JP2003321567A - ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法

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JP2003321567A
JP2003321567A JP2003054455A JP2003054455A JP2003321567A JP 2003321567 A JP2003321567 A JP 2003321567A JP 2003054455 A JP2003054455 A JP 2003054455A JP 2003054455 A JP2003054455 A JP 2003054455A JP 2003321567 A JP2003321567 A JP 2003321567A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温スチームでも発泡粒子同士の十分な融着
が可能であり、かつ耐熱性及び耐候性に優れたポリプロ
ピレン系樹脂発泡粒子。 【解決手段】 ヒンダードアミン系化合物を0.01〜
2重量%含有されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子であ
って、該発泡粒子の表層及び内部発泡層の各々の示差走
査熱量測定によるDSC曲線において基材樹脂固有の吸
熱ピークよりも高温側に吸熱ピークが存在し、発泡粒子
の表層の該高温側に存在する吸熱ピークの融解熱量(Δ
s)と発泡粒子の内部発泡層の該高温側に存在する吸
熱ピークの融解熱量(ΔHi)とがΔHs<ΔHi×0.
86の関係を満足することを特徴とするポリプロピレン
系樹脂発泡粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体及
びポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成
形体(以下、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体をE
PP成形体と称することがある)を製造するための成形
機は高い成形温度に対応する構造、即ち4.5kg/c
2(G)のスチーム圧力に耐えうる構造となってい
る。しかし、プロピレン単独重合体からなる高剛性のポ
リプロピレン系樹脂から得られた高剛性の無架橋ポリプ
ロピレン系樹脂発泡粒子(以下、ポリプロピレン系樹脂
発泡粒子をEPP粒子又は発泡粒子と称することがあ
る)を用いて高剛性のEPP成形体を得ようとする場
合、EPP成形体を製造するための成形機の耐圧以上の
圧力のスチームにて成形しなければならない問題や、得
られた成形体においても発泡粒子同士の融着が十分なも
のが得られにくいといった問題があった。従って、融点
の高いプロピレン系樹脂を基材樹脂とするEPP粒子で
あっても十分な発泡粒子同士の融着を実現したEPP成
形体を得ることが出来ること、EPP粒子成形機への負
荷等の低減に繋がることなどの理由から、低温(低圧)
のスチームで成形が可能なEPP粒子が要望されてい
た。
【0003】本発明者らは、例えば融点の高いポリプロ
ピレン系樹脂を使用して得られた、高温ピーク熱量の高
い発泡粒子であっても、表面改質が充分であれば汎用の
成形機の耐圧以内での低温度のスチームで成形が可能と
なり、基材樹脂の持つ本来の剛性が十分に発揮された高
剛性のEPP成形体を得ることが可能となり、そのこと
によって従来よりも安価に高物性(高剛性)又は/及び
軽量のEPP成形体を提供することが可能となることを
見出した([特許文献1])。しかしながら、例えば、
融点の高いポリプロピレン系樹脂を基材樹脂として高剛
性のEPP成形体を得ることは出来たものの該成形体は
予想に反して耐熱性においての課題を有するもので高温
度条件下では極度に劣化して一部が粉状になってしま
い、また耐候性にも劣るという課題を有するものであっ
た。そこで、本発明者らは上記の耐熱性及び耐候性の課
題に対して基材樹脂への安定剤の添加による改善を試み
たが、安定剤の添加により表面改質の効果が低下する傾
向があり、耐熱性及び耐候性共に良好なものは得ること
が難しいという新たな課題を生じた。
【0004】
【特許文献1】特開2002−167460号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低温スチー
ムでも発泡粒子同士の十分な融着が可能であり、かつ耐
熱性及び耐候性に優れたポリプロピレン系樹脂発泡粒
子、それを用いた型内発泡粒子成形体及び該ポリプロピ
レン系樹脂発泡粒子の製造方法を提供することをその課
題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させ
るに至った。即ち、本発明によれば、以下に示すポリプ
ロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒
子成形体及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法
が提供される。 (1)ヒンダードアミン系化合物を0.01〜2重量%
含有されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、該
発泡粒子の表層及び内部発泡層の各々の示差走査熱量測
定によるDSC曲線において基材樹脂固有の吸熱ピーク
よりも高温側に吸熱ピークが存在し、発泡粒子の表層の
該高温側に存在する吸熱ピークの融解熱量(ΔHs)と
発泡粒子の内部発泡層の該高温側に存在する吸熱ピーク
の融解熱量(ΔHi)とがΔHs<ΔHi×0.86の関
係を満足することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発
泡粒子。 (2)ヒンダードアミン系化合物を0.01〜2重量%
含有されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、発
泡粒子の表面におけるマイクロ示差熱分析(25℃から
200℃まで昇温速度10℃/秒の条件)に基づく融解
開始温度が基材樹脂の融点以下であることを特徴とする
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子。 (3)ヒンダードアミン系化合物の分子量が400〜1
0000であることを特徴とする前記(1)又は(2)
に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。 (4)発泡粒子の示差走査熱量測定によるDSC曲線に
おいて基材樹脂固有の吸熱ピークよりも高温側に吸熱ピ
ークが存在し、該高温側に存在する吸熱ピークの熱量が
20〜70J/gであることを特徴とする前記(1)〜
(3)のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒
子。 (5)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が融点150℃以
上のポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とすることを特徴
とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリプロ
ピレン系樹脂発泡粒子。 (6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の発泡粒子
を型内に充填した後、加熱成形して得られたポリプロピ
レン系樹脂発泡粒子成形体。 (7)有機過酸化物が存在する分散媒体中にヒンダード
アミン系化合物を含有するポリプロピレン系樹脂粒子を
分散させて形成した分散体を該ポリプロピレン系樹脂粒
子の基材樹脂の融点よりも低温であって且つ該有機過酸
化物が分解する温度以上にて該有機過酸化物を分解させ
ることによって表面改質樹脂粒子を得る表面改質工程
と、該表面改質樹脂粒子を発泡剤により発泡させて発泡
粒子を得る発泡工程とを含むことを特徴とするポリプロ
ピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。 (8)ヒンダードアミン系化合物の分子量が400〜1
0000であることを特徴とする前記(7)に記載のポ
リプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においては、ポリプロピレ
ン系樹脂(以下、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とも
言う)粒子には、ヒンダードアミン系化合物(以下、ヒ
ンダードアミン系化合物をHALSとも言う)を含有さ
せる。本発明で用いるHALSは、下記の一般式(1)
を構造式中に含む化合物である。
【化1】 本発明で用いるHALSにおいて、その分子量は好まし
くは400〜10000、更に好ましくは400〜50
00、特に好ましくは2500〜5000である。その
分子量が前記範囲よりも低くなると、HALSが樹脂粒
子の表面にブリードしやすくなり、本発明の発泡粒子を
得る上で樹脂粒子の表面改質がされ難くなるため、所期
の目的、効果を有する発泡粒子とはならない虞がある。
一方、その分子量が前記範囲よりも高くなると、基材樹
脂との相溶性、基材樹脂中での分散性を十分に考慮しな
ければならず、得られる発泡粒子の気泡が不均一となっ
たり、独立気泡率が低下する等の不都合が生じる虞があ
る。また、上記HALS以外のポリプロピレン系樹脂の
安定剤として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフ
ェノール、ペンタエリスチル−テトラキス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリ
エチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−
ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,
3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス
〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)−ベンゼン、4,4’−チオビス
(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等のフェノ
ール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)フォスファイト、ビス〔2,4−ビス(1,1
−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル〕エチルエス
テル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)〔1,1−ビフェニル〕−4,4’−ジイルビ
スホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン
系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオ
ネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネー
ト等のイオウ系酸化防止剤を基材樹脂に添加する方法が
知られているが十分な耐候性を得ることができない。
尚、本明細書においてHALSの分子量とは、化合物を
構成する原子の質量の合計から求められるものである
が、化合物が分子量の異なったものが混在している物の
場合は平均分子量をもってHALSの分子量とする。該
平均分子量の測定方法としてはGPCにより求められる
数平均分子量(ポリスチレン換算値)が採用される。
【0008】HALSの具体例としては、コハク酸ジメ
チル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、
N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミ
ン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−
クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(1−オ
クチロキシ−2,2,6,6テトラメチル−4−ピペリ
ジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−
ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジル)等が挙げられる。HALSについ
ては、例えば、文献「境 鶴雄,高分子添加剤の開発と
最新技術,株式会社シーエムシー編,株式会社ジスク発
行(1992.5.29),p9,p16」等に詳述さ
れている。
【0009】HALSの含有量は、基材樹脂粒子中、
0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%、
更に好ましくは0.05〜0.5重量%である。その含
有量が0.01重量%未満では、発泡粒子成形体の十分
な耐熱性及び耐候性が付与されない。一方、2重量%を
超えると、得られる発泡粒子成形体の耐熱性及び耐候性
は付与されるが、発泡工程で十分に表面改質が達成され
ず、成形温度が上昇してしまう、コストアップになると
いった不具合が生じる虞れがある。本発明では、紫外線
吸収剤とHALSとを併用することができる。紫外線吸
収剤としては、従来公知の各種のもの、例えば、ベンゾ
フェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等
が挙げられる。ベンゾフェノン系としては、2−ヒドロ
キシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン等が挙げら
れ、ベンゾトリアゾール系としては、2−(5−メチル
−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベ
ンジルフェニル)〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−
(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロ
キシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げら
れベンゾエート系としては2,4−t−ブチルフェニル
−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエー
ト等が挙げられる。本発明において基材樹脂に添加され
るHALSと紫外線吸収剤との組合せとしてはコハク酸
ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロ
キシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合
物と2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキ
シフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールとの併用
が特に好ましい。
【0010】本発明においては、発泡粒子を製造するに
際し、基材樹脂粒子中にHALSを含有させる。基材樹
脂中にHALSを含有させる方法としては、HALS
を、基材樹脂に添加し、溶融混練する方法が採用され
る。基材樹脂に対するHALSの添加は従来公知の方法
で行うことができ、ドライブレンドでの添加、マスター
バッチでの添加等が挙げられる。本発明においては、H
ALSと基材樹脂との分散性を向上させることができ、
更に発泡倍率や気泡径のバラツキが生じ難いなどの理由
から、マスターバッチで添加する方法が好ましく採用さ
れる。マスターバッチで添加する方法としては、HAL
Sを1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%含有す
るポリオレフィン系樹脂と本発明の発泡粒子の基材樹脂
であるポリプロピレン系樹脂とを溶融混練することが好
ましい。この場合、HALSマスターバッチの割合が
0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%と
なるように基材樹脂と混合される。
【0011】本発明の発泡粒子の基材樹脂であるポリプ
ロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、また
はプロピレン成分を60モル%以上含有する(好ましく
はプロピレン成分を80モル%以上含有する)プロピレ
ンと他のコモノマーとの共重合体のいずれか、あるいは
これらの樹脂の中から選ばれる2種以上の混合物であ
る。
【0012】プロピレン成分を60モル%以上含有する
プロピレンと他のコモノマーとの共重合体としては、例
えば、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチ
レン−プロピレンブロックコポリマー、プロピレン−ブ
テンランダムコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテ
ンランダムコポリマーなどが例示される。
【0013】基材樹脂の融点は、最終的なEPP成形体
の圧縮強度等の機械的物性を高いものとする上で、13
5℃以上であることが好ましく、145℃以上であるこ
とがより好ましく、150℃以上であることが更に好ま
しく、158℃〜170℃のときに最も効果的である。
また、基材樹脂の融点の上限値は概ね170℃である。
尚、本明細書における樹脂の融点の測定方法はJIS
K7121(1987)による熱流束示差走査熱量測定
にて得られるDSC曲線の融解ピークの頂点の温度とす
る。但し、融解ピークが2つ以上存在する場合はピーク
面積の最も大きな融解ピークの頂点の温度を融点とす
る。また、融点を求めるための試験片はJIS K71
21(1987)の3.試験片の状態調節(2)記載の
『一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合』
に準拠して試験片をDSC装置の容器に入れ、220℃
まで10℃/分にて昇温して加熱溶解させ、直ちに40
℃まで10℃/分にて冷却する状態調整を行ったものを
試験片とする。また、基材樹脂は、発泡成形体の耐熱性
及び発泡粒子製造時の発泡効率を考慮すると、メルトフ
ローレイト(MFR)が0.3〜100g/10分のも
のが好ましく、特に1〜70g/10分のものが好まし
い。尚、MFRはJIS K7210(1976)にて
試験温度230℃、試験荷重21.18Nの試験条件で
測定される値である。
【0014】本発明においては、基材樹脂に、本発明の
所期の効果を損なわない範囲内において、ポリプロピレ
ン系樹脂以外の他の合成樹脂又は/及びエラストマーを
更に添加することができる。ポリプロピレン系樹脂以外
の他の合成樹脂又は/及びエラストマーの添加量は、ポ
リプロピレン系樹脂100重量部当り、多くても35重
量部であることが好ましく、多くても20重量部である
ことがより好ましく、多くても10重量部であることが
特に好ましく、多くても5重量部であることが最も好ま
しい。
【0015】ポリプロピレン系樹脂以外の他の合成樹脂
としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖
状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタク
リル酸共重合体等のエチレン系樹脂、或いはポリスチレ
ン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のスチレン系
樹脂等が例示される。
【0016】また、上記エラストマーとしては、エチレ
ン−プロピレンゴム、エチレン−1−ブテンゴム、プロ
ピレン−1−ブテンゴム、スチレン−ブタジエンゴムや
その水添物、イソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリ
ルゴム、或いはスチレン−ブタジエンブロック共重合体
エラストマーやその水添物等のエラストマーが例示され
る。
【0017】本発明においては、基材樹脂中には、前記
の通りHALSを含有させる。また、所望に応じて先に
例示した紫外線吸収剤、その他の各種補助添加剤を含有
させることができる。その他の各種補助添加剤として
は、たとえば、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、金属
不活性剤、顔料、染料、核剤、あるいは気泡調整剤等を
挙げることができる。これらの補助添加剤の中でも一般
に気泡調整剤は発泡粒子を製造する際に基材樹脂に添加
されるものであり、本発明において気泡調整剤はとして
は、特に、ホウ酸亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、ホウ
砂、水酸化アルミニウムなどの無機粉体が好ましく例示
される。上記の紫外線吸収剤、その他の各種補助添加剤
は、基材樹脂100重量部当り20重量部以下、特に5
重量部以下で添加されるのが好ましく、添加剤を使用す
る場合の添加量の下限値は概ね基材樹脂100重量部当
り0.005重量部である。前記HALS、紫外線吸収
剤及びその他の各種補助添加剤は、例えば、押出機によ
り押出したストランドを切断する等して本発明の発泡粒
子を得るためのポリプロピレン系樹脂粒子(以下、ポリ
プロピレン系樹脂粒子を樹脂粒子ということがある)を
製造する際に、押出機内にて溶融した基材樹脂と共に混
練することによって樹脂粒子中に均一に含有させること
ができる。
【0018】尚、表面改質樹脂粒子を得るための樹脂粒
子としては、基材樹脂を押出機内で溶融して押出したス
トランドを切断して樹脂粒子を製造する際に、押出直後
のストランドを急冷することが好ましい。そのように急
冷された樹脂粒子であると、前記表面改質を効率よく行
なうことができる。その押出直後のストランドの急冷
は、そのストランドを押出し直後に、好ましくは50℃
以下に調節された水中に、より好ましくは40℃以下に
調節された水中に、最も好ましくは30℃以下に調節さ
れた水中に入れることにより行なうことができる。そし
て充分に冷却されたストランドは水中から引き上げら
れ、適宜長さに切断することにより、所望の大きさの樹
脂粒子になされる。樹脂粒子は、通常、長さ/直径比が
0.5〜2.0、好ましくは0.8〜1.3となるよう
に調節され、また1個当たりの平均重量(無作為に選ん
だ200個の樹脂粒子の重量の1個当たりの平均値)
は、0.1〜20mgとなるように、好ましくは0.2
〜10mgとなるように調節される。
【0019】本発明による発泡粒子を製造する方法は、
表面改質工程と発泡工程とからなる。表面改質工程で
は、有機過酸化物が存在する分散媒体中にHALS等の
添加剤を含有する樹脂粒子を分散させて分散体とすると
共に、得られた分散体を樹脂粒子の基材樹脂の融点より
も低温であって且つ該有機過酸化物が実質的に分解する
温度範囲内に保持(該保持には該温度範囲内において分
散体を昇温する等する状態も含む)して該有機過酸化物
を分解させることによって樹脂粒子の表面を改質して実
質的に無架橋の表面改質樹脂粒子を得る。このようにし
て得られる表面改質樹脂粒子は、これを次の発泡工程に
おいて、発泡剤を用いて発泡させて実質的に無架橋の表
面改質された発泡粒子となる。
【0020】このようにして得られる発泡粒子は、熱融
着性に優れたものたなり、低温のスチームでその発泡粒
子同士の融着を行うことができるものとなる。よって、
この発泡粒子を成形型に充填し、従来よりも低温のスチ
ームでの加熱であっても、融着性に優れたEPP成形体
を得ることができる。
【0021】前記有機過酸化物としては、従来公知の各
種のもの、例えば、イソブチルパーオキシド〔50
℃〕、クミルパーオキシネオデカノエート〔55℃〕、
α,α′−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプ
ロピルベンゼン〔54℃〕、ジ−n−プロピルパーオキ
シジカーボネート〔58℃〕、ジイソプロピルパーオキ
シジカーボネート〔56℃〕、1−シクロヘキシル−1
−メチルエチルパーオキシネオデカノエート〔59
℃〕、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ
ネオデカノエート〔58℃〕、ビス(4−t−ブチルシ
クロヘキシル)パーオキシジカーボネート〔58℃〕、
ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート〔5
9℃〕、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボ
ネート〔59℃〕、t−ヘキシルパーオキシネオデカノ
エート〔63℃〕、ジメトキシブチルパーオキシジカー
ボネート〔64℃〕、ジ(3−メチル−3−メトキシブ
チルパーオキシ)ジカーボネート〔65℃〕、t−ブチ
ルパーオキシネオデカノエート〔65℃〕、2,4−ジ
クロロベンゾイルパーオキシド〔74℃〕、t−ヘキシ
ルパーオキシピバレート〔71℃〕、t−ブチルパーオ
キシピバレート〔73℃〕、3,5,5−トリメチルヘ
キサノイルパーオキシド〔77℃〕、オクタノイルパー
オキシド〔80℃〕、ラウロイルパーオキシド〔80
℃〕、ステアロイルパーオキシド〔80℃〕、1,1,
3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキ
サノエート〔84℃〕、サクシニックパーオキシド〔8
7℃〕、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘ
キサノイルパーオキシ)ヘキサン〔83℃〕、1−シク
ロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート〔90℃〕、t−ヘキシルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート〔90℃〕、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート〔92℃〕、m−ト
ルオイルベンゾイルパーオキシド〔92℃〕、ベンゾイ
ルパーオキシド〔92℃〕、t−ブチルパーオキシイソ
ブチレート〔96℃〕、1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)−2−メチルシクロヘキサン〔102℃〕、
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン〔106℃〕、1,1−ビ
ス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン〔107
℃〕、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン〔109℃〕、1,
1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン〔1
11℃〕、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシ
シクロヘキシル)プロパン〔114℃〕、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン〔114
℃〕、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボ
ネート〔115℃〕、t−ブチルパーオキシマレイン酸
〔119℃〕、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−ト
リメチルヘキサノエート〔119℃〕、t−ブチルパー
オキシラウレート〔118℃〕、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン〔1
17℃〕、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカー
ボネート〔118℃〕、t−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキシルモノカーボネート〔119℃〕、t−ヘキ
シルパーオキシベンゾエート〔119℃〕、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン
〔119℃〕等が例示される。尚、上記各有機過酸化物
のすぐ後ろの〔〕内における温度は後述する1時間半減
期温度である。前記有機過酸化物は、単独でまたは2種
以上を併用して、樹脂粒子100重量部当り、通常、
0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部
を分散媒体中に添加して使用される。分散媒体の具体例
としては、一般には水性媒体、好ましくは水が使用さ
れ、より好ましくはイオン交換水が使用されるが、水に
限らず基材樹脂を溶解せず且つ樹脂粒子の分散が可能な
溶媒又は液体であれば使用することができる。水以外の
分散媒体としては、例えば、エチレングリコール、グリ
セリン、メタノール、エタノール等が挙げられる。水性
媒体には、水と有機溶媒、例えば前記アルコールとの混
合液が包含される。
【0022】一般に、有機過酸化物が発生するラジカル
には水素の引き抜き、付加、β崩壊の3種の連鎖移動作
用がある。本発明においては、その3つの作用のうち特
に付加の作用が大きいもの、即ち、分解時に酸素ラジカ
ルを発生するものが特に好ましく、その中でもカーボネ
ート構造を有するパーオキシドが最も好ましい。尚、該
有機過酸化物を使用する際、必要に応じて連鎖移動剤等
を併用(予め樹脂粒子中に含有させておくか又は/及び
分散媒体中に添加して併用)することも可能である。な
お、前記酸素ラジカルは、酸素単体のラジカルの他、有
機過酸化物の分解により生じた有機基が結合した酸素ラ
ジカルを意味する。
【0023】従来、ポリプロピレンに対する有機過酸化
物の用途としては、次の〜の利用方法が知られてい
る。 分散媒体中にてポリプロピレン粒子に上記有機過酸化
物と架橋助剤を均質に含浸させた後、ポリプロピレンの
融点を超える温度に分散媒体を加熱することにより上記
有機過酸化物を分解させてポリプロピレン粒子を架橋さ
せる。 ポリプロピレンと有機過酸化物とを含む組成物をポリ
プロピレンの融点を超える温度で押出機内で均一に溶融
混練して上記有機過酸化物を均質に分解させ、それによ
って分子量分布の狭くなったポリプロピレンを得る(特
開平3−152136号)。 分散媒体中にてポリプロピレン粒子に有機過酸化物と
主鎖切断防止剤(架橋助剤)を均質に含浸させた後、ポ
リプロピレンの融点未満の分散媒体温度にて上記有機過
酸化物を分解させることによってポリプロピレンに長鎖
分岐又は架橋構造を導入してポリプロピレンの溶融張力
を高める(特開平11−80262号)。この溶融張力
が高められたポリプロピレンはその後、押出機内で発泡
剤と共に溶融混練されて押出発泡に使用される。 ポリプロピレンと有機過酸化物と無水マレイン酸を含
む組成物をポリプロピレンの融点を超える温度で押出機
内で均一に溶融混練してグラフト重合させる。上記有機
過酸化物の従来の利用法は、いずれも、樹脂全体の改質
を目的とするものであり、本発明のように熱融着性に優
れたEPP粒子を得るために、そのEPP粒子の製造に
先立ち、有機過酸化物が存在する分散媒体中にポリプロ
ピレン系樹脂粒子を分散させると共に、該分散媒体を該
ポリプロピレン系樹脂粒子の基材樹脂融点よりも低温で
あって且つ該有機過酸化物が実質的に分解する温度にて
該有機過酸化物を分解させることによって該ポリプロピ
レン系樹脂粒子の表面のみを改質して実質的に無架橋の
表面改質樹脂粒子を得ることを目的とする本発明の利用
法とは相違する。また、従来のポリプロピレンに対する
有機過酸化物の改質は該過酸化物と共にジビニルベンゼ
ン等の架橋助剤を用いるものであるが本発明では架橋助
剤は特に必要ない。 本発明における樹脂粒子は表面改質工程により、樹脂粒
子の表面を構成しているプロピレン系樹脂が有機過酸化
物等により低温にて融解する結晶成分を多く存在させる
ことにより、表面が融解し易い状態のものへ変化してい
ると考えられる。
【0024】本発明においては、有機過酸化物は基材樹
脂の安定した上記改質効果を得るためには融点よりも低
温で実質的に分解させることが好ましい。従って、該有
機過酸化物の1時間半減期温度は、基材樹脂のビカット
軟化点以下であることが好ましい。使用する有機過酸化
物の1時間半減期温度が基材樹脂のビカット軟化点を超
える場合には、その過酸化物の分解を迅速に行なうには
基材樹脂の融点以上の高温が必要となるので好ましくな
いし、場合によっては、基材樹脂の融点よりも低温で実
質的に分解させることができなくなるので好ましくな
い。そして該過酸化物を基材樹脂の融点以上の高温で実
質的に分解させると、該過酸化物が樹脂粒子の奥深くま
で浸透し易くなってしまう状態で分解するため、樹脂粒
子を構成する基材樹脂が表面、内部を問わず全体的に改
質されてしまう可能性がある。そして全体的に改質され
た樹脂粒子から得られたEPP粒子を成形して得られる
EPP成形体の機械的物性が大きく低下してしまう虞が
ある。以上のことを考慮すると、本発明の方法で使用さ
れる有機過酸化物は、1時間半減期温度が基材樹脂のビ
カット軟化点よりも20℃以上低温であることが好まし
く、基材樹脂のビカット軟化点よりも30℃以上低温で
あることがより好ましい。尚、該1時間半減期温度は、
基材樹脂のガラス転移温度以上であることが好ましく、
取り扱い性等を考慮すると、40〜100℃であること
がより好ましく、50〜90℃であることが更に好まし
い。また、該過酸化物は、樹脂粒子が存在する分散媒体
中で、基材樹脂のビカット軟化点以下で実質的に分解さ
せることが好ましく、基材樹脂のビカット軟化点よりも
20℃以上低温で実質的に分解させることがより好まし
く、基材樹脂のビカット軟化点よりも30℃以上低温で
実質的に分解させることが更に好ましい。尚、該過酸化
物は、基材樹脂のガラス転移温度以上で実質的に分解さ
せることが好ましく、該過酸化物の取り扱い性等を考慮
すると、40〜100℃の範囲で実質的に分解させるこ
とがより好ましく、50〜90℃の範囲で実質的に分解
させることが更に好ましい。尚、実質的に分解させると
は、使用した過酸化物の50重量%以上を分解させるこ
とを意味するが、その分解の度合いは70重量%以上で
あることが好ましく、80重量%以上であることがより
好ましく、95重量%以上であることが更に好ましい。
尚、実質的に分解させるとは、使用した有機過酸化物の
活性酸素量が当初の50%以下になるまで分解させるこ
とを意味するが、その活性酸素量が当初の30%以下に
なるまで分解させることが好ましく、その活性酸素量が
当初の20%以下になるまで分解させることがより好ま
しく、その活性酸素量が当初の5%以下になるまで分解
させることが更に好ましい。尚、本明細書において有機
過酸化物の1時間半減期温度とは、一定温度で有機過酸
化物を分解させた際、活性酸素量が1時間で当初の半分
になるときのその一定温度のことである。尚、有機過酸
化物の1時間半減期温度は、ラジカルに対して比較的不
活性な溶液(例えば、ベンゼンやミネラルスピリット
等)を使用して、0.05mol/L濃度の有機過酸化
物溶液を調整し、窒素置換を行なったガラス管内に密封
し、所定温度にセットした恒温槽に浸し、熱分解させて
測定される。また、本明細書においてビカット軟化点の
測定はJIS K 7206(1991)に準拠し、J
IS K6758(1981)記載の方法により作成さ
れたアニーリング無しの試験片を使用して、液体加熱法
にて、試験荷重はA法、加熱媒体の昇温速度を50℃/
時の試験条件にて求められる値である。また、本明細書
においてガラス転移温度の測定はJIS K 7121
(1987)により熱流束示差走査熱量測定にて得られ
るDSC曲線の中間点ガラス転移温度として求められる
値である。尚、ガラス転移温度を求めるための試験片は
JIS K7121(1987)の3.試験片の状態調
節(3)記載の『一定の熱処理を行った後、ガラス転移
温度を測定する場合』に準拠して試験片をDSC装置の
容器に入れ、220℃まで10℃/分にて昇温して加熱
溶解させ、直ちに−70℃まで10℃/分にて冷却する
状態調整を行ったものを試験片とする。
【0025】本発明において、上記表面改質樹脂粒子は
実質的に無架橋である。本発明では架橋助剤等を併用し
ないので実質的に架橋は進行しない。尚、実質的に無架
橋であるとは、次のとおり定義される。即ち、基材樹
脂、樹脂粒子、表層改質粒子、EPP粒子、EPP成形
体を問わず、それぞれを試料とし(キシレン100g当
たり試料1g使用)、これを約140℃の沸騰キシレン
中に8時間浸漬後、標準網フルイを規定しているJIS
Z 8801(1966)に定められている網目74
μmの金網で速やかに濾過し、該金網上に残った沸騰キ
シレン不溶分の重量を測定する。この不溶分の割合が試
料の10重量%以下(但し、0重量%も含む。即ち、沸
騰キシレン不溶分の重量が0gの場合も含む。)の場合
を実質的に無架橋というが、その不溶分の割合は、試料
の5重量%以下(但し、0重量%も含む。)であること
が好ましく、3重量%以下(但し、0重量%も含む。)
であることがより好ましく0.5重量%未満(但し、0
重量%も含む。)であることが最も好ましい。その不溶
分の割合が少ないほど再利用し易い。不溶分の含有率P
(重量%)を式で表すと下式の通りである。 P(重量%)=(M÷L)×100 ただし、Mは不溶分の重量(g)、Lは試料の重量
(g)である。
【0026】本発明の発泡粒子は、上記した通り有機過
酸化物を分解させて表面を改質した樹脂粒子を使用し
て、従来公知の樹脂粒子を発泡剤にて発泡する方法(発
泡剤を含浸している樹脂粒子をスチーム加熱する方法
等)により得ることができる。好ましい具体例として
は、本発明の発泡粒子は表面改質樹脂粒子を発泡剤の存
在下に密閉容器内で分散媒体に分散させながら加熱して
該表面改質樹脂粒子に発泡剤を含浸せしめ、次いで、除
圧した際に発泡粒子を生成する温度で、表面改質樹脂粒
子と分散媒体とを低圧下に放出する方法(以下、分散媒
放出発泡方法という)により製造する方法が挙げられ
る。本発明においては、上記表面改質樹脂粒子を形成す
る表面改質工程と、その表面改質樹脂粒子から発泡粒子
を得る発泡工程とは、それぞれ別の装置で別な時期に実
施することも可能であるが、分散媒放出発泡方法を採用
すると、適当な分解温度を持つ上記有機過酸化物を密閉
容器内の水性媒体に所定量添加して従来公知の表面改質
していない樹脂粒子を使用する分散媒放出発泡方法と同
様の操作を行なうだけで、その加熱の途中で表面改質が
完了して上記表面改質樹脂粒子が発泡工程中に得られる
ので、別途表面改質工程を実施する必要がなく、本発明
の発泡粒子を得ることができるので効率的である。
【0027】本発明において、表面改質樹脂粒子ひいて
はそれから得られるEPP粒子やEPP成形体中には、
前記過酸化物の分解に伴なって生成される分子量50以
上のアルコールが数百ppm乃至数千ppm程度含有さ
れ得る。そのようなアルコールとしては、後述される実
施例で示されたビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)
パーオキシジカーボネートが使用された場合には、P−
t−ブチルシクロヘキサノールが本発明の表面改質樹脂
粒子中に含有され得る。他の過酸化物が使用された場合
には他のアルコールが含有され得る。そのようなアルコ
ールとしては、例えば、イソプロパノール、S−ブタノ
ール、3−メトキシブタノール、2−エチルヘキシルブ
タノール、t−ブタノールが例示される。尚、これらの
分解生成物としてのアルコールは時間経過によりEPP
粒子やEPP成形体から失われてゆく可能性があるが本
発明の目的、効果に影響を及ぼすものではない。
【0028】前記分散媒放出発泡方法では、容器内の加
熱下の該表面改質樹脂粒子が容器内で互いに融着しない
ように、分散媒体中に分散剤を添加することが好まし
い。そのような分散剤としては、表面改質樹脂粒子の容
器内での融着を防止するものであればよく、有機系、無
機系を問わず使用可能であるが、取り扱いのし易さから
微粒状無機物が好ましい。例えば、アムスナイト、カオ
リン、マイカ、クレー等の天然又は合成粘土鉱物や、酸
化アルミニウム、酸化チタン、塩基性炭酸マグネシウ
ム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、酸化鉄等を1種
または数種の組み合わせで使用することができる。
【0029】更に、上記分散媒放出発泡方法において
は、分散剤の分散力を強化する(分散剤の添加量を少な
くしても容器内で表層改質粒子同士の融着を防止する)
分散強化剤を分散媒体中に添加することが好ましい。こ
のような分散強化剤は、40℃の水100ccに対して
少なくとも1mg以上溶解し得る無機化合物であって、
該化合物の陰イオンまたは陽イオンの少なくとも一方が
2価または3価である無機物質である。このような無機
物質としては、たとえば、塩化マグネシウム、硝酸マグ
ネシウム、硫酸マグネシウム、塩化アルミニウム、硝酸
アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化鉄、硫酸鉄、硝
酸鉄等が例示される。
【0030】通常、樹脂粒子100重量部当り、分散剤
は0.001〜5重量部の割合で使用され、分散強化剤
は0.0001〜1重量部の割合で使用され、それらは
分散媒体に入れられる。
【0031】本発明のEPP粒子の製造方法において用
いる発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタ
ン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、クロロフ
ロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロエタ
ン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、メチルクロ
ライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハ
ロゲン化炭化水素などの有機系物理発泡剤や、窒素、酸
素、空気、二酸化炭素、水等の無機系物理発泡剤が例示
される。また、有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤を
併用することもできる。本発明においては、窒素、酸
素、空気、二酸化炭素、水の群から選択される1又は2
以上の無機系物理発泡剤を主成分とするものが特に好適
に使用される。その中でも発泡粒子の見かけ密度の安定
性、環境負荷やコストなどを考慮すると、窒素や空気が
好ましい。また発泡剤として使用される水は、例えば上
記分散媒放出発泡方法において表面改質樹脂粒子を密閉
容器中に分散させるために分散媒体として使用される水
(イオン交換水も含む)をそのまま利用すればよい。
【0032】上記分散媒放出発泡方法において、物理発
泡剤の容器内への充填量は、使用する発泡剤の種類と発
泡温度と目的とする発泡粒子の見かけ密度に応じて適宜
選択されるが、例えば発泡剤として窒素を使用し、分散
媒体として水を使用した場合を例にとると、発泡開始直
前の安定した状態にある密閉容器内の圧力、すなわち密
閉容器内空間部の圧力(ゲージ圧)が、0.6〜6MP
aとなるように選定することが好ましい。通常は、目的
とする発泡粒子の見かけ密度が小さいほど前記容器内の
空間部の圧力は高くすることが望ましく、目的とする発
泡粒子の見かけ密度が大きいほど空間部の圧力は低くす
ることが望ましい傾向にある。
【0033】本発明では、例えば上記分散媒放出発泡方
法を採用して、見かけ密度が10g/L〜500g/L
の発泡粒子を得ることができる。また、発泡粒子の示差
走査熱量測定によるDSC曲線における基材樹脂固有の
吸熱ピーク(以下、固有ピークともいう。)よりも高温
側に吸熱ピーク(以下、高温ピークともいう。)が存在
する発泡粒子を製造することが好ましい。そのような発
泡粒子は、独立気泡率の高い、成形に適する発泡粒子で
ある。本発明の場合、得られる発泡粒子において、その
高温ピークの熱量(吸熱量)が2J/g〜70J/gで
あることが好ましい。高温ピークの熱量が2J/g未満
の場合はEPP成形体の圧縮強度、エネルギー吸収量な
どが低下する虞がある。一方70J/gを超える場合
は、発泡粒子を成形するに先立ち発泡粒子内の圧力(通
常は空気圧)を高める工程で必要となる気体の圧力を高
くしなければならなかったり、成形サイクルが長くなっ
たりする虞れがあるので好ましくない。本発明におい
て、上記高温ピークの熱量は、3J/g〜70J/g、
好ましくは20J/g〜70J/g、より好ましくは2
0J/g〜65J/gであって、かつ高温ピークの熱量
と固有ピークの熱量の総和に対して10〜60%(特に
20〜50%)の熱量を有することが好ましい。尚、高
温ピークの熱量と固有ピークの熱量の総和は40J/g
〜150J/gであることが好ましい。尚、本明細書に
おける高温ピークの熱量と固有ピークの熱量は、いずれ
も吸熱量を意味し、そしてその数値は絶対値で表現され
たものである。
【0034】発泡粒子の全体の高温ピークの熱量は、J
IS K7122(1987)に準拠する測定方法によ
り、発泡粒子2〜10mgを熱流束示差走査熱量測定装
置によって室温(10〜40℃)から220℃まで10
℃/分で昇温した時に得られる図1に示す第1回目のD
SC曲線において、基材樹脂固有の融解熱に由来する吸
熱ピーク(固有ピーク)aが現れる温度よりも高温側に
現れる吸熱ピーク(高温ピーク)bの熱量(吸熱量)で
あり、この高温ピークbの面積に対応するものである。
具体的には次のようにして求めることができる。まず、
図1に示すようにDSC曲線上の80℃に相当する点α
と、発泡粒子の融解終了温度Tに相当するDSC曲線上
の点βとを結ぶ直線(α−β)を引く。次に上記の固有
ピークaと高温ピークbとの間の谷部に当たるDSC曲
線上の点γからグラフの縦軸と平行な直線を引き、前記
直線(α−β)と交わる点をσとする。高温ピークbの
面積は、DSC曲線の高温ピークb部分の曲線と、線分
(σ−β)と、線分(γ−σ)とによって囲まれる部分
(図1において斜線を付した部分)の面積であり、これ
が高温ピークの熱量(吸熱量)に対応する。尚、上記融
解終了温度Tとは、高温ピークbの高温側におけるDS
C曲線と高温側ベースラインとの交点をいう。また、高
温ピークの熱量と固有ピークの熱量との総和は、前記直
線(α−β)とDSC曲線とで囲まれた部分の面積に対
応する熱量である。尚、発泡粒子の固有ピークと高温ピ
ークを上記の通り示差走査熱量測定装置によって測定す
るに際しては、発泡粒子1個当たりの重量が2mg未満
の場合は、総重量が2mg〜10mgとなる複数個の発
泡粒子をそのまま測定に使用すればよく、また、発泡粒
子1個当たりの重量が2mg〜10mgの場合には、発
泡粒子1個をそのまま測定に使用すればよく、また、発
泡粒子1個当たりの重量が10mg超の場合には、1個
の発泡粒子を、複数個に切断して得た重量が2〜10m
gとなる切断試料1個を測定に使用すればよい。ただ
し、この切断試料は、1個の発泡粒子をカッター等を使
用して切断されたものであるが、故意に発泡粒子の表層
が多く含まれるなど、発泡粒子全体における表層と内部
発泡層との割合が大きく変わるように試料を切り出して
切断試料とすることは当然避けるべきである。切断試料
の作製例としては発泡粒子1個当たりの重量が18mg
の場合には、任意の方向に向けた発泡粒子を垂直方向の
真中より水平に切断すれば2個のほぼ同じ形状の約9m
gの切断試料が得られ、各切断試料は、当初から有する
発泡粒子の表層と内部発泡層との割合は変わらない。こ
のようにして得られた2個の切断試料の内の1個を上記
の通り固有ピークと高温ピークの測定に使用すればよ
い。
【0035】尚、この高温ピークbは、上記のようにし
て測定した第1回目のDSC曲線には認められるが、第
1回目のDSC曲線を得た後、220℃から直ちに10
℃/分で40℃まで降温し、再び10℃/分で220℃
まで昇温した時に得られる第2回目のDSC曲線には認
められず、図2に示されるような基材樹脂固有の融解熱
に由来する固有ピークaのみが認められる。よって、高
温ピークと固有ピークとの判別は第1回目のDSC曲線
と第2回目のDSC曲線を比較することにより容易に行
うことができ、第1回目のDSC曲線には現れ第2回目
のDSC曲線には現れないピークが高温ピークであると
判断できる。また、発泡粒子の第1回目のDSC曲線に
現れる固有ピークaの頂点の温度は、基材樹脂の融点
(Tm)を基準とすると、通常、[Tm−5℃]〜[T
m+5℃]の範囲に現れる(最も一般的には[Tm−4
℃]〜[Tm+4℃]の範囲に現れる)。また、発泡粒
子の第1回目のDSC曲線に現れる高温ピークbの頂点
の温度は、基材樹脂の融点(Tm)を基準とすると、通
常、[Tm+5℃]〜[Tm+15℃]の範囲に現れる
(最も一般的には[Tm+6℃]〜[Tm+14℃]の
範囲に現れる)。また、発泡粒子の第2回目のDSC曲
線に認められる固有ピークaの頂点の温度は、基材樹脂
の融点(Tm)に相当する温度である。
【0036】EPP粒子は、前記の通り、DSC測定に
おいて、1回目のDSC曲線に高温ピークが出現する結
晶構造を有するものが好ましいが、この高温ピークの熱
量は樹脂の融点と発泡温度の差に強く影響される。EP
P粒子の高温ピーク熱量は特にEPP粒子相互の融着に
関して最低融着温度を決定する因子として作用する。こ
こでいう最低融着温度とは、EPP粒子相互が型内で融
着するために必要な最低の飽和スチーム圧力を与える温
度を意味する。高温ピーク熱量は、この最低融着温度と
密接な関係にあり、全く同一の基材樹脂を用いた場合、
高温ピーク熱量値が小さい方が高温ピーク熱量値が大き
いときよりも最低融着温度が低くなるといった傾向があ
る。この高温ピーク熱量の値にはEPP粒子の製造段階
で樹脂に与える発泡温度の高低が強く影響しており、同
一の基材樹脂を用いた場合、発泡温度が高い方が低い場
合より高温ピーク熱量値が小さくなる傾向がある。
【0037】ところが、高温ピーク熱量が小さいEPP
粒子を用いてEPP成形体を得る場合、最低融着温度は
相対的に低い傾向があるものの、EPP成形体の圧縮強
度(剛性)等の強度物性等が相対的に低下する傾向があ
る。一方で、高温ピーク熱量が大きい発泡粒子を用いて
EPP成形体を得る場合、EPP成形体の圧縮強度等の
強度物性等が相対的に高い傾向があるが最低融着温度が
相対的に高くなり、前述のようにEPP成形体を製造す
る際に高い圧力のスチームを必要とする場合が生じると
いった問題が発生する。即ち、最も好ましい発泡粒子は
最低融着温度が低く且つEPP成形体の圧縮強度等の強
度物性等が相対的に高いといった相反する性質を同時に
有する発泡粒子である。本発明で得られる発泡粒子は最
低融着温度が効果的に低下されたものであり、この発泡
粒子を用いて発泡粒子成形体を製造する場合には、圧縮
強度等の機械的物性において優れた強度を有する成形体
を得ることができる。
【0038】DSC曲線における高温ピークを有する発
泡粒子は、例えば、密閉容器内で分散媒体に表面改質樹
脂粒子を分散させて加熱する際に、表面改質樹脂粒子を
構成する基材樹脂の融解終了温度(Te)以上に昇温す
ることなく、基材樹脂の融点(Tm)より20℃低い温
度以上、融解終了温度(Te)未満の範囲内の任意の温
度(Ta)で止めてその温度(Ta)で十分な時間、好
ましくは10〜60分程度保持し、その後、融点(T
m)より15℃低い温度から融解終了温度(Te)+1
0℃の範囲の任意の温度(Tb)に調節し、その温度で
止め、必要により当該温度でさらに十分な時間、好まし
くは10〜60分程度、保持してから表面改質樹脂粒子
を密閉容器内から低圧下に放出して発泡させる方法によ
り得ることができる。尚、上記融点(Tm)とは、樹脂
粒子2〜10mgを試料として用いて前述の如き発泡粒
子のDSC曲線を得るのと同様の方法で樹脂粒子に対し
て熱流束示差走査熱量測定を行い、これによって得られ
た2回目のDSC曲線(その一例を図2に示す)に認め
られる固有ピークaの頂点の温度であり、融解終了温度
(Te)とは、該固有の吸熱ピークaの高温側における
DSC曲線と高温側ベースライン(BL)との交点
(β)に対応する温度を言う。樹脂粒子に対する2回目
のDSC曲線に現れる固有ピークは、それがポリプロピ
レン系樹脂の融解に基づくピークであることを前提とし
て、通常は1つの吸熱ピークとなって現れる。ただし、
2以上のポリプロピレン系樹脂の混合物からなる場合等
には、まれに2以上の吸熱ピークが認められることがあ
る。その場合には、全ての吸熱ピークの総称が固有ピー
クであり、各ピークの頂点を通ると共にグラフの縦軸と
平行な(横軸と直交する)直線をそれぞれ引き、各直線
においてピークの頂点からベースラインBLまでの長さ
を測定し、その長さが最も長い直線を示すピークの頂点
を上記Tmとする。ただし、最も長い直線を示すピーク
が2以上存在する場合には、最も高温側のピークの頂点
を上記Tmとする。ただし、同程度の長い直線が2以上
存在し最も長い直線を特定できない場合には、最も高温
側のピークの頂点を上記Tmとする。
【0039】また、発泡粒子における上記高温ピークの
熱量の大小は、主として、発泡粒子を製造する際の樹脂
粒子に対する上記温度Taと該温度における保持時間お
よび上記温度Tbと該温度における保持時間ならびに昇
温速度に依存する。発泡粒子の上記高温ピークの熱量
は、温度TaまたはTbが上記温度範囲内において低い
程、保持時間が長い程、大きくなる傾向を示す。通常、
加熱時の昇温速度(加熱開始から温度保持を開始するま
での間の平均昇温速度)は0.5〜5℃/分が採用され
る。これらの点を考慮して予備実験を繰り返すことによ
り、所望の高温ピーク熱量を示す発泡粒子の製造条件を
容易に知ることができる。
【0040】尚、以上で説明した温度範囲は、発泡剤と
して無機系物理発泡剤を使用した場合の適切な温度範囲
である。有機系物理発泡剤が併用された場合には、その
種類や使用量に応じてその適切な温度範囲は上記温度範
囲よりもそれぞれ低温側にシフトする傾向にある。
【0041】以上のようにして、有機過酸化物を分解さ
せて樹脂粒子表面を改質した表面改質樹脂粒子から得ら
れた低温のスチームで成形可能なEPP粒子は、次のよ
うな構造的特異性を有していることが測定結果より判明
している。
【0042】発泡粒子のDSC測定の結果、本発明の方
法で得られた発泡粒子は、従来法により得られた発泡粒
子とは異なる傾向を示す。発泡粒子の表層と表層を含ま
ない内部発泡層に分割して融点を測定したところ、従来
の発泡粒子は発泡粒子の表層の融点(Tms)の方が内
部発泡層の融点(Tmi)に比較して低くなることはな
いのに対して、本発明の方法で得られた発泡粒子は表層
の融点(Tms)の方が内部発泡層の融点(Tmi)より
もより低くなっていることが観察された。本発明では、
TmsはTmiよりも0.05℃以上低いことが好まし
く、0.1℃以上低いことがより好ましく、0.3℃以
上低いことが更に好ましい。Tmsの下限値は概ねTmi
よりも2℃低い温度である。
【0043】発泡粒子の表層の融点(Tms)は、発泡
粒子の表層を切り出し、2〜4mg集めこれを試料とす
る以外は上記した発泡粒子の高温ピーク熱量の測定と同
じ操作を行なって得た第2回目のDSC曲線の固有ピー
クaの頂点の温度を意味する。また、発泡粒子の内部発
泡層の融点(Tmi)は、表層を含まないように発泡粒
子の内部から切り出し、2〜4mg集めこれを試料とす
る以外上記した発泡粒子の高温ピーク熱量の測定と同じ
操作を行なって得た第2回目のDSC曲線の固有ピーク
aの頂点の温度を意味する。
【0044】また、発泡粒子の表層と表層を含まない内
部発泡層に分割して高温ピーク熱量を測定したところ、
従来の発泡粒子は発泡粒子の表層の高温ピーク熱量(Δ
s)と内部発泡層の高温ピークの熱量(ΔHi)との関
係が、ΔHs≧ΔHi×0.87となる性質があったのに
対して、本発明の発泡粒子では、ΔHs<ΔHi×0.8
6であることが観察された。本発明の発泡粒子では、Δ
s<ΔHi×0.86であることが好ましく、ΔHs
ΔHi×0.80であることがより好ましく、ΔHs<Δ
i×0.75であることが更に好ましく、ΔHs<ΔH
i×0.70であることが特に好ましく、ΔHs<ΔHi
×0.60であることが最も好ましい。尚、ΔHsは、
ΔHs>ΔHi×0.25であることが好ましい。ΔHs
<ΔHi×0.86であることにより、表面改質されて
いない発泡粒子よりも低温で型内成形が可能となり、Δ
s値が小さくなるほどその効果は大きい。尚、ΔH
sは、5J/g〜60J/gであることが好ましく、1
0J/g〜50J/gであることがより好ましく、10
J/g〜45J/gであることが更に好ましく、15J
/g〜40J/gであることが最も好ましい。
【0045】発泡粒子の表層の高温ピーク熱量は、発泡
粒子の表層を切り出し、2〜4mg集めこれを試料とす
る以外は前記した発泡粒子の全体の高温ピーク熱量の測
定と同じ操作を行なって求めることができる。また、発
泡粒子の内部発泡層の高温ピーク熱量は、表層を含まな
いように発泡粒子の内部から切り出し、2〜4mg集め
これを試料とする以外は前記した発泡粒子の全体の高温
ピーク熱量の測定と同じ操作を行なって求めることがで
きる。
【0046】上記の発泡粒子の表層と表層を含まない内
部発泡層に分割して融点及び高温ピーク熱量を測定する
方法は次の通りである。発泡粒子の表層は、表層をカッ
ターナイフ、ミクロトーム等を用いてスライスして表層
を集めて測定に供すればよい。但し、スライスされた発
泡粒子の表層の表面の全面には発泡粒子の表面を必ず存
在させるが、スライスされた発泡粒子の表層の裏面にお
いては、発泡粒子の表面から発泡粒子の重心に向って2
00μmを越える部分が含まれないように、発泡粒子表
面の無作為に選んだ1箇所又は複数箇所からスライスさ
れる。スライスされた発泡粒子の表層の裏面において、
発泡粒子の表面から発泡粒子の重心に向って200μm
を越える部分が含まれるようになると、改質されていな
い内部発泡層を多量に含有することとなり表層の融点及
び高温ピーク熱量を正確に測定できない虞がある。尚、
1個の発泡粒子から得られる表層が2〜4mgに満たな
い場合は複数個の発泡粒子を使用して上記操作を繰り返
して必要量の表層を集めればよい。一方、発泡粒子の表
層を含まない内部発泡層は、発泡粒子の表面と、発泡粒
子の表面から発泡粒子の重心部に向かって200μmと
の間の部分が含まれないように発泡粒子の全面から表層
を切除したものを使用して融点及び高温ピーク熱量の測
定に供すればよい。ただし、発泡粒子の大きさが小さす
ぎて上記の表面から200μmの部分を切除すると内部
発泡層がなくなってしまう場合には、発泡粒子の表面
と、発泡粒子の表面から発泡粒子の重心部に向かって1
00μmとの間の部分が含まれないように発泡粒子の全
面から表層を切除したものが内部発泡層として使用さ
れ、更にそれでも内部発泡層がなくなってしまう場合に
は、発泡粒子の表面と、発泡粒子の表面から発泡粒子の
重心部に向かって50μmとの間の部分が含まれないよ
うに発泡粒子の全面から表層を切除したものが内部発泡
層として使用される。尚、1個の発泡粒子から得られる
内部発泡層が2〜4mgに満たない場合は複数個の発泡
粒子を使用して上記操作を繰り返して必要量の内部発泡
層を集めればよい。
【0047】また、本発明の表面改質された発泡粒子と
従来の方法で得た表面改質されていない発泡粒子の各発
泡粒子表面に対し、ティ・エイ・インスツルメント・ジ
ャパン社のマイクロ熱分析システム「2990型マイク
ロサーマルアナライザー」を使用し、25℃から200
℃まで昇温速度10℃/秒の条件にて、マイクロ示差熱
分析(μDTA)を行なったところ、本発明の表面改質
された発泡粒子の表面のμDTAに基づく融解開始温度
(請求項2でいう融解開始温度のこと)は、発泡粒子の
第2回目のDSC曲線から求められる基材樹脂の融点以
下の温度であるのに対し、従来の方法で得た表面改質さ
れていない発泡粒子の表面の該融解開始温度は、該基材
樹脂の融点よりも5℃以上高い温度であることが判明し
た。尚、ここでいう融解開始温度とは、図3に示す上記
μDTAに基づくμDTA曲線におけるベースライン
(BL)からμDTA曲線が下方に変化し始めた(時間
あたりの比熱が変化し始めた)温度を意味する。
【0048】発泡粒子の型内成形においては、発泡粒子
相互の融着は発泡粒子表面同士で行なわれるため、発泡
粒子の表面のみを熱分析する意義は大きい。発泡粒子の
表面のみの融解開始の傾向をDSC法で知ることは不可
能と思われる。それを可能にするのがμDTAである。
また、μDTAで昇温速度を1秒あたり10℃としてい
るが、この速度は、実際の型内成形に際して発泡粒子を
加熱する際の昇温速度に近いものである(このような速
い昇温速度はDSC法では困難である)。従って、この
ような実際の型内成形に近似した昇温速度で分析する意
義は大きい。このような理由から本発明では、発泡粒子
表面に対するマイクロ示差熱分析(μDTA)を採用し
た。この測定に基づく上記融解開始温度は、厳密な意味
での融解開始の温度を示していないかもしれないが、上
記融解開始温度の温度の高低の傾向と成形温度の高低の
傾向とはよく一致している。図3において、曲線Cm
表面改質された発泡粒子に基づくものであり、曲線Cm
上のPm点がその融解開始温度であり、一方、Cnmが従
来の方法で得た表面改質されていない発泡粒子発泡粒子
に基づくものであり、曲線Cnm上のPnm点がその融解開
始温度である。また、上記マイクロ示差熱分析は、発泡
粒子を装置のサンプルステージに固定し(1個の発泡粒
子がそのままでは大きすぎる場合は例えば半分に切断す
る等して適当な大きさにして固定する)、次いで、発泡
粒子の表面において無作為に選択した箇所に向けて、プ
ローブチップセンター(発泡粒子表面に接触させる部分
は縦横各0.2μmの先端部を持つ)を下降させて発泡
粒子表面に接触させた状態で実施される。前記マイクロ
示差熱分析による発泡粒子表面の融解開始温度は、異な
る測定点10点の測定結果より、最大値と最小値を除く
8点の相加平均値が採用される。尚、最大値と最小値が
それぞれ複数ある場合はそれらを除く数点の相加平均値
が採用される。また、平均10点の測定値が全て同じ場
合や、最大値と最小値の値しか得られなかった場合であ
って最大値と最小値の差が10℃以内の場合には、10
点の相加平均値が採用される。尚、最大値と最小値の値
しか得られなかった場合であって最大値と最小値の差が
10℃を超える場合には更に異なる表面の10点に対し
測定して上記したと同じ要領で相加平均値を求め、それ
を採用すればよい。それでも条件に合わない場合には更
に同じ操作を繰り返す。以上のμDTAによる結果は、
発泡粒子表面の融解開始温度の低下が、成形時に必要な
最低融着温度の低下に寄与していることを示している。
低温のスチームで成形可能な発泡粒子は、上記測定に基
づく発泡粒子表面の融解開始温度が基材樹脂の融点(T
m)以下であるが、[Tm−5℃]以下であることが好
ましく、[Tm−10℃]以下であることがより好まし
く、[Tm−15℃]〜[Tm−50℃]であることが
最も好ましい。また、このような最低融着温度の低下
は、基材樹脂の融点が150℃以上、更に158℃以上
であり、且つ高温ピークを持つEPP粒子の場合に特に
有効である。発泡粒子表面の融解開始温度が低いほど成
形時に必要な最低融着温度の低下への寄与度が大きくな
るが、その融解開始温度があまりにも低くなりすぎる
と、EPP成形体の使用条件によっては得られる成形体
の圧縮強度等の機械的物性等の低下につながる虞があ
る。
【0049】また、発泡粒子のメルトフローレイト(M
FR)を測定したところ、本発明の発泡粒子のMFRの
値は表面改質される前の樹脂粒子のMFRの値と同じか
それよりも大きな値を示すことが観察された。本発明で
は、発泡粒子のMFRの値は表面改質される前の樹脂粒
子のMFRの値の1.2倍以上とすることが好ましく、
1.5倍以上とすることがより好ましく、1.8〜3.
5倍とすることが最も好ましい。尚、発泡粒子のMFR
の値は、EPP成形体の耐熱性及び発泡粒子製造時の発
泡効率を考慮すると、0.5〜150g/10分となる
ようにすることが好ましく、1〜100g/10分とな
るようにすることがより好ましく、10〜80g/10
分となるようにすることが更に好ましい。
【0050】上記発泡粒子のMFRとは、発泡粒子を2
00℃に温度調節した加熱プレス盤で厚さ0.2mmか
ら1mmのプレスシートに調製し、該シートから1個当
たり0.25cm3以下のペレット状或いは棒状試料と
し、その試料を使って前記プロピレン系樹脂のMFRの
測定と同様の方法で測定を行った値である。尚、発泡粒
子のMFRを測定する上で上記試料には気泡等の混入は
正確な測定値を得るために避ける必要がある。気泡の混
入がどうしても避けられない場合には、同一サンプルを
繰り返し3回までの範囲で加熱プレス盤による脱泡を目
的としたプレスシートの調製を行うことができる。
【0051】更に、本発明の発泡粒子は、特に酸素ラジ
カルを発生する有機過酸化物を用いた場合、有機過酸化
物の付加作用により若干量の酸素を含有する改質表面を
形成する。このことは、本発明の方法で得た発泡粒子の
表面と、それから製造されたEPP成形体の表面の分析
から明らかとなっている。具体的には、本発明の発泡粒
子から製造されたEPP成形体の表面(即ち発泡粒子の
表面と実質的に同じ)と、従来の表面改質されていない
発泡粒子から製造されたEPP成形体の表面のそれぞれ
をATR測定(全反射吸収測定法)で比較した結果、本
発明の発泡粒子から製造されたEPP成形体の表面に
は、新たに1033cm-1付近の吸収に差のあることを
確認しており、酸素単体あるいは酸素を含有した官能基
の付加あるいは挿入等の変化があったことが認められ
た。具体的には、1166cm-1の吸収における両ピー
ク高さ(本発明の発泡粒子からの成形体に対する吸収ピ
ーク高さと従来の表面改質されていない発泡粒子からの
成形体に対する吸収ピーク高さ)を同じとしたときに、
本発明の発泡粒子からの成形体表面の1033cm-1
近の吸収ピークの高さは、従来の該成形体表面の103
3cm-1付近の吸収ピークの高さに比べ高くなってい
る。更に発泡粒子の表面観察としてEDS(エネルギー
分散形分析装置)による元素分析を行った結果、酸素と
炭素の比に関し、本発明の発泡粒子の場合、0.2(m
ol/mol)であったのに対し、従来の表面改質され
ていない発泡粒子の場合、0.09(mol/mol)
であった。以上のことから、有機過酸化物の付加作用に
より若干量の酸素を含有する改質表面を形成しているの
は明白である。このような改質表面の形成は成形の際ス
チームの透過性を有利にすると考えられる。本発明の発
泡粒子は、上記酸素を含有する改質表面又は/及び上記
融点の逆転現象又は/及び上記発泡粒子の表層の高温ピ
ーク熱量の低下又は/及び上記発泡粒子表面の融解開始
温度の低下により、その最低融着温度は大きく低減され
ているものと推測される。尚、この様な観点から、本発
明においては、EDSにおける発泡粒子表面におけるそ
の酸素と炭素の比は0.15以上であることが好まし
い。
【0052】上記した方法によって得られるEPP粒子
は、大気圧下で熟成した後、必要に応じて気泡内部の圧
力を高めてから、水蒸気や熱風を用いて加熱することに
よって、より高発泡倍率の発泡粒子とすることが可能で
ある。
【0053】EPP成形体は、EPP粒子を、型内での
加熱成形に先立って必要に応じて気泡内部の圧力を高め
てから、加熱及び冷却が可能であってかつ開閉し密閉で
きる型内に充填し、飽和スチームを供給して型内でEP
P粒子同士を加熱して膨張させて融着させ、次いで冷却
して型内から取り出すバッチ式成形法を採用して製造す
ることができる。当該バッチ式成形法で使用される成形
機としては、既に数多くの成形機が世界中に存在し、国
によって多少異なるものの、その耐圧は、0.41MP
a(G)又は0.45MPa(G)のものが多い。従っ
て、EPP粒子同士を膨張させて融着させる際の飽和ス
チームの圧力は、0.45MPa(G)以下であること
が好ましく、0.41MPa(G)以下であることがよ
り好ましい。また、EPP成形体は、EPP粒子を、型
内での加熱成形に先立って必要に応じて気泡内部の圧力
を高めてから、通路内の上下に沿って連続的に移動する
ベルト間に連続的に供給し、飽和スチーム供給領域(加
熱領域)を通過する際にEPP粒子同士を膨張融着さ
せ、その後冷却領域を通過させて冷却し、次いで得られ
た成形体を通路内から取り出し、適宜の長さに順次切断
する連続式成形法(例えば特開平9−104026号、
特開平9−104027号及び特開平10−18088
8号等に記載される成形方法)により製造することもで
きる。この方法では通路内が型内ということになる。
尚、EPP粒子の気泡内部の圧力を高める場合には、密
閉容器に発泡粒子を入れ、該容器内に加圧気体を供給し
た状態で適当な時間放置して発泡粒子内に加圧気体を浸
透させればよい。加圧供給される気体は必要とされる圧
力下で液化、固化しないガスが主成分であれば問題なく
使用できるが、さらに窒素、酸素、空気、二酸化炭素、
アルゴンの群から選択される1又は2以上の無機ガスを
主成分とするものが特に好適に使用され、さらにその中
でも環境負荷やコストなどを考慮すると、窒素や空気が
好ましい。
【0054】気泡内部の圧力が高められた発泡粒子の内
部圧力P(MPa)は、次の操作により測定される。
尚、ここでは、空気を使用してEPP粒子の内部圧力を
高めた例を示す。まず、成形に使用されるEPP粒子
は、密閉容器に入れられ、該容器内に加圧空気を(通常
は容器内の空気圧がゲージ圧で0.02〜1.0MPa
の範囲を維持するように)供給した状態で適当な時間放
置してEPP粒子内に空気を浸透させることによりEP
P粒子の内部圧力が高められる。充分に内部圧力が高め
られたEPP粒子は、成形機の金型内に供給される。E
PP粒子の内部圧力は型内成形直前のEPP粒子の一部
(以下、発泡粒子群という。)を使用して、次の操作を
行うことによって求められる。
【0055】内部圧力が高められた型内成形直前の発泡
粒子群を加圧タンク内から取り出してから60秒以内
に、発泡粒子は通過させないが空気は自由に通過できる
サイズの針穴を多数穿設した70mm×100mm程度
のポリエチレン製袋の中に収容して気温23℃、相対湿
度50%の大気圧下の恒温室に移動する。続いてその恒
温室内の秤に載せて重量を読み取る。その重量の測定
は、上記した発泡粒子群を加圧タンク内から取出してか
ら120秒後とする。このときの重量をQ(g)とす
る。続いてその袋を同恒温室に96時間放置する。発泡
粒子内の加圧空気は時間の経過と共に気泡膜を透過して
外部に抜け出すため発泡粒子群の重量はそれに伴って減
少し、96時間後では平衡に達しているため実質的にそ
の重量は安定する。上記96時間後に再度その袋の重量
を測定し、このときの重量をU(g)とする。続いて直
ちに同恒温室内にて袋から発泡粒子群の全てを取り出し
て袋のみの重量を読み取る。その重量をZ(g)とす
る。上記のいずれの重量も0.0001gまで読み取る
ものとする。Q(g)とU(g)の差を増加空気量W
(g)とし、次式より発泡粒子の内部圧力P(MPa)
が計算される。尚、この内部圧力Pはゲージ圧に相当す
る。 P=(W÷M)×R×T÷V
【0056】ただし、上式中、Mは空気の分子量であ
り、ここでは28.8(g/モル)の定数を採用する。
Rは気体定数であり、ここでは0.0083(MPa・
L/(K・mol))の定数を採用する。Tは絶対温度
を意味し、23℃の雰囲気が採用されているので、ここ
では296(K)の定数である。V(L)は発泡粒子群
の見かけ体積から発泡粒子群中に占める基材樹脂の体積
を差し引いた体積を意味する。尚、上記Vは次式により
求められる。 V(L)={発泡粒子群重量(g)/発泡粒子基材樹脂
密度(g/cm3)}×{発泡粒子基材樹脂密度(g/c
3)/発泡粒子群の見かけ密度(g/cm3)−1}×
10-3
【0057】尚、発泡粒子群の見かけ密度(g/c
3)は、上記発泡粒子群重量(U(g)とZ(g)と
の差)を発泡粒子群の見かけ体積Y(cm3)で除すこ
とにより求められる。また、発泡粒子群の見かけ体積Y
(cm3)は、96時間後に袋から取り出された発泡粒
子群の全量を直ちに同恒温室内にて23℃の水100c
3が収容されたメスシリンダー内の水に水没させて求
められる。尚、以上の測定においては、上記発泡粒子群
重量(U(g)とZ(g)との差)が0.5000〜1
0.0000gで、かつ体積Yが50〜90cm3とな
る量の複数個の発泡粒子群が使用される。
【0058】EPP粒子の気泡内の上記内部圧力は、ゲ
ージ圧で0.005〜0.98MPa(G)が好まし
く、さらに好ましくは0.01〜0.69MPa
(G)、最も好ましくは0.03〜0.49MPa
(G)である。前記気泡内部圧力が小さくなりすぎると
成形時の二次発泡力が不足し、それを補うために成形時
に金型内に導入するの飽和スチーム圧を高めにするか、
又は金型を完全に閉鎖せずに隙間を開けた状態で充填
し、次いで完全に型締めしてEPP粒子を圧縮する方法
が必要となる。二次発泡力を向上させるために金型内に
導入する飽和スチーム圧を上昇させることは、前述の成
形機の耐圧限界から制限され、該EPP発泡粒子が特徴
とする低温成形の目的に合致しないためなるべく避ける
べきである。また、EPP粒子を圧縮する方法では成形
体内の場所ごとの密度のばらつきを誘発する虞がある。
一方、前記気泡内部圧力が大きくなりすぎると成形時の
二次発泡力が過剰となり、成形体内部へ飽和スチームの
浸透を阻害し、結果的に成形体中央部の加熱が不十分と
なり、EPP粒子同士の相互融着が不良となる。また、
該EPP粒子の特徴としては、プロピレン単独重合体等
の剛性の高い基材樹脂からなるEPP粒子は高い圧縮応
力物性を有することから、前記のEPP粒子の気泡内部
の圧力を高める操作においても加圧雰囲気下でのEPP
粒子の見かけ体積の減少が小さく、EPP粒子気泡内と
外部雰囲気との圧力差を高めとすることが可能となり、
結果として内部圧力付与に要する時間を短くできること
が挙げられる。すなわち、現行設備を使用しても生産性
が向上することとなり、工業的には見逃せない利点であ
ると言える。上記手法で製造されるEPP成形体の見か
け密度は目的によって任意に選定できるが、通常は9g
/L〜600g/L、好ましくは15g/L〜600g
/L、更に好ましくは20g/L〜600g/L、の範
囲である。EPP成形体の見かけ密度とは、JIS K
7222(1999年)でいう見掛け全体密度のこと
である。ただし、見掛け全体密度の計算に用いられる成
形体の体積は、外寸から計算される体積を採用するが、
形状が複雑で外寸からの計算が困難である場合には、成
形体を水没させた際の排除体積が採用される。
【0059】また、本発明のEPP成形体にはその表面
の少なくとも一部に、表面装飾材を積層一体化すること
ができる。そのようなラミネート複合タイプのEPP成
形体の製造方法は、米国特許第5928776号、米国
特許第6096417号、米国特許第6033770
号、米国特許第5474841号、ヨーロッパ特許47
7476号、WO98/34770号、WO98/00
287号、日本特許第3092227号等の各公報に詳
細に記載されている。また、本発明のEPP成形体中に
は、インサート材の全部または一部が埋設されるように
して該インサート材を複合一体化することができる。そ
のようなインサート複合タイプのEPP成形体の製造方
法は、米国特許第6033770号、米国特許第547
4841号、日本公開特許昭59−127714号、日
本特許第3092227号等の各公報に詳細に記載され
ている。
【0060】以上のようにして製造されるEPP成形体
は、ASTM−D2856−70の手順Cに基づく連続
気泡率が40%以下であることが好ましく、25%以下
であることがより好ましく、15%以下であることが最
も好ましい。連続気泡率が小さい成形体ほど、機械的強
度に優れる。
【0061】
【実施例】以下に本発明について実施例および比較例を
挙げ説明する。
【0062】実施例1〜5、比較例1〜6 表1に示されるポリプロピレン系樹脂100重量部当
り、表2に示されるヒンダードアミン系化合物を表6に
示す量、表5に示される酸化防止剤を表6に示す量、必
要に応じて表3に示す紫外線吸収剤を表6に示す量及び
ホウ酸亜鉛粉末(気泡調整剤)0.05重量部を添加し
て押出機内で溶融混練した後、押出機からストランド状
に押出し、そのストランドを直ちに18℃に調節された
水中に入れて急冷しながら引き取り、充分に冷却した
後、水中から引き上げ、長さ/直径比が1.0になるよ
うにストランドを切断して、1粒子当りの平均重量が2
mgの樹脂粒子を得た。次いで5リットルのオートクレ
ーブに、上記樹脂粒子100重量部、イオン交換水30
0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(界
面活性剤)0.004重量部とカオリン(分散剤)0.
3重量部、硫酸アルミニウム0.01重量部、表4に示
される有機過酸化物を表6に示す量及び炭酸ガス(発泡
剤)を表6に示す量仕込み、攪拌しながら表6に示す発
泡温度よりも5℃低い温度まで昇温して(昇温速度2℃
/分)からその温度で15分間保持した。次いで、発泡
温度まで昇温して(昇温速度1.5℃/分)同温度で1
5分間保持した。次いで、オートクレーブの一端を開放
してオートクレーブ内容物を大気圧下に放出して発泡粒
子を得た。尚、樹脂粒子をオートクレーブから放出する
間のオートクレーブ内の圧力が、放出直前のオートクレ
ーブ内の圧力に保たれるように、オートクレーブ内に窒
素ガスを供給しながら放出を行った。得られた発泡粒子
を水洗し遠心分離機にかけたのち、温度23℃の大気圧
下に48時間放置して養生した。養生後の発泡粒子の高
温ピーク熱量、表層及び内部発泡層の各高温ピーク熱
量、発泡粒子のMFR、発泡粒子の見かけ密度等を測定
し、その結果を表6に示した。尚、得られた発泡粒子の
沸騰キシレン不溶分の含有率は0重量%であった。次い
で、この発泡粒子を、耐圧容器内の加圧空気下に置いて
発泡粒子の気泡内部圧力を高めた後、表6に示す気泡内
部圧力の発泡粒子を250mm×200mm×50mm
の成形空間を持つ金型内に、金型を完全に閉鎖せずに僅
かな隙間(約1mm)を開けた状態で(成形空間50m
mの方向が51mmの状態で)充填し、次いで完全に型
締めした後、スチームで金型内の空気を排気し、その後
所定の飽和スチーム圧力によって成形した。成形後金型
内の成形体の面圧が0.059MPa(G)となるまで
水冷した後成形体を型から取り出し、60℃で24時間
乾燥した後、室温(23℃)まで冷却した。引き続いて
その部屋で14日間成形体を養生した。尚、本例では、
0.15MPa(G)〜0.55MPa(G)まで成形
毎に0.01MPaづつ飽和スチーム圧を高めて繰り返
し成形体を製造する操作を行なったが、この際の各飽和
スチーム圧が上記所定の飽和スチーム圧力である。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】尚、表2中のヒ1及びヒ3で示されるヒン
ダードアミン系化合物、表3中の紫1で示される紫外線
吸収剤の数平均分子量(ポリスチレン換算値)は、ヒン
ダードアミン系化合物又は紫外線吸収剤10mgをテト
ラヒドロフラン/アセトニトリル/10mM酢酸混合溶
液に10mlに溶解させ、これを分別カラムを通して分
子量を測定するゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー法により求めた。詳しくは、分子量は島津製作所社製
GPC−LC3A型と島津製作所社製示差屈折計検出機
RID−4型を使用し、カラムShim-pack CLC-ODS(直径
6.0mm、長さ150mm)、カラム温度45℃、流
量1ml/分の測定条件にて測定した。
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】尚、表6中の最低融着温度とは、250m
m×200mm×50mmの金型で上記の通り成形した
養生後の成形体を使用して、該成形体の一方の250m
m×200mmの面に、カッターナイフで該成形体を二
等分するように長手方向に亘って、深さ(成形体の厚み
方向)10mmの切り込みを入れた後、手で切り込み部
から成形体を折り曲げて破断するテストにより、破断面
に存在する発泡粒子の個数(n)と材料破壊した発泡粒
子の個数(b)の比(b/n)の値が初めて0.50以
上となったときの成形に要した飽和スチーム圧力を意味
する。比較例1及び比較例3では、一般的な成形機の耐
圧である0.45MPa(G)の飽和スチーム圧力で
は、(b/n)の値は、いずれも0という結果であり、
0.50には至らなかった。尚、上記発泡粒子の個数
(n)は、発泡粒子間で剥離した発泡粒子の個数と、発
泡粒子内で材料破壊した発泡粒子の個数(b)との総和
である。また、表6中の圧縮強度とは、上記最低融着温
度で得られた養生後の成形体から縦50mm、横50m
m、厚み25mm、となるように切断して得られた試験
片(全面の表皮がカットされたもの)を使用し、JIS
Z 0234−1976 A法に従って試験片温度2
3℃、荷重速度10mm/分の条件で歪が55%に至る
まで圧縮試験を行い、得られた応力−歪線図より50%
歪時の応力を読みとり、圧縮強度を算出した。また、表
1中のガラス転移温度、融点及び表6中の発泡粒子の各
高温ピークの熱量は、株式会社島津製作所の島津熱流束
示差走査熱量計「DSC−50」を使用して測定した。
【0071】表6中の耐候性は以下のようにして測定さ
れたもので、その評価基準は次の通りである。 (耐候性テスト)スガ試験機株式会社製、強エネルギー
キセノンウエザーメーターSC750−WN(光源:キ
セノンロングライフアークランプ,放射照度90W/m
2)を使用してJIS D0205に準拠して200時
間試験を行った。 ○:表面をこすっても樹脂粉が発生しない。 ×:表面をこすると樹脂粉が発生する。
【0072】表6中の耐熱性は以下のようにして測定さ
れたもので、その評価基準は次の通りである。 (耐熱性テスト)成形体を150℃のギアオーブン中で
22時間加熱して表面の劣化を評価した。 ○:表面をこすっても樹脂粉が発生しない。 ×:表面をこすると樹脂粉が発生する。 尚、表6中の発泡粒子の見かけ密度(g/L)は、発泡
粒子の重量を発泡粒子の見かけ体積で除すことにより計
算したものである。具体的には、養生後に、無作為に選
んだ複数個の発泡粒子の重量(g)を測定し、次いで、
23℃の水が収容されたメスシリンダー内の水に水没さ
せたときの排除体積を発泡粒子の見かけ体積(cm3
としその値を読み取りこれをリットル単位に換算して、
発泡粒子の重量(g)を発泡粒子の見かけ体積(L)に
て割り算することにより見かけ密度(g/L)を求め
た。また、表6中の成形体の見かけ密度(g/L)は、
発泡粒子成形体の重量をその成形体の見かけ体積で除す
ことにより計算したものである。具体的には、養生後
に、発泡成形体から直方体の試験片を切り出し試験片の
重量(g)を測定し、次いで、その試験片の外形寸法か
ら試験片の見かけ体積(cm3)を算出しこれをリット
ル単位に換算して、試験片の重量(g)を見かけ体積
(L)にて割り算することにより見かけ密度(g/L)
を求めた。
【0073】以上の結果は、有機過酸化物が存在する分
散媒体中にHALSを含有するポリプロピレン系樹脂粒
子を分散させると共に、該ポリプロピレン系樹脂粒子の
基材樹脂融点よりも低温であって且つ該有機過酸化物が
実質的に分解する温度下で該有機過酸化物を分解させる
ことによって該ポリプロピレン系樹脂粒子の表面を処理
して実質的に無架橋の表層改質粒子を得る工程を行なう
と、それから得られた発泡粒子は、ポリプロピレン系樹
脂のリサイクル性を維持しながら成形温度が低減される
こと及び耐候性、耐熱性に優れていることを示してい
る。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、ポリプロピレン樹脂の
環境的適性、リサイクル性を維持しながら成形温度を従
来のものと比較して劇的に低減させた発泡粒子を提供す
ることができ、この成形温度の低下はエネルギーの節減
に大きく寄与する。また、成形温度の低下は、冷却時間
を短縮し、その結果、成形サイクルを短縮することがで
き、生産性を向上させることができ、更に金型の耐久年
数を長くすることにも繋がる。そして、本発明により得
られる発泡粒子を成形してなる発泡粒子成形体は、十分
な耐熱性及び耐候性を有するものとなる。また、従来
は、EPP成形体の高剛性等の高物性化のためには融点
の高いポリプロピレン系樹脂を使用して得られた、高温
ピーク熱量の高い発泡粒子を使用しなければならないた
め必然的に成形温度が汎用の成形機の耐圧を超えてしま
うという問題があったが、本発明の発泡粒子では、融点
の高いポリプロピレン系樹脂を使用して得られた、高温
ピーク熱量の高い発泡粒子であっても、得られるEPP
成形体の高剛性を維持したまま、従来よりも低温度のス
チームで成形が可能となり、表面改質が充分であれば汎
用の成形機の耐圧以内での成形も可能となる。従って、
本発明の発泡粒子を使用すれば、従来よりも安価に高物
性(高剛性)又は/及び軽量のEPP成形体を提供する
ことが可能となる。本発明のEPP成形体は、自動車の
バンパー芯材として、あるいは自動車の側面からの衝撃
を吸収させることを目的に自動車のドアにセットされる
側部衝突用緩衝材として特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の、第
1回目のDSC曲線のチャートの一例を示す図である。
【図2】図2は、ポリプロピレン系樹脂粒子又はポリプ
ロピレン系樹脂発泡粒子の第2回目のDSC曲線のチャ
ートの一例を示す図である。
【図3】図3は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の表面
のμDTA曲線のチャートの一例を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 秀浩 栃木県鹿沼市さつき町10−3 株式会社ジ ェイエスピー鹿沼研究所内 Fターム(参考) 4F074 AA24 AB03 AD08 AD13 AG03 AG20 BA32 CA34 CC03Y CC04X CC04Y 4J002 BB121 BB141 BB151 BP021 EU076 EU086 FD030 FD036 FD070 GN00 4J100 AA02Q AA03P AA04Q CA01 CA04 CA31 DA24 EA05 HA51 HC36 HD01 HE06 HE12 JA28

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒンダードアミン系化合物を0.01〜
    2重量%含有しているポリプロピレン系樹脂発泡粒子で
    あって、該発泡粒子の表層及び内部発泡層の各々の示差
    走査熱量測定によるDSC曲線において基材樹脂固有の
    吸熱ピークよりも高温側に吸熱ピークが存在し、発泡粒
    子の表層の該高温側に存在する吸熱ピークの融解熱量
    (ΔHs)と発泡粒子の内部発泡層の該高温側に存在す
    る吸熱ピークの融解熱量(ΔHi)とがΔHs<ΔHi×
    0.86の関係を満足することを特徴とするポリプロピ
    レン系樹脂発泡粒子。
  2. 【請求項2】 ヒンダードアミン系化合物を0.01〜
    2重量%含有しているポリプロピレン系樹脂発泡粒子で
    あって、発泡粒子の表面におけるマイクロ示差熱分析
    (25℃から200℃まで昇温速度10℃/秒の条件)
    に基づく融解開始温度が基材樹脂の融点以下であること
    を特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  3. 【請求項3】 ヒンダードアミン系化合物の分子量が4
    00〜10000であることを特徴とする請求項1又は
    2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  4. 【請求項4】 発泡粒子の示差走査熱量測定によるDS
    C曲線において基材樹脂固有の吸熱ピークよりも高温側
    に吸熱ピークが存在し、該高温側に存在する吸熱ピーク
    の熱量が20〜70J/gであることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡
    粒子。
  5. 【請求項5】ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が融点15
    0℃以上のポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とすること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロ
    ピレン系樹脂発泡粒子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の発泡粒
    子を型内に充填し加熱成形して得られたポリプロピレン
    系樹脂発泡粒子成形体。
  7. 【請求項7】 有機過酸化物が存在する分散媒体中にヒ
    ンダードアミン系化合物を含有するポリプロピレン系樹
    脂粒子を分散させて形成した分散体を該ポリプロピレン
    系樹脂粒子の基材樹脂の融点よりも低温であって且つ該
    有機過酸化物が分解する温度以上にて該有機過酸化物を
    分解させることによって表面改質樹脂粒子を得る表面改
    質工程と、該表面改質樹脂粒子を発泡剤により発泡させ
    て実質的に無架橋の発泡粒子を得る発泡工程とを含むこ
    とを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 ヒンダードアミン系化合物の分子量が4
    00〜10000であることを特徴とする請求項7に記
    載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
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