JPH11106547A - ポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子

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JPH11106547A
JPH11106547A JP27168897A JP27168897A JPH11106547A JP H11106547 A JPH11106547 A JP H11106547A JP 27168897 A JP27168897 A JP 27168897A JP 27168897 A JP27168897 A JP 27168897A JP H11106547 A JPH11106547 A JP H11106547A
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JP
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expanded particles
polyolefin
particles
melting peak
melting point
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JP27168897A
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Yutaka Yanagihara
豊 柳原
Takeshi Obayashi
毅 御林
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常公知の型内成形法により、融着性が良好
で、かつ、えられる成形体の機械的強度が高い成形体を
うる。 【解決手段】 示差走査熱量計法による測定において、
2つの融点を有し、該2つの融点のうち低温側融点に基
づく融解ピーク熱量の融解ピーク全体熱量に対する比率
が、表層部と中心部とで2〜60%異なるポリオレフィ
ン系樹脂組成物予備発泡粒子を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリオレフィン系樹
脂組成物予備発泡粒子を製造し、使用する技術分野に属
する。さらに詳しくは、たとえば型内発泡成形品の原料
として好ましく使用しうるポリオレフィン系樹脂組成物
予備発泡粒子を製造し、使用する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、揮発性有機発泡剤を含有するポリオレフィン系樹
脂組成物からの粒子を水性媒体に分散させ、容器内の圧
力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら樹脂の軟
化温度以上に加熱したのち、加圧容器内より低圧の雰囲
気下に放出して発泡させる方法が知られている。
【0003】前記揮発性有機発泡剤として、たとえばプ
ロパン、ブタン、ペンタン、トリクロロフルオロメタ
ン、ジクロロジフルオロメタンなどが知られている(特
開昭52−77174号公報など)。
【0004】前記方法により製造されるポリオレフィン
系樹脂組成物予備発泡粒子から型内成形法で発泡成形体
を製造するばあい、予備発泡粒子の表層部と中心部の結
晶化度がほぼ同等であるために、一般に、予備発泡粒子
の結晶化度が低いと、加熱融着成形時の融着性が良好に
なるが、成形体の寸法収縮が大きくなったり、機械的強
度が低下したりしてしまう。逆に、予備発泡粒子の結晶
化度が高いと、寸法安定性は高く、機械的強度も高くな
るが、融着性が低く、成形性もわるくなる。それゆえ、
前記両方のすぐれた点を満たす成形体をうるための技術
開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記のご
とき従来技術の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結
果、予備発泡粒子の表層部と中心部との結晶化度を変え
ることにより、前記課題が解決できるのではないかとの
考えに到達した。
【0006】前記考え方による予備発泡粒子を製造すべ
く検討を重ねた結果、水を発泡剤として用い、発泡させ
る途中で潜熱冷却により予備発泡粒子の中心部を急冷す
ることで予備発泡粒子中心部の結晶化度のみを下げ、表
層部と結晶化度に差をもたせることができることを見出
した。かくしてえられた予備発泡粒子は、たとえば2つ
の融点のうち高温側融点に基づく融解ピーク熱量を中心
部、表層部とも一定としたばあいでも、中心部の低温側
融点に基づく融解ピーク熱量を低下させ、低下の割合が
ある範囲になるばあいには型内成形時の2次発泡性を改
良することができるのではないかと考えた。この考え方
に合致した予備発泡粒子を用いて通常公知の型内成形法
により成形したところ、融着性が良好であり、かつ、え
られた成形体の機械的強度も高くなることを見出し、本
発明を完成するにいたった。
【0007】すなわち、本発明は、示差走査熱量計法に
よる測定において、2つの融点を有し、該2つの融点の
うち低温側融点に基づく融解ピーク熱量の融解ピーク全
体熱量に対する比率が、表層部と中心部とで2〜60%
異なることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物予
備発泡粒子(請求項1)、予備発泡粒子中心部の低温側
融点に基づく融解ピーク熱量の融解ピーク全体熱量に対
する比率が、前記予備発泡粒子表層部の低温側融点に基
づく融解ピーク熱量の融解ピーク全体熱量に対する比率
に比べて2〜60%小さい請求項1記載のポリオレフィ
ン系樹脂組成物予備発泡粒子(請求項2)、ポリオレフ
ィン系樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂80〜9
9.95%(重量%、以下同様)および親水性ポリマー
0.05〜20%を含有する組成物である請求項1また
は2記載のポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子
(請求項3)、および親水性ポリマーが、アイオノマー
系樹脂である請求項3記載のポリオレフィン系樹脂組成
物予備発泡粒子(請求項4)に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のポリオレフィン系樹脂組
成物予備発泡粒子は、示差走査熱量計法による測定にお
いて、2つの融点を有し、該2つの融点のうち低温側融
点に基づく融解ピーク熱量(以下、低温側融解ピーク熱
量ともいう)の融解ピーク全体熱量に対する比率が、表
層部と中心部とで2〜60%異なる。
【0009】前記示差走査熱量計法による測定において
2つの融点を示すというのは、本発明のポリオレフィン
系樹脂組成物予備発泡粒子を5〜10mg採取し、セイ
コー電子工業(株)製のDSC220を用いて40℃か
ら220℃まで、昇温速度10℃/分の測定条件で融点
を測定したときに、2つの融点があり、それらの温度差
が好ましくは5℃以上、さらに好ましくは5〜30℃あ
ることをいう。融点が2つあり、それらの温度差が5℃
以上であるばあいには、型内成形時、水蒸気などにより
予備発泡粒子が加熱された際、適度な2次発泡性と、破
泡収縮しないだけの膜強度とを同時に満足し、成形温度
範囲(成形条件幅)の広い型内成形性の良好な予備発泡
粒子となる。
【0010】前記2つの融点のうち低温側融点に基づく
融解ピーク熱量の融解ピーク全体熱量に対する比率が表
層部と中心部とで2〜60%異なるというのは、予備発
泡粒子の表層部と中心部とを別々に切りとり、前記と同
様にして表層部および中心部についてそれぞれ低温側融
点に基づく融解ピーク熱量と融解ピーク全体熱量を求
め、融解ピーク全体熱量に対する低温側融点に基づく融
解ピーク熱量の割合を求め、予備発泡粒子の表層部と中
心部の2つの低温側融点に基づく融解ピーク熱量の割合
の差が2〜60%、好ましくは5〜40%、さらに好ま
しくは5〜20%であることをいう。前記2つの低温側
融点に基づく融解ピーク熱量の割合が2〜60%異なる
ため、通常公知の型内成形法において融着性が良好で、
かつ、えられた成形体の機械的強度が高くなる。前記割
合が2%未満のばあいには、従来品と同様に融着性をあ
げようとすると機械的強度が低くなり、これらを独立に
制御し、良好な成形性と成形体物性とを同時に改良する
ことが困難となる。また、60%をこえるばあいには表
層部あるいは中心部の少なくともどちらか一方にほとん
ど単一の融点しか認められなくなってしまうため、前記
成形条件幅が狭くなる。なお、前記2つの低温側融点に
基づく融解ピーク熱量の割合が2〜60%異なる際に、
中心部の低温側融点に基づく融解ピーク熱量の融解ピー
ク全体熱量に対する比率が、表層部に比べて2〜60
%、好ましくは5〜40%、さらに好ましくは5〜20
%小さいばあいには、型内成型時の2次発泡性向上によ
る加熱融着性の向上効果が著しくなるため好ましい。
【0011】前記低温側融点に基づく融解ピーク熱量は
表層部、中心部とも通常2.0〜20.0cal/g、
高温側融点に基づく融解ピーク熱量(高温側融解ピーク
熱量)は通常0.3〜6.0cal/gであり、融解ピ
ーク全体熱量はポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化度
および結晶化速度によって異なるが、表層部、中心部と
もに通常5〜30cal/gである。
【0012】前記予備発泡粒子の表層部とは、予備発泡
粒子の重心を通る切断線分において、その切断線分群の
両端から当該線分長の1/5に相当する点を求め、つな
いだ面を境として、外側の部分であり、内側の部分が中
心部である。
【0013】前記低温側融点に基づく融解ピーク熱量お
よび高温側融点に基づく融解ピーク熱量は、前記2つの
融点を求めるのに用いた示差走査熱量計法による測定に
おけるDSC曲線の2つの融点間で、DSC曲線がベー
スラインに最も近接する、あるいは一致する点から高温
側および低温側にそれぞれDSC曲線に対する接線をひ
き、該接線とDSC曲線のなす部分の面積を、それぞれ
高温側融点、低温側融点の融解ピーク熱量とする。ま
た、前記融解ピーク全体熱量は、2つの融点を含むDS
C曲線全体とベースラインによって囲まれる面積とす
る。
【0014】前記予備発泡粒子は、たとえば実質的に分
散媒である水を発泡剤として用いることにより、ポリオ
レフィン系樹脂組成物からの粒子の発泡時、粒子の中心
部が水の潜熱冷却により急冷されるため、粒子中心部の
結晶化度が粒子表層部の結晶化度よりも小さくなる。こ
の結果、示差走査熱量計法による測定において、予備発
泡粒子中心部の低温側融点に基づく融解ピーク熱量の融
解ピーク全体熱量に対する比率が、前記予備発泡粒子表
層部に比べて2〜60%、好ましくは5〜40%、さら
に好ましくは5〜20%小さくなる。
【0015】前記予備発泡粒子の高温側融点に基づく融
解ピークは、ポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子
を製造する際、密閉容器内にて所定の発泡温度に加熱さ
れ、容器外に放出発泡する直前に、既に形成されている
と考えられ、したがって、発泡時の冷却速度によらず一
定である。急冷されて、吸熱量が変わるのは低温側融解
ピーク熱量であり、発泡温度同一の条件で発泡時に予備
発泡粒子が急冷されるほど、低温側融解ピーク熱量QL
/融解ピーク全体熱量QAの比は小さくなる。
【0016】前記ポリオレフィン系樹脂組成物からの粒
子の発泡時、容器から放出された粒子に60℃以上の温
水シャワーをかける、100℃以上の水蒸気を吹きかけ
る、または60℃以上の熱水中で発泡させるなどする
と、該粒子表層部の冷却速度は遅くなるから、該粒子中
心部と該粒子表層部の結晶化度の差はさらに大きくな
る。
【0017】本発明の予備発泡粒子の製造に使用される
ポリオレフィン系樹脂組成物としては、たとえばポリオ
レフィン系樹脂80〜99.95%(重量%、以下同
様)および親水性ポリマー0.05〜20%を含有する
組成物が好ましい。
【0018】前記ポリオレフィン系樹脂は、発泡性、成
形性、えられる成形体の機械的強度、耐熱性、柔軟性の
バランスにすぐれた高発泡倍率の予備発泡粒子をうるた
めに使用される成分であり、また前記親水性ポリマー
は、ポリオレフィン系樹脂組成物の含水率を高めるため
に使用される成分である。
【0019】前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン
単量体単位を50〜100%、さらには70〜100%
含有し、オレフィン単量体と共重合可能な単量体単位を
0〜50%、さらには0〜30%含有する樹脂である。
オレフィン単量体単位を50%以上含有するため、軽量
で機械的強度、加工性、電気絶縁性、耐水性、耐薬品性
にすぐれた成形体がえられる。オレフィン単量体と共重
合可能な単量体単位は、接着性、透明性、耐衝撃性、ガ
スバリア性などの改質のために使用される成分であり、
使用することによる効果をうるためには、2%以上、さ
らには5%以上使用するのが好ましい。
【0020】前記オレフィン単量体の具体例としては、
エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、
ヘプテン、オクテンなどの炭素数2〜8のα−オレフィ
ン単量体やノルボルネン系モノマーなどの環状オレフィ
ンなどがあげられる。これらのうちでは、エチレン、プ
ロピレンが安価であり、えられる重合体の物性が良好に
なる点から好ましい。これらは単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0021】前記オレフィン単量体と共重合可能な単量
体の具体例としては、酢酸ビニルなどのビニルアルコー
ルエステル、メチルメタクリレート、エチルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレートなどのアルキル基の炭素数が
1〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニル
アルコール、メタクリル酸、塩化ビニルなどがあげられ
る。これらのうちでは、酢酸ビニルが接着性、柔軟性、
低温特性の点から好ましく、メチルメタクリレートが接
着性、柔軟性、低温特性、熱安定性の点から好ましい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0022】前記ポリオレフィン系樹脂のメルトインデ
ックス(MI)としては、たとえばポリプロピレン系樹
脂では0.5〜30g/10分、さらには3〜10g/
10分のものが好ましく、また曲げ弾性率(JIS K
7203)としては、たとえばポリプロピレン系樹脂
では5000〜20000kgf/cm2、さらには8
000〜16000kgf/cm2、融点としては、た
とえばポリプロピレン系樹脂では125〜165℃、さ
らには135〜150℃のものが好ましい。前記MIが
0.5g/10分未満のばあい、溶融粘度が高すぎて高
発泡倍率の予備発泡粒子がえられにくく、30g/10
分をこえるばあい、発泡時の樹脂の伸びに対する溶融粘
度が低く破泡しやすくなり、高発泡倍率の予備発泡粒子
がえられにくくなる傾向にある。また、前記曲げ強度が
5000kgf/cm2未満のばあい機械的強度、耐熱
性が不充分となり、20000kgf/cm2をこえる
ばあい、えられる発泡成形体の柔軟性、緩衝特性が不充
分となる傾向にある。さらに、融点が125℃未満のば
あい、耐熱性が不足し、165℃をこえるばあい、成形
時の融着性、二次発泡力不足となる傾向にある。
【0023】前記ポリオレフィン系樹脂の具体例として
は、たとえばエチレン−プロピレンランダム共重合体、
エチレン−プロピレン−ブテンランダム3元共重合体、
ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体、ホモ
ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂;低密度ポ
リエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体な
どのポリエチレン系樹脂;ポリブテン、ポリペンテンな
どがあげられる。前記ポリオレフィン系樹脂は、無架橋
の状態で用いてもよく、パーオキサイドや放射線などに
より架橋させて用いてもよい。これらのポリマーは単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの
うちでは、他のポリオレフィン系樹脂と比べて、高発泡
倍率の予備発泡粒子がえられやすく、また、えられた予
備発泡粒子から製造された成形体の機械的強度や耐熱性
が良好であるためポリプロピレン系樹脂が好ましく、エ
チレン−プロピレンランダム共重合体(エチレン含有率
0.05〜8%、好ましくは0.1〜3.8%)がさら
に好ましい。
【0024】前記親水性ポリマーとは、ASTM D5
70に準拠して測定された吸水率が0.5%以上のポリ
マーのことであり、いわゆる吸湿性ポリマー、吸水性ポ
リマー(水に溶けることなく、自重の数倍から数百倍の
水を吸収し、圧力がかかっても脱水されがたいポリマ
ー)および水溶性ポリマー(常温ないし高温状態で水に
溶解するポリマー)を含有する概念である。前記親水性
ポリマーの分子内には、カルボキシル基、水酸基、アミ
ノ基、アミド基、エステル基、ポリオキシエチレン基な
どの親水性基が含有されうる。
【0025】前記吸湿性ポリマーの例としては、たとえ
ばカルボキシル基含有ポリマー、ポリアミド、熱可塑性
ポリエステル系エラストマー、セルロース誘導体などが
あげられる。
【0026】前記カルボキシル基含有ポリマーの具体例
としては、たとえばエチレン−アクリル酸−無水マレイ
ン酸3元共重合体(吸水率0.5〜0.7%)、エチレ
ン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をナ
トリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イ
オンで塩にし、分子間を架橋させたアイオノマー系樹脂
(吸水率0.7〜1.4%)、エチレン−(メタ)アク
リル酸共重合体(吸水率0.5〜0.7%)などがあげ
られる。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用し
てもよい。これらのカルボキシル基含有ポリマーのなか
では、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の分子間
をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金
属イオンで架橋させたアイオノマー系樹脂がポリオレフ
ィン系樹脂中での分散性にすぐれ、比較的少量でポリオ
レフィン系樹脂予備発泡粒子の表層部に前記微細気泡を
安定的に多数生成させ、前記発泡成形体の表芯密度差を
小さくさせうるので本発明においてとくに好ましく使用
しうるものである。
【0027】前記ポリアミドの具体例としては、たとえ
ばナイロン−6(吸水率1.3〜1.9%)、ナイロン
−6,6(吸水率1.1〜1.5%)、共重合ナイロン
(イーエムエス ヘミー社(EMS−CHEMIE A
G)製、商品名グリルテックスなど)(吸水率1.5〜
3%)などがあげられる。これらは単独で用いてもよく
2種以上を併用してもよい。
【0028】前記熱可塑性ポリエステル系エラストマー
の具体例としては、たとえばポリブチレンテレフタレー
トとポリテトラメチレングリコールとのブロック共重合
体(吸水率0.5〜0.7%)などがあげられる。これ
らは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0029】前記セルロース誘導体の具体例としては、
たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースなど
があげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を
併用してもよい。
【0030】前記吸湿性ポリマーのうちでは、アイオノ
マー系樹脂が、ポリオレフィン系樹脂中での分散性にす
ぐれ、比較的少量で高含水率の含水ポリオレフィン系樹
脂組成物がえられるため好ましい。
【0031】前記吸水性ポリマーとは、水に溶けること
なく自重の数倍から数百倍の水を吸収し、圧力がかかっ
ても脱水されがたいポリマーをいう。
【0032】前記吸水性ポリマーの例としては、たとえ
ば架橋ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉−アクリル酸グ
ラフト共重合体、架橋ポリビニルアルコール系重合体、
架橋ポリエチレンオキサイド系重合体、イソブチレン−
マレイン酸系共重合体などがあげられる。これらは、単
独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】前記架橋ポリアクリル酸塩系重合体の具体
例としては、たとえば(株)日本触媒製のアクアリック
(商品名)、三菱化学(株)製のダイヤウェット(商品
名)などで代表される架橋ポリアクリル酸ナトリウム系
重合体などがあげられる。
【0034】前記架橋ポリビニルアルコール系重合体の
具体例としては、たとえば日本合成化学工業(株)製、
商品名アクアリザーブGPなどで代表される種々の架橋
ポリビニルアルコール系重合体があげられる。これらは
単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0035】前記架橋ポリエチレンオキサイド系重合体
の具体例としては、たとえば住友精化(株)製、商品名
アクアコークなどで代表される種々の架橋ポリエチレン
オキサイド系重合体があげられる。これらは単独で用い
てもよく2種以上を併用してもよい。
【0036】前記イソブチレン−マレイン酸系共重合体
の具体例としては、たとえば(株)クラレ製、商品名K
Iゲルなどで代表される種々のイソブチレン−マレイン
酸系共重合体があげられる。これらは単独で用いてもよ
く2種以上を併用してもよい。
【0037】前記吸水性ポリマーのうちでは、架橋ポリ
エチレンオキサイド系重合体がポリオレフィン系樹脂中
での分散性、比較的少量で高含水率がえられる点から好
ましい。
【0038】前記水溶性ポリマーとは、常温ないし高温
状態で水に溶解するポリマーをいう。
【0039】前記水溶性ポリマーの例としては、たとえ
ばポリ(メタ)アクリル酸系重合体、ポリ(メタ)アク
リル酸塩系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ポ
リエチレンオキサイド系重合体、水溶性セルロース誘導
体などがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種
以上を併用してもよい。
【0040】前記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の具
体例としては、たとえばポリアクリル酸、アクリル酸−
アクリル酸エチル共重合体、ポリメタクリル酸2−ヒド
ロキシエチルなどがあげられる。これらは単独で用いて
もよく2種以上を併用してもよい。
【0041】前記ポリ(メタ)アクリル酸塩系重合体の
具体例としては、たとえばポリアクリル酸ナトリウム、
ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウ
ム、ポリメタクリル酸カリウムなどがあげられる。これ
らは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0042】前記ポリビニルアルコール系重合体の具体
例としては、たとえばポリビニルアルコール、ビニルア
ルコール−酢酸ビニル共重合体などがあげられる。これ
らは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0043】前記ポリエチレンオキサイド系重合体の具
体例としては、たとえば分子量数万〜数百万のポリエチ
レンオキサイドなどがあげられる。これらは単独で用い
てもよく2種以上を併用してもよい。
【0044】前記水溶性セルロース誘導体の具体例とし
ては、たとえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロースなどがあげられる。これらは単独で
用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0045】前記吸湿性ポリマー、吸水性ポリマーおよ
び水溶性ポリマーは単独で用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。
【0046】前記親水性ポリマーを使用するばあいの使
用割合は、前記親水性ポリマーの種類によって異なる
が、通常、ポリオレフィン系樹脂80〜99.95%、
さらには90〜99.5%に対して親水性ポリマー0.
05〜20%、さらには0.5〜10%である。親水性
ポリマーの割合が0.05%未満になると、予備発泡粒
子の発泡倍率が1.5倍以上になる含水率を有するポリ
オレフィン系樹脂組成物をえにくくなり、また、20%
をこえると、予備発泡粒子の製造時の生産安定性や発泡
特性を良好にし、予備発泡粒子からえられる成形体にす
ぐれた機械的強度や耐熱性を付与するとともに、吸水時
の寸法変化を小さくすることが困難になる傾向にある。
【0047】本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂
組成物には、充填剤、すなわち無機充填剤および(また
は)有機充填剤を含有せしめるのが気泡が均一で高発泡
倍率の予備発泡粒子をうることができるという点から好
ましい。
【0048】前記無機充填剤の具体例としては、たとえ
ばタルク、カオリン、クレー、マイカ、炭酸カルシウ
ム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化カルシ
ウムなどがあげられる。これらの無機充填剤のなかで
は、タルクが、気泡が均一で高発泡倍率を有する予備発
泡粒子を与える点から好ましい。
【0049】前記有機充填剤としては、前記ポリオレフ
ィン系樹脂の軟化温度以上の温度で固体状のものであれ
ばよく、とくに限定はない。前記有機充填剤の具体例と
しては、たとえばポリテトラフルオロエチレンなどのフ
ッ素樹脂の粉末、シリコーン樹脂粉末、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂粉末、ステアリン酸カルシウム、ステアリン
酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリ
ウムなどの高級脂肪酸金属塩などがあげられる。
【0050】前記充填剤は、単独で用いてもよく2種以
上を併用してもよい。
【0051】前記充填剤の平均粒子径は、気泡が均一で
高発泡倍率を有する予備発泡粒子をうることができ、ま
た、該予備発泡粒子から機械的強度や柔軟性などにすぐ
れた成形体をうることができる点から、50μm以下、
さらには10μm以下であるのが好ましく、2次凝集や
取扱作業性の点から0.1μm以上、さらには0.5μ
m以上であるのが好ましい。
【0052】前記充填剤を使用するばあいの使用量は、
高発泡倍率の予備発泡粒子をうる点から、ポリオレフィ
ン系樹脂または親水性ポリマーを添加するばあいにはポ
リオレフィン系樹脂と親水性ポリマーの混合物100部
に対して0.01部以上、さらには0.1部以上にする
のが好ましく、また予備発泡粒子を成形する際に、すぐ
れた融着性を発現させ、該予備発泡粒子から機械的強度
や柔軟性などにすぐれた成形体をうる点から、3部以
下、好ましくは2部以下である。
【0053】前記ポリオレフィン系樹脂、親水性ポリマ
ー、充填剤などを含有する前記ポリオレフィン系樹脂組
成物は、通常、押出機、ニーダー、バンバリーミキサ
ー、ロールなどを用いて溶融混練し、ついで円柱状、楕
円柱状、球状、立方体状、直方体状など予備発泡に利用
しやすい所望の粒子形状に成形するのが好ましい。前記
粒子を製造する際の条件、粒子の大きさなどにもとくに
限定はないが、たとえば押出機中で溶融混練してえられ
る粒子は、通常0.5〜5mg/粒である。
【0054】本発明においては、たとえば前記ポリオレ
フィン系樹脂組成物からの粒子を密閉容器内で水系分散
媒に分散させ、前記粒子を前記ポリオレフィン系樹脂組
成物の融点以上の温度に加熱し、含水率が1〜50%の
含水粒子にしたのち、密閉容器内の圧力を保持しつつ前
記密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中、通常、大気圧
下に放出させ、前記含水粒子を発泡させることにより製
造される。
【0055】前記水系分散媒としては、通常水または水
とエチレングリコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、グリセリンなどのうちの1種以上との混
合物が例示されるが、環境面、経済性などから水が好ま
しい。
【0056】前記密閉容器内で前記粒子を水系分散媒に
分散させるが、このとき、分散剤として、第三リン酸カ
ルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、ベント
ナイトなどや、界面活性剤、たとえばドデシルベンゼン
スルホン酸ソーダ、n−パラフィンスルホン酸ソーダ、
α−オレフィンスルホン酸ソーダ、ラウリル硫酸ソー
ダ、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエ
チレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイル
エーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルトリメチルア
ンモニウムなどを使用しうる。前記分散剤および界面活
性剤の使用量については特別な限定はなく、一般に使用
される量使用すればよい。
【0057】前記水系分散媒に分散させる粒子の量とし
ては、前記ポリオレフィン系樹脂組成物からの粒子10
0部に対して水系分散媒100〜300部、さらには1
00〜200部が好ましい。水系分散媒の量が100部
未満になると、加熱中に容器内で粒子同士が融着する傾
向が生じ、300部をこえると、生産性が低下し、経済
的でなくなる。
【0058】前記粒子を分散させて加熱する温度は、使
用するポリオレフィン系樹脂の融点以上、好ましくは融
点+5℃以上で、好ましくは融点+20℃以下、さらに
好ましくは融点+15℃以下の温度、たとえば融点14
5℃のエチレン−プロピレン共重合体のばあい、145
〜165℃、さらには150〜160℃が好ましく、1
45℃未満では発泡しにくくなり、165℃をこえる
と、高温側融解ピーク熱量が小さくなりすぎるため、え
られる発泡体の機械的強度、耐熱性が充分でなく、容器
内で樹脂粒子が融着しやすくなる傾向が生じる。
【0059】本発明においては、前記含水粒子および水
系分散媒を前記密閉容器から放出させる際、チッ素、空
気、ヘリウム、アルゴンなどの無機ガスおよび(また
は)水系分散媒と同等成分の液体、通常は高圧水で容器
内の内圧を高めてから放出させることが、放出管出口で
の含水粒子の詰まり防止、フラッシュ効果による倍率向
上などの点から好ましい。
【0060】このようにしてえられるポリオレフィン系
樹脂組成物からの予備発泡粒子は、好ましくは発泡倍率
1.5〜80倍、さらには2〜60倍、連泡率は、好ま
しくは20%以下、さらには15%以下、および平均気
泡径は、好ましくは50〜1000μm、さらには10
0〜800μmを有する。
【0061】前記発泡倍率が1.5倍未満のばあい、え
られる成形体の柔軟性、緩衝特性などが不充分となり、
また80倍をこえるばあい、えられる成形体の機械的強
度、耐熱性などが不充分となる傾向にある。また、前記
連泡率が20%をこえるばあい、2次発泡力が不足する
ため、成形時に融着不良が発生し、えられる成形体の機
械的強度などが低下する傾向にある。また、前記平均気
泡径が50μm未満のばあい、えられる成形体の形状が
歪むなどの問題が生じ、1000μmをこえるばあい、
えられる成形体の機械的強度が低下する傾向にある。
【0062】本発明の予備発泡粒子を用いて、型内発泡
成形品をうる方法としては、従来公知の方法(たとえば
特開昭63−183832号公報、特開平8−2066
2号公報などに記載の方法)がいずれも適用可能であ
る。
【0063】前記方法により、えられた型内発泡成形体
は、通常、融着率20〜100%、成形体密度10〜7
00kg/m3、引張強度1.0〜20.0kgf/c
2程度である。
【0064】かくしてえられた発泡成形体は、耐薬品
性、耐熱性、圧縮後の歪み回復性などにすぐれており、
緩衝包装材、通函、バンパ用芯材、ピラー、プラットフ
ォーム、側突材などの自動車部材、パレット材、ツール
ボックスなどに広く用いることができる。
【0065】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明の予備発泡粒子
をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の
みに限定されるものではない。
【0066】なお、実施例および比較例における評価
は、つぎの方法により行なった。
【0067】(予備発泡粒子の発泡倍率)予備発泡粒子
3〜10g程度をとり、60℃で6時間乾燥し、重量w
を測定したのち、水没法にて体積vを測定し、予備発泡
粒子の真比重ρ=w/vを求め、原料粒子の密度ρ
との比から発泡倍率K=ρ/ρを求めた。
【0068】(連泡率)空気比較式比重計(東京サイエ
ンス(株)製、1000型)を用い、えられた予備発泡
粒子の独立気泡体積を求め、これを別途水没法により求
めた見かけの体積で除してえられた独立気泡率(%)
を、100から引くことにより求めた。
【0069】(予備発泡粒子の低温側融解ピーク熱量Q
L、融解ピーク全体熱量QA)充分に乾燥させた予備発泡
粒子5〜10mgを精秤後、示差走査熱量計(セイコー
電子工業(株)製のDSC220)に供給し、40℃か
ら220℃まで、昇温速度10℃/分の条件で測定を行
ない、えられる2つのピークを有するDSC曲線が2つ
のピーク間でベースラインに最も近接する、あるいは一
致する点から低温側にDSC曲線に対して接線をひき、
該接線とDSC曲線の低温側ピークのなす部分の面積か
ら、低温側融解ピーク熱量QLを求めた。
【0070】また、前記2つのピークを有するDSC曲
線全体と、ベースラインとからなる部分の面積から、融
解ピーク全体熱量QAを求めた。
【0071】なお、QL、QAを求める際のサンプルとし
て、予備発泡粒子の表層部および中心部のサンプルは、
下記により採取した。すなわち、予め形状を測定した予
備発泡粒子10個を準備し、それぞれについて各方向で
の厚みの中での最小厚みtminを求めておき、tminとな
る粒子の重心を通る線分が鉛直となるように粒子を水平
面上に固定したのち、4/5tminの高さで水平にカッ
トする。つぎに前記カット面を下にして再度粒子を固定
し、3/5tminの高さでカットする。残りの4面につ
いては、それぞれ表層部から1/5tminの距離の鉛直
面でカットし、直方体形状とする。ここで、切り落とさ
れた6枚の表層部を含む部分を集め、予備発泡粒子9個
分をさらに集めて、表層部サンプルとする。こののち、
残された10個の直方体形状のサンプルの6面をそれぞ
れ均等にカットし、カット後の直方体サンプルの厚み
が、カット前の直方体形状のサンプルの厚みに対し、3
方向とも2/3となるようにしたのち、8つの頂点をそ
れぞれ切り落とし、14面体のサンプルとし、これを中
心部サンプルとする。
【0072】(発泡成形体融着率)発泡成形体の表面に
ナイフで約5mmの深さのクラックを入れたのち、この
クラックに沿って成形体を割り、破断面を観察し、観察
した全粒子数に対する破壊粒子数の割合を求め、発泡成
形体融着率とした。
【0073】(発泡成形体引張強度)発泡成形体引張強
度は、JIS K−6767に準拠し、上下面が平行で
厚さ5mm、中央部の平行部長さ55mm、幅20mm
のダンベル打ち抜き試験片を引張強度500mm/mi
nで引張試験機にかけ、切断にいたるまでの最大荷重か
ら次式により求めた。
【0074】
【数1】
【0075】実施例1 ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−プロピレンラン
ダム共重合体(密度0.90g/cm3、融点145
℃、MI=5.5g/10分)98%に、アイオノマー
系樹脂(エチレン−メタクリル酸共重合体のナトリウム
金属塩、エチレン95モル%、メタクリル酸5モル%、
その60%をNa塩にしたもの、MI=0.9g/10
分、融点89℃)2%を添加したポリマー成分100部
に対し、無機充填剤としてタルク(平均粒径7μm)
0.1部を添加し、50mmφ単軸押出機に供給し、溶
融混練したのち、直径2.2mmφの円筒ダイより押し
出し、水冷後カッターで切断し、円柱状のポリオレフィ
ン系樹脂組成物粒子(1.8mg/粒)をえた。えられ
た粒子の融点は145℃、JIS K 7112により
測定した密度は0.90g/cm3であった。
【0076】えられた粒子100部を、水150部、第
3リン酸カルシウム1.4部およびドデシルベンゼンス
ルホン酸ソーダ0.03部とともに耐圧密閉容器に投入
したのち、撹拌しながら153.0℃に加熱した。この
ときの圧力は約5kg/cm2Gであった。そののち、
空気加圧により耐圧密閉容器の内圧を30kg/cm2
Gとし、すぐに密閉容器下部のバルブを開いて水分散物
(粒子および水系分散媒)を直径4mmφのオリフィス
を通じて大気圧下に放出して独立気泡構造を有する予備
発泡粒子をえた。この際、放出中は容器内の圧力が低下
しないように、空気で圧力を保持した。また、オリフィ
スから放出した直後に80℃の温水シャワーを行なっ
た。
【0077】えられた予備発泡粒子は中心部、表層部と
もに示差走査熱量計測定において、141℃と162℃
に2つの融点を示し、発泡倍率、連泡率、粒子中心部の
低温側融解ピーク吸熱量QL/融解ピーク全体吸熱量QA
および粒子表層部の低温側融解ピーク吸熱量QL/融解
ピーク全体吸熱量QAを測定した結果、発泡倍率9.3
倍、連泡率1.0%、中心部のQL/QAは31.7%、
表層部のQL/QAは44.7%であり、予備発泡粒子中
心部の低温側融点に基づく融解ピーク熱量の融解ピーク
全体熱量に対する比率が、前記予備発泡粒子表層部に比
べて13.0%小さかった。
【0078】えられた予備発泡粒子を60℃で24時間
乾燥させたのち、耐圧密封容器内で空気により2kg/
cm2Gの圧力で36時間加圧して、予備発泡粒子に内
圧を付与してから、これを320mm×320mm×6
0mmの直方体形状の、閉鎖しうるが密閉されない金型
に入れ、表1記載の条件で成形してから成形体を取り出
し、75℃で24時間乾燥させた。
【0079】えられた成形体の特性をしらべたところ、
融着率は90%と高く、引張強度も11.6kgf/c
2と高いものであった。
【0080】実施例2 耐圧容器内での加熱温度を154.0℃、オリフィスか
ら放出した直後の80℃の温水シャワーを行なわなかっ
た以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子をえ、表1
記載の条件で成形し、成形体をえた。えられた予備発泡
粒子および発泡成形体の物性、成形サイクル(予備発泡
粒子充填開始から型開までの時間)(成形性)を測定し
た。結果を表1に示す。
【0081】実施例3 耐圧密閉容器の加圧および圧力の保持を加圧水で行なっ
た以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子をえ、表1
記載の条件で成形し、成形体をえた。えられた予備発泡
粒子および発泡成形体の物性、成形性を測定した。結果
を表1に示す。
【0082】比較例1 ポリオレフィン系樹脂として、実施例1と同様のエチレ
ン−プロピレンランダム共重合体100部に対し、タル
ク0.01部を添加し、実施例1と同様に8してポリオ
レフィン系樹脂組成物粒子(1.8mg/粒)をえた
(融点145℃、密度0.90g/cm3)。
【0083】えられた粒子100部を、水150部、第
3リン酸カルシウム1.5部およびα−オレフィンスル
ホン酸ソーダ0.04部とともに耐圧密閉容器内に投入
し、揮発性発泡剤としてイソブタンを用い、144.5
℃、19.5kg/cm2Gで発泡させ、予備発泡粒子
をえた。また、該予備発泡粒子を実施例1と同様の条件
にて成形、発泡成形体をえた。えられた予備発泡粒子お
よび発泡成形体の物性および成形性を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】従来の揮発性発泡剤を用いてえられた予備
発泡粒子の中心部の低温側融点に基づく融解ピーク熱量
の融解ピーク全体熱量に対する比率は、表層部に比べて
0.5%小さいだけでほとんど変らない。また、発泡成
形体の融着率、引張強度ともに低い。
【0086】従来の揮発性発泡剤を用いる方法に比べ、
実質的に水を発泡剤として用いることにより、予備発泡
粒子中心部の低温側融点に基づく融解ピーク熱量の融解
ピーク全体熱量に対する比率は、表層部に比べて2〜6
0%小さく、成形体の融着率、引張強度が高くなる。
【0087】前記の結果から本発明の予備発泡粒子を用
いてえられた成形体の有効性が確認できる。
【0088】
【発明の効果】予備発泡粒子の表層部と中心部の結晶化
度に差をもたせることにより、通常公知の型内成形法に
おける融着性が良好であり、かつ、えられた成形体の機
械的強度も高くなる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 示差走査熱量計法による測定において、
    2つの融点を有し、該2つの融点のうち低温側融点に基
    づく融解ピーク熱量の融解ピーク全体熱量に対する比率
    が、表層部と中心部とで2〜60%異なることを特徴と
    するポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子。
  2. 【請求項2】 予備発泡粒子中心部の低温側融点に基づ
    く融解ピーク熱量の融解ピーク全体熱量に対する比率
    が、前記予備発泡粒子表層部の低温側融点に基づく融解
    ピーク熱量の融解ピーク全体熱量に対する比率に比べて
    2〜60%小さい請求項1記載のポリオレフィン系樹脂
    組成物予備発泡粒子。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂組成物が、ポリオ
    レフィン系樹脂80〜99.95重量%および親水性ポ
    リマー0.05〜20重量%を含有する組成物である請
    求項1または2記載のポリオレフィン系樹脂組成物予備
    発泡粒子。
  4. 【請求項4】 親水性ポリマーが、アイオノマー系樹脂
    である請求項3記載のポリオレフィン系樹脂組成物予備
    発泡粒子。
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