぐれた機械的強度や耐熱性を付与するとともに、吸
水時の寸法変化を小さくする点からは、20部以下、さ
らには10部以下が好ましい。
【0041】前記充填剤には、無機充填剤と有機充填剤
とがある。
【0042】前記無機充填剤の具体例としては、たとえ
ばタルク、カオリン、クレー、マイカ、シリカ、炭酸カ
ルシウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化
カルシウムなどがあげられる。これらのうちでは、タル
クが、気泡が均一で高発泡倍率の予備発泡粒子が得られ
る点から好ましい。
【0043】前記有機充填剤は、前記ポリオレフィン系
樹脂の軟化温度以上の温度で固体状であるかぎり、とく
に限定はなく、その具体例としては、たとえばステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸バリウムなどの高級脂肪酸金属
塩、フッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、熱可塑性ポ
リエステル樹脂粉末などがあげられる。
【0044】前記充填剤は、単独で用いてもよく2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】前記充填剤としては、平均粒子径が50μ
m以下、さらには10μm以下であるのが、気泡が均一
で高発泡倍率を有する予備発泡粒子を得ることができ、
また、該予備発泡粒子から機械的強度や柔軟性などにす
ぐれた成形体を得ることができる点から好ましく、0.
1μm以上、さらには0.5μm以上であるのが、2次
凝集や取扱作業性の点から好ましい。
【0046】前記充填剤の使用量は、高発泡倍率の予備
発泡粒子を得るためには、ポリオレフィン系樹脂、好ま
しくはポリプロピレン系樹脂100部に対して0.00
1部以上、さらには0.01部以上が好ましく、また予
備発泡粒子を成形する際に、すぐれた融着性を発現さ
せ、該予備発泡粒子から機械的強度や柔軟性などにすぐ
れた成形体を得るためには、3部以下、さらには2部以
下が好ましい。
【0047】前記ポリオレフィン系樹脂組成物の含水率
は、ポリオレフィン系樹脂の融点における水蒸気圧下で
の含水率として測定され、通常、1〜50%、好ましく
は1.5〜30%である。含水率が1%未満の場合、み
かけの発泡倍率が3倍未満となり、また50%をこえる
と、粒子の水系分散媒に対する分散性が低下し、予備発
泡粒子製造時に密閉容器内で粒子が塊状になり、均一な
予備発泡粒子を得ることが困難になる。
【0048】なお、前記ポリオレフィン系樹脂の融点
は、DSCによって10℃/分の昇温速度で測定したと
きの融解ピークの頂点の温度より求められ、その温度に
おける水蒸気圧下での含水率は、以下のようにして求め
られる。
【0049】すなわち、300cc耐圧アンプル中に、
ポリオレフィン系樹脂組成物からの粒子50g、水15
0g、分散剤としてパウダー状塩基性第三リン酸カルシ
ウム0.2g、n−パラフィンスルホン酸ソーダ0.0
03gを入れ、密閉後に前記ポリオレフィン系樹脂の融
点に設定した油浴中で3時間加熱処理する。さらに室温
まで冷却後、取り出し、充分水洗して分散剤を除去した
のち、得られた含水粒子の表面の付着水分を除去したも
のの重量(X)を求め、ついでポリオレフィン系樹脂の
融点よりも20℃高い温度に設定されたオーブン中で3
時間乾燥させ、デシケータ中で室温まで冷却させたあと
の重量(Y)を求め、式(I):
【0050】
【数1】
【0051】にしたがって求められる。なお、含水率
は、ポリオレフィン系樹脂ならびに親水性ポリマーおよ
び充填剤の1種以上の合計量に対する割合である。
【0052】本発明では、前記ポリオレフィン系樹脂な
らびに親水性ポリマーおよび(または)充填剤を含有す
るポリオレフィン系樹脂組成物を、通常、押出機、ニー
ダー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いて溶融混
練し、ついで円柱状、楕円柱状、球状、立方体状、直方
体状など予備発泡に利用しやすい所望の粒子形状に成形
することによってポリオレフィン系樹脂組成物からの粒
子が製造される。また、リボンブレンダー、ヘンシェル
ミキサーなどを用いてドライブレンドを行なうことが好
ましく、その際、流動パラフィン類、エポキシ系安定剤
などの常温粘稠体をブレンドオイルとして用いてもよ
い。
【0053】前記粒子を製造する際の条件、粒子の大き
さなどにもとくに限定はないが、たとえば押出機中で溶
融混練して、0.5〜5mg/粒程度の粒子を製造する
のが一般的である。
【0054】このようにして製造された粒子を密閉容器
内で要すれば分散剤、界面活性剤などを用いて水系分散
媒に分散させ、前記粒子を前記ポリオレフィン系樹脂の
軟化温度以上で軟化温度+50℃以下の温度に加熱し、
含水した粒子としたのち、必要に応じてチッ素、空気、
ヘリウムなどの無機ガス、および(または)水系分散媒
と同等成分の液体、通常は高圧水を密閉容器内に導入し
て、容器内の圧力を68.6×104〜744.8×1
4Pa(6〜75kg/cm2G)、好ましくは68.
6×104〜597.8×104Pa(6〜60kg/c
2G)、さらに好ましくは107.8×104〜35
2.8×104Pa(10〜35kg/cm2G)とし、
この圧力を保持しつつ前記密閉容器の内圧よりも低圧の
雰囲気下、通常は大気圧下に放出することにより、ポリ
オレフィン系樹脂組成物からの予備発泡粒子が製造され
る。
【0055】前記粒子を分散させる水系分散媒は、前記
ポリオレフィン系樹脂を溶解させない溶媒であればよ
く、通常水または水と、エチレングリコール、グリセリ
ン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール
などのうちの1種以上との混合物が例示されるが、環境
面、経済性などの点から水が好ましい。
【0056】前記分散剤の具体例としては、たとえば第
三リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性
炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリ
ン、ベントナイトなど、前記界面活性剤の具体例として
は、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
n−パラフィンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィン
スルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウ
リル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラ
ウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテ
ル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、塩化
ベンザルコニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウ
ムなどがあげられる。
【0057】前記水系分散媒の量としては、粒子100
部に対して、水系分散媒100〜500部、さらには1
20〜300部が好ましい。水系分散媒の量が100部
未満になると加熱中に容器内で粒子同士が融着する傾向
が生じ、500部をこえると生産性が低下し、経済的で
なくなる。
【0058】前記粒子を分散させて加熱する温度は、使
用するポリオレフィン系樹脂の融点以上、さらには融点
+5℃以上で融点+20℃以下、さらには融点+15℃
以下の温度、たとえば融点145℃のエチレン−プロピ
レン共重合体の場合、145〜165℃、さらには15
0〜160℃が好ましい。145℃未満では発泡しにく
くなり、165℃をこえると得られる発泡体の機械的強
度、耐熱性が充分でなく、容器内で粒子が融着しやすく
なる。
【0059】こうして得られた予備発泡粒子は、通常、
発泡倍率3〜25倍、好ましくは3〜15倍の発泡倍率
を有し、中心部(表層部以外)の平均気泡径100〜1
000μm、さらには100〜600μm、独立気泡率
60〜100%、さらには80〜100%程度の独立気
泡構造を有し、たとえば示差走査熱量計測定により2つ
の融点を示す結晶構造を有し、該2つの融点のうち高温
側融点を示す吸熱ピーク熱量が1.26〜25.2J/
g(0.3〜6.0cal/g)、さらには4.2〜2
5.2J/g(1.0〜6.0cal/g)であり、か
つ、表層部に直径0.5〜50μm、さらには0.5〜
30μmの微細気泡が1mm2あたり300個以上、さ
らには500個以上存在する。
【0060】前記のように予備発泡粒子が示差走査熱量
計測定により2つの融点、好ましくは5℃以上、さらに
は5〜30℃離れた融点を示す結晶構造を有するため、
融着成形時、水蒸気などにより予備発泡粒子が加熱され
た際、適度な2次発泡性と、破泡収縮しないだけの樹脂
膜強度とを同時に有し、融着成形性の良好な温度範囲
(成形条件幅)の広い予備発泡粒子となる。
【0061】前記2つの融点は、ポリプロピレン系樹脂
の場合、通常、110〜155℃と120〜175℃に
存在し、ポリエチレン系樹脂の場合、通常、70〜11
0℃と90〜130℃に存在する。
【0062】また、前記高温側融点を示す吸熱ピーク熱
量が1.26J/g(0.3cal/g)未満の場合に
は予備発泡粒子の強度が不足し、得られる発泡成形体の
強度特性が低下し、25.2J/g(6.0cal/
g)をこえて大きい場合には、融着成形時の予備発泡粒
子の2次発泡性が低下するため、融着不良が生じやすい
傾向がある。
【0063】なお、前記2つの融点のうち低温側融点の
吸熱ピーク熱量はポリオレフィン系樹脂の結晶化度によ
るが、通常8.4〜84.0J/g(2.0〜20.0
cal/g)である。
【0064】前記融点および吸熱ピーク熱量は示差走査
熱量計(セイコー電子工業(株)製のDSC220)を
使用して、予備発泡粒子を約5〜10mg採取し、40
℃から220℃まで、昇温速度10℃/分の測定条件で
測定したときに得られる2つのピークを有するDSC曲
線のそれぞれの頂点温度を融点とし、2つの融点間で、
DSC曲線がベースラインに最も近接する、あるいは一
致する点から高温側および低温側にそれぞれDSC曲線
に対する接線をひき、該接線とDSC曲線のなす部分の
面積を、それぞれ高温側融点、低温側融点の吸熱ピーク
熱量とする。
【0065】前記予備発泡粒子の表層部の微細気泡径が
50μmをこえて大きい場合には、同等の融着率を有す
る発泡成形体同士を比較した場合、発泡成形体を形成す
る粒子界面が平滑になるためか、粒子界面の融着強度が
低下し、融着率が70%以下である発泡成形体の引張強
度などの機械的強度特性が低下し、0.5μm未満の場
合、可視光の波長が0.4〜0.7μm程度であるた
め、光学的に気泡の存在を確認できなくなる(気泡が透
明になる)ため、本発明では気泡として考えない。
【0066】また、1mm2あたりの微細気泡数が30
0個未満の場合には、表層微細気泡の分布が疎となり、
やはり発泡成形体を形成する粒子界面が平滑化するため
か、融着率が70%以下である発泡成形体の引張強度な
どの機械的強度特性が低下する傾向にある。なお、1m
2あたりの微細気泡の個数の上限は該範囲内に直径
0.5μmの微細気泡が単層に密に配置された場合を考
えると、約100万個である。
【0067】さらに、前記中心部の平均気泡径が100
μm未満になると機械的強度特性が低下するうえ、加熱
融着成形時に破泡しやすくなり、1000μmをこえる
とこれも機械的強度が低下する。
【0068】前記予備発泡粒子の表層部とは、予備発泡
粒子の表面から50μmまでの部分のことであり、予備
発泡粒子の最外層に位置する単層の微細気泡はすべてこ
の表層部に含まれ、中心部とは、予備発泡粒子の表層部
を除いた部分のことである。
【0069】また、前記表層部の微細気泡の直径とは、
前記予備発泡粒子表面の拡大顕微鏡写真において観察さ
れる気泡面積を求め、これを円と仮定した際に面積同等
となるように求めた直径(いわゆる相当径)のことであ
る。また、前記中心部の平均気泡径とは、前記予備発泡
粒子断面の拡大顕微鏡写真において、表層部を除く部分
に、長さ1mmに相当する線分を引き、該線分が通る気
泡数を求めたのち、ASTM D 3576記載の手順
に基づいて求めた平均気泡径のことである。
【0070】また、こうして得られた予備発泡粒子を密
閉容器内に投入し、空気、チッ素などの不活性ガスを導
入して発泡能を付与したのち、水蒸気などにより加熱
し、再度発泡させる、いわゆる2段発泡法を用いること
もできる。2段発泡法は、たとえば特開昭58−657
34号公報、特開昭58−76230号公報、特開昭6
3−44780号公報、特開平3−64543号公報な
どにおいて公知である。これらはいずれも2段発泡時、
加熱媒体として温風または水蒸気を用いているが、本発
明においては、これらに限らず、予備発泡粒子を軟化さ
せ、予備発泡粒子内の気体を膨脹させるのに充分な熱量
を、均一かつ継続的に予備発泡粒子に対し与えることが
できるならば、とくに制限はなく、超短波、マイクロウ
ェーブ、遠赤外線などが使用可能である。本発明におい
ては、実質的に分散媒である水を発泡剤として用いた予
備発泡粒子を用いることが好ましいが、この際、発泡剤
である水の蒸気圧が低いために、発泡倍率が出にくい傾
向にあり、この欠点を補うものとして、前記2段発泡法
を併用するのが好ましい。
【0071】かかる物性を有する予備発泡粒子を閉鎖し
得るが密閉し得ない金型内に充填し、水蒸気などにより
加熱融着させることにより、本発明のポリオレフィン系
樹脂組成物発泡成形体が得られる。
【0072】予備発泡粒子の加熱融着成形法は公知であ
る(たとえば特公昭51−22951号公報、特開昭6
0−166442号公報、特開昭63−107516号
公報、特開平3−254930号公報など)。これらの
成形法は、いずれも予備発泡粒子を閉鎖し得るが密閉し
得ない金型内に充填し、水蒸気により加熱融着させる方
法であり、本発明における発泡成形体を得る方法として
いずれも適用可能である。ただし、本発明においては、
得られる発泡成形体の融着率が低くても、良好な物性を
有する発泡成形体が得られるため、成形前に予備発泡粒
子に対して内圧を付与する方法においては、内圧の低
減、予備発泡粒子を外圧により圧縮したのち型内に充填
する方法においては圧縮率の低減を図ることができ、さ
らにいずれの方法においても成形時の成形温度を低くす
ることができる。これにより、ユーティリティコスト削
減のほか成形サイクルの短縮化が可能となり、型内成形
時の生産効率を飛躍的に向上させることができる。ま
た、加熱融着させる加熱媒体としては、水蒸気のほか、
熱風、超短波、マイクロウェーブ、遠赤外線などを単独
でまたは組み合せて用いることも可能である。これらの
うちでは、金型内温度を加熱融着成形適正温度に調整し
やすく、また予備発泡粒子内の温度分布をできるだけ均
一にする、さらに成形時のランニングコストを低減でき
るという点から、水蒸気または遠赤外線を用いるのが好
ましい。
【0073】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物発泡
成形体の密度は40〜200g/L、さらには60〜2
00g/L、融着率は70%以下、さらには50%以下
であり、かつ引張強度が58.8×104〜196×1
4Pa(6.0〜20.0kg/cm2)、さらには5
8.8×104〜147×104Pa(6.0〜15.0
kg/cm2)である。
【0074】前記密度が40g/L未満の高発泡倍率の
場合、成形体として必要とされる、圧縮強度、引張強度
に代表される機械的強度が低下してしまうため好ましく
なく、また、200g/Lをこえる低発泡倍率の場合、
機械的強度特性は向上するものの、柔軟性、緩衝特性、
断熱性が低下するほか、加熱融着成形時の2次発泡力が
小さく、融着性が著しく低下するため、所望する発泡成
形体の形状を実現することが困難となるため好ましくな
い。
【0075】また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成
物発泡成形体は、低融着率における引張強度が高いこと
に特徴があり、低融着率であるために前記型内成形時の
生産効率を飛躍的に向上させることができる。融着率の
高い発泡成形体の場合、前記効果が失われていく傾向に
ある。融着率が70%をこえて大きい場合には、従来品
と比べて効果が小さくなるため好ましくない。なお、融
着率の下限は0%である。
【0076】前記融着率は、後述する参考例1に記載の
方法により測定される。
【0077】また、本発明による予備発泡粒子からのポ
リオレフィン系樹脂組成物発泡成形体には、表層部に、
直径0.5μm以上、さらには3μm以上で50μm以
下、さらには45μm以下の微細気泡が1mm2あたり
300個以上、好ましくは500個以上、さらに好まし
くは1000個以上、上限は100万個、さらには50
万個存在するのが好ましい。
【0078】前記発泡成形体の表層部の微細気泡は、発
泡成形体を構成する予備発泡粒子の表層部に、同様の微
細気泡が存在することにより得られる。
【0079】前記発泡成形体の表層部とは、前記予備発
泡粒子の場合と同様に、表面から50μmまでの厚さの
部分をいう。また、前記表層部の微細気泡の直径も、前
記予備発泡粒子の表層微細気泡の直径の測定の場合と同
様に、発泡成形体表面の拡大顕微鏡写真において観察さ
れる気泡面積を求め、これを円と仮定した際に面積同等
となるように求めた直径(いわゆる相当径)のことであ
る。
【0080】
【実施例】以下に、本発明の製造方法を実施例をあげて
さらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに
限定されるものではない。
【0081】なお、実施例および比較例などで行なう評
価方法を以下にまとめて示す。
【0082】(予備発泡粒子の発泡倍率)予備発泡粒子
3〜10g程度をとり、60℃で6時間乾燥したのち重
量wを測定後、水没法により体積vを測定し、予備発泡
粒子の真比重ρb=w/vを求め、原料粒子の密度ρr
の比から発泡倍率K=ρr/ρbを求めた。
【0083】(融点の数および高温側の吸熱量)充分に
乾燥させた予備発泡粒子5〜10mgを精秤後、示差走
査熱量計(セイコー電子工業(株)製DSC220)に
供給し、40℃から220℃まで、昇温速度10℃/分
の条件で測定を行ない、現れる吸熱ピークの数を融点の
数とした。また、いずれの場合にも融点は2つ現れたの
で、そのうちの高温側の吸熱ピークの熱量を前記の方法
で測定し、高温側の吸熱量とした。
【0084】(予備発泡粒子の中心部平均気泡径)予備
発泡粒子10個を任意に取り出し、セル膜が破壊されな
いように充分注意して切断した断面の光学顕微鏡による
拡大顕微鏡写真(×50倍)において、表層部を除く部
分に1mmに相当する線分を引き、該線分が通る気泡数
を求めたのち、ASTM D3576記載の手順にもと
づいて求めた。
【0085】(予備発泡粒子の表層部微細気泡径および
数)予備発泡粒子5個を任意に取り出し、光学顕微鏡を
用いて表層部の拡大顕微鏡写真(×1000倍)をそれ
ぞれ2枚撮影した。得られた10枚の顕微鏡写真上にそ
れぞれ一辺100μmに相当する大きさの正方形を描
き、その範囲内に含まれる各気泡の面積を求め、これを
円と仮定した際に面積同等となるような相当径を求め、
表層微細気泡径とした。また、該表層微細気泡径が0.
5μm以上、50μm以下の表層微細気泡の数を測定
し、その合計数を求め(10枚総計で0.1mm2)、
これを10倍することにより、1mm2あたりの微細気
泡数を算出した。
【0086】(発泡成形体密度)成形後80℃×24時
間乾燥した発泡成形体の重量wを測定後、水没法により
体積vを求め、密度ρ=w/vを求めた。
【0087】(発泡成形体融着率)発泡成形体の表面に
ナイフで約5mmの深さのクラックを入れたのち、この
クラックに沿って成形体を割り、破断面を観察し、粒子
の全個数に対する破壊粒子数の割合を求め、発泡成形体
融着率とした。
【0088】(発泡成形体の表層部微細気泡径および
数)直方体形状の成形体の表層部を含む厚さ5mm×1
00mm×100mmの試料を5枚採取したほかは、予
備発泡粒子の表層部微細気泡径および数を求めたのと同
様の方法で該成形体の表層部微細気泡径および数を求め
た。
【0089】(引張強度)JIS K−6767に準拠
し、上下面が平行で厚さ20mm、中央部の平行部長さ
55mm、幅20mmのダンベル打ち抜き試験片を引張
速度500mm/minで引張試験機にかけ、切断にい
たるまでの最大荷重を求め、式:
【0090】
【数2】
【0091】を求め、引張強度(Pa)に換算する。
【0092】実施例1〜2 ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−プロピレンラン
ダム共重合体(エチレン含有率3.1%、密度0.90
g/cm3、融点147℃、MI 7g/10分)98
%に対し、アイオノマー系樹脂(エチレン−メタクリル
酸共重合体のナトリウム金属塩、エチレン含有率85%
でカルボキシル基の59%を中和、MI0.9g/10
分、融点92℃)2%を添加したポリマー成分100部
に対し、無機充填剤としてタルク(平均粒径0.7μ
m)0.3部を添加し、50mmφ単軸押出機に供給
し、溶融混練したのち、直径2.2mmφの円筒ダイよ
り押し出し、水冷後カッターで切断し、円柱状のポリオ
レフィン系樹脂組成物からの粒子(1.3mg/粒)を
得た。得られた粒子の融点は147℃、JIS K71
12により測定した密度は0.90g/cm3であっ
た。
【0093】得られた粒子100部を、水200部、第
3リン酸カルシウム1.0部およびn−パラフィンスル
ホン酸ナトリウム0.01部とともに耐圧密閉容器内に
投入したのち、撹拌しながら155.5℃に加熱した。
このときの圧力は約68.6×104Pa(約6kg/
cm2G)であった。そののち、空気加圧により耐圧密
閉容器の内圧を表1に示す所定の圧力とし、すぐに密閉
容器下部のバルブを開いて水分散物(含水粒子および水
系分散媒)を直径4mmφのオリフィスを通じて大気圧
下に放出して予備発泡を行なった。この際、放出中は容
器内の圧力が低下しないように、空気で圧力を保持し
た。
【0094】得られた予備発泡粒子の特性を評価した。
結果を表1に示す。
【0095】比較例1 ポリオレフィン系樹脂であるエチレン−プロピレンラン
ダム共重合体(エチレン含有率85%、密度0.90g
/cm3、融点147℃、MI 7g/10分)100
部に対し、無機充填剤としてタルク0.03部を添加
し、50mmφ単軸押出機に供給し、溶融混練したの
ち、直径2.2mmφの円筒ダイより押し出し、水冷後
カッターで切断し、円柱状のポリオレフィン系樹脂組成
物からの粒子(1.3mg/粒)を得た。得られた粒子
の融点は147℃、JIS K−7112により測定し
た密度は0.90g/cm3であった。
【0096】得られた粒子100部を、水200部、第
3リン酸カルシウム1.0部およびn−パラフィンスル
ホン酸ナトリウム0.01部とともに耐圧密閉容器内に
投入したのち、揮発性発泡剤としてイソブタン14.0
部を圧入し、撹拌しながら145℃に加熱し、圧力20
5.8×104Pa(20kg/cm2G)にて予備発泡
を行なった。その際、放出中は容器内の圧力が低下しな
いように、イソブタンを用いて圧力を保持した。
【0097】得られた予備発泡粒子の特性を評価した。
結果を表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】参考例1〜4および比較参考例1〜2 実施例1〜2および比較例1で製造した予備発泡粒子
を、それぞれ60℃で24時間乾燥させたのち、耐圧容
器内で空気により49×104Pa(4kg/cm2G)
の圧力で18時間加圧して予備発泡粒子に内圧を付与し
たのち、300mm×300mm×50mmの直方体形
状の、閉鎖し得るが密閉しえない金型内に充填し、表2
に示す各圧力の水蒸気により加熱成形した。冷却後、金
型から取り出した成形体を80℃で24時間乾燥させた
のち成形体の各物性を評価した。結果を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】表2の結果から、発泡成形体の引張強度
は、成形体密度および融着率により大きく変化するが、
参考例1と比較参考例1とを比較すると、ほぼ同一密
度、同一融着率であるが、引張強度は、参考例1の方が
明らかに大きいことがわかる。
【0102】また、密度がほぼ同じで融着率が異なる参
考例1と参考例2および比較参考例1と比較参考例2と
を比較した場合、参考例1と参考例2の方が融着率のち
がいによる引張強度への影響が小さいことがわかる。
【0103】しかも、本発明における発泡成形体は、参
考例2と比較参考例2とを比較した場合、参考例2は融
着率が30%と低くても比較参考例2である従来品の9
0%のものと同等の引張強度が得られていることがわか
る。したがって本発明の効果は明らかである。
【0104】
【発明の効果】本発明で得られた予備発泡粒子からのポ
リオレフィン系樹脂組成物発泡成形体は、予備発泡粒子
の融着率が低くとも粒子間融着強度が高く、引張強度な
どの機械的強度特性にすぐれたポリオレフィン系樹脂組
成物発泡成形体であり、これらは、断熱材、緩衝包装
材、通函などの用途に好適に用いられ得る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂組成物からの樹脂
    粒子を密閉容器内で水系分散媒に分散させ、前記ポリオ
    レフィン系樹脂の軟化温度以上で軟化温度+50℃以下
    の温度に加熱し、含水した粒子としたのち、無機ガスお
    よび(または)水系分散媒と同等の液体を密閉容器内に
    導入して、または導入せずに、容器内の圧力を68.6
    ×104〜744.8×104Pa(6〜75kg/cm
    2G)とし、この圧力を保持しつつ前記密閉容器の内圧
    よりも低圧の雰囲気下に放出することを特徴とするポリ
    オレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子の製造方法。
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