JPH10292064A - 変性プロピレン系樹脂発泡粒子 - Google Patents
変性プロピレン系樹脂発泡粒子Info
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Abstract
性プロピレン系樹脂発泡粒子を提供すること。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂粒子にビニル系単
量体を含浸させてグラフト重合して得られる、[ポリプ
ロピレン系樹脂含有量]/[ビニル系単量体からなる重
合体含有量]の比が97〜65重量%/3〜35重量%
である変性ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする、嵩
密度が0.045g/cm3以下、平均気泡径200μ
m以上の無架橋の変性プロピレン系樹脂発泡粒子とす
る。
Description
樹脂にスチレン等のビニル系単量体を含浸させグラフト
重合してなる変性プロピレン系樹脂発泡粒子に関する。
0.045g/cm3以下、特に0.03g/cm3以下
の発泡粒子としては、できあがった型内成型体の剛性を
高めるために、予めポリプロピレン系樹脂粒子に、変
性、例えばスチレンモノマ−を含浸させた後にグラフト
重合させるなどの処理をおこなった変性ポリプロピレン
系樹脂からなるものを使用することが有効であるとされ
ている。
本来の耐熱性及び腰が強いことなどの特性を十分に残し
て、これに高い剛性の特性を付加するためには、できあ
がった変性樹脂中のポリスチレンの含有割合を3〜35
重量%程度にすることが好ましいとされてきた。そし
て、コストの低減及びリサイクル時の取扱いの利便性の
ことを考えると、樹脂を架橋すること、つまり架橋剤を
使用して樹脂が架橋構造を有するように処理すること
は、好ましいことではないこととされてきた。
プロピレン系樹脂粒子で、該変性樹脂粒子中のポリスチ
レンの含有成分の割合を3〜35重量%程度とすると、
できあがった発泡粒子の気泡が微細化し、2次発泡力が
乏しくなるため型内で成型すると表面にボイドの多い成
型体になりやすいという問題点があった。特に、密閉容
器内で変性樹脂粒子を、変性樹脂粒子との相溶性に乏し
い二酸化炭素のような無機ガス発泡剤と共に分散媒に分
散させて加熱処理して、容器外の低圧の状態のところに
放出することにより発泡粒子を得る方法では、特に気泡
微細化の傾向が顕著であった。
ピレン系樹脂とポリスチレン樹脂の割合が、70対30
あるいは60対40の場合には、架橋を行っている(特
公昭59−40164号公報、実施例18及び19)。
この発明において、架橋を行わない場合には、ポリプロ
ピレン系樹脂とポリスチレン樹脂の割合は40対60で
ある(同公報、実施例1)。このような架橋を行った従
来例としては、このほかにも特公平3−67537号公
報、特公昭58−113230号公報及び特公昭62−
190236号公報などがある。また、無架橋の従来例
としては、特公平3−33186号公報がある。この発
明では、ポリプロピレン系樹脂/ポリスチレン樹脂の割
合が51/49、60/40(実施例1及び2)であ
る。また、上記公知文献の実施例のいずれにも共通して
いることは、10時間の半減期を得るための分解温度が
74℃以上のラジカル重合剤が使用されており、かつ9
5℃以上のグラフト重合温度条件が採用されているとい
う点である。
粒子にビニル系単量体を含浸させた状態で、分散媒中に
添加したラジカル重合開始剤を分解させることにより、
ポリプロピレン系樹脂粒子にビニル系単量体をグラフト
重合して、[ポリプロピレン系樹脂含有量]/[ビニル
系単量体からなる重合体含有量]の比が97〜65重量
%/3〜35重量%である変性ポリプロピレン系樹脂粒
子を製造するに当り、上記した公知文献の例に示された
条件を採用して得られた変性ポリプロピレン系樹脂粒子
からでは、発泡粒子製造時に発泡粒子の気泡の微細化を
防止することができず、満足できる結果を得ることがで
きない。
るには、発泡粒子内に多量の有機揮発性発泡剤やかなり
高い圧力の空気等を含浸させておく手段がある。しかし
ながら、そのような多量の有機揮発性発泡剤やかなり高
い圧力の空気等が含浸された発泡粒子では、型内成型時
の冷却時間をいっそう長くとらなければならない。さも
ないと、型内から取り出された型内成型体に3次発泡
(コントロール不能な更なる体積膨張)が生じてしまう
からである。通常、発泡粒子の型内への充填から型内成
型体の離型までの時間をショットサイクルと呼ぶが、こ
の種型内成型ではショットサイクルに占める冷却時間の
割合は、成型体の大きさにも左右されるが、65〜90
%と大部分を占めている。このようなショットサイクル
の中で、更なる冷却時間の大きな延長は避けなければな
らない。
ットサイクルの顕著なる短縮が可能であり、かつ表面ボ
イドの少ない成型体を製造し得る変性プロピレン系樹脂
発泡粒子を提供することである。
に、ポリプロピレン系樹脂にビニル系単量体を含浸させ
て、ビニル系単量体をグラフト重合して得られる、[ポ
リプロピレン系樹脂含有量]/[ビニル系単量体からな
る重合体含有量]の比が97〜65重量%/3〜35重
量%である変性ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする
無架橋発泡粒子であって、嵩密度が0.045g/cm
3以下であると共に平均気泡径が200μm以上である
ことを特徴とする変性プロピレン系樹脂発泡粒子が提供
される。第二に、平均気泡径が250〜600μmであ
る上記第一に記載した変性プロピレン系樹脂発泡粒子が
提供される。第三に、嵩密度が0.006〜0.030
g/cm3である上記第一又は第二に記載した変性プロ
ピレン系樹脂発泡粒子が提供される。第四に、発泡粒子
を構成する基材樹脂の融点が150℃以下であり、発泡
粒子の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線
(条件:発泡粒子1〜3mgを示差走査熱量測定装置に
より昇温速度10℃/分で室温から220℃まで昇温)
に2以上のピークを有し、最も高温側に存在するピーク
の熱量が2〜25J/gである上記第一〜第三のいずれ
かに記載した変性プロピレン系樹脂発泡粒子が提供され
る。第五に、発泡粒子を構成する基材樹脂の融点が15
0℃超であり、発泡粒子の示差走査熱量測定によって得
られるDSC曲線(条件:発泡粒子1〜3mgを示差走
査熱量測定装置により昇温速度10℃/分で室温から2
20℃まで昇温)に2以上のピークを有し、最も高温側
に存在するピークの熱量が5〜40J/gである上記第
一〜第三のいずれかに記載した変性プロピレン系樹脂発
泡粒子が提供される。
ロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プ
ロピレン・エチレン(エチレン成分0.5〜8重量%)
ランダム共重合体、プロピレン・エチレン(エチレン成
分3〜18重量%)ブロック共重合体、プロピレン・ブ
テン−1(ブテン−1成分2〜15重量%)ランダム共
重合体、プロピレン・エチレン(エチレン成分0.3〜
5重量%)・ブテン−1(ブテン−1成分0.5〜20
重量%)ランダム共重合体、プロピレン・ヘキセン−1
(ヘキセン−1成分2〜6重量%)ランダム共重合体、
プロピレン・4−メチルペンテン−1(4−メチルペン
テン−1成分1〜8重量%)ランダム共重合体等の結晶
性ポリマー;これらのポリマー同士のブレンド物;これ
らのポリマーに他のポリマー、例えばポリエチレン樹
脂、エチレン・プロピレンラバー等を50重量%以下の
割合でブレンドしたブレンド物が挙げられる。
のが用いられる。通常は粒径が、0.1mm〜3mmの
範囲のもの、又は粒子重量が0.1〜20mg/個の範
囲のものが用いられる。
粒子に含浸させグラフト重合するビニル系単量体として
は、剛性付与の観点からスチレン系単量体が好ましい。
スチレン系単量体としては、スチレン、クロロスチレ
ン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレ
ン、p−メチルスチレン及びα−メチルスチレンなどを
挙げることができる。
ピレン系樹脂粒子に、ビニル系単量体をグラフト重合す
る方法の具体例を以下に示す。まず、オートクレーブ内
に、水等の水性媒体、ポリプロピレン系樹脂粒子、ビニ
ル系単量体及び分散剤を仕込み、密閉した後にオートク
レーブ内容物を撹拌しつつ加熱して、ポリプロピレン系
樹脂粒子にビニル系単量体を充分含浸させる。この際の
加熱温度は、通常70〜120℃程度が採用される。ま
た、上記分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコ−
ル、メチルセルロ−ス、燐酸三カルシウム、ピロリン酸
マグネシウム、炭酸カルシウム、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウムなどが用いられる。これらの分散剤
は、一般に、水性媒体である水に対して0.01〜50
重量%添加される。次に、オートクレーブ内容物を50
℃以下となるまで冷却する。冷却後、オートクレーブ内
にラジカル重合開始剤を添加し、密閉した後、再度加熱
してグラフト重合を生起させる。この時の加熱温度が本
発明においては最も重要な点である。
ポリプロピレン系樹脂粒子への単量体のグラフト重合反
応は、従来例に見られるように90℃を越える95℃程
度の温度条件下に行なわれてきた。これは、重合開始剤
の取り扱いやすさ及びグラフト重合時間の短縮化を考慮
してのことである。本発明では、重合反応の温度を、9
0℃未満、好ましくは50℃〜89℃で行う。このよう
にして得られる変性ポリプロピレン系樹脂粒子を用い
て、発泡粒子を製造した場合には、気泡の微細化を防止
することができる。90℃を超える場合には、気泡の微
細化を避けることができない。
子に含浸した状態で樹脂粒子内部に入り込み、グラフト
重合反応は樹脂粒子の内部で生起する。その結果、ビニ
ル系単量体によるグラフト変性ポリプロピレン系樹脂粒
子が得られる。この様にして得られる変性ポリプロピレ
ン系樹脂粒子は無架橋のものである。
リプロピレン系樹脂粒子又は変性プロピレン系樹脂発泡
粒子を試料とし、キシレン100g中に試料約1gを入
れて8時間煮沸した後、100メッシュの金網で速やか
に濾過し、次いで該金網上に残った沸騰キシレン不溶解
成分を20℃で24時間乾燥させてから重量:G(g)
を測定し、次式により求めた際に、その乾燥後の不溶解
成分の割合が0.5重量%以下の場合を意味する。 乾燥後の不溶解成分の割合(重量%)=〔G(g)/試
料重量(g)〕×100
低温でのグラフト重合反応を効率よく実施するために、
ラジカル重合開始剤として、10時間半減期温度が70
℃以下のものを用いる事が必要である。このようなラジ
カル重合開始剤としては、具体的には、以下の有機過酸
化物を挙げることができる。
ーオキシジカーボネート;1−シクロヘキシル−1−メ
チルエチルパーオキシネオデカノエート;ジ(2−エト
キシヘキシルパーオキシ)ジカーボネート;ジメトキシ
ブチルパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキ
シネオデカノエート;t−ヘキシルパーオキシピバレー
ト;t−ブチルパーオキシピバレート;オクタノイルパ
ーオキサイド;ラウロイルパーオキサイド;ステアロイ
ルパーオキサイド;イソブチリルパーオキサイド;α,
α’ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピル
ベンゼン;クミルパーオキシネオデカノエート;ジ−n
−プロピルパーオキシジカーボネート;1,1,3,3
−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート;ジ
−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート;ジ
(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカー
ボネート;t−ブチルパーオキシネオデカノエート;
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド;3,5,
5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド;1,1,
3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキ
サノエート;スクシニックパーオキサイド;2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキ
シ)ヘキサン;1−シクロヘキシル−1−メチルエチル
パーオキシ2−エチルヘキサノエート;t−ヘキシルパ
ーオキシ2−エチルヘキサノエート。
00重量部に対して2.0〜10重量部が好ましい。
間程度保持することで完結する。冷却後、無架橋の変性
ポリプロピレン系樹脂粒子は、オートクレーブ内から取
り出され、洗浄され、乾燥され、その後、発泡粒子の製
造に使用される。
ポリプロピレン系樹脂粒子中におけるポリプロピレン系
樹脂とビニル系単量体からなる重合体の割合は、ポリプ
ロピレン系樹脂65〜97重量%、ビニル系単量体から
なる重合体35〜3重量%であり、好ましくは、ポリプ
ロピレン系樹脂70〜95重量%、ビニル系単量体から
なる重合体30〜5重量%である。ポリプロピレン系樹
脂の含有量がこの範囲未満のときは耐熱性と腰の強さが
低下してしまい、逆にこの範囲を超えるときには剛性付
与の改質効果に乏しいものとなる。
ン系樹脂粒子からの変性プロピレン系樹脂発泡粒子の製
造は次のような条件の下で行われる。すなわち、変性ポ
リプロピレン系樹脂粒子(以下、変性粒子ということも
ある)、水等の分散媒、発泡剤及び分散剤等を密閉容器
内に入れ、該変性粒子の軟化温度以上に加熱して変性粒
子内に発泡剤を含浸させてから、密閉容器の一端を開け
て変性粒子と水を低圧部に放出させる常法で行えば良
い。なお、前記の樹脂軟化温度はASTM−D−648
に規定されている荷重4.6Kg/cm2の条件で測定
される軟化温度である。
ン、ヘキサン、シクロブタン、シクロヘキサン、クロロ
フロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロエ
タン、1−クロロ−1,1−ジフロロエタン、1,2,
2,2−テトラフロロエタン、1−クロロ−1,2,
2,2−テトラフロロエタン等の揮発性発泡剤、又は窒
素、空気、二酸化炭素、アルゴン等の無機ガス系発泡剤
が使われるが、環境面で問題がなくかつ安価な二酸化炭
素や空気等の無機ガス系発泡剤が好ましい。また、発泡
剤使用量は一般に変性粒子100重量部に対し2〜50
重量部であり、発泡倍率や発泡温度を考慮して前記範囲
内で適宜定めれば良い。
水、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エ
タノール等の液体であり、その使用量は一般に変性粒子
総重量の1.5〜10倍、好ましくは2〜5倍である。
また、通常は分散媒として水が使われる。
泡剤を該変性粒子に含浸させる際には、変性粒子の相互
融着を防ぐために融着防止剤が使われる。融着防止剤は
分散媒に不溶な無機系又は有機系の高融点物であり、平
均粒径0.001〜70μm、好ましくは0.001〜
30μmの微粉体である。そして、通常の発泡体製造時
には、カオリン、タルク、マイカ、アルミナ、チタニ
ア、水酸化アルミニウム等の無機系融着防止剤が使われ
る。また、融着防止剤の添加量は変性粒子使用量の0.
01〜10重量%程度が望ましい。
ンゼンスルホン酸ナトリウムやオレイン酸ナトリウム等
のアニオン系界面活性剤を分散助剤として用いることが
好ましく、その添加量は変性粒子使用量の0.001〜
5重量%程度が望ましい。
ン系樹脂発泡粒子の嵩密度の範囲は、通常0.015〜
0.18g/cm3となる。しかしながら、本発明にお
いては、その嵩密度を0.045g/cm3以下とする
必要がある。なぜならば、0.045g/cm3を越え
る高嵩密度の発泡粒子では、型内成型時の冷却時間の短
縮化にさほど貢献しないからである。低嵩密度の発泡粒
子ほど上記冷却時間の短縮化に大きく寄与するので、そ
のような観点からその嵩密度は0.030g/cm3以
下であることが望ましい。但し、極度の低嵩密度発泡粒
子では得られる型内成型体に大きな収縮を生じてしまう
虞があるので、その下限は0.006g/cm3にとど
めるべきである。尚、最初に製造される発泡粒子の嵩密
度が0.045g/cm3を越える場合や0.045g
/cm3以下でもより更なる低密度化が必要な場合、空
気等により高められた内圧を付与してスチーム等で加熱
して更に発泡させることにより、本発明範囲内の嵩密度
の発泡粒子又は当初よりも低密度化された発泡粒子を得
ることができる。また、本発明の発泡粒子の平均気泡径
は、200μm以上でなければならない。嵩密度が0.
045g/cm3以下、特に0.030g/cm3以下の
発泡粒子の場合、平均気泡径が200μm未満である
と、例えば、発泡粒子気泡内の空気圧力を2.3気圧以
上に高めないと、表面ボイドの少ない型内成型体を得る
ことができないが、逆に型内成型時の冷却時間が著しく
長くなってしまい、その結果生産性が低下してしまうと
いう問題が発生する。そのような観点からの好ましい平
均気泡径の下限は250μmである。但し、その平均気
泡径は、外観の悪化を生じない600μmを上限とする
ことが望ましい。このような比較的大きな気泡の発泡粒
子は、上記した低温でのグラフト重合による変性ポリプ
ロピレン系樹脂粒子を発泡粒子の原料として使用するこ
とにより、容易に製造することができる。
量測定によって得られるDSC曲線(条件:発泡粒子1
〜3mgを示差走査熱量測定装置により昇温速度10℃
/分で室温から220℃まで昇温)に2以上のピークを
有し、最も高温側に存在するピークの熱量が、(1)発
泡粒子を構成する基材樹脂の融点が150℃以下の場合
には2〜25J/gであることが望ましく、(2)発泡
粒子を構成する基材樹脂の融点が150℃を越える場合
には5〜40J/gであることが望ましい。上記
(1)、(2)の両ケースともに、該ピーク熱量が下限
を下回ると型内成型体の収縮が大きくなりやすく、該ピ
ーク熱量が上限を上回と型内成型時の過熱スチーム圧力
を高く保持しなければならなくなり、エネルギーコスト
の面で不利を生じやすい。尚、発泡粒子を構成する基材
樹脂の融点が150℃以下の場合には、型内成型時の過
熱スチーム圧力をいっそう低くできるので好ましい。
ば無機ガス系発泡剤を含有する加熱下の変性粒子と水と
を低圧部に放出させる上記発泡方法を採用した場合、放
出に先立って加熱温度を変性粒子(発泡粒子を構成する
基材樹脂)の融点とその補外融解終了温度(JIS K
7121に規定されている温度)との間の任意の温度に
5〜90分、好ましくは15〜60分保持してから放出
することにより生成させることができる。そのピークの
大きさは、主として加熱温度、加熱保持時間、発泡剤の
種類と使用量で調節される。
は、発泡粒子の示差走査熱量測定によって得られる上記
DSC曲線上の80℃のところから最も高温側に位置す
る吸熱ピークの融解終了温度まで直線(A)を引き、最
も高温側の吸熱ピークとその低温側に存在する吸熱ピー
クとにより形成される谷間の中央部から前記直線に垂直
に交わるように直線(B)を引き、直線(B)以上のD
SC曲線−直線(A)−直線(B)とで囲まれる面積に
相当する熱量を意味する。また、変性粒子(発泡粒子を
構成する基材樹脂)の融点とは、上記示差走査熱量測定
において、220℃まで昇温した後、直ちに降温速度1
0℃/分で40℃まで低下させ、その後もう一度昇温速
度10℃/分で220℃まで昇温したときに得られる最
も高温側のピークの頂点を意味する。この融点は、ポリ
プロピレン系樹脂の特長を失わせないためには125℃
以上が好ましく、130℃以上が望ましい。また、本発
明の発泡粒子を使用して製造される型内成型体の密度
は、好ましくは0.009〜0.045g/cm3であ
る。
い内容を示す。発泡粒子の嵩密度の測定及び平均気泡径
の測定は次の通りである。
cm3を測定する。次に、その時の発泡粒子の重量
(W)gを測定する。嵩密度(D)g/cm3は、次の
式より求める。 D = W/V
断面を顕微鏡に写し出した画面上又は顕微鏡写真上に
て、直線上の任意の気泡壁から別の任意の気泡壁までの
任意の長さ(L)の直線上に存在する気泡数(N)を数
え、次の式により求める。但し、該直線の始点は任意の
気泡壁とし、終点は別の任意の気泡壁とし、始点と終点
との間には少なくとも10個の気泡が存在するようにす
る。 D=1.62×(L÷N)
示す配合割合で使用し、各例の樹脂100重量分に対
し、水酸化アルミニルム(発泡核剤)0.05重量分を
押出機に供給し、220℃で溶融混練した後、口径2m
mのダイスよりストランド状に押出し、水冷してカット
し、平均粒子重量約2mgのミニペレットを製造した。
レンモノマー(S)重量部、水300重量部、三リン酸
カルシウム(分散剤)の10%懸濁液10重量部、及び
ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.1重量部
とをオートクレーブ内に仕込み、密閉した後、撹拌しつ
つ2℃/分の速度で95℃まで昇温し、その温度で2時
間保持してスチレンモノマーをミニペレットに含浸さ
せ、次いで50℃まで冷却し、次にそのオートクレーブ
内に表1に示す種類と量(ミニペレットとスチレンモノ
マーとの総和を100重量部としたときの重量部)のラ
ジカル重合開始剤(その種類は〈使用ラジカル重合開始
剤のリスト〉参照)を投入し、密閉した後、撹拌しつつ
再度2℃/分の速度で[GT]℃まで昇温し、その温度
で5時間保持した後、40℃まで冷却し、オートクレー
ブ内容物を取り出し、固体成分を濾別した後、0.1規
定塩酸溶液で固体成分を洗浄し、約60℃設定の乾燥機
で24時間乾燥した。得られた変性粒子の物性を表1に
示す。
量部、カオリン(分散剤)0.3重量部、ドデシルベン
ゼンスルフォン酸ナトリウム0.02重量部、及びドラ
イアイス(発泡剤)8重量部とをオートクレーブ内に仕
込み、密閉した後、撹拌しつつ2℃/分の速度で[F
t]℃まで昇温してその温度で15分間保持した後、次
いで2℃/分の速度で[FT]℃まで昇温してその温度
で15分間保持してから、その温度でオートクレーブ内
を加圧空気の供給により45kg/cm2Gに維持しつ
つオートクレーブ内容物を大気下に放出して発泡粒子
(A)を製造した。得られた発泡粒子(A)の物性は表
2の通りである。
で保管することにより、表2に示す内圧を付与した。高
められた内圧を持つ発泡粒子(B)に対し、容器内で
0.7kg/cm2Gの過熱スチームを吹き付けて、表
2に示す物性の発泡粒子(C)を製造した。
することにより、表3に示す内圧を付与した後、60m
m×300mm×300mmの内寸法を持つ成型用金型
に充填し、過熱スチームにて予備加熱を行なった後、表
3に示す圧力の過熱スチームを型内に供給して本加熱を
行ない、次いで水冷(水冷時間は表3の通り)を行な
い、離型して成型体を得た。尚、発泡粒子(C)に付与
した内圧は成型体表面のボイドが実質的になくなる様な
条件を採用し、水冷時間は成型体に三次発泡が生じない
最少の時間を採用した。得られた成型体を80℃のオー
ブンで24時間乾燥させた後の成型体物性を表3に示
す。
℃、メルトフローレート(JIS K7210の表1の
条件14)7g/10分のプロピレン−エチレンランダ
ム共重合体 樹脂・・・エチレン成分4.1重量%、融点138
℃、メルトフローレート(JIS K7210の表1の
条件14)8g/10分のプロピレン−エチレンランダ
ム共重合体 樹脂・・・エチレン成分2.5重量%、融点145
℃、メルトフローレート(JIS K7210の表1の
条件14)11g/10分のプロピレン−エチレンラン
ダム共重合体 樹脂・・・密度0.925g/cm3、融点120
℃、メルトフローレート(JIS K7210の表1の
条件4)2g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(コ
モノマー:オクテン−1) 樹脂・・・密度0.924g/cm3、融点118
℃、メルトフローレート(JIS K7210の表1の
条件4)2g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(コ
モノマー:オクテン−1)
キサイド(10時間半減期温度61.6℃)」の商品名 パーロイルTCP・・・日本油脂(株)の「ビス(4-t-
ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1
0時間半減期温度40.8℃)」の商品名 パーヘキサ3M・・・日本油脂(株)の「1,1-ビス(t
−ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン
(10時間半減期温度90.0℃)」の商品名
発明の変性プロピレン系樹脂発泡粒子は、型内成型時の
水冷時間を大幅に短縮することが可能である。発泡粒子
の平均気泡径を600μm以下とした場合には、型内成
型体の外観を良好に維持することができる。発泡粒子の
嵩密度が0.030g/cm3以下のものほど、型内成
型時の水冷時間短縮割合を大きくすることができる。発
泡粒子の嵩密度が0.006g/cm3以上のものは、
型内成型体の収縮の程度を小さく維持できる。
差走査熱量測定によって得られるDSC曲線(条件:発
泡粒子1〜3mgを示差走査熱量測定装置により昇温速
度10℃/分で室温から220℃まで昇温)に2以上の
ピークを有し、最も高温側に存在するピークの熱量が、
(1)発泡粒子を構成する基材樹脂の融点が150℃以
下の場合には、2〜25J/gであることが望ましく、
(2)発泡粒子を構成する基材樹脂の融点が150℃未
満の場合には、5〜40J/gであることが望ましい。
両ケースともに、この範囲のものは、型内成形体の収縮
を小さく維持できると共に、型内成型時の過熱スチーム
圧力を低く保持することができるので、エネルギーコス
トの面で有利である。尚、発泡粒子を構成する基材樹脂
の融点が150℃以下の場合には、型内成形時の過熱ス
チーム圧力をより低く設定することができるので、エネ
ルギーコストの面でいっそう有利である。
Claims (5)
- 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂にビニル系単量体
を含浸させて、グラフト重合して得られる、[ポリプロ
ピレン系樹脂含有量]/[ビニル系単量体からなる重合
体含有量]の比が97〜65重量%/3〜35重量%で
ある変性ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする無架橋
発泡粒子であって、嵩密度が0.045g/cm3以下
であると共に平均気泡径が200μm以上であることを
特徴とする変性プロピレン系樹脂発泡粒子。 - 【請求項2】 平均気泡径が250〜600μmである
請求項1に記載の変性プロピレン系樹脂発泡粒子。 - 【請求項3】 嵩密度が0.006〜0.030g/c
m3である請求項1又は2に記載の変性プロピレン系樹
脂発泡粒子。 - 【請求項4】 発泡粒子を構成する基材樹脂の融点が1
50℃以下であり、発泡粒子の示差走査熱量測定によっ
て得られるDSC曲線(条件:発泡粒子1〜3mgを示
差走査熱量測定装置により昇温速度10℃/分で室温か
ら220℃まで昇温)に2以上のピークを有し、最も高
温側に存在するピークの熱量が2〜25J/gである請
求項1〜3のいずれかに記載の変性プロピレン系樹脂発
泡粒子。 - 【請求項5】 発泡粒子を構成する基材樹脂の融点が1
50℃超であり、発泡粒子の示差走査熱量測定によって
得られるDSC曲線(条件:発泡粒子1〜3mgを示差
走査熱量測定装置により昇温速度10℃/分で室温から
220℃まで昇温)に2以上ののピークを有し、最も高
温側に存在するピークの熱量が5〜40J/gである請
求項1〜3のいずれかに記載の変性プロピレン系樹脂発
泡粒子。
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