JP5161593B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する技術分野に属する。さらに詳しくは、たとえば型内発泡成形品の原料として良好に使用出来るポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する技術分野に属する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、水蒸気で加熱成形して得られる型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、軽量性、断熱性などの特徴を持つ。ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体はポリスチレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体に比べて、耐薬品性、耐熱性、圧縮後の歪回復率に優れており、またポリエチレン系樹脂発泡粒子を用いる型内発泡成形体と比べて、寸法精度、耐熱性、圧縮強度が優れている。これらの特徴により、ポリプロピレン系共重合体樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体は、断熱材、緩衝包装材、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材など様々な用途に用いられている。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体の機械的強度は大きいほうが望ましい。しかし、機械的強度が大きい樹脂は融点が高いことが多く、成形時に高温を要する。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の成形には通常スチームによる加熱が採用されるが、樹脂の融点が高くなると必要なスチーム温度が高くなり成形コストが高くなったり、成形時間も長くなるという問題がある。
また、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定によるDSC曲線において樹脂の融解熱に起因する吸熱ピークの高温側に、さらに吸熱ピークが発生するように2次結晶を形成することが提案されている。この方法によっても成形体の機械強度を改善できるが、やはり高温のスチームが必要とされる。
特許文献1には、有機過酸化物が存在する分散媒体中にポリプロピレン系樹脂粒子を分散させ、該有機過酸化物を分解させて該樹脂粒子の表面を改質する工程と、該粒子を発泡剤により発泡させる工程を含むポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法が記載されている。この方法によって、DSC曲線において樹脂の融解熱に起因する吸熱ピークの高温側に、さらに吸熱ピーク有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造すると、粒子表層部分における高温側吸熱ピークの熱量が粒子内部における高温側吸熱ピークの熱量よりも小さいポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造できることが開示されている。すなわち、特許文献1の製造方法においては、表層部分における高温側吸熱ピークの熱量を△Hs、内部における高温側吸熱ピークの熱量を△Hiとすれば、△Hs<△Hi×0.86となるような発泡粒子が製造されている。特許文献1には、このような発泡粒子を用いると、低温のスチームで発泡粒子間の融着が達成出来、高剛性の発泡成形体が得られることが開示されている。
しかし特許文献1に記載された方法でポリプロピレン系樹脂発泡粒子を作るためには、危険物である有機過酸化物を使用しなければならず、貯蔵上の安全性、衛生性に多大の配慮が必要であることに加えて、更に発泡工程の前に有機過酸化物を分解させる工程が必要なため工程が複雑になるという問題があった。
特開2002−167460号公報
本発明の目的は、過酸化物を使用しなくても、より低い成形温度でポリプロピレン系樹脂発泡粒子間の融着を達成出来、高い機械強度を有する型内発泡成形体を与えることができるポリプロピレン形樹脂発泡粒子の製造方法を提供することにある。
上記の目的は次の製造方法によって達成される。
すなわち、本発明は、
耐圧容器内でポリプロピレン系樹脂粒子を分散剤と共に分散媒に分散させ、発泡剤を含ませた分散物を、加圧下で所定の発泡温度まで加熱した後、該分散物を低圧域に放出して得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を加熱処理することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の加熱処理温度が、ポリプロピレン系樹脂の融点より10℃〜30℃高い温度であり、かつ、加熱処理時間が50秒以上105秒以下であり、
加熱処理後のポリプロピレン系樹脂発泡粒子が示差走査熱量分析において2つの吸熱ピークを有し、かつ、示差走査熱量分析によって得られる特性値Qf、Qtが次の式(1)及び(2)を満たすポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
Qf<20% (1)
Qf/Qt<90% (2)
ここで、Qtは得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定により求められるDSC曲線における、低温側吸熱ピーク吸熱量と高温側吸熱ピーク吸熱量の合計に対する高温側吸熱ピークの吸熱量の比(%)を表す。
また、Qfは得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面部の示差走査熱量測定により求められるDSC曲線における、低温側吸熱ピーク吸熱量と高温側吸熱ピーク吸熱量の合計に対する高温側吸熱ピーク吸熱量の比(%)を表す。なお、発泡粒子表面部とは、発泡粒子が球状の場合、球の中心線上で表面から直径の4分の1の距離にある2点において中心線に垂直な面によってポリプロピレン系樹脂発泡粒子を切断して得られる3つの切断片のうち、中心を含まない2つの切断片であり、他方、発泡粒子が球状でない場合、粒子の重心を通る最も長い線分(長径)において最外表面から長径の4分の1の距離にある2点における長径に垂直な面において粒子を切断して得られる3つの切断片のうち、重心を含まない2つの切断片(当該表面を含む2つの切断片)である。
本発明の製造方法によって得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて成形すると、より低い温度で成形することが可能で、且つ、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子間の融着が達成出来良好であり、高い機械強度を有する型内発泡成形体を製造することが可能である。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂とは、モノマーとしてプロピレンを80%以上含む樹脂をいう。ポリプロピレン系樹脂としてプロピレンの単独重合体や、他の共重合成分との共重合体を例示できる。他の共重合成分としては、エチレン;1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン;シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン;5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられ、これらを一種または二種以上使用することが出来る。
これらのうち、エチレン、1−ブテンを使用することが、耐寒脆性向上、安価という点で好ましい。これらの共重合成分を含んでなる共重合体としては、エチレン−プロピレン、プロピレン−ブテンなどの二元共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンなどの三元共重合体が挙げられ、また、ランダム共重合体、ブロック共重合体のどちらでも用いることができる。
特に汎用性の高い、エチレン−プロピレンランダム二元共重合体あるいはエチレン−プロピレン−ブテンランダム三元共重合体を用いることが好ましい。エチレン及び/又はブテン含量が2〜10重量%、さらには、3〜6重量%であるエチレン−プロピレンランダム共重合体あるいはエチレン−プロピレン−ブテンランダム三元共重合体が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂はチーグラー触媒を使用して得られた重合体であっても、メタロセン触媒を使用して得られた重合体であってもよい。樹脂コストの点からチーグラー触媒を使用して得られた重合体が好ましい。
これらのポリプロピレン系樹脂は、無架橋の状態が好ましいが、有機過酸化物や放射線等で処理することにより減成或いは架橋を行っても良い。また、2以上のポリプロピレン系樹脂を混合しても良い。
また、ポリプロピレン系樹脂の以外に、他の熱可塑性樹脂、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテン、アイオノマー等をポリプロプレン系樹脂の特性が失われない範囲で混合使用しても良い。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、5g/10分以上20g/10分以下であることが好ましく、さらに好ましくは7g/10分以上15g/10分以下である。MFRが当該範囲内であると型内発泡成形時の成形温度、成形時間のバランスが良く、良好な表面美麗性、特に型形状に薄肉部位がある場合の当該部位が良好な表面美麗性を得やすい傾向にある。メルトフローレートの測定は、JIS−K7210記載のMFR測定装置を用い、オリフィス2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ8.000±0.025mm、荷重2160g、230±0.2℃の条件下で行う。
またポリプロピレン系樹脂の融点は、130℃以上155℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは132℃以上152℃以下である。融点が当該範囲内であると、よく用いられている0.4MPa耐圧仕様の成形機でも良好な型内発泡成形体が得られる傾向にある。ポリプロピレン系樹脂融点は、示差走査熱量測定(DSC)において、試料4〜10mgを40℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温し、1分間温度を保持し、10℃/分の速度で40℃まで冷却し、再度200℃まで10℃/分の速度で昇温した際の2回目の昇温時のスペクトルに現れるピーク温度により示される値である。
上記のポリプロピレン系樹脂は、通常、予備発泡に利用されやすいようにあらかじめ押出機、ニーダー、バンバリミキサー、ロール等を用いて溶融し、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状等のような所望の粒子形状で、その粒子の平均粒重量が0.5〜3.0mg、好ましくは0.5〜2.0mg、更に好ましくは0.5〜1.5mgであるポリプロピレン系樹脂粒子に成形加工される。必要により加えられる添加剤は、通常、ポリプロピレン系樹脂粒子の製造過程において溶融した樹脂中に添加することが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂粒子の製造の際にセル造核剤を添加することが、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子とした時のセル径を所望の値に調整することが出来るため好ましい。セル造核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、硫酸バリウム等の無機系造核剤が一般に使用される。セル造核剤の添加量は、使用するポリプロピレン系樹脂の種類、セル造核剤の種類により異なり一概には規定できないが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、概ね0.001重量部以上2重量部以下であることが好ましい。
更に、ポリプロピレン系樹脂粒子の製造の際、必要により着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、リン系加工安定剤、ラクトン系加工安定剤、金属不活性剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤、難燃剤、難燃助剤、酸中和剤、結晶核剤、アミド系添加剤等の添加剤を、ポリプロピレン系樹脂の特性を損なわない範囲内で添加することができる。
前記ポリプロピレン系樹脂粒子は、耐圧容器内で分散剤と共に分散媒に分散させ、揮発性発泡剤及び/又は無機ガス発泡剤を含ませた分散物を、加圧下で所定の発泡温度まで加熱したのち、該水分散物を低圧域に放出することによってポリプロピレン系樹脂発泡粒子とする。具体的には、ポリプロピレン系樹脂粒子を耐圧容器内で分散媒に分散させ、発泡剤を添加した後、ポリプロピレン系樹脂粒子が軟化する温度以上、好ましくはポリプロピレン系樹脂粒子の融点−25℃以上ポリプロピレン系樹脂粒子の融点+25℃以下、更に好ましくはポリプロピレン系樹脂粒子の融点−15℃以上ポリプロピレン系樹脂粒子の融点+15℃以下の範囲の温度に加熱し、加圧して、ポリプロピレン系樹脂粒子内に発泡剤を含浸させる。この後、耐圧容器の一端を開放してポリプロピレン系樹脂粒子を耐圧容器内よりも低圧の雰囲気中に放出することによりポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する。
ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる耐圧容器には特に制限はなく、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよいが、例えばオートクレーブ型の耐圧容器があげられる。
前記分散媒としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン、水等が使用できるが、中でも水を使用することが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂粒子を分散媒に分散させるには際、ポリプロピレン系樹脂粒子同士の合着を防止するために、分散剤を使用する。分散剤として、例えば、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、クレー等の無機系分散剤が挙げられる。
また、分散剤と共に分散助剤を使用することが好ましい。分散助剤の例としては、N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩等のスルホン酸塩型;硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル型;アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンリン酸塩等のリン酸エステル型;等の陰イオン界面活性剤をあげることができる。また、マレイン酸共重合体塩、ポリアクリル酸塩等のポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタルスルホン酸ホルマリン縮合物塩などの多価陰イオン高分子界面活性剤も使用することができる。
中でも、分散助剤として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれた1種もしくは2種以上の混合物を用いるのが好ましく、アルキルスルホン酸塩を使用することがより好ましく、さらに好ましくは、疎水基として炭素数10〜18の直鎖状の炭素鎖を持つアルキルスルホン酸塩を使用することが、付着分散剤の低減効果がより高いため特に好ましい。
これらの中でも、分散剤として、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、カオリンから選ばれる1以上と分散助剤としてn−パラフィンスルホン酸ソーダを併用することが好ましい。
分散剤や分散助剤の使用量は、その種類や、用いるポリプロピレン系樹脂の種類と使用量によって異なるが、通常、分散媒100重量部に対して分散剤0.2〜3重量部を配合することが好ましく、分散助剤0.001〜0.1重量部を配合することが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂粒子は、分散媒中での分散性を良好なものにするために、通常、分散媒100重量部に対して、20〜100重量部使用するのが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造するに当たり、発泡剤の種類に特に制限はなく、例えば、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の脂肪族炭化水素;空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガス;水等およびそれらの混合物を用いることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、前記の方法によって得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子をポリプロピレン系樹脂の融点付近の温度において、短時間加熱処理することによって得ることができる。加熱処理温度はポリプロピレン系樹脂の融点より10℃〜30℃高い温度が好ましい。また、処理時間は加熱処理温度によって異なるが、30秒〜120秒が好ましく、50秒〜90秒がさらに好ましい。加熱処理は発泡粒子内部および表面の乾燥をかねてサイロ等の貯槽から、ポリプロピレン系樹脂の融点より10℃〜30℃高い温度の熱風で次のサイロに送る方法でもよい。
このような処理により、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面の2次結晶が消滅し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面の示差走査熱量測定により求められるDSC曲線における、低温側吸熱ピーク吸熱量と高温側吸熱ピーク吸熱量の合計に対する高温側吸熱ピーク吸熱量の比(以下、DSC比)がポリプロピレン系樹脂発泡粒子全体のDSC比より小さいポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られると考えられる。
本発明で得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、示差走査熱量分析により求められるDSC曲線において樹脂結晶の融解に基づく低温側吸熱ピークと2次結晶の融解に基づく高温側吸熱ピークの2つの吸熱ピークを有する。前記吸熱ピークのうち低温側吸熱ピーク熱量Qlと高温側吸熱ピーク熱量Qhの合計に対する高温側吸熱ピーク熱量の比率、Qt=Qh/(Ql+Qh)×100が13%以上50%以下であることが好ましく、より好ましくは18%以上40%以下の範囲である。DSC比が当該範囲であると、表面美麗性の高い型内発泡成形体が得られやすい。2次結晶を有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する際、発泡剤を添加した耐圧容器内のポリプロピレン樹脂粒子の加熱温度や加熱時間などを調整することにより得ることができる。
ここで、低温側吸熱ピーク熱量Qlは、図1に示すように低温側吸熱ピークと高温側吸熱ピークの間の極大点から融解開始温度付近のベースラインへ引いた接線と低温側吸熱ピークで囲まれる領域に相当する熱量である。また、高温側吸熱ピーク熱量Qhは、該極大点から融解終了温度付近のベースラインへ引いた接線と高温側吸熱ピークで囲まれる領域に相当する熱量である。
本発明で得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子において、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面部のDSC比(Qf)は20%未満である(式(1))。
Qf<20% (1)
Qfが20%以上であると、型内発泡成形を行った際に、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子間の融着が不十分になる。
また、本発明で得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子において、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面のDSC比(Qf)が、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子全体のDSC比(Qt)より小さい。すなわち、Qf/Qtは90%未満である(式(2))。
Qf/Qt<90% (2)
Qf/Qtが90%以上になると、型内発泡成形を行った際、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子間の融着が不十分になる。
本発明においてポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面のDSC比は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が球状の場合、球の中心線上で表面から直径の4分の1の距離にある2点において中心線に垂直な面によってポリプロピレン系樹脂発泡粒子を切断して得られる3つの切断片のうち、中心を含まない2つの切断片について得られるDSC比をいう。粒子が球状でない場合、粒子の重心を通る最も長い線分(長径)において最外表面から長径の4分の1の距離にある2点における長径に垂直な面において粒子を切断して得られる3つの切断片のうち、重心を含まない2つの切断片(当該表面を含む2つの切断片)について得られるDSC比をいう。
本発明で得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形に用いる場合には、イ)そのまま用いる方法、ロ)あらかじめポリプロピレン系樹脂発泡粒子中に空気等の無機ガスを圧入し、発泡能を付与する方法、ハ)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を圧縮状態で金型内に充填し成形する方法、など従来既知の方法が使用しうる。中でも、あらかじめポリプロピレン系樹脂発泡粒子中に空気等の無機ガスを圧入し、発泡能を付与する方法が好適である。
具体的には次の工程により型内発泡成形体を得ることが出来る。
1)あらかじめポリプロピレン系樹脂発泡粒子を耐圧容器内で空気加圧し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子中に空気を圧入することにより発泡能を付与する
2)これを2つの金型からなり、閉鎖しうるが密閉し得ない成形空間内に充填する
3)水蒸気などを加熱媒体として0.20〜0.4MPa程度の加熱水蒸気圧で3〜30秒程度の加熱時間で成形し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子同士を融着させる
4)このあと成形金型を水冷により、型内発泡成形体取り出し後の型内発泡成形体の変形を抑制できる程度まで冷却する
5)この後、金型を開いて型内発泡成形体を取り出す。
本発明で得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体の密度は、10kg/m以上300kg/m以下であることが好ましく、より好ましくは15kg/m以上250kg/m以下である。
本発明の製法によるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体は、断熱材、緩衝包装材、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材などの用途に用いることができる。
つぎに、本発明を実施例及び比較例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、断りのない限り「部」「%」は重量基準である。
なお、DSC比の測定は下記の方法で行った。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、或いは、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面部等の試料5〜6mgを、示差走査熱量計を用いて10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温することにより2つの吸熱ピークを有するDSC曲線(図1に例示)を得る。低温側吸熱ピーク熱量Qlと、高温側吸熱ピーク熱量Qhを求め、高温側吸熱ピークの比率Qh/(Ql+Qh)×100を計算する。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
ポリプロピレン系樹脂(MFR=6.0g/10分、融点=145℃)100重量部に対し、造核剤として0.3重量部のタルクを添加・混合し、50mmφ単軸押出機で混練したのち造粒し、ポリプロピレン系樹脂粒子(1.8mg/粒)を製造した。
前記ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、分散剤としてパウダー状塩基性第3リン酸カルシウム0.6重量部および分散助剤としてn−パラフィンスルホン酸ソーダ0.01重量部、分散媒として水200重量部を、内容量10Lの耐圧容器に仕込み、分散させ、攪拌しながら144℃まで昇温し、ブタンを圧入して圧力を2.0MPaGに調整し、30分間保持した。その後、窒素を圧入しながら圧力を2.0MPaGに保持しつつ、耐圧容器下部のバルブを開いて、分散物を開孔径4mmφのオリフィス板を通して常温の大気圧下に放出した。嵩密度26.5g/Lのポリプロピレン系樹脂発泡粒子をえた。得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子のQfは21.3%であり、Qf/Qtは100%であった。
得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子に表1に示す温度の熱風を表1に示す時間吹き付けることにより熱処理を行った。熱処理後のポリプロピレン系樹脂発泡粒子のQfおよびQf/Qtを表1に示す。熱処理後のポリプロピレン系樹脂発泡粒子内に空気含浸により0.2MPaの内圧を付与し、内容積300mm×400mm×20mmの金型を有する成型機を用い、型内成形を行った。得られた型内発泡成形体の融着率を評価した。結果を表1に示す。なお、融着性の評価方法は次のとおりである。
(融着率)
成形後の型内発泡成形体を25℃で2時間静置し、次いで65℃に温調した恒温室内に8時間静置した後、取り出し、25℃で放冷した。該型内発泡成形体を割った際に破断面に全粒子数に対しポリプロピレン系樹脂発泡粒子内で破断している粒子の割合を融着率とした。表1における評価基準は次のとおりである。
○:融着率 90%以上
△:融着率 80%以上90%未満
×:融着率 80%未満
Figure 0005161593
表から明らかなようにポリプロピレン系樹脂発泡粒子を熱処理することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面部のDSC比が小さいポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。また、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面部のDSC比が小さいポリプロピレン系樹脂発泡粒子は低い成形温度で融着性が優れた型内発泡成形体を与えることができる。このため、本発明の製造方法によると従来の製造方法に比べ、より高融点の樹脂を用いても、同じ成形温度で型内発泡成形体の融着性が優れたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を与えることができることが明らかである。従って、本発明の製造方法によるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は同じ成形温度で高い機械強度の型内発泡成形体を製造できる。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC曲線の例である。 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面部のDSC比測定用試料の作製方法を説明する説明図。

Claims (1)

  1. 耐圧容器内でポリプロピレン系樹脂粒子を分散剤と共に分散媒に分散させ、発泡剤を含ませた分散物を、加圧下で所定の発泡温度まで加熱した後、該分散物を低圧域に放出して得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を加熱処理することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、
    ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の加熱処理温度が、ポリプロピレン系樹脂の融点より10℃〜30℃高い温度であり、かつ、加熱処理時間が50秒以上105秒以下であり、
    加熱処理後のポリプロピレン系樹脂発泡粒子が示差走査熱量分析において2つの吸熱ピークを有し、かつ、示差走査熱量分析によって得られる特性値Qf、Qtが次の式(1)及び(2)を満たすポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
    Qf<20% (1)
    Qf/Qt<90% (2)
    ここで、Qtは得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定により求められるDSC曲線における、低温側吸熱ピーク吸熱量と高温側吸熱ピーク吸熱量の合計に対する高温側吸熱ピークの吸熱量の比(%)を表す。
    また、Qfは得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面部の示差走査熱量測定により求められるDSC曲線における、低温側吸熱ピーク吸熱量と高温側吸熱ピーク吸熱量の合計に対する高温側吸熱ピーク吸熱量の比(%)を表す。なお、発泡粒子表面部とは、発泡粒子が球状の場合、球の中心線上で表面から直径の4分の1の距離にある2点において中心線に垂直な面によってポリプロピレン系樹脂発泡粒子を切断して得られる3つの切断片のうち、中心を含まない2つの切断片であり、他方、発泡粒子が球状でない場合、粒子の重心を通る最も長い線分(長径)において最外表面から長径の4分の1の距離にある2点における長径に垂直な面において粒子を切断して得られる3つの切断片のうち、重心を含まない2つの切断片(当該表面を含む2つの切断片)である。
JP2008004834A 2008-01-11 2008-01-11 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法 Active JP5161593B2 (ja)

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