JP4197261B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体(以下、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体をEPP成形体と称することがある)を製造するための成形機は高い成形温度に対応する構造、即ち4.5kg/cm2(G)のスチーム圧力に耐えうる構造となっている。しかし、プロピレン単独重合体からなる高剛性のポリプロピレン系樹脂から得られた高剛性の無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡粒子(以下、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子をEPP粒子又は発泡粒子と称することがある)を用いて高剛性のEPP成形体を得ようとする場合、EPP成形体を製造するための成形機の耐圧以上の圧力のスチームにて成形しなければならない問題や、得られた成形体においても発泡粒子同士の融着が十分なものが得られにくいといった問題があった。従って、融点の高いプロピレン系樹脂を基材樹脂とするEPP粒子であっても十分な発泡粒子同士の融着を実現したEPP成形体を得ることが出来ること、EPP粒子成形機への負荷等の低減に繋がることなどの理由から、低温(低圧)のスチームで成形が可能なEPP粒子が要望されていた。
【0003】
本発明者らは、例えば融点の高いポリプロピレン系樹脂を使用して得られた、高温ピーク熱量の高い発泡粒子であっても、表面改質が充分であれば汎用の成形機の耐圧以内での低温度のスチームで成形が可能となり、基材樹脂の持つ本来の剛性が十分に発揮された高剛性のEPP成形体を得ることが可能となり、そのことによって従来よりも安価に高物性(高剛性)又は/及び軽量のEPP成形体を提供することが可能となることを見出した([特許文献1])。しかしながら、例えば、融点の高いポリプロピレン系樹脂を基材樹脂として高剛性のEPP成形体を得ることは出来たものの該成形体は予想に反して耐熱性においての課題を有するもので高温度条件下では極度に劣化して一部が粉状になってしまい、また耐候性にも劣るという課題を有するものであった。
そこで、本発明者らは上記の耐熱性及び耐候性の課題に対して基材樹脂への安定剤の添加による改善を試みたが、安定剤の添加により表面改質の効果が低下する傾向があり、耐熱性及び耐候性共に良好なものは得ることが難しいという新たな課題を生じた。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−167460号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低温スチームでも発泡粒子同士の十分な融着が可能であり、かつ耐熱性及び耐候性に優れたポリプロピレン系樹脂発泡粒子、それを用いた型内発泡粒子成形体及び該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明によれば、以下に示すポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法が提供される。
(1)有機過酸化物が存在する分散媒体中にポリプロピレン系樹脂粒子(ただし、ポリプロピレン系樹脂粒子中にビニル系単量体を含浸しているものを除く。)を分散させて分散体を形成し、該ポリプロピレン系樹脂粒子の基材樹脂の融点よりも低温であって且つ該有機過酸化物が分解する温度以上にて該有機過酸化物を分解させることによって得た表面改質樹脂粒子を発泡剤により発泡させてなり、かつ分子量が400〜10000のヒンダードアミン系化合物を0.01〜2重量%含有しているポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、該発泡粒子の表層及び内部発泡層の各々の示差走査熱量測定によるDSC曲線において基材樹脂固有の吸熱ピークよりも高温側に吸熱ピークが存在し、発泡粒子の表層の該高温側に存在する吸熱ピークの融解熱量(ΔHs)と発泡粒子の内部発泡層の該高温側に存在する吸熱ピークの融解熱量(ΔHi)とがΔHs<ΔHi×0.86の関係を満足することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
(2)有機過酸化物が存在する分散媒体中にポリプロピレン系樹脂粒子(ただし、ポリプロピレン系樹脂粒子中にビニル系単量体を含浸しているものを除く。)を分散させて分散体を形成し、該ポリプロピレン系樹脂粒子の基材樹脂の融点よりも低温であって且つ該有機過酸化物が分解する温度以上にて該有機過酸化物を分解させることによって得た表面改質樹脂粒子を発泡剤により発泡させてなり、かつ分子量が400〜10000のヒンダードアミン系化合物を0.01〜2重量%含有しているポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、発泡粒子の表面におけるマイクロ示差熱分析(25℃から200℃まで昇温速度10℃/秒の条件)に基づく融解開始温度が基材樹脂の融点以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
)発泡粒子の示差走査熱量測定によるDSC曲線において基材樹脂固有の吸熱ピークよりも高温側に吸熱ピークが存在し、該高温側に存在する吸熱ピークの熱量が20〜70J/gであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が融点150℃以上のポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とすることを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
)前記(1)〜()のいずれかに記載の発泡粒子を型内に充填した後、加熱成形して得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体。
)有機過酸化物が存在する分散媒体中に分子量が400〜10000のヒンダードアミン系化合物を含有するポリプロピレン系樹脂粒子(ただし、ポリプロピレン系樹脂粒子中にビニル系単量体を含浸しているものを除く。)を分散させて分散体を形成し、該ポリプロピレン系樹脂粒子の基材樹脂の融点よりも低温であって且つ該有機過酸化物が分解する温度以上にて該有機過酸化物を分解させることによって表面改質樹脂粒子を得る表面改質工程と、該表面改質樹脂粒子を発泡剤により発泡させて発泡粒子を得る発泡工程とを含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においては、ポリプロピレン系樹脂(以下、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とも言う)粒子には、ヒンダードアミン系化合物(以下、ヒンダードアミン系化合物をHALSとも言う)を含有させる。本発明で用いるHALSは、下記の一般式(1)を構造式中に含む化合物である。
【化1】
Figure 0004197261
本発明で用いるHALSにおいて、その分子量は400〜10000、好ましくは400〜5000、特に好ましくは2500〜5000である。その分子量が前記範囲よりも低くなると、HALSが樹脂粒子の表面にブリードしやすくなり、本発明の発泡粒子を得る上で樹脂粒子の表面改質がされ難くなるため、所期の目的、効果を有する発泡粒子とはならない虞がある。一方、その分子量が前記範囲よりも高くなると、基材樹脂との相溶性、基材樹脂中での分散性を十分に考慮しなければならず、得られる発泡粒子の気泡が不均一となったり、独立気泡率が低下する等の不都合が生じる虞がある。また、上記HALS以外のポリプロピレン系樹脂の安定剤として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス〔2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル〕エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)〔1,1−ビフェニル〕−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤を基材樹脂に添加する方法が知られているが十分な耐候性を得ることができない。尚、本明細書においてHALSの分子量とは、化合物を構成する原子の質量の合計から求められるものであるが、化合物が分子量の異なったものが混在している物の場合は平均分子量をもってHALSの分子量とする。該平均分子量の測定方法としてはGPCにより求められる数平均分子量(ポリスチレン換算値)が採用される。
【0008】
HALSの具体例としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。
HALSについては、例えば、文献「境 鶴雄,高分子添加剤の開発と最新技術,株式会社シーエムシー編,株式会社ジスク発行(1992.5.29),p9,p16」等に詳述されている。
【0009】
HALSの含有量は、基材樹脂粒子中、0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%、更に好ましくは0.05〜0.5重量%である。その含有量が0.01重量%未満では、発泡粒子成形体の十分な耐熱性及び耐候性が付与されない。一方、2重量%を超えると、得られる発泡粒子成形体の耐熱性及び耐候性は付与されるが、発泡工程で十分に表面改質が達成されず、成形温度が上昇してしまう、コストアップになるといった不具合が生じる虞れがある。
本発明では、紫外線吸収剤とHALSとを併用することができる。紫外線吸収剤としては、従来公知の各種のもの、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等が挙げられる。ベンゾフェノン系としては、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン等が挙げられ、ベンゾトリアゾール系としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジルフェニル)〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられベンゾエート系としては2,4−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。本発明において基材樹脂に添加されるHALSと紫外線吸収剤との組合せとしてはコハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物と2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールとの併用が特に好ましい。
【0010】
本発明においては、発泡粒子を製造するに際し、基材樹脂粒子中にHALSを含有させる。基材樹脂中にHALSを含有させる方法としては、HALSを、基材樹脂に添加し、溶融混練する方法が採用される。基材樹脂に対するHALSの添加は従来公知の方法で行うことができ、ドライブレンドでの添加、マスターバッチでの添加等が挙げられる。
本発明においては、HALSと基材樹脂との分散性を向上させることができ、更に発泡倍率や気泡径のバラツキが生じ難いなどの理由から、マスターバッチで添加する方法が好ましく採用される。
マスターバッチで添加する方法としては、HALSを1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%含有するポリオレフィン系樹脂と本発明の発泡粒子の基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂とを溶融混練することが好ましい。この場合、HALSマスターバッチの割合が0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%となるように基材樹脂と混合される。
【0011】
本発明の発泡粒子の基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、またはプロピレン成分を60モル%以上含有する(好ましくはプロピレン成分を80モル%以上含有する)プロピレンと他のコモノマーとの共重合体のいずれか、あるいはこれらの樹脂の中から選ばれる2種以上の混合物である。
【0012】
プロピレン成分を60モル%以上含有するプロピレンと他のコモノマーとの共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、プロピレン−ブテンランダムコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンランダムコポリマーなどが例示される。
【0013】
基材樹脂の融点は、最終的なEPP成形体の圧縮強度等の機械的物性を高いものとする上で、135℃以上であることが好ましく、145℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることが更に好ましく、158℃〜170℃のときに最も効果的である。また、基材樹脂の融点の上限値は概ね170℃である。
尚、本明細書における樹脂の融点の測定方法はJIS K7121(1987)による熱流束示差走査熱量測定にて得られるDSC曲線の融解ピークの頂点の温度とする。但し、融解ピークが2つ以上存在する場合はピーク面積の最も大きな融解ピークの頂点の温度を融点とする。また、融点を求めるための試験片はJIS K7121(1987)の3.試験片の状態調節(2)記載の『一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合』に準拠して試験片をDSC装置の容器に入れ、220℃まで10℃/分にて昇温して加熱溶解させ、直ちに40℃まで10℃/分にて冷却する状態調整を行ったものを試験片とする。
また、基材樹脂は、発泡成形体の耐熱性及び発泡粒子製造時の発泡効率を考慮すると、メルトフローレイト(MFR)が0.3〜100g/10分のものが好ましく、特に1〜70g/10分のものが好ましい。尚、MFRはJIS K7210(1976)にて試験温度230℃、試験荷重21.18Nの試験条件で測定される値である。
【0014】
本発明においては、基材樹脂に、本発明の所期の効果を損なわない範囲内において、ポリプロピレン系樹脂以外の他の合成樹脂又は/及びエラストマーを更に添加することができる。ポリプロピレン系樹脂以外の他の合成樹脂又は/及びエラストマーの添加量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部当り、多くても35重量部であることが好ましく、多くても20重量部であることがより好ましく、多くても10重量部であることが特に好ましく、多くても5重量部であることが最も好ましい。
【0015】
ポリプロピレン系樹脂以外の他の合成樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のエチレン系樹脂、或いはポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のスチレン系樹脂等が例示される。
【0016】
また、上記エラストマーとしては、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−1−ブテンゴム、プロピレン−1−ブテンゴム、スチレン−ブタジエンゴムやその水添物、イソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、或いはスチレン−ブタジエンブロック共重合体エラストマーやその水添物等のエラストマーが例示される。
【0017】
本発明においては、基材樹脂中には、前記の通りHALSを含有させる。また、所望に応じて先に例示した紫外線吸収剤、その他の各種補助添加剤を含有させることができる。
その他の各種補助添加剤としては、たとえば、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、金属不活性剤、顔料、染料、核剤、あるいは気泡調整剤等を挙げることができる。これらの補助添加剤の中でも一般に気泡調整剤は発泡粒子を製造する際に基材樹脂に添加されるものであり、本発明において気泡調整剤はとしては、特に、ホウ酸亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、ホウ砂、水酸化アルミニウムなどの無機粉体が好ましく例示される。上記の紫外線吸収剤、その他の各種補助添加剤は、基材樹脂100重量部当り20重量部以下、特に5重量部以下で添加されるのが好ましく、添加剤を使用する場合の添加量の下限値は概ね基材樹脂100重量部当り0.005重量部である。
前記HALS、紫外線吸収剤及びその他の各種補助添加剤は、例えば、押出機により押出したストランドを切断する等して本発明の発泡粒子を得るためのポリプロピレン系樹脂粒子(以下、ポリプロピレン系樹脂粒子を樹脂粒子ということがある)を製造する際に、押出機内にて溶融した基材樹脂と共に混練することによって樹脂粒子中に均一に含有させることができる。
【0018】
尚、表面改質樹脂粒子を得るための樹脂粒子としては、基材樹脂を押出機内で溶融して押出したストランドを切断して樹脂粒子を製造する際に、押出直後のストランドを急冷することが好ましい。そのように急冷された樹脂粒子であると、前記表面改質を効率よく行なうことができる。その押出直後のストランドの急冷は、そのストランドを押出し直後に、好ましくは50℃以下に調節された水中に、より好ましくは40℃以下に調節された水中に、最も好ましくは30℃以下に調節された水中に入れることにより行なうことができる。そして充分に冷却されたストランドは水中から引き上げられ、適宜長さに切断することにより、所望の大きさの樹脂粒子にされる。樹脂粒子は、通常、長さ/直径比が0.5〜2.0、好ましくは0.8〜1.3となるように調節され、また1個当たりの平均重量(無作為に選んだ200個の樹脂粒子の重量の1個当たりの平均値)は、0.1〜20mgとなるように、好ましくは0.2〜10mgとなるように調節される。
【0019】
本発明による発泡粒子を製造する方法は、表面改質工程と発泡工程とからなる。表面改質工程では、有機過酸化物が存在する分散媒体中にHALS等の添加剤を含有する樹脂粒子を分散させて分散体とすると共に、得られた分散体を樹脂粒子の基材樹脂の融点よりも低温であって且つ該有機過酸化物が実質的に分解する温度範囲内に保持(該保持には該温度範囲内において分散体を昇温する等する状態も含む)して該有機過酸化物を分解させることによって樹脂粒子の表面を改質して無架橋の表面改質樹脂粒子を得る。このようにして得られる表面改質樹脂粒子は、これを次の発泡工程において、発泡剤を用いて発泡させて無架橋の表面改質された発泡粒子となる。
【0020】
このようにして得られる発泡粒子は、熱融着性に優れたものなり、低温のスチームでその発泡粒子同士の融着を行うことができるものとなる。よって、この発泡粒子を成形型に充填し、従来よりも低温のスチームでの加熱であっても、融着性に優れたEPP成形体を得ることができる。
【0021】
前記有機過酸化物としては、従来公知の各種のもの、例えば、イソブチルパーオキシド〔50℃〕、クミルパーオキシネオデカノエート〔55℃〕、α,α′−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン〔54℃〕、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート〔58℃〕、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート〔56℃〕、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート〔59℃〕、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート〔58℃〕、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート〔58℃〕、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート〔59℃〕、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート〔59℃〕、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート〔63℃〕、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート〔64℃〕、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート〔65℃〕、t−ブチルパーオキシネオデカノエート〔65℃〕、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド〔74℃〕、t−ヘキシルパーオキシピバレート〔71℃〕、t−ブチルパーオキシピバレート〔73℃〕、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド〔77℃〕、オクタノイルパーオキシド〔80℃〕、ラウロイルパーオキシド〔80℃〕、ステアロイルパーオキシド〔80℃〕、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート〔84℃〕、サクシニックパーオキシド〔87℃〕、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン〔83℃〕、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート〔90℃〕、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート〔90℃〕、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート〔92℃〕、m−トルオイルベンゾイルパーオキシド〔92℃〕、ベンゾイルパーオキシド〔92℃〕、t−ブチルパーオキシイソブチレート〔96℃〕、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン〔102℃〕、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン〔106℃〕、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン〔107℃〕、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン〔109℃〕、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン〔111℃〕、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン〔114℃〕、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン〔114℃〕、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート〔115℃〕、t−ブチルパーオキシマレイン酸〔119℃〕、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート〔119℃〕、t−ブチルパーオキシラウレート〔118℃〕、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン〔117℃〕、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート〔118℃〕、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート〔119℃〕、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート〔119℃〕、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン〔119℃〕等が例示される。尚、上記各有機過酸化物のすぐ後ろの〔〕内における温度は後述する1時間半減期温度である。前記有機過酸化物は、単独でまたは2種以上を併用して、樹脂粒子100重量部当り、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部を分散媒体中に添加して使用される。
分散媒体の具体例としては、一般には水性媒体、好ましくは水が使用され、より好ましくはイオン交換水が使用されるが、水に限らず基材樹脂を溶解せず且つ樹脂粒子の分散が可能な溶媒又は液体であれば使用することができる。水以外の分散媒体としては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げられる。水性媒体には、水と有機溶媒、例えば前記アルコールとの混合液が包含される。
【0022】
一般に、有機過酸化物が発生するラジカルには水素の引き抜き、付加、β崩壊の3種の連鎖移動作用がある。本発明においては、その3つの作用のうち特に付加の作用が大きいもの、即ち、分解時に酸素ラジカルを発生するものが特に好ましく、その中でもカーボネート構造を有するパーオキシドが最も好ましい。尚、該有機過酸化物を使用する際、必要に応じて連鎖移動剤等を併用(予め樹脂粒子中に含有させておくか又は/及び分散媒体中に添加して併用)することも可能である。なお、前記酸素ラジカルは、酸素単体のラジカルの他、有機過酸化物の分解により生じた有機基が結合した酸素ラジカルを意味する。
【0023】
従来、ポリプロピレンに対する有機過酸化物の用途としては、次の<1>〜<4>の利用方法が知られている。
<1> 分散媒体中にてポリプロピレン粒子に上記有機過酸化物と架橋助剤を均質に含浸させた後、ポリプロピレンの融点を超える温度に分散媒体を加熱することにより上記有機過酸化物を分解させてポリプロピレン粒子を架橋させる。
<2> ポリプロピレンと有機過酸化物とを含む組成物をポリプロピレンの融点を超える温度で押出機内で均一に溶融混練して上記有機過酸化物を均質に分解させ、それによって分子量分布の狭くなったポリプロピレンを得る(特開平3−152136号)。
<3> 分散媒体中にてポリプロピレン粒子に有機過酸化物と主鎖切断防止剤(架橋助剤)を均質に含浸させた後、ポリプロピレンの融点未満の分散媒体温度にて上記有機過酸化物を分解させることによってポリプロピレンに長鎖分岐又は架橋構造を導入してポリプロピレンの溶融張力を高める(特開平11−80262号)。この溶融張力が高められたポリプロピレンはその後、押出機内で発泡剤と共に溶融混練されて押出発泡に使用される。
<4> ポリプロピレンと有機過酸化物と無水マレイン酸を含む組成物をポリプロピレンの融点を超える温度で押出機内で均一に溶融混練してグラフト重合させる。上記有機過酸化物の従来の利用法は、いずれも、樹脂全体の改質を目的とするものであり、本発明のように熱融着性に優れたEPP粒子を得るために、そのEPP粒子の製造に先立ち、有機過酸化物が存在する分散媒体中にポリプロピレン系樹脂粒子を分散させると共に、該分散媒体を該ポリプロピレン系樹脂粒子の基材樹脂融点よりも低温であって且つ該有機過酸化物が実質的に分解する温度にて該有機過酸化物を分解させることによって該ポリプロピレン系樹脂粒子の表面のみを改質して無架橋の表面改質樹脂粒子を得ることを目的とする本発明の利用法とは相違する。また、従来のポリプロピレンに対する有機過酸化物の改質は該過酸化物と共にジビニルベンゼン等の架橋助剤を用いるものであるが本発明では架橋助剤は特に必要ない。本発明における樹脂粒子は表面改質工程により、樹脂粒子の表面を構成しているプロピレン系樹脂が有機過酸化物等により低温にて融解する結晶成分を多く存在させることにより、表面が融解し易い状態のものへ変化していると考えられる。
【0024】
本発明においては、有機過酸化物は基材樹脂の安定した上記改質効果を得るためには融点よりも低温で実質的に分解させることが好ましい。従って、該有機過酸化物の1時間半減期温度は、基材樹脂のビカット軟化点以下であることが好ましい。使用する有機過酸化物の1時間半減期温度が基材樹脂のビカット軟化点を超える場合には、その過酸化物の分解を迅速に行なうには基材樹脂の融点以上の高温が必要となるので好ましくないし、場合によっては、基材樹脂の融点よりも低温で実質的に分解させることができなくなるので好ましくない。そして該過酸化物を基材樹脂の融点以上の高温で実質的に分解させると、該過酸化物が樹脂粒子の奥深くまで浸透し易くなってしまう状態で分解するため、樹脂粒子を構成する基材樹脂が表面、内部を問わず全体的に改質されてしまう可能性がある。そして全体的に改質された樹脂粒子から得られたEPP粒子を成形して得られるEPP成形体の機械的物性が大きく低下してしまう虞がある。
以上のことを考慮すると、本発明の方法で使用される有機過酸化物は、1時間半減期温度が基材樹脂のビカット軟化点よりも20℃以上低温であることが好ましく、基材樹脂のビカット軟化点よりも30℃以上低温であることがより好ましい。尚、該1時間半減期温度は、基材樹脂のガラス転移温度以上であることが好ましく、取り扱い性等を考慮すると、40〜100℃であることがより好ましく、50〜90℃であることが更に好ましい。また、該過酸化物は、樹脂粒子が存在する分散媒体中で、基材樹脂のビカット軟化点以下で実質的に分解させることが好ましく、基材樹脂のビカット軟化点よりも20℃以上低温で実質的に分解させることがより好ましく、基材樹脂のビカット軟化点よりも30℃以上低温で実質的に分解させることが更に好ましい。尚、該過酸化物は、基材樹脂のガラス転移温度以上で実質的に分解させることが好ましく、該過酸化物の取り扱い性等を考慮すると、40〜100℃の範囲で実質的に分解させることがより好ましく、50〜90℃の範囲で実質的に分解させることが更に好ましい。尚、実質的に分解させるとは、使用した過酸化物の50重量%以上を分解させることを意味するが、その分解の度合いは70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることが更に好ましい。尚、実質的に分解させるとは、使用した有機過酸化物の活性酸素量が当初の50%以下になるまで分解させることを意味するが、その活性酸素量が当初の30%以下になるまで分解させることが好ましく、その活性酸素量が当初の20%以下になるまで分解させることがより好ましく、その活性酸素量が当初の5%以下になるまで分解させることが更に好ましい。
尚、本明細書において有機過酸化物の1時間半減期温度とは、一定温度で有機過酸化物を分解させた際、活性酸素量が1時間で当初の半分になるときのその一定温度のことである。尚、有機過酸化物の1時間半減期温度は、ラジカルに対して比較的不活性な溶液(例えば、ベンゼンやミネラルスピリット等)を使用して、0.05mol/L濃度の有機過酸化物溶液を調整し、窒素置換を行なったガラス管内に密封し、所定温度にセットした恒温槽に浸し、熱分解させて測定される。
また、本明細書においてビカット軟化点の測定はJIS K 7206(1991)に準拠し、JIS K6758(1981)記載の方法により作成されたアニーリング無しの試験片を使用して、液体加熱法にて、試験荷重はA法、加熱媒体の昇温速度を50℃/時の試験条件にて求められる値である。
また、本明細書においてガラス転移温度の測定はJIS K 7121(1987)により熱流束示差走査熱量測定にて得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度として求められる値である。尚、ガラス転移温度を求めるための試験片はJIS K7121(1987)の3.試験片の状態調節(3)記載の『一定の熱処理を行った後、ガラス転移温度を測定する場合』に準拠して試験片をDSC装置の容器に入れ、220℃まで10℃/分にて昇温して加熱溶解させ、直ちに−70℃まで10℃/分にて冷却する状態調整を行ったものを試験片とする。
【0025】
本発明において、上記表面改質樹脂粒子は無架橋である。本発明では架橋助剤等を併用しないので実質的に架橋は進行しない。尚、無架橋であるとは、次のとおり定義される。即ち、基材樹脂、樹脂粒子、表層改質粒子、EPP粒子、EPP成形体を問わず、それぞれを試料とし(キシレン100g当たり試料1g使用)、これを約140℃の沸騰キシレン中に8時間浸漬後、標準網フルイを規定しているJIS Z 8801(1966)に定められている網目74μmの金網で速やかに濾過し、該金網上に残った沸騰キシレン不溶分の重量を測定する。この不溶分の割合が試料の10重量%以下(但し、0重量%も含む。即ち、沸騰キシレン不溶分の重量が0gの場合も含む。)の場合を無架橋というが、その不溶分の割合は、試料の5重量%以下(但し、0重量%も含む。)であることが好ましく、3重量%以下(但し、0重量%も含む。)であることがより好ましく0.5重量%未満(但し、0重量%も含む。)であることが最も好ましい。その不溶分の割合が少ないほど再利用し易い。不溶分の含有率P(重量%)を式で表すと下式の通りである。
P(重量%)=(M÷L)×100
ただし、Mは不溶分の重量(g)、Lは試料の重量(g)である。
【0026】
本発明の発泡粒子は、上記した通り有機過酸化物を分解させて表面を改質した樹脂粒子を使用して、従来公知の樹脂粒子を発泡剤にて発泡する方法(発泡剤を含浸している樹脂粒子をスチーム加熱する方法等)により得ることができる。好ましい具体例としては、本発明の発泡粒子は表面改質樹脂粒子を発泡剤の存在下に密閉容器内で分散媒体に分散させながら加熱して該表面改質樹脂粒子に発泡剤を含浸せしめ、次いで、除圧した際に発泡粒子を生成する温度で、表面改質樹脂粒子と分散媒体とを低圧下に放出する方法(以下、分散媒放出発泡方法という)により製造する方法が挙げられる。
本発明においては、上記表面改質樹脂粒子を形成する表面改質工程と、その表面改質樹脂粒子から発泡粒子を得る発泡工程とは、それぞれ別の装置で別な時期に実施することも可能であるが、分散媒放出発泡方法を採用すると、適当な分解温度を持つ上記有機過酸化物を密閉容器内の水性媒体に所定量添加して従来公知の表面改質していない樹脂粒子を使用する分散媒放出発泡方法と同様の操作を行なうだけで、その加熱の途中で表面改質が完了して上記表面改質樹脂粒子が発泡工程中に得られるので、別途表面改質工程を実施する必要がなく、本発明の発泡粒子を得ることができるので効率的である。
【0027】
本発明において、表面改質樹脂粒子ひいてはそれから得られるEPP粒子やEPP成形体中には、前記過酸化物の分解に伴なって生成される分子量50以上のアルコールが数百ppm乃至数千ppm程度含有され得る。そのようなアルコールとしては、後述される実施例で示されたビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが使用された場合には、P−t−ブチルシクロヘキサノールが本発明の表面改質樹脂粒子中に含有され得る。他の過酸化物が使用された場合には他のアルコールが含有され得る。そのようなアルコールとしては、例えば、イソプロパノール、S−ブタノール、3−メトキシブタノール、2−エチルヘキシルブタノール、t−ブタノールが例示される。尚、これらの分解生成物としてのアルコールは時間経過によりEPP粒子やEPP成形体から失われてゆく可能性があるが本発明の目的、効果に影響を及ぼすものではない。
【0028】
前記分散媒放出発泡方法では、容器内の加熱下の該表面改質樹脂粒子が容器内で互いに融着しないように、分散媒体中に分散剤を添加することが好ましい。そのような分散剤としては、表面改質樹脂粒子の容器内での融着を防止するものであればよく、有機系、無機系を問わず使用可能であるが、取り扱いのし易さから微粒状無機物が好ましい。例えば、アムスナイト、カオリン、マイカ、クレー等の天然又は合成粘土鉱物や、酸化アルミニウム、酸化チタン、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、酸化鉄等を1種または数種の組み合わせで使用することができる。
【0029】
更に、上記分散媒放出発泡方法においては、分散剤の分散力を強化する(分散剤の添加量を少なくしても容器内で表層改質粒子同士の融着を防止する)分散強化剤を分散媒体中に添加することが好ましい。このような分散強化剤は、40℃の水100ccに対して少なくとも1mg以上溶解し得る無機化合物であって、該化合物の陰イオンまたは陽イオンの少なくとも一方が2価または3価である無機物質である。このような無機物質としては、たとえば、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄等が例示される。
【0030】
通常、樹脂粒子100重量部当り、分散剤は0.001〜5重量部の割合で使用され、分散強化剤は0.0001〜1重量部の割合で使用され、それらは分散媒体に入れられる。
【0031】
本発明のEPP粒子の製造方法において用いる発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロエタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素などの有機系物理発泡剤や、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、水等の無機系物理発泡剤が例示される。また、有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤を併用することもできる。本発明においては、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、水の群から選択される1又は2以上の無機系物理発泡剤を主成分とするものが特に好適に使用される。その中でも発泡粒子の見かけ密度の安定性、環境負荷やコストなどを考慮すると、窒素や空気が好ましい。また発泡剤として使用される水は、例えば上記分散媒放出発泡方法において表面改質樹脂粒子を密閉容器中に分散させるために分散媒体として使用される水(イオン交換水も含む)をそのまま利用すればよい。
【0032】
上記分散媒放出発泡方法において、物理発泡剤の容器内への充填量は、使用する発泡剤の種類と発泡温度と目的とする発泡粒子の見かけ密度に応じて適宜選択されるが、例えば発泡剤として窒素を使用し、分散媒体として水を使用した場合を例にとると、発泡開始直前の安定した状態にある密閉容器内の圧力、すなわち密閉容器内空間部の圧力(ゲージ圧)が、0.6〜6MPaとなるように選定することが好ましい。通常は、目的とする発泡粒子の見かけ密度が小さいほど前記容器内の空間部の圧力は高くすることが望ましく、目的とする発泡粒子の見かけ密度が大きいほど空間部の圧力は低くすることが望ましい傾向にある。
【0033】
本発明では、例えば上記分散媒放出発泡方法を採用して、見かけ密度が10g/L〜500g/Lの発泡粒子を得ることができる。また、発泡粒子の示差走査熱量測定によるDSC曲線における基材樹脂固有の吸熱ピーク(以下、固有ピークともいう。)よりも高温側に吸熱ピーク(以下、高温ピークともいう。)が存在する発泡粒子を製造することが好ましい。そのような発泡粒子は、独立気泡率の高い、成形に適する発泡粒子である。本発明の場合、得られる発泡粒子において、その高温ピークの熱量(吸熱量)が2J/g〜70J/gであることが好ましい。高温ピークの熱量が2J/g未満の場合はEPP成形体の圧縮強度、エネルギー吸収量などが低下する虞がある。一方70J/gを超える場合は、発泡粒子を成形するに先立ち発泡粒子内の圧力(通常は空気圧)を高める工程で必要となる気体の圧力を高くしなければならなかったり、成形サイクルが長くなったりする虞れがあるので好ましくない。本発明において、上記高温ピークの熱量は、3J/g〜70J/g、好ましくは20J/g〜70J/g、より好ましくは20J/g〜65J/gであって、かつ高温ピークの熱量と固有ピークの熱量の総和に対して10〜60%(特に20〜50%)の熱量を有することが好ましい。尚、高温ピークの熱量と固有ピークの熱量の総和は40J/g〜150J/gであることが好ましい。尚、本明細書における高温ピークの熱量と固有ピークの熱量は、いずれも吸熱量を意味し、そしてその数値は絶対値で表現されたものである。
【0034】
発泡粒子の全体の高温ピークの熱量は、JIS K7122(1987)に準拠する測定方法により、発泡粒子2〜10mgを熱流束示差走査熱量測定装置によって室温(10〜40℃)から220℃まで10℃/分で昇温した時に得られる図1に示す第1回目のDSC曲線において、基材樹脂固有の融解熱に由来する吸熱ピーク(固有ピーク)aが現れる温度よりも高温側に現れる吸熱ピーク(高温ピーク)bの熱量(吸熱量)であり、この高温ピークbの面積に対応するものである。具体的には次のようにして求めることができる。まず、図1に示すようにDSC曲線上の80℃に相当する点αと、発泡粒子の融解終了温度Tに相当するDSC曲線上の点βとを結ぶ直線(α−β)を引く。次に上記の固有ピークaと高温ピークbとの間の谷部に当たるDSC曲線上の点γからグラフの縦軸と平行な直線を引き、前記直線(α−β)と交わる点をσとする。高温ピークbの面積は、DSC曲線の高温ピークb部分の曲線と、線分(σ−β)と、線分(γ−σ)とによって囲まれる部分(図1において斜線を付した部分)の面積であり、これが高温ピークの熱量(吸熱量)に対応する。尚、上記融解終了温度Tとは、高温ピークbの高温側におけるDSC曲線と高温側ベースラインとの交点をいう。また、高温ピークの熱量と固有ピークの熱量との総和は、前記直線(α−β)とDSC曲線とで囲まれた部分の面積に対応する熱量である。
尚、発泡粒子の固有ピークと高温ピークを上記の通り示差走査熱量測定装置によって測定するに際しては、発泡粒子1個当たりの重量が2mg未満の場合は、総重量が2mg〜10mgとなる複数個の発泡粒子をそのまま測定に使用すればよく、また、発泡粒子1個当たりの重量が2mg〜10mgの場合には、発泡粒子1個をそのまま測定に使用すればよく、また、発泡粒子1個当たりの重量が10mg超の場合には、1個の発泡粒子を、複数個に切断して得た重量が2〜10mgとなる切断試料1個を測定に使用すればよい。ただし、この切断試料は、1個の発泡粒子をカッター等を使用して切断されたものであるが、故意に発泡粒子の表層が多く含まれるなど、発泡粒子全体における表層と内部発泡層との割合が大きく変わるように試料を切り出して切断試料とすることは当然避けるべきである。切断試料の作製例としては発泡粒子1個当たりの重量が18mgの場合には、任意の方向に向けた発泡粒子を垂直方向の真中より水平に切断すれば2個のほぼ同じ形状の約9mgの切断試料が得られ、各切断試料は、当初から有する発泡粒子の表層と内部発泡層との割合は変わらない。このようにして得られた2個の切断試料の内の1個を上記の通り固有ピークと高温ピークの測定に使用すればよい。
【0035】
尚、この高温ピークbは、上記のようにして測定した第1回目のDSC曲線には認められるが、第1回目のDSC曲線を得た後、220℃から直ちに10℃/分で40℃まで降温し、再び10℃/分で220℃まで昇温した時に得られる第2回目のDSC曲線には認められず、図2に示されるような基材樹脂固有の融解熱に由来する固有ピークaのみが認められる。よって、高温ピークと固有ピークとの判別は第1回目のDSC曲線と第2回目のDSC曲線を比較することにより容易に行うことができ、第1回目のDSC曲線には現れ第2回目のDSC曲線には現れないピークが高温ピークであると判断できる。
また、発泡粒子の第1回目のDSC曲線に現れる固有ピークaの頂点の温度は、基材樹脂の融点(Tm)を基準とすると、通常、[Tm−5℃]〜[Tm+5℃]の範囲に現れる(最も一般的には[Tm−4℃]〜[Tm+4℃]の範囲に現れる)。また、発泡粒子の第1回目のDSC曲線に現れる高温ピークbの頂点の温度は、基材樹脂の融点(Tm)を基準とすると、通常、[Tm+5℃]〜[Tm+15℃]の範囲に現れる(最も一般的には[Tm+6℃]〜[Tm+14℃]の範囲に現れる)。また、発泡粒子の第2回目のDSC曲線に認められる固有ピークaの頂点の温度は、基材樹脂の融点(Tm)に相当する温度である。
【0036】
EPP粒子は、前記の通り、DSC測定において、1回目のDSC曲線に高温ピークが出現する結晶構造を有するものが好ましいが、この高温ピークの熱量は樹脂の融点と発泡温度の差に強く影響される。
EPP粒子の高温ピーク熱量は特にEPP粒子相互の融着に関して最低融着温度を決定する因子として作用する。ここでいう最低融着温度とは、EPP粒子相互が型内で融着するために必要な最低の飽和スチーム圧力を与える温度を意味する。高温ピーク熱量は、この最低融着温度と密接な関係にあり、全く同一の基材樹脂を用いた場合、高温ピーク熱量値が小さい方が高温ピーク熱量値が大きいときよりも最低融着温度が低くなるといった傾向がある。この高温ピーク熱量の値にはEPP粒子の製造段階で樹脂に与える発泡温度の高低が強く影響しており、同一の基材樹脂を用いた場合、発泡温度が高い方が低い場合より高温ピーク熱量値が小さくなる傾向がある。
【0037】
ところが、高温ピーク熱量が小さいEPP粒子を用いてEPP成形体を得る場合、最低融着温度は相対的に低い傾向があるものの、EPP成形体の圧縮強度(剛性)等の強度物性等が相対的に低下する傾向がある。一方で、高温ピーク熱量が大きい発泡粒子を用いてEPP成形体を得る場合、EPP成形体の圧縮強度等の強度物性等が相対的に高い傾向があるが最低融着温度が相対的に高くなり、前述のようにEPP成形体を製造する際に高い圧力のスチームを必要とする場合が生じるといった問題が発生する。即ち、最も好ましい発泡粒子は最低融着温度が低く且つEPP成形体の圧縮強度等の強度物性等が相対的に高いといった相反する性質を同時に有する発泡粒子である。本発明で得られる発泡粒子は最低融着温度が効果的に低下されたものであり、この発泡粒子を用いて発泡粒子成形体を製造する場合には、圧縮強度等の機械的物性において優れた強度を有する成形体を得ることができる。
【0038】
DSC曲線における高温ピークを有する発泡粒子は、例えば、密閉容器内で分散媒体に表面改質樹脂粒子を分散させて加熱する際に、表面改質樹脂粒子を構成する基材樹脂の融解終了温度(Te)以上に昇温することなく、基材樹脂の融点(Tm)より20℃低い温度以上、融解終了温度(Te)未満の範囲内の任意の温度(Ta)で止めてその温度(Ta)で十分な時間、好ましくは10〜60分程度保持し、その後、融点(Tm)より15℃低い温度から融解終了温度(Te)+10℃の範囲の任意の温度(Tb)に調節し、その温度で止め、必要により当該温度でさらに十分な時間、好ましくは10〜60分程度、保持してから表面改質樹脂粒子を密閉容器内から低圧下に放出して発泡させる方法により得ることができる。
尚、上記融点(Tm)とは、樹脂粒子2〜10mgを試料として用いて前述の如き発泡粒子のDSC曲線を得るのと同様の方法で樹脂粒子に対して熱流束示差走査熱量測定を行い、これによって得られた2回目のDSC曲線(その一例を図2に示す)に認められる固有ピークaの頂点の温度であり、融解終了温度(Te)とは、該固有の吸熱ピークaの高温側におけるDSC曲線と高温側ベースライン(BL)との交点(β)に対応する温度を言う。
樹脂粒子に対する2回目のDSC曲線に現れる固有ピークは、それがポリプロピレン系樹脂の融解に基づくピークであることを前提として、通常は1つの吸熱ピークとなって現れる。ただし、2以上のポリプロピレン系樹脂の混合物からなる場合等には、まれに2以上の吸熱ピークが認められることがある。その場合には、全ての吸熱ピークの総称が固有ピークであり、各ピークの頂点を通ると共にグラフの縦軸と平行な(横軸と直交する)直線をそれぞれ引き、各直線においてピークの頂点からベースラインBLまでの長さを測定し、その長さが最も長い直線を示すピークの頂点を上記Tmとする。ただし、最も長い直線を示すピークが2以上存在する場合には、最も高温側のピークの頂点を上記Tmとする。ただし、同程度の長い直線が2以上存在し最も長い直線を特定できない場合には、最も高温側のピークの頂点を上記Tmとする。
【0039】
また、発泡粒子における上記高温ピークの熱量の大小は、主として、発泡粒子を製造する際の樹脂粒子に対する上記温度Taと該温度における保持時間および上記温度Tbと該温度における保持時間ならびに昇温速度に依存する。発泡粒子の上記高温ピークの熱量は、温度TaまたはTbが上記温度範囲内において低い程、保持時間が長い程、大きくなる傾向を示す。通常、加熱時の昇温速度(加熱開始から温度保持を開始するまでの間の平均昇温速度)は0.5〜5℃/分が採用される。これらの点を考慮して予備実験を繰り返すことにより、所望の高温ピーク熱量を示す発泡粒子の製造条件を容易に知ることができる。
【0040】
尚、以上で説明した温度範囲は、発泡剤として無機系物理発泡剤を使用した場合の適切な温度範囲である。有機系物理発泡剤が併用された場合には、その種類や使用量に応じてその適切な温度範囲は上記温度範囲よりもそれぞれ低温側にシフトする傾向にある。
【0041】
以上のようにして、有機過酸化物を分解させて樹脂粒子表面を改質した表面改質樹脂粒子から得られた低温のスチームで成形可能なEPP粒子は、次のような構造的特異性を有していることが測定結果より判明している。
【0042】
発泡粒子のDSC測定の結果、本発明の方法で得られた発泡粒子は、従来法により得られた発泡粒子とは異なる傾向を示す。発泡粒子の表層と表層を含まない内部発泡層に分割して融点を測定したところ、従来の発泡粒子は発泡粒子の表層の融点(Tms)の方が内部発泡層の融点(Tmi)に比較して低くなることはないのに対して、本発明の方法で得られた発泡粒子は表層の融点(Tms)の方が内部発泡層の融点(Tmi)よりもより低くなっていることが観察された。本発明では、TmsはTmiよりも0.05℃以上低いことが好ましく、0.1℃以上低いことがより好ましく、0.3℃以上低いことが更に好ましい。Tmsの下限値は概ねTmiよりも2℃低い温度である。
【0043】
発泡粒子の表層の融点(Tms)は、発泡粒子の表層を切り出し、2〜4mg集めこれを試料とする以外は上記した発泡粒子の高温ピーク熱量の測定と同じ操作を行なって得た第2回目のDSC曲線の固有ピークaの頂点の温度を意味する。また、発泡粒子の内部発泡層の融点(Tmi)は、表層を含まないように発泡粒子の内部から切り出し、2〜4mg集めこれを試料とする以外上記した発泡粒子の高温ピーク熱量の測定と同じ操作を行なって得た第2回目のDSC曲線の固有ピークaの頂点の温度を意味する。
【0044】
また、発泡粒子の表層と表層を含まない内部発泡層に分割して高温ピーク熱量を測定したところ、従来の発泡粒子は発泡粒子の表層の高温ピーク熱量(ΔHs)と内部発泡層の高温ピークの熱量(ΔHi)との関係が、ΔHs≧ΔHi×0.87となる性質があったのに対して、本発明の発泡粒子では、ΔHs<ΔHi×0.86であることが観察された。本発明の発泡粒子では、ΔHs<ΔHi×0.86であることが好ましく、ΔHs<ΔHi×0.80であることがより好ましく、ΔHs<ΔHi×0.75であることが更に好ましく、ΔHs<ΔHi×0.70であることが特に好ましく、ΔHs<ΔHi×0.60であることが最も好ましい。尚、ΔHsは、ΔHs>ΔHi×0.25であることが好ましい。ΔHs<ΔHi×0.86であることにより、表面改質されていない発泡粒子よりも低温で型内成形が可能となり、ΔHs値が小さくなるほどその効果は大きい。尚、ΔHsは、5J/g〜60J/gであることが好ましく、10J/g〜50J/gであることがより好ましく、10J/g〜45J/gであることが更に好ましく、15J/g〜40J/gであることが最も好ましい。
【0045】
発泡粒子の表層の高温ピーク熱量は、発泡粒子の表層を切り出し、2〜4mg集めこれを試料とする以外は前記した発泡粒子の全体の高温ピーク熱量の測定と同じ操作を行なって求めることができる。また、発泡粒子の内部発泡層の高温ピーク熱量は、表層を含まないように発泡粒子の内部から切り出し、2〜4mg集めこれを試料とする以外は前記した発泡粒子の全体の高温ピーク熱量の測定と同じ操作を行なって求めることができる。
【0046】
上記の発泡粒子の表層と表層を含まない内部発泡層に分割して融点及び高温ピーク熱量を測定する方法は次の通りである。
発泡粒子の表層は、表層をカッターナイフ、ミクロトーム等を用いてスライスして表層を集めて測定に供すればよい。但し、スライスされた発泡粒子の表層の表面の全面には発泡粒子の表面を必ず存在させるが、スライスされた発泡粒子の表層の裏面においては、発泡粒子の表面から発泡粒子の重心に向って200μmを越える部分が含まれないように、発泡粒子表面の無作為に選んだ1箇所又は複数箇所からスライスされる。スライスされた発泡粒子の表層の裏面において、発泡粒子の表面から発泡粒子の重心に向って200μmを越える部分が含まれるようになると、改質されていない内部発泡層を多量に含有することとなり表層の融点及び高温ピーク熱量を正確に測定できない虞がある。尚、1個の発泡粒子から得られる表層が2〜4mgに満たない場合は複数個の発泡粒子を使用して上記操作を繰り返して必要量の表層を集めればよい。
一方、発泡粒子の表層を含まない内部発泡層は、発泡粒子の表面と、発泡粒子の表面から発泡粒子の重心部に向かって200μmとの間の部分が含まれないように発泡粒子の全面から表層を切除したものを使用して融点及び高温ピーク熱量の測定に供すればよい。ただし、発泡粒子の大きさが小さすぎて上記の表面から200μmの部分を切除すると内部発泡層がなくなってしまう場合には、発泡粒子の表面と、発泡粒子の表面から発泡粒子の重心部に向かって100μmとの間の部分が含まれないように発泡粒子の全面から表層を切除したものが内部発泡層として使用され、更にそれでも内部発泡層がなくなってしまう場合には、発泡粒子の表面と、発泡粒子の表面から発泡粒子の重心部に向かって50μmとの間の部分が含まれないように発泡粒子の全面から表層を切除したものが内部発泡層として使用される。尚、1個の発泡粒子から得られる内部発泡層が2〜4mgに満たない場合は複数個の発泡粒子を使用して上記操作を繰り返して必要量の内部発泡層を集めればよい。
【0047】
また、本発明の表面改質された発泡粒子と従来の方法で得た表面改質されていない発泡粒子の各発泡粒子表面に対し、ティ・エイ・インスツルメント・ジャパン社のマイクロ熱分析システム「2990型マイクロサーマルアナライザー」を使用し、25℃から200℃まで昇温速度10℃/秒の条件にて、マイクロ示差熱分析(μDTA)を行なったところ、本発明の表面改質された発泡粒子の表面のμDTAに基づく融解開始温度(請求項2でいう融解開始温度のこと)は、発泡粒子の第2回目のDSC曲線から求められる基材樹脂の融点以下の温度であるのに対し、従来の方法で得た表面改質されていない発泡粒子の表面の該融解開始温度は、該基材樹脂の融点よりも5℃以上高い温度であることが判明した。尚、ここでいう融解開始温度とは、図3に示す上記μDTAに基づくμDTA曲線におけるベースライン(BL)からμDTA曲線が下方に変化し始めた(時間あたりの比熱が変化し始めた)温度を意味する。
【0048】
発泡粒子の型内成形においては、発泡粒子相互の融着は発泡粒子表面同士で行なわれるため、発泡粒子の表面のみを熱分析する意義は大きい。発泡粒子の表面のみの融解開始の傾向をDSC法で知ることは不可能と思われる。それを可能にするのがμDTAである。また、μDTAで昇温速度を1秒あたり10℃としているが、この速度は、実際の型内成形に際して発泡粒子を加熱する際の昇温速度に近いものである(このような速い昇温速度はDSC法では困難である)。従って、このような実際の型内成形に近似した昇温速度で分析する意義は大きい。このような理由から本発明では、発泡粒子表面に対するマイクロ示差熱分析(μDTA)を採用した。この測定に基づく上記融解開始温度は、厳密な意味での融解開始の温度を示していないかもしれないが、上記融解開始温度の温度の高低の傾向と成形温度の高低の傾向とはよく一致している。
図3において、曲線Cmが表面改質された発泡粒子に基づくものであり、曲線Cm上のPm点がその融解開始温度であり、一方、Cnmが従来の方法で得た表面改質されていない発泡粒子発泡粒子に基づくものであり、曲線Cnm上のPnm点がその融解開始温度である。また、上記マイクロ示差熱分析は、発泡粒子を装置のサンプルステージに固定し(1個の発泡粒子がそのままでは大きすぎる場合は例えば半分に切断する等して適当な大きさにして固定する)、次いで、発泡粒子の表面において無作為に選択した箇所に向けて、プローブチップセンター(発泡粒子表面に接触させる部分は縦横各0.2μmの先端部を持つ)を下降させて発泡粒子表面に接触させた状態で実施される。
前記マイクロ示差熱分析による発泡粒子表面の融解開始温度は、異なる測定点10点の測定結果より、最大値と最小値を除く8点の相加平均値が採用される。尚、最大値と最小値がそれぞれ複数ある場合はそれらを除く数点の相加平均値が採用される。また、平均10点の測定値が全て同じ場合や、最大値と最小値の値しか得られなかった場合であって最大値と最小値の差が10℃以内の場合には、10点の相加平均値が採用される。尚、最大値と最小値の値しか得られなかった場合であって最大値と最小値の差が10℃を超える場合には更に異なる表面の10点に対し測定して上記したと同じ要領で相加平均値を求め、それを採用すればよい。それでも条件に合わない場合には更に同じ操作を繰り返す。
以上のμDTAによる結果は、発泡粒子表面の融解開始温度の低下が、成形時に必要な最低融着温度の低下に寄与していることを示している。低温のスチームで成形可能な発泡粒子は、上記測定に基づく発泡粒子表面の融解開始温度が基材樹脂の融点(Tm)以下であるが、[Tm−5℃]以下であることが好ましく、[Tm−10℃]以下であることがより好ましく、[Tm−15℃]〜[Tm−50℃]であることが最も好ましい。また、このような最低融着温度の低下は、基材樹脂の融点が150℃以上、更に158℃以上であり、且つ高温ピークを持つEPP粒子の場合に特に有効である。発泡粒子表面の融解開始温度が低いほど成形時に必要な最低融着温度の低下への寄与度が大きくなるが、その融解開始温度があまりにも低くなりすぎると、EPP成形体の使用条件によっては得られる成形体の圧縮強度等の機械的物性等の低下につながる虞がある。
【0049】
また、発泡粒子のメルトフローレイト(MFR)を測定したところ、本発明の発泡粒子のMFRの値は表面改質される前の樹脂粒子のMFRの値と同じかそれよりも大きな値を示すことが観察された。本発明では、発泡粒子のMFRの値は表面改質される前の樹脂粒子のMFRの値の1.2倍以上とすることが好ましく、1.5倍以上とすることがより好ましく、1.8〜3.5倍とすることが最も好ましい。尚、発泡粒子のMFRの値は、EPP成形体の耐熱性及び発泡粒子製造時の発泡効率を考慮すると、0.5〜150g/10分となるようにすることが好ましく、1〜100g/10分となるようにすることがより好ましく、10〜80g/10分となるようにすることが更に好ましい。
【0050】
上記発泡粒子のMFRとは、発泡粒子を200℃に温度調節した加熱プレス盤で厚さ0.2mmから1mmのプレスシートに調製し、該シートから1個当たり0.25cm3以下のペレット状或いは棒状試料とし、その試料を使って前記プロピレン系樹脂のMFRの測定と同様の方法で測定を行った値である。尚、発泡粒子のMFRを測定する上で上記試料には気泡等の混入は正確な測定値を得るために避ける必要がある。気泡の混入がどうしても避けられない場合には、同一サンプルを繰り返し3回までの範囲で加熱プレス盤による脱泡を目的としたプレスシートの調製を行うことができる。
【0051】
更に、本発明の発泡粒子は、特に酸素ラジカルを発生する有機過酸化物を用いた場合、有機過酸化物の付加作用により若干量の酸素を含有する改質表面を形成する。このことは、本発明の方法で得た発泡粒子の表面と、それから製造されたEPP成形体の表面の分析から明らかとなっている。具体的には、本発明の発泡粒子から製造されたEPP成形体の表面(即ち発泡粒子の表面と実質的に同じ)と、従来の表面改質されていない発泡粒子から製造されたEPP成形体の表面のそれぞれをATR測定(全反射吸収測定法)で比較した結果、本発明の発泡粒子から製造されたEPP成形体の表面には、新たに1033cm-1付近の吸収に差のあることを確認しており、酸素単体あるいは酸素を含有した官能基の付加あるいは挿入等の変化があったことが認められた。具体的には、1166cm-1の吸収における両ピーク高さ(本発明の発泡粒子からの成形体に対する吸収ピーク高さと従来の表面改質されていない発泡粒子からの成形体に対する吸収ピーク高さ)を同じとしたときに、本発明の発泡粒子からの成形体表面の1033cm-1付近の吸収ピークの高さは、従来の該成形体表面の1033cm-1付近の吸収ピークの高さに比べ高くなっている。更に発泡粒子の表面観察としてEDS(エネルギー分散形分析装置)による元素分析を行った結果、酸素と炭素の比に関し、本発明の発泡粒子の場合、0.2(mol/mol)であったのに対し、従来の表面改質されていない発泡粒子の場合、0.09(mol/mol)であった。
以上のことから、有機過酸化物の付加作用により若干量の酸素を含有する改質表面を形成しているのは明白である。このような改質表面の形成は成形の際スチームの透過性を有利にすると考えられる。本発明の発泡粒子は、上記酸素を含有する改質表面又は/及び上記融点の逆転現象又は/及び上記発泡粒子の表層の高温ピーク熱量の低下又は/及び上記発泡粒子表面の融解開始温度の低下により、その最低融着温度は大きく低減されているものと推測される。尚、この様な観点から、本発明においては、EDSにおける発泡粒子表面におけるその酸素と炭素の比は0.15以上であることが好ましい。
【0052】
上記した方法によって得られるEPP粒子は、大気圧下で熟成した後、必要に応じて気泡内部の圧力を高めてから、水蒸気や熱風を用いて加熱することによって、より高発泡倍率の発泡粒子とすることが可能である。
【0053】
EPP成形体は、EPP粒子を、型内での加熱成形に先立って必要に応じて気泡内部の圧力を高めてから、加熱及び冷却が可能であってかつ開閉し密閉できる型内に充填し、飽和スチームを供給して型内でEPP粒子同士を加熱して膨張させて融着させ、次いで冷却して型内から取り出すバッチ式成形法を採用して製造することができる。当該バッチ式成形法で使用される成形機としては、既に数多くの成形機が世界中に存在し、国によって多少異なるものの、その耐圧は、0.41MPa(G)又は0.45MPa(G)のものが多い。従って、EPP粒子同士を膨張させて融着させる際の飽和スチームの圧力は、0.45MPa(G)以下であることが好ましく、0.41MPa(G)以下であることがより好ましい。
また、EPP成形体は、EPP粒子を、型内での加熱成形に先立って必要に応じて気泡内部の圧力を高めてから、通路内の上下に沿って連続的に移動するベルト間に連続的に供給し、飽和スチーム供給領域(加熱領域)を通過する際にEPP粒子同士を膨張融着させ、その後冷却領域を通過させて冷却し、次いで得られた成形体を通路内から取り出し、適宜の長さに順次切断する連続式成形法(例えば特開平9−104026号、特開平9−104027号及び特開平10−180888号等に記載される成形方法)により製造することもできる。この方法では通路内が型内ということになる。
尚、EPP粒子の気泡内部の圧力を高める場合には、密閉容器に発泡粒子を入れ、該容器内に加圧気体を供給した状態で適当な時間放置して発泡粒子内に加圧気体を浸透させればよい。加圧供給される気体は必要とされる圧力下で液化、固化しないガスが主成分であれば問題なく使用できるが、さらに窒素、酸素、空気、二酸化炭素、アルゴンの群から選択される1又は2以上の無機ガスを主成分とするものが特に好適に使用され、さらにその中でも環境負荷やコストなどを考慮すると、窒素や空気が好ましい。
【0054】
気泡内部の圧力が高められた発泡粒子の内部圧力P(MPa)は、次の操作により測定される。尚、ここでは、空気を使用してEPP粒子の内部圧力を高めた例を示す。
まず、成形に使用されるEPP粒子は、密閉容器に入れられ、該容器内に加圧空気を(通常は容器内の空気圧がゲージ圧で0.02〜1.0MPaの範囲を維持するように)供給した状態で適当な時間放置してEPP粒子内に空気を浸透させることによりEPP粒子の内部圧力が高められる。充分に内部圧力が高められたEPP粒子は、成形機の金型内に供給される。EPP粒子の内部圧力は型内成形直前のEPP粒子の一部(以下、発泡粒子群という。)を使用して、次の操作を行うことによって求められる。
【0055】
内部圧力が高められた型内成形直前の発泡粒子群を加圧タンク内から取り出してから60秒以内に、発泡粒子は通過させないが空気は自由に通過できるサイズの針穴を多数穿設した70mm×100mm程度のポリエチレン製袋の中に収容して気温23℃、相対湿度50%の大気圧下の恒温室に移動する。続いてその恒温室内の秤に載せて重量を読み取る。その重量の測定は、上記した発泡粒子群を加圧タンク内から取出してから120秒後とする。このときの重量をQ(g)とする。続いてその袋を同恒温室に96時間放置する。発泡粒子内の加圧空気は時間の経過と共に気泡膜を透過して外部に抜け出すため発泡粒子群の重量はそれに伴って減少し、96時間後では平衡に達しているため実質的にその重量は安定する。上記96時間後に再度その袋の重量を測定し、このときの重量をU(g)とする。続いて直ちに同恒温室内にて袋から発泡粒子群の全てを取り出して袋のみの重量を読み取る。その重量をZ(g)とする。上記のいずれの重量も0.0001gまで読み取るものとする。Q(g)とU(g)の差を増加空気量W(g)とし、次式より発泡粒子の内部圧力P(MPa)が計算される。尚、この内部圧力Pはゲージ圧に相当する。
P=(W÷M)×R×T÷V
【0056】
ただし、上式中、Mは空気の分子量であり、ここでは28.8(g/モル)の定数を採用する。Rは気体定数であり、ここでは0.0083(MPa・L/(K・mol))の定数を採用する。Tは絶対温度を意味し、23℃の雰囲気が採用されているので、ここでは296(K)の定数である。V(L)は発泡粒子群の見かけ体積から発泡粒子群中に占める基材樹脂の体積を差し引いた体積を意味する。尚、上記Vは次式により求められる。
V(L)={発泡粒子群重量(g)/発泡粒子基材樹脂密度(g/cm3)}×{発泡粒子基材樹脂密度(g/cm3)/発泡粒子群の見かけ密度(g/cm3)−1}×10-3
【0057】
尚、発泡粒子群の見かけ密度(g/cm3)は、上記発泡粒子群重量(U(g)とZ(g)との差)を発泡粒子群の見かけ体積Y(cm3)で除すことにより求められる。また、発泡粒子群の見かけ体積Y(cm3)は、96時間後に袋から取り出された発泡粒子群の全量を直ちに同恒温室内にて23℃の水100cm3が収容されたメスシリンダー内の水に水没させて求められる。尚、以上の測定においては、上記発泡粒子群重量(U(g)とZ(g)との差)が0.5000〜10.0000gで、かつ体積Yが50〜90cm3となる量の複数個の発泡粒子群が使用される。
【0058】
EPP粒子の気泡内の上記内部圧力は、ゲージ圧で0.005〜0.98MPa(G)が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.69MPa(G)、最も好ましくは0.03〜0.49MPa(G)である。
前記気泡内部圧力が小さくなりすぎると成形時の二次発泡力が不足し、それを補うために成形時に金型内に導入するの飽和スチーム圧を高めにするか、又は金型を完全に閉鎖せずに隙間を開けた状態で充填し、次いで完全に型締めしてEPP粒子を圧縮する方法が必要となる。二次発泡力を向上させるために金型内に導入する飽和スチーム圧を上昇させることは、前述の成形機の耐圧限界から制限され、該EPP発泡粒子が特徴とする低温成形の目的に合致しないためなるべく避けるべきである。また、EPP粒子を圧縮する方法では成形体内の場所ごとの密度のばらつきを誘発する虞がある。
一方、前記気泡内部圧力が大きくなりすぎると成形時の二次発泡力が過剰となり、成形体内部へ飽和スチームの浸透を阻害し、結果的に成形体中央部の加熱が不十分となり、EPP粒子同士の相互融着が不良となる。
また、該EPP粒子の特徴としては、プロピレン単独重合体等の剛性の高い基材樹脂からなるEPP粒子は高い圧縮応力物性を有することから、前記のEPP粒子の気泡内部の圧力を高める操作においても加圧雰囲気下でのEPP粒子の見かけ体積の減少が小さく、EPP粒子気泡内と外部雰囲気との圧力差を高めとすることが可能となり、結果として内部圧力付与に要する時間を短くできることが挙げられる。すなわち、現行設備を使用しても生産性が向上することとなり、工業的には見逃せない利点であると言える。
上記手法で製造されるEPP成形体の見かけ密度は目的によって任意に選定できるが、通常は9g/L〜600g/L、好ましくは15g/L〜600g/L、更に好ましくは20g/L〜600g/L、の範囲である。EPP成形体の見かけ密度とは、JIS K 7222(1999年)でいう見掛け全体密度のことである。ただし、見掛け全体密度の計算に用いられる成形体の体積は、外寸から計算される体積を採用するが、形状が複雑で外寸からの計算が困難である場合には、成形体を水没させた際の排除体積が採用される。
【0059】
また、本発明のEPP成形体にはその表面の少なくとも一部に、表面装飾材を積層一体化することができる。そのようなラミネート複合タイプのEPP成形体の製造方法は、米国特許第5928776号、米国特許第6096417号、米国特許第6033770号、米国特許第5474841号、ヨーロッパ特許477476号、WO98/34770号、WO98/00287号、日本特許第3092227号等の各公報に詳細に記載されている。
また、本発明のEPP成形体中には、インサート材の全部または一部が埋設されるようにして該インサート材を複合一体化することができる。そのようなインサート複合タイプのEPP成形体の製造方法は、米国特許第6033770号、米国特許第5474841号、日本公開特許昭59−127714号、日本特許第3092227号等の各公報に詳細に記載されている。
【0060】
以上のようにして製造されるEPP成形体は、ASTM−D2856−70の手順Cに基づく連続気泡率が40%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、15%以下であることが最も好ましい。連続気泡率が小さい成形体ほど、機械的強度に優れる。
【0061】
【実施例】
以下に本発明について実施例および比較例を挙げ説明する。
【0062】
実施例1〜5、比較例1〜6
表1に示されるポリプロピレン系樹脂100重量部当り、表2に示されるヒンダードアミン系化合物を表6に示す量、表5に示される酸化防止剤を表6に示す量、必要に応じて表3に示す紫外線吸収剤を表6に示す量及びホウ酸亜鉛粉末(気泡調整剤)0.05重量部を添加して押出機内で溶融混練した後、押出機からストランド状に押出し、そのストランドを直ちに18℃に調節された水中に入れて急冷しながら引き取り、充分に冷却した後、水中から引き上げ、長さ/直径比が1.0になるようにストランドを切断して、1粒子当りの平均重量が2mgの樹脂粒子を得た。
次いで5リットルのオートクレーブに、上記樹脂粒子100重量部、イオン交換水300重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)0.004重量部とカオリン(分散剤)0.3重量部、硫酸アルミニウム0.01重量部、表4に示される有機過酸化物を表6に示す量及び炭酸ガス(発泡剤)を表6に示す量仕込み、攪拌しながら表6に示す発泡温度よりも5℃低い温度まで昇温して(昇温速度2℃/分)からその温度で15分間保持した。次いで、発泡温度まで昇温して(昇温速度1.5℃/分)同温度で15分間保持した。次いで、オートクレーブの一端を開放してオートクレーブ内容物を大気圧下に放出して発泡粒子を得た。尚、樹脂粒子をオートクレーブから放出する間のオートクレーブ内の圧力が、放出直前のオートクレーブ内の圧力に保たれるように、オートクレーブ内に窒素ガスを供給しながら放出を行った。得られた発泡粒子を水洗し遠心分離機にかけたのち、温度23℃の大気圧下に48時間放置して養生した。養生後の発泡粒子の高温ピーク熱量、表層及び内部発泡層の各高温ピーク熱量、発泡粒子のMFR、発泡粒子の見かけ密度等を測定し、その結果を表6に示した。尚、得られた発泡粒子の沸騰キシレン不溶分の含有率は0重量%であった。
次いで、この発泡粒子を、耐圧容器内の加圧空気下に置いて発泡粒子の気泡内部圧力を高めた後、表6に示す気泡内部圧力の発泡粒子を250mm×200mm×50mmの成形空間を持つ金型内に、金型を完全に閉鎖せずに僅かな隙間(約1mm)を開けた状態で(成形空間50mmの方向が51mmの状態で)充填し、次いで完全に型締めした後、スチームで金型内の空気を排気し、その後所定の飽和スチーム圧力によって成形した。成形後金型内の成形体の面圧が0.059MPa(G)となるまで水冷した後成形体を型から取り出し、60℃で24時間乾燥した後、室温(23℃)まで冷却した。引き続いてその部屋で14日間成形体を養生した。尚、本例では、0.15MPa(G)〜0.55MPa(G)まで成形毎に0.01MPaづつ飽和スチーム圧を高めて繰り返し成形体を製造する操作を行なったが、この際の各飽和スチーム圧が上記所定の飽和スチーム圧力である。
【0063】
【表1】
Figure 0004197261
【0064】
【表2】
Figure 0004197261
【0065】
【表3】
Figure 0004197261
【0066】
尚、表2中のヒ1及びヒ3で示されるヒンダードアミン系化合物、表3中の紫1で示される紫外線吸収剤の数平均分子量(ポリスチレン換算値)は、ヒンダードアミン系化合物又は紫外線吸収剤10mgをテトラヒドロフラン/アセトニトリル/10mM酢酸混合溶液に10mlに溶解させ、これを分別カラムを通して分子量を測定するゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求めた。詳しくは、分子量は島津製作所社製GPC−LC3A型と島津製作所社製示差屈折計検出機RID−4型を使用し、カラムShim-pack CLC-ODS(直径6.0mm、長さ150mm)、カラム温度45℃、流量1ml/分の測定条件にて測定した。
【0067】
【表4】
Figure 0004197261
【0068】
【表5】
Figure 0004197261
【0069】
【表6】
Figure 0004197261
【0070】
尚、表6中の最低融着温度とは、250mm×200mm×50mmの金型で上記の通り成形した養生後の成形体を使用して、該成形体の一方の250mm×200mmの面に、カッターナイフで該成形体を二等分するように長手方向に亘って、深さ(成形体の厚み方向)10mmの切り込みを入れた後、手で切り込み部から成形体を折り曲げて破断するテストにより、破断面に存在する発泡粒子の個数(n)と材料破壊した発泡粒子の個数(b)の比(b/n)の値が初めて0.50以上となったときの成形に要した飽和スチーム圧力を意味する。比較例1及び比較例3では、一般的な成形機の耐圧である0.45MPa(G)の飽和スチーム圧力では、(b/n)の値は、いずれも0という結果であり、0.50には至らなかった。尚、上記発泡粒子の個数(n)は、発泡粒子間で剥離した発泡粒子の個数と、発泡粒子内で材料破壊した発泡粒子の個数(b)との総和である。
また、表6中の圧縮強度とは、上記最低融着温度で得られた養生後の成形体から縦50mm、横50mm、厚み25mm、となるように切断して得られた試験片(全面の表皮がカットされたもの)を使用し、JIS Z 0234−1976 A法に従って試験片温度23℃、荷重速度10mm/分の条件で歪が55%に至るまで圧縮試験を行い、得られた応力−歪線図より50%歪時の応力を読みとり、圧縮強度を算出した。また、表1中のガラス転移温度、融点及び表6中の発泡粒子の各高温ピークの熱量は、株式会社島津製作所の島津熱流束示差走査熱量計「DSC−50」を使用して測定した。
【0071】
表6中の耐候性は以下のようにして測定されたもので、その評価基準は次の通りである。
(耐候性テスト)
スガ試験機株式会社製、強エネルギーキセノンウエザーメーターSC750−WN(光源:キセノンロングライフアークランプ,放射照度90W/m2)を使用してJIS D0205に準拠して200時間試験を行った。
○:表面をこすっても樹脂粉が発生しない。
×:表面をこすると樹脂粉が発生する。
【0072】
表6中の耐熱性は以下のようにして測定されたもので、その評価基準は次の通りである。
(耐熱性テスト)
成形体を150℃のギアオーブン中で22時間加熱して表面の劣化を評価した。
○:表面をこすっても樹脂粉が発生しない。
×:表面をこすると樹脂粉が発生する。
尚、表6中の発泡粒子の見かけ密度(g/L)は、発泡粒子の重量を発泡粒子の見かけ体積で除すことにより計算したものである。具体的には、養生後に、無作為に選んだ複数個の発泡粒子の重量(g)を測定し、次いで、23℃の水が収容されたメスシリンダー内の水に水没させたときの排除体積を発泡粒子の見かけ体積(cm3)としその値を読み取りこれをリットル単位に換算して、発泡粒子の重量(g)を発泡粒子の見かけ体積(L)にて割り算することにより見かけ密度(g/L)を求めた。
また、表6中の成形体の見かけ密度(g/L)は、発泡粒子成形体の重量をその成形体の見かけ体積で除すことにより計算したものである。具体的には、養生後に、発泡成形体から直方体の試験片を切り出し試験片の重量(g)を測定し、次いで、その試験片の外形寸法から試験片の見かけ体積(cm3)を算出しこれをリットル単位に換算して、試験片の重量(g)を見かけ体積(L)にて割り算することにより見かけ密度(g/L)を求めた。
【0073】
以上の結果は、有機過酸化物が存在する分散媒体中にHALSを含有するポリプロピレン系樹脂粒子を分散させると共に、該ポリプロピレン系樹脂粒子の基材樹脂融点よりも低温であって且つ該有機過酸化物が実質的に分解する温度下で該有機過酸化物を分解させることによって該ポリプロピレン系樹脂粒子の表面を処理して無架橋の表層改質粒子を得る工程を行なうと、それから得られた発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂のリサイクル性を維持しながら成形温度が低減されること及び耐候性、耐熱性に優れていることを示している。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリプロピレン樹脂の環境的適性、リサイクル性を維持しながら成形温度を従来のものと比較して劇的に低減させた発泡粒子を提供することができ、この成形温度の低下はエネルギーの節減に大きく寄与する。また、成形温度の低下は、冷却時間を短縮し、その結果、成形サイクルを短縮することができ、生産性を向上させることができ、更に金型の耐久年数を長くすることにも繋がる。そして、本発明により得られる発泡粒子を成形してなる発泡粒子成形体は、十分な耐熱性及び耐候性を有するものとなる。
また、従来は、EPP成形体の高剛性等の高物性化のためには融点の高いポリプロピレン系樹脂を使用して得られた、高温ピーク熱量の高い発泡粒子を使用しなければならないため必然的に成形温度が汎用の成形機の耐圧を超えてしまうという問題があったが、本発明の発泡粒子では、融点の高いポリプロピレン系樹脂を使用して得られた、高温ピーク熱量の高い発泡粒子であっても、得られるEPP成形体の高剛性を維持したまま、従来よりも低温度のスチームで成形が可能となり、表面改質が充分であれば汎用の成形機の耐圧以内での成形も可能となる。従って、本発明の発泡粒子を使用すれば、従来よりも安価に高物性(高剛性)又は/及び軽量のEPP成形体を提供することが可能となる。
本発明のEPP成形体は、自動車のバンパー芯材として、あるいは自動車の側面からの衝撃を吸収させることを目的に自動車のドアにセットされる側部衝突用緩衝材として特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の、第1回目のDSC曲線のチャートの一例を示す図である。
【図2】図2は、ポリプロピレン系樹脂粒子又はポリプロピレン系樹脂発泡粒子の第2回目のDSC曲線のチャートの一例を示す図である。
【図3】図3は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の表面のμDTA曲線のチャートの一例を示す図である。

Claims (6)

  1. 有機過酸化物が存在する分散媒体中にポリプロピレン系樹脂粒子(ただし、ポリプロピレン系樹脂粒子中にビニル系単量体を含浸しているものを除く。)を分散させて分散体を形成し、該ポリプロピレン系樹脂粒子の基材樹脂の融点よりも低温であって且つ該有機過酸化物が分解する温度以上にて該有機過酸化物を分解させることによって得た表面改質樹脂粒子を発泡剤により発泡させてなり、かつ分子量が400〜10000のヒンダードアミン系化合物を0.01〜2重量%含有しているポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、該発泡粒子の表層及び内部発泡層の各々の示差走査熱量測定によるDSC曲線において基材樹脂固有の吸熱ピークよりも高温側に吸熱ピークが存在し、発泡粒子の表層の該高温側に存在する吸熱ピークの融解熱量(ΔHs)と発泡粒子の内部発泡層の該高温側に存在する吸熱ピークの融解熱量(ΔHi)とがΔHs<ΔHi×0.86の関係を満足することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  2. 有機過酸化物が存在する分散媒体中にポリプロピレン系樹脂粒子(ただし、ポリプロピレン系樹脂粒子中にビニル系単量体を含浸しているものを除く。)を分散させて分散体を形成し、該ポリプロピレン系樹脂粒子の基材樹脂の融点よりも低温であって且つ該有機過酸化物が分解する温度以上にて該有機過酸化物を分解させることによって得た表面改質樹脂粒子を発泡剤により発泡させてなり、かつ分子量が400〜10000のヒンダードアミン系化合物を0.01〜2重量%含有しているポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、該発泡粒子の表面におけるマイクロ示差熱分析(25℃から200℃まで昇温速度10℃/秒の条件)に基づく融解開始温度が基材樹脂の融点以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  3. 発泡粒子の示差走査熱量測定によるDSC曲線において基材樹脂固有の吸熱ピークよりも高温側に吸熱ピークが存在し、該高温側に存在する吸熱ピークの熱量が20〜70J/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  4. ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が融点150℃以上のポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とすることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の発泡粒子を型内に充填し加熱成形して得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体。
  6. 有機過酸化物が存在する分散媒体中に分子量が400〜10000のヒンダードアミン系化合物を含有するポリプロピレン系樹脂粒子(ただし、ポリプロピレン系樹脂粒子中にビニル系単量体を含浸しているものを除く。)を分散させて分散体を形成し、該ポリプロピレン系樹脂粒子の基材樹脂の融点よりも低温であって且つ該有機過酸化物が分解する温度以上にて該有機過酸化物を分解させることによって表面改質樹脂粒子を得る表面改質工程と、該表面改質樹脂粒子を発泡剤により発泡させて無架橋の発泡粒子を得る発泡工程とを含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
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