JP2006297807A - ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 広い周波数領域において常に0.7以上の高い吸音率を有するポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を安定的に提供すること。
【解決手段】 独立気泡率が50%以上70%以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体とすることで、ASTME1050に準拠し厚み40mmで垂直入射吸音率を測定したときに4000Hz以上6000Hz以下の範囲内における全ての周波数での垂直入射吸音率が0.7以上となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に吸音材として利用可能なポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体に関する。
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の用途として、緩衝包装材、バンパーコア材、自動車部材などがある。近年、自動車産業では車内居住快適性を追求する傾向にあり、吸音性を有する部材を多く採用されている。自動車部材に用いられるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体に吸音性能が求められるようになってきている。
ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を成形してなるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体にあって、吸音性能を付与する技術としては、吸音材として利用可能な連通した空隙を有するポリプロピレン系樹脂発泡成形体があり、例えば特許文献1に、示差走査熱量測定により観察される特定の結晶構造を有し、L/Dが2〜10の柱状ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を、金型内に充填率が40〜55%となり且つ粒子相互が不規則な方向を向くように充填させた後、蒸気で加熱する方法が開示されている。
また、特許文献2に特定形状のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を加熱成形する方法が開示されている。ここで開示されている技術は、中空円筒ないし中空異形状、あるいは断面形状が十字形のような凹凸を有するポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を使用することを特徴としている。
これら特許文献1、特許文献2などで得られるポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、特定の周波数でピークを持つ吸音率であることを特徴としており、ピークにおける吸音率は0.7以上と高いが、ピーク以外の周波数領域の吸音率は0.3程度と低い。そのため広い周波数領域で高い吸音率を有するポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が求められている。
特開平3−224727号公報 特開平7−138400号公報
従って、本発明の課題は、広い周波数領域において常に高い吸音率を有するポリプロピレン系樹脂発泡成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、独立気泡率が50%以上70%以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が、広い周波数領域において常に高い吸音率を有することを見出した。一般的に、独立気泡率が低いポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は寸法保持性が良好な成形体とすることが困難であるとされているが、本発明においてはそれを可能とした。
すなわち本発明は、独立気泡率が50%以上70%以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体に関する。好ましい実施態様としては、ASTME1050に準拠し厚み40mmで垂直入射吸音率を測定したときに4000Hz以上6000Hz以下の範囲内における全ての周波数での垂直入射吸音率が0.7以上であることを特徴する前記記載のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体に関する。
本発明では、独立気泡率が50%以上70%以下であるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体とすることで広い周波数領域において高い吸音率を有するポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を安定的に提供することができる。この発泡成形体は、自動車部材、土木・建築資材、産業用資材等において吸音材等に好適に使用し得る。特に、嵩上げ材、ティビアパッド、ラゲージボックス、側突材等の自動車部材に吸音性能を付与する場合に好適に使用し得る。
本発明において用いるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンモノマー単位が50重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上からなる重合体であり、チーグラー型塩化チタン系触媒またはメタロセン触媒で重合された、立体規則性の高いものが好ましい。具体例としては、例えば、プロピレン単独共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、無水マレイン酸―プロピレンランダム共重合体、無水マレイン酸―プロピレンブロック共重合体、プロピレン−g−無水マレイン酸グラフト共重合体等が挙げられ、それぞれ単独あるいは混合して用いられる。特に、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体が好適に使用し得る。また、これらのポリプロピレン系樹脂は無架橋のものが好ましいが、架橋したものも使用できる。
本発明に使用するポリプロピレン系樹脂は、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16Kgで測定したメルトインデックス(以下、MI)が0.1g/10分以上20g/10分以下であることが好ましく、更に好ましくは2g/10分以上15g/10分以下である。MIが、0.1g/10分未満では、予備発泡粒子を製造する際の発泡力が低く、高発泡倍率の予備発泡粒子を得るのが難しくなる場合がある。また、発泡成形体としたときの予備発泡粒子間の融着強度を確保することが難しくなる場合がある。MIが20g/10分を超えると、予備発泡時に樹脂の伸びに対する溶融粘度が低く高倍率の予備発泡粒子を得るのが難しくなる場合がある。
また、前記ポリプロピレン系樹脂は、機械的強度、耐熱性に優れた発泡成形体を得るために、融点は、好ましくは130℃以上168℃以下、更に好ましくは135℃以上160℃以下、特に好ましくは140℃以上158℃以下である。融点が当該範囲内であると、成形性と機械的強度、耐熱性のバランスが取り易い傾向が強い。ここで、前記融点とは、示差走査熱量計によってポリプロピレン系樹脂1〜10mgを40℃から220℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後40℃まで10℃/分の速度で冷却し、再度220℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線における吸熱ピークのピーク温度をいう。
本発明における独立気泡率とは、通常、熱可塑性樹脂予備発泡粒子及び熱可塑性樹脂発泡成形体を構成する気泡構造の独立性を表す指標であり、エアーピクノメーターと呼ばれる測定装置を用い、ASTM D2856に準拠して測定される。本発明で用いるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率は50%以上70%以下、好ましくは50%以上65%以下である。独立気泡率が50%未満になると、ポリプロピレン樹脂型内発泡成形体の寸法保持性が悪化する。独立気泡率が70%を越えると、広い周波数範囲において高い吸音率が得られない。本発明において、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率を50%以上70%以下とするには、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を構成するポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の独立気泡率を50%以上70%以下とすることで達成することが出来る。
一般的なポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の独立気泡率は90%以上と高いが、本発明では独立気泡率を50%以上70%以下にするために、例えば、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂よりも融点の低いポリマーや無機物質などをポリプロピレン系樹脂に混合する方法などが挙げられる。
前記ポリプロピレン系樹脂よりも融点の低いポリマーとしては、ポリプロピレン系樹脂との融点の差は、好ましくは、20℃以上、更に好ましくは30℃以上あることが好ましく、具体的には、低密度ポリエチレン(以下、LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン系アイオノマー、ポリスチレンなどが挙げられる。これらポリプロピレン系樹脂よりも融点の低いポリマーをポリプロピレン系樹脂に混合する場合、得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率を70%以下にするために、不均一に混合することが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂に混合する前記ポリマーの使用量は、使用するポリプロピレン系樹脂の種類、ポリマーの種類により異なり一概には規定できないが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、概ね5重量部以上30重量部以下であることが好ましい。前記ポリマーが5重量部以上であれば、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の独立気泡率が低くなり、広い周波数範囲で吸音率が高くなるため好ましい。また前記ポリマーの使用量が30重量部以下であれば、予備発泡させる際にオートクレーブ内の分散が安定であるため好ましい。
またポリプロピレン系樹脂に混合する無機物質としては、例えば、竹粉、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられ、これらを混合することで独立気泡率を50%以上70%以下にすることができる。中でも、竹粉を使用することが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂に混合する無機物質の使用量は、使用するポリプロピレン系樹脂の種類、無機物質の種類により異なり一概には規定できないが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、概ね5重量部以上30重量部以下であることが好ましい。前記無機物質が5重量部以上であれば、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の独立気泡率が低くなり、広い周波数範囲で吸音率が高くなるため好ましくない。また前記無機物質の使用量が30重量部以下であれば、予備発泡させる際にオートクレーブ内の分散が安定であるため好ましいになり好ましくない。
次に、本発明のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法について述べる。ポリプロピレン系樹脂は、既知の方法を用いて、例えば、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー(商標)、ロール等を用いて溶融して、柱状形状で、1粒の重量が0.2〜10mg、好ましくは0.5〜6mgのポリプロピレン系樹脂粒子に加工して得られる。一般的には、押出機を用いて溶融し、ストランドカット法にて製造する。例えば、円形ダイスからストランド状に押出されたポリプロピレン系樹脂を水、空気等で冷却、固化させたものを切断して、所望の形状とする。また、押出機で溶融する前に前記ポリプロピレン系樹脂よりも融点の低いポリマーや無機物質を添加することで、本発明で用いるポリプロピレン系樹脂粒子を得ることが出来る。ポリプロピレン系樹脂と融点の低いポリマーまたは無機物質をある程度不均一に混合するためには、押出機で溶融する際にフルフライトスクリューを用いることが好ましい。
前記樹脂粒子製造の際、セル造核剤を添加することにより、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子のセル径を所望の値に調整する。セル造核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、硫酸バリウム等の無機系造核剤が一般に使用される。セル造核剤の添加量は、使用するポリプロピレン系樹脂の種類、セル造核剤の種類により異なり一概には規定できないが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、概ね0.001重量部以上2重量部以下である。
更に、ポリプロピレン系樹脂粒子製造の際、必要により種々の添加剤を、ポリプロピレン系樹脂の特性を損なわない範囲内で添加することができる。添加剤としては、例えば、;カーボンブラック、有機顔料などの着色剤;アルキルジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルエタノールアミン、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライドなどのノニオン系界面活性剤からなる帯電防止剤;IRGANOX1010(商標)、IRGANOX1076(商標)、IRGANOX1330(商標)、IRGANOX1425WL(商標)、IRGANOX3114(商標)、ULTRANOX626(商標)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;IRGAFOS168(商標)、IRGAFOS P−EPQ(商標)、IRGAFOS126(商標)、WESTON619(商標)等のリン系加工安定剤;HP−136(商標)等のラクトン系加工安定剤;FS042(商標)等のヒドロキシルアミン系加工安定剤、IRGANOX MD1024(商標)等の金属不活性剤;TINUVIN326(商標)、TINUVIN327(商標)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;TINUVIN120(商標)等のベンゾエート系光安定剤;CHIMASSORB119(商標)、CHIMASSORB944(商標)、TINUVIN622(商標)、TINUVIN770(商標)等のヒンダードアミン系光安定剤;ハロゲン系難燃剤および三酸化アンチモン等の難燃助剤;FLAMESTAB NOR116(商標)、MELAPUR MC25(商標)等の非ハロゲン系難燃剤;ハイドロタルサイト、ステアリン酸カルシウム等の酸中和剤;IRGASTAB NA11(商標)等の結晶核剤;エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド等の滑剤などが例示される。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造には、従来から知られている方法を利用できる。例えば、密閉容器内に、上記樹脂粒子、発泡剤、分散剤および分散助剤を含む水系分散媒を仕込み、攪拌しながら昇温して一定温度(以下、発泡温度という場合がある)として樹脂粒子に発泡剤剤を含浸させ、必要に応じて発泡剤を追加添加して、密閉容器内を一定圧力(以下、発泡圧力という場合がある)に保持した後、密閉容器下部から内容物を密閉容器内圧より低圧雰囲気下に放出する方法により予備発泡粒子が製造される。使用する密閉容器には特に限定はなく、予備発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよいが、例えばオートクレーブ型の耐圧容器が挙げられる。
前記発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の脂肪族炭化水素およびそれらの混合物;空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガス;水などが挙げられる。より高発泡倍率の予備発泡粒子を得るためにはイソブタン、ノルマルブタンおよびそれらの混合物を発泡剤として用いるのが好ましい。低発泡倍率で、発泡倍率バラツキの小さい予備発泡粒子を得るためには水を発泡剤として用いるのが好ましい。
発泡剤の使用量は、使用するポリプロピレン系樹脂の種類、発泡剤の種類、目的とする発泡倍率等により異なり、一概には規定できないが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、概ね2重量部以上60重量部以下である。
前記分散剤として、例えば、塩基性第三リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム等の難水溶性無機化合物が使用されることが好ましい。分散助剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、直鎖アルキルフィンスルホン酸ソーダ等のアニオン系界面活性剤を使用することが好ましい。これらの中でも塩基性第三リン酸カルシウムと直鎖アルキルフィンスルホン酸ソーダの使用が良好な分散性を得る上で好ましい。これら分散剤及び分散助剤の使用量は、その種類や用いるポリプロピレン系樹脂の種類・量、発泡剤の種類などによって異なるが、通常、水100重量部に対して、分散剤0.1重量部以上3重量部以下、分散助剤0.0001重量部以上0.1重量部以下であることが好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂粒子の水中での分散性を良好なものにするために、通常、水100重量部に対して該樹脂粒子20重量部以上100重量部以下使用するのが好ましい。
この様にして密閉容器内に調整されたポリプロピレン系樹脂粒子の水系分散物は、攪拌下、所定の発泡温度まで昇温され、一定時間、通常5〜180分間、好ましくは10〜60分間保持されるとともに、密閉容器内の圧力は上昇し、発泡剤が樹脂粒子に含浸される。この後、所定の発泡圧力になるまで発泡剤が追加供給され、一定時間、通常5〜180分間、好ましくは10〜60分間保持される。かくして、発泡温度、発泡圧力で保持されたポリプロピレン系樹脂粒子の水系分散物を、密閉容器下部に設けられたバルブを開放して低圧雰囲気下(通常は大気圧下)に放出することによりポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を製造することができる。
樹脂粒子の水系分散物を低圧雰囲気に放出する際、流量調整、倍率バラツキ低減などの目的で2〜10mmφの開口オリフィスを通して放出することもできる。また、発泡倍率を高くする目的で、上記低圧雰囲気を飽和水蒸気で満たす場合もある。
発泡温度は、用いるポリプロピレン系樹脂の融点[Tm(℃)]、発泡剤の種類等により異なり、一概には規定できないが、概ねTm−30(℃)以上Tm+10(℃)以下の範囲から決定される。また、発泡圧力は、用いるポリプロピレン系樹脂の種類、発泡剤の種類、所望の予備発泡粒子の発泡倍率によって異なり、一概には規定できないが、概ね1〜8MPa(ゲージ圧)の範囲から決定される。
上記のようにして得たポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、従来から知られている成形方法を用いてポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体にすることができる。例えば、イ)予備発泡粒子を無機ガスで加圧処理して予備発泡粒子内に無機ガスを含浸させ所定の予備発泡粒子内圧を付与した後、金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、ロ)予備発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し、予備発泡粒子の回復力を利用して、水蒸気で加熱融着させる方法、ハ)特に前処理することなく予備発泡粒子を金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、などの方法が利用し得る。本発明においては、ハ)特に前処理することなく予備発泡粒子を金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法が好適に用いられる。
前記無機ガスとしては、空気、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、炭酸ガスなどが使用できる。これらは単独で用いても、2種以上混合使用してもよい。これらの中でも、汎用性の高い空気、窒素が好ましい。
本発明では、成形の際に予備発泡粒子を水蒸気により加熱、融着させる。基材樹脂として用いたポリプロピレン系樹脂の融点をTm(℃)としたとき、温度がTm−25(℃)以上Tm(℃)以下の水蒸気で成形することが好ましく、更には温度がTm−20(℃)以上Tm−5(℃)以下の水蒸気で成形することがより好ましい。この際の水蒸気温度が低すぎると融着が不十分となり、発泡成形体としての形状を保持できない場合がある。逆に、水蒸気温度が高すぎるとポリプロピレン系樹脂より低い融点のポリマーを使用した場合、該ポリマーが溶融するため、成形体の形状保持性が低下する恐れがある。水蒸気で加熱する時間は、成形するポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の大きさによって異なる為一概には決められないが、従来から知られている一般的な成形方法の加熱時間よりも短くする方が、寸法保持性が良好な独立気泡率が50%以上70%以下のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を寸法安定的に得やすいため好ましい。
以上のようにして得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、広い周波数領域において常に高い吸音率を有する。好ましくは、ASTME1050に準拠し厚み40mmで垂直入射吸音率を測定したときに4000Hz以上6000Hz以下の範囲内における全ての周波数での垂直入射吸音率が0.7以上である。
本発明を適用するポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の厚みは、10mm以上が好ましく、より好ましくは20mm以上であり、これ以上であれば特に限定するものではない。厚みが小さいと、吸音孔により音エネルギーを熱エネルギーや振動エネルギーに変換しうる空気層が減少するため、音波を成形品内部に伝播する十分な空気層を確保することができず、空気の粘性摩擦が生じにくくなり、吸音率の低下を生じる場合がある。
次に、本発明のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法を実施例および比較例を挙げて、更に詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
基材樹脂としMI=7/10分、融点146℃のランダムポリプロピレンを用い、混合物として融点105℃のLDPEを15重量部、セル造核剤としてタルク3000ppmを添加して押出機内で溶融混練した後、円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部(50kg)、水300重量部、塩基性第三リン酸カルシウム1.6重量部、アルキルスルフォン酸ソーダ0.03重量部を容量0.35m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、攪拌下、発泡剤としてイソブタンを18重量部添加した後、オートクレーブ内容物を昇温し、132℃の発泡温度まで加熱した。その後、イソブタンを追加圧入して1.9MPaの発泡圧力まで昇圧し、該発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子に空気加圧処理により空気を含浸させて0.04〜0.06MPaGの内圧を付与した後、320×320×60mmの金型内に充填し、0.30MPaGの成形温度の蒸気で2秒間加熱、融着させてポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。成形直後の寸法は316×316×58mmであった。得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率を表1に示す。
得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を直径40mm、厚み40mmの円筒状に切り出した後、小野装器製SR−4100を用いASTME1050に準拠して垂直入射吸音率を測定した。得られた垂直入射吸音率を図1に示す。
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率が63%となり、4000Hz以上6000Hz以下の周波数範囲で常に吸音率が0.7以上である。
Figure 2006297807
(実施例2)
混合物として竹粉を10重量部添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。成形直後の寸法は、316×316×58mmであった。得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率を表1に示す。吸音率の測定結果を図1に示す。
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率が55%となり、実施例1と同様に4000Hz以上6000Hz以下の周波数範囲で常に吸音率が0.7以上である。
(比較例1)
ポリプロピレン系樹脂に融点の低いポリマーまたは竹紛を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。成形直後の寸法は318×318×59mmであった。得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率を表1に示す。吸音率の測定結果を図1に示す。
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率が98%となり、吸音率は特定の周波数でピークを持ち、ピーク周波数以外の周波数領域で吸音率は0.3程度と低い。
(比較例2)
混合物としてLDPEを2重量部添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。成形直後の寸法は、317×317×59mmであった。得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率を表1に示す。吸音率の測定結果を図1に示す。
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率が94%となり、吸音率は特定の周波数でピークを持ち、ピーク周波数以外の周波数領域で吸音率は0.3程度と低い。
(比較例3)
混合物としてLDPEを40重量部添加したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施を試みたが、耐圧オートクレーブ中で分散不安定となり予備発泡粒子を得ることができなかった。
(比較例4)
ポリプロピレン系予備発泡粒子を成形する際に、水蒸気で加熱する時間を10秒間とした以外は、実施例と同様の方法で、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。成形直後の寸法は、250×250×45mmであった。得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率を表1に示す。この成形方法ではポリプロピレン系発泡成形体の収縮が大きく、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の寸法保持性が悪い。
ASTME1050に準拠して垂直入射吸音率を測定した結果。

Claims (2)

  1. 独立気泡率が50%以上70%以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体。
  2. ASTME1050に準拠し厚み40mmで垂直入射吸音率を測定したときに4000Hz以上6000Hz以下の範囲内における全ての周波数での垂直入射吸音率が0.7以上であることを特徴する請求項1記載のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体。
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